説明

スポットライト

【課題】スポットライトにおいて、光照射方向の変更構造を簡単にし、断線の防止を図る。
【解決手段】スポットライト1は、光源2と、光源2から出射される光を反射する反射鏡3と、光源2を支持するソケットと、ソケットを収容するアーム5とを備える。光源2は、その長手方向の中心軸が反射鏡3の開口面と略平行に配置されている。反射鏡3は、光源2の長手方向の中心軸を中心に回動自在にアーム5に支持されたセード6に固定されている。このため、光源2及びソケットを動かすことなくセード6を回動させるだけで、光照射方向を変更することができる。従って、光照射方向の変更構造を簡単にすることができる。また、光照射方向の変更時に光源2及びソケットは動かないので、ソケットから導出されるリード線がアーム5に収容される場合に、光照射方向の変更に伴うリード線の形状の変化を防ぐことができ、断線の防止を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面等に設置されるスポットライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源と、この光源の光を反射する反射板と、光源を支持するソケットと、反射板を取り付けるための反射板取付部材及び上記のソケットを収容するライト本体と、このライト本体を首振り可能に支持するアームと、このアームの基端部を支持し、天井面や壁面等に取り付けられる基台とを備えたスポットライトが知られている(例えば、特許文献1参照)。このスポットライトにおいて、反射板の形状は凹状であり、この反射板は、内部に挿入される光源を取り囲むように成形されている。上記のアームは、基台に水平回転可能に支持されている。アームの内部には、ソケットと基台内に収容されたトランスとを接続する配線が収容されている。上記構成においては、アームを回転させつつ、ライト本体の首振り角を調整することにより、スポットライトの光照射方向を変更することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ライト本体には、反射板取付部材等の各種部品が含まれ、さらにソケットや反射板が取り付けられているので、ライト本体の首振り角を調整可能にしつつ、ライト本体の自重により首振り角が自然と変化することがないようにライト本体を支持する必要がある。従って、光照射方向を可変にするために複雑な構造が必要になるという問題がある。また、光照射方向変更の度に、ライト本体の首振り角が調整されるので、ライト本体がアームにより支持される箇所で配線の形状が変化することがある。このため、配線が損傷して断線の生じる虞がある。
【特許文献1】特開2002−117701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、光照射方向の変更構造を簡単にすることができ、断線の防止を図ることができるスポットライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光源と、前記光源の光を反射する反射鏡と、前記光源を支持するソケットと、前記ソケットを収容するアームと、を備えたスポットライトにおいて、前記光源は、長手方向の中心軸が前記反射鏡の開口面と略平行に配置され、前記反射鏡は、前記光源の長手方向の中心軸を中心に回動自在に前記アームに支持された回動体に固定されているものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、光源及びソケットを動かすことなく回動体を回動させるだけで、光照射方向を変更することができる。このため、光照射方向の変更構造を簡単にすることができる。また、光照射方向の変更時に光源及びソケットは動かないので、ソケットから導出される配線がアームに収容される場合に、光照射方向の変更に伴う配線の形状の変化を防ぐことができ、断線の防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係るスポットライトについて図面を参照して説明する。図1乃至図3(a)(b)は、本実施形態に係るスポットライト1の構成を示す。このスポットライト1は、例えば天井面等に設置されて吊り下げ固定され、商業空間の商品演出や建築空間の空間演出等のため照明光を対象物に照射する照明装置である。スポットライト1は、光源2と、光源2から出射される光を反射する反射鏡3と、光源2を支持するソケット4と、ソケット4を収容するアーム5と、反射鏡3が固定されるセード6(回動体)と、アーム5を吊り下げる筐体7と、を備える。光源2は、反射鏡3の開口面Pと略平行に配置されている。セード6は、アーム5の下端部に、光源2の長手方向の中心軸を中心に回動自在に支持されている。筐体7には、光源2を点灯させる電子式の安定器8が収容されている。
【0008】
光源2は、例えば、セラミックメタルハライドランプにより構成される。このセラミックメタルハライドランプは背高で、外形が略円柱状であり、その口金は例えばスクリュータイプである。この光源2は、その長手方向が水平方向と略平行になるように配設されている。光源2の構成及び形状は上記に限定されない。
【0009】
反射鏡3は、略円錐台状又は略椀状であり、その径は光源2のバルブ部分の長さより大きい。この反射鏡3には、前面と背面とに開口31、32が設けられている。この前面の開口31は光出射用の開口であり、背面の開口32より径が大きい。背面の開口32は放熱用の開口である。ソケット4は、アーム5の下端部に収容されている。このソケット4には、光源2の口金が固定される。
【0010】
アーム5は、中空筒状体であり、水平部51と、水平部51の一端からこの水平部51と略90度の角度を持って下方に延びる垂直部52とにより構成されている。水平部51の他端には、上方に延びる略円筒状の軸部53が設けられている。この軸部53は筐体本体71の底部に設けられた孔(不図示)に挿し込まれる。また、軸部53は、アーム5の水平回動が可能となるように筐体本体71に固定され、さらに筐体7からの脱落を防止するようにナット等により固定される。
【0011】
垂直部52の下端には、ソケット4を取り付けるためのソケット取付部54が形成されている。このソケット取付部54は、略円筒状の形状を有し、軸部53側で水平部51と略平行な方向に突出している。ソケット取付部54の中心軸は、光源2の長手方向の中心軸と略一致している。ソケット取付部54の先端部では、外周の一部が切欠されており、段差部54aが形成されている。ソケット取付部54は、ソケット4取付時にソケット4を収容する。ソケット4から導出される不図示のリード線(配線)は、このアーム5の内側に収容され、筐体7内の安定器8に導かれる。
【0012】
セード6は、前面が開口した桶状で且つ正面視略円形状のセード本体61と、このセード本体61の前面開口に対応した大きさを有する略環状の前面枠62とにより構成される。セード本体61の大きさは、反射鏡3の大きさに対応しており、セード本体61の径は、光源2のバルブ部分の長さより大きい。セード本体61の背面には、放熱用の開口61aが設けられており、この開口61aの位置は、反射鏡3の放熱用の開口32と対応している。前面枠62は、セード本体61の前面開口への嵌め込み及び回転によりセード本体61への取り付けが可能に構成されている。反射鏡3は、セード本体61の前面開口から嵌め込まれ、固定用バネ9によりセード本体61内部に押し当てられて固定される。このようにしてセード本体61は反射鏡3を内包する。セード本体61の前面開口には、反射鏡3がセード本体61に内包された状態で、前面枠62が取り付けられる。
【0013】
セード本体61の側部には、略円筒状の軸受部61bが貫通して形成されている。この軸受部61bには、アーム5のソケット取付部54が嵌挿される。セード6は、ソケット取付部54が軸受部61bに嵌挿された状態で、ソケット取付部54を軸とした回動が可能となる。従って、ソケット4に光源2が装着された状態で、ソケット取付部54が軸受部61bに嵌挿されたとき、光源2をを動かすことなく、セード6を回動させるだけで光照射方向を上下方向に変更することが可能となる。
【0014】
軸受部61bの内側には、セード6の回動範囲を規制するための突起状の回動ストッパ61cが形成されている。この回動ストッパ61cが、ソケット取付部54の回動時にその段差部54aと当接することにより、セード6の回動範囲が規制される。また、軸受部61bには、ソケット取付部54の外周形状に対応して成形された円弧状の板ばね部材63が配設されている。この板ばね部材63は、セード本体61の前面開口側に設けられており、軸受部61bに挿入されたソケット取付部54をセード本体61の背面側に押圧する。このため、ソケット取付部54の抜け落ち防止及び軸力の確保を図ることができる。
【0015】
筐体7は、上面が開口した筐体本体71と、その開口を塞ぐカバー72とにより構成される。筐体本体71は、安定器8と、配線ダクト(不図示)に接続され、安定器8に給電するプラグ10とを収容する。プラグ10は、配線ダクトの接続を可能にするため、一部が露出するように設けられ、カバー72に固定されている。筐体本体71の底部の略中央には、アーム5の軸部53が嵌挿される孔(不図示)が形成されている。アーム5により導かれたソケット4のリード線は、筐体本体71内で安定器8と接続される。
【0016】
図4は、光源2及び反射鏡3部分の断面構成を示す。光源2は、反射鏡3前方に、また、その長手方向の中心軸L(一点鎖線で示す)が反射鏡3の開口31の開口面P(破線で示す)と略平行になるように配置されている。さらに、光源2は、中心が反射鏡3の焦点位置と重なるように配設されている。
【0017】
図5は、アーム5部分の詳細な構成を示す。アーム5は、ソケット4から導出される配線すなわちリード線41を収容する枠部材5Aと、枠部材5Aの開口を塞ぐカバー5Bとが組み合わされて成る中空筒状体である。枠部材5A及びカバー5Bは、組み合わされた状態で、水平部51、垂直部52、軸部53及びソケット取付部54を構成する。枠部材5Aは、水平部51を構成する部分において、上部が開口しており、縦断面が略コの字状であり、垂直部52を構成する部分においては、側部が開口しており、横断面が略コの字状である。また、枠部材5Aは、軸部53を構成する部分において、その側部が開口しており、ソケット取付部54を構成する部分において、ソケット4の外周側方を取り囲むように略円筒状に形成されており、その両端部が開口している。水平部51、垂直部52、軸部53及びソケット取付部54のソケット4基端側の開口は一続きである。カバー5Bは、この開口を塞ぐように形成されている。枠部材5Aとカバー5Bとは、ねじ等により互いに固定される。
【0018】
図6(a)乃至(c)は、斜め上方、水平方向及び斜め下方に光を照射したときのスポットライト1の様子を示す。スポットライト1においては、セード6を、アーム5のソケット取付部54を軸として垂直方向に回動させることにより、セード6の前面開口の向きが変化すると共に、セード6に固定された反射鏡3の開口31の向きが変わる。このとき、光源2、ソケット4及びアーム5は動かない。反射鏡3の開口31の向きが変化することにより、光の反射方向が変化する。従って、光照射方向が上方向又は下方向に変更される。このため、例えば、セード6の前面開口を斜め上方、水平方向又は前面開口を斜め下方に向けることにより、斜め上方、水平方向又は斜め下方に光を照射することができる。また、アーム5は水平回動自在に筐体7に支持されているので、光照射方向を水平方向に変更することもできる。
【0019】
本実施形態においては、アーム5には、光源2を支持するソケット4が収容され、さらにセード6が回動自在に支持されており、このセード6には反射鏡3が固定されており、光源2及びソケット4を動かすことなくセード6を回動させるだけで、光照射方向を上下方向に変更することができる。このため、光照射方向の変更構造を簡単にすることができる。従って、部品点数の低減やコストの低減、又は容易な組み立てが可能となる。また、光照射方向の上下方向への変更時に光源2及びソケット4は動かないので、光照射方向の変更に伴うリード線41の形状の変化を防ぐことができ、断線の防止を図ることができる。
【0020】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、スポットライト1は、天井面に限定されず、壁面又は床面等に設置可能に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るスポットライトの斜視図。
【図2】上記スポットライトの分解斜視図。
【図3】(a)は上記スポットライトにおいてセードをアームから取り外したときの斜視図、(b)は同スポットライトにおけるアーム部分の斜視図。
【図4】上記スポットライトのセード、反射鏡及び光源部分の横断面図。
【図5】上記スポットライトのアーム部分の分解斜視図。
【図6】(a)は斜め上方への光照射時における上記スポットライト要部を示す斜視図、(b)は水平方向への光照射時における同スポットライト要部を示す斜視図、(c)は斜め下方への光照射時における同スポットライト要部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0022】
1 スポットライト
2 光源
3 反射鏡
4 ソケット
41 リード線
5 アーム
6 セード(回動体)
L 中心軸
P 開口面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源から出射される光を反射する反射鏡と、前記光源を支持するソケットと、前記ソケットを収容するアームと、を備えたスポットライトにおいて、
前記光源は、その長手方向の中心軸が前記反射鏡の開口面と略平行に配置され、
前記反射鏡は、前記光源の長手方向の中心軸を中心に回動自在に前記アームに支持された回動体に固定されていることを特徴とするスポットライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−293876(P2008−293876A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140213(P2007−140213)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】