説明

スフレケーキの製造方法

【課題】本発明は、作業が簡単かつ製品にムラがなく、短時間に大量に焼成でき、しっとりしていながらソフトなスフレケーキの製造方法を提供する。オールミックス法に適している。
【解決手段】スフレケーキ生地100質量部中にデキストリン1〜10質量部、水分40〜50質量部を含む生地を、オーブンに設置した際に熱板とデコ型の底面との間に隙間を生させる立脚部を有するデコ型に充填して焼成することを特徴とするスフレケーキの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スフレケーキの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スフレケーキの製造法として、従来、メレンゲを使用した別立て法が採用されてきた。該方法は、薄力粉、卵製品、糖質、油脂類、膨張剤、チーズ類等の原料を混練しながら約60℃に加温して炊き上げ、とろ味のある混合物とし、別に予め卵白と糖類とを7、8分立てに調製したメレンゲを前記混合物に通常数回に分けて該メレンゲの気泡を破壊しないようにヘラで加え合わせ、これを湯煎焼き工程(例えば、天板に水を張り生地を低温かつ長時間、例えば5号丸型サイズのデコ台では生地重量200〜350g、上火160℃〜170℃、下火130〜150℃で約60分間かけて焼き上げる工程)で焼成するものである。
【0003】
このようなスフレケーキの製造法において上記諸原料の炊き上げ度合い、メレンゲの気泡状態、これらを均一になるように合わせることが重要である。メレンゲは気泡状態でこれを使用すると生地の安定性が他のケーキ生地に比べて悪くなり、使用には高度な熟練技術を要する。しかも、かかる要因の最適状態の判断手段は現在でも機器による評価が難しく、多量生産のための工程上の品質管理には適さない。さらに、スフレケーキを製造する作業にあたっては種々の手間を必要とし、前記留意点が多く複雑であるため、実際には作業者の長年の経験に依存するところが多い。
そこで、スフレケーキの工業的な製造において、生地に水中油型乳化液を混練し、オールインミックス法といわれるメレンゲを使用しない製造方法が開発されている(例えば、特許文献1)。しかし、この方法においても、しっとりしていながらソフトなスフレケーキを製造するためには湯煎焼き工程が必要であった。
【特許文献1】特開平6−253720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、作業が簡単かつ製品にムラがなく、短時間に大量に焼成でき、しっとりしていながらソフトなスフレケーキの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、スフレケーキ生地100質量部中にデキストリン1〜10質量部、水分40〜50質量部を含む生地を、オーブンに設置した際に熱板とデコ型の底面との間に隙間を生させる立脚部を有するデコ型に充填して焼成することを特徴とするスフレケーキの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、作業が簡単かつ製品にムラがなく、短時間に大量に焼成できるしっとりしていながらソフトなスフレケーキが製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、スフレケーキ生地は、オールインミックス法に用いる生地である。メレンゲを使用しなくても、スフレケーキの食感とすることができる。生地の材料は、通常のスフレケーキ生地を製造するための基本的な材料であればよく、生地100質量部中に10〜30質量部の粉類;20〜50質量部の卵製品;15〜30質量部の糖質;5〜10の油脂類;5〜50質量部のチーズ類および0.01〜0.5質量部の膨張剤からなり、さらに必要に応じて乳製品、食塩、乳化剤および保湿剤を含有させてもよい。
【0008】
本発明は、スフレケーキ生地100質量部中にデキストリンを1〜10質量部含むことを特徴とする。
デキストリンの含有量が1質量部未満の場合は、しっとり感が不足し、10質量部を超えると形状を維持することが難しくなる。より好ましくは、1.5質量部〜5質量部の範囲である。
デキストリンは、重合度が2〜8のグルコースオリゴマー、あるいは9〜100のグルコースポリマーであり、デンプンの加水分解によって製造される。そしてこのグルコースオリゴマー、あるいはグルコースポリマーは主にα−1,4結合を用いて結合されているグルコースユニットからなる。典型的なデキストリンはコムギ、コメ、トウモロコシおよびタピオカなどの様々な自然産物から得られるデンプンの加水分解によって生産される。
【0009】
デキストリンはそのまま生地に加えてもよいが、デキストリンを含む材料を使用することにより加えてもよい。デキストリンを含む材料としては水飴を使用することが、食味において適している。水飴は澱粉を酸または酵素で糖化し、濃縮して製造される材料である。酸糖化水飴は、シュウ酸で分解した、デキストリンを含む材料である。酵素糖化水飴はα―アミラーゼとβ―アミラーゼを併用して糖化した、デキストリンを含む材料である。これらの糖化液は精製して、一般に水分量を16質量%以下まで濃縮して製品として市販されている。本発明においては、デキストリンを含む材料として酸糖化水飴、酵素糖化水飴のいずれも使用できる。
デキストリンの粘度等の物性は、重合度によって影響を受ける。本発明において、スフレケーキのしっとり感を向上させるためにはデキストリン100質量部中にグルコースポリマーを10質量部以上含むデキストリンを使用することが好ましい。
食用のデキストリンは、向後スターチ株式会社、日本澱粉工業株式会社、東洋化学株式会社などより入手できる。
【0010】
本発明において、生地100質量部中に水分を40〜50質量部含むスフレケーキ生地を用いることが好ましい。40質量部未満の場合は、しっとり感、ソフトさが不足し、50質量部を越えると保型性を維持することができなくなる。この場合、ケービングを生じたり生地が落ち込み易くなる。
【0011】
本発明において、スフレケーキ生地100質量部中にクリームチーズを7〜50質量部含むものであることが好ましい。7質量部未満では、しっとり感が得られず、50質量部を越えると、焼成時に形状を維持できず表面が落ちる傾向がある。スフレケーキは、生地中にクリームチーズが含まれることが特徴である。クリームチーズは、牛乳と生クリームを乳酸醗酵で固めて水分を抜き、ややかために仕上げたチーズであり、真っ白くソフトで、軽い酸みがあり、クリーミーな口当たりをもつ。クリームチーズはチーズケーキの材料にもよく使われており、固形分中、乳脂肪分を60〜70質量部含むものである。ここで使用されるクリームチーズ以外にもマスカルポーネ、リコッタ、カッテージチーズなどのペースト状のチーズも使用できる。
【0012】
本発明において生地100質量部中に卵白10〜30質量部を含むスフレケーキ生地を用いることが好ましい。卵白を加えることによってしっとり感が向上し、10質量部未満であればしっとり感の効果がなく、30質量部を超えると保型性の維持が難しくなる。この場合、ケービングを生じ易くなる。
【0013】
スフレケーキ生地に使用する卵製品としては、全卵、卵黄、液状卵、冷凍卵、乾燥卵、加糖濃縮卵等;糖質としては砂糖、転化糖、含蜜糖、ブドウ糖、異性化糖、蜂蜜、麦芽糖、乳糖、果糖、糖アルコール等;油脂類としては大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、パーム油、やし油、カカオ脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油およびこれらの分別油脂、水素添加油脂、エステル交換油脂等の加工油脂、またショートニング、マーガリン、バター等;膨張剤としては重曹、ベーキングパウダー等を用いることができる。
さらに、牛乳、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー、脂肪酸グリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、グアーガム、トラガントガム、キサンタンガム、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、アラビアガム、各種ペースト類、ココアパウダー、チョコレート等を加えてもよい。
【0014】
かかる諸材料は、スフレケーキの製造にあたり同時に混合する公知のオールインミックス法により同時に添加してもよいが、生地を安定して仕上げるために、卵類、油脂、糖類、乳製品類を混合した後、薄力粉、ベーキングパウダーを加え、さらに混合する後粉法を用いる方が好ましい。
【0015】
生地の最終比重は、混合の最終時において0.45〜0.70にミキシングし調製するのが好ましい。ついでこの生地を適宜に成型し、直焼きしてスフレケーキを得ることができる。比重が0.45未満の場合しっとり感が不足しスポンジケーキのような食感となり、0.70以上だとソフト感が不足してバターケーキのような食感となる。
【0016】
本発明において、スフレケーキ生地はオーブンに設置し焼成する際に、熱源とデコ型の底面との間に隙間を生じさせる立脚部を有するデコ型に充填し、焼成することを特徴とする。
ここで、オーブンに設置した際に熱板とデコ型の底面との間に隙間を生じさせる立脚部を有するデコ型とは、例えば、図1の側面図に例示されるデコ型である。
図1において、デコ型2は、立脚部5を有するので、オーブンに設置した際に、オーブンの熱板1とデコ型2の底面3の間に隙間が生じる(図2を参照のこと。)。通常、デコ型はオーブンの熱板1上に直接に設置される。焼成時においてデコ型の底面は高温となりこれに接する部分のスフレケーキ生地は硬いクラストができやすい。湯煎焼きでは、低温で焼成され、焼成時には天板に張った水が蒸発し生地には常に水分が提供されるため、均一にふっくら焼成することができるが、本発明では、天板に水を張らず直火で焼成するため、焼成されるスフレケーキにケービングが生じやすく、硬いクラストが問題となる。本発明において、スフレケーキ生地にデキストリンが多く含まれると、よりこの問題がおこりやすい。
本発明は、立脚部5を有するデコ型を使用することにより、この問題を解決する。本発明に使用するデコ型2の底面3はオーブンの熱板1上に隙間を生じて設置されることより、熱板からの直接の加熱よりデコ型の底面が高温になり過ぎることなくスフレケーキを焼成することができる。
オーブンの熱板1とデコ型2の底面3の間に隙間の大きさは、2〜10mmであることが好ましい。2mm未満ではクラストができてしまい、10mmを超えるとボリューム感にかけ、表面が落ち込む。デコ型の大きさは3号〜6号であることが好ましい。
【0017】
本発明において使用するデコ型は、オーブンの熱板とデコ型の底面の間に隙間を生じさせる立脚部を有すればよいが、例えば、図3に示すように側面5と上面6からなる支持台7の上面6にデコ型2が凹部として成型され、支持台にデコ型が一体に成型された形状のデコ型を使用することができる。この場合、支持台7の側面が立脚部5として機能し、オーブンの熱板1上に設置した際にデコ型の底面3を熱板1に接しないように固定でき、さらに、熱板に設置させることにより支持台の側面及び底面、デコ型の側面及び底面、そして熱板1により形成させる閉鎖された空間部8において温度がほぼ一定となることから、デコ型の底面3と側面4を均一に加熱することができる。この場合、スフレケーキの側面と底部を均一に加熱できることになり、よりしっとりしたスフレケーキを焼成できる。
【0018】
さらに、本発明に使用できるデコ型は、支持台7の表面に複数の凹部を成型して複数のデコ型2が連結しているデコ型も使用することができる。
また図4に示すように立脚部5をデコ型の側面に有するデコ型でもよく、これが複数連結しているデコ型も使用することができる。
デコ型の材質として、鉄やアルミが選択でき、形状や耐久性の点から鉄製の使用が好ましい。また、その厚みを0.3〜5mmとすることが好ましい。
【0019】
本発明において、使用できるオーブンとして固定窯やトンネルオーブンが挙げられる。
焼成の温度は、上火140℃〜210℃、下火100℃〜170℃で焼成することができ、なかでも上火160℃〜190℃、下火120℃〜150℃が適している。焼成時間は、20〜40分で焼成することができる。好ましくは、20〜30分である。20分未満では、スフレケーキの十分な焼成が難しくなり、40分を超えると、乾燥してしまい、焦げ付き等が発生しやすくなる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例、比較例により本発明をより具体的に説明する。以下に用いた評価方法を示す。
(1)スフレケーキの食感
焼成したスフレケーキの食感をしっとり感とソフト感で評価した。すなわち、得られたスフレケーキを10名のパネルが試食して官能検査を行い、しっとり感とソフト感を次の5段階で官能評価を行なった。評価基準は下記の通りである。表1には10名の平均値で示す。
5点:極めて良好、
4点:良好、
3点:普通、
2点:不良、
1点:極めて不良。
(2)スフレケーキの外観
(a)クラスト
○:良好
×:底面にクラストや焦げ目が発生した。
(b)ケービング
○:良好
×:側面のケービングや表面にへこみが発生した。
(3)水分量
赤外線水分計(FD−230、株式会社ケツト科学研究所社製)を用いて測定した。赤外線水分計は試料を赤外線照射によって加熱乾燥させ、含まれていた水分の蒸発による重量変化から水分(%)を求める測定器である。
(4)比重
計量カップ(200ml)を用いて測定した。卵や油脂、砂糖を入れ混合し、最後に粉を入れて均一に混合した後、生地を計量カップ(200ml)に入れて重量を測定し、比重を算出した。
【0021】
実施例1
全卵150g、卵白50g、上白糖100g、水飴(向後スターチ株式会社製、デキストリン含有量65質量%、グルコースポリマーを15質量%含有する。他は水およびグルコースである。)20gにW/O型乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名シルフィード)20g、気泡性乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名アルエット)20gをミキサーボウルに計量し、ミキサーにセットし、低速1分、高速5分ミキシングした。この混合物にクリームチーズ150gを溶かした牛乳40gを加え、さらに高速で1分ミキシングした。この混合物に薄力粉100g、膨張剤(ベーキングパウダー)1gを加え、中高速で30秒間ミキシングし、最終生地比重が0.50、水分量47質量部の生地を調製した。ここでのデキストリンの含有量はスフレケーキ生地100質量部中、2質量部である。
該当生地100gを図3に示す形状のデコ型に充填した。ここで、デコ型の材質は鉄であり、厚みは1mmである。支持台は、上面が直径14cmの円形であり、側面の高さは5cmである。上面に4号丸型のデコ型が凹部として成型された形状となっている。
オーブンは固定窯を使用し、上火180℃、下火150℃にて23分間焼成し、スフレケーキを製造した。本ケーキの評結果を表1に示す。
【0022】
実施例2
全卵180g、卵白80g、上白糖110g、水飴(向後スターチ株式会社製、デキストリン含有量65質量%、グルコースポリマーを15質量%含有する。他は水およびグルコースである。)40gにW/O型乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名シルフィード)20g、気泡性乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名アルエット)20gをミキサーボウルに計量し、ミキサーにセットし、低速1分、高速5分ミキシングした。この混合物にクリームチーズ60gを溶かした牛乳20gを加え、さらに高速で1分ミキシングした。この混合物に薄力粉100g、膨張剤(ベーキングパウダー)1gを加え、中高速で30秒間ミキシングし、最終生地比重が0.55、水分量46.6質量部の生地を調製した。ここでのデキストリンの含有量はスフレケーキ生地100質量部中、4.1質量部である。
該当生地を、実施例1と同様に図3の形状のデコ型(4号丸型)に100g充填し、上火180℃、下火150℃にて23分間焼成して、スフレケーキを製造した。本ケーキの評価結果を表1に示す。
【0023】
比較例1
実施例1の配合において水飴を使用せずに上白糖、全卵、卵白、クリームチーズ、牛乳、薄力粉、膨張剤(ベーキングパウダー)を同じ添加量で配合した。実施例1と同様に処理し、最終生地比重0.55、水分量48質量部の生地を調製し、ケーキを製造した。本ケーキの評価結果を表1に示す。
【0024】
比較例2
実施例1の配合において水飴、卵白を使用せずに上白糖120g、全卵200gを使用し、その他の材料は同じ添加量で配合した。実施例1と同様に処理し、最終生地比重0.50、水分量45.5質量部の生地を調製し、ケーキを製造した。本ケーキの評価結果を表1に示す。
【0025】
比較例3
実施例1の配合において、底面がオーブンに接地する通常の4号丸型デコ型を用いて、実施例1と同様に実施し、生地比重0.50、水分量47質量部の生地を調製し、ケーキを製造した。ここでのデキストリンの含有量はスフレケーキ生地100質量部中、2量部である。本ケーキの評価結果を表1に示す。
【0026】
比較例4
実施例1の配合において水飴120g添加し、上白糖50gを使用し、その他の材料は同じ添加量で配合した。実施例1と同様に処理し、生地比重0.60、水分量45.7質量部の生地を調製し、ケーキを製造した。ここでのデキストリンの含有量はスフレケーキ生地100質量部中、11.3質量部である。本ケーキの評価結果を表1に示す。
【0027】
比較例5
全卵200g、卵白150g、上白糖110g、水飴(向後スターチ株式会社製、デキストリン含有量65質量%、グルコースポリマーを15質量%含有する。他は水およびグルコースである。)20gにW/O型乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名シルフィード)20g、気泡性乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名アルエット)20gをミキサーボウルに計量し、ミキサーにセットし、低速1分、高速5分ミキシングした。この混合物にクリームチーズ60gを溶かした牛乳50gを加え、さらに高速で1分ミキシングした。この混合物に薄力粉100g、膨張剤(ベーキングパウダー)1gを加え、中高速で30秒間ミキシングし、最終生地比重が0.50、水分量54質量部の生地を調製した。ここでのデキストリンの含有量はスフレケーキ生地100質量部中、1.8質量部である。
該当生地を、実施例1と同様に図3の形状のデコ型(4号丸型)に100g充填し、上火180℃、下火150℃にて23分間焼成し、スフレケーキを製造した。本ケーキの評価結果を表1に示す。
【0028】
比較例6
全卵100g、卵白20g、上白糖100g、水飴(向後スターチ株式会社製、デキストリン含有量65質量%、グルコースポリマーを15質量%含有する。他は水およびグルコースである。)20gにW/O型乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名シルフィード)20g、気泡性乳化油脂(日本油脂株式会社製、商品名アルエット)15gをミキサーボウルに計量し、ミキサーにセットし、低速1分、高速5分ミキシングした。この混合物にクリームチーズ10gを溶かした牛乳10gを加え、さらに高速で1分ミキシングした。この混合物に薄力粉100g、膨張剤(ベーキングパウダー)1gを加え、中高速で30秒間ミキシングし、最終生地比重が0.50、水分量35.4質量部の生地を調製した。ここでのデキストリンの含有量はスフレケーキ生地100質量部中、3.3質量部である。
該当生地を、実施例1と同様に図3の形状のデコ型(4号丸型)に100g充填し、上火180℃、下火150℃にて23分間焼成し、スフレケーキを製造した。本ケーキの評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
本発明によれば、製品にムラがなく、しっとりしていながらソフトなスフレケーキを製造できることが分かる。
デキストリンを含有しない場合(比較例1、2)は、食感においてしっとり感、ソフト感が良好ではなかった。また、含有量が多いと(比較例4)、ソフト感が悪く、ケービングしやすいことが分かる。
また、生地中の水分量が少ないと(比較例6)、食感が悪くなり、水分量が多いと(比較例5)、ソフト感が悪く、ケービングしやすいことが分かる。
さらに、本発明において、オーブンに設置した際に熱板とデコ型の底面との間に隙間を生じさせる立脚部を有するデコ型を使用することにより、良好な食感及び外観のシフレケーキを焼成できることが分かる(比較例3)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に使用する立脚部を有するデコ型の一例(側面図)
【図2】本発明に使用する立脚部を有するデコ型のオーブンへの設置図(側面図)
【図3】本発明に使用する立脚部を有するデコ型の一例(全体図)
【図4】本発明に使用する立脚部を有するデコ型の一例(側面図)
【符号の説明】
【0032】
1.オーブンの熱板
2.デコ型
3.デコ型の底面
5.立脚部
7.支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スフレケーキ生地100質量部中にデキストリン1〜10質量部、水分40〜50質量部を含む生地を、オーブンに設置した際に熱板とデコ型の底面との間に隙間を生じさせる立脚部を有するデコ型に充填して焼成することを特徴とするスフレケーキの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−215448(P2007−215448A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37873(P2006−37873)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】