説明

スピーカモジュール、このスピーカモジュールを用いた電子機器および装置

【課題】本発明は各種音響機器および情報通信機器に使用されるスピーカモジュールおよびこれらを用いた電子機器や装置に関するものであり、電子機器や装置の省エネルギー化が課題であった。
【解決手段】本発明は、音響結合スピーカと太陽電池32とを一体化してスピーカモジュールを構成し、電子機器や装置に搭載することで、スピーカを含む電子機器や装置の消費電力を太陽電池にて補い省エネルギー化や電力供給なしでの駆動が可能となる構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種音響機器や情報通信機器に使用されるスピーカモジュールおよび各種電子機器や各種装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスピーカを搭載した電子機器について、図6により説明する。図6は従来のスピーカを搭載した電子機器である携帯電話の要部断面図を示したものである。
【0003】
図6に示すように、着磁されたマグネット1を上部プレート2およびヨーク3により挟み込んで内磁型の磁気回路4を構成していた。そして、この磁気回路4のヨーク3にフレーム6を結合していた。このフレーム6の周縁部に第1の振動板7を接着し、この第1の振動板7に結合されたボイスコイル8を上記磁気回路4の磁気ギャップ5にはまり込むように結合していた。
【0004】
そして、フレーム6にパネル9を結合し、このパネル9を密閉空間11を構成する壁面の一部として第1の振動板7を囲い込んで構成し、この密閉空間11に第2の振動板10を結合して音響結合スピーカ13を構成している。この音響結合スピーカ13を、表示部41や操作部42や電子回路33と共に外装ケース52に搭載して携帯電話51を構成していた。
【0005】
尚、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2003−179988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の音響結合スピーカ13および携帯電話51は、その使用状態においては、音響結合スピーカ13は受動部品であるため音を発生するために、電気エネルギーを消費するだけの部品であり、携帯電話51は受発信を目的とする作用により電気エネルギーを消費している。すなわち、電気エネルギーを消費するだけの電子機器であるため、内蔵している蓄電池の電力が無くなると、充電をしなければならない。
【0007】
また、最近の携帯電話等の電子機器の小型化、軽量化の市場要求から、内蔵している蓄電池の蓄電容量を拡大することもむつかしい。
【0008】
さらに、最近の携帯電話等の電子機器は、その機能拡充や出力拡大により、ますます消費電力が大きくなりつつある。よって、頻繁に充電が必要であり、大きな手間とその実用性に限定を加えられ使いにくいものとなっていた。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するもので、消費電力を抑え、充電における手間と時間ロスを解消できる、実用性の高い電子機器を実現可能な省エネルギー化を図れる優れたスピーカモジュールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
【0011】
本発明の請求項1に記載の発明は、磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合された第1の振動板と、この第1の振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに嵌め込まれるボイスコイルと、前記フレームに結合されたパネルと、前記第1の振動板を結合した前記パネルで囲まれた空間と、このパネルで囲まれた空間に結合した第2の振動板とで構成される音響結合スピーカと、太陽電池とを一体化してスピーカモジュールを構成したものである。
【0012】
この構成により、スピーカと、太陽電池からの補電によりエネルギー供給できる手段とを備えた、省エネルギー化や電力供給なしに駆動可能なスピーカモジュールを得ることができる。さらに、一体化してモジュール構成することにより、これら構成部品の物流工程、品質管理工程、組立て工程を削減することができ、コスト低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明は音響結合スピーカと太陽電池とを一体化してスピーカモジュールを構成したものである。この構成により、このスピーカモジュールを電子機器や装置に搭載することで、その消費電力を太陽電池にて補うことにより、スピーカモジュール、電子機器、装置等の省エネルギー化や電力供給なしでの駆動が可能となる。さらに、一体化によりこれら構成部品の物流工程、品質管理工程、組立て工程を削減することができ、コスト低減を図ることができる。よって本発明は、省エネルギー化や電力供給なしでの駆動が実現できる優れたスピーカモジュールを提供することができ、その工業的価値は非常に大なるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、同様の内容については、その説明を省略して説明する。
【0015】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1から請求項8に記載の発明について説明する。図1は本発明の一実施の形態のスピーカモジュールの断面図を示したものである。
【0016】
図1に示すように、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで内磁型の磁気回路24を構成している。この磁気回路24のヨーク23にフレーム26を結合している。そして、このフレーム26の周縁部に第1の振動板27を接着し、この第1の振動板27にボイスコイル28を結合するとともに、上記磁気回路24の磁気ギャップ25にはまり込むように結合して構成している。
【0017】
さらに、前記フレーム26の周縁部に透明なパネル29を結合し、このパネル29に透明な略平面形状で、かつ第1の振動板27より面積的に大きい第2の振動板30を接着し、第1の振動板27と第2の振動板30との間を密閉空間31により結合することで音響結合スピーカを構成している。そして、この透明なパネル29の下に太陽電池32を結合し、一体化してスピーカモジュール40を構成している。
【0018】
以上の構成とすることで、スピーカと、太陽電池32からの補電によりエネルギー供給できる手段とを備えた省エネルギー化や電力供給なしに駆動可能なスピーカモジュール40を得ることができる。さらに、一体化してモジュール構成することにより、これら構成部品の物流工程、品質管理工程、組立て工程を削減することができ、コスト低減を図ることができる。
【0019】
ここで、第2の振動板30やパネル29を透光性材料により構成させることで、これらの下に太陽電池32を配置しても、太陽電池32は受光可能となる。この場合、透光性材料により構成すれば、着色されていても第2の振動板30やパネル29は光を通すことができるため、色彩的に自由にデザインが可能である。
【0020】
また、着色等によるデザインは不可能になるが、第2の振動板30やパネル29を透明な材料により構成させることで、太陽電池32の受光効率を向上させることができる。さらに、第2の振動板30を略平面形状に形成したり、第2の振動板30の面積を第1の振動板27の面積より大きく構成することで、その形状効果により、電子機器の小型化、薄型化、デザインの自由度向上や音圧レベルの向上を図ることができる。
【0021】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項9から請求項12に記載の発明について説明する。図2は本発明の一実施の形態のスピーカモジュールの断面図を示したものである。
【0022】
実施の形態1との違いについてのみ説明すると、第2の振動板30やパネル29に集光作用を持たせて構成したものである。
【0023】
当実施の形態では、第2の振動板30は、その形状が平面状で集光点を中心に同心円状加工を実施した光の屈折による集光作用を持つ透明な材料から構成し、一方パネル29には凸レンズ状に加工した透明な材料により集光作用を持たせている。
【0024】
そして、これらの第2の振動板30やパネル29の集光位置すなわち焦点位置に太陽電池32を配置させることで、光量を増加させることができ、太陽電池32への蓄電効率を向上させることができる。よって、太陽電池32を小さくしたり、太陽電池32のセル数を減らしても同様の蓄電量を得ることができ、スピーカモジュール40の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0025】
当実施の形態では、第2の振動板30とパネル29の両方に集光作用を持たせた場合について説明したが、どちらか一方のみでも良い。
【0026】
また、第2の振動板30とパネル29の集光作用を持たせる手段についても、平面状で集光作用を持つ同心円状加工や凸レンズ状加工や他の方法等、任意に選択可能である。さらに、この集光作用を持たせる加工位置についても、第2の振動板30とパネル29の全体に設定しても、その一部分に設定してもよい。
【0027】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項13に記載の発明について説明する。図3は本発明の一実施の形態のスピーカモジュールの断面図を示したものである。これは、上述した実施の形態2に記載のスピーカモジュール40に電子回路33を一体化してスピーカモジュール40Aを構成したものである。ここで、この電子回路33には、少なくともスピーカを駆動させる増幅回路と太陽電池32からのエネルギーを蓄積するための蓄電池や充電回路等の電源機能が含まれている。さらに、この電子回路33には、電子機器に必要な他の機能、例えば携帯電話であれば、受発信機能に必要な検波回路、変復調回路等、さらには液晶等の表示モジュールの駆動回路や充電に必要な整流回路等を組込んでも良い。
【0028】
この構成により、電子回路33を搭載した太陽電池32付きスピーカモジュール40Aを結合と配線完了した状態で得ることができる。
【0029】
ここで、この構成は、ターミナル部品をなくし、スピーカリード線の端部を電子回路33のスピーカ駆動部の導電部に直接配線し、さらに太陽電池32も電子回路33の蓄電部の導電部に接続構成したものである。この構成により、電子回路33を搭載した太陽電池32付きスピーカモジュール40Aは、省エネルギー化や電力供給なしに単独で駆動可能なスピーカモジュールを実現することができる。
【0030】
さらにこの構成により、ターミナル部品等の部品点数の削減ができ、さらなる低コスト化を図ることができる。そして、これらの結線を先に実施することができ、携帯電話等の電子機器の組立て工程を削減することができる。
【0031】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項14に記載の発明について説明する。図4は本発明の一実施の形態のスピーカモジュールを搭載した携帯電話装置の一部の装着状態を説明する要部断面図である。
【0032】
図4は少なくとも表示部41と操作部42とスピーカモジュール40Aとから構成された携帯電話51である。図4によると、実施の形態3にて説明したスピーカモジュール40Aを使用して携帯電話51を構成したものであり、外装ケース52にスピーカモジュール40Aと表示部41、操作部42が結合されてその要部が構成されている。この時、スピーカモジュール40Aの第2の振動板30の下に配置された太陽電池32によるエネルギーにより、携帯電話51の全ての機能を動作させることができる。
【0033】
また、この太陽電池32によるエネルギーについては、外部電源からの充電に加え補助的に使用することで、電子機器の省エネルギー化を図る使用方法としても良い。
【0034】
なお、このセットは携帯電話のみならず、通信用機器やゲーム機器、液晶テレビ、パソコンやナビゲーション機器等の電子機器に広く応用することも可能である。
【0035】
(実施の形態5)
以下、実施の形態5を用いて、本発明の特に請求項15に記載の発明について説明する。図5は、本発明の一実施の形態である移動手段を備えた装置である自動車50の断面図を示したものである。
【0036】
図5に示すように、本発明のスピーカモジュール40Aをリアトレイやフロントパネルに組込んで、カーナビゲーションやカーオーディオの一部として使用して自動車50を構成したものである。
【0037】
この構成とすることにより、自動車等の装置はもとより、これに搭載されたスピーカモジュール40Aの省エネルギー化を図ることができ、さらに一体化させることで小型化、低コスト化を実現させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかるスピーカモジュールは、省エネルギー化や小型化、低コスト化さらには単独での動作が必要な各種音響機器、さらには各種電子機器や各種装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスピーカモジュールの断面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスピーカモジュールの断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスピーカモジュールの断面図
【図4】本発明の一実施の形態における電子機器の要部断面図
【図5】本発明の一実施の形態における装置の断面図
【図6】従来の電子機器の要部断面図
【符号の説明】
【0040】
21 マグネット
22 上部プレート
23 ヨーク
24 磁気回路
25 磁気ギャップ
26 フレーム
27 第1の振動板
28 ボイスコイル
29 パネル
30 第2の振動板
31 密閉空間
32 太陽電池
33 電子回路
40 スピーカモジュール
40A スピーカモジュール
41 表示部
42 操作部
50 自動車
51 携帯電話
52 外装ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合された第1の振動板と、この第1の振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに嵌め込まれるボイスコイルと、前記フレームに結合されたパネルと、前記第1の振動板を結合した前記パネルで囲まれた空間と、このパネルで囲まれた空間に結合した第2の振動板とで構成される音響結合スピーカに、太陽電池を一体化したスピーカモジュール。
【請求項2】
太陽電池を第2の振動板で覆うように構成した請求項1記載のスピーカモジュール。
【請求項3】
第2の振動板を透光性材料により構成した請求項2記載のスピーカモジュール。
【請求項4】
第2の振動板を透明な材料により構成した請求項3記載のスピーカモジュール。
【請求項5】
パネルを透光性材料により構成した請求項1記載のスピーカモジュール。
【請求項6】
パネルを透明な材料により構成した請求項5記載のいずれか1つのスピーカモジュール。
【請求項7】
第2の振動板を略平面形状に形成した請求項1から請求項6記載のいずれか1つのスピーカモジュール。
【請求項8】
第2の振動板面積を第1の振動板面積より大きく構成した請求項1から請求項7記載のいずれか1つのスピーカモジュール。
【請求項9】
第2の振動板に集光作用を持たせた請求項1記載のスピーカモジュール。
【請求項10】
パネルに集光作用を持たせた請求項1または請求項9記載のスピーカモジュール。
【請求項11】
第2の振動板は略凸レンズ状に形成した請求項9記載のスピーカモジュール。
【請求項12】
パネルは略凸レンズ状に形成した請求項9記載のスピーカモジュール。
【請求項13】
請求項1から請求項12に記載のいずれか1つのスピーカモジュールに電子回路を備えたスピーカモジュール。
【請求項14】
請求項1から請求項13に記載のいずれか1つのスピーカモジュールを備えた電子機器。
【請求項15】
請求項1から請求項13に記載のいずれか1つのスピーカモジュールを備えた装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−20187(P2006−20187A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197563(P2004−197563)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】