スラックス素材のサージング装置
【課題】スラックス素材の特に角部やくり部を縁かがり縫製する際に、スラックス素材に対して回転ローラを確実に圧接させて送り力を付与して縫製する。
【解決手段】テーブル7上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材23により縫製送りする回転送り機構13と、スラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出してスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材63及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構を設ける。
【解決手段】テーブル7上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材23により縫製送りする回転送り機構13と、スラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出してスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材63及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラックスに縫製される前身頃生地及び後身頃生地のスラックス素材の縁かがり縫製を自動的に行うスラックス素材のサージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1に示すように、スラックスに縫製される所望の形状に裁断された前身頃生地及び後身頃生地のスラックス素材端縁を所定の幅で自動的に縁かがり縫製するサージング装置を提案した。該サージング装置は、平面において正面、側面及び背面を直線にすると共に各コーナーを緩やかなR部で、側面において壁面がテーパ状の下広がり形状に形成されたテーブルの一側にミシン頭部を配置すると共にミシンの送り機構の近くで、該送り機構と共にテーブル上にセットされたスラックス素材に圧接して移送する回転ローラ、送り方向を調節する送り調節機構、前身頃生地及び後身頃生地における縁かがり位置を変更する位置変更機構等を備えた構造からなる。
【0003】
また、上記サージング装置により縁かがり縫製されるスラックス素材は、概ね、長尺及び短尺の直線部分と外側に湾曲したアウトカーブ部や内側に湾曲したインカーブ部を有し、特にくり部が角部が鋭角状に裁断されている。
【0004】
このため、上記したサージング装置によりスラックス素材の特に角部を縁かがり縫製する際に、テーブルの各コーナーが緩やかな曲面で、壁面が下広がりのテーパ状に形成されていると共にスラックス素材自体が長尺状であるため、テーブルから縁かがり個所以外の部分が自重により垂れ下がってスラックス素材に回転ローラを確実に圧接させることが困難で、ミシンの送り機構と協働して縫製送りすることが困難であった。また、スラックス素材の特にくり部が鋭角状の角部になっているため、縁かがり縫製する際には、スラックス素材に対して回転ローラが届かず、ミシンの送り機構のみでは、スラックス素材を縫製送りすることができなかった。
【0005】
更に、縁かがり縫製されたスラックス素材を排出して集積する際には、テーブルにおける排出側の載置幅が排出されるスラックス素材の縫製送り直交方向幅より狭いため、テーブルから排出されるスラックス素材の一部が集積機構とテーブルの後部壁面の間で湾曲しあって一部が重なり合う問題を有している。このため、この状態で集積部材に対してスラックス素材を半折状態で集積すると、一部が重なり合った状態で集積されることになり、この状態では次工程におけるスラックス素材処理を円滑に行えない恐れを有している。
【特許文献1】実開平5−60479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、スラックス素材の特に角部やくり部を縁かがり縫いする際に、スラックス素材自体が長尺状であったり、鋭角状であるため、スラックス素材に対して回転ローラが届かず、回転ローラによる送り力を付与することができないか、または困難で、スラックス素材を有効に縁かがり縫製できない点にある。また、縁かがり縫製されたスラックス素材を排出して集積する際には、一部が湾曲し合って重なり合い、それぞれを平面状態で集積できない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平面において正面、側面及び背面を直線にすると共に各コーナーが曲線状で、側面において壁面が下広がりテーパ状に形成されたテーブルの一側にミシン本体を設け、テーブル上にセットされたスラックス素材の端縁を所定の幅で縁かがり縫製するサージング装置において、ミシン本体の縫製位置側方に配置され、上下方向へ揺動可能に支持された揺動フレームに対して伸長可能に支持された可動フレームの先端部に縫製方向へ回転可能に支持された回転部材、該回転部材を可変速及び正逆転駆動する電動モータ、揺動フレームに対して可動フレームを所定距離で伸縮移動させる作動部材とからなり、テーブル上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材により縫製送りする回転送り機構と、テーブルにおける縫製されたスラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、縫製されたスラックス素材が排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出して排出されるスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、スラックス素材の特に角部やくり部を縁かがり縫製する際に、スラックス素材に対して回転ローラを確実に圧接させて送り力を付与して縫製することができる。また、縁かがり縫製されたスラックス素材を排出して集積する際に、テーブルから排出されるスラックス素材の一部が重なり合って集積されるのを防止してそれぞれを平面状態で集積させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ミシン本体の縫製位置側方に配置され、上下方向へ揺動可能に支持された揺動フレームに対して伸長可能に支持された可動フレームの先端部に縫製方向へ回転可能に支持された回転部材、該回転部材を可変速及び正逆転駆動する電動モータ、揺動フレームに対して可動フレームを所定距離で伸縮移動させる作動部材とからなり、テーブル上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材により縫製送りする回転送り機構と、テーブルにおける縫製されたスラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、縫製されたスラックス素材が排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出して排出されるスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構とからなることを最良の形態とする。
【実施例】
【0010】
以下、本発明を実施形態に従って説明する。
図1乃至図2に示すように、スラックス素材のサージング装置1の本体フレーム(図示せず)には、ミシン本体5及びテーブル7が設けられている。ミシン本体5は、従来公知の構造で、詳細な説明を省略する。また、テーブル7は、本体フレームに設けられたガイドレール(図示せず)に支持され、ミシン本体5に対して図示する左右方向へスライド可能に構成される。そしてミシン本体5の頭部5a側面とテーブル7の間には、スラックス素材9の端縁を所定の幅で縁かがり縫製するための作業空間を形成している。
【0011】
上記テーブル7は、平面において正面側、側面側及び背面側の直線部と、これらの各角部を曲線状に形成すると共に側面において上部から下部に向かって広くなるテーパ状の壁面に形成される。テーブル7の上面には、該テーブル7上面と同形状の天板11が、適宜の間隔をおいて固定されている。該天板11の上面には、滑動性に優れたフッ化樹脂層がコーティングされている。
【0012】
次に、サージング装置1の各機構を説明する。
先ず、素材送り機構に付いて説明すると、素材送り機構は、ミシン本体5に内蔵されて縫製方向へ往復移動すると共に上下移動して素材送りする従来公知のミシン送り機構と、回転送り機構13から構成される。ミシン送り機構に付いては、従来来公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0013】
図3に示すように、回転送り機構13は、ミシン本体5の縫製位置(ミシン針位置)の側方に設けられ、ミシン本体5の後部に基端部が揺動するように支持され、テーブル7の前方へ延出する揺動フレーム15と、該揺動フレーム15に対して長手方向へ伸縮するように支持される可動フレーム17と、揺動フレーム15を上下方向へ揺動させるエアーシリンダ等の第1作動部材(図示せず)と、揺動フレーム15に対して可動フレーム17を所定のストロークで伸長させるエアーシリンダ等の第2作動部材19と、可動フレーム17の先端部に、該可動フレーム17の長手直交方向に軸線を有するように取付けられ、速度制御が可能なサーボモータ、ステップモータ等の電動モータ21と、該電動モータ21の回転軸に対して縫製方向へ回転するように取付けられ、外周面にシリコンゴム等の弾性部材が被覆された回転ローラ23により構成される。
【0014】
上記回転ローラ23は、揺動フレーム15に対する可動フレーム17の伸縮に伴って上記縫製位置の側方手前位置と天板11の前側の間で移動される。また、該回転ローラ23は、第1作動部材の作動により天板11上に載置されたスラックス素材9の上面に圧接する下方位置とスラックス素材9の上面から離間した上方位置の間で移動される。更に、回転ローラ23は、ミシン送り機構との協働により生地送りする際に、電動モータ21を速度制御することによりスラックス素材9の縫製方向を可変可能にしている。
【0015】
縫製向き変更機構25(図1及び図2に示す。)は、ミシン本体5の上部に固定された基台27に設けられた軸29を中心に揺動可能に支持され、先端部側が天板11の側部上方へ延びるアーム31と、基端部が基台27に固定されると共に作動軸33aがアーム31の一端部に連結されたエアーシリンダ等の第3作動部材33と、アーム31の先端部に上下方向へ軸線を有するように固定されたエアーシリンダ等の第4作動部材35と、該第4作動部材35の作動軸下部に取付けられ、ゴム等のように摩擦係数が高い部材により構成される押圧体37とから構成される。
【0016】
上記アーム31は、第3作動部材33の作動に伴って軸29を中心に水平揺動して先端部側の押圧体37を、テーブル7の図示する左側及び前部にそれぞれ位置させる。また、押圧体37は、第4作動部材35の作動に伴って天板11上に載置されたスラックス素材9の上面に圧接する下方位置と天板11から上方へ離間した上方位置の間で移動される。そして押圧体37は、下方位置に移動した状態でアーム31が揺動されることにより天板11上にセットされたスラックス素材9に圧接しながら移動して縫製向きを転向させる。
【0017】
縫製位置手前の天板11上には、スラックス素材9の端縁ガイド機構39(図1及び図2に示す。)が設けられている。該端縁ガイド機構39は、基端部がテーブル7に固定され、先端部が天板11の上面から所要の間隔で浮き上がる形状に形成された金属板からなる押圧板(図示せず)と、該押圧板の先端側にて上下方向へ軸線を有して固定され、スラックス素材9の端縁に当接して案内する複数本のガイドピン(図示せず)と、基端部が上記押圧板の基端側に固定されると共に先端部が押圧板の先端部に向かって延びて押圧する弾性変形可能な板ばねからなる加圧板39aと、上下方向に軸線を有して基端部が天板11に回転可能に軸支され、かつ押圧板及び加圧板39aの孔に挿通される軸ねじ(図示せず)、該軸ねじに噛合わされ、加圧板39aの孔を挿通するねじナット(図示せず)、加圧板39aの孔を挿通したねじナットに噛合わされて加圧板39aの上面に当接して弾性変形度を可変する調節ナット(図示せず)からなる押圧力調整部材と、押圧板の基端部側に応じた天板11に設けられ、該押圧板を押圧して先端部を天板11上に当接させるエアーシリンダ等の第5作動部材39bとにより構成される。
【0018】
該端縁ガイド機構39は、第5作動部材39bの非作動時においては、天板11の上面に対して押圧板の先端部が所要の間隔を形成するように浮き上がり、縫製されるスラックス素材9を差し込み可能にさせる一方、第5作動部材39bの作動時においては、押圧板の先端部が天板11の上面に近接して差し込まれたスラックス素材9の端縁側を加圧板39aの弾性力に応じた圧力で抑えながらガイドピンにより縫製案内させる。
【0019】
図4に示すように、天板11上には、縫製位置から天板11の手前に延びる仮想線上で、かつ縫製位置より手前の個所に停止センサー41が設けられ、該センサー41によりスラックス素材9の縫製終了端を検知してミシン本体5による縫製を停止制御させる。該停止センサー41より手前位置で、図示する右側へ若干偏位した個所の天板11上には、はずれセンサー43が設けられ、該センサー43によりスラックス素材9の端部を検知してはずれ方向を検出し、縫製方向を修正制御させる。縫製位置から直線状で天板11の手前側へ延びる仮想線上で、上記停止センサー41より手前位置の天板11上には、高速センサー45が設けられ、該センサー45によりスラックス素材9の有無を検知すると共に高速度で縫製する領域を検知してミシン本体5による高速縫製を制御させる。上記高速センサー45の図示する右側へ所定の間隔をおいた天板11上には、寄せセンサー47が設けられ、スラックス素材9の端部が大きく偏位した状態を検知して縫製方向を修正制御させる。これら各センサー41,43,45,47は、発光素子及び受光素子により構成され、天板11からの反射光に基づいてスラックス素材9の有無を検知する。
【0020】
図5に示すように、テーブル7の後方には、集積機構49が設けられている。該集積機構49は、本体フレームの後部に設けられ、縫製方向と直交する水平方向に軸線を有し、縫製されたスラックス素材9を半折状態で掛け渡された状態で集積する集積部材51と、集積部材51とテーブル7後部の中間に設けられた軸52を中心に揺動可能に支持された第1レバー53aーの先端部に固定され、集積部材51と平行な軸線を有した移送バー53bと、第1レバー53aのほぼ中間部にて長手方向と直交する方向に延びる支持板に基端部が支持されて揺動する第2レバー55aの先端部に固定され、移送バー53bと平行な軸線を有した半折バー55bと、作動軸が第1レバー53aに連結され、第1及び第2レバー53a・55aを一体で、かつ移送バー53bをテーブル7の後部と集積部材51の間で揺動させるエアーシリンダ等の第6作動部材57と、基端部が第1レバー53aに固定されると共に作動軸が第2レバー55aに連結され、半折バー55bを移送バー53bに近接する位置と離間する位置の間で揺動させる第7作動部材59により構成される。
【0021】
該集積機構49は、テーブル7の後部から縫製されたスラックス素材9のほぼ半分程が移送バー53b及び折返しバー55b上に排出された際に、第6作動部材57を作動して移送バー53b及び折返しバー55bを一体に揺動して移送バー53bを集積部材51に近接させた後、第7作動部材59を作動して折返しバー55を、集積部材51上を乗り越えて通過するように揺動し、集積部材51上に縫製されたスラックス素材9を半折状態で掛け渡して集積させる。
【0022】
天板11の後部に応じたテーブル7との間には、姿勢修正機構61が設けられる。該姿勢修正機構61は、上記集積部材51と平行に延出する姿勢修正バー63と、該姿勢修正バー63を、待機時においては、テーブル7との空間内に位置させると共に作動時には、先端がテーブル7の後部から水平方向へ突出するように往復移動させるエアーシリンダ等の第8作動部材65により構成される。
【0023】
該姿勢修正機構61は、縫製後のスラックス素材9が天板11の後部から排出される際に、第8作動部材65を作動して姿勢修正バー63を、先端がテーブル7の図5に示す右手前へ突出させることにより排出されるスラックス素材9の姿勢をほぼ水平状態に修正させる。
【0024】
尚、サージング装置1におけるテーブル7と天板11の間には、スラックス素材9の送り用の各種エアー送り装置が設けられている。これら各種エアー送り装置の詳細に付いては、実開平5−60479号公報に記載された符号50、50a---の部材と同一であるため、該公報に記載された構成及び図を援用し、本実施例としての図示及び詳細な説明を省略する。
【0025】
縫製位置後方のミシン本体5には、上下方向に軸線を有したエアーシリンダ等の第9作動部材67が設けられ、該作動部材67の作動軸下部には、シリコンゴム等の弾性体からなる押え部材69が取付けられている。該押え部材69は、縁かがり縫製が終了して停止センサ41が非検出状態へ遷移した際に作動される第9作動部材67により下方へ移動して縫製終了後のスラックス素材9を天板11に押圧して位置ずれを規制する。
【0026】
ミシン本体5上には、表示パネル71(図1に示す。)が設けられている。該表示パネル71は、液晶タッチパネルにより構成され、サージング装置1により生地の端縁を縁かがり縫製する際の各種制御キー釦(スイッチ釦)等を液晶表示し、これら各種制御キー釦がタッチ操作された際に、タッチされたそれぞれの制御キー釦に応じて表示画面を切換えさせる。
【0027】
なお、表示パネル71は、CPU及び記憶手段等の制御手段(いずれも図示せず)に接続され、制御手段は、予め記憶手段に記憶された縫製プログラムデータに基づいて表示パネル71に各種制御キー釦を表示制御させると共にタッチ操作されたそれぞれの制御キー釦に基づいて縫製作業を実行させる。
【0028】
スラックス素材9を縁かがり縫製する際の画面表示状態と操作の概略を説明する。
先ず、図6に示すように、表示パネル71の画面には、スラックス素材9として前身素材を縁かがり縫製するのか、後身素材を縁かがり縫製するのかを選択する選択釦及び各モードにおいて縫製ストローク、回転ローラ23の回転速度等を設定するためのメンテナンス釦等が表示される。該画面にて前身運転釦をタッチ操作して前身素材を選択すると、図7に示すように前身右を縁かがり縫製する際の画面が表示される。該画面上には、縁かがり縫製するスラックス素材9の各辺を指定する複数の縫製個所選択釦及びスラックス素材9の前身右シルエット画像、前身左を選択するための左選択釦及び左右を自動的に切換える自動選択釦及びくり部、角部を縁かがり縫製する際に回転ローラ23を伸長させて送りを可能にする選択釦、運転モードを選択するためのプログラム選択釦等がそれぞれ表示される。そしてそれぞれの釦をタッチ操作することにより縁かがり縫製する辺や、回転ローラ23を伸長させる動作を選択する。
【0029】
図7に示す左選択釦がタッチ操作されると、図8に示す画面に切換えられる。該画面には、縁かがり縫製するスラックス素材9の各辺を指定する複数の縫製個所選択釦及びスラックス素材9の前身左シルエット画像、上記した前身右を選択するための左選択釦及び左右を自動的に切換える自動選択釦及びくり部、角部を縁かがり縫製する際に回転ローラ23を伸張させる伸長選択釦、運転モードを選択するためのプログラム選択釦等がそれぞれ表示される。そしてそれぞれの釦をタッチ操作することにより縁かがり縫製する辺や、回転ローラ23を伸長させる動作を選択する。尚、プログラム選択釦がタッチ操作されると、図6に示す画面を表示させる。
【0030】
なお、図6に示す画面にて後見選択釦がタッチ操作されると、図7及び8に示すのと同様に各種釦及びスラックス素材9の後身左右シルエット画像が選択的に表示される。
【0031】
次に、本実施例に係るサージング装置1によるスラックス素材の縁かがり縫製作用を説明する。
本発明の縫製対象であるスラックス素材9は、図9(図9は、前身頃生地を示すが、後身頃生地に付いても、同様に縁かがり縫製するものであり、その図示及び詳細な説明を省略する。)に示すように、相対する長尺直線部9a・9b及び一方の短尺直線部9c・9dの概略4辺で、一方の長尺直線部9aにインカーブ部(くり部)、他方の長尺直線部9bにアウトカーブ部を有するように裁断される。そしてサージング装置1は、該スラックス素材9における上記端縁(長尺直線部9a・9b及び短尺直線部9c)、短尺直線部9c・9dを除いた端縁(長尺直線部9a・9b)等のように選択された辺の端縁を所定幅で縁かがり縫製する。
【0032】
先ず、スラックス素材9のサージング概略を説明すると、スラックス素材9の端縁を天板11と押圧板の先端部間に挿入して縁かがり縫製の開始個所を縫製位置にセットした状態で表示パネル71に表示されたスタート釦又はフットスイッチ(図示せず)をON操作すると、第5作動部材39bを作動して押圧板を下方へ移動してスラックス素材9の端縁を加圧板の弾性力に応じた圧力で加圧させると共に第1作動部材を作動して揺動フレーム15を下方へ揺動して回転ローラ23を、天板11上にセットされたスラックス素材9の上面に圧接させた後、ミシン本体5のミシン送り機構及び回転ローラ23の回転に伴って縫製送りしながらミシン針を運針駆動してスラックス素材9における一辺の端縁を所定幅で縁かがり縫製させる。
【0033】
そしてスラックス素材9における一辺の端縁が縁かがり縫製されると、ミシン本体5の運針駆動及び縫製送りを中断した状態で揺動フレーム15を上方へ揺動してスラックス素材9から回転ローラ23を離間させた後、第4作動部材35を作動して押圧体37をスラックス素材9の上面に圧接させた状態で第3作動部材33を作動してアーム31を手前側へ揺動して押圧体37により押圧されたスラックス素材9を移動して他辺を縫製位置に位置させる。
【0034】
そして上記状態にてミシン本体5の運針駆動及び縫製送りを再開し、転向されたスラックス素材9の端縁をかがり縫いさせる。上記作業の繰り返しによりスラックス素材9における各端縁を縁かがり縫製させる。
【0035】
この縁かがり縫製作業時にインカーブ部を縁かがり縫製する際には、ミシン本体7の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を高速化するように電動モータ21を駆動制御させる。反対に、アウトカーブ部を縫製する際には、ミシン本体7の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を低速化するように電動モータ21を駆動制御させる。これによりスラックス素材9を湾曲状態で送りながら縁かがり縫製させる。
【0036】
尚、スラックス素材9の端縁を直線状に縁かがり縫製する際には、ミシン本体7の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を同期させるように電動モータ21を駆動制御させる。また、回転ローラ23の速度制御態様としては、例えばミシン送り機構による送り速度を基準とする中速に対して低速及び高速に切換え制御されると共にそれぞれの速度(低速、中速及び高速)は、表示パネル71に表示される、例えばメンテナンス釦をタッチ操作して回転速度設定モードに切換えて設定可能にさせる。
【0037】
また、上記スラックス素材9の端縁を縁かがり縫製する際には、ガイドピンに端縁が当接して案内されることによりミシン本体7の送り機構による送り速度及び回転ローラ23による送り速度を設定しているが、実際には、スラックス素材9の送り抵抗等により縫製方向がずれるため、これを修正する必要がある。尚、上記ガイドピンに当接しながら縫製する正常時においては、少なくとも停止センサー41が検知状態に遷移している。
【0038】
この状態で高速センサー45がスラックス素材9の検知状態に遷移した場合、少なくとも停止センサー41と高速センサー45の間隔幅分、高速で縫製すると判断し、ミシン本体5の送り機構及び回転ローラ23を高速化させる。
【0039】
また、上記状態にてはずれセンサー43がスラックス素材9の検知状態に遷移した場合、スラックス素材9の端縁が図4に示す右側へ偏位したと判断し、ミシン本体5の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を、はずれセンサー43が非検知状態に遷移するまで高速化して縫製方向を修正させる。
【0040】
更に、スラックス素材9において内側へ大きく湾曲したくり部9fを縁かがり縫製する際には、上記状態で寄せセンサー47がスラックス素材9の検知状態に遷移した場合、該くり部9fの縫製方向が大きく偏位したと判断し、ミシン本体の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を、寄せセンサー47が非検知状態に遷移するまで高速化して縫製方向を修正させる。
【0041】
上記縫製時においてスラックス素材9の縫製個所を短尺直線部9c・9dから長尺直線部9a・9bになる角部9eに切換える際に、図10に示すようにスラックス素材9の長尺直線部9a・9bが自重により垂れ下がって偏る傾向にある。また、図11に示すようにスラックス素材9のくり部9fにおいては、スラックス素材9の縫製切換え部が鋭角状になっている。このような個所を縁かがり縫製する場合、天板11上にセットされたスラックス素材9の表面に対して回転ローラ23を圧接させてスラックス素材9に送り力を付与することができないか、または困難で、縫製作業を確実に行えない問題を有している。
【0042】
本発明は、上記した個所を縁かがり縫製する際に、図12(図12は、スラックス素材9のくり部9fを縫製する状態を示す。)に示すように第2作動部材19を作動して揺動フレーム15に対して可動フレーム17を伸長させた後に、第1作動部材を作動して揺動フレーム15を下方へ揺動し、回転ローラ23をスラックス素材9の表面に圧接させて回転ローラ23による送り力を付与することができ、縫製作業を確実に行うことを可能にしている。
【0043】
そして縫製後のスラックス素材9は、天板11の後部から移送バー53b及び折返しバー55bに支承可能に排出される。そして予めプログラムされたタイミング、又は例えば停止センサー41が検知状態から非検知状態に遷移したタイミングで、第9作動部材67を作動して押え部材69を下方へ移動して縫製後のスラックス素材9を天板11に圧接させて位置ずれを規制させる。
【0044】
上記縫製作業により縁かがり縫製されたスラックス素材9が縫製作業の進展に伴って天板11の後部から移送バー53b及び折返しバー55b上に排出される際に、図13に示すようにテーブル7における後部側方の壁面がテーパ状に形成されているため、縫製されたスラックス素材9の図示する下側の一部が壁面に沿って垂れ下がって湾曲し合うことにより一部が重なり合う恐れがある。
【0045】
本発明は、この問題を解決するため、図14に示すように、例えばスラックス素材9の縫製終了に伴って停止センサー41が検知状態から非検知状態に遷移したタイミングで第8作動部材65を作動して姿勢修正バー63を、その先端が天板11の図示する下側へ所定の幅で水平方向へ突出させる。これにより天板11の後部から排出される縫製後のスラックス素材9の図示する下側を姿勢修正バー63により支承案内して排出姿勢をほぼ水平状態に修正し、移送バー53b及び折返しバー55bに対してほぼ水平状態で支承可能にさせる。
【0046】
そして第9作動部材67及び第8作動部材65の作動後、従って停止センサー41が非検知状態へ遷移した後に所定の時間が経過したタイミングで第9作動部材67及び第8作動部材65をそれぞれ復動して押え部材69及び姿勢修正バー63を原位置に戻すと共に第6作動部材57を作動して移送バー53b及び折返しバー55bを、移送バー53bが集積部材51に近接するように揺動してこれらのバー53b・55bに半折状態で支承されたスラックス素材9を集積部材51側へ移動させた後、第7作動部材59を作動して折返しバー55bを、集積部材51を乗り越えて反対側へ移動するように揺動し、集積部材51に対して縫製されたスラックス素材9を半折状態で、かつ一部が重なり合うことなく掛け渡して集積させる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】サージング装置の概略を示す斜視図である。
【図2】サージング装置の略体平面図である。
【図3】回転送り機構の概略を示す斜視図である。
【図4】各種センサーの配置状態を示す平面説明図である。
【図5】集積機構の概略を示す説明図である。
【図6】画面表示例を示す説明図である。
【図7】画面表示例を示す説明図である。
【図8】画面表示例を示す説明図である。
【図9】スラックス素材を示す説明図である。
【図10】スラックス素材の垂下がり例を示す説明図である。
【図11】スラックス素材の垂下がり例を示す説明図である。
【図12】回転ローラの伸長状態を示す説明図である。
【図13】スラックス素材排出時に一部が湾曲しあった状態を示す説明図である。
【図14】排出されるスラックス素材の姿勢修正状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 サージング装置
5 ミシン本体
5a 頭部
7 テーブル
9 スラックス素材
11 天板
13 回転送り機構
15 揺動フレーム
17 可動フレーム
19 第2作動部材
21 電動モータ
23 回転ローラ
25 縫製向き変更機構
27 基台
29 軸
31 アーム
33 第3作動部材
35 第4作動部材
37 押圧体
39 端縁ガイド機構
39b 第5作動部材
41 停止センサー
43 はずれセンサー
45 高速センサー
47 寄せセンサー
49 集積機構
51 集積部材
52 軸
53b 移送バー
55b 折返しバー
57 第6作動部材
59 第7作動部材
61 姿勢修正機構
63 姿勢修正バー
65 第8作動部材
67 第9作動部材
69 押え部材
71 表示パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラックスに縫製される前身頃生地及び後身頃生地のスラックス素材の縁かがり縫製を自動的に行うスラックス素材のサージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1に示すように、スラックスに縫製される所望の形状に裁断された前身頃生地及び後身頃生地のスラックス素材端縁を所定の幅で自動的に縁かがり縫製するサージング装置を提案した。該サージング装置は、平面において正面、側面及び背面を直線にすると共に各コーナーを緩やかなR部で、側面において壁面がテーパ状の下広がり形状に形成されたテーブルの一側にミシン頭部を配置すると共にミシンの送り機構の近くで、該送り機構と共にテーブル上にセットされたスラックス素材に圧接して移送する回転ローラ、送り方向を調節する送り調節機構、前身頃生地及び後身頃生地における縁かがり位置を変更する位置変更機構等を備えた構造からなる。
【0003】
また、上記サージング装置により縁かがり縫製されるスラックス素材は、概ね、長尺及び短尺の直線部分と外側に湾曲したアウトカーブ部や内側に湾曲したインカーブ部を有し、特にくり部が角部が鋭角状に裁断されている。
【0004】
このため、上記したサージング装置によりスラックス素材の特に角部を縁かがり縫製する際に、テーブルの各コーナーが緩やかな曲面で、壁面が下広がりのテーパ状に形成されていると共にスラックス素材自体が長尺状であるため、テーブルから縁かがり個所以外の部分が自重により垂れ下がってスラックス素材に回転ローラを確実に圧接させることが困難で、ミシンの送り機構と協働して縫製送りすることが困難であった。また、スラックス素材の特にくり部が鋭角状の角部になっているため、縁かがり縫製する際には、スラックス素材に対して回転ローラが届かず、ミシンの送り機構のみでは、スラックス素材を縫製送りすることができなかった。
【0005】
更に、縁かがり縫製されたスラックス素材を排出して集積する際には、テーブルにおける排出側の載置幅が排出されるスラックス素材の縫製送り直交方向幅より狭いため、テーブルから排出されるスラックス素材の一部が集積機構とテーブルの後部壁面の間で湾曲しあって一部が重なり合う問題を有している。このため、この状態で集積部材に対してスラックス素材を半折状態で集積すると、一部が重なり合った状態で集積されることになり、この状態では次工程におけるスラックス素材処理を円滑に行えない恐れを有している。
【特許文献1】実開平5−60479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、スラックス素材の特に角部やくり部を縁かがり縫いする際に、スラックス素材自体が長尺状であったり、鋭角状であるため、スラックス素材に対して回転ローラが届かず、回転ローラによる送り力を付与することができないか、または困難で、スラックス素材を有効に縁かがり縫製できない点にある。また、縁かがり縫製されたスラックス素材を排出して集積する際には、一部が湾曲し合って重なり合い、それぞれを平面状態で集積できない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平面において正面、側面及び背面を直線にすると共に各コーナーが曲線状で、側面において壁面が下広がりテーパ状に形成されたテーブルの一側にミシン本体を設け、テーブル上にセットされたスラックス素材の端縁を所定の幅で縁かがり縫製するサージング装置において、ミシン本体の縫製位置側方に配置され、上下方向へ揺動可能に支持された揺動フレームに対して伸長可能に支持された可動フレームの先端部に縫製方向へ回転可能に支持された回転部材、該回転部材を可変速及び正逆転駆動する電動モータ、揺動フレームに対して可動フレームを所定距離で伸縮移動させる作動部材とからなり、テーブル上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材により縫製送りする回転送り機構と、テーブルにおける縫製されたスラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、縫製されたスラックス素材が排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出して排出されるスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、スラックス素材の特に角部やくり部を縁かがり縫製する際に、スラックス素材に対して回転ローラを確実に圧接させて送り力を付与して縫製することができる。また、縁かがり縫製されたスラックス素材を排出して集積する際に、テーブルから排出されるスラックス素材の一部が重なり合って集積されるのを防止してそれぞれを平面状態で集積させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ミシン本体の縫製位置側方に配置され、上下方向へ揺動可能に支持された揺動フレームに対して伸長可能に支持された可動フレームの先端部に縫製方向へ回転可能に支持された回転部材、該回転部材を可変速及び正逆転駆動する電動モータ、揺動フレームに対して可動フレームを所定距離で伸縮移動させる作動部材とからなり、テーブル上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材により縫製送りする回転送り機構と、テーブルにおける縫製されたスラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、縫製されたスラックス素材が排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出して排出されるスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構とからなることを最良の形態とする。
【実施例】
【0010】
以下、本発明を実施形態に従って説明する。
図1乃至図2に示すように、スラックス素材のサージング装置1の本体フレーム(図示せず)には、ミシン本体5及びテーブル7が設けられている。ミシン本体5は、従来公知の構造で、詳細な説明を省略する。また、テーブル7は、本体フレームに設けられたガイドレール(図示せず)に支持され、ミシン本体5に対して図示する左右方向へスライド可能に構成される。そしてミシン本体5の頭部5a側面とテーブル7の間には、スラックス素材9の端縁を所定の幅で縁かがり縫製するための作業空間を形成している。
【0011】
上記テーブル7は、平面において正面側、側面側及び背面側の直線部と、これらの各角部を曲線状に形成すると共に側面において上部から下部に向かって広くなるテーパ状の壁面に形成される。テーブル7の上面には、該テーブル7上面と同形状の天板11が、適宜の間隔をおいて固定されている。該天板11の上面には、滑動性に優れたフッ化樹脂層がコーティングされている。
【0012】
次に、サージング装置1の各機構を説明する。
先ず、素材送り機構に付いて説明すると、素材送り機構は、ミシン本体5に内蔵されて縫製方向へ往復移動すると共に上下移動して素材送りする従来公知のミシン送り機構と、回転送り機構13から構成される。ミシン送り機構に付いては、従来来公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0013】
図3に示すように、回転送り機構13は、ミシン本体5の縫製位置(ミシン針位置)の側方に設けられ、ミシン本体5の後部に基端部が揺動するように支持され、テーブル7の前方へ延出する揺動フレーム15と、該揺動フレーム15に対して長手方向へ伸縮するように支持される可動フレーム17と、揺動フレーム15を上下方向へ揺動させるエアーシリンダ等の第1作動部材(図示せず)と、揺動フレーム15に対して可動フレーム17を所定のストロークで伸長させるエアーシリンダ等の第2作動部材19と、可動フレーム17の先端部に、該可動フレーム17の長手直交方向に軸線を有するように取付けられ、速度制御が可能なサーボモータ、ステップモータ等の電動モータ21と、該電動モータ21の回転軸に対して縫製方向へ回転するように取付けられ、外周面にシリコンゴム等の弾性部材が被覆された回転ローラ23により構成される。
【0014】
上記回転ローラ23は、揺動フレーム15に対する可動フレーム17の伸縮に伴って上記縫製位置の側方手前位置と天板11の前側の間で移動される。また、該回転ローラ23は、第1作動部材の作動により天板11上に載置されたスラックス素材9の上面に圧接する下方位置とスラックス素材9の上面から離間した上方位置の間で移動される。更に、回転ローラ23は、ミシン送り機構との協働により生地送りする際に、電動モータ21を速度制御することによりスラックス素材9の縫製方向を可変可能にしている。
【0015】
縫製向き変更機構25(図1及び図2に示す。)は、ミシン本体5の上部に固定された基台27に設けられた軸29を中心に揺動可能に支持され、先端部側が天板11の側部上方へ延びるアーム31と、基端部が基台27に固定されると共に作動軸33aがアーム31の一端部に連結されたエアーシリンダ等の第3作動部材33と、アーム31の先端部に上下方向へ軸線を有するように固定されたエアーシリンダ等の第4作動部材35と、該第4作動部材35の作動軸下部に取付けられ、ゴム等のように摩擦係数が高い部材により構成される押圧体37とから構成される。
【0016】
上記アーム31は、第3作動部材33の作動に伴って軸29を中心に水平揺動して先端部側の押圧体37を、テーブル7の図示する左側及び前部にそれぞれ位置させる。また、押圧体37は、第4作動部材35の作動に伴って天板11上に載置されたスラックス素材9の上面に圧接する下方位置と天板11から上方へ離間した上方位置の間で移動される。そして押圧体37は、下方位置に移動した状態でアーム31が揺動されることにより天板11上にセットされたスラックス素材9に圧接しながら移動して縫製向きを転向させる。
【0017】
縫製位置手前の天板11上には、スラックス素材9の端縁ガイド機構39(図1及び図2に示す。)が設けられている。該端縁ガイド機構39は、基端部がテーブル7に固定され、先端部が天板11の上面から所要の間隔で浮き上がる形状に形成された金属板からなる押圧板(図示せず)と、該押圧板の先端側にて上下方向へ軸線を有して固定され、スラックス素材9の端縁に当接して案内する複数本のガイドピン(図示せず)と、基端部が上記押圧板の基端側に固定されると共に先端部が押圧板の先端部に向かって延びて押圧する弾性変形可能な板ばねからなる加圧板39aと、上下方向に軸線を有して基端部が天板11に回転可能に軸支され、かつ押圧板及び加圧板39aの孔に挿通される軸ねじ(図示せず)、該軸ねじに噛合わされ、加圧板39aの孔を挿通するねじナット(図示せず)、加圧板39aの孔を挿通したねじナットに噛合わされて加圧板39aの上面に当接して弾性変形度を可変する調節ナット(図示せず)からなる押圧力調整部材と、押圧板の基端部側に応じた天板11に設けられ、該押圧板を押圧して先端部を天板11上に当接させるエアーシリンダ等の第5作動部材39bとにより構成される。
【0018】
該端縁ガイド機構39は、第5作動部材39bの非作動時においては、天板11の上面に対して押圧板の先端部が所要の間隔を形成するように浮き上がり、縫製されるスラックス素材9を差し込み可能にさせる一方、第5作動部材39bの作動時においては、押圧板の先端部が天板11の上面に近接して差し込まれたスラックス素材9の端縁側を加圧板39aの弾性力に応じた圧力で抑えながらガイドピンにより縫製案内させる。
【0019】
図4に示すように、天板11上には、縫製位置から天板11の手前に延びる仮想線上で、かつ縫製位置より手前の個所に停止センサー41が設けられ、該センサー41によりスラックス素材9の縫製終了端を検知してミシン本体5による縫製を停止制御させる。該停止センサー41より手前位置で、図示する右側へ若干偏位した個所の天板11上には、はずれセンサー43が設けられ、該センサー43によりスラックス素材9の端部を検知してはずれ方向を検出し、縫製方向を修正制御させる。縫製位置から直線状で天板11の手前側へ延びる仮想線上で、上記停止センサー41より手前位置の天板11上には、高速センサー45が設けられ、該センサー45によりスラックス素材9の有無を検知すると共に高速度で縫製する領域を検知してミシン本体5による高速縫製を制御させる。上記高速センサー45の図示する右側へ所定の間隔をおいた天板11上には、寄せセンサー47が設けられ、スラックス素材9の端部が大きく偏位した状態を検知して縫製方向を修正制御させる。これら各センサー41,43,45,47は、発光素子及び受光素子により構成され、天板11からの反射光に基づいてスラックス素材9の有無を検知する。
【0020】
図5に示すように、テーブル7の後方には、集積機構49が設けられている。該集積機構49は、本体フレームの後部に設けられ、縫製方向と直交する水平方向に軸線を有し、縫製されたスラックス素材9を半折状態で掛け渡された状態で集積する集積部材51と、集積部材51とテーブル7後部の中間に設けられた軸52を中心に揺動可能に支持された第1レバー53aーの先端部に固定され、集積部材51と平行な軸線を有した移送バー53bと、第1レバー53aのほぼ中間部にて長手方向と直交する方向に延びる支持板に基端部が支持されて揺動する第2レバー55aの先端部に固定され、移送バー53bと平行な軸線を有した半折バー55bと、作動軸が第1レバー53aに連結され、第1及び第2レバー53a・55aを一体で、かつ移送バー53bをテーブル7の後部と集積部材51の間で揺動させるエアーシリンダ等の第6作動部材57と、基端部が第1レバー53aに固定されると共に作動軸が第2レバー55aに連結され、半折バー55bを移送バー53bに近接する位置と離間する位置の間で揺動させる第7作動部材59により構成される。
【0021】
該集積機構49は、テーブル7の後部から縫製されたスラックス素材9のほぼ半分程が移送バー53b及び折返しバー55b上に排出された際に、第6作動部材57を作動して移送バー53b及び折返しバー55bを一体に揺動して移送バー53bを集積部材51に近接させた後、第7作動部材59を作動して折返しバー55を、集積部材51上を乗り越えて通過するように揺動し、集積部材51上に縫製されたスラックス素材9を半折状態で掛け渡して集積させる。
【0022】
天板11の後部に応じたテーブル7との間には、姿勢修正機構61が設けられる。該姿勢修正機構61は、上記集積部材51と平行に延出する姿勢修正バー63と、該姿勢修正バー63を、待機時においては、テーブル7との空間内に位置させると共に作動時には、先端がテーブル7の後部から水平方向へ突出するように往復移動させるエアーシリンダ等の第8作動部材65により構成される。
【0023】
該姿勢修正機構61は、縫製後のスラックス素材9が天板11の後部から排出される際に、第8作動部材65を作動して姿勢修正バー63を、先端がテーブル7の図5に示す右手前へ突出させることにより排出されるスラックス素材9の姿勢をほぼ水平状態に修正させる。
【0024】
尚、サージング装置1におけるテーブル7と天板11の間には、スラックス素材9の送り用の各種エアー送り装置が設けられている。これら各種エアー送り装置の詳細に付いては、実開平5−60479号公報に記載された符号50、50a---の部材と同一であるため、該公報に記載された構成及び図を援用し、本実施例としての図示及び詳細な説明を省略する。
【0025】
縫製位置後方のミシン本体5には、上下方向に軸線を有したエアーシリンダ等の第9作動部材67が設けられ、該作動部材67の作動軸下部には、シリコンゴム等の弾性体からなる押え部材69が取付けられている。該押え部材69は、縁かがり縫製が終了して停止センサ41が非検出状態へ遷移した際に作動される第9作動部材67により下方へ移動して縫製終了後のスラックス素材9を天板11に押圧して位置ずれを規制する。
【0026】
ミシン本体5上には、表示パネル71(図1に示す。)が設けられている。該表示パネル71は、液晶タッチパネルにより構成され、サージング装置1により生地の端縁を縁かがり縫製する際の各種制御キー釦(スイッチ釦)等を液晶表示し、これら各種制御キー釦がタッチ操作された際に、タッチされたそれぞれの制御キー釦に応じて表示画面を切換えさせる。
【0027】
なお、表示パネル71は、CPU及び記憶手段等の制御手段(いずれも図示せず)に接続され、制御手段は、予め記憶手段に記憶された縫製プログラムデータに基づいて表示パネル71に各種制御キー釦を表示制御させると共にタッチ操作されたそれぞれの制御キー釦に基づいて縫製作業を実行させる。
【0028】
スラックス素材9を縁かがり縫製する際の画面表示状態と操作の概略を説明する。
先ず、図6に示すように、表示パネル71の画面には、スラックス素材9として前身素材を縁かがり縫製するのか、後身素材を縁かがり縫製するのかを選択する選択釦及び各モードにおいて縫製ストローク、回転ローラ23の回転速度等を設定するためのメンテナンス釦等が表示される。該画面にて前身運転釦をタッチ操作して前身素材を選択すると、図7に示すように前身右を縁かがり縫製する際の画面が表示される。該画面上には、縁かがり縫製するスラックス素材9の各辺を指定する複数の縫製個所選択釦及びスラックス素材9の前身右シルエット画像、前身左を選択するための左選択釦及び左右を自動的に切換える自動選択釦及びくり部、角部を縁かがり縫製する際に回転ローラ23を伸長させて送りを可能にする選択釦、運転モードを選択するためのプログラム選択釦等がそれぞれ表示される。そしてそれぞれの釦をタッチ操作することにより縁かがり縫製する辺や、回転ローラ23を伸長させる動作を選択する。
【0029】
図7に示す左選択釦がタッチ操作されると、図8に示す画面に切換えられる。該画面には、縁かがり縫製するスラックス素材9の各辺を指定する複数の縫製個所選択釦及びスラックス素材9の前身左シルエット画像、上記した前身右を選択するための左選択釦及び左右を自動的に切換える自動選択釦及びくり部、角部を縁かがり縫製する際に回転ローラ23を伸張させる伸長選択釦、運転モードを選択するためのプログラム選択釦等がそれぞれ表示される。そしてそれぞれの釦をタッチ操作することにより縁かがり縫製する辺や、回転ローラ23を伸長させる動作を選択する。尚、プログラム選択釦がタッチ操作されると、図6に示す画面を表示させる。
【0030】
なお、図6に示す画面にて後見選択釦がタッチ操作されると、図7及び8に示すのと同様に各種釦及びスラックス素材9の後身左右シルエット画像が選択的に表示される。
【0031】
次に、本実施例に係るサージング装置1によるスラックス素材の縁かがり縫製作用を説明する。
本発明の縫製対象であるスラックス素材9は、図9(図9は、前身頃生地を示すが、後身頃生地に付いても、同様に縁かがり縫製するものであり、その図示及び詳細な説明を省略する。)に示すように、相対する長尺直線部9a・9b及び一方の短尺直線部9c・9dの概略4辺で、一方の長尺直線部9aにインカーブ部(くり部)、他方の長尺直線部9bにアウトカーブ部を有するように裁断される。そしてサージング装置1は、該スラックス素材9における上記端縁(長尺直線部9a・9b及び短尺直線部9c)、短尺直線部9c・9dを除いた端縁(長尺直線部9a・9b)等のように選択された辺の端縁を所定幅で縁かがり縫製する。
【0032】
先ず、スラックス素材9のサージング概略を説明すると、スラックス素材9の端縁を天板11と押圧板の先端部間に挿入して縁かがり縫製の開始個所を縫製位置にセットした状態で表示パネル71に表示されたスタート釦又はフットスイッチ(図示せず)をON操作すると、第5作動部材39bを作動して押圧板を下方へ移動してスラックス素材9の端縁を加圧板の弾性力に応じた圧力で加圧させると共に第1作動部材を作動して揺動フレーム15を下方へ揺動して回転ローラ23を、天板11上にセットされたスラックス素材9の上面に圧接させた後、ミシン本体5のミシン送り機構及び回転ローラ23の回転に伴って縫製送りしながらミシン針を運針駆動してスラックス素材9における一辺の端縁を所定幅で縁かがり縫製させる。
【0033】
そしてスラックス素材9における一辺の端縁が縁かがり縫製されると、ミシン本体5の運針駆動及び縫製送りを中断した状態で揺動フレーム15を上方へ揺動してスラックス素材9から回転ローラ23を離間させた後、第4作動部材35を作動して押圧体37をスラックス素材9の上面に圧接させた状態で第3作動部材33を作動してアーム31を手前側へ揺動して押圧体37により押圧されたスラックス素材9を移動して他辺を縫製位置に位置させる。
【0034】
そして上記状態にてミシン本体5の運針駆動及び縫製送りを再開し、転向されたスラックス素材9の端縁をかがり縫いさせる。上記作業の繰り返しによりスラックス素材9における各端縁を縁かがり縫製させる。
【0035】
この縁かがり縫製作業時にインカーブ部を縁かがり縫製する際には、ミシン本体7の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を高速化するように電動モータ21を駆動制御させる。反対に、アウトカーブ部を縫製する際には、ミシン本体7の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を低速化するように電動モータ21を駆動制御させる。これによりスラックス素材9を湾曲状態で送りながら縁かがり縫製させる。
【0036】
尚、スラックス素材9の端縁を直線状に縁かがり縫製する際には、ミシン本体7の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を同期させるように電動モータ21を駆動制御させる。また、回転ローラ23の速度制御態様としては、例えばミシン送り機構による送り速度を基準とする中速に対して低速及び高速に切換え制御されると共にそれぞれの速度(低速、中速及び高速)は、表示パネル71に表示される、例えばメンテナンス釦をタッチ操作して回転速度設定モードに切換えて設定可能にさせる。
【0037】
また、上記スラックス素材9の端縁を縁かがり縫製する際には、ガイドピンに端縁が当接して案内されることによりミシン本体7の送り機構による送り速度及び回転ローラ23による送り速度を設定しているが、実際には、スラックス素材9の送り抵抗等により縫製方向がずれるため、これを修正する必要がある。尚、上記ガイドピンに当接しながら縫製する正常時においては、少なくとも停止センサー41が検知状態に遷移している。
【0038】
この状態で高速センサー45がスラックス素材9の検知状態に遷移した場合、少なくとも停止センサー41と高速センサー45の間隔幅分、高速で縫製すると判断し、ミシン本体5の送り機構及び回転ローラ23を高速化させる。
【0039】
また、上記状態にてはずれセンサー43がスラックス素材9の検知状態に遷移した場合、スラックス素材9の端縁が図4に示す右側へ偏位したと判断し、ミシン本体5の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を、はずれセンサー43が非検知状態に遷移するまで高速化して縫製方向を修正させる。
【0040】
更に、スラックス素材9において内側へ大きく湾曲したくり部9fを縁かがり縫製する際には、上記状態で寄せセンサー47がスラックス素材9の検知状態に遷移した場合、該くり部9fの縫製方向が大きく偏位したと判断し、ミシン本体の送り機構による送り速度に対して回転ローラ23による送り速度を、寄せセンサー47が非検知状態に遷移するまで高速化して縫製方向を修正させる。
【0041】
上記縫製時においてスラックス素材9の縫製個所を短尺直線部9c・9dから長尺直線部9a・9bになる角部9eに切換える際に、図10に示すようにスラックス素材9の長尺直線部9a・9bが自重により垂れ下がって偏る傾向にある。また、図11に示すようにスラックス素材9のくり部9fにおいては、スラックス素材9の縫製切換え部が鋭角状になっている。このような個所を縁かがり縫製する場合、天板11上にセットされたスラックス素材9の表面に対して回転ローラ23を圧接させてスラックス素材9に送り力を付与することができないか、または困難で、縫製作業を確実に行えない問題を有している。
【0042】
本発明は、上記した個所を縁かがり縫製する際に、図12(図12は、スラックス素材9のくり部9fを縫製する状態を示す。)に示すように第2作動部材19を作動して揺動フレーム15に対して可動フレーム17を伸長させた後に、第1作動部材を作動して揺動フレーム15を下方へ揺動し、回転ローラ23をスラックス素材9の表面に圧接させて回転ローラ23による送り力を付与することができ、縫製作業を確実に行うことを可能にしている。
【0043】
そして縫製後のスラックス素材9は、天板11の後部から移送バー53b及び折返しバー55bに支承可能に排出される。そして予めプログラムされたタイミング、又は例えば停止センサー41が検知状態から非検知状態に遷移したタイミングで、第9作動部材67を作動して押え部材69を下方へ移動して縫製後のスラックス素材9を天板11に圧接させて位置ずれを規制させる。
【0044】
上記縫製作業により縁かがり縫製されたスラックス素材9が縫製作業の進展に伴って天板11の後部から移送バー53b及び折返しバー55b上に排出される際に、図13に示すようにテーブル7における後部側方の壁面がテーパ状に形成されているため、縫製されたスラックス素材9の図示する下側の一部が壁面に沿って垂れ下がって湾曲し合うことにより一部が重なり合う恐れがある。
【0045】
本発明は、この問題を解決するため、図14に示すように、例えばスラックス素材9の縫製終了に伴って停止センサー41が検知状態から非検知状態に遷移したタイミングで第8作動部材65を作動して姿勢修正バー63を、その先端が天板11の図示する下側へ所定の幅で水平方向へ突出させる。これにより天板11の後部から排出される縫製後のスラックス素材9の図示する下側を姿勢修正バー63により支承案内して排出姿勢をほぼ水平状態に修正し、移送バー53b及び折返しバー55bに対してほぼ水平状態で支承可能にさせる。
【0046】
そして第9作動部材67及び第8作動部材65の作動後、従って停止センサー41が非検知状態へ遷移した後に所定の時間が経過したタイミングで第9作動部材67及び第8作動部材65をそれぞれ復動して押え部材69及び姿勢修正バー63を原位置に戻すと共に第6作動部材57を作動して移送バー53b及び折返しバー55bを、移送バー53bが集積部材51に近接するように揺動してこれらのバー53b・55bに半折状態で支承されたスラックス素材9を集積部材51側へ移動させた後、第7作動部材59を作動して折返しバー55bを、集積部材51を乗り越えて反対側へ移動するように揺動し、集積部材51に対して縫製されたスラックス素材9を半折状態で、かつ一部が重なり合うことなく掛け渡して集積させる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】サージング装置の概略を示す斜視図である。
【図2】サージング装置の略体平面図である。
【図3】回転送り機構の概略を示す斜視図である。
【図4】各種センサーの配置状態を示す平面説明図である。
【図5】集積機構の概略を示す説明図である。
【図6】画面表示例を示す説明図である。
【図7】画面表示例を示す説明図である。
【図8】画面表示例を示す説明図である。
【図9】スラックス素材を示す説明図である。
【図10】スラックス素材の垂下がり例を示す説明図である。
【図11】スラックス素材の垂下がり例を示す説明図である。
【図12】回転ローラの伸長状態を示す説明図である。
【図13】スラックス素材排出時に一部が湾曲しあった状態を示す説明図である。
【図14】排出されるスラックス素材の姿勢修正状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 サージング装置
5 ミシン本体
5a 頭部
7 テーブル
9 スラックス素材
11 天板
13 回転送り機構
15 揺動フレーム
17 可動フレーム
19 第2作動部材
21 電動モータ
23 回転ローラ
25 縫製向き変更機構
27 基台
29 軸
31 アーム
33 第3作動部材
35 第4作動部材
37 押圧体
39 端縁ガイド機構
39b 第5作動部材
41 停止センサー
43 はずれセンサー
45 高速センサー
47 寄せセンサー
49 集積機構
51 集積部材
52 軸
53b 移送バー
55b 折返しバー
57 第6作動部材
59 第7作動部材
61 姿勢修正機構
63 姿勢修正バー
65 第8作動部材
67 第9作動部材
69 押え部材
71 表示パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面において正面、側面及び背面を直線にすると共に各コーナーが曲線状で、側面において壁面が下広がりテーパ状に形成されたテーブルの一側にミシン本体を設け、テーブル上にセットされたスラックス素材の端縁を所定の幅で縁かがり縫製するサージング装置において、
ミシン本体の縫製位置側方に配置され、上下方向へ揺動可能に支持された揺動フレームに対して伸長可能に支持された可動フレームの先端部に縫製方向へ回転可能に支持された回転部材、該回転部材を可変速及び正逆転駆動する電動モータ、揺動フレームに対して可動フレームを所定距離で伸縮移動させる作動部材とからなり、テーブル上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材により縫製送りする回転送り機構と、
テーブルにおける縫製されたスラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、縫製されたスラックス素材が排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出して排出されるスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構と、
を備えたスラックス素材のサージング装置。
【請求項2】
請求項1において、基端部がミシン本体側にて揺動可能に支持されると共に先端部が上記回転送り機構の側方へ延出するアームの先端部にて上下方向へ移動可能に支持された押圧部材、上記アームを上記回転送り機構の側方と縫製位置の手前位置の間で揺動させる揺動作動部材及び上記押圧部材をテーブル上に当接する下方位置と離間した上方位置の間で上下方向へ移動させる縫製向き変更機構を備えたスラックス素材のサージング装置。
【請求項3】
請求項1において、縫製位置手前のテーブル上には、縫製されるスラックス素材の端に基づいて縫製終了を検知する停止検知器、縫製位置から手前側へ直線状に延びる仮想線から所定の幅をおいて位置に偏位した箇所に設けられ、縫製されるスラックス素材の縫製直交方向端に基づいて縫製方向の変位を検知するはずれ検知器を設けたスラックス素材のサージング装置。
【請求項4】
請求項1において、テーブルのラックス素材排出側に設けられ、縫製されたスラックス素材を半折状態で掛け渡されて集積する集積部材、テーブルの排出側と集積部材の間で揺動可能に支持され、縫製されたスラックス素材の下面を支承して集積部材側へ移送する移送部材及び該移送部材と一体に揺動可能に支持されて縫製されたスラックス素材の下面を支承すると共に該移送部材が集積部材側へ揺動された際に、移送部材と独立して集積部材を乗り越えるように揺動し、集積部材に対して支承したスラックス素材を半折状態で掛け渡す半折部材から集積機構を備えたスラックス素材のサージング装置。
【請求項1】
平面において正面、側面及び背面を直線にすると共に各コーナーが曲線状で、側面において壁面が下広がりテーパ状に形成されたテーブルの一側にミシン本体を設け、テーブル上にセットされたスラックス素材の端縁を所定の幅で縁かがり縫製するサージング装置において、
ミシン本体の縫製位置側方に配置され、上下方向へ揺動可能に支持された揺動フレームに対して伸長可能に支持された可動フレームの先端部に縫製方向へ回転可能に支持された回転部材、該回転部材を可変速及び正逆転駆動する電動モータ、揺動フレームに対して可動フレームを所定距離で伸縮移動させる作動部材とからなり、テーブル上にセットされたスラック素材に圧接する回転部材により縫製送りする回転送り機構と、
テーブルにおける縫製されたスラックス素材の排出側にて水平方向へ移動可能に設けられ、縫製されたスラックス素材が排出される際に、先端部がテーブルから水平方向へ突出して排出されるスラックス素材を支持してほぼ水平状態に排出姿勢を修正する姿勢修正部材及びテーブルに対して姿勢修正部材を出没させる作動部材とからなる姿勢修正機構と、
を備えたスラックス素材のサージング装置。
【請求項2】
請求項1において、基端部がミシン本体側にて揺動可能に支持されると共に先端部が上記回転送り機構の側方へ延出するアームの先端部にて上下方向へ移動可能に支持された押圧部材、上記アームを上記回転送り機構の側方と縫製位置の手前位置の間で揺動させる揺動作動部材及び上記押圧部材をテーブル上に当接する下方位置と離間した上方位置の間で上下方向へ移動させる縫製向き変更機構を備えたスラックス素材のサージング装置。
【請求項3】
請求項1において、縫製位置手前のテーブル上には、縫製されるスラックス素材の端に基づいて縫製終了を検知する停止検知器、縫製位置から手前側へ直線状に延びる仮想線から所定の幅をおいて位置に偏位した箇所に設けられ、縫製されるスラックス素材の縫製直交方向端に基づいて縫製方向の変位を検知するはずれ検知器を設けたスラックス素材のサージング装置。
【請求項4】
請求項1において、テーブルのラックス素材排出側に設けられ、縫製されたスラックス素材を半折状態で掛け渡されて集積する集積部材、テーブルの排出側と集積部材の間で揺動可能に支持され、縫製されたスラックス素材の下面を支承して集積部材側へ移送する移送部材及び該移送部材と一体に揺動可能に支持されて縫製されたスラックス素材の下面を支承すると共に該移送部材が集積部材側へ揺動された際に、移送部材と独立して集積部材を乗り越えるように揺動し、集積部材に対して支承したスラックス素材を半折状態で掛け渡す半折部材から集積機構を備えたスラックス素材のサージング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−88801(P2010−88801A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264297(P2008−264297)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(391063673)株式会社友縫機械 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(391063673)株式会社友縫機械 (4)
【Fターム(参考)】
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