説明

スフィンゴシン1−リン酸受容体のモジュレーターとしての1,3,4−チアジアゾリル誘導体のヘミフマル酸塩

本発明は、化合物(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノールヘミフマレート、その製造方法、それらを含有する医薬組成物、およびS1P1受容体により媒介される症状または障害の処置におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、薬理活性を有する新規チアジアゾール誘導体、その製造方法、それを含有する医薬組成物、および種々の障害の処置におけるその使用に関する。
【0002】
背景技術
スフィンゴシン1−リン酸(S1P)は、スフィンゴシンキナーゼによるスフィンゴシンのリン酸化によって形成される生理活性脂質メディエーターであり、血中に高レベルで見られる。それは、血小板およびマスト細胞などの造血系起源のものを含む多くの細胞種によって産生および分泌される(Okamoto et al 1998 J Biol Chem 273(42):27104; Sanchez and Hla 2004, J Cell Biochem 92:913)。それは細胞増殖、分化、運動、血管新生、ならびに炎症細胞および血小板の活性化の調節を含む広範な生物学的作用を有する(Pyne and Pyne 2000, Biochem J. 349: 385)。受容体のGタンパク質共役型内皮分化遺伝子ファミリーの一部を形成するS1P反応性受容体の5つのサブタイプ、S1P1(Edg−1)、S1P2(Edg−5)、S1P3(Edg−3)、S1P4(Edg−6)、およびS1P5(Edg−8)が記載されている(Chun et al 2002 Pharmacological Reviews 54:265, Sanchez and Hla 2004 J Cellular Biochemistry, 92:913)。これらの5つの受容体は示差的mRNA発現を示し、S1P1〜3は広く発現され、S1P4はリンパ系組織および造血系組織で発現され、S1P5は主として脳で、また、程度は低いが脾臓で発現される。それらは、異なるサブセットのGタンパク質によってシグナルを伝達し、様々な生物学的応答を促進する(Kluk and Hla 2002 Biochem et Biophysica Acta 1582:72, Sanchez and Hla 2004, J Cellular Biochem 92:913)。
【0003】
提案されるS1P1受容体の役割としては、リンパ球輸送、サイトカイン誘導/抑制、および内皮細胞に対する作用が挙げられる(Rosen and Goetzl 2005 Nat Rev Immunol. 5:560)。S1P1受容体のアゴニストは、誘導された疾患の重篤度を軽減するために、MSの実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルを包む多数の自己免疫性および移植動物モデルで用いられている(Brinkman et al 2003 JBC 277:21453; Fujino et al 2003 J Pharmacol Exp Ther 305:70; Webb et al 2004 J Neuroimmunol 153:108; Rausch et al 2004 J Magn Reson Imaging 20:16)。この活性は、リンパ系を介するリンパ球循環に対するS1P1アゴニストの作用により媒介されることが報告される。S1P1アゴニストによる処置の結果、リンパ節などの二次リンパ器官内へのリンパ球の隔離が起こり、動物モデルにおいて可逆性末梢リンパ球減少症を誘発する(Chiba et al 1998, J Immunology 160:5037, Forrest et al 2004 J Pharmacol Exp Ther 309:758; Sanna et al 2004 JBC 279:13839)。アゴニストについて公表されているデータは、化合物処置がインターナリゼーションによる細胞表面からのS1P1受容体の消失を誘導することを示唆しており(Graler and Goetzl 2004 FASEB J 18:551; Matloubian et al 2004 Nature 427:355; Jo et al 2005 Chem Biol 12:703)、リンパ節から血中へ戻るT細胞の移動の軽減に寄与するには、この免疫細胞上のS1P1の減少である。
【0004】
S1P1遺伝子の欠失は胚致死を引き起こす。リンパ球移動および輸送におけるS1P1受容体の役割を調べる実験は、標識S1P1欠損T細胞の、照射された野生型マウスへの養子移入を含んでいた。これらの細胞は二次リンパ器官からの放出の低下を示した(Matloubian et al 2004 Nature 427:355)。
【0005】
S1P1はまた、内皮細胞間結合調節における役割が記載されている(Allende et al 2003 102:3665, Blood Singelton et al 2005 FASEB J 19:1646)。この内皮作用に関して、S1P1アゴニストは、免疫障害の調節における役割に寄与している可能性がある単離リンパ節に対する作用を有することが報告されている。S1P1アゴニストは、リンパ節のドレナージを行い、リンパ球放出を防ぐリンパ洞の内皮間質「ゲート」の閉鎖を引き起こした(Wei wt al 2005, Nat. Immunology 6:1228)。
【0006】
免疫抑制化合物FTY720(JP11080026−A)は、動物およびヒトにおいて循環リンパ球を減少させること、免疫障害動物モデルにおいて疾患調節活性を有すること、および再発性緩解型多発性硬化症において緩解率を低下させることが示されている(Brinkman et al 2002 JBC 277:21453, Mandala et al 2002 Science 296:346, Fujino et al 2003 J Pharmacology and Experimental Therapeutics 305:45658, Brinkman et al 2004 American J Transplantation 4:1019, Webb et al 2004 J Neuroimmunology 153:108, Morris et al 2005 EurJ Immunol 35:3570, Chiba 2005 Pharmacology and Therapeutics 108:308, Kahan et al 2003, Transplantation 76:1079, Kappos et al 2006 New Eng J Medicine 335:1124)。この化合物は、スフィンゴシンキナーゼによりin vivoでリン酸化されてS1P1、S1P3、S1P4、およびS1P5受容体においてアゴニスト活性を有する分子をもたらすプロドラッグである。臨床研究においては、FTY720による処置が処置24時間で徐脈をもたらすことを実証している(Kappos et al 2006 New Eng J Medicine 335:1124)。この徐脈は、多数の細胞および動物実験に基づけば、S1P3受容体での促進作用によるものと考えられる。これらは、野生型マウスとは異なってFTY720投与後の徐脈を示さないS1P3ノックアウト動物の使用およびS1P1選択的化合物の使用を含む(Hale et al 2004 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 14:3501, Sanna et al 2004 JBC 279:13839, Koyrakh et al 2005 American J Transplantation 5:529)。
【0007】
したがって、低い徐脈誘導傾向を示すと思われる、S1P3を超える選択性を有するS1P1受容体アゴニスト化合物が求められている。
【0008】
以下の特許出願:WO04/024673号公報、WO04/096752号公報、WO02/18395号公報、WO03/061567号公報、WO02/064616号公報、WO04/010949号公報、米国特許第7,064,217号公報、およびWO05/041899号公報には、S1P1アゴニストとして有用な化合物が記載されている。
【0009】
国際特許出願PCT/US2007/017282号公報(WO08/016692号公報)には、(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノールおよびその薬学上許容される塩を含む、S1P1受容体のアゴニストとしてのチアジアゾール誘導体が記載されている。
【発明の概要】
【0010】
今般、(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノールの新規な塩は、S1P1受容体により媒介される障害の処置に用い得ることが見出された。
【0011】
本発明は、(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノールヘミフマル酸塩を提供する。
【発明の具体的説明】
【0012】
ヘミフマル酸塩の一つの利点は、安定な結晶形が確立しやすいことである。本発明はその範囲に化学量論的水和物または溶媒和物ならびに種々の量の水および/または溶媒を含む化合物を含む。
【0013】
本発明の範囲にはまた、本発明の化合物のあらゆる溶媒和物、水和物、多型、プロドラッグが含まれる。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノール(PCT/US2007/017282に記載されているものを含む常法により製造)をフマル酸で処理することにより製造され得る、本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、以下の本発明の化合物の製造方法を提供する。
【化1】

【0016】
S1P1受容体に対する本発明の化合物の有効性および効力は、本明細書に記載されているようなヒトクローニング受容体に対して行われるGTPγSアッセイにより測定することができる。本発明の化合物は、本明細書に記載されているような機能分析により、S1P1受容体においてアゴニスト活性を有する。
【0017】
従って、本発明の化合物はS1P1受容体により媒介される症状または障害の処置に用いられる。特に、本発明の化合物は、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症性障害、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡、乾癬、虚血再灌流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成関連疾患、血管病、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性およびインスリン非依存性糖尿病(本明細書では以下「本発明の障害」と呼ぶ)の処置に用いられる。
【0018】
よって、本発明の化合物は紅斑性狼瘡の処置に用いられる。
【0019】
よって、本発明の化合物は乾癬の処置に用いられる。
【0020】
よって、本発明の化合物は多発性硬化症の処置に用いられる。
【0021】
本明細書において「処置」とは、予防および確立された症状の軽減を含むものと理解すべきである。
【0022】
このように、本発明はまた、特にS1P1受容体により媒介される症状または障害の処置において治療物質として用いるための本発明の化合物を提供する。特に、本発明は、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症性障害、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡、乾癬、虚血再灌流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成関連疾患、血管病、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性およびインスリン非依存性糖尿病の処置において治療薬として用いるための本発明の化合物を提供する。
【0023】
よって、本発明の化合物は紅斑性狼瘡の処置において治療物質として用いられる。
【0024】
よって、本発明の化合物は乾癬の処置において治療物質として用いられる。
【0025】
よって、本発明の化合物は多発性硬化症の処置において治療物質として用いられる。
【0026】
別の態様においては、本発明は、S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置において用いるための薬剤の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0027】
本発明の化合物は紅斑性狼瘡の処置において用いるための薬剤の製造に用いられる。
【0028】
本発明の化合物は乾癬の処置において用いるための薬剤の製造に用いられる。
【0029】
本発明の化合物は多発性硬化症の処置において用いるための薬剤の製造に用いられる。
【0030】
本発明はさらに、ヒトを含む哺乳類においてS1P1受容体におり媒介され得る症状または障害を処置する方法であって、罹患者に治療上安全かつ有効な量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0031】
本発明は、罹患者に治療上安全かつ有効な量の本発明の化合物を投与することを含んでなる、紅斑性狼瘡の処置方法を提供する。
【0032】
本発明は、罹患者に治療上安全かつ有効な量の本発明の化合物を投与することを含んでなる、乾癬の処置方法を提供する。
【0033】
本発明は、罹患者に治療上安全かつ有効な量の本発明の化合物を投与することを含んでなる、多発性硬化症の処置方法を提供する。
【0034】
その本発明の化合物を治療に使用するためには、通常、それを標準的な薬務に従って医薬組成物に処方する。本発明はまた、本発明の化合物と薬学上許容される担体または賦形剤を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0035】
さらなる態様では、本発明は医薬組成物を製造する方法を提供し、その方法は本発明の化合物と、薬学上許容される担体または賦形剤とを混合することを含んでなる。
【0036】
好適には周囲温度および大気圧下での混合により製造され得る本発明の医薬組成物は、通常、経口、非経口、または直腸投与に適しており、それ自体、錠剤、カプセル剤、経口液体製剤、粉末、顆粒、トローチ剤、再構成可能な粉末、注射もしくは注入用溶液、もしくは懸濁液、または坐剤の形態であり得る。経口投与可能な組成物が一般に好ましい。
【0037】
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は単位投与形であってよく、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増量剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素ナトリウム)、錠剤化用滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸ナトリウムデンプン)、および許容される湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの慣用の賦形剤を含み得る。錠剤は通常の薬務で周知の方法に従ってコーティングしてもよい。
【0038】
経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、液体、エマルション、シロップまたはエリキシル剤の形態であり得るか、または、使用前に水または他の好適なビヒクルで再構成するための乾燥製品の形態であり得る。このような液体製剤は、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアガム)、非水性ビヒクル(食用油、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは精留植物油を含み得る)、保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルまたはソルビン酸)、および所望により、慣用の香味剤または着色剤、必要に応じて緩衝塩および甘味剤などの慣用の添加剤を含み得る。経口投与用製剤は、有効化合物の制御放出を与えるように適宜処方してもよい。
【0039】
非経口投与用としては、流動性単位投与形を、本発明の化合物またはその薬学上許容される塩および無菌ビヒクルを用いて製造する。注射用製剤は、本発明の化合物またはその薬学上許容される誘導体および無菌ビヒクルを用い、所望により保存剤を添加して、例えばアンプル中に単位投与形で、または多用量で提供することができる。該組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションなどの形態をとってよく、沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤などの処方剤を含み得る。あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末であってもよい。該化合物は、ビヒクルおよび使用濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁または溶解させることができる。溶液の作製において、該化合物は注射用に溶解させ、濾過除菌した後、好適なバイアルまたはアンプルに充填し、密閉することができる。有利には、局所麻酔薬、保存剤および緩衝剤などのアジュバントをそのビヒクルに溶解させる。安定性を高めるために、該組成物をバイアルに充填した後に冷凍し、真空下で水分を除去することもできる。非経口懸濁液は、該化合物をビヒクルに溶解させるのではなく懸濁させることおよび滅菌が濾過によって行うことができないこと以外は実質的に同様の方法で作製される。該化合物は、無菌ビヒクルに懸濁させる前に酸化エチレンに曝すことにより滅菌することができる。有利には、化合物の均一な分布を促進するために組成物に界面活性剤または湿潤剤を含ませる。
【0040】
ローション剤は、水性または油性基剤を用いて処方してもよく、一般に、1種類以上の乳化剤、安定剤、分散剤、沈殿防止剤、増粘剤、または着色剤も含有する。滴剤は、水性または非水性基剤を用いて処方することができ、1種類以上の分散剤、安定剤、可溶化剤、または沈殿防止剤も含む。それらは保存剤を含んでもよい。
【0041】
本発明の化合物はまた、例えばカカオ脂または他のグリセリドなどの慣用の坐剤基剤を含有する、坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物として処方してもよい。
【0042】
本発明の化合物はまた、デポー製剤として処方してもよい。このような長期作用処方物は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉注射によって投与され得る。従って、例えば、本発明の化合物は、好適な高分子または疎水性物質(例えば、許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体、例えば、難溶性塩として処方してもよい。
【0043】
鼻腔内投与用としては、本発明の化合物は、好適な定量型または単一用量デバイスによる投与のための溶液として、あるいはまた、好適な送達デバイスを使用する投与に好適な担体との粉末混合物として処方することができる。従って、本発明の化合物は、経口投与、頬側投与、非経口投与、局所投与(眼内投与および鼻腔内投与を含む)、デポー投与、または直腸投与用として、または吸入または吹送(口または鼻のいずれかを介する)による投与に好適な液体で処方することができる。
【0044】
本発明の化合物は、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、ペッサリー剤、エアゾール剤、または滴剤(例えば、点眼剤、点耳剤または点鼻剤)の形態で局所投与用に処方することができる。軟膏およびクリーム剤は、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤の添加を伴って水性または油性基剤を用いて処方することができる。眼への投与のための軟膏剤、滅菌成分を用いて無菌的に製造することができる。
【0045】
該組成物は、投与方法に応じて、0.1〜99重量%、好ましくは10〜60重量%の有効物質を含有することができる。上記障害の処置に用いられる化合物の用量は、通常、障害の重篤度、罹患者の体重、および他の同様の因子によって異なる。しかしながら、一般的な指針として好適な単位用量は0.05〜1000mg、1.0〜500mg、または1.0〜200mgであり得、このような単位用量は1日1回より多く、例えば、1日2回または3回投与することができる。
【0046】
本発明の化合物は組合せ製剤で使用可能である。例えば、本発明の化合物は、シクロスポリンA、メトトレキサート、ステロイド類、ラパマイシン、炎症性サイトカイン阻害剤、生物製品を含む免疫調節剤またはその他の治療上有効な化合と併用することができる。
【0047】
限定されるものではないが、本明細書に引用した特許および特許出願を含む全ての刊行物は、完全に本明細書の開示の一部として個々の刊行物が具体的かつ個々に示されるかのように引用することにより本明細書の開示の範囲とされる。
【実施例】
【0048】
以下の説明および実施例は本発明の化合物の製造を示す。
略号:
g − グラム
mg − ミリグラム
kg − キログラム
ml − ミリリットル
L− リットル
RT − 室温
℃ − セ氏度
sat. − 飽和
NaHMDS− ナトリウムビス(トリメチルジシリル)アミド
TBME− terf−ブチルジメチルエーテル
HCl− 塩酸
MeTHF− 2−メチルテトラヒドロフラン
THF − テトラヒドロフラン
NaHCO− 重炭酸ナトリウム
CDI − 1,1’カルボニルジイミダゾール
conc. − 濃
【0049】
一般化学セクション
実施例の製造のための中間体は必ずしも記載された特定のバッチから製造されたものでなくてもよい。
【0050】
説明1
4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)安息香酸(D1)
【化2】

THF中、NaHMDSの1.5M溶液(9容量、2.8当量)をTHF(4.5容量)で希釈し、n−オクタノール(1.52容量、2当量)を添加し、55〜60℃まで加熱する。THF(2容量)中、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸(1重量、1当量)の溶液を添加し、さらなるTHF(1容量)で洗浄する。この反応混合物を57±3℃で、HPLCにより完了と思われるまで(およそ24時間、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸残留面積<4%)攪拌する。次に、この反応物を20〜25℃まで冷却し、真空蒸留により水(10容量)と溶媒交換を行い(およそ15容量の蒸留物を除去)、黄褐色のスラリーを得、これをTBME(10容量)に抽出する。有機層に水(10容量)を添加し、生成物を水層に抽出する。水層をTBME(4×5容量)で洗浄した後、5N HCl(3容量)で酸性化し、TBME(2×5容量)に抽出する。合わせた有機抽出液を水(3×5容量)および15%ブライン溶液(4容量)で洗浄した後、硫酸マグネシウム(0.2重量)で乾燥させ、濾過し、さらなるTBME(2容量)で洗浄する。揮発性成分を真空下で除去し、D1の黄褐色固体を得る(1.02kg、96%th.、146重量%)。
【0051】
説明1(別法)
4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)安息香酸(D1)
THF中、1M NaHMDSの溶液(13.5容量、2.8当量)に1−オクタノール(1.52容量、2.0当量)を添加し、55〜60℃まで温める。THF(2容量)中、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸(1重量、1当量)の溶液を添加し、さらなるTHF(1容量)で洗浄する。この反応混合物を55〜60℃で、HPLCにより完全と思われるまで(およそ24時間、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸残留面積<4)攪拌する。次に、この反応物を蒸留により水(10容量)と溶媒交換を行い(およそ15容量の蒸留物を除去)、黄褐色のスラリーを得、これをTBME(10容量)に抽出する。有機層に水(10容量)を添加し、生成物を水層に抽出する。水層をTBME(4×5容量)で洗浄した後、5N HCl(3容量)で酸性化し、TBME(2×5容量)に抽出する。合わせた有機抽出液を水(3×5容量)および15%ブライン溶液(4容量)で洗浄した後、硫酸マグネシウム(0.2重量)で乾燥させ、濾過し、さらなるTBME(2容量)で洗浄する。揮発性成分を真空下で除去し、D1の黄褐色固体を得る(1.02kg、96%th.、146重量%)。
あるいは、この生成物を2−Me THF(5容量)に抽出し、水(3×5容量)で洗浄し、吸着脱着蒸留(put-and-take distillation)により2−Me THF(およそ3×5容量)とともに乾燥させ(azeodried)、そのまま次の工程に用いられるD1の乾燥2−Me THF溶液を得ることができる。
【0052】
説明2
4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド(D2)
D1(1重量、1当量)を2−Me THF(4容量)に溶解させ、CDI(0.66重量、1.3当量)を添加し、2−Me THF(1容量)ですすぐ。この混合物を25±5℃で、HPLCにより活性化が完全と思われるまで(およそ15分、a/a D1残留≦2%)攪拌する。次に、この溶液を2−Me THF(2容量)中のヒドラジン水和物(35%溶液、0.58容量、2当量)にゆっくり加え、さらなる2−MeTHF(1容量)ですすぐ。得られた反応混合物を25±5℃で、HPLCにより反応が完全と思われるまで(およそ30分、a/a活性化中間体残留<2%)攪拌する。この反応物を1M HCl(2×5容量)および15重量%炭酸カリウム水溶液(4容量)で連続的に洗浄した後、硫酸マグネシウム(0.5重量)で乾燥させ、濾過し、さらなる2−Me THF(2容量)で洗浄する。揮発性成分を真空下で除去し、D2の黄褐色固体を得る(1.07kg、101%th.残留溶媒に関して補正)。
【0053】
説明2(別法)
4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド(D2)
D1(1重量、1当量)を2−Me THF(4容量)に溶解させ、CDI(0.66重量、1.3当量)を添加し、2−Me THF(1容量)ですすぐ。この混合物を25±5℃で、HPLCにより活性化が完全と思われるまで(およそ15分、a/a D1残留≦2%)攪拌する。次に、この溶液を2−Me THF(2容量)中のヒドラジン水和物(2当量)にゆっくり加え、さらなる2−MeTHF(1容量)ですすぐ。得られた反応混合物を25±5℃で、HPLCにより反応が完全と思われるまで(およそ30分、a/a活性化中間体残留<2%)攪拌する。この反応物を1M HCl(2×5容量)および15重量%炭酸カリウム水溶液(4容量)で連続的に洗浄した後、硫酸マグネシウム(0.5重量)で乾燥させ、濾過し、さらなる2−Me THF(2容量)で洗浄する。揮発性成分を真空下で除去し、D2の黄褐色固体を得る(1.07kg、101%th.残留溶媒に関して補正)。
あるいは、水性洗浄の後に生成物溶液を吸着脱着蒸留により2−Me THF(およそ3×5容量)とともに乾燥させ、そのまま次の工程に用いられるD2の乾燥2−Me THF溶液を得ることができる。
【0054】
説明3Aおよび3B
(4S)−2,2,4−トリメチル−4−[(2−{[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}ヒドラジノ)カルボニル]−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D3A)
【化3】

(2R,4S)−2−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−4−[(2−{[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}ヒドラジノ)カルボニル]−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D3B)
【化4】

(4S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−2,2,4−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−カルボン酸(0.82重量、1.05当量)または(2R,4S)−2−(1,1−ジメチルエチル)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−メチル−1,3−オキサゾリジン−4−カルボン酸(0.91重量、1.05当量)を2−Me THF(2.5容量)およびCDI(0.58重量、1.2当量)を添加し、2−Me THF(0.5容量)で洗浄する。この反応物を40±5℃で加熱し、この温度でHPLCにより完全と思われるまで(およそ2時間)攪拌する。2−プロパノール(0.2容量)を添加し、反応物を40±5℃でおよそ30分間攪拌する。2−Me THF(4.5容量)中、4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド(1重量、1当量)の溶液を添加し、2−Me THF(0.5容量)で洗浄し、得られた溶液を少なくとも3時間40±5℃でHPLCにより反応が完全と思われるまで攪拌する。この混合物を20±5℃まで冷却し、1M HCl(2×3容量)、5重量%NaHCO溶液(4容量)および水(2容量)で連続的に洗浄する。有機層を2−Me THF(およそ2×5容量)の吸着脱着蒸留によりともに乾燥させ、9容量に調整し、そのまま次の工程に用いられる2−MeTHF中の乾燥D3AまたはD3B溶液(〜20重量%溶液)を得る。
【0055】
説明3Aおよび3B(別法)
(4S)−2,2,4−トリメチル−4−[(2−{[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}ヒドラジノ)カルボニル]−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D3A)
(2R,4S)−2−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−4−[(2−{[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}ヒドラジノ)カルボニル]−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D3B)
(4S)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−2,2,4−トリメチル−1,3−オキサゾリジン−4−カルボン酸(0.82重量、1.05当量)または(2R,4S)−2−(1,1−ジメチルエチル)−3−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−メチル−1,3−オキサゾリジン−カルボン酸(0.91重量、1.05当量)を2−Me THFに溶解させCDI(0.58重量、1.2当量)を添加し、2−Me THFで洗浄する。この反応物を40±5℃に加熱し、この温度でHPLCにより完全と思われるまで(およそ2時間)攪拌する。2−プロパノール(0.2容量)を添加し、この反応物を40±5℃でおよそ30分間攪拌する。2−Me THF中、4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)ベンゾヒドラジド(1重量、1当量)の溶液を添加し、2−Me THFで洗浄し、得られた溶液を40±5℃で少なくとも3時間、HPLCにより反応が完全と思われるまで攪拌する。この混合物を20±5℃まで冷却し、1M HCl(2×3容量)、5重量%NaHCO溶液(4容量)および水(2容量)で連続的に洗浄する。有機層を2−Me THF(およそ3×5容量)の吸着脱着蒸留によりともに乾燥させ、およそ9容量に調整し、そのまま次の工程に用いられる2−MeTHF中の乾燥D3AまたはD3B溶液(〜20重量%溶液)を得る。
【0056】
説明4Aおよび4B
(4S)−2,2,4−トリメチル−4−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D4A)
【化5】

(2R,4S)−2−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−4−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D4B)
【化6】

2−MeTHF中、D3AまたはD3Bの溶液にローソン試薬(1.34重量、1.1当量)を添加し、2−Me THF(0.5容量)で洗浄する。この反応物を70±5℃まで温め、この温度で少なくとも1時間、HPLCにより反応が完全と思われるまで(a/a残留D3A/D3B≦2%)加熱する。この反応物を20±5℃まで放冷し、5N NaOH(2×2.5容量)、次いで15%ブライン(2容量)で洗浄する。有機相を、吸着脱着蒸留により酢酸イソプロピルと溶媒交換し、10容量に調整し、酢酸イソプロピル中のD4AまたはD4B溶液(〜20重量%溶液)を得る。
【0057】
説明4Aおよび4B(別法)
(4S)−2,2,4−トリメチル−4−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D4A)
(2R,4S)−2−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−4−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸 1,1−ジメチルエチル(D4B)
2−MeTHF中、D3AまたはD3Bの溶液にローソン試薬(1.34重量、1.1当量)を添加し、2−Me THFで洗浄する。この反応物を70±5℃まで温め、この温度で少なくとも1時間、HPLCにより反応が完全と思われるまで(a/a残留D3A/D3B≦2%)加熱する。この反応物を20±5℃まで放冷し、5N NaOH(2×2.5容量)、次いで15%ブライン(2容量)で洗浄する。有機相を、吸着脱着蒸留により酢酸イソプロピルと溶媒交換し、およそ10容量に調整し、酢酸イソプロピル中のD4AまたはD4B溶液(〜20重量%溶液)を得る。
【0058】
説明5
(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノール(D5)
【化7】

酢酸イソプロピル中D4AまたはD4B(〜20重量%溶液)に水(1容量)および濃硫酸(0.2容量、1.2当量)を加え、この反応物を70±5℃に、HPLCにより完全と思われるまで(〜6時間)温める。水(5容量)を加え[D4Bの投入に関しては、トリメチルアセトアルデヒドを酢酸イソプロピル(5容量)の吸着脱着蒸留により除去する]、反応物を20±5℃まで冷却する。この反応物を2N NaOH(5×3容量)、次いで15%ブライン(3容量)で洗浄する。この溶液を蒸留により3容量まで濃縮し、そのまま次の工程に用いられるD5の酢酸イソプロピル溶液(〜35重量%溶液)を得る。
【0059】
説明5(別法)
(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノール(D5)
酢酸イソプロピル中のD4AまたはD4B(〜20重量%溶液)に水(1容量)および濃硫酸(0.2容量、1.2当量)を加え、この反応物を70±5℃まで、HPLCにより完全と思われるまで(〜6時間)温める。水(5容量)を加え[D4Bの投入に関しては、トリメチルアセトアルデヒドを酢酸イソプロピル(5容量)の吸着脱着蒸留により除去する]、反応物を20±5℃まで冷却する。この反応物を2N NaOH(5×3容量)、次いで15%ブライン(3容量)で洗浄する。この溶液を酢酸イソプロピルの添加により9容量に調整し、そのまま次の工程に用いられるD5の酢酸イソプロピル溶液(〜12重量%溶液)を得る。
【0060】
実施例1
(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノールヘミフマレート(E1)
【化8】

D5の酢酸イソプロピル溶液をさらなる酢酸イソプロピルで希釈し、フマル酸を添加する。この反応物を温めて[曇りのある]溶液を得、これを水で洗浄する。この溶液をさらなる酢酸イソプロピルを用いた吸着脱着蒸留によりともに乾燥させた後、≦5ミクロンフィルターで濾過することにより明澄化し、さらなる酢酸イソプロピルで洗浄する。冷却により結晶化を確立し、得られたスラリーをさらに20±5℃まで冷却する。これらの固体を濾取し、酢酸イソプロピルで洗浄した後、真空下で乾燥させ、E1の白色固体を得る。
【0061】
ある特定のバッチで、実施例1に概略を示したプロトコールを用い、酢酸イソプロピル中D5のおよそ35重量%溶液(2.89kg溶液)を酢酸イソプロピル(5.6L)で希釈し、フマル酸(0.14kg)で処理した。この混合物を70℃まで加熱し、水(3×1.6L)で洗浄し、この溶液を、さらなる酢酸イソプロピル(総量15.5L)を用い、吸着脱着蒸留により乾燥させた。この溶液を5ミクロンフィルターで明澄化し、これらのラインをさらなる酢酸イソプロピル(0.8L)を通して洗浄する。この溶液を50±5℃まで冷却したところ、この時点で結晶化が始まった。このスラリーを50±5℃で2.5時間熟成させた後、20±5℃まで放冷した。これらの固体を濾過により単離し、酢酸イソプロピル(3×2L)で洗浄し、真空下50±5℃で乾燥させ、白色固体としてE1を得る(0.64kg)。典型的な示差走査熱量測定(DSC)/熱重量分析(TGA)は〜111〜114℃での融解を示す。
【0062】
実施例1(別法)
(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノールヘミフマレート(E1)
D5の酢酸イソプロピル溶液にフマル酸を添加し、この反応物を温めて[曇りのある]溶液を得、これを水で洗浄する。この溶液をさらなる酢酸イソプロピルを用いた吸着脱着蒸留によりともに乾燥させた後、≦5ミクロンフィルターで濾過することにより明澄化し、さらなる酢酸イソプロピルで洗浄する。冷却により結晶化を確立し、得られたスラリーをさらに20±5℃まで冷却する。この溶液を蒸留により10容量まで濃縮し、60±3℃まで冷却し、標品GSK1842799Cを播種する。このスラリーをさらに20±5℃まで冷却し、固体を濾取し、酢酸イソプロピルで洗浄した後、真空下で乾燥させ、E1の白色固体を得る。
【0063】
ある特定のバッチで、実施例1に概略を示したプロトコールを用い、酢酸イソプロピル中D5のおよそ35重量%溶液(およそ76L溶液)をフマル酸(1.44kg)で処理した。この混合物を70℃まで加熱して曇りのある溶液を得た後、62±2℃まで冷却し、水(2×17L)で洗浄した。この溶液をさらなる酢酸イソプロピルを用い、吸着脱着蒸留により乾燥させ、5ミクロンフィルターで明澄化し、これらのラインをさらなる酢酸イソプロピルを通して洗浄した。この溶液をおよそ10容量まで濃縮した後、60±3℃まで冷却し、GSK1842799C結晶(8.4g)を播種した。得られたスラリーを60±3℃で1時間熟成させた後、20±5℃まで放冷した。これらの固体を濾過により単離し、酢酸イソプロピル(3×21L)で洗浄し、真空下50±5℃で乾燥させ、E1を白色固体として得た(5.1kg)。典型的な示差走査熱量測定(DSC)/熱重量分析(TGA)は〜111〜114℃での融解を示す。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.85 (3 H, t, J=6.9 Hz) 1.20 - 1.37 (8H, m) 1.37 - 1.49 (2H, m) 1.47 (3H, s) 1.70 - 1.79 (2H, m) 3.52 (1 H, d, J=10.5 Hz) 3.69 (1 H, d, J=10.5 Hz) 4.19 (2 H, t, J=6.2 Hz) 4.90 - 6.35 (3 H, bs) 6.58 (1 H, s) 7.41 (1 H, d, J=8.8 Hz) 8.11 (1 H, d, J=2.0 Hz) 8.15 (1 H, dd, J=8.7, 2.1 Hz).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(2S)−2−アミノ−2−{5−[4−(オクチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}−1−プロパノールヘミフマル酸塩。
【請求項2】
S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項3】
前記症状または障害が、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症性障害、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡、乾癬、虚血再灌流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成関連疾患、血管病、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性、およびインスリン非依存性糖尿病である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記症状が多発性硬化症である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
S1P1受容体により媒介される症状または障害の処置において用いる薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項6】
前記症状または障害が、多発性硬化症、自己免疫疾患、慢性炎症性障害、喘息、炎症性神経障害、関節炎、移植、クローン病、潰瘍性大腸炎、紅斑性狼瘡、乾癬、虚血再灌流傷害、固形腫瘍および腫瘍転移、脈管形成関連疾患、血管病、疼痛症状、急性ウイルス性疾患、炎症性腸症状、インスリン依存性、およびインスリン非依存性糖尿病である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記症状が多発性硬化症である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項9】
S1P1受容体により媒介され得るヒトを含む哺乳類における症状または障害の処置方法であって、罹患者に治療上安全かつ有効な量の式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項10】
症状が多発性硬化症である、請求項9に記載の処置方法。

【公表番号】特表2011−511029(P2011−511029A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545443(P2010−545443)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051175
【国際公開番号】WO2009/098193
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】