スピーカボックス構造及びそのスピーカボックスを搭載した薄型表示装置
【課題】テレビ本体に、搭載するスピーカの小型化、薄型化、また、同時に高音質再生を実現し、低音再生時のスピーカの風切り音や該スピーカを搭載したテレビ本体のびびり音や振動を防止するスピーカボックスを提供する。
【解決手段】バスレフ型スピーカにおいて、スピーカ本体を収納するスピーカキャビネット部分とダクト部分をその接続口でのみ接続された上下2段構造にすることにより、スピーカボックスの薄型化及び高音質再生を実現する。
【解決手段】バスレフ型スピーカにおいて、スピーカ本体を収納するスピーカキャビネット部分とダクト部分をその接続口でのみ接続された上下2段構造にすることにより、スピーカボックスの薄型化及び高音質再生を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカキャビネットとスピーカキャビネット外部に配置されたダクトからなり、高音質再生を実現する薄型のスピーカボックス構造及び該スピーカボックスを搭載した薄型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ市場においてはテレビ画面の大型化及びテレビ本体の薄型化が急速に広まっている。それに伴って、スピーカの小型化、薄型化が求められている。
【0003】
テレビ本体へのスピーカ取付け形態としては、サイドスピーカタイプとアンダースピーカタイプとがある。サイドスピーカタイプとは、ディスプレイの左右にスピーカパネル(L,R)を取付るタイプであり、アンダースピーカタイプとは、ディスプレイの下側にスピーカパネルを取付け、そのスピーカパネルの内部に左右(又は中央も有り)にスピーカ本体を内蔵するタイプである。
【0004】
従来、スピーカの小型化、薄型化を実現するために、スピーカをテレビ本体と分離するタイプものがあった。しかしこのタイプのものは、テレビ専用のラック台を設けてそのラック台に外部スピーカとAVアンプを搭載する必要があり、テレビ本体の薄型化によりスマートさを特徴とする薄型テレビには不向きであった。
【0005】
また、スピーカをテレビ本体の筐体に固定するタイプのものは、スピーカ本体及び/又はスピーカボックスの小型化、薄型化する必要があり、同時に高音質を保持するのは非常に困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、迫力のある高音質再生を実現するスピーカとして、バスレフ型スピーカが広く用いられている。バスレフ型スピーカは、低音再生能力を高めるため、ダクトを設け、スピーカの振動板の背面から出た音の位相を反転させ、ダクトを介して外部に放射させることにより、スピーカの振動面から全面に放射する低音特性を増強するように設計されたものである。
【0007】
しかし、一定レベルの低音再生能力を確保するためには、ダクトの長さ及び容積を十分確保する必要があり、この点がバスレフ型スピーカの小型化、薄型化を難しくしていた。
【0008】
更には、スピーカ本体やスピーカボックスを取付けて音声再生する場合の共通の課題として特に低音再生時のスピーボックスの風切り音の防止及びテレビ本体のびびり音や振動の防止も同時に解決しなければならない。
【特許文献1】特開平5-183976
【特許文献2】特開平6-217385
【特許文献3】特開2004-343548
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明では、高音質再生を実現する、小型及び薄型のバスレフ型スピーカであって、表示装置に取り付けた場合に、表示装置本体のびびり音や振動を防止するスピーカボックスを提供する。また、前記スピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体を提供する。更に、前記スピーカボックスを備えた薄型表示装置を提供する。
【0010】
(1)本発明は、スピーカを収納するスピーカキャビネットと、スピーカキャビネットとの接続固定部位を除いては外部に露出する壁にて形作られるダクトと、からなることを特徴とするスピーカボックスを提供する。
【0011】
(2)本発明は、前記ダクトは、前記スピーカキャビネット上部に配置されることを特徴とする(1)に記載のスピーカボックスを提供す。
【0012】
(3)本発明は、前記スピーカキャビネット内部と前記ダクト空間とを接続する接続口は、スピーカキャビネット上面側に設けられていることを特徴とする(2)に記載のスピーカボックスを提供する。
【0013】
(4)本発明は、前記スピーカキャビネットは複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するための固定部を有することを特徴とする(1)から(3)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0014】
(5)本発明は、前記ダクト断面は略円形状であることを特徴とする(1)から(4のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0015】
(6)本発明は、前記固定部は、スピーカ本体をその振動板がスピーカキャビネット内で斜め上向きに配置されるようにスピーカを固定することを特徴とする(1)から(5)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0016】
(7)本発明は、前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の背面は、スピーカ本体の振動板と非平行に形成されていることを特徴とする(1)から(6)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0017】
(8)本発明は、前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の周縁部の少なくとも一部にはひさし部を設けたことを特徴とする(1)から(7)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0018】
(9)本発明は、前記ダクトの外気出口背面は曲面にて形成されていることを特徴とする(1)から(8)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0019】
(10)本発明は、前記固定部は、前記複数のスピーカを横に並べて配置するように構成されたことを特徴とする(2)に従属する(4)に記載のスピーカボックスを提供する。
【0020】
(11)本発明は、前記ダクトの外気出口はスピーカ前面以外の向きに配置されていることを特徴とする(1)から(10)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0021】
(12)本発明は、(1)から(11)のいずれか一に記載のスピーカボックスにスピーカ本体を収納したことを特徴とするスピーカ構体を提供する。
【0022】
(13)本発明は、前記接続口に近い側に相対的に低音用のスピーカ本体を配置したことを特徴とする(4)に従属するスピーカボックスにスピーカ本体を収納したことを特徴とする(12)に記載のスピーカ構体を提供する。
【0023】
(14)本発明は、(1)から(11)のいずれか一に記載のスピーカボックスを備えたことを特徴とする薄型表示装置を提供する。
【0024】
(15)本発明は、薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をスピーカキャビネット上部に配置したことを特徴とする(14)に記載の薄型表示装置を提供する。
【0025】
(16)本発明は、薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をダクト前面に配置したことを特徴とする(14)または(15)に記載の薄型表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、スピーカボックスの小型化・薄型化と同時に、高音質再生を実現する。また、バスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強する。更には、スピーカ本体やスピーカボックスを取付けて音声再生する場合の共通の課題である低音再生時のスピーカボックスの風切り音の防止及びテレビ本体のびびり音や振動の防止を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態1は請求項1から3及び請求項12、請求項14などに関する。実施形態2は請求項4から請求項14などに関する。実施形態3は請求項14から請求項16などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0028】
本実施形態は、スピーカを収納するスピーカボックスと、該スピーカボックスとの接続固定部位を除いては外部に露出する壁にて形作られるダクトからなる、バスレフ型スピーカボックス及び該スピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体及び該スピーカボックスを備えた薄型表示装置である。
<実施形態1:構成>
【0029】
図1に本実施形態を説明するための概念図を示す。(a)は正面図を示し、(b)は背面図を示す。本実施形態のスピーカボックスは、スピーカを収納するスピーカキャビネット(0101)と、ダクト(0102)からなる。スピーカ背面から放射される音波は該ダクトを通して、ダクト出口(0103b)から外部に放射される。スピーカボックス内部の音波の流れを矢印で示した。
【0030】
また該スピーカボックスはスピーカキャビネットとダクトが一体となって、前面スピーカボックスと背面スピーカボックスからなる二分割構造をとり、分割面を接着部材で固着した後、ネジで締め付ける。図2に本実施形態の斜視図及び断面斜視図を、図3に前面スピーカボックスの分割面の正面図(a)と前面スピーカボックスの分割面の斜視図(b)、背面スピーカボックスの分割面の正面図(c)、背面スピーカボックスの分割面の斜視図(d)を示す。スピーカキャビネット(0201、0301)とダクト(0202、0302)とは、接続固定部位(0203、0303)において接続されているのみで、該ダクトはスピーカキャビネットの外部に露出する壁にて構成されている。外部に露出する壁にて構成されているとは、従来のものとは異なり、ダクトとスピーカキャビネットとがそれぞれ独立に配置され、一部で接続するように構成されていることをいう。また、スピーカキャビネット内部とダクト空間とは接続口(0304)で接続されているに過ぎず、該ダクトはスピーカキャビネット内部とは一部でのみ接続された異なる空間を独立に有する。これにより、必要なダクト容積を確保し、所望の音声特性を得ると同時に、スピーカボックスをより薄型にすることを可能とする。さらに、前面スピーカボックスと背面スピーカボックスの二分割構造をとるため、収納するスピーカ本体を、大きさの異なるスピーカ本体に変更する場合、スピーカボックスの接続部は従前のままの状態で、前面又は背面のどちらか一方のスピーカキャビネットの奥行きを深くすることで対応できる。ダクトの容積を変更する場合においても同様である。
【0031】
スピーカボックスを構成するスピーカキャビネットとダクトの配置は、スピーカボックスが薄型になるような配置であれば特に限定しないが、スピーカキャビネットとダクトの長手方向をそろえ、側面から見て上下二段構造になるように配置すると、スピーカボックスの厚さを抑えることが出来る点で好ましい。更には、図4の本実施形態の側面図が示すように、上段をダクト(0401)、下段をスピーカキャビネット(0402)とし、側面から見て略L字型とする配置が好ましい。かかる配置の場合、図5に示すように、薄型表示装置(0501)の筐体に該スピーカボックス(0502)を収納した場合に、スピーカボックスを搭載することによって該薄型表示装置に付加される厚みはダクト厚となり、薄型表示装置全体の厚さを抑えることができるからである。(a)はサイドスピーカタイプを示し、(b)はアンダースピーカタイプを示す。(b)の場合は、該薄型表示ディスプレイをL字型スピーカボックスの上部に固定できるという点でも有効である。
【0032】
スピーカキャビネット内部とダクト空間との接続口は、ダクトの外気出口から最も離れた位置に設けるのが好ましい。バスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強するためには、ダクト長を十分に確保する必要があるからである。また、スピーカキャビネット及びダクトを図4や図5に示すように上下二段構造に配置する場合は、該接続口はスピーカキャビネットの上面側に設けるのが好ましい。ここで、スピーカキャビネットの上面側とは、スピーカキャビネットとダクトの長手方向をそろえた場合において、該長手方向を水平にした場合の上面をいう。
<実施形態1:効果>
【0033】
ダクトをスピーカキャビネットの外部に配置することにより、スピーカボックスの薄型化及び必要なダクト容積の確保を可能にする。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
【0034】
本実施形態は、前記実施形態1において、更に複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するための固定部を有するスピーカキャビネットと、ダクトからなるバスレフ型スピーカボックス及び該スピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体及び該スピーカボックスを備えた薄型表示装置である。
<実施形態2:構成>
【0035】
図6に本実施形態のスピーカボックスの概念図を示す。本実施形態のスピーカボックス(0601)は、複数の異なる音域用のスピーカ本体(0602)を固定するための固定部(0603)と、ダクト(0604)からなるバスレフ型スピーカボックスである。
【0036】
固定部が複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するのは、一のスピーカボックスに同じ音域のスピーカ本体を固定した場合に発生する共振を防止するためである。複数の異なる音域用のスピーカとは、2種以上の異なる音域用のスピーカをいい、特定の音域を出すことを目的とするスピーカにおいて、低音用及び中・高音用の2種類の音域用スピーカでもよく、低音用及び中音用及び高音用の3種類の音域用のスピーカでもよく、それ以上でもよい。また、フルレンジスピーカの場合において電気的信号処理により音域を使い分ける複数のスピーカでもよい。
【0037】
更には、複数のスピーカ本体を横に並べて配置するように構成するのが好ましい。図4や図5に示すようなスピーカキャビネットの上部にダクトを配置する上下2段構造場合、複数のスピーカを横に並べることにより、各スピーカ本体の幅の和に相当する長さのダクト長を確保できるからである。これにより、薄型でもバスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強できる。
【0038】
また、複数の異なる音域用スピーカ本体を固定する場合、スピーカキャビネット内部とダクト空間とを接続する接続口は、相対的に低音用のスピーカ本体に近い側に配置するのが好ましい。図7に該接続口を相対的に低音用のスピーカ本体に近い側に配置する場合の概念図を示す。高音用スピーカ本体(0701)及び中音用スピーカ本体(0702)及び低音用スピーカ本体(0703)を横に並べて固定する場合に、該接続口はAよりはB寄りに、BよりはC寄りに配置する。スピーカの背面からの音波がスピーカキャビネットの内面に直接放射され、スピーカボックス及び該スピーカボックスを搭載した薄型表示装置が振動するのを抑制するためである。なぜなら、スピーカ本体の背面から放射される音波の流速は低音であるほど大きいため、流速の大きい音波をスムーズにダクトに導き、ダクトを通して外部に放射することができるからである。
【0039】
ダクトの断面形状は特に限定しないが、風の流れを良くするために流線型が好ましく、略円形状が好ましい。ダクトの容積を十分確保でき低音特性を増強できると同時に、ダクト内部における風切り音の発生を防止することができるからである。略円形状とは、円形状、たて楕円形状、よこ楕円形状などを含む。スピーカボックスの厚みを抑えるため、該断面形状をたて楕円形状とするのが特に好ましい。ここで、たて楕円形状とは、スピーカキャビネットとダクトの長手方向をそろえた場合において、該長手方向を水平にした場合のたて楕円形状をいう。更に、図8に示すように、ダクト(0801)の外気出口背面(0802)を円弧状の曲面にすることで、ダクト出口における風切り音の発生を防止することもできる。
【0040】
また、スピーカボックスが薄型である場合、スピーカ本体の背面と、スピーカキャビネットの内面との距離が非常に近くなる。かかる場合、該スピーカ本体の背面から放射される音波の全てがスピーカキャビネット内面にぶつかり、スピーカボックスの振動及び、該スピーカボックスを搭載した薄型表示装置等の振動が起こる。このため、スピーカ本体から放射される音波を分散させ、スピーカボックス等の振動を抑制する必要がある。そこで、前記固定部は、図9に示すようにスピーカ本体(0901)の振動板(0902)の中心軸(0903)がスピーカキャビネット内面(0904)に対して斜め上向きに配置されるように固定するのが好ましい。放射された音波を分散させ、スピーカキャビネット内面(0904)に鉛直に当たるのを防止できるからである。更には、スピーカキャビネットとダクト(0908)が上下2段構造で、該ダクトを上段に設けた場合は、振動板がスピーカキャビネット内面に対して斜め上向きに配置されていることにより、音波がダクトへ放出しやすいという点でも有効である。
【0041】
また、スピーカ本体の背面から放射された音波が、スピーカキャビネット内面に鉛直に当たるのを防止する構造として、図10に示すように、該スピーカキャビネット内面(1001)をスピーカ本体(1002)の振動板(1003)と非平行になるように形成してもよい。
【0042】
さらに、前記固定部に固定されるスピーカ本体の周縁部の少なくとも一部にはひさし部を設ける。図11はひさし部を設けない場合(a)とひさし部を設けた場合(b)の音の伝わりを示す概念図である。ひさし部を設けない場合、スピーカから出る音は前方のあらゆる方向へと分散され、またスピーカキャビネット内部の空間へ音が漏れてしまう。一方、ひさし部(1101)を設けた場合、スピーカから出る音は該ひさし部によって音の伝わる方向が限定されるため、音の分散を抑制することができる。
【0043】
ひさし部を設ける位置は、スピーカ本体の特徴、例えば音域や、薄型表示装置においてスピーカボックスを搭載する位置等に合わせるとよい。薄型表示装置において、アンダースピーカタイプの場合は、スピーカから出る音を該薄型表示装置を設置した空間全体に音が広がるのを抑制するため、ひさし部はスピーカ本体の周縁部の上部に設けるのが好ましく、さらに側部に設けてもよい。
【0044】
また、ダクトの外気出口はスピーカ前面以外の向きに配置するのが好ましい。スピーカ前面に配置した場合、スピーカボックスの構造によっては、ダクトの外気出口から放射される音波が薄型表示装置のディスプレイに直接放射される場合があるからである。壁掛けタイプの薄型表示装置にスピーカボックスを搭載する場合、該ダクトの外気出口と薄型表示装置を掛けた壁との間の隙間が狭いため、該ダクトの外気出口は、天面、底面又は側面の向きに配置するのが好ましい。
<実施形態2:効果>
【0045】
スピーカボックスの薄型化と同時に、バスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強し、高音質再生を実現する。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0046】
本実施形態は、前記実施形態1及び2のスピーカボックスを備えた薄型表示装置である。
<実施形態3:構成>
【0047】
本実施形態は図9に示す。薄型表示装置の液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ(0905)は、その少なくとも一部がスピーカボックス(0906)のスピーカキャビネット(0907)上部に配置されている。更に、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイの少なくとも一部はスピーカボックスのダクト(0908)の前面に配置されている。
【0048】
該ディスプレイの一部がスピーカキャビネット上部に配置されているとは、側面から見た場合にL字型をしているスピーカボックスに前記ディスプレイの一部を乗せるように配置されていることをいう。該ディスプレイの少なくとも一部はスピーカボックスのダクトの前面に配置されているとは、薄型表示装置を背面から見た場合に、スピーカボックスのダクト部分と該ディスプレイの一部が重なるように配置されていることをいう。
<実施形態3:効果>
【0049】
ディスプレイの厚さの分だけスピーカキャビネットの厚さを節約できると同時に、該ディスプレイを固定できる。また、薄型表示装置のベゼルを狭くすることが出来る。
<実施例>
【0050】
以下の実施例をもって、本発明を具体的に説明する。なお、当該実施例は単に例示するのみであり、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0051】
図12に、本実施例のスピーカボックスを搭載した薄型表示装置を示す。中・低音用(1201)及び中・高音用(1202)の2種類のスピーカ本体をスピーカキャビネット(1203)に固定する。かかる場合、中・高音用スピーカ本体(1202)は薄型表示装置において両端外側に配置し、中・低音用スピーカ本体(1201)は、両端内側に配置する。高音は指向性が強く、音が直線的に伝わるという特徴を有するため、中・高音用スピーカ本体(1202)同士を両端外側に離して配置することでそのステレオ感を強調できるからである。また、低音は指向性が弱く、音が拡がりやすいため、高音用スピーカに比べ配置場所は自由度があるからである。さらには、視聴者は薄型表示装置に向かって中央付近で視聴することを想定しているため、中・高音用スピーカからの高音と、中・低音用スピーカからの低音との音の混ざりを抑制する点でも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一例を示すための正面図及び背面図。
【図2】本発明の一例を示すための斜視図及び断面斜視図。
【図3】本発明の一例を示すための分解図。
【図4】本発明の一例を示すための側面図。
【図5】本発明の薄型表示装置の一例。
【図6】実施形態2の一例を示す正面図。
【図7】実施形態2の接続口の位置を示す概念図。
【図8】実施形態2の背面図。
【図9】実施形態2の側面断面図。
【図10】実施形態2の側面断面図。
【図11】実施形態2の音の伝わりを示す概念図。
【図12】実施形態3の一例を示す正面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカキャビネットとスピーカキャビネット外部に配置されたダクトからなり、高音質再生を実現する薄型のスピーカボックス構造及び該スピーカボックスを搭載した薄型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ市場においてはテレビ画面の大型化及びテレビ本体の薄型化が急速に広まっている。それに伴って、スピーカの小型化、薄型化が求められている。
【0003】
テレビ本体へのスピーカ取付け形態としては、サイドスピーカタイプとアンダースピーカタイプとがある。サイドスピーカタイプとは、ディスプレイの左右にスピーカパネル(L,R)を取付るタイプであり、アンダースピーカタイプとは、ディスプレイの下側にスピーカパネルを取付け、そのスピーカパネルの内部に左右(又は中央も有り)にスピーカ本体を内蔵するタイプである。
【0004】
従来、スピーカの小型化、薄型化を実現するために、スピーカをテレビ本体と分離するタイプものがあった。しかしこのタイプのものは、テレビ専用のラック台を設けてそのラック台に外部スピーカとAVアンプを搭載する必要があり、テレビ本体の薄型化によりスマートさを特徴とする薄型テレビには不向きであった。
【0005】
また、スピーカをテレビ本体の筐体に固定するタイプのものは、スピーカ本体及び/又はスピーカボックスの小型化、薄型化する必要があり、同時に高音質を保持するのは非常に困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、迫力のある高音質再生を実現するスピーカとして、バスレフ型スピーカが広く用いられている。バスレフ型スピーカは、低音再生能力を高めるため、ダクトを設け、スピーカの振動板の背面から出た音の位相を反転させ、ダクトを介して外部に放射させることにより、スピーカの振動面から全面に放射する低音特性を増強するように設計されたものである。
【0007】
しかし、一定レベルの低音再生能力を確保するためには、ダクトの長さ及び容積を十分確保する必要があり、この点がバスレフ型スピーカの小型化、薄型化を難しくしていた。
【0008】
更には、スピーカ本体やスピーカボックスを取付けて音声再生する場合の共通の課題として特に低音再生時のスピーボックスの風切り音の防止及びテレビ本体のびびり音や振動の防止も同時に解決しなければならない。
【特許文献1】特開平5-183976
【特許文献2】特開平6-217385
【特許文献3】特開2004-343548
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明では、高音質再生を実現する、小型及び薄型のバスレフ型スピーカであって、表示装置に取り付けた場合に、表示装置本体のびびり音や振動を防止するスピーカボックスを提供する。また、前記スピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体を提供する。更に、前記スピーカボックスを備えた薄型表示装置を提供する。
【0010】
(1)本発明は、スピーカを収納するスピーカキャビネットと、スピーカキャビネットとの接続固定部位を除いては外部に露出する壁にて形作られるダクトと、からなることを特徴とするスピーカボックスを提供する。
【0011】
(2)本発明は、前記ダクトは、前記スピーカキャビネット上部に配置されることを特徴とする(1)に記載のスピーカボックスを提供す。
【0012】
(3)本発明は、前記スピーカキャビネット内部と前記ダクト空間とを接続する接続口は、スピーカキャビネット上面側に設けられていることを特徴とする(2)に記載のスピーカボックスを提供する。
【0013】
(4)本発明は、前記スピーカキャビネットは複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するための固定部を有することを特徴とする(1)から(3)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0014】
(5)本発明は、前記ダクト断面は略円形状であることを特徴とする(1)から(4のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0015】
(6)本発明は、前記固定部は、スピーカ本体をその振動板がスピーカキャビネット内で斜め上向きに配置されるようにスピーカを固定することを特徴とする(1)から(5)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0016】
(7)本発明は、前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の背面は、スピーカ本体の振動板と非平行に形成されていることを特徴とする(1)から(6)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0017】
(8)本発明は、前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の周縁部の少なくとも一部にはひさし部を設けたことを特徴とする(1)から(7)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0018】
(9)本発明は、前記ダクトの外気出口背面は曲面にて形成されていることを特徴とする(1)から(8)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0019】
(10)本発明は、前記固定部は、前記複数のスピーカを横に並べて配置するように構成されたことを特徴とする(2)に従属する(4)に記載のスピーカボックスを提供する。
【0020】
(11)本発明は、前記ダクトの外気出口はスピーカ前面以外の向きに配置されていることを特徴とする(1)から(10)のいずれか一に記載のスピーカボックスを提供する。
【0021】
(12)本発明は、(1)から(11)のいずれか一に記載のスピーカボックスにスピーカ本体を収納したことを特徴とするスピーカ構体を提供する。
【0022】
(13)本発明は、前記接続口に近い側に相対的に低音用のスピーカ本体を配置したことを特徴とする(4)に従属するスピーカボックスにスピーカ本体を収納したことを特徴とする(12)に記載のスピーカ構体を提供する。
【0023】
(14)本発明は、(1)から(11)のいずれか一に記載のスピーカボックスを備えたことを特徴とする薄型表示装置を提供する。
【0024】
(15)本発明は、薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をスピーカキャビネット上部に配置したことを特徴とする(14)に記載の薄型表示装置を提供する。
【0025】
(16)本発明は、薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をダクト前面に配置したことを特徴とする(14)または(15)に記載の薄型表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、スピーカボックスの小型化・薄型化と同時に、高音質再生を実現する。また、バスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強する。更には、スピーカ本体やスピーカボックスを取付けて音声再生する場合の共通の課題である低音再生時のスピーカボックスの風切り音の防止及びテレビ本体のびびり音や振動の防止を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態1は請求項1から3及び請求項12、請求項14などに関する。実施形態2は請求項4から請求項14などに関する。実施形態3は請求項14から請求項16などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0028】
本実施形態は、スピーカを収納するスピーカボックスと、該スピーカボックスとの接続固定部位を除いては外部に露出する壁にて形作られるダクトからなる、バスレフ型スピーカボックス及び該スピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体及び該スピーカボックスを備えた薄型表示装置である。
<実施形態1:構成>
【0029】
図1に本実施形態を説明するための概念図を示す。(a)は正面図を示し、(b)は背面図を示す。本実施形態のスピーカボックスは、スピーカを収納するスピーカキャビネット(0101)と、ダクト(0102)からなる。スピーカ背面から放射される音波は該ダクトを通して、ダクト出口(0103b)から外部に放射される。スピーカボックス内部の音波の流れを矢印で示した。
【0030】
また該スピーカボックスはスピーカキャビネットとダクトが一体となって、前面スピーカボックスと背面スピーカボックスからなる二分割構造をとり、分割面を接着部材で固着した後、ネジで締め付ける。図2に本実施形態の斜視図及び断面斜視図を、図3に前面スピーカボックスの分割面の正面図(a)と前面スピーカボックスの分割面の斜視図(b)、背面スピーカボックスの分割面の正面図(c)、背面スピーカボックスの分割面の斜視図(d)を示す。スピーカキャビネット(0201、0301)とダクト(0202、0302)とは、接続固定部位(0203、0303)において接続されているのみで、該ダクトはスピーカキャビネットの外部に露出する壁にて構成されている。外部に露出する壁にて構成されているとは、従来のものとは異なり、ダクトとスピーカキャビネットとがそれぞれ独立に配置され、一部で接続するように構成されていることをいう。また、スピーカキャビネット内部とダクト空間とは接続口(0304)で接続されているに過ぎず、該ダクトはスピーカキャビネット内部とは一部でのみ接続された異なる空間を独立に有する。これにより、必要なダクト容積を確保し、所望の音声特性を得ると同時に、スピーカボックスをより薄型にすることを可能とする。さらに、前面スピーカボックスと背面スピーカボックスの二分割構造をとるため、収納するスピーカ本体を、大きさの異なるスピーカ本体に変更する場合、スピーカボックスの接続部は従前のままの状態で、前面又は背面のどちらか一方のスピーカキャビネットの奥行きを深くすることで対応できる。ダクトの容積を変更する場合においても同様である。
【0031】
スピーカボックスを構成するスピーカキャビネットとダクトの配置は、スピーカボックスが薄型になるような配置であれば特に限定しないが、スピーカキャビネットとダクトの長手方向をそろえ、側面から見て上下二段構造になるように配置すると、スピーカボックスの厚さを抑えることが出来る点で好ましい。更には、図4の本実施形態の側面図が示すように、上段をダクト(0401)、下段をスピーカキャビネット(0402)とし、側面から見て略L字型とする配置が好ましい。かかる配置の場合、図5に示すように、薄型表示装置(0501)の筐体に該スピーカボックス(0502)を収納した場合に、スピーカボックスを搭載することによって該薄型表示装置に付加される厚みはダクト厚となり、薄型表示装置全体の厚さを抑えることができるからである。(a)はサイドスピーカタイプを示し、(b)はアンダースピーカタイプを示す。(b)の場合は、該薄型表示ディスプレイをL字型スピーカボックスの上部に固定できるという点でも有効である。
【0032】
スピーカキャビネット内部とダクト空間との接続口は、ダクトの外気出口から最も離れた位置に設けるのが好ましい。バスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強するためには、ダクト長を十分に確保する必要があるからである。また、スピーカキャビネット及びダクトを図4や図5に示すように上下二段構造に配置する場合は、該接続口はスピーカキャビネットの上面側に設けるのが好ましい。ここで、スピーカキャビネットの上面側とは、スピーカキャビネットとダクトの長手方向をそろえた場合において、該長手方向を水平にした場合の上面をいう。
<実施形態1:効果>
【0033】
ダクトをスピーカキャビネットの外部に配置することにより、スピーカボックスの薄型化及び必要なダクト容積の確保を可能にする。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
【0034】
本実施形態は、前記実施形態1において、更に複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するための固定部を有するスピーカキャビネットと、ダクトからなるバスレフ型スピーカボックス及び該スピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体及び該スピーカボックスを備えた薄型表示装置である。
<実施形態2:構成>
【0035】
図6に本実施形態のスピーカボックスの概念図を示す。本実施形態のスピーカボックス(0601)は、複数の異なる音域用のスピーカ本体(0602)を固定するための固定部(0603)と、ダクト(0604)からなるバスレフ型スピーカボックスである。
【0036】
固定部が複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するのは、一のスピーカボックスに同じ音域のスピーカ本体を固定した場合に発生する共振を防止するためである。複数の異なる音域用のスピーカとは、2種以上の異なる音域用のスピーカをいい、特定の音域を出すことを目的とするスピーカにおいて、低音用及び中・高音用の2種類の音域用スピーカでもよく、低音用及び中音用及び高音用の3種類の音域用のスピーカでもよく、それ以上でもよい。また、フルレンジスピーカの場合において電気的信号処理により音域を使い分ける複数のスピーカでもよい。
【0037】
更には、複数のスピーカ本体を横に並べて配置するように構成するのが好ましい。図4や図5に示すようなスピーカキャビネットの上部にダクトを配置する上下2段構造場合、複数のスピーカを横に並べることにより、各スピーカ本体の幅の和に相当する長さのダクト長を確保できるからである。これにより、薄型でもバスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強できる。
【0038】
また、複数の異なる音域用スピーカ本体を固定する場合、スピーカキャビネット内部とダクト空間とを接続する接続口は、相対的に低音用のスピーカ本体に近い側に配置するのが好ましい。図7に該接続口を相対的に低音用のスピーカ本体に近い側に配置する場合の概念図を示す。高音用スピーカ本体(0701)及び中音用スピーカ本体(0702)及び低音用スピーカ本体(0703)を横に並べて固定する場合に、該接続口はAよりはB寄りに、BよりはC寄りに配置する。スピーカの背面からの音波がスピーカキャビネットの内面に直接放射され、スピーカボックス及び該スピーカボックスを搭載した薄型表示装置が振動するのを抑制するためである。なぜなら、スピーカ本体の背面から放射される音波の流速は低音であるほど大きいため、流速の大きい音波をスムーズにダクトに導き、ダクトを通して外部に放射することができるからである。
【0039】
ダクトの断面形状は特に限定しないが、風の流れを良くするために流線型が好ましく、略円形状が好ましい。ダクトの容積を十分確保でき低音特性を増強できると同時に、ダクト内部における風切り音の発生を防止することができるからである。略円形状とは、円形状、たて楕円形状、よこ楕円形状などを含む。スピーカボックスの厚みを抑えるため、該断面形状をたて楕円形状とするのが特に好ましい。ここで、たて楕円形状とは、スピーカキャビネットとダクトの長手方向をそろえた場合において、該長手方向を水平にした場合のたて楕円形状をいう。更に、図8に示すように、ダクト(0801)の外気出口背面(0802)を円弧状の曲面にすることで、ダクト出口における風切り音の発生を防止することもできる。
【0040】
また、スピーカボックスが薄型である場合、スピーカ本体の背面と、スピーカキャビネットの内面との距離が非常に近くなる。かかる場合、該スピーカ本体の背面から放射される音波の全てがスピーカキャビネット内面にぶつかり、スピーカボックスの振動及び、該スピーカボックスを搭載した薄型表示装置等の振動が起こる。このため、スピーカ本体から放射される音波を分散させ、スピーカボックス等の振動を抑制する必要がある。そこで、前記固定部は、図9に示すようにスピーカ本体(0901)の振動板(0902)の中心軸(0903)がスピーカキャビネット内面(0904)に対して斜め上向きに配置されるように固定するのが好ましい。放射された音波を分散させ、スピーカキャビネット内面(0904)に鉛直に当たるのを防止できるからである。更には、スピーカキャビネットとダクト(0908)が上下2段構造で、該ダクトを上段に設けた場合は、振動板がスピーカキャビネット内面に対して斜め上向きに配置されていることにより、音波がダクトへ放出しやすいという点でも有効である。
【0041】
また、スピーカ本体の背面から放射された音波が、スピーカキャビネット内面に鉛直に当たるのを防止する構造として、図10に示すように、該スピーカキャビネット内面(1001)をスピーカ本体(1002)の振動板(1003)と非平行になるように形成してもよい。
【0042】
さらに、前記固定部に固定されるスピーカ本体の周縁部の少なくとも一部にはひさし部を設ける。図11はひさし部を設けない場合(a)とひさし部を設けた場合(b)の音の伝わりを示す概念図である。ひさし部を設けない場合、スピーカから出る音は前方のあらゆる方向へと分散され、またスピーカキャビネット内部の空間へ音が漏れてしまう。一方、ひさし部(1101)を設けた場合、スピーカから出る音は該ひさし部によって音の伝わる方向が限定されるため、音の分散を抑制することができる。
【0043】
ひさし部を設ける位置は、スピーカ本体の特徴、例えば音域や、薄型表示装置においてスピーカボックスを搭載する位置等に合わせるとよい。薄型表示装置において、アンダースピーカタイプの場合は、スピーカから出る音を該薄型表示装置を設置した空間全体に音が広がるのを抑制するため、ひさし部はスピーカ本体の周縁部の上部に設けるのが好ましく、さらに側部に設けてもよい。
【0044】
また、ダクトの外気出口はスピーカ前面以外の向きに配置するのが好ましい。スピーカ前面に配置した場合、スピーカボックスの構造によっては、ダクトの外気出口から放射される音波が薄型表示装置のディスプレイに直接放射される場合があるからである。壁掛けタイプの薄型表示装置にスピーカボックスを搭載する場合、該ダクトの外気出口と薄型表示装置を掛けた壁との間の隙間が狭いため、該ダクトの外気出口は、天面、底面又は側面の向きに配置するのが好ましい。
<実施形態2:効果>
【0045】
スピーカボックスの薄型化と同時に、バスレフ型スピーカの特徴である低音特性を増強し、高音質再生を実現する。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0046】
本実施形態は、前記実施形態1及び2のスピーカボックスを備えた薄型表示装置である。
<実施形態3:構成>
【0047】
本実施形態は図9に示す。薄型表示装置の液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ(0905)は、その少なくとも一部がスピーカボックス(0906)のスピーカキャビネット(0907)上部に配置されている。更に、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイの少なくとも一部はスピーカボックスのダクト(0908)の前面に配置されている。
【0048】
該ディスプレイの一部がスピーカキャビネット上部に配置されているとは、側面から見た場合にL字型をしているスピーカボックスに前記ディスプレイの一部を乗せるように配置されていることをいう。該ディスプレイの少なくとも一部はスピーカボックスのダクトの前面に配置されているとは、薄型表示装置を背面から見た場合に、スピーカボックスのダクト部分と該ディスプレイの一部が重なるように配置されていることをいう。
<実施形態3:効果>
【0049】
ディスプレイの厚さの分だけスピーカキャビネットの厚さを節約できると同時に、該ディスプレイを固定できる。また、薄型表示装置のベゼルを狭くすることが出来る。
<実施例>
【0050】
以下の実施例をもって、本発明を具体的に説明する。なお、当該実施例は単に例示するのみであり、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0051】
図12に、本実施例のスピーカボックスを搭載した薄型表示装置を示す。中・低音用(1201)及び中・高音用(1202)の2種類のスピーカ本体をスピーカキャビネット(1203)に固定する。かかる場合、中・高音用スピーカ本体(1202)は薄型表示装置において両端外側に配置し、中・低音用スピーカ本体(1201)は、両端内側に配置する。高音は指向性が強く、音が直線的に伝わるという特徴を有するため、中・高音用スピーカ本体(1202)同士を両端外側に離して配置することでそのステレオ感を強調できるからである。また、低音は指向性が弱く、音が拡がりやすいため、高音用スピーカに比べ配置場所は自由度があるからである。さらには、視聴者は薄型表示装置に向かって中央付近で視聴することを想定しているため、中・高音用スピーカからの高音と、中・低音用スピーカからの低音との音の混ざりを抑制する点でも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一例を示すための正面図及び背面図。
【図2】本発明の一例を示すための斜視図及び断面斜視図。
【図3】本発明の一例を示すための分解図。
【図4】本発明の一例を示すための側面図。
【図5】本発明の薄型表示装置の一例。
【図6】実施形態2の一例を示す正面図。
【図7】実施形態2の接続口の位置を示す概念図。
【図8】実施形態2の背面図。
【図9】実施形態2の側面断面図。
【図10】実施形態2の側面断面図。
【図11】実施形態2の音の伝わりを示す概念図。
【図12】実施形態3の一例を示す正面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカを収納するスピーカキャビネットと、
スピーカキャビネットとの接続固定部位を除いては外部に露出する壁にて形作られるダクトと、
からなるスピーカボックス。
【請求項2】
前記ダクトは、前記スピーカキャビネット上部に配置される請求項1に記載のスピーカボックス。
【請求項3】
前記スピーカキャビネット内部と前記ダクト空間とを接続する接続口は、スピーカキャビネット上面側に設けられている請求項2に記載のスピーカボックス。
【請求項4】
前記スピーカキャビネットは複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するための固定部を有する請求項1から3のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項5】
前記ダクト断面は略円形状である請求項1から4のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項6】
前記固定部は、スピーカ本体をその振動板がスピーカキャビネット内で斜め上向きに配置されるようにスピーカを固定する請求項1から5のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項7】
前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の背面は、スピーカ本体の振動板と非平行に形成されている請求項1から6のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項8】
前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の周縁部の少なくとも一部にはひさし部を設けた請求項1から7のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項9】
前記ダクトの外気出口背面は曲面にて形成されている請求項1から8のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項10】
前記固定部は、前記複数のスピーカを横に並べて配置するように構成された請求項2に従属する請求項4に記載のスピーカボックス。
【請求項11】
前記ダクトの外気出口はスピーカ前面以外の向きに配置されている請求項1から10のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一に記載のスピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体。
【請求項13】
前記接続口に近い側に相対的に低音用のスピーカ本体を配置した請求項4に従属するスピーカボックスにスピーカ本体を収納した請求項12に記載のスピーカ構体。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一に記載のスピーカボックスを備えた薄型表示装置。
【請求項15】
薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をスピーカキャビネット上部に配置した請求項14に記載の薄型表示装置。
【請求項16】
薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をダクト前面に配置した請求項14又は15に記載の薄型表示装置。
【請求項1】
スピーカを収納するスピーカキャビネットと、
スピーカキャビネットとの接続固定部位を除いては外部に露出する壁にて形作られるダクトと、
からなるスピーカボックス。
【請求項2】
前記ダクトは、前記スピーカキャビネット上部に配置される請求項1に記載のスピーカボックス。
【請求項3】
前記スピーカキャビネット内部と前記ダクト空間とを接続する接続口は、スピーカキャビネット上面側に設けられている請求項2に記載のスピーカボックス。
【請求項4】
前記スピーカキャビネットは複数の異なる音域用のスピーカ本体を固定するための固定部を有する請求項1から3のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項5】
前記ダクト断面は略円形状である請求項1から4のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項6】
前記固定部は、スピーカ本体をその振動板がスピーカキャビネット内で斜め上向きに配置されるようにスピーカを固定する請求項1から5のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項7】
前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の背面は、スピーカ本体の振動板と非平行に形成されている請求項1から6のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項8】
前記スピーカキャビネットの前記固定部に固定されるスピーカ本体の周縁部の少なくとも一部にはひさし部を設けた請求項1から7のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項9】
前記ダクトの外気出口背面は曲面にて形成されている請求項1から8のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項10】
前記固定部は、前記複数のスピーカを横に並べて配置するように構成された請求項2に従属する請求項4に記載のスピーカボックス。
【請求項11】
前記ダクトの外気出口はスピーカ前面以外の向きに配置されている請求項1から10のいずれか一に記載のスピーカボックス。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一に記載のスピーカボックスにスピーカ本体を収納したスピーカ構体。
【請求項13】
前記接続口に近い側に相対的に低音用のスピーカ本体を配置した請求項4に従属するスピーカボックスにスピーカ本体を収納した請求項12に記載のスピーカ構体。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一に記載のスピーカボックスを備えた薄型表示装置。
【請求項15】
薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をスピーカキャビネット上部に配置した請求項14に記載の薄型表示装置。
【請求項16】
薄型表示装置の液晶ディスプレイ構体又はプラズマディスプレイ構体の少なくとも一部をダクト前面に配置した請求項14又は15に記載の薄型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−38446(P2009−38446A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198730(P2007−198730)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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