説明

スプリンクラ−ヘッド取付継手の構造

【課題】スプリンクラ−ヘツドが天井スラブの容易に垂下させる構造であり、又、消火設備の簡素化と、設備の設置作業性が優れた構造を提供する。
【解決手段】天井に当接される水平片と、折り曲げられ、複数の取付穴Aを備えた垂直片とからなるブラケットと、これに装着するスプリンクラ−ヘッド取付継手であって、当該取付継手はL型エルボ形状であり、下向きの開口部にスプリンクラ−ヘッドが装着され、横向きの開口部に枝管装着手段を備え、かつ、垂直に羽部を形成し、この羽部に垂直に複数条の長穴Bを形成し、前記垂直片と羽部とを当接し、取付穴Aと長穴Bとを接続した。1‥ブラケット、2‥水平片、3‥垂直片、10‥スプリンクラ−ヘッド取付継手、11‥下向き開口部、12‥横向き開口部、14‥羽部、20‥スプリンクラ−ヘッド、S1‥天井スラブ、S2‥天井部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスプリンクラ−消火設備に関するものであり、更にいえば、新しいスプリンクラ−ヘッド取付継手にかかるものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラ−を用いた消火設備は初期消火に非常に効果があり、高層ビル、劇場、デパ−ト等のように消防法で設置が義務づけられている建物のほか、火災の発生し易い場所や一般住宅でも設置が望ましい。そして、スプリンクラ−設備のための大容量の水タンクや給水ポンプ等の多額な設備費用を省くために水道管に閉鎖型のスプリンクラ−ヘツドを直結して使用する方法が知られている。
【0003】
従来のスプリンクラ−消火設備は、図示しない上水用の高架水槽に消火用給水本管が連通され、この消火用給水本管に分岐管が接続され、分岐管にT字継手や十字継手を介して枝管が接続され、各枝管の先端にスプリンクラ−ヘツドが接続されている。そして枝管は、夫々末端側に必要な消火用水の供給量に見合った口径で多種類の管路が選択されて接続されている。
【0004】
しかるに、特許文献1にはスプリンクラ−の新たな配管系統が提案されており、ヘッダ−とスプリンクラ−ヘッドとの間を継手を用いて枝管を配管する技術である。即ち、給水配管に分岐管が接続され、この分岐管には制水弁、電磁弁およびヘッダ−が順次接続されている。スプリンクラ−ヘツドは単独で枝管の末端側に夫々継手を介して接続される。枝管の基端側はユニオンの如き継手を介してヘッダ−に接続されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−24360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかるスプリンクラ−消火装置にあって、スプリンクラ−ヘツドが天井より真下に向かって突出しているが、この調整が難しく、継手を介して枝管が接続される際に、向きが変わってしまう事態が起こる。本発明は、スプリンクラ−ヘツドを天井スラブより垂下させる新たな構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨は、天井の下面に当接される水平片と、これより折り曲げられ、複数の取付穴Aを備えた垂直片とからなるブラケットと、これに装着するスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造であって、当該スプリンクラ−ヘッド取付継手はL型エルボ形状であり、下向きの開口部にスプリンクラ−ヘッドが装着され、横向きの開口部に枝管装着手段を備え、かつ、垂直に羽部を形成し、この羽部に垂直に複数条の長穴Bを形成し、前記ブラケットの垂直片と羽部とを当接し、取付穴Aと長穴Bとを接続したことを特徴とするスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造である。
【0008】
尚、場合によっては枝管装着手段は直接スプリンクラ−ヘッド取付継手に備えなくともよく、枝管装着手段を備えたソケットをこの部位に装着してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上の通りであり、スプリンクラ−ヘッドを正規の位置に設置することが簡単となり、又、例えば樹脂製の管材である枝管を容易に装着できることとなったもので、消火設備の簡素化と、設備を設置する際の作業性が優れた構造が提供できたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は天井下面に装着されるブラケットに、スプリンクラ−ヘッド取付継手の羽部をもって装着するものである。ブラケットの水平片は好ましくは複数個から形成され、当該水平片に差し込まれるボルト径よりも大径の穴C(以下、大径の穴Cという)を備えたものであり、この大径の穴Cは枝管装着手段に平行に形成されたものである。垂直片には複数の取付穴Aが形成されている。天井スラブに2本のボルト立て、これによって取付穴A前後の位置を正確に調整することとなる。
【0011】
一方、スプリンクラ−ヘッド取付継手はL型エルボ形状であり、下向きの開口部にスプリンクラ−ヘッドが装着され、横向きの開口部に枝管装着手段を備えたものである。そして、横向きの開口部の背面に垂直に羽部を形成し、この羽部に垂直に複数条の長穴Bを形成し、前記ブラケットの垂直片と羽部とを当接し、取付穴Aと長穴Bとを接続したものである。両穴を通してボルト及びナットにて装着することとなるが、長穴Bを調整して上下の高さを調整することとなる。
【0012】
羽部は、好ましくは、横向き開口部の背面に垂直に形成するのがよく、こうすることによって、スプリンクラ−ヘッド取付継手への枝管の着脱の際に加わる力に対しても真正面で受けることができ、継手の向きが変わってしまう等ということはなくなる。
【0013】
枝管装着手段は枝管との取り合いを極めて簡単にしようとするにあり、枝管の先端を差し込むだけで装着可能としたものである。かかる装着手段の例としては、継手内に止水リング及びロックリングを内蔵したものであり、これらが差し込まれた枝管の表面に接触し止水と抜けを防止する構造となっている。
【0014】
尚、枝管装着手段がL型のスプリンクラ−ヘッド取付継手の横向き開口部に直接備えられずに、これとは別体とされ、一方側に枝管装着手段と他方側にスプリンクラ−ヘッド取付継手装着手段を備えたソケットを上記スプリンクラ−ヘッド取付継手装着したものであってもよい。かかる枝管装着手段及びスプリンクラ−ヘッド取付継手装着手段は、止水リングとロックリングとを備えた手段である。
【0015】
枝管はヘッダ−とスプリンクラ−ヘッドとの間を接続する管であり、金属管等とは異なり脱着性を考慮してやや余裕をもって敷設され、通常は天井板状に這わせる状態で敷設すればよい。尚、枝管は樹脂管が好適であり、例えばポリブテン管、架橋ポリエチレン管、塩ビ管等が採用できる。
【実施例】
【0016】
以下、図において本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明の第1例を示すスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造を示すものであり、図2は上面図である。図中、1はブラケット、10はスプリンクラ−ヘッド取付継手である。又、S1は天井スラブ、S2は天井部材である。
【0017】
ブラケット1は天井スラブSの下面に当接される水平片2と、これより垂直に折り曲げられた垂直片3とからなるものである。前記の水平片2には図3に示すように2つの大径の穴Cを備え、垂直片3には2つの取付穴Aを形成したものである。ブラケット1は天井スラブSにねじ込まれたボルト4を大径の穴Cを介して固定されるものであり、ヘッドの位置を正規の位置に大径の穴Cによって調整しつつ固定されるものである。
【0018】
スプリンクラ−ヘッド取付継手10はL型エルボ形状であり、下向きの開口部11にスプリンクラ−ヘッド20が装着され、横向きの開口部12に枝管装着手段13を備え、横向きの開口部12の背面に垂直に羽部14を形成したものである。かかる羽部14に図4に示すように垂直に2つの長穴Bを形成し、前記ブラケット1の垂直片3と羽部14とを当接し、取付穴Aと長穴Bとをボルト及びナット15にて接続したものである。この場合、スプリンクラ−ヘッド20は天井部材S2の所定の穴C1より内側に突出していなくてはならないが、羽部14に設けた長穴Bに添ってその位置(高さ)が調整されることは言うまでもない。
【0019】
スプリンクラ−ヘッド20の装着は、スプリンクラ−ヘッド取付継手10における下向きの開口部11に刻設された雌ねじ部に螺合して接続されたものである。
【0020】
一方、図示しないヘッダ−から伸びる枝管30はこの例ではポリブテン管が採用され、スプリンクラ−ヘッド取付継手10における横向き開口部12に内蔵した止水リング及びロックリングによって装着・固定されるものである。即ち、継手10に大径と小径の段部16a、16bを形成し、大径段部16a内に止水リング17及びロックリング18を内蔵させたものであり、この抜けを防止するキャップ19が螺着されたものである。そして、枝管30がこのキャップ19に差し込まれると、その外表面に止水リング17及びロックリング18が接し、特にロックリング18に備えられた環状の爪18aが枝管30に食い込むことによって抜けが防止できる構造となっている。
【0021】
このように、本第1発明にあっては、スプリンクラ−ヘッド取付継手10の装着が簡単でかつ確実となり、しかも枝管はキャップ19内に先端を差し込むだけで完全な装着が可能となったもので、その優位性は明らかである。
【0022】
図5は本発明の第2例を示すスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造を示すものである。ブラケット1、スプリンクラ−ヘッド取付継手10の基本構造は上記の第1例と同様であるが、この例では横向き開口部12が大きく変わっている例である。即ち、この例では横向き開口部12は単にストレ−トの筒体となっており、この部位にソケット40を装着して枝管装着手段13を備えるものである。
【0023】
ここで、上記のソケット40を図6に基づいて言及すると、ソケット40には枝管30を固定する開口部41と、上記の筒体12を固定する開口部42とを備えたものである。そして、両開口部41、42には前例と同様の止水リング17と爪18aを備えたロックリング18が内蔵されており、これらはキャップ19a、19bによって抜けが防止された構造となっている。
【0024】
従って、かかる開口部41及び42に枝管30及び筒体12を差し込むことによって装着・固定が完了し、スプリンクラ−ヘッド取付継手の構造となるものである。このソケット40を用いることにより、場合によっては従来のスプリンクラ−ヘッド取付継手をそのままで樹脂製の枝管が装着できることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は消火設備の簡略化とともに、その設置作業も迅速でかつ安価となるもので、従来の消火設備にない優れた機能を発揮し、極めて実用性に優れた装置が提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の第1例を示すスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造である。
【図2】図2は図1の上面図である。
【図3】図3は図1のブラケットの水平片を取出した図である。
【図4】図4は図1のスプリンクラ−ヘッド取付継手の羽部を取出した図である。
【図5】図5は本発明の第2例を示すスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造である。
【図6】図6は図5のソケットの拡大図である。
【符号の説明】
【0027】
1‥ブラケット、
2‥水平片、
3‥垂直片、
4‥ボルト、
10‥スプリンクラ−ヘッド取付継手、
11‥下向き開口部、
12‥横向き開口部、
13‥枝管装着手段、
14‥羽部、
15‥ボルト・ナット、
16a、16b‥段部、
17‥止水リング、
18‥ロックリング、
18a‥爪、
19‥キャップ、
20‥スプリンクラ−ヘッド、
30‥枝管、
40‥ソケット、
41、42‥ソケットの開口部、
A‥垂直片に形成した取付穴、
B‥羽部に形成した長穴、
C‥水平片に形成した大径の穴、
S1‥天井スラブ、
S2‥天井部材。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井の下面に当接される水平片と、これより折り曲げられ、複数の取付穴Aを備えた垂直片とからなるブラケットと、これに装着するスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造であって、当該スプリンクラ−ヘッド取付継手はL型エルボ形状であり、下向きの開口部にスプリンクラ−ヘッドが装着され、横向きの開口部に枝管装着手段を備え、かつ、垂直に羽部を形成し、この羽部に垂直に複数条の長穴Bを形成し、前記ブラケットの垂直片と羽部とを当接し、取付穴Aと長穴Bとを接続したことを特徴とするスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造。
【請求項2】
前記水平片は好ましくは複数個から形成され、当該水平片に差し込まれるボルト径よりも大径の穴Cを備えた請求項1記載のスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造。
【請求項3】
前記横向きの開口部の背面に垂直に羽部を形成した請求項1又は2記載のスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造。
【請求項4】
前記枝管装着手段が、止水リングとロックリングとを備えた手段である請求項1乃至3いずれか1記載のスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造。
【請求項5】
前記枝管装着手段がL型のスプリンクラ−ヘッド取付継手とは別体とされ、一方側に枝管装着手段と他方側にスプリンクラ−ヘッド取付継手装着手段を備えたソケットである請求項1記載のスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造。
【請求項6】
前記スプリンクラ−ヘッド取付継手装着手段が、止水リングとロックリングとを備えた手段である請求項5記載のスプリンクラ−ヘッド取付継手の構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−11869(P2008−11869A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182663(P2006−182663)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】