説明

スライド式スリーブカートンブランク

【課題】内箱底面の引き出し側端部に一定幅の箱型補強部を形成する場合に、外観性のよいカートンブランクを開発する。
【解決手段】外箱内に引き出し自在に収納される内箱Xにおいて、該内箱底面の引き出し側端部に連設させた立ち上り板4および内方に向けて折り曲げる一定幅の天板5、支え板6および底面板1に対し、該底面板の中央方向に向けて折り曲げ当接させる接着片7を順設するとともに、底面板には先端(自由端)を上記支え板下端の接着片方向に向け、支え板下端の接着片との折り曲げ部近くに係止可能に先端を浮上させる位置決め爪11を設けてなる。これにより引き出し側に一定幅の箱型補強部を有する内箱を組み立てる際に、体裁がよく、またあらかじめ底面部に設けた位置決め爪を底面部の下側からその自由端側を押圧して僅かに浮上させておくことにより、これに突き当たって底面板上に接着片を正確かつ確実な安定位置に押圧接着させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブ外箱と、該外箱内に引き出し可能に収納されるところの内部に菓子類等を収容するための内箱とからなるスライド式スリーブカートンのブランクに関し、内箱内の引き出し側端部を順次内側に折り曲げて断面が箱状となるように形成し、先端板を底面に接着させることにより一定幅の箱型補強部を形成するにあたり、上記接着位置決めを正確かつ簡便化するとともに組立て完成したカートンの外観性を良好にすることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
内箱内の引き出し側端部を内側に折り曲げて一定幅の箱型部を形成する構造に関してはすでに実開昭63−177225号公報(特許文献1)により知られている。これは電池等を収納するためのものであるが、ボックス部形成板部(11)の端部に後板部(4)を連設するとともに、底板部(1)と側板部(3)との間にかけて一定高さの段状部(符号なし)を形成し、上記後板部(4)の左右端に爪(13)を水平外方に向けて突出させ、これを上記段状部の側端縁に形成した切欠き(14)に差し込んで箱型部(ボックス部)を形成するようにしたものである。
【0003】
また他の例としては特開2010−126185号公報(特許文献2)のような構造のものも知られている。これは箱型の補強部(21)を形成するために、貼着片25の前端に支え片(22)を介して固定片(27)を連設させるとともに、該固定片(27)を底面板(11)の上面に当接させた際にコ字状の切目線eにより形成された張り出し部(26)が底面板(11)の上面において上記固定片(27)と反対方向に向けて接することで支え片(22)を安定支持することができるようになっている。
【0004】
さらに図5にあらわしたように、内箱用ブランクAの底面部bにおける引き出し側の端部に、立ち上り壁cに続けて天面部d、支え板e、接着板f、をそれぞれ連設するとともに、接着板fの中央部には支え板e内に向けた切り込み部gにより天面部dの幅に等しい長さの突き当て板hが設けられており、底面部bを中心として立ち上り壁c、天面部d、支え板eを順次内側に向けてそれぞれ直角に折り曲げるとともに、天面部の左右の補助片d1を同じく内側に直角に折り曲げ、さらに底面部b両サイドの側面板i,iを直角上方に起立させることによって図6にあらわしたように接着板fを底面部bに当接させることができる。
【0005】
このとき接着板fと一体で、該接着板の反対方向に延びる突き当て板hの先端が立ち上がり壁c面に突き当たるので接着板fの底面部bに対する位置決めが正確になされ、図5の展開図に一点鎖線であらわしたように突き当て板hの予定面h1と接着板fの接着位置f1とが正確に位置決めされるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−177225号公報
【特許文献2】特開2010−126185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に開示された内容の箱型部(ボックス部)を形成する構成のものでは構造がやや複雑で加工に手間がかかりコスト高となるのを免れず、また特許文献2に記載された内容の箱型の補強部(21)を形成する構成のものにあっても、貼着片25の前端に支え片(22)を介して連設させた固定片(27)を、底面板(11)の上面に当接させた際にコ字状の切目線eにより形成された張り出し部(26)が底面板(11)の上面において上記固定片(27)と反対方向に向けて接することで支え片(22)を安定支持するようにしたものであるが、支え片(22)の支え自体は安定するものの、上記固定片(27)の具体的な接着位置を決められずに位置ずれが起こりやすく、箱型の補強部(21)の強度維持には必ずしも十分ではない。
【0008】
さらに図5および図6にあらわした構成のものにあっても、内箱の内面側の支え板eに突き当て板h形成用の大きな穴が開口露出するために見映えが好ましくなく、さらに内箱の内容物に開口部の跡がつくほか、強度的にも若干耐久性に劣るなどの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記した従来技術における課題を解決し、内箱底面の引き出し側端部に連設させた複数の板からなる箱部形成のための補強用部材を折線により順次内側に折り曲げて断面が箱状となるようにするとともに先端板を外折りして内箱底面に接着させることにより一定幅の箱型補強部を形成した場合に、構造が簡単でしかも組立て後の使用時における見映えもきわめて良好なスリーブカートンブランクを開発したものである。
【0010】
具体的には外箱内に引き出し自在に収納される内箱において、該内箱底面の引き出し側端部に連設させた立ち上り板および内方に向けて折り曲げる一定幅の天板、および支え板を連設するとともに、該支え板にはさらに底面板の中央方向に向けて折り曲げ当接させる接着片を順次連設し、さらに底面板には先端(自由端)を上記した支え板方向に向けて、支え板下端の接着片折り曲げ部付近に係止可能に先端を浮上させる位置決め爪を設けてなることを特徴としたスライド式スリーブカートンブランクに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記したように底面板には先端(自由端)を支え板方向に向け、上記支え板下端の接着片折り曲げ部付近に係止可能に先端を浮上させることができる位置決め爪を設けてなるために、外箱内に収納される内箱用のカートンブランクから引き出し側に一定幅の箱型補強部を有する内箱を組み立てる際に、あらかじめ底面部に設けた位置決め爪を底面部の下側から指などによりその自由端側を押圧して僅かに浮上させておくことにより底面板上に接着片を押圧接着させる際に位置決め爪の浮上した先端部が支え板下端の接着片折り曲げ部付近に当たり、支え板の下端部およびこれに連設された接着片が過剰に箱型補強部内方に入り込むようなことがなく正確かつ確実な安定位置に押圧接着させることができる。
【0012】
なおこの場合に、内箱カートンブランクの組立てライン上に適当な突起(図示省略)を設けておき、底面板上に位置決め直前に位置決め爪部分が上記の突起に当たって自由端側が少し浮上した状態としたままで支え板下端の接着片折り曲げ部付近に当たり、支え板の下端部およびこれに連設された接着片を内箱底面部上に正確に接着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】内箱用のカートンブランク平面図。
【図2】外箱用のカートンブランク平面図。
【図3】組み立てた内箱を外箱内から引き出した状態の斜視図。
【図4】図3におけるA―A線矢視方向の断面図。
【図5】従来公知の内箱の引き出し側端部に箱型の補強部を形成するためのカートンブランクの部分的な展開図。
【図6】図5の内箱用カートンブランクの組み立て状態をあらわした部分的な斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において本発明の具体的な内容について実施例をもとに説明をする。図1は本発明の一実施例であるスライド式スリーブの内箱X用カートンブランクの展開図をあらわしており、1は底面板、2は底面板1の幅側左右両端に折線a・aを介して連設した側面板、3は底面部1の軸線(中央矢印B―B)方向の片側一端に折線cを介して連設した背面板、4は底面部1の軸線方向の反対側に折線eを介して連設した立ち上り板をあらわしており、さらに該立ち上り板4には折線fを介して一定幅の天板5が、さらに該天板5には折線gを介して支え板6が、そして支え板6には折線hを介して接着片7が、それぞれ順次連設されている。
【0015】
さらに側面板2には折線bを介して係止片2aが、また背面板3には折線dを介して接着補助片3aが、さらに天板5には折線iを介して接着補助片5aが、それぞれ連設されている。そして底面板1の引き出し側端部寄りの位置、すなわち内箱用カートンブランクの組立て時において前記支え板6の下端の接着片7との折り曲げ部(折線h)寄りの位置に係止可能に支え板6の下端側寄りのみ先端を浮上させることができるようコ字状をした切り込み8を入れることにより、先端(自由端)を上記支え板6方向に向け、支え板6下端の接着片7折り曲げ部付近に係止可能に先端を浮上させる位置決め爪11が設けられている。
【0016】
また上記の実施例では位置決め爪11の形成を底面板1の一部にコ字状の切り込みを入れることにより底面板1と一体に形成しているが、このほかにも特に図示はしないが、細長い舌片の一端を底面板1上面に接着材により貼着して、先端(自由端)を上記支え板6方向に向け、支え板6下端の接着片7折り曲げ部付近に係止可能に先端を浮上させる構成としてもよい。なお図において10はミシン目9により折線fに沿って内側に折り曲げ可能とした開封片である。
【0017】
一方、図2にはスライド式スリーブの外箱Y用カートンブランクの展開図があらわされている。外箱用カートンブランクにおいて、12は底面板をあらわし、該底面部12には折線j、k、l、mを介して側面板13、上面板14、側面板15、および接着板16が順次折り曲げ自在に連設されている。なお外箱用カートンブランクにおける底面板12・上面板14、側面板13・15は、内箱を収容する関係で、それぞれ内箱の底面板1および側面板2・2よりも面積が僅かに広くとられている。
【0018】
さらに底面板12の軸線(中央矢印C―C)方向の片側一端に折線nを介して背面板17が連設されているとともに折線nの中央付近にミシン目18により切り取り部19が形成され、底面部12の反対側開口縁には中央部付近に半円形の切り欠き部20が形成されている。また側面板13・15のそれぞれの両端部には折線o、p、およびr、sを介して内折り板21・23とストッパー板22・24が連設されている。なお25は上面板14の軸線方向片側に折線qを介して連設された背面重ね板、27は上面板14の反対側開口縁に向けてミシン目26により形成された切り取り部をあらわしている。
【0019】
なお上記の実施例においては位置決め爪11が底面板1の幅方向(軸線方向B―Bに交差する方向)に一定の間隔を介して2箇所設けてあるが、中央部に1箇所でもよく、また3箇所以上設けるようにしてもよい。
【0020】
上記の構成において、まず図1にあらわされている内箱用のカートンブランクについて、これを、底面板1を中心に折線a・aにより側面板2・2を垂直上方に起立させるとともに、軸線B―B方向の折線c・eにより背面板3および立ち上り板4を同じく垂直上方に起立させる。このとき折線b・bにより係止片2a・2aを直角内方に折り曲げるとともに、接着補助片3a・3aを折線d・dにより側面板2・2の内側に折り曲げて側面板2・2に重合接着する。
【0021】
つぎに折線f・gにより天板5・支え板6を順次直角に内折りして箱状に形成し、さらに折線hにより接着片7を直角に外折りして底面板1上に重ねる。このとき接着補助片5a・5aを直角内方に折り曲げておき、前記した係止片2a・2aの外側に位置させて組み付ける。そして最後に接着片7を底面板1の上面に接着するが、一般的には接着片7の底面に接着材を介して接着片7の上から機械的に押圧して接着するが、この場合にあらかじめ底面板1の下から位置決め爪11・11の部分を上面方向に向けて指先等により押圧することによりコの字状をした切込みによる自由端側を底面板1上に浮上させておく。
【0022】
あるいは機械的に押圧して接着する際に、金型上の上記位置決め爪11・11に対応する箇所にあらかじめ小さな突起部(図示省略)を設けておき、機械的押圧時に位置決め爪11・11の自由端が底面板1上に浮上するようにしてもよい。位置決め爪11・11の自由端が底面板1上に浮上していれば、内箱用カートンブランクの組立て時において前記支え板6の下端の接着片7との折り曲げ部(折線h)寄りの位置に係止して接着片7の接着位置を確実に決めることができる。
【0023】
また位置決め爪11の先端(自由端)の浮上の程度についても、底面板1に対する接着片7の位置決めに際して、接着片7の後部、すなわち支え板6の下方部の立ち上り板4側への後退を阻止できる程度であれば十分で、通常は接着片7の板厚と同程度か、あるいは接着片7の板厚の1.5倍からせいぜい3倍程度の高さまで浮上させることができれば十分であり、また内箱底面の位置決め爪11形成箇所があまり目立つことがない。
【0024】
したがって、前記した特許文献1や特許文献2に開示された内容の箱型部(ボックス部)を形成する構成のものに比べると構造が簡素で、しかも接着片の接着位置決めが確実となり、しかも図5および図6に示した構成のもののように内箱の内面側の支え板に突き当て板形成用の大きな穴が開口露出させるようなことがなく、図3にも示したように突き当て板形成用の穴も全くなく外観上もきわめて見映えが良好で、しかも耐久性も向上する。
【0025】
さらに上記した実施例のほかに、上記した位置決め爪11を直角に起立させる構造としてもよく、この場合には直角に起立した位置決め爪11の起立面が支え板6の正確な垂下位置(天板5と同幅の位置)に保持できるようコ字状の切り込み8の切り込み位置を調整するものとする。
【0026】
またさらに位置決め爪11は内箱の組立てに際して必ずしも垂直に起立させることに限られるものではなく、コ字状の切り込み8により形成される位置決め爪11の自由端方向を支え板6方向に向けて例えば25〜45度など上方に向けて一定の角度傾斜させた位置において上記した支え板6の側壁面に当接位置決めさせることによって、支え板6の下端が天板5と同幅の位置、つまり折線eより折線c方向に向けて、折線f・g間の距離と同距離となる位置に固定できるように形成してもよい。
【0027】
また外箱用のカートンブランクについては、底面板12を基準とし、折線j・k・l・mにより側面板13、上面板14、側面板15、および接着板16を順次直角に内折りして断面方形に構成し、接着板16を底面板12の一部に重ね合わせて接着する。折線o・rにより内折り板21・23を直角内方に折り曲げた後、さらに折線n・qにより背面板17および背面重ね板25を直角内方に折り曲げて接着し、片側(半円形の切り欠き部20が形成された側)だけ開口させた外箱を形成する。
【0028】
外箱のストッパー板22・24を外箱内奥方に向けて折り返すとともに、内箱をその背面板3を先頭に外箱内に挿入して背面板3の外側に接着した接着補助片3aを外箱のストッパー板22・24を乗り越えさせて内箱の全体を外箱内に挿入し、外箱の開口縁に形成した切り取り部27の裏面を内箱における天板5に形成した開封片10に重ねて接着する。
【0029】
開封時には上方から切り取り部27を押圧してミシン目26を破り、内箱側の開封片10に接着させたまま開封片10部分を持って外箱から内箱を引き出して内容物を取り出し、必要量取り出したところで、再度内箱を外箱内に押し戻して収納する。なお内箱を引き出す際に、接着補助片3aの先端部が外箱の開口縁から折り返されたストッパー板22・24の先端に突き当たって、それ以上の過剰な引き出しが規制される。
【符号の説明】
【0030】
X 内箱
Y 外箱
1 底面板
2 側面板
2a 係止片
3 背面板
3a 接着補助片
4 立ち上り板
5 天板
5a 接着補助片
6 支え板
7 接着片
8 切り込み
9 ミシン目
10 開封片
11 位置決め爪
12 底面板
13 側面板
14 上面板
15 側面板
16 接着板
17 背面板
18 ミシン目
19 切り取り部
19 切り取り部
20 切り欠き部
21 内折り板
22 ストッパー板
23 内折り板
24 ストッパー板
25 背面重ね板
26 ミシン目
27 切り取り部
a〜s 折線








【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱内に引き出し自在に収納される内箱において、該内箱底面の引き出し側端部に連設させた立ち上り板および内方に向けて折り曲げる一定幅の天板、支え板および底面板に対し、該底面板の中央方向に向けて折り曲げ当接させる接着片を順設するとともに、底面板には先端(自由端)を上記支え板方向に向け、支え板下端の接着片折り曲げ部付近に係止可能に先端を浮上させることができる位置決め爪を設けてなることを特徴としたスライド式スリーブカートンブランク。
【請求項2】
底面板に設けた位置決め爪が天板の下方に位置し、支え板下端側のみ底面上に浮上させることができるようにした請求項1に記載のスライド式スリーブカートンブランク。
【請求項3】
底面板に設けた位置決め爪が天板の下方に位置し、立ち上り板寄りの部分を残して左右の側面板に平行した位置から支え板当接位置に向けてコ字状の切り込みが形成されているところの請求項1または請求項2に記載のスライド式スリーブカートンブランク。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−51625(P2012−51625A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196198(P2010−196198)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】