説明

スプリンクラーヘッドと配管の接続具

【課題】 天井ふところ内にコンパクトに収納でき、かつ放水時の高水圧で振動しないように強固に設置できるようにしたスプリンクラーヘッドと配管との接続具を提供する。
【解決手段】接続具本体の後端部に横向きに開口する配管接続部3aを設ける。接続具本体の先端部近傍に下向きに開口するスプリンクラーヘッド接続部3bを設ける。接続具本体の先端部に接続部本体を構造体5に対し間接的に固定するためのヒレ状取付け部3cを設ける。接続具本体の上面3dはほぼ水平に形成する。スプリンクラーヘッド接続部3bにおける上下方向の幅W1は配管接続部3aにおける上下方向の幅W2に比べて小さくする。配管接続部3aからスプリンクラーヘッド接続部3bにかけて上下方向の幅を徐々に狭くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスプリンクラーヘッドと配管の接続具に関し、スプリンクラーヘッドを天井ふところ内にコンパクトにかつ強固に固定して設置できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、図3に図示するように、スプリンクラーヘッド1は一般に、給水管2に接続具3を介して下向きに接続され、火災時の熱をいち早く感知して放水できるように天井付近に設置されている。
【0003】
また、全体が室内に大きく突出して美観を損なわないように、給水管2および接続具3とともにその大部分が天井ふところ4内に収容され、スプリンクラーヘッド1の先端部分のみが室内に突出している。
【0004】
しかし、従来の接続具3は図示するように縦長に形成され、その上端側が給水管2に接続され、下端側にスプリンクラーヘッド1が接続されている。このため給水管2と接続具3、さらにスプリンクラーヘッド1の大部分を天井ふところ内に収容するとなると天井ふところを相当大きくする必要があり、その分居室の天井高が制限され、必要な天井高を確保するためには階高を高くし、これに伴ない建物全体を高くする必要があった。
【0005】
これに対し、特許文献1にもスプリンクラーヘッド1が給水管2(枝管18)に接続具3(箱体24)を介して下向きに接続されている例が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−295844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、スプリンクラーヘッド1は、給水管2に接続具3と共に下方に所定長延びた状態で取り付けられているため、放水時の高水圧でスプリンクラーヘッド1が振動し、放水に支障をきたすおそれがあった。
【0008】
特に、特許文献1のものは、狭い天井ふところ内に収容できるように扁平な形態をしていないため、スプリンクラーヘッドを取り付けるために天井ふところを大きくする必要があった。また、スプリンクラーヘッドおよび接続具が周辺の構造体に固定されていないため、放水時の振動が大きく放水に支障をきたすおそれがあった。
【0009】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、天井ふところ内にコンパクトに収納でき、かつ放水時の高水圧で振動しないように強固に設置できるようにしたスプリンクラーヘッドと配管との接続具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具は、スプリンクラーヘッドと天井内に配設される給水管とを接続するための接続具であって、接続具本体の後端部に横向きに開口する配管接続部を有し、先端部近傍に下向きに開口するスプリンクラーヘッド接続部を有し、かつ先端部に接続部本体を構造体に対し間接的に固定するための取付け部を有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、接続具本体およびスプリンクラーヘッドを構造体に取付け部を介して間接的に固定できるようにして、スプリンクラーヘッドからの高圧の放水によって生じるスプリンクラーヘッドおよび接続部近傍の振動を効果的に抑えるようにしたものである。
【0012】
なお、取付け部の形状は特に限定されるものではないが、特にヒレ状に形成することにより加工が容易でコンパクトに形成することができる。また、取付け部は接続具本体と一体形成されたものでも、あるいは接続具本体と別途形成され、ネジ止め等によって後付けされたものでもよい。
【0013】
またここで、構造体とはスラブや梁などで、特に梁成(梁の高さ)の大きい梁下にスプリンクラーヘッドを取り付ける場合でも、本発明を利用することにより、高い天井高を確保することができる。
【0014】
請求項2記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具は、請求項1記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具において、上面がほぼ水平で、スプリンクラーヘッド接続部における上下方向の幅が配管接続部における上下方向の幅に比べ小さいことを特徴とするものである。
【0015】
本発明は、接続具の全体形状を扁平な形状とし、さらにスプリンクラーヘッドの高さ分の一部を接続具のふところ高さで吸収できる形状とすることで、天井高さが極端に小さい場合でも給水管とスプリンクラーヘッドの取り合いを可能に、またその分、必要な天井高を確保しつつ建物の階高を抑えられるようにしたものである。
【0016】
請求項3記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具は、請求項1または2記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具において、前記配管接続部から前記スプリンクラーヘッド接続部にかけて上下方向の幅が徐々に狭まっていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具は、請求項1,2または3記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具において、取付け部は接続具本体と一体成形されたものであることを特徴とするものである。
【0018】
本発明は、取付け部を接続具本体と一体形成することにより製造コストの低減化等を可能にしたものである。
【0019】
請求項5記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具は、請求項1,2,3または4記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具において、取付け部は天井内に垂下させたまたは立ち上げた固定金具または固定部材に止め付けるための取付け部を形成したものであることを特徴とするものである。この場合の固定金具または固定部材としては、例えば鋼板などを曲げ加工して容易に得られるアングル材などを用いることができる。
【0020】
請求項6記載のスプリンクラーヘッド部は、請求項1,2,3,4または5記載の接続具とスプリンクラーヘッドが一体形成されたものであることを特徴とするものである。
【0021】
本発明は、接続具とスプリンクラーヘッドを一体形成することで、スプリンクラー設備の部品数を減らし、部品管理と工事の簡単化を図れるようにしたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、接続具の全体形状が扁平であり、スプリンクラーヘッドの高さ分の一部を接続具のふところ高さで吸収できるので、天井ふところ寸法が極端に小さい場合でも配管とスプリンクラーヘッドの取り合いが可能である。また、その分、建物の階高を抑えることができ、経済性が高い。
【0023】
また、接続具が、接続具先端部の取付け部を介して、スプリンクラーヘッドの近傍で固定されるため、スプリンクラーヘッドからの高圧の放水によって生じるスプリンクラーヘッドおよび接続部近傍の振動を効果的に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1と図2は、本発明の一例を示し、スプリンクラーヘッド1と給水管2が接続具3を介して接続されている。また、スプリンクラーヘッド1の大部分と給水管2および接続具3は天井ふところ4内に収容され、スプリンクラーヘッド1の先端部分1aのみが天井面からわずかに突出している。
【0025】
接続具本体の後端部に横向きに開口する配管接続部3aが設けられ、当該配管接続部3aに給水管2が接続されている。また、接続具本体の先端部近傍に下向きに開口するスプリンクラーヘッド接続部3bが設けられ、当該スプリンクラーヘッド接続部3bにスプリンクラーヘッド1が接続されている。
【0026】
さらに、接続具本体の先端部にヒレ状取付け部3cが設けられ、当該ヒレ状取付け部3cをスラブ等の構造体5の水平面に固定金具6を介しビス止めすることにより、接続具3はスプリンクラーヘッド1と共に構造体5に間接的に固定されている。
【0027】
この場合、ヒレ状取付け部3cは、例えば図2(a),(b),(c)に図示するように、接続具本体の先端部に左右対称に設けられている。また、ヒレ状取付け部3c,3cは接続具本体と一体に成形されている。そして、このヒレ状取付け部3c,3cをスラブなどの構造体5に垂設された固定金具6にビス止めすることにより、接続具3はスプリンクラーヘッド1と共に構造体5に間接的に固定されている。
【0028】
なお、ヒレ状取付け部3cは接続具本体の先端部にネジ止め等の方法により後付けされたものでもよい。
【0029】
このように、接続具3とスプリンクラーヘッド1が構造体5にヒレ状取付け部3cを介して間接的に固定されていることで、スプリンクラーヘッド1からの高圧の放水によって生じるスプリンクラーヘッド1および接続部近傍の振動を効果的に抑えることができる。
【0030】
また、接続具3の上端面3dはほぼ水平に形成され、かつスプリンクラーヘッド接続部3bにおける上下方向の幅W1は配管接続部3aにおける上下方向の幅W2に比べて小さく形成され、さらに配管接続部3aからスプリンクラーヘッド接続部3bにかけて上下方向の幅が徐々に狭まった状態に形成されている。
【0031】
このように形成されていることで、接続具3の全体形状が扁平をなしてスプリンクラーヘッド1の高さ分の一部を接続具3のふところ高さで吸収できるので、天井ふところ高さが極端に小さい場合でも給水管2とスプリンクラーヘッド1の取り合いが可能になり、またその分、必要な天井高を確保しつつ建物の階高を抑えることができ、経済性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】スプリンクラーヘッド、給水管および接続具の配置状態を示す天井ふところ内の縦断面図である。
【図2】スプリンクラーヘッド、給水管および接続具の配置状態を示す天井ふところ内を示し、(a)は縦断面図、(b)は横断面図、そして(c)は接続具の一部端面図である。
【図3】スプリンクラーヘッド、給水管および接続具の配置の状態の従来例を示す天井ふところ内の縦断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 スプリンクラーヘッド
2 給水管
3 接続具
3a 配管接続部
3b スプリンクラーヘッド接続部
3c ヒレ状取付け部(取付け部)
3d 接続具の上端面
4 天井ふところ
5 構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラーヘッドと天井内に配設される給水管とを接続するための接続具であって、接続具本体の後端部に横向きに開口する配管接続部を有し、先端部近傍に下向きに開口するスプリンクラーヘッド接続部を有し、かつ先端部に接続具本体を構造体に対し間接的に固定するための取付け部を有することを特徴とするスプリンクラーヘッドと配管の接続具。
【請求項2】
上面がほぼ水平で、スプリンクラーヘッド接続部における上下方向の幅が配管接続部における上下方向の幅に比べ小さいことを特徴とする請求項1記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具。
【請求項3】
前記配管接続部から前記スプリンクラーヘッド接続部にかけて上下方向の幅が徐々に狭まっていることを特徴とする請求項1または2記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具。
【請求項4】
取付け部は接続具本体と一体成形されたものであることを特徴とする請求項1,2または3記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具。
【請求項5】
取付け部は天井内に垂下させたまたは立ち上げた固定金具または固定部材に止め付けるための取付け部を形成したものであることを特徴とする請求項1,2,3または4記載のスプリンクラーヘッドと配管の接続具。
【請求項6】
請求項1,2,3,4または5記載の接続具とスプリンクラーヘッドが一体形成されたものであることを特徴とするスプリンクラーヘッド部。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−11659(P2009−11659A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178750(P2007−178750)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(592040826)住友不動産株式会社 (94)
【Fターム(参考)】