説明

スプレーノズル

【課題】固化する可能性のある流体を噴射するスプレーノズルにおいて、煩雑な作業や制御を行うことを必要としないで目詰まりを防止する。
【解決手段】第1の流体を噴射するための第1の噴射孔(45)と、第2の流体を噴射するための第2の噴射孔(184)と、第1の流体が流入する第1の流体入口(231)と、第1の流体入口に流体連絡していて且つ第1の流体が流出する第1の流体出口(232)と、第1の噴射孔を開閉可能な、ニードル(7)とを具備する2流体噴射のスプレーノズル(1)が開示される。第1の噴射孔が、閉じられている時においても、第1の流体は、スプレーノズルと第1の流体の供給源との間で循環する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を噴射するためのスプレーノズルに係り、より特別には、ダイカスト鋳造において離型剤を金型に噴射するため等の2種類の流体を混合して噴射するためのスプレーノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の流体を噴射するためのスプレーノズルは、様々な分野において使用されている。その用途は、例えば、塗装のように流体を対象物に塗布するもの、清浄のために対象物に対して流体を噴射するもの、燃料噴射のように化学又は物理反応のために流体を噴射するもの等、実に広範である。また、2種類の流体を混合して噴射するスプレーノズルも一般的に使用されており、噴射流体を霧状にして噴射するために、空気等の気体を液体と混合して噴射するタイプはやはり広く使用されている。
【0003】
その様なスプレーノズルの1つの用途として、アルミニウム等の金属の鋳造を行うダイカストマシンにおいて、金型から製品を取り出し易くするために離型剤を金型表面に塗布したり、あるいは、射出スリーブ内にアルミニウム等の凝固物が付着しないように離型材を塗布する必要があり、この用途に2流体噴射式のスプレーノズルが一般的に使用されてきた。離型剤としては、例えば、溶剤としての水に炭素粉等を混合したものが使用されており、スプレーノズルにより空気を噴射する際に離型剤を一所に吐出して混合し、霧状にして金型や射出スリーブ内に噴射して塗布する。
【0004】
流体を霧状にして噴射するスプレーノズルの一般的なタイプの1つに、複数の細孔から噴射するものがある。この様なスプレーノズルにおいては、噴射孔が細孔であるため目詰まりの問題が発生する。ダイカストマシンの離型剤噴射用スプレーノズルについても目詰まりの問題があり、目詰まりの発生しないスプレーノズルの開発のために様々な案が提示されてきた。
【0005】
図6及び7は、ダイカスト鋳造方法において離型剤の噴射に使用される従来のスプレーノズル50を示しており、図6は、図式的側断面図であり、図7は、図6の左方向から見た頂面図である。従来のスプレーノズル50は、本体2と、本体2の内部に設けられた流体通路25に設置される液ノズル21と、本体2の先端に取り付けられるノズル18と、ノズル18を本体2に取り付けるための内ネジが切られたノズルナット19とを具備する。本体2には、離型剤溶液が供給される入口である液体接続口23と、噴霧空気が供給される入口である空気接続口24と、図6に示すように液体接続口23に直交するように流体連絡していて且つ本体2を縦方向に貫通する流体通路25及び液ノズルねじ込み口26とが設けられる。液体接続口23と空気接続口24は、それぞれ本体2の対向する側面に開けられており、直線上に整列するように設けられるが、本体2の中央部において図6に示すように流体連絡はしない。本体2を縦断貫通する液ノズルねじ込み口26は、ノズル18が設置される側(左側端部)で拡大されており、その反対の側(右側端部)には、閉塞栓としてキャップ20がねじ込まれる。空気接続口24は、直交する通路27に流体連絡し、通路27は、本体2の左側端部で、液ノズル21の周辺に形成された空洞及び通路182に流体接続する。
【0006】
スプレーノズル50の組み立て時において、流体通路25の左側内部の液ノズルねじ込み口26には、液ノズル21が配置され、本体2の左端部には、キャップ19をねじ込むことにより、ノズル18の右側のフランジ部が本体2に対して固定される。液ノズル21の中央を縦方向に貫通する中央通路211は、流体通路25を介して流体接続口23に流体連絡し(図6に示すように、右側で)、その左側で、ノズルの中央に設けられたノズル通路182に流体連絡する。液ノズル21が液ノズルねじ込み口26に設置されることにより、図6に示すように液ノズル21の外側には、液ノズル21を取り囲むように空洞が形成され、この空洞は前述するように、通路27を介して空気接続口24に流体連絡する。
【0007】
流体接続口23には、配管31が接続しており、配管31には離型剤の供給を断続するための電磁弁32が設けられており、空気接続口23には、配管33が接続しており、配管33には空気の供給を断続するための電磁弁34が設けられる。各要素が組み立てられた図6を見れば分るように、電磁弁32,34を開けると、流体接続口23から離型剤が供給され、空気接続口24から、空気が供給されて、ノズル18のノズル通路182でこれらの流体が混合され、ノズル18に設けられた噴孔181から2流体混合流が噴射する。
【0008】
ダイカストによる金属鋳造成形において、工程は、成形−型開き−製品取り出し−離型剤噴射−型閉じ−成形の手順が繰り返され、この工程が連続的に実施された場合においても、離型剤噴射手順から次の離型剤噴射手順まで少なくとも1〜2分の待ち時間が生じる。スプレーノズルは、高温の金型付近で待機するため、スプレーノズルの先端に残っている離型剤に含まれる水分が蒸発しやすく、特には液ノズル21の先端部に離型剤が残ってしまい、離型剤が固化することが多い。このように従来のスプレーノズルでは、離型剤による目詰まりの問題があった。また、目詰まりが一旦発生すると、スプレーノズルの保守が必要になり、その際金型の温度が高いことから火傷などの危険を伴うことがあった。また、例えば、塗装等に使用される別のスプレーノズルに関しても、同様な目詰まりの問題が存在する。スプレーノズルの目詰まりの原因として、(1)ノズル内の残液が乾燥し、その固まりが成長して流路を塞ぐ、(2)液と空気の混合をノズル内で行うため、その混合部で詰まりが発生し易い、(3)ノズルのセルフクリーニング機構が無い、等が挙げられる。
【0009】
この様な目詰まりを防止する方法として、待機中に、スプレーノズルを洗浄液のタンクに漬けておくことは、一般的に実施されている目詰まり防止方法であるが、洗浄液の管理が必要であり、また洗浄後の乾燥工程が必要となり、そのための作業及び人員が増え、漬ける作業を忘れたり、遅れると不具合が生じてしまい、十分満足できる対処方法ではない。また従来提案された案がある(例えば、特許文献1参照)。この案では、金型表面温度を低くするように調整し、且つ待機中にスプレーノズルを水で洗浄する。しかし、この案では、金型表面温度を調整する制御又は作業や、スプレーノズルの洗浄作業が必要であり、これらの作業の手間が煩雑であり、又そのための装置や制御装置が必要になるためコストアップを生じる。
【0010】
また、目詰まり対策として別の案が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この案では、離型剤と空気の混合をスプレーノズルの外側で行うことにより、特にはスプレーノズルの先端部の噴孔の目詰まりを防止しようというものであるが、スプレーノズル内に離型剤は滞留するので、目詰まりが生じる可能性を充分に排除できるものではない。
【0011】
【特許文献1】特開2001−162212
【特許文献2】特開平7−88596
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、固化する可能性のある流体を噴射するスプレーノズルにおいて、煩雑な作業や制御を行うことを必要としないで、従来技術において生じていた目詰まりを防止可能である、スプレーノズル及びその様なスプレーノズルを使用したスプレー方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明のその他の目的は、特には、ダイカストマシンによる鋳造において、離型剤の目詰まりを防止可能なスプレーノズル及びその様なスプレーノズルを使用したスプレー方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の形態では、上述した目的を達成するために、2種類の流体を混合して噴射するスプレーノズル(1)であって、第1の流体を噴射するための少なくとも1つの第1の噴射孔(45)と、第2の流体を噴射するための少なくとも1つの第2の噴射孔(184)と、第1の流体がスプレーノズル(1)に流入する第1の流体入口(231)と、第1の流体入口(231)に流体連絡していて且つ第1の流体がスプレーノズル(1)から流出する第1の流体出口(232)と、第1の噴射孔(45)を開閉可能な、ニードル(7)とを具備するスプレーノズルが開示される。第1の噴射孔(45)が、ニードル(7)により閉じられている時においても、第1の流体は、第1の流体入口(231)から第1の流体出口(232)へと流れて、スプレーノズル(1)と第1の流体の供給源との間で第1の流体は循環することを特徴とする。
【0015】
第1の噴射孔(45)を開閉する、ニードル(7)の先端(71)の外径は、第1の噴射孔(45)の内径より少し小さく形成されており、第1の噴射孔(45)の閉鎖時には、先端(71)は、第1の噴射孔(45)を貫通し、第1の噴射孔(45)の開放時には、先端(71)は、第1の噴射孔(45)から抜け出て、第1の噴射孔(45)から間隔を開けて離れることが好ましい。
また、第1の流体と第2の流体は、スプレーノズルの外部で混合されることが更に好ましい。
【0016】
ニードル(7)は、第1の噴射孔(45)に近づいたり又は離れるように直線的に往復動可能であり、ニードル(7)の先端(71)と反対側の端部はピストン(5)に接続しており、ピストン(5)が、スプレーノズル(1)に形成されたシリンダ(29)内で往復動するように駆動されることにより、ニードル(7)は第1の噴射孔(45)を開閉する。
【0017】
スプレーノズル(1)は、本体(2)を具備しており、本体(2)を縦方向に貫通する通路(25)が本体(2)内に形成されており、通路(25)は、一方の端部で第1の噴射孔(45)に接続しており、もう一方の端部でシリンダ(29)を形成する中空の室(28)に接続する。通路(25)内には、ニードル(7)が配置されており、第1の流体入口(231)と第1の流体出口(232)は共に、通路(25)に流体接続する。
本体(2)の先端には、第1の噴射孔(45)が形成される突起(41)が設けられており、スプレーノズル(1)は、突起(41)を覆うように被せられたノズル(18)を更に具備する。ノズル(18)は、第1の噴射孔(45)に整列するように開口する噴孔(181、182)を具備しており、ノズル(18)の内面は、突起(41)の先端面に接触する。
【0018】
本発明の第2の形態では、第1と第2の2種類の流体を混合して噴射するスプレーノズル(1)を用いる流体のスプレー方法が開示されており、この方法は、流体噴射動作を行わない時は、第1の流体を噴射する第1の噴射孔(45)を閉塞し、第1の流体を、スプレーノズルにおける第1の流体の入口(231)から第1の流体の出口(232)へ常時流す手順を具備する。
【0019】
本発明の第1と第2の形態において、第1の流体は、ダイカスト鋳造において使用される離型剤であり、第2の流体は空気である。
【発明の効果】
【0020】
離型剤等の第1の流体をスプレーノズルとタンク間で常に循環させるように構成することにより、スプレーノズル内の残液が乾燥して固まり更に成長して流路を塞ぐことを防止して、スプレーノズルの目詰まりを防止する。
第1の流体と空気等の第2の流体との混合をノズル外で行うように構成することにより、スプレーノズル内に第1と第2の流体の混合部がなくなるので、詰まりが発生し易い原因が除去される。上記の様な第1の流体を循環させる構成により、スプレーノズルのセルフクリーニング機構が設けられた効果が発揮されるので、目詰まりが防止される。
ニードル(7)の先端(71)が噴射孔(45)内を摺動する際に、噴射孔(45)に固着した第1の流体を削ぎ落とすので、セルフクリーニング効果が発揮されるので、目詰まりが防止される。
【0021】
上記の本発明の説明において、カッコ()内の記号又は数字は、以下に示す実施の形態との対応を示すために添付される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態の装置を詳細に説明する。図1から5は、本発明に係るスプレーノズルの一実施の形態を図解的に示しており、図1は本発明の一実施の形態のスプレーノズル1の概略的な構成を示す側断面図であり、図2は、図1のスプレーノズル1を左側から見た頂面図であり、図3は、図1のスプレーノズル1を右側から見た底面図であり、図4は、図1における線A−Aの断面図であり、図5は、図1と同様な断面図であるが、離型剤否噴射時(噴射しない時)の状態を示す(図1は、離型剤噴射時の状態を示す)。
【0023】
まず図1及び4を参照すると、本発明の一実施の形態のスプレーノズル1は、図4において最も良く分るように十字形状である本体2と、本体2の先端側(図1において左側)において本体2にねじ込まれて固定されるノズル18と、本体2の底部側(図1において右側)にやはりねじ込まれて固定されるキャップ11と、本体2を長手方向に貫通するように設けられた通路25内に設置されるニードル7とを具備する。また、本体2の側面には、対向するように第1のアダプター13と第2のアダプター16が取り付けられており、第1のアダプター13と第2のアダプター16は、液体(即ち、離型剤)接続口(入口及び出口)231と232を提供する。ノズル18及びキャップ11は共に、本体2にねじ込まれて固定されるように上記で説明されたが、例えば、ボルト止めや、上記の従来例のノズルナットのような既知の別な手段で固定されても良い。この場合において、ノズル18は、本体2に対して密封状態で取り付けられる必要がある。
【0024】
本体2の底部側には、通路25に連通していて且つ通路25の径が拡大された室28が設けられており、一方キャップ11の内部は空洞111が形成されている。キャップ11と本体2が組み立てられると、室28と空洞111は、お互いに連続していて且つ一般的に円形が好ましいシリンダ29を形成する。このシリンダ29内には、摺動自在にピストン5が配置され、更にピストン5のキャップ側(図1において右側)には、ピストン5を先端方向(図1において左方向)に付勢するスプリング9が配置される。ピストン5は、ボルト8により、ニードル7に連結される。円形が好ましいピストン5の側面周囲には溝が設けられ、この溝には、少なくとも1つのフッ素ゴムで形成されることが好ましいシールリング6が装着されて、ピストン5がシリンダ29内で摺動する際に、ピストン5の左右の空間を分離するシールとして作用する。通路25及び室28は、本体2の中心軸と同軸であることが好ましいが、同軸でなくても良い。図1に示すように、キャップ11は、エア抜きのための孔112を具備する。
【0025】
図4を参照してよく分るように、本体2の側部は共に対向するように突き出ており、そこにそれぞれ噴霧空気接続口24と、パイロット空気接続口242が設けられる。噴霧空気接続口24から始まる空気の流路は、通路243を介して本体2の先端面で開口する。一方、パイロット空気接続口242から始まる流路は、通路244を介して室28に開口する。本体2の先端面には、図1に示すように、好適には円錐状の突起41が本体2の中心軸と同軸で設けられる。通路25は、先端部で細くなって突起41の開口45に接続する。ニードル7の先端71は、縮径された円柱状であり、その外径は開口45の内径より少し小さい。従って、ニードル7の先端71は、開口45を貫通して通過可能である。噴霧空気接続口24は、前述した従来例と同様に、配管33及び配管に設置された電磁弁34等の開閉弁を介して空気供給源に接続する。パイロット空気接続口242はやはり、配管35及び配管に設置された電磁弁36等の開閉弁を介してパイロット空気供給源に接続する。空気供給源とパイロット空気供給源の圧力は、同じであっても、異なっていてもいずれでも良く、あるいは同じ供給源に接続して、減圧弁等を介して分離されても良い。
【0026】
本実施の形態においては、本体2の、空気関係の接続口24,242を結ぶ方向に実質的に直交する方向の側面に第1のアダプター13と第2のアダプター16が、ボルト止め等の当業者に既知の手段により固定される。第1のアダプター13には、離型剤の入口である液体入口231が設けられており、第2のアダプター16には、液体出口232が設けられる。離型剤は、離型剤のタンク(図示されない)からポンプ(図示されない)等の圧送機器により供給されて、例えば、電磁弁32及び配管31を介して液体入口231からスプレーノズル1内に流入し、流路42を介して通路25に流入する。通路25に流入した離型剤は、開口45へ流れるルートと、流路43を介して液体出口232へ流れるルートに分れるが、いずれに流れるかはオペレーション状態によって変わる。液体出口232へ流れた離型剤はその後、離型剤タンクへ戻る。このように、離型剤は離型剤タンクとスプレーノズル1間で循環可能である。第1のアダプター13と第2のアダプター16の本体2との接合面には、離型剤の流路42,43の周りをシールするようにOリング3が設置されて、離型剤の漏洩を防止する。
【0027】
ノズル18は、内ネジを有するキャップ状の部品であり、図1及び4等に示されるように、本体2の先端に被せるようにねじ込まれて固定される。この際ノズル18の内面は、突起41の先端と接触する。ノズル18の中央には、好適には逆円錐状の噴孔181が、噴孔181に継がる通路182を介して、突起41の開口45に整列して流体連絡するように設けられており、噴孔181から斜め方向にノズル18の内面に開口するように通路184が、図1及び4に示すように設けられている。本実施の形態において、通路184は、4つ設けられているが、これ以外の数であっても良い。
【0028】
ニードル7が設置される、通路25は室28に連通しているため、離型剤は、室28に流入する可能性がある。このためこれを防止するために、ニードル7の中央付近は、その先端部に比べて、より大径の円柱状に形成されており、このニードル7の中央部の周囲の通路25もその径が拡大されており、通路25のこの部分に、図1及び4に示すようにOリング3が配置される。通路25には、Oリング3の移動を防止するように、Oリング押え4がねじ止めされる。Oリング3は、ニードル7に接触して、離型剤の室28への侵入を防止し、Oリング押え4は、ニードル7の摺動を妨げないように構成される。
【0029】
次に本発明の上記の実施の形態のスプレーノズル1の作動について説明する。
図1及び4に、スプレーノズル1が離型剤を噴射する、離型剤噴射時の状態が示されている。離型剤噴射時において、パイロット空気接続口242のラインの電磁弁34が開かれてパイロットエアが供給されるので、ピストン5は、押圧されて、スプリング9に抗して右方向(底部側)へ所定位置まで移動するので、ニードル7の先端71は、突起41の開口45から間隔を開けて離れた位置にある。従って、常時循環している離型剤は、通路25、開口45を介して噴孔181から吐出する。同時に、噴霧空気接続口のラインの電磁弁36も開かれるので、噴霧エアは、通路243から空洞47を経て通路184を介して、噴孔181から噴射するので、噴孔181の外側で離型剤とエアと混合されて、霧状で噴射される。
【0030】
次に、離型剤の噴射が停止される、離型剤否噴射時において、パイロットエアの室28への供給が電磁弁36を閉じることにより停止され、室28の空気も抜かれるので、スプリング9により付勢されて、ピストン5は左方向に移動する。これにより、ニードル7も左方向に移動し、図5に示すように、開口45をニードル7の先端71が閉塞するので、噴孔181からの離型剤の噴射は停止する。また、噴霧エアも噴霧空気接続口24へのラインの電磁弁34が閉じられるので供給が停止されて、噴孔181からの離型剤及びエアの噴射は停止する。一方、離型剤は、流され続けて、離型剤タンクとスプレーノズル1間で循環し続ける。このため、離型剤がスプレーノズル1内で固化することはない。また、開口45及び噴孔181に離型剤が固化して付着したとしても、ニードル7の先端71が開口45及び噴孔181を貫通して移動することにより、付着した離型剤は削ぎ落とされる。
【0031】
次に上記実施の形態の効果及び作用について説明する。
本発明の一実施の形態のスプレーノズルにより以下の効果が期待できる。
・離型剤をスプレーノズルと離型剤タンク間で常に循環させるように構成することにより、スプレーノズル内の残液が乾燥して固まり更に成長して流路を塞ぐことを防止して、スプレーノズルの目詰まりを防止する。
・離型剤と空気の混合をノズル外で行うように構成することにより、スプレーノズル内に離型剤と空気の混合部がなくなるので、詰まりが発生し易い原因が除去される。
・上記の様な離型剤を循環させる構成により、スプレーノズルのセルフクリーニング機構が設けられた効果が発揮されるので、目詰まりが防止される。
・ニードル7の先端71がノズル18の噴孔181等を摺動する際に、離型剤が噴孔に固着していたとしても、それらを削ぎ落とすので、セルフクリーニング効果が発揮されるので、目詰まりが防止される。
【0032】
上記の説明において、本発明のスプレーノズルは、ダイカストマシンの金型に離型剤を噴射するためのノズルとして記載されたが、本発明のスプレーノズルの用途対象はダイカストマシン用に限定するものではなく、該スプレーノズルが、例えば塗装用等のこれ以外の用途において使用されるスプレーノズルであっても良い。
【0033】
また、上記において記載した、あるいは添付図面に示した実施の形態のスプレーノズルにおいて、複数の構成要素により構成されていることから、これらの構成要素の接続部において必要なシール(密封)部の詳細又はシール自体について、説明の簡略化のため省略しているものがある。従って、実際には、本発明のスプレーノズルにおいて、必要なシール及び関連する要素等が追加的に組み込まれても良い。
【0034】
上記の実施の形態のスプレーノズルは、本体、第1と第2のアダプター、ノズル、キャップ等の構成要素に分割され、これらの構成要素が組み立てられて、スプレーノズルを形成するが、構成要素の分割方法は、この実施の形態の例に限定されない。即ち、本発明のスプレーノズルは、例えば、流体通路等の位置配置等によって、更に細かく分割されても良く、あるいは統合されて、一体の部分が増やされても良い。
【0035】
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は、該実施の形態により制限されるものではなく、請求項に記載される事項によってのみ規定されており、上記以外の実施の形態も実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態のスプレーノズルの概略的な構成を示す図式的側断面図であり、離型剤噴射時の状態を示す。
【図2】図2は、図1のスプレーノズルを左側から見た頂面図である。
【図3】図3は、図1のスプレーノズルを右側から見た底面図である。
【図4】図4は、図1における線A−Aの断面図である。
【図5】図5は、図1と同様な断面図であるが、離型剤否噴射時の状態を示す。
【図6】図6は、ダイカスト鋳造方法において離型剤の噴射に使用される従来のスプレーノズルの図式的側断面図である。
【図7】図7は、図6のスプレーノズルを左方向から見た頂面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 スプレーノズル
2 本体
5 ピストン
6 シールリング
7 ニードル
9 スプリング
11 キャップ
13 第1のアダプター
16 第2のアダプター
18 ノズル
24 噴霧空気接続口
25 流体通路
28 室
29 シリンダ
41 突起
45 開口(噴射孔)
71 先端
181 噴孔
182 通路(噴孔)
184 通路(噴射孔)
231 液体入口(第1の流体入口)
232 液体出口(第1の流体出口)
242 パイロット空気接続口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類の流体を混合して噴射するスプレーノズル(1)であって、
第1の流体を噴射するための少なくとも1つの第1の噴射孔(45)と、
第2の流体を噴射するための少なくとも1つの第2の噴射孔(184)と、
前記第1の流体がスプレーノズル(1)に流入する第1の流体入口(231)と、
前記第1の流体入口(231)に流体連絡していて且つ前記第1の流体がスプレーノズル(1)から流出する第1の流体出口(232)と、
前記第1の噴射孔(45)を開閉可能な、ニードル(7)と、
を具備するスプレーノズルにおいて、
前記第1の噴射孔(45)が、前記ニードル(7)により閉じられている時においても、前記第1の流体は、前記第1の流体入口(231)から前記第1の流体出口(232)へと流れており、該スプレーノズル(1)と前記第1の流体の供給源との間で前記第1の流体は循環する、ことを特徴とするスプレーノズル。
【請求項2】
前記第1の噴射孔(45)を開閉する、前記ニードル(7)の先端(71)の外径は、前記第1の噴射孔(45)の内径より少し小さく形成されており、前記第1の噴射孔(45)の閉鎖時には、前記先端(71)は、前記第1の噴射孔(45)を貫通し、前記第1の噴射孔(45)の開放時には、前記先端(71)は、前記第1の噴射孔(45)から抜け出て、前記第1の噴射孔(45)から間隔を開けて離れることを特徴とする請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項3】
前記第1の流体と前記第2の流体は、前記スプレーノズルの外部で混合されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプレーノズル。
【請求項4】
前記ニードル(7)は、前記第1の噴射孔(45)に近づいたり又は離れるように直線的に往復動可能であり、前記ニードル(7)の前記先端(71)と反対側の端部はピストン(5)に接続しており、前記ピストン(5)が、前記スプレーノズル(1)に形成されたシリンダ(29)内で往復動するように駆動されることにより、前記ニードル(7)は前記第1の噴射孔(45)を開閉することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスプレーノズル。
【請求項5】
前記スプレーノズル(1)は、本体(2)を具備しており、
前記本体(2)を縦方向に貫通する通路(25)が前記本体(2)内に形成されており、
前記通路(25)は、一方の端部で前記第1の噴射孔(45)に接続しており、もう一方の端部で前記シリンダ(29)の少なくとも一部を形成する中空の室(28)に接続しており、
前記通路(25)内には、前記ニードル(7)が配置されており、
前記第1の流体入口(231)と前記第1の流体出口(232)は共に、前記通路(25)に流体接続する、ことを特徴とする請求項4に記載のスプレーノズル。
【請求項6】
前記本体(2)の先端には、前記第1の噴射孔(45)が形成される突起(41)が設けられており、
前記スプレーノズル(1)は、前記突起(41)を覆うように被せられたノズル(18)を更に具備しており、
前記ノズル(18)は、前記第1の噴射孔(45)に整列するように開口する噴孔(181、182)を具備しており、
前記ノズル(18)の内面は、前記突起(41)の先端面に接触する、ことを特徴とする請求項5に記載のスプレーノズル。
【請求項7】
前記第1の流体は、ダイカスト鋳造において使用される離型剤であり、前記第2の流体は、空気であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のスプレーノズル。
【請求項8】
第1と第2の2種類の流体を混合して噴射するスプレーノズル(1)を用いる流体のスプレー方法であって、
流体噴射動作を行わない時は、第1の流体を噴射する第1の噴射孔(45)を閉塞し、
前記第1の流体を、第1の流体のスプレーノズルへの流入口である第1の流体入口(231)から、第1の流体のスプレーノズルからの流出口である第1の流体出口(232)へ常時流す手順を具備する、ことを特徴とするスプレー方法。
【請求項9】
前記第1の流体は、ダイカスト鋳造において使用される離型剤であり、前記第2の流体は、空気であることを特徴とする請求項8に記載のスプレー方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−119352(P2009−119352A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295349(P2007−295349)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【出願人】(591124293)東海合金工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】