説明

スライド式携帯電話端末

【課題】開いた状態(第1形状)でも閉じた状態(第2形状)でも適切な空間音響及び音声音量(送話音質)を実現するスライド式携帯電話端末を提供すること。
【解決手段】制御部は、第1、2形状において、マイクから第1アンプを介してユーザの音声を入力し、音声信号に変換して無線により送信し、相手先からの音声信号を相手先の音声に変換し、第2アンプを介してレシーバに出力する通話処理を実行する(ステップS1)。マイク、レシーバはそれぞれ第1、2筐体の一端部に設けられている場合、第2形状であるときのレシーバとマイクとの直線距離は、第1形状であるときのレシーバとマイクとの直線距離よりも短い。そこで、制御部は、連結部を監視し(ステップS2)、第2形状である場合(ステップS3−YES)、第1形状である場合(ステップS3−NO、S4)よりも第1アンプのゲインを低減する(ステップS5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開いた状態でも閉じた状態でも通話が可能なスライド式携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
スライド式携帯電話端末が普及されている。スライド式携帯電話端末は、第1筐体と、第2筐体と、連結部と、を具備している。第1筐体の一端部にはマイク音孔が設けられ、マイク音孔にはマイクが設けられている。第2筐体の一端部にはレシーバ音孔が設けられ、レシーバ音孔にはレシーバが設けられている。連結部は、第1、2筐体を連結し、ユーザが第2筐体を第1筐体に対して平行な方向にスライドさせたときに、第1筐体と第2筐体とが重ならない状態である第1形状、又は、第1筐体と第2筐体とが重なる状態である第2形状を形成する。ここで、連結部の構造によっては、第1形状は、第1筐体と第2筐体とが一部重なる状態を表し、第2形状は、第1筐体と第2筐体とが全て重なる状態を表す場合もある。近年では、第1形状でも2形状でも通話が可能なスライド式携帯電話端末も普及されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、携帯電話端末について紹介する。
【0004】
特許文献1に記載されたスライド式携帯電話端末では、第1筐体のマイクの周辺部に第1の突起部を設け、第2形状のときに第1筐体のマイクと対向する第2筐体の位置に第2の突起部を設け、第1、2の突起部が接触することにより、エコーの発生を低減している。
【0005】
特許文献2に記載された折り畳み式携帯電話端末では、第1及び2筐体の一端部を連結するヒンジにより、ユーザが第2筐体を第1筐体の表面に対して180度回転させたときに、第1及び2筐体が重ならない状態を第1形状とし、第1及び2筐体が重なる状態を第2形状としている。また、第1のマイクを第1筐体の他端部に設け、第2のマイクを第1筐体の一端部に設け、レシーバを第2筐体の他端部に設け、第1形状では、マイクとレシーバとを使用し、第2形状では、マイクと第2のレシーバとを使用している。しかし、この折り畳み式携帯電話端末では、2つのマイクが必要である。また、ユーザが第1形状から第2形状に代えて電話するときに、携帯電話端末を持ち替える必要がある。
【0006】
特許文献3に記載された折り畳み式携帯電話端末では、第1、2筐体の一端部を連結するヒンジにより、ユーザが第2筐体を第1筐体の表面に対して180度回転させたときに、第1、2筐体が重ならない状態を第1形状とし、第1、2筐体が重なる状態を第2形状としている。また、マイクを第1の筐体の他端部に設け、第1のレシーバを第2の筐体の他端部に設け、更に、第2のレシーバを第2の筐体の一端部(第2の筐体の裏面)に設け、第1形状では、マイクとレシーバとを使用し、第2形状では、マイクと第2のレシーバとを使用している。しかし、この折り畳み式携帯電話端末では、ユーザが第1形状から第2形状に代えて電話するときに、携帯電話端末を持ち替える必要がないが、2つのレシーバが必要である。
【0007】
【特許文献1】特開2006−135889号公報
【特許文献2】特開2004−228920号公報
【特許文献3】特開2005−175747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、スライド式携帯電話端末において、連結部が第2形状を形成しているときのレシーバ音孔(レシーバ)とマイク音孔(マイク)との直線距離は、連結部が第1形状を形成しているときのレシーバ音孔(レシーバ)とマイク音孔(マイク)との直線距離よりも短い。
【0009】
このため、第1形状では、レシーバ音孔(レシーバ)とマイク音孔(マイク)の距離が遠く保たれているが、第2形状では、レシーバ音孔とマイク音孔が近接することになる。第2形状では、レシーバ音孔から出た受話音(相手先の音声)が、マイクに回り込み易く、マイクとレシーバとの空間音響(エコー)が大きくなってしまう。また、第2形状では、レシーバからの受話音がマイクに回り込む時間は第1形状に比べて短い。したがって、第1形状と第2形状とでは、空間音響の量が変化することが問題になる。
【0010】
また、ユーザが通話している場合、第1形状では、話者(ユーザ)の口元とマイクの距離が遠いのに対して、第2形状では、話者の口元とマイクの距離が近くなってしまう。即ち、第2形状では、話者の口からマイクへ伝達する音声の量を表す音声音量が第1形状に比べて大きくなる。また、第2形状では、話者の口元からマイクへ伝達する音声の周波数特性は第1形状に対して変化する。したがって、第1形状と第2形状とでは、話者の口元からマイクへの音場伝播の伝達関数に相違が生じ、送話音質が変化することが問題になる。
【0011】
したがって、本発明の課題は、開いた状態(第1形状)でも閉じた状態(第2形状)でも適切な空間音響及び音声音量(送話音質)を実現するスライド式携帯電話端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のスライド式携帯電話端末は、第1及び2筐体と、連結部と、マイクと、第1アンプと、制御部と、第2アンプと、レシーバと、を具備している。連結部は、第1及び2筐体を連結し、ユーザが第2筐体を第1筐体に対して平行な方向にスライドさせたときに、第1筐体と第2筐体とが重ならない第1形状、又は、第1筐体と第2筐体とが重なる第2形状を形成する。マイクは、ユーザの音声を収集する。第1アンプは、ユーザの音声を増幅する。制御部は、第1、2形状において、第1アンプからのユーザの音声を音声信号に変換して無線により送信し、相手先からの音声信号を相手先の音声に変換する通話処理を実行する。第2アンプは、制御部からの相手先の音声を増幅する。レシーバは、第2アンプからの相手先の音声を出力する。マイク、レシーバはそれぞれ第1、2筐体の一端部に設けられている。この場合、第2形状であるときのレシーバとマイクとの直線距離は、第1形状であるときのレシーバとマイクとの直線距離よりも短い。そこで、制御部は、形状監視部と、ゲイン調整部と、を具備している。形状監視部は、連結部を監視し、第1又は2形状を表す監視結果を出力する。ゲイン調整部は、監視結果が第2形状を表す場合、監視結果が第1形状を表す場合よりも第1又は2アンプのゲインを低減する。
【0013】
制御部は、ゲイン調整テーブルを更に具備している。ゲイン調整テーブルには、第1、2形状を表す情報と、第1、2形状であるときに第1又は2アンプを制御するための第1、2ゲインを表す情報と、が格納されている。この場合、第2ゲインは、第1ゲインよりも低い。ゲイン調整部は、監視結果が第1形状を表す場合、ゲイン調整テーブルを参照して、第1ゲインでユーザ又は相手先の音声を増幅するように第1又は2アンプを制御する。ゲイン調整部は、監視結果が第2形状を表す場合、ゲイン調整テーブルを参照して、第2ゲインでユーザ又は相手先の音声を増幅するように第1又は2アンプを制御する。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明により、本発明のスライド式携帯電話端末によれば、第2形状では第1形状に比べてマイクとレシーバとの空間音響が大きくなる。また、第2形状では、第1形状に比べて、口元とマイク音孔間の距離が短くなり、マイク音孔に到達する音声音量が高くなる。このため、第2形状であるときに第1アンプのゲインを引き下げる。これにより、開いた状態(第1形状)でも閉じた状態(第2形状)でも適切な空間音響及び音声音量(送話音質)を実現することができる。
【0015】
また、本発明のスライド式携帯電話端末によれば、第1、2形状であるときにそれぞれ空間音響及び音声音量に適したゲインを第1、2ゲインとしてゲイン調整テーブルに用意しておき、第1形状又は第2形状に応じて第1アンプのゲインを調整する。そこで、第2ゲインは第1ゲインよりも低いため、第2形状であるときに第1アンプのゲインを引き下げることになる。これにより、開いた状態(第1形状)でも閉じた状態(第2形状)でも適切な空間音響及び音声音量(送話音質)を実現することができる。
【0016】
また、本発明のスライド式携帯電話端末によれば、ユーザが第1形状から第2形状に代えて電話するときに、携帯電話端末を持ち替える必要がない。また、折り畳み式携帯電話端末とは違って、2つのマイクや、2つのレシーバを必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末について詳細に説明する。
【0018】
[構成]
図1A、1Bは、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の構成を示す斜視図である。本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末は、第1筐体1(以下、筐体1)と、第2筐体2(以下、筐体2)と、連結部3と、を具備している。また、筐体1の一端部にはマイク音孔10が設けられている。筐体2の一端部にはレシーバ音孔70が設けられている。
【0019】
連結部3は、筐体1、2を連結し、スライド式携帯電話端末が開いた状態である第1形状(以下、形状A)、又は、スライド式携帯電話端末が閉じた状態である第2形状(以下、形状B)を形成する。図1Aに示されるように、形状Aとは、ユーザが筐体2を筐体1に対して平行な方向にスライドさせたときに、筐体1と筐体2とが重ならない状態を表している。図1Bに示されるように、形状Bとは、ユーザが筐体2を筐体1に対して平行な方向にスライドさせたときに、筐体1と筐体2とが重なる状態を表している。ここで、連結部3の構造によっては、形状Aは、筐体1と筐体2とが一部重なる状態を表し、形状Bは、筐体1と筐体2とが全て重なる状態を表す場合もある。
【0020】
ここで、筐体1、2、連結部3の構造や、形状A、Bについては公知であるため、その詳細については省略する。
【0021】
本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末は、更に、コンピュータプログラムを格納するメモリ(図示しない)と、コンピュータプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)(図示しない)と、入力装置(図示しない)と、表示装置(図示しない)と、を具備している。CPU、メモリは、筐体1又は筐体2に設けられている。入力装置は、例えば筐体2に設けられ、表示装置は、例えば筐体1に設けられている。
【0022】
図2は、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の構成を示すブロック図である。そのスライド式携帯電話端末は、更に、マイク11と、Codecブロック20と、DSP(Digital Signal Processer)ブロック30と、制御部40と、DSPブロック50と、Codecブロック60と、パワーアンプ71と、レシーバ72と、を具備している。制御部40、DSPブロック30、50は、ハードウエアでもソフトウェア(コンピュータプログラム)でも実現できる。
【0023】
マイク11は、筐体1の一端部のマイク音孔10内に設けられている(図1A、1B参照)。
【0024】
Codecブロック20は、例えば筐体1内に設けられ、アナログアンプ21、A/Dコンバータ22、デジタルアンプ23を備えている。マイク11の出力には、アナログアンプ21が接続されている。アナログアンプ21の出力には、A/Dコンバータ22が接続されている。A/Dコンバータ22の出力には、デジタルアンプ23が接続されている。
【0025】
DSPブロック30は、例えば筐体1内に設けられ、イコライザ31、デジタルアンプ32、第1エコー抑制システム33(以下、エコー抑制システム33)を備えている。デジタルアンプ23の出力には、イコライザ31が接続されている。イコライザ31の出力には、デジタルアンプ32が接続されている。デジタルアンプ32の出力には、エコー抑制システム33が接続されている。エコー抑制システム33の出力には、制御部40が接続されている。
【0026】
制御部40は、筐体1又は筐体2内に設けられている。
【0027】
DSPブロック50は、例えば筐体2内に設けられ、デジタルアンプ51、イコライザ52、第2エコー抑制システム53(以下、エコー抑制システム53)を備えている。デジタルアンプ51は、制御部40に接続されている。デジタルアンプ51の出力には、イコライザ52が接続されている。イコライザ52の出力には、エコー抑制システム53が接続されている。
【0028】
Codecブロック60は、例えば筐体2内に設けられ、デジタルアンプ61、D/Aコンバータ62、アナログアンプ63を備えている。エコー抑制システム53の出力には、デジタルアンプ61が接続されている。デジタルアンプ61の出力には、D/Aコンバータ62が接続されている。D/Aコンバータ62の出力には、アナログアンプ63が接続されている。
【0029】
パワーアンプ71は、例えば筐体2内に設けられている。レシーバ72は、スピーカであり、筐体2の一端部のレシーバ音孔70内に設けられている(図1A、1B参照)。パワーアンプ71の出力には、アナログアンプ63が接続されている。アナログアンプ63の出力には、レシーバ72が接続されている。
【0030】
[通話処理]
本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末では、通常の携帯電話端末と同様に、ユーザが相手先に電話をかける場合や、相手先から発呼がある場合、ユーザが相手先と通話を行うことができる(以下、通話処理と称する)。この場合、制御部40は、マイク11、Codecブロック20、DSPブロック30、DSPブロック50、Codecブロック60、パワーアンプ71、レシーバ72を制御する。
【0031】
通話処理について以下に説明する。
【0032】
マイク11は、ユーザの音声を収集する。アナログアンプ21は、ユーザの音声であるアナログ音声を増幅し、A/Dコンバータ22に出力する。A/Dコンバータ22は、アナログアンプ21からのアナログ音声をデジタル音声として音声信号に変換し、デジタルアンプ23に出力する。デジタルアンプ23は、A/Dコンバータ22からの音声信号を増幅し、イコライザ31を介してデジタルアンプ32に出力する。デジタルアンプ32は、イコライザ31からの音声信号を増幅し、エコー抑制システム33を介して制御部40に出力する。
【0033】
制御部40は、エコー抑制システム33からの音声信号をベースバンド信号に変換し、無線により基地局を介して相手先の電話機に送信する。また、制御部40は、相手先の電話機から基地局を介して無線によりベースバンド信号を受信し、それを音声信号に変換してデジタルアンプ51に出力する。
【0034】
デジタルアンプ51は、制御部40からの音声信号を増幅し、イコライザ52、エコー抑制システム53を介してデジタルアンプ61に出力する。デジタルアンプ61は、デジタルアンプ51からの音声信号を増幅し、D/Aコンバータ62に出力する。D/Aコンバータ62は、デジタルアンプ61からの音声信号であるデジタル音声をアナログ音声に変換し、アナログアンプ63に出力する。アナログアンプ63は、D/Aコンバータ62からのアナログ音声である相手先の音声をパワーアンプ71に出力する。パワーアンプ71は、相手先の音声を増幅し、レシーバ72に出力する。レシーバ72は、パワーアンプ71からの相手先の音声を外部に出力する。
【0035】
エコー抑制システム33、53は、それぞれ、ユーザ、相手先の音声信号のうちの、レシーバ72とマイク11との間に生じるエコーを表す信号を抑制するものである。このエコー抑制システム33、53は、エコー・サプレス・システム、エコー・キャンセル・システムとも呼ばれる。エコー抑制システム33、53は、それぞれ、ユーザ、相手先の音声信号のうちの、エコーを表す信号に、エコーを抑制するためのパラメータを表すキャンセリング信号を加算する。
【0036】
イコライザ31、52は、それぞれ、ユーザ、相手先の音声信号のうちの、音響伝達関数Fを表す信号を抑制するものである。イコライザ31、52は、それぞれ、ユーザ、相手先の音声信号のうちの、音響伝達関数Fを表す信号に、音響伝達関数Fを表す信号を排除するための逆関数F−1を表す信号を乗算する。
【0037】
上述の構成や通話処理に対する課題について説明する。
【0038】
[課題1]
図1A、1Bに示されるように、連結部3が形状Bを形成しているときのレシーバ音孔70(レシーバ72)とマイク音孔10(マイク11)との直線距離は、連結部3が形状Aを形成しているときのレシーバ音孔70(レシーバ72)とマイク音孔10(マイク11)との直線距離よりも短い。このため、形状Aでは、レシーバ音孔70(レシーバ72)とマイク音孔10(マイク11)の距離が遠く保たれているが、形状Bでは、レシーバ音孔70とマイク音孔10が近接することになる。形状Bでは、レシーバ音孔70から出た受話音(相手先の音声)が、マイク11に回り込み易く、マイク11とレシーバ72との空間音響(エコー)が大きくなってしまう。また、形状Bでは、レシーバ72からの受話音がマイク11に回り込む時間は形状Aに比べて短い。したがって、形状Aと形状Bとでは、空間音響が変化することが問題になる。
【0039】
[課題2]
図3A、3Bは、それぞれ、形状A、Bであるときの通話処理を示している。図3A、3Bに示されるように、通話処理において、形状Bであるときのレシーバ音孔70(レシーバ72)とマイク音孔10(マイク11)との直線距離は、形状Aであるときのレシーバ音孔70(レシーバ72)とマイク音孔10(マイク11)との直線距離よりも短い。このため、形状Aでは、話者(ユーザ)の口元とマイク11の距離が遠いのに対して、形状Bでは、話者の口元とマイク11の距離が近くなってしまう。即ち、形状Bでは、話者の口からマイク11へ伝達する音声の量を表す音声音量が形状Aに比べて大きくなる。また、形状Bでは、話者の口元からマイク11へ伝達する音声の周波数特性は形状Aに対して変化する。したがって、形状Aと形状Bとでは、話者の口元からマイク11への音場伝播の伝達関数(音響伝達関数F)に相違が生じ、送話音質が変化することが問題になる。
【0040】
上述の課題1、2に対する解決策について説明する。
【0041】
[解決策1]
形状Bでは、形状Aに比べて、マイク11とレシーバ72との空間音響が大きくなる。したがって、それを緩和するために、アナログアンプ21、デジタルアンプ23、32(以下、第1アンプ21、23、32と称する)のゲインを引き下げる。そのためには、形状A、Bであるときにそれぞれ空間音響に適したゲインを用意しておく必要がある。これにより、課題1を解決することができる。
【0042】
[解決策2]
形状Bでは、形状Aに比べて、口元とマイク音孔10間の距離が短くなり、マイク音孔10に到達する音声音量が高くなる。したがって、それを緩和するために、第1アンプ21、23、32のゲインを引き下げる。そのためには、形状A、Bであるときにそれぞれ音声音量に適したゲインを用意しておく必要がある。これにより、課題2を解決することができる。
【0043】
[解決策3]
エコー抑制システム33、53は、それぞれ、ユーザ、相手先の音声信号のうちの、エコーを表す信号に、形状A又は形状Bであるときでも同じキャンセリング信号を加算している。しかし、課題1で述べたように、形状Bでは、レシーバ72からの受話音がマイク11に回り込む時間は形状Aに比べて短いため、形状Aと形状Bとでは空間音響が変化する。そこで、形状A、Bであるときにそれぞれ空間音響(エコー)を抑制するために適したパラメータをキャンセリング信号として用意しておく必要がある。これにより、課題1を更に解決することができる。
【0044】
[解決策4]
イコライザ31は、ユーザの音声信号のうちの、音響伝達関数Fを表す信号に、形状A又は形状Bであるときでも同じ逆関数F−1を表す信号を乗算している。しかし、課題2で述べたように、形状Bでは、話者の口元からマイク11へ伝達する音声の周波数特性は形状Aに対して変化するため、形状Aと形状Bとでは、話者の口元からマイク11への音場伝播の伝達関数(音響伝達関数F)に相違が生じる。そこで、形状A、Bであるときにそれぞれ音響伝達関数Fを表す信号を排除するために適した逆関数F−1を用意しておく必要がある。これにより、課題2を更に解決することができる。
【0045】
図4は、解決策1〜4を実現するための構成として、制御部40の構成を示すブロック図である。制御部40は、形状監視部41、ゲイン調整部42、エコー抑制部43、関数切替部44、ゲイン調整テーブル45、エコー抑制テーブル46、関数切替テーブル47、通話処理部48を具備している。
【0046】
図5は、ゲイン調整テーブル45を示している。ゲイン調整テーブル45には、形状A、Bを表す情報と第1、2ゲインを表す情報とが格納されている。第1ゲインは、形状Aであるときに第1アンプ21、23、32を制御するための値(空間音響及び音声音量に適した値)を表している。第2ゲインは、形状Bであるときに第1アンプ21、23、32を制御するための値(空間音響及び音声音量に適した値)を表し、第1ゲインよりも低い。
【0047】
図6は、エコー抑制テーブル46を示している。エコー抑制テーブル46には、形状A、Bを表す情報と第1、2キャンセリング信号とが格納されている。第1キャンセリング信号は、形状Aであるときにエコーを抑制するためのパラメータを表している。第2キャンセリング信号は、形状Bであるときにエコーを抑制するためのパラメータを表している。第1、2キャンセリング信号は、予め決められている。
【0048】
図7は、関数切替テーブル47を示している。関数切替テーブル47には、形状A、Bを表す情報と第1、2逆関数F−1を表す信号とが格納されている。第1逆関数F−1を表す信号は、形状Aであるときに音響伝達関数Fを表す信号を排除するための逆関数である。第2逆関数F−1を表す信号は、形状Bであるときに音響伝達関数Fを表す信号を排除するための逆関数である。第1、2逆関数F−1を表す信号は、予め決められている。
【0049】
[動作]
図8は、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の動作を示すフローチャートである。
【0050】
まず、通話処理部48は、上述の通話処理を実行する(ステップS1)。
【0051】
次に、形状監視部41は、連結部3を監視し、形状A又は形状Bを表す監視結果をゲイン調整部42、エコー抑制部43、関数切替部44に出力する(ステップS2)。
【0052】
ここで、監視結果が形状Aを表しているものとする(ステップS3−NO)。この場合、ゲイン調整部42、エコー抑制部43、関数切替部44は、形状A用の処理を実行する(ステップS4)。
【0053】
ステップS4において、ゲイン調整部42は、ゲイン調整テーブル45を参照して、第1ゲインでユーザの音声を増幅するように第1アンプ21、23、32を制御する。
【0054】
また、ステップS4において、エコー抑制部43は、エコー抑制テーブル46を参照して、第1キャンセリング信号をエコー抑制システム33、53に出力する。エコー抑制システム33は、ユーザの音声信号のうちの、エコーを表す信号に、第1キャンセリング信号を加算する。エコー抑制システム53は、相手先の音声信号のうちの、エコーを表す信号に、第1キャンセリング信号を加算する。
【0055】
また、ステップS4において、関数切替部44は、関数切替テーブル47を参照して、第1逆関数F−1を表す信号をイコライザ31に出力する。イコライザ31は、ユーザの音声信号のうちの、音響伝達関数Fを表す信号に、第1逆関数F−1を表す信号を乗算する。
【0056】
ここで、監視結果が形状Bを表しているものとする(ステップS3−YES)。この場合、ゲイン調整部42、エコー抑制部43、関数切替部44は、形状B用の処理を実行する(ステップS5)。
【0057】
ステップS5において、ゲイン調整部42は、ゲイン調整テーブル45を参照して、第2ゲインでユーザの音声を増幅するように第1アンプ21、23、32を制御する。上述のように、第2ゲインは、第1ゲインよりも低い。このため、監視結果が形状Bを表す場合、ゲイン調整部42は、監視結果が形状Aを表す場合よりも第1アンプ21、23、32のゲインを低減する。
【0058】
また、ステップS5において、エコー抑制部43は、エコー抑制テーブル46を参照して、第2キャンセリング信号をエコー抑制システム33、53に出力する。エコー抑制システム33は、ユーザの音声信号のうちの、エコーを表す信号に、第2キャンセリング信号を加算する。エコー抑制システム53は、相手先の音声信号のうちの、エコーを表す信号に、第2キャンセリング信号を加算する。
【0059】
また、ステップS5において、関数切替部44は、関数切替テーブル47を参照して、第2逆関数F−1を表す信号をイコライザ31に出力する。イコライザ31は、ユーザの音声信号のうちの、音響伝達関数Fを表す信号に、第2逆関数F−1を表す信号を乗算する。
【0060】
ユーザが通話をしながら、スライド式携帯電話端末の形状を変更した場合(ステップS6−YES)、上述のステップS2が実行される。また、ユーザがスライド式携帯電話端末の形状を変更しないが(ステップS6−NO)、通話処理が継続している場合(ステップS7−YES)でも、上述のステップS2が実行される。ユーザが通話を終了した場合、通話処理部48は通話処理を終了する(ステップS7−NO)。
【0061】
[効果]
以上の説明により、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末によれば、形状Bでは形状Aに比べてマイク11とレシーバ72との空間音響が大きくなる。また、形状Bでは、形状Aに比べて、口元とマイク音孔10間の距離が短くなり、マイク音孔10に到達する音声音量が高くなる。このため、形状A、Bであるときにそれぞれ空間音響及び音声音量に適したゲインを第1、2ゲインとしてゲイン調整テーブル45に用意しておき、形状A又は形状Bに応じて第1アンプ21、23、32のゲインを調整する。そこで、第2ゲインは第1ゲインよりも低いため、形状Bであるときに第1アンプ21、23、32のゲインを引き下げることになる。これにより、開いた状態(形状A)でも閉じた状態(形状B)でも適切な空間音響及び音声音量(送話音質)を実現することができる。
【0062】
また、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末によれば、形状Bでは、レシーバ72からの受話音がマイク11に回り込む時間は形状Aに比べて短いため、形状Aと形状Bとでは空間音響が変化する。そこで、形状A、Bであるときにそれぞれ空間音響(エコー)を抑制するために適したパラメータを第1、2キャンセリング信号としてエコー抑制テーブル46に用意しておき、形状A又は形状Bに応じて、ユーザ、相手先の音声信号に対する空間音響を抑制する。これにより、開いた状態(形状A)でも閉じた状態(形状B)でも更に適切な空間音響を実現することができる。
【0063】
また、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末によれば、形状Bでは、話者の口元からマイク11へ伝達する音声の周波数特性は形状Aに対して変化するため、形状Aと形状Bとでは、話者の口元からマイク11への音場伝播の伝達関数(音響伝達関数F)に相違が生じる。そこで、形状A、Bであるときにそれぞれ音響伝達関数Fを表す信号を排除するために適した逆関数F−1を関数切替テーブル47に用意しておき、形状A又は形状Bに応じて、ユーザの音声信号から、音響伝達関数Fを表す信号を排除する。これにより、開いた状態(形状A)でも閉じた状態(形状B)でも更に適切な音声音量(送話音質)を実現することができる。
【0064】
また、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末によれば、ユーザが形状Aから形状Bに代えて電話するときに、携帯電話端末を持ち替える必要がない。また、折り畳み式携帯電話端末とは違って、2つのマイクや、2つのレシーバを必要としない。
【0065】
なお、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末では、上述の構成・動作に限定されない。
【0066】
本発明では、ゲイン調整部42は、監視結果が形状Bを表す場合、第1アンプ21、23、32に代えて、デジタルアンプ51、61、アナログアンプ63(以下、第2アンプ51、61、63と称する)のゲインを低減してもよい。この場合、ゲイン調整テーブル45には、形状A、Bを表す情報と、形状A、Bであるときに第2アンプ51、61、63を制御するための第1、2ゲインを表す情報と、が格納されている。ゲイン調整部42は、監視結果が形状Aを表す場合、ゲイン調整テーブル45を参照して、第1ゲインで相手先の音声を増幅するように第2アンプ51、61、63を制御する。ゲイン調整部42は、監視結果が形状Bを表す場合、ゲイン調整テーブル45を参照して、第2ゲインで相手先の音声を増幅するように第2アンプ51、61、63を制御する。
【0067】
また、本発明では、図9に示されるように、イコライザ31とデジタルアンプ32とが接続される順番と、デジタルアンプ51とイコライザ52とが接続される順番と、を入れ替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の構成を示す斜視図である。
【図1B】図1Bは、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の構成を示すブロック図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末が形状Aであるときの通話処理を示している。
【図3B】図3Bは、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末が形状Bであるときの通話処理を示している。
【図4】図4は、解決策1〜4を実現するための構成として、図2の制御部40の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、ゲイン調整テーブル45を示している。
【図6】図6は、エコー抑制テーブル46を示している。
【図7】図7は、関数切替テーブル47を示している。
【図8】図8は、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施形態によるスライド式携帯電話端末の他の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
1 筐体、
2 筐体、
3 連結部、
10 マイク音孔、
11 マイク、
20 Codecブロック、
21 アナログアンプ、
22 A/Dコンバータ、
23 デジタルアンプ、
30 DSP(Digital Signal Processer)ブロック、
31 イコライザ、
32 デジタルアンプ、
33 エコー抑制システム(エコー・サプレス・システム、エコー・キャンセル・システム)、
40 制御部、
41 形状監視部、
42 ゲイン調整部、
43 エコー抑制部、
44 関数切替部、
45 ゲイン調整テーブル、
46 エコー抑制テーブル、
47 関数切替テーブル、
48 通話処理部、
50 DSPブロック、
51 デジタルアンプ、
52 イコライザ、
53 エコー抑制システム、
60 Codecブロック、
61 デジタルアンプ、
62 D/Aコンバータ、
63 アナログアンプ、
70 レシーバ音孔、
71 パワーアンプ、
72 レシーバ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び2筐体と、
前記第1及び2筐体を連結し、ユーザが前記第2筐体を前記第1筐体に対して平行な方向にスライドさせたときに、前記第1筐体と前記第2筐体とが重ならない第1形状、又は、前記第1筐体と前記第2筐体とが重なる第2形状を形成するための連結部と、
ユーザの音声を収集するためのマイクと、
前記ユーザの音声を増幅する第1アンプと、
前記第1、2形状において、前記第1アンプからの前記ユーザの音声を音声信号に変換して無線により送信し、前記相手先からの音声信号を前記相手先の音声に変換する通話処理を実行する制御部と、
前記制御部からの前記相手先の音声を増幅する第2アンプと、
前記第2アンプからの前記相手先の音声を出力するレシーバと、
を具備し、
前記マイク、前記レシーバはそれぞれ前記第1、2筐体の一端部に設けられ、前記第2形状であるときの前記レシーバと前記マイクとの直線距離は、前記第1形状であるときの前記レシーバと前記マイクとの直線距離よりも短く、
前記制御部は、
前記連結部を監視し、前記第1又は2形状を表す監視結果を出力する形状監視部と、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、前記監視結果が前記第1形状を表す場合よりも前記第1又は2アンプのゲインを低減するゲイン調整部と、
を具備するスライド式携帯電話端末。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1、2形状を表す情報と、前記第1、2形状であるときに前記第1又は2アンプを制御するための第1、2ゲインを表す情報と、が格納されたゲイン調整テーブル、
を更に具備し、
前記第2ゲインは、前記第1ゲインよりも低く、
前記ゲイン調整部は、
前記監視結果が前記第1形状を表す場合、前記ゲイン調整テーブルを参照して、前記第1ゲインで前記ユーザ又は前記相手先の音声を増幅するように前記第1又は2アンプを制御し、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、前記ゲイン調整テーブルを参照して、前記第2ゲインで前記ユーザ又は前記相手先の音声を増幅するように前記第1又は2アンプを制御する、
請求項1に記載のスライド式携帯電話端末。
【請求項3】
前記ユーザの音声信号のうちの、前記レシーバと前記マイクとの間に生じるエコーを表す信号を抑制するエコー抑制システム
を更に具備し、
前記制御部は、
前記第1、2形状を表す情報と、前記第1、2形状であるときにそれぞれ前記エコーを抑制するためのパラメータを表す第1、2キャンセリング信号と、が格納されたエコー抑制テーブルと、
エコー抑制部と、
を更に具備し、
前記監視結果が前記第1形状を表す場合、
前記エコー抑制部は、前記エコー抑制テーブルを参照して、前記第1キャンセリング信号を前記エコー抑制システムに出力し、
前記エコー抑制システムは、前記ユーザの音声信号のうちの、前記エコーを表す信号に、前記第1キャンセリング信号を加算し、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、
前記エコー抑制部は、前記エコー抑制テーブルを参照して、前記第2キャンセリング信号を前記エコー抑制システムに出力し、
前記エコー抑制システムは、前記ユーザの音声信号のうちの、前記エコーを表す信号に、前記第2キャンセリング信号を加算する、
請求項2に記載のスライド式携帯電話端末。
【請求項4】
前記相手先の音声信号のうちの、前記エコーを表す信号を抑制する受話側エコー抑制システム、
を更に具備し、
前記エコー抑制システム、前記受話側エコー抑制システムをそれぞれ第1、2エコー抑制システムとした場合、
前記監視結果が前記第1形状を表す場合、
前記エコー抑制部は、前記エコー抑制テーブルを参照して、前記第1キャンセリング信号を前記第1、2エコー抑制システムに出力し、
前記第1、2エコー抑制システムは、それぞれ、前記ユーザの音声信号、前記相手先の音声信号のうちの、前記エコーを表す信号に、前記第1キャンセリング信号を加算し、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、
前記エコー抑制部は、前記エコー抑制テーブルを参照して、前記第2キャンセリング信号を前記第1、2エコー抑制システムに出力し、
前記第1、2エコー抑制システムは、それぞれ、前記ユーザの音声信号、前記相手先の音声信号のうちの、前記エコーを表す信号に、前記第2キャンセリング信号を加算する、
請求項3に記載のスライド式携帯電話端末。
【請求項5】
前記ユーザの音声信号のうちの、音響伝達関数を表す信号を抑制するイコライザ、
を更に具備し、
前記制御部は、
前記第1、2形状を表す情報と、前記第1、2形状であるときにそれぞれ前記音響伝達関数を排除するための第1、2逆関数を表す信号と、が格納された関数切替テーブルと、
関数切替部と、
を更に具備し、
前記監視結果が前記第1形状を表す場合、
前記関数切替部は、前記関数切替テーブルを参照して、前記第1逆関数を表す信号を前記イコライザに出力し、
前記イコライザは、前記ユーザの音声信号のうちの、前記音響伝達関数を表す信号に、前記第1逆関数を表す信号を乗算し、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、
前記関数切替部は、前記関数切替テーブルを参照して、前記第2逆関数を表す信号を前記イコライザに出力し、
前記イコライザは、前記ユーザの音声信号のうちの、前記音響伝達関数を表す信号に、前記第2逆関数を表す信号を乗算する、
請求項2〜4のいずれかに記載のスライド式携帯電話端末。
【請求項6】
連結部が、第1及び2筐体を連結し、ユーザが前記第2筐体を前記第1筐体に対して平行な方向にスライドさせたときに、前記第1筐体と前記第2筐体とが重ならない第1形状、又は、前記第1筐体と前記第2筐体とが重なる第2形状を形成するステップと、
マイクが、ユーザの音声を収集するステップと、
第1アンプが、前記ユーザの音声を増幅するステップと、
装置が、前記第1、2形状において、前記第1アンプからの前記ユーザの音声を音声信号に変換して無線により送信し、前記相手先からの音声信号を前記相手先の音声に変換する通話処理を実行するステップと、
第2アンプが、前記装置からの前記相手先の音声を増幅するステップと、
レシーバが、前記第2アンプからの前記相手先の音声を出力するステップと、ここで、前記マイク、前記レシーバはそれぞれ前記第1、2筐体の一端部に設けられ、前記第2形状であるときの前記レシーバと前記マイクとの直線距離は、前記第1形状であるときの前記レシーバと前記マイクとの直線距離よりも短く、
前記連結部を監視し、前記第1又は2形状を表す監視結果を出力するステップと、
前記装置は、前記監視結果が前記第2形状を表す場合、前記監視結果が前記第1形状を表す場合よりも前記第1又は2アンプのゲインを低減するステップと、
を具備するスライド式携帯電話端末の通信方法。
【請求項7】
前記装置は、前記監視結果が前記第1形状を表す場合、前記第1、2形状を表す情報と、前記第1、2形状であるときに前記第1又は2アンプを制御するための第1、2ゲインを表す情報と、が格納されたゲイン調整テーブルを参照して、前記第1ゲインで前記ユーザ又は前記相手先の音声を増幅するように前記第1又は2アンプを制御するステップと、ここで、前記第2ゲインは、前記第1ゲインよりも低く、
前記装置は、前記監視結果が前記第2形状を表す場合、前記ゲイン調整テーブルを参照して、前記第2ゲインで前記ユーザ又は前記相手先の音声を増幅するように前記第1又は2アンプを制御するステップと、
を更に具備する請求項6に記載のスライド式携帯電話端末の通信方法。
【請求項8】
前記監視結果が前記第1形状を表す場合、
前記装置は、前記第1、2形状を表す情報と、前記第1、2形状であるときにそれぞれ前記エコーを抑制するためのパラメータを表す第1、2キャンセリング信号と、が格納されたエコー抑制テーブルを参照して、前記ユーザの音声信号のうちの、前記レシーバと前記マイクとの間に生じるエコーを表す信号に前記第1キャンセリング信号を加算するステップと、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、
前記装置は、前記エコー抑制テーブルを参照して、前記ユーザの音声信号のうちの、前記エコーを表す信号に、前記第2キャンセリング信号を加算するステップと、
を更に具備する請求項7に記載のスライド式携帯電話端末の通信方法。
【請求項9】
前記監視結果が前記第1形状を表す場合、
前記装置は、前記エコー抑制テーブルを参照して、前記ユーザの音声信号、前記相手先の音声信号のうちの、前記エコーを表す信号に、前記第1キャンセリング信号を加算するステップと、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、
前記装置は、前記エコー抑制テーブルを参照して、前記ユーザの音声信号、前記相手先の音声信号のうちの、前記エコーを表す信号に、前記第2キャンセリング信号を加算するステップと、
を更に具備する請求項8に記載のスライド式携帯電話端末の通信方法。
【請求項10】
前記監視結果が前記第1形状を表す場合、
前記装置は、前記第1、2形状を表す情報と、前記第1、2形状であるときにそれぞれ前記音響伝達関数を排除するための第1、2逆関数を表す信号と、が格納された関数切替テーブルを参照して、前記ユーザの音声信号のうちの、音響伝達関数を表す信号に、前記第1逆関数を表す信号を乗算するステップと、
前記監視結果が前記第2形状を表す場合、
前記装置は、前記関数切替テーブルを参照して、前記ユーザの音声信号のうちの、前記音響伝達関数を表す信号に、前記第2逆関数を表す信号を乗算するステップと、
を更に具備する請求項7〜9のいずれかに記載のスライド式携帯電話端末の通信方法。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載のスライド式携帯電話端末の通信方法の前記装置が実行する各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−103854(P2010−103854A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274766(P2008−274766)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】