説明

スプレー缶操作具

【課題】 簡単な操作でスプレー缶の押下部を押下することができるスプレー缶操作具と、このスプレー缶操作具を備えたスプレー缶を提供する。
【解決手段】 スプレー缶操作具3は、缶体5の裏側にレバー40の操作端40bが配置される。この操作端40bが配置される位置は、人指し指を含む全ての指でスプレー缶1の缶体5を手で自然に掴んだときに、人指し指を引っ掛けやすい位置である。また、このスプレー缶操作具3は、レバー40の操作端40bを操作すると、テコの原理により、押下部6が押下される。従ってこのスプレー缶操作具3を用いると、操作端40bを操作することで押下部6を簡単に押下でき、しかも、テコの原理により小さい力で押下部6を楽に押下することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレー缶の押下部を操作するスプレー缶操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スプレー缶100は、図3に示すように、噴射物を収納する缶体150の頭頂部151に、噴射物を噴射するノズル161を備えた押下部160を備えている。
この押下部160は、押下されると、缶体150に収納された噴射物を押下方向に対して垂直な方向にノズル161から噴射する。
【0003】
このスプレー缶100を、顔につける化粧料を噴霧するものとして用いる場合、スプレー缶100は、次のようにして操作される。
まず、スプレー缶100の手前側に親指が回され、スプレー缶100の裏側に小指、薬指、中指が回されて、スプレー缶100がつかまれる。次に、スプレー缶100を顔の手前まで手でつかんで運び、それとともにノズル161を顔に向ける。そして、人指し指を押下部160の頭頂部162に添える。そして、人差し指で押下部160を押下すると、噴射物である化粧料が顔に向かって噴射される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スプレー缶100を、上述したような顔につける化粧料を噴霧するものとして用いる場合、スプレー缶100をつかむ他の指とは異なる方向に人指し指を向けるために、押下部160を操作し難い上に、人指し指に無理な力がかかってしまって、手が疲れるという問題があった。
【0005】
そこで本発明では、上述した問題点を解決し、簡単な操作でスプレー缶の押下部を押下することができるスプレー缶操作具と、このスプレー缶操作具を備えたスプレー缶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するためになされた発明である請求項1に記載のスプレー缶操作具は、噴射物を収納する缶体に対し、前記噴射物を噴射する押下位置から、前記噴射物の噴射を行わない非押下位置まで移動可能に取り付けられるとともに、前記移動の方向に対して略垂直な方向に噴射物を噴射するノズルを備える押下部、及び、前記押下部を前記押下位置から前記非押下位置に向かって付勢する付勢手段を備えるスプレー缶に取り付けられ、
前記押下部を操作するスプレー缶操作具であって、前記押下部からみて、前記ノズルが前記噴射物を噴射する表側とは反対側の裏側に操作端が配置されると共に、前記噴射物が噴射される噴射方向に沿って前記操作端が揺動するように、他端が支持され、前記操作端を前記噴射方向に移動させると、前記他端を支点、前記操作端を力点として前記押下部をテコの原理により前記非押下位置から前記押下位置に向かって押下する作用部が、前記操作端と前記他端との間に設けられたレバーを備えることを特徴とする。
【0007】
このスプレー缶操作具は、押下部から見てノズルが噴射物を排出する表側とは反対側の裏側にレバーの操作端が配置される。この操作端が配置される位置は、人指し指を含む全ての指でスプレー缶の缶体を手で自然に掴んだときに、人指し指を自然に配置できる位置である。
【0008】
また、このスプレー缶操作具は、レバーの操作端を操作すると、テコの原理により、押下部が押下される。そのため、操作部を操作すれば、少ない力でスプレー缶の押下部を押下される。
【0009】
従ってこのスプレー缶操作具を用いると、スプレー缶をつかんだときに、人指し指を自然に配置できる位置に操作部が配置されるので、この操作部を操作することで押圧部を簡単に押下でき、しかも、テコの原理により小さい力で押下部を楽に押下することができる。
【0010】
次に、スプレー缶操作具は、レバー部を支持する構成はどのような構成でもよいが、例えば、請求項2に記載されているように、押下部を覆うカバーを備え、このカバーの内部で、レバーの他端を揺動可能に支持するようにしてもよい、この場合、カバーは、ノズルと対向する部分、及び、レバーの操作端を、カバーの外側に通す部分とが開口したものを用いることが好ましい。
【0011】
尚、請求項3に記載したように、レバーは、その操作端が缶体の裏側まで延設されているとより好ましい。この位置(缶体の裏側)は、缶体を握っている手の人指を引っ掛けやすい位置なので、この位置までレバーを延設すれば、人指し指をレバーに引っ掛けるだけの簡単な操作で、レバーを操作することができる。
【0012】
また、請求項4に記載したように、上述したスプレー缶操作具を用いてスプレー缶を構成すれば、このスプレー缶は、簡単な操作で楽に押下部を操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のスプレー缶操作具を備えたスプレー缶の斜視図、図2は、スプレー缶操作具の動作を説明するために必要な構成を示したスプレー缶操作具とスプレー缶の模式図である。
【0014】
尚、以下の説明で、缶体5に対し押下部6が設けられる方向を上方と呼ぶ。
本実施形態で用いられるスプレー缶1は、スプレー缶操作具3、缶体5と、押下部6とを備えている。
[1.缶体5]
缶体5は、側面50が略円筒状に形成され、この側面50の軸方向一端側の開口は、図示しない底面部材によって閉じられ、この側面50の軸方向他端側の開口も、頭頂部材52によって閉じられている。
【0015】
このうち 頭頂部材52は、側面50に対し、その縁部をかしめて取り付けられ、缶体5に対して突出した円錐台状に形成されている。
この缶体5内には、噴射物である化粧料と、この化粧料を噴射するための噴射ガスとが収納されている。
[2.押下部6]
押下部6は、頭頂部材52の頂上面52aから立設され、押下部6の上方に配置されている。この押下部6は、頂上面52aに比べて小径の円柱形状に形成されており、この押下部6の中心軸が、缶体5の側面50の軸を通る基準軸と重なる位置に配置されている。
【0016】
また、この押下部6は、押下部6の缶体5側の底面から頂上面52aに向かって、基準軸上を基準軸に沿って延設された移動管60を備えている。この移動管60は、缶体5の内部に収納された噴射物を押下部6に導く管である。
【0017】
さらに、押下部6は、中心軸周りの周囲側面にノズル62を備えている。このノズル62は、缶体50内に収納され、移動管60を介して押下部6に導かれた噴射物を噴射するものである。このノズルは、基準軸(押下部が移動する方向)に対して、略垂直な方向に噴射物を噴射する。
【0018】
そして、この押下部6は、図2に示すように、缶体5から最も離れた位置である非押下位置から、この非押下位置よりも缶体5側の所定の押下位置(点線で示した位置)まで、移動管60とともに移動可能に缶体5に支持されている。また、この押下部6は、缶体5内に設けられたバネ54(付勢手段に相当)によって、移動管60を介して押下位置から非押下位置に向かって付勢されている。
【0019】
このように構成されたスプレー缶1では、押下部6を非押下位置から押下位置に、バネ54の付勢力に逆らって押し込むと、缶体5内に収納された噴射物である化粧料が、移動管60内を通って、ノズル62から噴出される。
[3.スプレー缶操作具3]
スプレー缶操作具3は、図1に示すように、カバー30と、レバー40とを備えている。
【0020】
カバー30は、缶体5の頭頂部52及び押下部6を覆う円錐台状に形成され、透明な材料で形成されている。このカバー30は、このカバー30の軸と基準軸とが重なるように、缶体5の頭頂部52側に取り付けられている。
【0021】
また、このカバー30は、その内部にレバー40を揺動可能に支持する支持軸32を備えている。この支持軸32は、押下部6の上方であって、ノズル62の略真上当たりに設けられている。
【0022】
さらに、このカバー30は、ノズル62と対向する表側部分に開口30aが設けられている。また、このカバー30は、ノズル62と対向する表側部分とは反対の裏側部分には、レバー40の操作端を、カバー30の外側に通す開口30bが設けられている。
【0023】
レバー40は、他端40aが、カバー30内の支持軸32に支持され、この支持軸32から押下部6の上方を通り、カバー30の裏側部分の開口30bを通って、カバー30の外部まで延設されている。このときレバー40の他端である操作端40bは、押下部6からみて、ノズル62が噴射物を排出する表側とは反対側の裏側であって、缶体5の裏側の側面50と対向する位置に配置される。
【0024】
このようにレバー40がカバー30に取り付けられると、レバー40は、図2中点線で示すレバー40のように、操作端40bが、噴射物がノズル62から噴射される噴射方向βに沿って揺動する。
【0025】
またこのレバー40は、操作端40bと他端40aとの間であって、押下部6の上方部分に、押下部6に向かって突設された作用部40cを備えている。
このように形成されたレバー40の操作端40bを噴射方向に移動させると、他端40aを支点、操作端40bを力点として、図2中の点線で示す押下部6のように、作用部40cが押下部6をテコの原理により押下される。
[4.実施形態に係るスプレー缶の特徴]
本実施形態のスプレー缶1に取り付けられたスプレー缶操作具3は、押下部6から見てノズル62が噴射物を排出する表側とは反対側の裏側であって缶体5の裏側にレバー40の操作端40bが配置される。この操作端40bが配置される位置は、人指し指を含む全ての指でスプレー缶1の缶体5を手で自然に掴んだときに、人指し指を自然に配置でき、缶体5を握っている手の人指し指を引っ掛けやすい位置である。
【0026】
また、このスプレー缶操作具3は、レバー40の操作端40bを操作すると、テコの原理により、押下部6が押下される。そのため、操作端40bを操作すれば、少ない力でスプレー缶1の押下部6を押下することができる、
従ってこのスプレー缶操作具3を用いると、スプレー缶1をつかんだときに、人指し指を自然に配置でき、しかも、自然に引っ掛けられる位置に操作端40bが配置されるので、この操作端40bを操作することで押下部6を簡単に押下でき、しかも、テコの原理により小さい力で押下部6を楽に押下することができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態のスプレー缶操作具を備えたスプレー缶の斜視図である。
【図2】スプレー缶操作具の動作を説明するために必要な構成を示したスプレー缶操作具とスプレー缶の模式図である。
【図3】従来のスプレー缶の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1…スプレー缶 3…スプレー缶操作具 5…缶体 6…押下部 30…カバー 32…支持軸 40…レバー 40a…他端 40b…操作端 40c…作用部 50…側面 52…頭頂部材 52a…頂上面 54…バネ 60…移動管 62…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射物を収納する缶体に対し、前記噴射物を噴射する押下位置から、前記噴射物の噴射を行わない非押下位置まで移動可能に取り付けられるとともに、前記移動の方向に対して略垂直な方向に噴射物を噴射するノズルを備える押下部、及び、前記押下部を前記押下位置から前記非押下位置に向かって付勢する付勢手段を備えるスプレー缶に取り付けられ、
前記押下部を操作するスプレー缶操作具であって、
前記押下部からみて、前記ノズルが前記噴射物を噴射する表側とは反対側の裏側に操作端が配置されると共に、前記噴射物が噴射される噴射方向に沿って前記操作端が揺動するように、他端が支持され、
前記操作端を前記噴射方向に移動させると、前記他端を支点、前記操作端を力点として前記押下部をテコの原理により前記非押下位置から前記押下位置に向かって押下する作用部が、前記操作端と前記他端との間に設けられたレバーを備えることを特徴とするスプレー缶操作具。
【請求項2】
請求項1に記載のスプレー缶操作具において、
前記押下部を覆うと共に、前記レバーの他端を内部で揺動可能に支持するカバーを備え、
前記カバーは、前記ノズルと対向する部分、及び、前記レバーの前記操作端を、前記カバーの外側に通す部分とが開口していることを特徴とするスプレー缶操作具。
【請求項3】
請求項1に記載のスプレー缶操作具において、
前記レバーは、その操作端が前記缶体の前記裏側まで延設されていることを特徴とするスプレー缶操作具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のスプレー缶操作具を備えることを特徴とするスプレー缶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−23920(P2010−23920A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191255(P2008−191255)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(598086316)株式会社エー・アイ・システムプロダクト (11)
【Fターム(参考)】