説明

スピーカ

【課題】 薄型化を可能とする共に、高耐入力化、再生周波数帯域の確保を実現することができるスピーカを提供する。
【解決手段】 ボイスコイル4を駆動する磁気回路2と、ボイスコイル4が取り付けられている振動板3と、磁気回路2の外側に取り付けられていると共に、振動板3に対するボイスコイル4の取り付け部分の周囲に、可動部がそれぞれ取り付けられている複数のダンパ5とを有する。また、振動板3は、ボイスコイル4の取り付け部分の周囲に円錐状のコーン部3Cを有し、コーン部3Cの先端部分にダンパ5の可動部がそれぞれ取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄型のスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
薄型化された装置にスピーカを組み込む場合、このスピーカにも薄型のものが要求される。特に、この装置が液晶パネルなどを用いた薄型テレビジョンである場合、薄型テレビジョンの厚さも必然的に薄くなる。こうした薄型の装置にスピーカを組み込む場合、特に厚みの薄いスピーカが必要である。さらに、薄型テレビジョンのような装置では、液晶パネルの両側にスピーカが配置されるために、スピーカの形状として、細長形状のものが要求される。こうした装置に用いられるスピーカとして、複数の磁気回路を有するものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−327491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のスピーカを薄型形状にする場合には、次の課題がある。従来のスピーカは、高耐入力化、再生周波数帯域の確保を実現するために、振動板を円錐形状にし、振動板の底部にボイスコイルを取り付け、ボイスコイルにダンパを取り付け、さらに、ダンパを振動板と磁気回路との間に設ける構造である。この構造、つまり、振動板と磁気回路との間にダンパを有する構造のために、液晶テレビジョンのような厚みの薄い装置に組み込むために、スピーカを薄型化することが困難である。
【0004】
また、前記の特許文献1に記載のスピーカでは、振動板が平面形状をしているので、高耐入力化および再生周波数帯域の確保をすることができない。
【0005】
本発明は、前記の課題を解決し、薄型化を可能とする共に、高耐入力化、再生周波数帯域の確保を実現することができるスピーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、ボイスコイルを駆動する磁気回路と、前記ボイスコイルが取り付けられている振動板と、前記磁気回路の外側に取り付けられていると共に、前記振動板に対する前記ボイスコイルの取り付け部分の周囲に、可動部がそれぞれ取り付けられている複数のダンパとを有することを特徴とするスピーカである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のスピーカにおいて、前記振動板は、前記ボイスコイルの取り付け部分の周囲に円錐状のコーン部を有し、前記コーン部の先端部分に前記ダンパの可動部がそれぞれ取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1つの磁気回路を有するスピーカであっても、磁気回路の外側にダンパを設け、かつ、振動板にダンパを取り付ける際に、ボイスコイルの取り付け部分の周囲にダンパの可動部をそれぞれ取り付けたので、薄型化を可能にし、しかも、十分な振幅の確保を可能にすることができる。
また、本発明によれば、ボイスコイルの取り付け部分の周囲に円錐状のコーン部を形成し、このコーン部の先端部分にダンパの可動部をそれぞれ取り付けたので、振動板の全高を高くすることができ、高耐入力化、および再生周波数帯域の確保を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態によるスピーカを示す平面図であり、図2は、図1のI−I断面を示す断面図である。また、図3は、図1のII−II断面を示す断面図であり、図4は、図1のIII−III断面を示す断面図ある。このスピーカは、フレーム1、磁気回路2、振動板3、ボイスコイル4、ダンパ5、および端子部6で構成されている。
【0009】
フレーム1は細長形状をしている。フレーム1には、トラック形状をした第1の開口1Aを有する凹部が設けられている。この凹部の底の中央には、円形をした第2の開口1Bと、第2の開口1Bを挟んで円形をした第3の開口1Cとが、フレーム1の長手方向に沿って開けられている。なお、図1の1Dはスピーカを取り付けるための取付け穴である。
【0010】
フレーム1の第2の開口1Bには、磁気回路2が取り付けられている。磁気回路2は、円柱状のヨーク2Aを備え、ヨーク2Aの周囲にマグネット2Bとプレート2Cとを備えている。つまり、ヨーク2Aのフランジ部分2Aにマグネット2Bが固定され、マグネット2Bにプレート2Cが固定されている。そして、プレート2Cがフレーム1の第2の開口1Bの周縁部分に固定されている。プレート2Cとヨーク2Aとの間には、ギャップが形成されている。
【0011】
フレーム1の第1の開口1Aには、振動板3が取り付けられている。つまり、振動板3の支持材3Aのエッジ部分が、第1の開口1Aのエッジ部分に取り付けられている。振動板3の中央部分には、円形状をした第1の取付け穴3Bが開けられている。第1の取付け穴3Bには、ボイスコイル4の円筒形状のボビン4Aが固定され、ボイスコイル4のコイル部分4Bは、磁気回路2の先に述べたギャップに挿入されている。振動板3側に位置するボビン4Aの端部は、キャップ4Cによって塞がれている。ボイスコイル4は、磁気回路2によって駆動され、振動板3を振動させる。振動板3の第1の取付け穴3Bを挟んでフレーム1の長手方向に、円錐形状をしたコーン部3Cがそれぞれ形成されている。コーン部3Cの先端に位置する部分には、円形の第2の取付け穴3Dが開けられている。本実施形態においては、振動板3の後面側に磁気回路2が配置され、かつ、振動板3が2つのコーン部3Cを持つ構造である。つまり、振動板3に円錐形状の2つのコーン部3Cを設けているので、振動板3の全高を高くしている。
【0012】
振動板3の第2の取付け穴3Dには、円板状をしたダンパ5がそれぞれ取り付けられている。ダンパ5の外側の周縁部は、フレーム1の第3の開口1Cの周縁部に固定されている。ダンパ5の中心部には、円筒状をした凸部5Aが形成されている。ダンパ5の外側の周縁部と凸部5Aとの間が、凹凸状に加工されている。ダンパ5の凸部5Aが先に述べたように振動板3の第2の取付け穴3Dに取り付けられている。本実施形態においては、磁気回路2の外側に2つのダンパ5が配置され、さらに、ダンパ5の可動部が振動板3のコーン部3Cの先端部分に固定されている構造である。つまり、ボイスコイル4のボビン4Aにダンパ5を直接取り付けない構造であり、ダンパ5は、ボイスコイル4のコーン部3Cの動きを規制することにより、ボイスコイル4のコイル部分4Bが磁気回路2のギャップに正確に位置するようにしている。
【0013】
フレーム1には、板状の折曲げ部分1Eがあり、折曲げ部分1Eには端子部6の端子6Aが取り付けられている。端子部6のリード線6Bは、端子6Aとボイスコイル4のコイル部分4Bとを電気的に接続するものであり、リード線6Bの一端が端子6Aに挿入されて接続され、他端が振動板3の凸部5Aに固定されている。そして、リード線6Bの他端には、ボイスコイル4のコイル部分4Bからのリード線が、振動板3を経て接続されている。
【0014】
本実施形態によるスピーカは前記の構成である。この構成によれば、従来のように、ボイスコイルのボビンにダンパを取り付けていないので、ダンパ5下の振動スペースを取ることが不要になり、スピーカを薄型にすることができる。
【0015】
また、この構成によれば、磁気回路2の外側に2つのダンパ5を設けているので、磁気回路2の厚み分をダンパ5が振動するスペースとして利用することができ、スピーカを薄型にすることができる。
【0016】
さらに、この構成によれば、振動板3に2つのコーン部3Cを設けて、振動板3の全高を高くすることで、形状剛性を得ることができ、高耐入力化を実現することができ、再生周波数帯域を確保することができる。
【0017】
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成は本実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるスピーカを示す平面図である。
【図2】図1のI−I断面を示す断面図である。
【図3】図1のII−II断面を示す断面図である。
【図4】図1のIII−III断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 フレーム
1A 第1の開口
1B 第2の開口
1C 第3の開口
1D 取付け穴
1E 折曲げ部分
2 磁気回路
2A ヨーク
2A フランジ部分
2B マグネット
2C プレート
3 振動板
3A 支持材
3B 第1の取付け穴
3C コーン部
3D 第2の取付け穴
4 ボイスコイル
4A ボビン
4B コイル部分
4C キャップ
5 ダンパ
5A 凸部
6 端子部
6A 端子
6B リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイル(4)を駆動する磁気回路(2)と、
前記ボイスコイル(4)が取り付けられている振動板(3)と、
前記磁気回路(2)の外側に取り付けられていると共に、前記振動板(3)に対する前記ボイスコイル(4)の取り付け部分の周囲に、可動部がそれぞれ取り付けられている複数のダンパ(5)と、
を有することを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
前記振動板(3)は、前記ボイスコイル(4)の取り付け部分の周囲に円錐状のコーン部(3C)を有し、
前記コーン部(3C)の先端部分に前記ダンパ(5)の可動部がそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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