説明

スピーカー装置

【課題】スピーカー装置用構成部材を容易に解体可能で、リサイクル性に優れたスピーカー装置を提供する。
【解決手段】複数のスピーカー装置用構成部材のうち少なくとも一組の構成部材同士は、熱膨張性を有するマイクロカプセルを接着剤中に含む接着要素によって接合されている。マイクロカプセルは、液状炭化水素と、この液状炭化水素を包むPVC(ポリ塩化ビニル)等からなるシェル(殻)とを有する。このため、このスピーカー装置のリサイクル時に、その接着要素等に加熱処理を施すことにより、マイクロカプセルが膨張(発泡)して体積が増加し、その直径が大きくなる。スピーカー装置用構成部材同士の間に隙間が形成される。よって、スピーカー装置用構成部材を接着要素から剥離させることができ、スピーカー装置用構成部材を容易に解体することができる。スピーカー装置用構成部材の単位毎に解体が可能となり、容易にリサクルすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル性に優れたスピーカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スピーカー装置は、ヨーク、マグネット及びプレートなどの磁気回路と、ボイスコイル、ボイスコイルボビン、振動板、キャップ及びフレームなどの振動系とを含む各種の構成部材によって構成される。そのようなスピーカー装置の各種の構成部材(以下、「スピーカー装置用構成部材」と呼ぶ)は、樹脂や、鉄又は銅などの金属等により形成されている。通常、スピーカー装置用構成部材同士の接合には接着剤等が用いられている。
【0003】
例えば、磁気回路に着目すると、ヨークとマグネットの接合、及びマグネットとプレートの接合には、例えば接着剤としてアクリル系2液接着剤が用いられている。一方、振動系に着目すると、ボイスコイルボビンと振動板の内周縁部(ネック部)との接合には、例えばアクリル系2液接着剤が、また、フレームとダンパー又はエッジとの接合には、例えばゴム系1液接着剤(有機溶剤揮発型接着剤)が夫々用いられている。
【0004】
また、この種の接着剤を用いて電気音響変換器を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1の製造方法では、ボイスコイルとダンパー間の接合部に紫外線硬化型の反応2液性接着剤を用いると共に、その接着剤に所定の処理を施すことで、その両者の接合の生産性の向上等が図られている。
【0005】
なお、振動板、ダンパー、ボイスコイルボビンを、接着剤を用いることなく機械的な接合手段によって接合することにより、それらの構成部品を容易に分別して廃棄することが可能なスピーカー装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−333691号公報
【特許文献2】特開2001−309490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したアクリル系2液接着剤は反応性接着剤であり、そのような接着剤を用いて被接着物同士を接合した場合、その接着剤の性質上、当該被接着物同士を容易に剥離することができない。このため、上記のスピーカー装置のように、磁気回路の構成部材同士の接合にかかる接着剤を用いた場合には、リサイクル時などに磁気回路を解体することが困難である。また、ゴム系接着剤についても同様のことが言え、上記のスピーカー装置のように、振動系の構成部材同士の接合にかかる接着剤を用いた場合には、その各構成部材を破壊することなしには、当該各構成部材を解体することは困難である。そのため、スピーカー装置用構成部材をリサイクルするのが困難となっている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、スピーカー装置用構成部材を容易に解体可能で、リサイクル性に優れたスピーカー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、スピーカー装置であって、複数のスピーカー装置用構成部材を有し、前記複数のスピーカー装置用構成部材のうち、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材同士は、熱膨張性を有する粒子を含む接着要素を用いて接合されていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の1つの観点では、スピーカー装置は、複数のスピーカー装置用構成部材を有し、前記複数のスピーカー装置用構成部材のうち、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材同士は、熱膨張性を有する粒子を含む接着要素によって接合されている。
【0011】
上記のスピーカー装置は、複数のスピーカー装置用構成部材を有している。ここで、複数のスピーカー装置用構成部材としては、例えば、振動系部材及び磁気回路系部材等が挙げられる。また、振動系部材としては、例えば、ボイスコイル、ボイスコイルボビン、フレーム、ダンパー、振動板、エッジ及びキャップなどが挙げられる。一方、磁気回路系部材としては、例えば、ヨーク、マグネット及びプレート等が挙げられる。
【0012】
特に、このスピーカー装置では、複数のスピーカー装置用構成部材のうち、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材同士は、熱膨張性を有する粒子を含む接着要素によって接合されている。好適な例では、前記粒子は、液状炭化水素と、前記液状炭化水素を包み、PVC(ポリ塩化ビニル)等からなるシェル(殻)とを有しているのが好ましい。また、前記接着要素は接着作用を有する接着剤を有し、前記接着剤には、複数個の前記粒子が混入されてなるのが好ましい。さらに、前記接着剤は、2液反応型エポキシ樹脂系接着剤、2液反応型アクリル樹脂接着剤又は湿気硬化型変性シリコン系接着剤であるのが好ましい。また、2液反応型エポキシ樹脂接着剤としては、所定の温度で剥離する性質を有する接着剤であるのが好ましい。
【0013】
したがって、このスピーカー装置のリサイクル時に、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材同士を接合している、熱膨張性を有する粒子を含む接着要素等に加熱処理を施すことにより、接着要素中の粒子が膨張(発泡)して体積が増加し、その粒子の直径が大きくなる。これにより、接着剤の被膜を部分的に膨張させることができると共に、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材同士の間に隙間が形成される。よって、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材を接着要素から剥離させることができ、当該少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材を容易に解体することができる。その結果、個々のスピーカー装置用構成部材の単位毎に解体が可能となり、また、材質(材料)別に容易にリサクルすることが可能となる。
【実施例】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0015】
[スピーカー装置の構成]
図1に、本発明の磁気回路を含むスピーカー装置100を、その中心軸L1を通る平面で切断したときの断面図を示す。
【0016】
スピーカー装置100は、図1に示すように、複数のスピーカー装置用構成部材、主として、ヨーク1、マグネット2及びプレート3を含む磁気回路30と、フレーム4、ボイスコイルボビン5、ボイスコイル6、ダンパー7、振動板8、エッジ9及びキャップ10を含む振動系31を有する。なお、本発明では、スピーカー装置の構造及び駆動方式等に特に限定はない。また、複数のスピーカー装置用構成部材は、上記の部材だけに限定されるものではない。
【0017】
まず、磁気回路30の構成について説明する。本磁気回路30は、外磁型の磁気回路として構成され、ヨーク1等の複数の磁気回路系部材を有している。
【0018】
ヨーク1は鉄などの金属材料より形成され、その表面には、例えば亜鉛メッキなどの被膜が形成されている。ヨーク1は、略円柱状の形状をなすポール部1aと、そのポール部1aの外周壁の下端部から外側に延在するように形成されたフランジ部1bとを有する。
【0019】
マグネット2は、略環状の形状をなし、例えばフェライト磁石やネオジウム磁石等により形成されている。マグネット2は、接着要素40(図2(a)を参照)を介して、ヨーク1のフランジ部1b上の適切な位置に取り付けられている。
【0020】
プレート3は、例えばヨーク1と同一の材料により形成され、後述する接着要素40を介して、マグネット2上に取り付けられている。
【0021】
以上の構成を有する磁気回路30では、プレート3の内周壁とヨーク1の要素であるポール部1aの外周壁との間に磁気ギャップ20が形成されている。
【0022】
次に、振動系31の構成について説明する。振動系31は、フレーム4等の複数の振動系部材を有している。
【0023】
フレーム4は、略杯状の形状を有し、複数のスピーカー装置用構成部材を支持する機能を有する。フレーム4は、例えばABS−PBT(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン−ポリブチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)などの樹脂材料、或いは鉄やアルミニウムなどの金属材料等により形成されている。なお、フレーム4が鉄などの金属材料により形成される場合、その表面には、例えば亜鉛メッキなどの被膜や塗装被膜などが形成されているのが好ましい。フレーム4は、階段状の断面形状をなし、第1段部4aと、当該第1段部4aの上側に且つ外側に設けられた第2段部4bと、当該第2段部4bの上側に且つ外側に設けられた第3段部4cとを有している。フレーム4の第1段部4aは、接着要素40を介して、プレート3上に取り付けられている。
【0024】
ボイスコイルボビン5は、略円筒状の形状をなし、例えば、アルミニウム、チタン、ポリイミド樹脂(PI)、紙、又は樹脂含浸クロス等の材料により形成されている。ボイスコイルボビン5は、その下端部がヨーク1のポール部1aの上端部付近を覆う位置に配置されている。このため、ボイスコイルボビン5の内周壁の下端部付近は、ポール部1aの外周壁の上端部付近と対向している一方、ボイスコイルボビン5の外周壁の下端部付近は、プレート3の内周壁及びマグネット2の内周壁の一部と夫々対向している。
【0025】
ボイスコイル6は、例えば銅線により形成され、その表面には樹脂材料による被膜が形成されてなる。ボイスコイル6は、1つの配線からなり、図示しないプラス及びマイナスのリード線を夫々有している。プラス側のリード線はL(又はR)チャンネル信号の入力配線であり、マイナス側のリード線はグランド(GND:接地)信号の入力配線である。ボイスコイル6は、ボイスコイルボビン5の外周壁の下端部付近に巻かれている。そして、ボイスコイル6のプラス及びマイナスのリード線は、それぞれボイスコイルボビン5の外周壁に沿って振動板8の前面側の所定位置まで引き出され、後述する接着要素40を介して、振動板8の前面側に固定されている。また、プラス及びマイナスの各リード線は、振動板8の所定位置において、図示しないプラス及びマイナスの各錦糸線と電気的に接続されている。また、プラス及びマイナスの各錦糸線は、それぞれフレーム4の適当な位置に設けられた図示しない端子部に接続されている。また、端子部は、図示しないアンプ側の出力配線にも接続されている。これにより、ボイスコイル6には、端子部、プラス及びマイナスの各錦糸線、プラス及びマイナスの各リード線を介してアンプ側から1チャンネル分の信号や電力が入力される。
【0026】
ダンパー7は、略環状の形状をなし、ボイスコイルボビン5等を弾性的に支持する波状の弾性部を含んで構成される。ダンパー7の内周縁部は、接着要素40を介して、ボイスコイルボビン5の外周壁の上端部付近に取り付けられている一方、ダンパー7の外周縁部は、接着要素40を介して、フレーム4の第2段部4b上に取り付けられている。
【0027】
振動板8は、入力信号に応じた音波を放射する機能を有し、例えば、PP(ポリプロピレン)などの樹脂材料、紙、ケブラー、又はガラスクロスなどの材料により形成されている。振動板8の内周縁部、いわゆるネック部は、接着要素40を介して、ボイスコイルボビン5の外周壁の上端部に取り付けられている。また、振動板8の内周部は、接着要素40を介してダンパー7の内周部と接合されている。
【0028】
エッジ9は、略Ω状の断面形状を有し、例えば、ゴム、ウレタン、又は布などの材料により形成されている。エッジ9の内周縁部は、接着要素40を介して、振動板8の外周縁部に取り付けられている一方、エッジ9の外周縁部は、接着要素40を介して、フレーム4の第3段部4c上に取り付けられている。なお、この例では、振動板8とエッジ9とは別体にて形成されているが、これに限らず、振動板8とエッジ9は一体的に形成されていても構わない。
【0029】
キャップ10は、略半球状の形状をなし、例えばPP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂材料、又は紙などの材料により形成されている。キャップ10の終端部は、接着要素40を介して、振動板8の前面側の内周部付近に取り付けられている。このため、キャップ10は、水分や異物などが磁気回路30側に侵入するのを防止する役割を果たす。
【0030】
以上の構成を有するスピーカー装置100において、アンプ側から出力された信号及び電力は、端子部、プラス及びマイナスの各錦糸線、ボイスコイル6のプラス及びマイナスの各リード線を介してボイスコイル6へ供給される。これにより、磁気ギャップ20内でボイスコイル6に駆動力が発生し、振動板8をスピーカー装置100の中心軸L1方向に振動させる。こうして、スピーカー装置100は、矢印Y1の方向に音波を放射する。
【0031】
(スピーカー装置用構成部材の接合構造)
次に、図2及び図3等を参照して、本発明の実施例に係るスピーカー装置用構成部材の接合構造等について説明する。
【0032】
図2(a)は、スピーカー装置用構成部材同士を接合する機能を有する接着要素40の構成を示す断面図である。図2(b)は、その接着要素40の構成の一部をなす、熱膨張性を有する粒子42(以下、「マイクロカプセル42」とも称する)の構成を示す断面図である。
【0033】
本実施例に係るスピーカー装置100では、複数のスピーカー装置用構成部材同士の接合に、一般的な接着剤と比較して特殊な性質を有する接着要素40を用いている点に特徴を有する。
【0034】
まず、その接着要素40の詳細な構成について述べる。
【0035】
この接着要素40は、図2(a)に示すように、接着作用を有する接着剤41と、その接着剤41中に複数含まれるマイクロカプセル42とを有して構成される。
【0036】
本実施例において、接着剤41は、2液反応型エポキシ樹脂系接着剤、2液反応型アクリル樹脂系接着剤、又は湿気硬化型変性シリコン系接着剤などを適用することができる。2液反応型エポキシ樹脂系接着剤としては、例えば、エピコート828(「エピコート」はジャパンエポキシレジン(株)の登録商標)や、エポメートB002(「エポメート」はジャパンエポキシレジン(株)の登録商標)を適用することができる。
【0037】
マイクロカプセル42は、低沸点の液状炭化水素42aをインサイト重合法等により、PVC(ポリ塩化ビニル)などのシェル(殻)42bで包みマイクロカプセル化した粒子であると共に、数μm〜数十μmの直径を有する熱膨張性の粒子である。例えば、本実施例では、このようなマイクロカプセル42として、松本油脂製薬(株)製のマイクロスフェアーF(商品名)を用いることができる。マイクロカプセル42は、次のような性質を有する。即ち、マイクロカプセル42は、加熱されることにより、その内部圧力が上昇すると共にシェル42bが軟化するため膨張を始め、更なる温度上昇に伴って、マイクロカプセル42の体積が増加して最終的に破裂する、という性質を有する。なお、マイクロカプセル42は、高温発泡タイプや耐熱タイプなどの種類が存在し、その種類に応じて、膨張開始温度や体積増加率(発泡倍率)などの性質が異なっている。
【0038】
上述のように、本実施例において、接着剤41として、2液反応型エポキシ樹脂系接着剤、例えばエピコート828又はエポメートB002を適用すると共に、マイクロカプセル42として、マイクロスフェアーF70(松本油脂製薬(株)製)を適用し、また、マイクロカプセル42の含有率を40重量%にした場合、接着要素40の体積増加率は300%となり、また、マイクロカプセル42の含有率を50重量%にした場合、接着要素40の体積増加率は400%となる。また、この場合、接着要素40の膨張開始温度は約80℃であると共に、当該接着要素40の体積増加の飽和温度は約110℃である。なお、上記の場合、接着要素40の膨張開始温度が約80℃と低い。このため、スピーカー装置100へ適用する場合、好適な例では、接着剤41として所定の温度で剥離する性質を有する2液反応型エポキシ樹脂接着剤を適用するのが好ましく、その接着剤の一例として、約150〜170℃で剥離可能な、化研テック(株)製のCT−1686M(主剤)及びCT−1686H(硬化剤)を適用するのが好ましい。
【0039】
次に、この特殊な性質を有する接着要素40の適用対象となるスピーカー装置用構成部材について述べる。
【0040】
本実施例において、この接着要素40は、複数のスピーカー装置用構成部材同士の接合、具体的には、上述したように、ヨーク1のフランジ部1bとマグネット2の接合、マグネット2とプレート3の接合、フレーム4の第1段部4aとプレート3の接合、ダンパー7の内周縁部とボイスコイルボビン5との接合、ダンパー7の外周縁部とフレーム4の第2段部4bとの接合、振動板8のネック部とボイスコイルボビン5との接合、振動板8の内周部とダンパー7の内周部との接合、振動板8の外周縁部とエッジ9の内周縁部との接合、エッジ9の外周縁部とフレーム4の第3段部4cとの接合、振動板8へのボイスコイル6のプラス及びマイナスの各リード線の固定(接合)、及びキャップ10の終端部と振動板8の内周部との接合などに用いられる。なお、これに限らず、本発明では、この接着要素40は、スピーカー装置等の仕様/用途に応じて、複数のスピーカー装置用構成部材のうち、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材同士の接合に用いるようにしても構わない。
【0041】
このように、本実施例に係るスピーカー装置100では、複数のスピーカー装置用構成部材同士の接合に、一般的な接着剤と比較して特殊な性質を有する接着要素40を用いているので、当該スピーカー装置用構成部材同士の解体を容易に行えるなどの利点を有している。
【0042】
この点について、図3を参照して説明する。図3(a)は、図1における破線領域E1付近を拡大して示す部分断面図であり、特にマイクロカプセル42が未だ発泡していない状態を示している。図3(b)は、図3(a)に対応する断面図であり、スピーカー装置用構成部材の解体方法を説明する図である。
【0043】
図3(a)には、この接着要素40を用いた一組のスピーカー装置用構成部材同士の接合状態の一例、具体的にはヨーク1のフランジ部1bとマグネット2の接合状態が示されている。即ち、ヨーク1のフランジ部1b上には、接着剤41中に直径d1を有するマイクロカプセル42を複数含んで構成される接着要素40を介してマグネット2が取り付けられている。なお、かかる状態において、接着要素40の接着剤41は硬化している。そして、図3(a)に示すように、フランジ部1bの上面1baからマグネット2の下面2aまでの距離は、マイクロカプセル42の直径と同じd1に設定されている。
【0044】
次に、その状態からヨーク1とマグネット2を解体するには、接着要素40等を加熱してマイクロカプセル42を発泡させ、接着剤41の被膜を膨張させることにより行う。
【0045】
具体的には、その状態からヨーク1、マグネット2及び接着要素40等に加熱処理を施す。これにより、接着要素40中のマイクロカプセル42は、図3(b)に示すように、膨張(発泡)して体積が増加し、当該マイクロカプセル42の直径はd2(>d1)になる。これにより、フランジ部1bとマグネット2は、それぞれ距離が離れる方向(図中矢印方向)に移動し、フランジ部1bの上面1bからマグネット2の下面2aまでの距離がd2となる。そのため、接着剤41の被膜を部分的に膨張させることができると共に、フランジ部1bとマグネット2の間に複数の隙間50が形成される。これにより、ヨーク1のフランジ部1bとマグネット2とを接着剤41から剥離させることができ、それらを容易に解体することができる。なお、ここでは、マグネット2とヨーク1の接合状態及びそれらの解体方法について述べたが、本実施例では、他のスピーカー装置用構成部材同士の接合にも当該接着要素40を用いて接合しているので、それらを上記同様の方法により解体することができる。その結果、個々のスピーカー装置用構成部材の単位毎に解体が可能となり、また、材質(材料)別に容易にリサクルすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例に係るスピーカー装置の断面図を示す。
【図2】本実施例に係る接着要素の構成を示す断面図である。
【図3】スピーカー装置用構成部材の接合状態等を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 ヨーク
1b フランジ部
2 マグネット
40 接着要素
41 接着剤
42 マイクロカプセル
42a 液状炭化水素
42b シェル
100 スピーカー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカー装置用構成部材を有し、
前記複数のスピーカー装置用構成部材のうち、少なくとも一組のスピーカー装置用構成部材同士は、熱膨張性を有する粒子を含む接着要素によって接合されていることを特徴とするスピーカー装置。
【請求項2】
前記粒子は、液状炭化水素と、前記液状炭化水素を包むシェルとを有していることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー装置。
【請求項3】
前記接着要素は接着作用を有する接着剤を有し、
前記接着剤には、複数個の前記粒子が混入されてなることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー装置。
【請求項4】
前記接着剤は、2液反応型エポキシ樹脂系接着剤、2液反応型アクリル樹脂接着剤又は湿気硬化型変性シリコン系接着剤であることを特徴とする請求項3に記載のスピーカー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−67989(P2007−67989A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253018(P2005−253018)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000221926)東北パイオニア株式会社 (474)
【Fターム(参考)】