説明

スプリンクラーヘッド取付具

【課題】スプリンクラーヘッドを天井に設置する工事の施工性を向上する。
【解決手段】上部に天井部材31と当接する当接面2が形成されかつ当接面2の略中央に天井部材31から垂設された雄ねじ32に螺着される雌ねじ部3が刻設されるとともに下部に雌ねじ部4が刻設された台座1と、筒状に形成されて上部に雌ねじ部4に螺着される雄ねじ部6が刻設されるとともに本体側面に雌ねじ7〜9が貫通して刻設された上部接続管5と、上部接続管5にその下端から抜き差し自在に挿入されるとともに下部に雄ねじ部13が刻設された下部接続管12と、上端部に下部接続管12の雄ねじ部13に螺着される雌ねじ部15が刻設されかつ下端部にスプリンクラーヘッド17が螺着される雌ねじ部16が刻設されるとともに中間の端部に給水管が接続されるメカニカル継手19を設けたチーズ14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラーヘッド取付具に関し、詳しくは天井の部材にスプリンクラーヘッドを容易に取り付けることのできるスプリンクラーヘッド取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スプリンクラーヘッドを天井に設置する場合は、特許文献1に記載されている「スプリンクラー用配管部品」のようにして設置されている。
特許文献1の図7には、スプリンクラー用配管部品のスプリンクラー接続金具12の天井材への取り付け例が示されている。
図において、可とう管1の一端に接続固定されたスプリンクラー接続金具12は、C形鋼材21間に渡されたコ状バー22にワンタッチ固定金具24で取り付けられている。この固定金具24は、側面コ字形をしており、両先端辺は、接続金具12を挿通できる程度の貫通孔が形成されており、中央辺には外側からねじ24aがねじ込まれるようになっている。
前記貫通孔に接続金具12を挿通した状態で接続金具12とねじ24aとでコ状バー22をはさみつけるようにしてねじ24aをねじ込み固定する。コ状バー22は、コ状バー固定金具23でC形鋼材21に固定されている。
このコ状バー固定金具23は、側面コ字形をしているとともに中央辺にはコ状バー22を挿通できる程度の貫通孔が形成されており、一方の先端辺には外側からねじ23aがねじ込まれるようになっている。
他方の先端辺をC形鋼材の一方の先端辺に引っかけるとともに、この貫通孔にコ状バー22を挿通した状態でねじ23aをねじ込み、ねじ23aと金具23の他方の先端辺とでC形鋼材とコ状バー22をはさみつけるようにして固定する。
【0003】
【特許文献1】特開平5−60283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来例では、スプリンクラーヘッドを天井に設置する場合、その位置決めのために、C形鋼材とコ状バーを天井に縦横に張り渡さなければならず、余分な資材を必要とするとともにそのための施工が煩わしいという問題があった。また、地震発生時には、スプリンクラーヘッドが、剛性が充分でないC形鋼材とコ状バーに支持されているため耐震性が乏しいという問題があった。
そこで、本発明は、スプリンクラーヘッドを天井に設置する場合に、位置決めのために余分な資材を必要とすることなく、容易に施工ができるスプリンクラーヘッド取付具を提案することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、上部に天井部材と当接する当接面が形成されかつ該当接面の略中央に前記天井部材から垂設された雄ねじに螺着される雌ねじ部が刻設されるとともに下部に螺合方向を垂直にした雌ねじ部が刻設された台座と、筒状に形成されて上部に前記台座下部の雌ねじ部に螺着される雄ねじ部が刻設されるとともに本体側面に雌ねじが貫通して刻設された上部接続管と、該上部接続管にその下端から抜き差し自在に挿入されるとともに下部に螺合方向を垂直にした雄ねじ部が刻設された下部接続体と、前記上部接続管の雌ねじに螺合されて下部接続体を押圧することにより前記上部接続管に対する下部接続体の垂直方向の位置決めをする押しねじと、上端に前記下部接続体の雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が刻設されかつ下端にスプリンクラーヘッドまたは下端にスプリンクラーヘッドを螺着した接続管が螺着される雌ねじ部が刻設されるとともに中間の端部に給水管が接続される雄ねじ部が刻設されたチーズであって前記上端の雌ねじ部は閉塞されて前記中間の端部と前記下端の雌ねじ部とのみが連通されたチーズとを備えたことを特徴とする。
ここで、前記チーズの中間端部の雄ねじ部をメカニカル継手とすることも可能である。
なお、前記チーズの中間の端部に接続される給水管として、薄肉金属管の内側に架橋ポリエチレン層を形成するとともに、前記薄肉金属管の外側にポリエチレン層を形成したスプリンクラー用巻き出し管を用いることも可能である。
また、前記薄肉金属管の外側のポリエチレン層は難燃性を増大するフィラーを混入したポリエチレンとすることも可能である。
さらに、前記薄肉金属管の外側のポリエチレン層の外表面に耐火塗料を塗布することも可能である。
【発明の効果】
【0006】
以上述べたように本発明によれば、スプリンクラーヘッドが取り付けられる位置の天井部材に雄ねじを突設しておけば、その雄ねじに螺着した後、スプリンクラーヘッドを所定のレベルに調節して固定することが可能となり、スプリンクラーヘッドの設置工事の施工性が向上するとともに、位置合わせのために余分な資材を天井に取り付けることが不要となる。
また、配管として三層構造のスプリンクラー用巻き出し管を用いると、配管の作業が容易となりさらに施工性を向上することができる。
さらに、スプリンクラーヘッド取付具を天井のスラブに直接固定した場合は、従来のC形鋼材等の支持部材に固定させる場合に比較して耐震性が向上する。
また、スプリンクラーヘッド取付具には、上部接続管と下部接続体とからなる高さ調節機能を備えているため、スプリンクラーヘッドの高さ調整が容易となり、施工性が向上する。
さらに、スプリンクラーヘッド取付具の台座は、天井から垂設されているアンカーボルト等に直接螺着させる構造であるため、別部品としてナットを用意する必要がなくなり、部品点数を削減できるとともに、施工性が向上する。
また、三層構造の薄肉金属管からなる巻き出し管を用いると、フレキシブル管に比較して通水時の圧力損失が小さいため、その分、送水用のポンプの小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明に係るスプリンクラーヘッド取付具の斜視図であり、図2は図1の分解斜視図であり、図3は図1の一部を構成するチーズおよびメカニカル継手の分解断面図であり、図4は設置状態を示す縦断面図である。
【0008】
図1および図2において、1は台座であり、上部は円盤状に形成されてその上面に天井部材と当接する当接面2が形成され、その当接面2の略中央に天井部材から垂設された雄ねじに螺着される雌ねじ部3が刻設されている。下部は下方へボス状に突設され、その内側に螺合方向を垂直にした雌ねじ部4が刻設されている。5は筒状に形成された上部接続管であり、上端部外周に、台座1の下部の雌ねじ部4に螺着される雄ねじ部6が刻設されるとともに本体側面の上部位置、中間位置、下部位置の3箇所に、雌ねじ7〜9が貫通して刻設されている。
【0009】
図1では、雌ねじ8に、押しねじであるところの六角穴付きボルト11が螺着されている。12は下部接続体であるところの下部接続管であり、筒状に形成されている。下部接続管12は上部接続管5にその下端から抜き差し自在に挿入されるとともに下端部外周に雄ねじ部13が刻設されている。この下部接続管12を上部接続管5にその下端から挿入して、高さを調節した後、ボルト11を締め込んで、下部接続管12と上部接続管5とを固着する。なお、下部接続管12は、中実とすることも可能である。
【0010】
14はチーズであり、上端には、下部接続管12の雄ねじ部13が螺着される雌ねじ部15が刻設され、下部接続管12に螺着されている。チーズ14の下端には、下端にスプリンクラーヘッド17を螺着した接続管18が螺着される雌ねじ部16が刻設されている。チーズ14の中間の側面に突設された端部には、メカニカル継手19が形成されて、給水管であるスプリンクラー用巻き出し管21が接続されている。
なお、チーズ14の雌ねじ部15の奥の部分は、図3に示されるように、閉塞されていて、メカニカル継手19の奥の部分と雌ねじ部16の奥の部分が連通している。つまり、メカニカル継手19側から流入した給水は雌ねじ部16側へのみ流出する。
【0011】
巻き出し管21およびメカニカル継手19は、図2〜図4に示されるように構成されている。すなわち、メカニカル継手19は、巻き出し管21が外側に嵌合されるインナーコア22、その外側の外筒部23、外筒部23の外周部に刻設された雄ねじ部24、Oリング25,26、ウェッジリング27、ナット28とから構成されている。これらを順番に組み立てて、ナット28を雄ねじ部24に締め込むことで、巻き出し管21がチーズ14に接続される。
【0012】
巻き出し管21は、薄肉金属管31の内側に架橋ポリエチレン層32を形成し、薄肉金属管31の外側にポリエチレン層33を形成した構造をしている。これらの製造は押し出し成形により行われる。薄肉金属管31の材質はアルミニウム、銅、ステンレス、鋼およびそれらの合金を用いることが可能である。巻き出し管21は、薄肉金属管31の内側に架橋ポリエチレン層32を形成し、薄肉金属管31の外側にポリエチレン層33を形成したことで、強度、耐蝕性等が増大する。特に、巻き出し管21を配管の際に湾曲させたときに、架橋ポリエチレン層32が薄肉金属管31をその内側から構造的に支えることで、薄肉金属管31が座屈することを効果的に防止する働きをする。さらに、巻き出し管21は、従来使用されていたフレキシブル管に比較して通水時の圧力損失が小さいため、その分、送水用のポンプの小型化が可能となる。
【0013】
薄肉金属管31の外側のポリエチレン層33は、一般的なポリエチレンであってもよいが、難燃性、耐火性を向上させるため、フィラーを混入することが好ましい。フィラーとしては、難燃性、耐火性を増大するものとして、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルクその他の無機フィラー、または有機フィラーを用いることが可能である。また、図示しないが、ポリエチレン層33の外表面に耐火塗料を塗布することが好ましい。具体的には、例えば、主成分としてポリ燐酸アンモニウムを含む塗料を塗布することが可能である。ポリ燐酸アンモニウムを含む塗料を塗布した場合、火災発生の際、雰囲気温度が200〜300度になると発泡を開始し、最終的には25〜50倍程度に発泡し、良好な断熱効果を発揮する。
【0014】
次に、上述したスプリンクラーヘッド取付具の設置例について説明する。図4は、その設置例であり、天井部材34に植設されたアンカーボルト等の雄ねじ35に、台座1の雌ねじ部3を螺着して取り付けられている。この状態で、当接面2が天井部材34に密着されている。台座1以下の上部接続管5、下部接続管12、チーズ14、スプリンクラーヘッド17等は、予め、組み立てておき、現場では、台座1の螺着と、上部接続管5と下部接続管12との高さ調節と、メカニカル継手19への巻き出し管21の接続のみとすると作業性が良い。なお、チーズ14の雌ねじ部16に直接スプリンクラーヘッド17を螺着しているが、チーズ14とスプリンクラーヘッド17との間に接続管を接続して延長することも可能である。
【0015】
上述した実施形態では、上部接続管5の内部に、下部接続管12を挿入する構造としたが、下部接続管の内径を上部接続管の外径よりも大きくして、下部接続管の内部に上部接続管を挿入する構造とすることも可能である。その場合は、下部接続管側にボルトを螺着する雌ねじを刻設する。
また、メカニカル継手19に接続される給水管は、上述した三層構造の巻き出し管21以外に、ステンレスその他の材質のフレキシブル管を使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るスプリンクラーヘッド取付具の実施形態の斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1の一部を構成するチーズおよびメカニカル継手の分解断面図である。
【図4】設置状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 台座
2 当接面
3 雌ねじ部
4 雌ねじ部
5 上部接続管
6 雄ねじ部
7〜9 雌ねじ
11 六角穴付きボルト
12 下部接続管
13 雄ねじ部
14 チーズ
15 雌ねじ部
16 雌ねじ部
17 スプリンクラーヘッド
19 メカニカル継手
21 スプリンクラー用巻き出し管
22 インナーコア
23 外筒部
24 雄ねじ部
25,26 Oリング
27 ウェッジリング
28 ナット
31 薄肉金属管
32 架橋ポリエチレン層
33 ポリエチレン層
34 天井部材
35 雄ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に天井部材と当接する当接面が形成されかつ該当接面の略中央に前記天井部材から垂設された雄ねじに螺着される雌ねじ部が刻設されるとともに下部に螺合方向を垂直にした雌ねじ部が刻設された台座と、
筒状に形成されて上部に前記台座下部の雌ねじ部に螺着される雄ねじ部が刻設されるとともに本体側面に雌ねじが貫通して刻設された上部接続管と、
該上部接続管にその下端から抜き差し自在に挿入されるとともに下部に螺合方向を垂直にした雄ねじ部が刻設された下部接続体と、
前記上部接続管の雌ねじに螺合されて下部接続体を押圧することにより前記上部接続管に対する下部接続体の垂直方向の位置決めをする押しねじと、
上端に前記下部接続体の雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が刻設されかつ下端にスプリンクラーヘッドまたは下端にスプリンクラーヘッドを螺着した接続管が螺着される雌ねじ部が刻設されるとともに中間の端部に給水管が接続される雄ねじ部が刻設されたチーズであって前記上端の雌ねじ部は閉塞されて前記中間の端部と前記下端の雌ねじ部とのみが連通されたチーズと、
を備えたことを特徴とするスプリンクラーヘッド取付具。
【請求項2】
請求項1に記載のスプリンクラーヘッド取付具において、
前記チーズの中間端部の雄ねじ部をメカニカル継手としたことを特徴とするスプリンクラーヘッド取付具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスプリンクラーヘッド取付具において、
前記チーズの中間の端部に接続される給水管として、薄肉金属管の内側に架橋ポリエチレン層を形成するとともに、前記薄肉金属管の外側にポリエチレン層を形成したスプリンクラー用巻き出し管を用いたことを特徴とするスプリンクラーヘッド取付具。
【請求項4】
請求項3に記載のスプリンクラーヘッド取付具において、
前記薄肉金属管の外側のポリエチレン層は難燃性を増大するフィラーを混入したポリエチレンよりなることを特徴とするスプリンクラーヘッド取付具。
【請求項5】
請求項3または4に記載のスプリンクラーヘッド取付具において、
前記薄肉金属管の外側のポリエチレン層の外表面に耐火塗料を塗布したことを特徴とするスプリンクラーヘッド取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−263(P2010−263A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162698(P2008−162698)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(592049863)株式会社防災企画 (4)
【Fターム(参考)】