説明

スルホニウム塩光開始剤

、L、L及びLが、互いに独立して、水素又は有機置換基であり、Rが、例えば、C〜C20アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C20アルケニル、置換C〜C20アルキルであり、Xが、O、S、NR又はNCORであり、Rが、例えば、水素又はC〜C20アルキルであり、そしてYが、無機又は有機アニオンである式(I)の化合物は、光潜酸発生剤として適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のスルホニウム塩光開始剤及び光硬化性組成物におけるそれらの使用に関するものである。
【0002】
スルホニウム塩は当該技術において光開始剤として知られている。英国特許第2061280号において、フェニルチオ部分を含むトリアリールスルホニウム塩が開示されている。このタイプの他の化合物、とりわけフェノキシ基を有するものが、米国特許第4,451,409号、米国特許第4,694,029号及び欧州特許出願第06112602.5号により知られており、例えば、トリス(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートである。国際公開公報第03/072567号及び国際公開公報第03/008404号は、スルホニウムイオンが縮合環系、例えばチオキサンチル部分に位置するスルホニウム塩を開示する。特開平08−311018−Aにおいて、スルホニウム塩の調製方法、並びにトリス(4−ブトキシフェニル)スルホニウム及びトリス〔4−(ジメチルアミノ)フェニル〕スルホニウムカチオンの調製方法が開示されている。米国特許出願公開第2003/0235782号及び米国特許出願公開第2005/0100819号は、フォトレジスト用途にスルホニウム塩を提供している。市販されているスルホニウム塩光開始剤の一つの大きな問題点は、硫化ジフェニル、チオキサントン又はベンゼンのような毒性及び/又は臭気のある分解生成物の形成である。技術的に、特に透明被覆及び顔料着色被覆、薄層及び厚層の両方において、共開始剤として増感剤を伴う及び伴わないで反応性があり、非毒性であり、非毒性及び無臭の分解生成物を生じ、更に黄変が小さい有効なカチオン性光開始剤の必要性が存在する。
【0003】
いまや、式I:
【0004】
【化1】

【0005】
〔式中、
、L、L及びLは、互いに独立して、水素又は有機置換基であり;
Rは、T、T、T、A−T又はA−Tであり、有機置換基としてのL及びLが、両方ともフェニル又はシクロヘキシルである場合、Rは、追加的に水素を示し;
Xは、O、S、NR又はNCORであるが;
但し、
(i)XがOであり、L及びLが水素である場合、Rは、A−T又はTを示し;
(ii)XがOであり、Lが水素であり、Lが水素以外である場合、Rは、A−T又はTを示し;
(iii)XがSであり、L及びLが水素である場合、Rは、A−T又はTを示し;
(iv)XがNRであり、Rがアルキルであり、L及びLが水素である場合、Rは、A−T又はTを示し;
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C12シクロアルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキル、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上Eで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルケニル、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルケニル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルケニル、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニル、又は1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニルであり;
は、C〜C12シクロアルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキル、1つ以上のO、S若しくはOCOで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のCO、COO、OCO若しくは下記:
【0006】
【化2】

【0007】
で中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルケニル、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニル、又は1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニルであり;
は、Tで提示された意味の1つを有するか又はC〜C20アルキルであり:
は、水素又はTであり;
Aは、CO、COO又はCONRであり;
Dは、水素、R、OR、SR、NR、ハロゲン、NO、CN、O−グリシジル、O−ビニル、O−アリル、COR、NRCOR、COOR、OCOR、下記:
【0008】
【化3】

【0009】
CONR、OCOOR、OCONR、NRCOOR、SOH、下記:
【0010】
【化4】

【0011】
〜C18アリール、O−C〜C18アリール、下記:
【0012】
【化5】

【0013】
O−CR=CR、CR=CR、COCR=CR、OCOCR=CR、NRCOCR=CR又はSOMであり;
は、OH、SR、ハロゲン、NO、CN、O−グリシジル、O−アリル、下記:
【0014】
【化6】

【0015】
であり;
Eは、O、S、COO、OCO、CO、NR、NCOR、NRCO、CONR、OCOO、OCONR、NRCOO、SO、SO、フェニレンであるか、又は1つ以上のR、OR、SRで置換されているフェニレン、C〜Cシクロアルキレン、CR=CR又は下記:
【0016】
【化7】

【0017】
であり;
、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル又はフェニルであり;
Mは、無機又は有機カチオンであり;そして
Yは、無機又は有機アニオンである〕で示される化合物が、有効な、黄変が小さい光潜スルホニウム塩であることが見出されている。
【0018】
前記化合物は、光硬化性配合物において低い黄変、少ない臭気及び良好な溶解性と組み合わされた良好な反応性によって優れている。式Iの光潜酸スルホニウム塩化合物は、良好な溶解性及び低い黄変特性と組み合わされた極めて満足のいく反応性を示す。環境の観点から非常に重要な利点は、本発明の化合物がベンゼン又はチオキサントンを放出しないという事実である。
【0019】
有機置換基としてのL、L、L、Lは、例えば、水素、R、OR、SR、NR、ハロゲン、NO、CN、COR、NRCOR、COOR、OCOR、CONR、OCOOR、OCONR、NRCOOR、SOH、SOM、SOR又はSOであり;
は、Tで提示された意味の1つを有するか又は水素であり、Rは、上記で定義されたとおりである。
好ましくは、L、L、L、Lは、互いに独立して、水素、R、OR、SR、ハロゲン、NO、CN又はCORである。特に好ましいL、L、L、Lは、互いに独立して、水素、R、OR又はハロゲンである。さらにより好ましいものは、L、Lが、互いに独立して、水素、R、OR又はハロゲンであり、L及びLが水素である、化合物である。最も好ましいものは、L、Lが、互いに独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ又はフェニルであり、L及びLが水素である、化合物である。他の好ましい化合物において、L、Lは、互いに独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ又はフェニルであり、L及びLは水素である。
及びLは、好ましくは水素である。
【0020】
は、好ましくは、C〜C12シクロアルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルケニル、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニル、又は1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニルである。
【0021】
Xは、好ましくはO又はS、特にOである。
【0022】
Dは、例えば、水素、R、OR、SR、ハロゲン、O−グリシジル、ビニル、O−ビニル、O−アリル、COR、COOR、OCOR、下記:
【0023】
【化8】

【0024】
SOH、下記:
【0025】
【化9】

【0026】
フェニル、COCH=CH、OCOCH=CH、NRCOCH=CH、COC(CH)=CH、OCOC(CH)=CH、NRCOC(CH)=CH、下記:
【0027】
【化10】

【0028】
又はSOMであり、特にDは、水素、R、OR、O−グリシジル、ビニル、O−ビニル、O−アリル、COR、COOR、OCOR、下記:
【0029】
【化11】

【0030】
フェニル、OCOCH=CH、OCOC(CH)=CH、下記:
【0031】
【化12】

【0032】
である。特に好ましいDは、OH、O−グリシジル、O−ビニル、ビニル、O−アリル、下記:
【0033】
【化13】

【0034】
フェニル、下記:
【0035】
【化14】

【0036】
である。
【0037】
或いは好ましいDは、COCH=CH、OCOCH=CH、NRCOCH=CH、COC(CH)=CH、OCOC(CH)=CH、NRCOC(CH)=CH、O−グリシジル、O−ビニル、ビニル、O−アリル、下記:
【0038】
【化15】

【0039】
であり、特に下記:
【0040】
【化16】

【0041】
である。
【0042】
好ましいDは、OH、SR、O−グリシジル、O−アリル、下記:
【0043】
【化17】

【0044】
である。最も好ましいDは、O−グリシジル、O−アリル、下記:
【0045】
【化18】

【0046】
である。
【0047】
Eは、例えば、O、S、COO、OCO、CO、NCOR、NRCO、CONR、OCOO、OCONR、NRCOO、SO、SO、フェニレン、C〜Cシクロアルキレン、CR=CR又は下記:
【0048】
【化19】

【0049】
である。Eは、特に、O、S、COO、OCO、CO、フェニレン、C〜Cシクロアルキレン又はCR=CRである。特に好ましいEは、O、S、COO、OCO又はCOである。最も好ましいEは、O、COO、OCO又はCOである。
【0050】
〜C20アルキルは、直鎖又は分岐鎖であり、例えば、C〜C18−、C〜C14−、C〜C12−、C〜C−、C〜C−又はC〜Cアルキルである。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル及びイコシルである。
〜C18アルキル、C〜C14アルキル、C〜C12アルキル、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル及びC〜Cアルキルは、対応する数のC原子までC〜C20アルキルについて上記で提示された意味と同じ意味を有する。
【0051】
1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル(ここでEは、O、S、COO、OCO、CO、NR、NCOR、NRCO、CONR、OCOO、OCONR、NRCOO、SO、SO、フェニレン、C〜Cシクロアルキレン、CR=CR、下記:
【0052】
【化20】

【0053】
として定義される)は、例えば、Eにより1〜9回、1〜7回又は1回若しくは2回中断されている。基が1つ以上のEで中断されている場合、前記Eは、好ましくは少なくとも1個の炭素原子により互いに離されており、すなわち、Eは、好ましくは、特にEがOを示す場合には非連続的である。例は、次の構造単位−CH−O−CH、−CHCH−O−CHCH、−〔CHCHO〕−CH(ここで、y=1〜9)、−(CHCHO)CHCH、−CH−CH(CH)−O−CH−CHCH、−CH−CH(CH)−O−CHCH、−CH−S−CH、−CHCH−S−CHCH、−CH−(CO)O−CH、−CH−(CO)−CH、−CH−NR−CH、−CHCH−NR−CHCH、−CH−COO−CH−CH−O−CHなどである。
【0054】
〜C10アルケニルは、単又は多不飽和、直鎖又は分岐鎖であり、例えば、C〜C−、C〜C−又はC〜Cアルケニルである。例は、アリル、メタリル、ビニル、1,1−ジメチルアリル、1−ブテニル、3−ブテニル、2−ブテニル、1,3−ペンタジエニル、5−ヘキセニル又は7−オクテニル、特にアリル又はビニルである。
【0055】
〜C12シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、特にシクロペンチル及びシクロヘキシル、好ましくはシクロヘキシルである。本出願の文脈において、C〜C12シクロアルキルは、少なくとも1つの環を含むアルキルとして理解されるべきである。例えば、メチル−シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチル−又はジメチルシクロヘキシル、シクロオクチル、特にシクロペンチル及びシクロヘキシル、好ましくはシクロヘキシルも意図される。更なる例は、下記:
【0056】
【化21】

【0057】
のような構造式であり、同様に、架橋又は縮合環系、例えば下記:
【0058】
【化22】

【0059】
なども、この用語に包含されることが意図される。
1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル(ここでEは、O、S、COO、OCO、CO、NR、NCOR、NRCO、CONR、OCOO、OCONR、NRCOO、SO、SO、フェニレン、C〜Cシクロアルキレン、CR=CR、下記:
【0060】
【化23】

【0061】
として定義される)は、例えば、下記:
【0062】
【化24】

【0063】
などである。
【0064】
〜C12シクロアルケニルは、1つ以上の二重結合を有し、例えば、C〜Cシクロアルケニル又はC〜Cシクロアルケニルである。例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル又はシクロオクテニル、特にシクロペンテニル及びシクロヘキセニル、好ましくはシクロヘキセニルである。本出願の文脈において、C〜C12シクロアルケニルは、少なくとも1つの環を含むアルケニルとして理解されるべきである。例えば、メチル−シクロペンテニル、ジメチルシクロヘキセニルなども意図される。
【0065】
〜C18アリールは、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル又はフェナントリル、特にフェニルである。
置換C〜C14アリールは、例えば、1〜4回、例えば1回、2回又は3回、特に1回又は2回置換されている。フェニル環の置換基は、フェニル環の2−、3−若しくは4−位、又は2,4−、2,6−、2,3−、3,4−、3,5−、2,4,6−位、特に2−又は4−位にある。置換ナフチル、アントリル又はフェナントリルは、例えば、1〜4回、例えば1回、2回又は3回、好ましくは1回置換されている。
【0066】
グリシジルは、下記:
【0067】
【化25】

【0068】
であり、O−グリシジルは、下記:
【0069】
【化26】

【0070】
を示し、O−ビニルは、下記:
【0071】
【化27】

【0072】
であり、O−アリルは、下記:
【0073】
【化28】

【0074】
を意味する。
【0075】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、特に塩素又はフッ素であり、好ましくはフッ素である。
【0076】
フェニレンは、下記:
【0077】
【化29】

【0078】
であり、o−フェニレンは、オルト−フェニレン
【0079】
【化30】

【0080】
を意味する。
【0081】
有機又は無機アニオンとしてのYの例は、ハロゲン化物、ClO、CN、ハイドロジェンスルフェート、トリフルオロアセテート、又は、例えば、(BZ、(SbZ、(AsZ、(PZ、(B(C(ここでZは、ハロゲン、特にF若しくはCl、好ましくはFを示し、n及びmは、互いに独立して0〜5の整数であるが、但し、n+mの合計は5であり、例えば(B(Cである)、C〜C20アルキルスルホネート、C〜C20ハロアルキルスルホネート、C〜C20ペルフルオロアルキルスルホネート、非置換C〜C10アリールスルホネート、カンファースルホネート、C〜C20ペルフルオロアルキルスルホニルメチド、C〜C20ペルフルオロアルキルスルホニルイミド、及び非置換であるか又はハロゲン、NO、SOM、C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ、フェニルスルホニルオキシ、C〜Cアルキルフェニルスルホニルオキシ若しくはCOOR100で置換されているC〜C10アリールスルホネートの群から選択される非求核性アニオンであり、ここで、R100は、C〜C20アルキル、フェニル、ベンジル、又はC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ若しくはハロゲンで一置換若しくは多置換されているフェニルであり、Mは、上記で定義されたとおりであるか、或いはYは、例えば、C.A. ReedによりAccounts of Chemical Research (1998), 31(3), 133-139において又は米国特許第5,278,119号に開示されているカルボランである。
【0082】
〜C20アルキルスルホネートは、RSOであり、ここでRは、上記に記載されている直鎖又は分岐鎖のC〜C20アルキルである。その例には、メチルスルホネート、エチルスルホネート、プロピルスルホネート、ペンチルスルホネート及びヘキシルスルホネートが挙げられる。
〜C20ハロアルキルスルホネートは、RSOであり、ここでRは、ハロ置換C〜C20アルキル、C〜C10−、C〜C−又はC〜C−アルキルである。その例には、CSO、CSO及びC17SOが挙げられる。
〜C10アリースルホネートは、RSOであり、ここでRは、C〜C10アリール、例えばフェニル又はナフチルである。
アルキル置換アリールスルホネートは、例えば、トルエンスルホネート、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホネート、2,4,6−トリス(イソプロピル)ベンゼンスルホネート、4−tert−ブチルベンゼンスルホネート及び4−ドデシルベンゼンスルホネートである。
ハロ置換アリールスルホネートは、例えば、4−クロロベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、2,4,6−トリフルオロベンゼンスルホネート及びペンタフルオロベンゼンスルホネートである。
【0083】
カンファースルホネートは、下記:
【0084】
【化31】

【0085】
である。
【0086】
〜C20ペルフルオロアルキルスルホニルメチドは、下記:
【0087】
【化32】

【0088】
であり、C〜C20ペルフルオロアルキルスルホニルイミドは、下記:
【0089】
【化33】

【0090】
であり、ここで、R、R及びRは、互いに独立して、非置換若しくはN(R)(R)で置換されているC〜C20ペルフルオロアルキルであるか、又はR、R及びRは、非置換若しくは好ましくはCFで置換されているフェニルであるか、或いはR及びRは、一緒になって、場合により−O−で中断されているC〜Cペルフルオロアルキレンであり、R及びRは、互いに独立して、C〜C12アルキルであるか、又はR及びRは、一緒になって、場合によりO若しくはN(C〜C12アルキル)で中断されているC〜Cペルフルオロアルキレンである。
【0091】
ペルフルオロアルキルは、フルオロで完全に置換されているアルキルであり、すなわちアルキル基の水素原子がフルオロに置き換えられている。同じことがペルフルオロアルキレンに当てはまる。
そのようなアニオンの例は、(CSO、(CSO、(C17SO、(CFSO、(CFSO、(CSO、(CFSO(CSO)C、(CFSO)(CSO)N、〔(3,5−ビス(CF)(C)SO、下記:
【0092】
【化34】

【0093】
SO(SOCF、CSOSOCFである。そのようなアニオンは、当業者に知られている。アニオン、並びにその調製は、例えば米国特許第5,554,664号に記載されている。
本発明の文脈においてYとして適している他のアニオンは、例えば、米国特許出願公報第2005/0100819号、第12頁[0122]から第20頁[0146]に記載されているものであり、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0094】
有機又は無機アニオンとしてのYは、例えば、ハロゲンか、又はC〜Cアルキルスルフェート若しくは下記式:
【0095】
【化35】

【0096】
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、場合により環を形成してもよいC〜Cペルフルオロアルキルである)で示されるペルフルオロアルキルスルホニルメチド、例えば、下記:
【0097】
【化36】

【0098】
2f+1SO、(BZ、(SbZ、(AsZ、(PZ及び(B(Cの群から選択される非求核性アニオンであり、ここで、
Zは、ハロゲンであり、そしてfは、1〜8の整数である。
適切なメチドアニオンの例は、米国特許第5,554,664号、特開2005−309408−A及び特開2004−085657−Aに提示されている。前記文書におけるアニオンの定義に関する開示は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0099】
Yは、特に、ハロゲンか、又はC〜Cアルキルスルフェート、下記:
【0100】
【化37】

【0101】
2f+1SO、(BZ、(SbZ、(AsZ、(PZ及び(B(Cの群から選択される非求核性アニオンであり、ここでZは、ハロゲン、特にフルオロであり、そしてfは、1〜8の整数である。
例えば、Yは、ハロゲンか、又はC〜C20ペルフルオロアルキルスルホニルメチド、C2f+1SO、(BZ、(SbZ、(AsZ、(PZ及び(B(Cの群から選択される非求核性アニオンであり、ここでfは、1〜8の整数である。
Yは、特に、ハロゲンか、又はC2f+1SO、(BF、(SbF、(AsF、(PF及び(B(Cの群から選択される非求核性アニオンであり;ここでfは、1〜8の整数である。
【0102】
有機又は無機カチオンとしてのMは、例えば、Li、Na、K、Cs、N(R、N(R、N(R、P(R、P(R、P(R、S(R、S(R又はSRである。
Mは、好ましくは、Li、Na、K、N(R、N(R、N(R、S(R、S(R、SR、特にNa、K、N(R、N(R、S(R又はS(Rである。
、R及びRは、互いに独立して、C〜C20アルキル、フェニル又は1つ以上のC〜Cアルキルで置換されているフェニルである。
【0103】
本発明の文脈における用語「及び/又は」或いは「又は/及び」は、定義された代替物(置換基)のうちの1つだけでなく、定義された代替物(置換基)の幾つかが一緒に、すなわち異なる代替物(置換基)の混合物も存在できることを表すことが意図される。
用語「少なくとも」は、1つ又は1つを超える、例えば、1つ又は2つ又は3つ、好ましくは1つ又は2つを定義することが意図される。
用語「場合により置換されている」は、参照される基が非置換であるか、又は置換されているかのいずれかであることを意味する。
本明細書及び続く特許請求の範囲の全体を通して、文脈から必要とされない限り、語「含む」又はその変形、例えば「含み」若しくは「含んでいる」は、記述される整数又は工程又は整数若しくは工程の群を含めることを意味するが、他のあらゆる整数又は工程又は整数若しくは工程の群を除外することを意味しないことが理解される。
【0104】
興味深いものは、
、L、L及びLが、互いに独立して、水素、R、OR、SR、ハロゲン、NO、CN又はCORであり、
が、上記で定義されたTで提示された意味の1つを有するか又は水素であり、そしてXが、O又はSである
上記で定義された式Iの化合物である。
【0105】
本発明の別の実施態様は、L、L、L及びLが、互いに独立して、水素、R、OR又はハロゲンであり、そしてXが、O又はSである、上記で定義された式Iの化合物である。
【0106】
好ましいものは、
Xが、O又はSであり;
及びLでは、XがOの場合はL、Lが互いに独立して、R、OR又はハロゲンであり、XがSの場合は、L、Lが互いに独立して、水素、R、OR又はハロゲンであり、そして
及びLが、水素である
上記で定義された式Iの化合物である。
【0107】
特に好ましいものは、XがOの場合、L及びLが、互いに独立して、C〜C12アルキル、C〜Cフェニルアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12シクロアルコキシ、フェニル又はハロゲンであり、XがSの場合、L及びLが、互いに独立して、水素、R、OR、ハロゲンである、上記で定義された式Iの化合物である。
【0108】
更に好ましいものは、
、L、L及びLが、互いに独立して、水素又は有機置換基であり;
Rが、T、T、T、A−T又はA−Tであり、有機置換基としてのL及びLが、両方ともフェニル又はシクロヘキシルである場合、Rが、追加的に水素を示し;
Xが、O、S、NR又はNCORであるが;
但し、
及びLが水素である場合、Rが、A−T又はTを示し、そして
R、A、T、T、T及びRが、上記で(又は下記の好ましい実施例において)定義されたとおりである
式Iの化合物である。
【0109】
更に好ましいものは、
及びLが、互いに独立して有機置換基であり、
及びLが、互いに独立して、水素又は有機置換基であり、そして他の全ての置換基が、上記で(又は下記の好ましい実施態様において)定義されたとおりである
式Iの化合物である。
【0110】
他の好ましい化合物は、
が、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキル、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキルであり;
が、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキル、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキルであり;
Xが、O又はSであり;
Aが、COであり;
Dが、水素、R、OR、ハロゲン、O−グリシジル、ビニル、O−ビニル、O−アリル、COR、COOR、OCOR、下記:
【0111】
【化38】

【0112】
SOH、シクロヘキセンオキシド、フェニル、OCOCH=CH、OCOC(CH)=CH、下記:
【0113】
【化39】

【0114】
又はSOMであり;
Eが、O、S、COO、OCO、CO、フェニレン、C〜Cシクロアルキレン又はCR=CRであり;
、R及びRが、互いに独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル又はフェニルであり;
Yが、無機又は有機アニオンであり;そして
Mが、無機又は有機カチオンである
上記で定義された式Iの化合物である。
【0115】
特に好ましいものは、
及びLが、互いに独立して、C〜C12アルキル、C〜Cフェニルアルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12シクロアルキル、フェニル又はハロゲンであり;
Xが、O又はSである、上記で定義された式Iの化合物であり、
及びLが、互いに独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ又はフェニルであり;
及びLが、水素であり、
Xが、O又はSである、上記で定義された式Iの化合物である。
【0116】
本発明の別の実施態様では、上記で定義された式Iの化合物において、
Dは、水素、R、OR、O−グリシジル、O−ビニル、ビニル、O−アリル、COR、COOR、OCOR,下記:
【0117】
【化40】

【0118】
であり;
Eは、O、COO、OCO、COであり;そして
は、水素、C〜C12アルキル又はフェニルである。
【0119】
さらにより好ましいものは、
が、少なくとも1つのDで置換されており;
Dが、OH、O−グリシジル、O−ビニル、ビニル、O−アリル、下記:
【0120】
【化41】

【0121】
である、上記で定義された式Iの化合物である。
特定の化合物は、
が、少なくとも1つのDで置換されており;
Dが、O−グリシジル、O−ビニル、ビニル、O−アリル、下記:
【0122】
【化42】

【0123】
である、上記で定義された式Iの化合物である。
【0124】
特に好ましいものは、
有機置換基としてのL及びLが、メチル、フェニル又はシクロヘキシルであり;
及びLが、水素であり;
Rが、水素、T、T又はA−Tであり;
Xが、Oであり;
が、C〜C20アルケニル又は1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキルであり;
が、C〜C20アルキルであり;
Dが、下記:
【0125】
【化43】

【0126】
であり;
、R及びRが、水素であり;そして
無機又は有機アニオンとしてのYが、Cl、Br、PF、OSO、OSOCH又は下記式:
【0127】
【化44】

【0128】
のペルフルオロアルキルスルホニルメチドであり、ここで
、R及びRが、ペルフルオロメチルである
上記で定義された式Iの化合物である。
【0129】
別の好ましい実施態様において、
有機置換基としてのL及びLは、メチル、フェニル又はシクロヘキシルであり;
及びLは、水素であり;
Rは、水素、T又はTであり;
Xは、Oであり;
は、C〜C20アルケニル又は1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキルであり;
は、C〜C20アルキルであり;
Dは、下記:
【0130】
【化45】

【0131】
であり;
、R及びRは、水素であり;そして
無機又は有機アニオンとしてのYは、Cl、Br、OSO、OSOCH又はPFである。
【0132】
本発明の化合物は、例えば、式IIの化合物をハロゲン化チオニル、特に塩化チオニルと、フリーデル−クラフツ触媒の存在下で反応させることによって調製することができる。
【0133】
【化46】

【0134】
式中、R、L、L、L、L及びXは、上記で定義されたとおりである。
【0135】
好ましくは、本発明の化合物は、例えば、式IIaの化合物を、ハロゲン化チオニル、特に塩化チオニルと、フリーデル−クラフツ触媒の存在下で反応させ、次いで、水素と、上記で水素以外に定義されたRとの置換反応によって調製することができる。
【0136】
【化47】

【0137】
式中、R、L、L、L、L及びXは、上記で定義されたとおりであり、そしてY′は、ハロゲン化物、メシレート、トシレート、OR又はNCOである。
【0138】
反応は、フリーデル−クラフツ触媒の存在下で適切に実施される。フリーデル−クラフツ触媒は、ルイス酸及び/又は強力なブレンステッド酸であることができる。そのような触媒は、当業者に既知であり、化学の教科書で公表されている。フリーデル−クラフツ反応に使用される触媒は、例えば、George A. Olah, Friedel-Crafts and Related Reactions, Vol. I, 201 and 284-90 (1963)に記載されている。AlBr及びAlClのような三ハロゲン化アルミニウムが特に適しており、特にAlClである。
他の例は、SnCl、ZnCl、FeCl、HPF;希土類金属トリフルオロメタンスルホネート(Bulletin of the Chemical Society of Japan, 2000, 73(10), 2325に公表されている);銅トリフルオロメタンスルホネート(Tetrahedron, 2001, 57, 241により知られている);ウラニル塩(Journal of Molecular Catalysis A: Chemical, 2000, 164(1-2), 195に開示されている)である。HFの使用は、Journal of Organic Chemistry, 1991, 56(20), 5955に記載されており、一方、Journal of Organic Chemistry, 1996, 61 (26), 9546において、アルミナ/トリフルオロ酢酸無水物がマイクロ波条件下で用いられている。触媒としてのZnClは、Indian Journal of Heterocyclic Chemistry, 2002, 11, 229によって知られている。
フリーデル−クラフツにおけるゼオライト触媒は、例えば、J. Molecular Catalysis: Chemical 1998, 134, 121, Applied Catalysis A: General, 2000, 201, 159に開示されており、一方、粘土又は交換粘土の使用は、米国特許第4,304,941号によって知られている。
ヘテロポリ酸又はヘテロポリ酸含有固体支持体の適用は、例えば、Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 2004, 209(1-2), 189に記載されている。
フリーデル−クラフツ触媒の混合物を使用することができ、フリーデル−クラフツ触媒と、MY又はとりわけMPFのような塩との混合物、又は、より興味深いものはNaPF若しくはKPFとの混合物を使用することができる。
【0139】
調製方法は、溶媒中で都合良く実施される。しかし、液体の場合、式II又はIIaの芳香族炭化水素それ自体を溶媒として使用することも可能であり、その場合、過剰量で使用される。この方法は、不活性溶媒中で実施できることも容易に理解される。適切な溶媒は、例えば、George A. Olah, Friedel-Crafts and Related Reactions, Vol. I, 298-302 (1963)に記載されている溶媒である。それぞれの溶媒の選択は、遊離体及び触媒の溶解性によって決まる。この方法に使用できる溶媒の典型的な例は、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、四塩化炭素、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、ブロモベンゼンのようなハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ベンゼン及びトルエンのような芳香族炭化水素誘導体、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような飽和脂肪族炭化水素、並びにこれらの異性体の混合物、石油エーテル若しくはシクロヘキサン、又は他の溶媒、典型的には、二硫化炭素、ニトロメタンのようなニトロアルカン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド若しくはテトラメチレンスルホンである。
ジクロロメタン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンが好ましい溶媒である。
【0140】
この方法は、一般に、式II又はIIaの化合物の遊離体を塩化チオニルと混合し、前記遊離体を、場合により加熱手段を備えた適切な容器中で反応させることによって実施される。反応は、場合により、不活性条件下で実施され、すなわち、容器は、例えば窒素雰囲気下で処理することによって前記雰囲気を作り出す適当な手段を備えているべきである。例えばAr又はHeのような他の不活性ガスを用いることもできる。当業者はこの事実について熟知している。
【0141】
式II又はIIaの化合物と塩化チオニルとの反応は、異なる方法で実施することができる。代表的であるが限定的ではない例を下記に提示する。
a)式II又はIIaの化合物を、触媒及び塩化チオニルと一緒に、反応容器の中に入れ、最終反応温度に直ぐに冷却するか又は加熱する、或いは
b)式II又はIIaの化合物を、触媒及び塩化チオニルと一緒に、反応容器の中に入れ、反応の際に最終反応温度にゆっくりと冷却するか又は加熱する、或いは
c)反応の際に、塩化チオニルを、反応温度に予め冷却した又は加熱した式II又はIIaの化合物及び触媒に加える、
d)触媒をいずれか又は両方の出発材料の最小量に懸濁し、次に、反応体をその後任意の順番で加えるか、又は一緒に加える。
反応容器を、例えば、触媒及び塩化チオニルを充填したカラムで構成することもでき、式IIの化合物を、触媒の上からカラムの全体にわたってポンプで(例えば、連続的に)送る。
【0142】
更なる可能性は、反応体を反応蒸留によって一緒にすることであり、これは、触媒化学反応と蒸留が単一の装置で同時に起こる方法である。
【0143】
上記の反応における式II又はIIaの化合物とハロゲン化チオニルのモル比は、例えば、10:1〜1:1、10:1〜1:2であるか、又は10:1、5:1、4:1、3.5:1、3:2、3:1、1:1若しくは1:2、好ましくは3:1である。
【0144】
反応温度は、原則的に、反応に用いる遊離体及び溶媒の沸点によって決まる。前記温度は、都合良くは、−20℃〜約200℃、例えば、−20℃〜140℃又は−20℃〜100℃、特に−20℃〜80℃、好ましくは−10℃〜80℃、最も好ましくは0℃〜60℃の範囲である。
【0145】
水素以外のRによる水素の置換は、例えば、ホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、水のような溶媒中、場合によりトリブチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、酢酸ナトリウムのような塩基の存在下、0℃〜100℃の反応温度で実施することができる。当業者は、OH、SH及びNRHのような官能基をどのようにアルキル化及びアシル化するかを知っている。
【0146】
Yが例えばCl以外の式Iの化合物を調製するためには、塩化物化合物を、望ましいアニオンを有する化合物と、当業者に既知の従来のイオン交換反応により反応させる。アニオンYはフリーデル−クラフツ反応の際に既に存在している場合もある。
【0147】
当然のことながら、式Iの化合物を、ジアリールスルホキシド中間体の段階的合成(アレーンと塩化チオニルからのジアリールスルホキシドの合成:Oae and Zalut, J. Am. Chem. Soc. 82, 5359 (1960)、酸化を介したジアリールスルフィドからのジアリールスルホキシドの合成:Drabowicz and Mikolajczyk, Org. Prep. Proced. Int. 14, 45-89 (1982))を介し、次にそれを式(II′)の第3の化合物と以下の条件に従って更に反応させて、式(I)の化合物を得ることによって、合成することも可能である。この場合でも、次にアニオンを場合によりアニオンYに交換することができる。
【0148】
【化48】

【0149】
Rが水素である場合では、得られる生成物(Ia)は、例えば、続いて、上記に記載されているRY′で置換される。
【0150】
式(II)の第3の化合物を、上記に示した反応スキームに導入することは、強い酸性の媒体により、続いて所望のアニオンの塩の複分解によって実施することができる。幾つかの強酸は、溶媒として入手可能であり、例えば、硫酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸又は気体塩化水素である(米国特許第3,488,378号)。メタンスルホン酸と五酸化リンとの混合物(J.Org. Chem 1990, 55, 4222)、又は無水酢酸と硫酸若しくはメタンスルホン酸無水物との混合物も知られている。これらの方法における典型的な条件は、−50〜+100℃の温度である。より高い温度は、例えば1つの芳香族環のスルホン化のような二次反応のため、通常、有用ではい。テトラクロロエチレン中の塩化アルミニウムのようなルイス酸(国際公開公報第03/008404号)を使用することもできる。通常、これらの方法で得られるスルホニウム塩は、対アニオンとして、酸の1つから誘導されるアニオンを有し、例えば、硫酸水素塩、メタンスルホン酸塩又はトリフルオロメタンスルホン酸塩である。
ヘキサフルオロリン酸カリウム又は75%HPF水溶液の存在下での酢酸/無水酢酸/硫酸中のアリール化のような複分解を伴わない条件が、例えば米国特許出願公開第2004/0030158−A号に記載されている。
【0151】
式(II)及び(IIa)の出発化合物は、例えば、市販されているか、当業者に既知であるか、又は当業者により容易に合成することができる。
【0152】
したがって、本発明の主題は、また、
式II又はIIa:
【0153】
【化49】

【0154】
〔式中、R、X、L、L、L及びLは、上記で定義されたとおりである〕で示される化合物を、
塩化チオニルと、フリーデル−クラフツ触媒の存在下で反応させ、続いて、置換反応により、式(IIa)の場合ではRで水素を置換し、場合により続いてアニオンY又はY′を交換することによる、式Iの化合物の調製方法である。
【0155】
式Iの化合物は、光潜酸として、すなわち、照射を受けると酸を放出する化合物として使用される。
したがって、本発明の目的は、
(a1)カチオン的若しくは酸触媒的に重合可能な若しくは架橋可能な化合物、又は
(a2)酸の作用下において現像液中で溶解度を増加する化合物;及び
(b)少なくとも1つの、上記に記載された式Iの化合物
を含む、放射線感受性組成物である。
【0156】
本発明の更なる主題は、カチオン的若しくは酸触媒的に重合可能な若しくは架橋可能な化合物の重合若しくは架橋における光潜酸供与体としての又は酸の作用下において現像液中で溶解度を増加するように化合物の溶解度を増加させるための光潜酸供与体としての、上記に記載された式Iの化合物の使用である。
【0157】
本発明の組成物は、成分(a1)として、例えばアルキル−若しくはアリール含有カチオンにより又はプロトンにより、カチオン的に重合されうる樹脂及び化合物を含有する。その例には、環状エーテル、特にエポキシド及びオキセタン、またビニルエーテル及びヒドロキシ含有化合物が挙げられる。ラクトン化合物及び環状チオエーテル、並びにビニルチオエーテルを使用することもできる。更なる例には、アミノプラスチック樹脂又はフェノールレゾール樹脂が挙げられる。これらは、特に、メラミン、尿素、エポキシ、フェノール、アクリル、ポリエステル及びアルキド樹脂であるが、とりわけアクリル、ポリエステル又はアルキド樹脂とメラミン樹脂との混合物である。また含まれるものは、例えば、アクリル変性ポリエステル及びアルキド樹脂のような変性された表面被覆樹脂である。アクリル、ポリエステル及びアルキド樹脂という用語に含まれる樹脂の個々の種類の例は、例えば、Wagner, Sarx/Lackkunstharze (Munich, 1971), pages 86 to 123 and 229 to 238, or in Ullmann/Encyclopaedie der techn. Chemie, 4th edition, volume 15 (1978), pages 613 to 628又はUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Verlag Chemie, 1991, Vol. 18, 360 ff., Vol. A19, 371 ff.に記載されている。表面被覆は、好ましくはアミノ樹脂を含む。その例には、エーテル化及び非エーテル化メラミン、尿素、グアニジン、並びにビウレット樹脂が挙げられる。特に重要なものは、例えばメチル化若しくはブチル化メラミン樹脂(N−メトキシメチル−若しくはN−ブトキシメチル−メラミン)又はメチル化/ブチル化グリコールウリルのようなエーテル化アミノ樹脂を含む表面被覆の硬化のための酸触媒である。
【0158】
例えば、芳香族、脂肪族又は脂環式のエポキシ樹脂のような、慣用のエポキシドを全て使用することが可能である。これらは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのエポキシ基を分子中に有する化合物である。その例は、脂肪族又は脂環式ジオール又はポリオールの、例えば、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン若しくは1,4−ジメチルロールシクロヘキサンの、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンのグリシジルエーテル及びβ−メチルグリシジルエーテル;ジ−及びポリ−フェノールの、例えば、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパン、ノボラック、又は1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルである。その例には、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルグリシジルエーテル、o−クレシルグリシジルエーテル、ポリテトラヒドロフラングリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12/15アルキルグリシジルエーテル及びシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルが挙げられる。更なる例には、N−グリシジル化合物、例えばエチレン尿素、1,3−プロピレン尿素若しくは5−ジメチル−ヒダントインのグリシジル化合物、又は4,4′−メチレン−5,5′−テトラメチルジヒダントインのグリシジル化合物、又はトリグリシジルイソシアヌレートのような化合物が挙げられる。
【0159】
本発明の配合物に使用されるグリシジルエーテル成分(a1)の更なる例は、例えば、多価フェノールと、過剰量の、例えばエピクロロヒドリンのようなクロロヒドリンとの反応より得られる多価フェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパン)のグリシジルエーテル)である。本発明に関連して使用することができるグリシジルエーテルエポキシドの更なる例は、例えば、米国特許第3,018,262号において及びLee and Nevilleにより“Handbook of Epoxy Resins”, McGraw-Hill Book Co., New York (1967)において記載されている。
また、成分(a1)として適している多数の市販のグリシジルエーテルエポキシドが存在し、例えば、メタクリル酸グリシジル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、例えば、商標名EPON 828、EPON 825、EPON 1004及びEPON 1010(Shell)で入手可能なもの; DER-331、DER-332及びDER-334(Dow Chemical);フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、例えば、DEN-431, DEN-438(Dow Chemical);並びにレゾルシノールジグリシジルエーテル;アルキルグリシジルエーテル、例えば、C〜C10グリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 7、C12〜C14グリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 8、ブチルグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 61、クレシルグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 62、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 65、多官能グリシジルエーテル、例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 67、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 68、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 107、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 44、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 48、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、例は、HELOXY Modifier 84(HELOXYグリシジルエーテルは全てShellから入手)である。
また適切なものは、例えばスチレン−メタクリル酸グリシジル又はメタクリル酸メチル−アクリル酸グリシジルのようなアクリル酸エステルのコポリマーを含むグリシジルエーテルである。その例には、1:1スチレン/メタクリル酸グリシジル、1:1メタクリル酸メチル/アクリル酸グリシジル、62.5:24:13.5メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジルが挙げられる。
グリシジルエーテル化合物のポリマーは、例えば、カチオン性硬化を損なわないのであれば、他の官能基を含むこともできる。
市販されている、成分(a1)として適切な他のグリシジルエーテル化合物は、多官能液体及び固体ノボラックグリシジルエーテル樹脂、例えばPY 307、EPN 1179、EPN 1180、EPN 1179及びECN 9699である。
異なるグリシジルエーテル化合物の混合物も成分(a1)として使用できることが理解される。
グリシジルエーテル(a1)は、例えば、式XX:
【0160】
【化50】

【0161】
〔式中、
xは、1〜6の数であり、そして
50は、一価から六価のアルキル又はアリール基である〕で示される化合物である。
好ましいものは、例えば、
xが、1、2又は3の数であり;
x=1の場合、R50が、非置換若しくはC〜C12アルキル置換フェニル、ナフチル、アントラシル、ビフェニリル、C〜C20アルキル、又は1個以上の酸素原子で中断されているC〜C20アルキルであるか、或いは
x=2の場合、R50が、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、C〜C10シクロアルキレン、非置換若しくはハロ置換C〜C40アルキレン、1個以上の酸素原子で中断されているC〜C40アルキレン、又は下記:
【0162】
【化51】

【0163】
の基であるか、或いは
x=3の場合、R50が、下記:
【0164】
【化52】

【0165】
の基であり;
zが、1〜10の数であり;そして
60が、C〜C20アルキレン、酸素又は下記:
【0166】
【化53】

【0167】
である、式XXのグリシジルエーテル化合物である。
【0168】
グリシジルエーテル(a1)は、例えば、式XXa:
【0169】
【化54】

【0170】
〔式中、
70は、非置換若しくはC〜C12アルキル置換フェニル;ナフチル;アントラシル;ビフェニリル;C〜C20アルキル、1個以上の酸素原子で中断されているC〜C20アルキル;又は下記式:
【0171】
【化55】

【0172】
の基であり;
50は、フェニレン、C〜C20アルキレン、1個以上の酸素原子で中断されているC〜C20アルキレン、又は下記:
【0173】
【化56】

【0174】
の基であり;そして
60は、C〜C20アルキレン又は酸素である〕
で示される化合物である。
【0175】
好ましいものは、式XXb:
【0176】
【化57】

【0177】
〔式中、
50は、フェニレン、C〜C20アルキレン、1個以上の酸素原子で中断されているC〜C20アルキレン、又は下記:
【0178】
【化58】

【0179】
の基であり;そして
60は、C〜C20アルキレン又は酸素である〕
で示されるグリシジルエーテル化合物である。
【0180】
成分(a1)の更なる例は、分子1つあたり少なくとも2つの遊離アルコール性及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を含有する化合物と、適切なエピクロロヒドリンとの、アルカリ条件下での反応によって、あるいは酸触媒の存在下での反応と続くアルカリ処理によって得られる、ポリグリシジルエーテル及びポリ(β−メチルグリシジル)エーテルである。異なるポリオールの混合物を使用することもできる。
【0181】
そのようなエーテルは、非環式アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオール及びポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロール−プロパン、ペンタエリトリトール及びソルビトールから、脂環式アルコール、例えば、レゾルシトール、キニトール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン及び1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ−3−エンから、並びに芳香族核を有するアルコール、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン及びp,p′−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンから、ポリ(エピクロロヒドリン)を用いて調製することができる。 また、単核フェノール、例えば、レゾルシノール及びヒドロキシキノン、並びに多核フェノール、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)及び2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから調製することができる。
ポリグリシジルエーテル及びポリ(β−メチルグリシジル)エーテルの調製に適切な更なるヒドロキシ化合物は、アルデヒド、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラール及びフルフラールと、フェノール類、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、4−クロロフェノール及び4−tert−ブチルフェノールとの縮合により得られるノボラックである。
【0182】
ポリ(N−グリシジル)化合物は、例えば、エピクロロヒドリンと少なくとも2個のアミノ水素原子を含有するアミンとの反応生成物、例えば、アニリン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−メチルアミノフェニル)メタン及びビス(4−アミノフェニル)エーテル、スルホン及びスルホキシドの脱塩化水素化により得ることができる。更なる適切なポリ(N−グリシジル)化合物には、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N′−ジグリシジル誘導体、例えば、エチレン尿素及び1,3−プロピレン尿素、並びにヒダントイン、例えば5,5−ジメチルヒダントインが含まれる。
ポリ(S−グリシジル)化合物も適している。その例には、ジチオールのジ−S−グリシジル誘導体、例えば、エタン−1,2−ジチオール及びビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルが挙げられる。
【0183】
グリシジル基又はβ−メチルグリシジル基が異なる種類のヘテロ原子に結合しているエポキシ樹脂も成分(a1)として考慮され、例えば、4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリチル酸又はp−ヒドロキシ安息香酸のグリシジルエーテル/グリシジルエステル、N−グリシジル−N′−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチル−ヒダントイン及び2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンである。
【0184】
好ましいものは、ビスフェノールのジグリシジルエーテルである。その例には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、例えば、ARALDIT(登録商標)GY 250、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル及びビスフェノールSのジグリシジルエーテルが挙げられる。特に好ましいものは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。
【0185】
技術的に重要な更なるグリシジル化合物は、カルボン酸、特にジ−及びポリ−カルボン酸のグリシジルエステルである。その例は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、テトラ−及びヘキサ−ヒドロフタル酸、イソフタル酸、若しくはトリメリト酸の、又は二量体化脂肪酸のグリシジルエステルである。
【0186】
グリシジル化合物ではないポリエポキシドの例は、ビニルシクロヘキサン及びジシクロペンタジエンのエポキシド、3−(3′,4′−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸の3′,4′−エポキシシクロヘキシルメチルエステル、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ブタジエンジエポキシド又はイソプレンジエポキシド、エポキシド化リノール酸誘導体又はエポキシド化ポリブタジエンである。
【0187】
更なる適切なエポキシ化合物は、例えば、一酸化リモネン、エポキシド化ダイズ油、ビスフェノールA及びビスフェノールFエポキシ樹脂、例えば、Araldit(登録商標)GY 250 (A)、ARALDIT(登録商標)GY 282 (F)、ARADILT(登録商標)GY 285 (F)、並びにエポキシ基を含有する光硬化性シロキサンである。
【0188】
更なる適切なカチオン的に重合可能な又は架橋可能な成分(a1)を、例えば、米国特許第3,117,099号、米国特許第4,299,938号及び米国特許第4,339,567号においても見出すことができる。
【0189】
脂肪族エポキシドの群のうち、10、12、14又は16個の炭素原子から構成される非分岐鎖を有する単官能α−オレフィンエポキシドが特に適している。
【0190】
現在、多数の異なるエポキシ化合物が市販されているので、結合剤の特性は非常に広範囲に変わることができる。例えば組成物の意図される使用に応じて、一つの可能性のある変形は、異なるエポキシ化合物の混合物の使用、並びに柔軟剤及び反応性希釈剤の添加である。
【0191】
例えば、適用が噴霧より実施される場合、エポキシ樹脂を溶媒で希釈して適用を促進することができるが、エポキシ化合物は、好ましくは溶媒のない状態で使用される。室温で粘性から固体である樹脂は、高温で適用することができる。
【0192】
また成分(a1)として適切なものは、全ての慣用のビニルエーテル、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環式のビニルエーテルであり、また、ケイ素含有ビニルエーテルである。これらは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのビニルエーテル基を分子中に有する化合物である。本発明の組成物における使用に適しているビニルエーテルの例には、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレンカルボネートのプロペニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、テトラ−エチレングリコールジビニルエーテル、プルリオール−E200−ジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフランジビニルエーテル−290、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、(4−シクロヘキシル−メチレンオキシエテン)−グルタル酸メチルエステル及び(4−ブチルオキシエテン)−イソ−フタル酸エステルが挙げられる。
【0193】
ヒドロキシ含有化合物の例には、例えばポリカプロラクトン又はポリエステルアジペートポリオール、グリコール及びポリエーテルポリオールのようなポリエステルポリオール、ヒマシ油、ヒドロキシ官能ビニル及びアクリル樹脂、酢酸酪酸セルロースのようなセルロースエステル、並びにフェノキシ樹脂が挙げられる。
更なるカチオン的に硬化しうる配合物を、例えば、欧州特許公報第119425号において見出すことができる。
【0194】
成分(a1)としては、好ましいものは、脂環式エポキシド又はビスフェノールに基づくエポキシドである。
【0195】
したがって、本発明は、また、成分(a1)が、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル、オキセタン化合物、ビニルエーテル、酸架橋性メラミン樹脂、酸架橋性ヒドロキシメチレン化合物及び酸架橋性アルコキシメチレン化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物である、放射線感受性組成物に関する。
【0196】
望ましい場合、本発明の組成物は、エチレン性不飽和モノマー、オリゴマー又はポリマーのようなラジカル重合性成分を含有することもできる。これらのラジカル重合性成分を、成分(a1)又は成分(a2)のいずれかに加えることもできる。しかし、前記ラジカル硬化性成分は、ラジカル架橋基とカチオン性架橋基の両方を含む成分(a1)又は(a2)の一部であることもできる((A1)、(A2)及び(A3)の記載を参照すること)。適切な物質は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含有し、付加重合を受けることができる。
エチレン性二重結合を含有する適切なモノマーの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、及びイソボルニルアクリレートのような、アルキル及びヒドロキシアルキルアクリレート、及びメタクリレートが挙げられる。更なる適切な例には、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルのようなビニルエステル、イソブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル、スチレン、アルキル−及びハロ−置換スチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、並びに塩化ビニリデンが挙げられる。
少なくとも2つの二重結合を含有する適切なモノマーの例には、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4′−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、ペンタエリトリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス〔1−(2−アクリルオキシ)〕−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス〔1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)〕−p−プロポキシフェニルジメチルメタン及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリメタクリレート;200〜500の分子量を有するポリ(エチレングリコール)のビス−アクリレート及びビス−メタクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペート及びジビニルフタレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、並びにトリス(2−アクリロイル−エチル)イソシアヌレートが挙げられる。
高分子量(オリゴマー)多不飽和化合物の例には、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化又はビニルエーテル若しくはエポキシ基含有ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテルが挙げられる。不飽和オリゴマーの更なる例は、不飽和ポリエステル樹脂であり、それは通常マレイン酸、フタル酸及び1つ以上のジオールから調製され、およそ500〜3000の分子量を有する。ビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、並びにポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシ主鎖を有するマレイン酸末端基オリゴマーを使用することもできる。また、国際公開公報第90/01512号に記載されているように、マレイン酸で官能化されている、ビニルエーテルとモノマーのコポリマーも非常に適している。しかし、同様に適切なものは、ビニルエーテル及びマレイン酸で官能化されているモノマーのコポリマーである。そのような不飽和オリゴマーをプレポリマーと呼ぶこともできる。官能化アクリレートも適している。官能化アクリレート及びメタクリレートポリマーのベースポリマー(主鎖)を形成するのに通常使用される適切なモノマーの例は、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどである。加えて、官能ポリマーを得るため、適切な量の官能モノマーを重合の際に共重合させる。酸官能化アクリレート又はメタクリレートポリマーは、アクリル酸及びメタクリル酸のような酸官能モノマーを使用して得られる。ヒドロキシ官能アクリレート又はメタクリレートポリマーは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート及び3,4−ジヒドロキシブチルメタクリレートのようなヒドロキシ官能モノマーから得られる。エポキシ官能化アクリレート又はメタクリレートポリマーは、グリシジルメタクリレート、2,3−エポキシブチルメタクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、10,11−エポキシウンデシルメタクリレートなどのようなエポキシ官能モノマーを使用して得られる。イソシアネート官能ポリマーを、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートのようなイソシアネート官能化モノマーから得ることも可能である。
特に適切ものは、例えば、エチレン性不飽和単官能又は多官能カルボン酸のエステル及びポリオール又はポリエポキシド、並びにエチレン性不飽和基を鎖若しくは側基に有するポリマーであり、例としては、不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン及びそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタンジエンとブタンジエンのコポリマー、ポリイソプレンとイソプレンのコポリマー、(メタ)アクリル基を側鎖に有するポリマー及びコポリマー並びにそのようなポリマーの1つ以上の混合物である。
適切な単官能又は多官能不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸及びフマル酸、並びにリノレン酸又はオレイン酸のような不飽和脂肪酸である。好ましいものは、アクリル酸及びメタクリル酸である。
しかし、飽和ジ−又はポリカルボン酸と不飽和カルボン酸との混合物を使用することもできる。適切な飽和ジ−又はポリカルボン酸の例には、例えば、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、フタル酸無水物、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ヘプタンジカルボン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。
適切なポリオールは、芳香族、特に、脂肪族及び脂環式ポリオールである。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、並びにノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、前記のポリオール、特に芳香族ポリオール及びエピクロロヒドリンに基づいたものである。また、ポリオールとして適切なものは、ポリマー鎖又は側基にヒドロキシル基を含有するポリマー及びコポリマーであり、例えば、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、又はポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル若しくはそのコポリマーである。更なる適切なポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオールであり、例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びソルビトールである。
ポリオールは、1つ又は異なる不飽和カルボン酸により部分的に、又は全部がエステル化されていることができ、部分エステル中の遊離ヒドロキシル基は他のカルボン酸により変性、例えば、エーテル化又はエステル化されていることが可能である。
エステルの例は下記である:
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチルロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペンタエリトリトールジイタコネート、ジペンタエリトリトールトリスイタコネート、ジペンタエリトリトールペンタイタコネート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジ−及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、並びにこれらの混合物。
適切な不飽和ラジカル重合性化合物は、また、同一又は異なる不飽和カルボン酸のアミド、並びに好ましくは2〜6つ、特に2〜4つのアミノ基を有する芳香族、脂環式及び脂肪族ポリアミンである。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチルエントリアミン、トリエチレンテトラアミン、及びジ(β−アミノエトキシ)−又はジ(β−アミノプロポキシ)−エタンである。更なる適切なポリアミンは、側鎖に追加のアミノ基を有することができるポリマー及びコポリマー、並びにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。そのような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート及びN−〔(β−ヒドロキシエトキシ)エチル〕−アクリルアミドである。
適切な不飽和ポリエステル及びポリアミドは、例えば、マレイン酸及びジオール又はジアミンから誘導される。マレイン酸を、他のジカルボン酸で部分的に置き換えることができる。それらを、エチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用することができる。ポリエステル及びポリアミドを、ジカルボン酸及びエチレン性不飽和ジオール又はジアミンから、特に、例えば炭素原子6〜20個の長鎖を有するものから誘導することもできる。ポリウレタンの例は、飽和又は不飽和ジイソシアネート及び飽和又は不飽和ジオールから構成されるものである。
ポリブタジエン及びポリイソプレン、並びにそのコポリマーは既知である。適切なコモノマーには、オレフィン、例えば、エチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン又は塩化ビニルが含まれる。側鎖に(メタ)アクリレート基を有するポリマーも既知である。これらは、例えば、ノボラック系エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物;(メタ)アクリル酸でエステル化されているビニルアルコール若しくはそのヒドロキシアルキル誘導体のホモ−若しくはコポリマー;又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化されている(メタ)アクリレートのホモ−及びコポリマーであることができる。
【0197】
ラジカル的にもカチオン的にも同等に架橋することができる化合物の使用も可能である。そのような化合物は、例えば、ビニル基と脂環式エポキシ基の両方を含有する。その例は、特開平02−289611−A及び米国特許第6,048,953号に記載されている。
【0198】
そのようなラジカル重合性の物質の2つ以上の混合物を使用することもできる。
【0199】
結合剤を本明細書の組成物に添加することもでき、このことは、光重合性化合物が液体又は粘性物質である場合に特に有益である。結合剤の量は、例えば、固形物全体に基づいて5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、特に40〜90重量%であることができる。
【0200】
結合剤は、使用分野、並びに、水性及び有機溶媒系における展開性、基材への付着性、酸素に対する感受性のようなそこで必要とされる特性に応じて選択される。
【0201】
適切な結合剤は、例えば、およそ2000〜2000000、好ましくは5000〜1000000の分子量を有するポリマーである。その例は、アクリレート及びメタクリレートのホモ−及びコポリマー、例えば、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(メタクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アクリル酸アルキルエステル);フェノール樹脂、セルロースエステル及びエーテルのようなセルロース誘導体、例えば、酢酸セルロール、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルブチラ−ル、ポリビニルホルマール、ポリオレフィン、環化ゴム、ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポルテトラヒドロフラン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル及び酢酸ビニルとのコポリマー、酢酸ポリビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリカプロラクタム及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)のようなポリマー、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)及びポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)のようなポリエステル、並びにポリアミドである。
【0202】
下記の(C1)で記述される樹脂を、ラジカル硬化性成分として使用することもできる。特に興味深いものは、例えば、反応性官能基を有する不飽和アクリレートである。反応性官能基は、例えば、ヒドロキシル、チオール、イソシアネート、エポキシ、無水物、カルボキシル、アミノ又はブロックトアミノ基から選択することができる。OH基含有不飽和アクリレートの例は、ヒドロキシエチル及びヒドロキシブチルアクリレート、また、グリシジルアクリレートである。
【0203】
不飽和化合物は、非光重合性被膜形成成分と混合して使用することもできる。これらは、例えば、ニトロセルロース又はセルロース酢酸ブチレートのような、物理的に乾燥することができるポリマー又は有機溶媒中のその溶液であることができる。あるいは、ポリイソシアネート、ポリエポキシド又はメラミン樹脂のような化学又は熱硬化性樹脂であることができる。アマニ油、アマニ油変性アルキド樹脂、キリ油及びダイズ油のような乾性油が存在することもできる。熱硬化性樹脂の同時使用は、第1工程で光重合され、第2工程での熱後処理により架橋される、いわゆるハイブリッド系における使用のために重要である。
【0204】
したがって、本発明の放射線硬化性組成物は、
(A1)付加及び/又は縮合反応において反応性のある少なくとも1つの更なる官能基を追加的に含有し、1つ以上のラジカル重合性二重結合を有する化合物(例は上記に提示されている)、
(A2)付加及び/又は縮合反応において反応性がある少なくとも1つの更なる官能基を追加的に含有し、追加の反応性官能基が、成分(A1)の追加の官能基に対して相補性又は反応性がある、1つ以上のラジカル重合性二重結合を有する化合物、
(A3)ラジカル重合性二重結合に加えて存在する成分(A1)又は(A2)の官能基に対して、付加及び/又は縮合反応において反応性がある少なくとも1つの官能基を有する、少なくとも1つのモノマー、オリゴマー及び/又はポリマー化合物
を含むこともできる。
【0205】
それぞれの場合において成分(A2)は、成分(A1)に相補性又は反応性のある基を担持する。異なる種類の官能基が成分に存在することもできる。
成分(A3)は、付加及び/又は縮合反応において反応性があり、かつラジカル重合性二重結合に加えて存在する(A1)又は(A2)の官能基と反応することができる更なる官能基を含有する成分を提供する。成分(A3)は、ラジカル重合性二重結合を含有しない。
そのような(A1)、(A2)、(A3)の組み合わせを、国際公開公報第99/55785号において見出すことができる。
適切な官能基の例は、ヒドロキシル、イソシアネート、エポキシ、無水物、カルボキシル及びブロックトアミノ基である。例は上記に記載されている。
【0206】
熱硬化性成分(C)の構成成分は、例えば、当該技術で慣用の熱硬化性ラッカー又は被覆系構成成分である。したがって成分(C)は、多数の構成成分から構成されることができる。
成分(C)の例には、α,β−不飽和酸及びその誘導体から誘導されるオリゴマー及び/又はポリマーが挙げられ、例えば、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、アクリル酸ブチルにより耐衝撃性を変性したポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリルである。成分(C)の更なる例は、ウレタン、一方が遊離ヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリアクリレートから誘導され、他方が脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、並びにこれらの遊離体である。したがって成分(C)には、例えば、置換アクリル酸エステル、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート及びポリエステルアクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂も含まれる。メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレート及びエポキシ樹脂で架橋されているアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂、並びにその変性体も成分(C)の構成成分となることができる。
成分(C)は、例えば、一般に、熱可塑性又は熱硬化性樹脂、特に硬化性樹脂に基づいた被膜形成結合剤である。その例は、アルキド、アクリル、ポリエステル、フェノール、メラミン、エポキシ及びポリウレタン樹脂、並びにそれらの混合物である。それらの例は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., Vol. A18, pp. 368-426, VCH, Weinheim 1991において見出すことができる。
成分(C)は、常温硬化性又は熱硬化性結合剤であることもでき、その場合、硬化触媒の添加が有利でありうる。結合剤の完全な硬化を促進する適切な触媒は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A18, page 469, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim 1991において見出すことができる。
成分(C)として適切な結合剤の特定の例は下記である:
1.常温又は熱架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシ若しくはメラミン樹脂又はそのような樹脂の混合物に基づき、場合により硬化触媒を加えた表面被覆;
2.ヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート若しくはポリイソシアネートに基づいた2成分ポリウレタン表面被覆;
3.ブロックトイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネート(加熱の際に脱ブロックする)に基づいた1成分ポリウレタン表面被覆であり、適切であればメラミン樹脂を加えることも可能;
4.脂肪族又は芳香族ウレタン若しくはポリウレタン及びヒドロキシル含有アクリレート、ポリエステル又はポリウレタン樹脂に基づいた1成分ポリウレタン表面被覆;
5.遊離アミン基をウレタン構造に有する脂肪族又は芳香族ウレタンアクリレート若しくはポリウレタンアクリレート及びメラミン樹脂又はポリエーテル樹脂に基づいた1成分ポリウレタン表面被覆であり、場合により硬化触媒が添加される;
6.(ポリ)ケチミン及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート若しくはポリイソシアネートに基づいた2成分表面被覆;
7.(ポリ)ケチミン及び不飽和アクリレート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコレートメチルエステルに基づいた2成分表面被覆;
8.カルボキシル−又はアミノ−基含有ポリアクリレート及びポリエポキシドに基づいた2成分表面被覆;
9.無水物基含有アクリレート樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分に基づいた2成分表面被覆;
10.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドに基づいた2成分表面被覆;
11.(ポリ)オキサゾリン及び無水物基含有アクリレート樹脂、又は不飽和アクリレート樹脂、又は脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌエート若しくはポリイソシアネートに基づいた2成分表面被覆;
12.不飽和ポリアクリレート及びポリマロネートに基づいた2成分表面被覆;
13.熱可塑性アクリレート樹脂又は外面的に架橋されているアクリレート樹脂とエーテル化メラミン樹脂との組み合わせに基づいた熱可塑性ポリアクリレート表面被覆;
14.(メタ)アクリロイル基及び遊離イソシアナト基を有するウレタン(メタ)アクリレートに基づき、イソシアネートと反応する化合物、例えば、遊離又はエステル化ポリオールの1つ以上に基づいた表面被覆系。そのような系は、例えば、欧州特許公報第928800号に公開されている。
成分(C)として使用することもできるブロックトイソシアネートは、例えば、Organischer Metallschutz: Entwicklung und Anwendung von Beschichtungsstoffen, pages 159-160, Vincentz Verlag, Hannover (1993)に記載されている。これらは、反応性の高いNCO基が、特定の基との反応により「ブロック」されている化合物であり、例えば、第一級アルコール、フェノール、酢酸エチルエステル、ε−カプロラクタム、フタルイミド、イミダゾール、オキシム又はアミンである。ブロックトイソシアネートは、液体系において、また、ヒドロキシ基の存在下で安定である。加熱すると、ブロッキング基(保護基)は再び除去され、NCO基が遊離される。
1成分系(1C)及び2成分系(2C)を成分(C)として使用することができる。そのような系の例は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. A18, Paints及びCoatings, pages 404-407, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim (1991)に記載されている。組成物を、例えば、結合剤/架橋剤の比率を変更して特別に適合させることによって最適化することが可能である。そのような方法は、当業者にとって既知であり、被覆技術において慣用である。
本発明の硬化方法において、成分(C)は、好ましくはアクリレート/メラミン(及びメラミン誘導体)、2成分ポリウレタン、1成分ポリウレタン、2成分エポキシ/カルボキシ又は1成分エポキシ/カルボキシに基づいた混合物である。例えば、メラミン(又はその誘導体)を1成分ポリウレタンに加えるような系の混合物も可能である。
【0207】
成分(C)は、好ましくは、ポリアクリレートとメラミン若しくはメラミン誘導体に基づいた結合剤であるか、又はポリアクリレート及び/若しくはポリエステルポリオールと非ブロックトポリイソシアネート若しくはポリイソシアヌレートに基づいた系である。
成分(C)は、成分(C)の結合剤及び/又は架橋剤構成成分と反応することが可能である少なくとも1つ以上のOH、NH、COOH、エポキシ又はNCO基(=C1)を追加的に含有するエチレン性不飽和結合(プレポリマー)を有する、モノマー及び/又はオリゴマー化合物を含むこともできる。適用及び熱硬化の後、エチレン性不飽和結合は、UV光線の照射により架橋された高分量形態に変換される。そのような成分(C)の例は、例えば、上記記載の文献であるUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., Vol. A18, pages 451-453において、又はS. Urano, K. Aoki, N. Tsuboniva及びR. MizuguchiによりProgress in Organic Coatings, 20 (1992), 471-486において、又はH. Terashima及びO. IsozakiによりJOCCA 1992 (6), 222において記載されている。
(C1)は、例えば、OH基含有不飽和アクリレートであることもでき、例えば、ヒドロキシエチル若しくはヒドロキシブチルアクリレート又はグリシジルアクリレートである。成分(C1)は、あらゆる所望の構造であることができる(例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテルなどの単位を含有することができる)が、但し、エチレン性不飽和二重結合及び追加の遊離OH、COOH、NH、エポキシ又はNCO基を含有する。
(C1)は、例えば、エポキシ官能オリゴマーをアクリル酸又はメタクリル酸と反応させて得ることもできる。ビニル二重結合を有するOH官能オリゴマーの典型的な例は、下記:
【0208】
【化59】

【0209】
であり、CH2=CHCOOHを下記:
【0210】
【化60】

【0211】
と反応させることによって得られる。
【0212】
成分(C1)を得るために可能性のある別の方法は、例えば、エポキシ基を1つだけ含有し、かつ分子の別の位置に遊離OH基を有するオリゴマーの反応である。
【0213】
UV−及び熱架橋性配合物におけるラジカル放射線硬化性重合性成分と熱重合性成分(C)の量の比率は重要ではない。「二重硬化」系は、当業者に既知であり、したがって当業者は、意図される使用に従ったラジカル架橋性成分と熱架橋性成分の最適な混合比率を熟知している。例えば、比率は、5:95〜95:5、20:80〜80:20、又は30:70〜70:30、例えば40:60〜60:40の範囲であることができる。
「二重硬化」系、すなわち放射線硬化性と熱硬化性の両方の成分を含む系の例は、とりわけ、米国特許第5,922,473号、第6欄〜第10欄において見出すことができる。
【0214】
本発明の配合物は、成分(a1)として、酸の存在下で重合又は重縮合反応を受けることができる少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の官能基を含有する酸化的に乾燥されるアルキド樹脂に基づいた非水性被覆組成物を更に含むことができる。そのような樹脂の例は、例えば国際公開公報第99/47617号に提案されているように、ビニルエーテル官能化アルキド樹脂、アセタール官能化アルキド樹脂及び/又はアルコキシシラン官能化アルキド樹脂である。これらの変性アルキド樹脂を、単独で又は他のアルキド樹脂と組み合わせて使用することができる。非水性被覆中のアルキド樹脂組成の少なくとも一部は、少なくともその一部が多不飽和である多数の不飽和脂肪族化合物の組み込みの結果、酸化的に乾燥される。
これらの変性アルキド樹脂を成分(a1)として含有する配合物は、光開始剤(b)に加えて、場合により酸化ドライヤーを含有することができる。適切な酸化ドライヤーは、例えば、金属乾燥剤である。適切な乾燥剤として、例えば、オクタン酸及びナフテン酸のような(シクロ)脂肪族酸の金属塩を記述することができ、使用される金属は、例えば、コバルト、マンガン、鉛、ジルコニウム、カルシウム、亜鉛及び希土類金属である。乾燥剤の混合物を使用することができる。好ましいものは、コバルト、ジルコニウム及びカルシウム、又はこれらの混合物の金属塩である。乾燥剤(金属として計算)は、通常、0.001〜3重量%の量で使用される。
特定の条件下において、変性アルキド樹脂を成分(a1)として使用する場合、式(I)のスルホニウム塩に加えて、1つ以上のモノ−又はビス−アシルホスフィンオキシド光開始剤を使用することも有利でありうる。適切なモノアシル−又はビスアシル−ホスフィンオキシド光開始剤には、例えば、モノアシルホスフィンオキシド、例は、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)若しくは(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−エトキシ−ホスフィンオキシド、又はビスアシルホスフィンオキシド光開始剤、例は、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4−ジペンチルオキシフェニル)−ホスフィンオキシド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)が含まれる。これらのモノアシル−又はビスアシルホスフィンオキシドは、0.5〜5%の量で有利に使用される。
【0215】
成分(a1)が、光開始剤(b)に加えて変性アルキド樹脂を含有する場合、酸化ドライヤー及び適切なモノアシル−又はビスアシル−ホスフィンオキシド光開始剤を使用することも可能である。
【0216】
成分(a1)として使用されるアルキド樹脂は、多数の不飽和脂肪族化合物を含有し、少なくともその一部は多不飽和である。それらのアルキド樹脂の調製に好ましく使用される不飽和脂肪族化合物は、不飽和脂肪族モノカルボン酸、特に多不飽和脂肪族モノカルボン酸である。
単不飽和脂肪酸の例は、ミリストレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸及びリシノール酸である。好ましくは、脱水素化ヒマシ油脂肪酸及び/又はキリ油脂肪酸のような、共役二重結合を含有する脂肪酸が使用される。他の適切なモノカルボン酸には、テトラヒドロ安息香酸及び水素化若しくは非水素化アビエチン酸、又はそれらの異性体が含まれる。望ましい場合、該当のモノカルボン酸は、全部を又は一部をトリグリセリドの形態で、例えば植物油として、アルキド樹脂の調製に使用することができる。望ましい場合、そのようなモノカルボン酸又はトリグリセリドの2つ以上の混合物を、場合により1つ以上の飽和(シクロ)脂肪族又は芳香族モノカルボン酸、例えば、ピバル酸、2−エチル−ヘキサン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、4−tert−ブチル安息香酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2,4−ジメチル安息香酸、2−メチル安息香酸及び安息香酸の存在下で使用することができる。
望ましい場合、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、コハク酸、アジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、二量体化脂肪酸、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレン−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エンドイソピロピリデン−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸及びブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸のようなポリカルボン酸を、アルキド樹脂に組み込むこともできる。望ましい場合、該当のカルボン酸を無水物として、又はエステル、例えば1〜4個の炭素原子を有するアルコールのエステルの形態で使用することができる。
加えて、アルキド樹脂を、二価又は多価ヒドロキシル化合物から構成することができる。 適切な二価ヒドロキシル化合物の例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサン−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール及び2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−プロパンジオールである。適切なトリオールの例は、グリセロール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンである。3つを越えるヒドロキシル基を有する適切なポリオールは、ペンタエリトリトール、ソルビトール及び該当化合物のエーテル化生成物であり、例えばジトリメチロールプロパン、並びにジ−、トリ−及びテトラ−ペンタエリトリトールである。好ましくは、3〜12個の炭素原子を有する化合物、例えば、グリセロール、ペンタエリトリトール及び/又はジペンタエリトリトールが使用される。
アルキド樹脂は、構成成分の直接エステル化により得ることができ、場合により、これらの成分の一部は既にエステルジオール又はポリエステルジオールに変換されている。不飽和脂肪酸を、アマニ油、マグロ油、脱水素化ヒマシ油、ヤシ油及び脱水素化ヤシ油のような乾性油の形態で使用することもできる。最終アルキド樹脂は、添加された他の酸及びジオールとのエステル交換により得られる。エステル交換は、115〜250℃の範囲の温度で、場合によりトルエン及び/又はキシレンのような溶媒の存在下で有利に実施される。反応は、触媒量のエステル交換触媒の存在下で有利に実施される。適切なエステル交換触媒の例には、p−トルエンスルホン酸のような酸、アミンのような塩基性化合物、又は酸化カルシウム、酸化亜鉛、オルトチタン酸テトライソプロピル、ジブチルスズオキシド及びトリフェニルベンジルホスホニウムクロリドのような化合物が挙げられる。
【0217】
成分(a1)の一部として使用されるビニルエーテル、アセタール及び/又はアルコキシシラン化合物は、好ましくは少なくとも2つのビニルエーテル、アセタール及び/又はアルコキシシラン基を含有し、150以上の分子量を有する。これらのビニルエーテル、アセタール及び/又はアルコキシシラン化合物は、例えば、ビニルエーテル、アセタール及び/又はアルコキシシラン基を含有し、加えて、最大1つの官能アミノ、エポキシ、チオール、イソシアナト、アクリル、水素化物又はヒドロキシル基を含有する、市販のビニルエーテル、アセタール及び/又はアルコキシシラン化合物と、アミノ、エポキシ、チオール、イソシアナト、アクリル、水素化物又はヒドロキシル基と反応することができる少なくとも2つの基を有する化合物との反応により得ることができる。その例としては、少なくとも2つのエポキシ、イソシアナト、ヒドロキシル及び/若しくはエステル基を有する化合物、又は少なくとも2つのエチレン性若しくはエチニレン性不飽和基を有する化合物を記述することができる。成分(a1)としては、好ましいものは、ビニルエーテル、アセタール及び/又はアルコキシシラン化合物が、付加により、アミノ、ヒドロキシル、チオール、水素化物、エポキシ及び/又はイソシアナト基のような反応性基を介してアルキド樹脂に共有結合している組成物である。そのために、化合物は、アルキド樹脂に存在する反応性基を有する付加物を形成することができる少なくとも1つの基を有さなければならない。
【0218】
ビニルエーテル基をアルキド樹脂に組み込むためには、ビニルオキシアルキル化合物が使用され、そのアルキル基は、アルキド樹脂に存在する1つ以上の反応性基と付加物を形成することができる、ヒドロキシル、アミノ、エポキシ又はイソシアナト基のような反応性基により置換されている。
成分(a1)としては、好ましいものは、アルキド樹脂に存在する酸化的に乾燥される基の数と、酸の存在下で反応性のある基の数との比率が、1/10〜15/1、特に1/3〜5/1の範囲である組成物である。単一の変性アルキド樹脂の代わりに、一つのアルキド樹脂が高度に変性され、他方があまり変性されていないか又は全く変性されていない、複数のアルキド樹脂を使用することも可能である。
【0219】
アルキド樹脂に共有結合することができるビニルエーテル化合物の例は、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、2−エチルヘキサンジオールモノビニルエーテル、ポリテトラヒドロフランモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル及びアミノプロピルビニルエーテルである。
【0220】
付加物は、例えば、ヒドロキシル基又はアミノ基を含有するビニルエーテル化合物を、過剰量のジイソシアネートと反応させ、続いて遊離イソシアナト基含有付加物を、アルキド樹脂の遊離ヒドロキシル基と反応させて形成することができる。好ましくは、最初にアルキド樹脂の遊離ヒドロキシル基を過剰量のポリイソシアネートと反応させ、次に遊離イソシアナト基をアミノ基−又はヒドロキシル基含有ビニルエーテル化合物と反応させる方法が使用される。ジイソシアネートの代わりに、ジエステルを使用することも可能である。アルキド樹脂に存在するヒドロキシル基と、過剰量のジエステルとのエステル交換、続く、残りのエステル基と、ヒドロキシ官能ビニルエーテル化合物又はアミノ官能ビニルエーテル化合物とのエステル交換又はアミド交換は、それぞれビニルエーテル官能アルキド樹脂を生じさせる。(メタ)アクリレート基を、アルキド樹脂の調製の際に、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のようなヒドロキシ官能(メタ)アクリレートエステルの存在下で調製を実施し、次に、そのように官能化されたアルキド樹脂を、マイケル反応によって、ビニルエーテル基含有化合物及び第一級アミノ基含有化合物と反応させ、続いて、非塩基性窒素原子を得るために、例えばイソシアネート化合物と反応させることによって、アルキド樹脂に組み込むことも可能である。
【0221】
そのような反応の例は、例えば国際公開公報第99/47617号に記載されている。リシニン脂肪酸とジペンタエリトリトールとのエステル化、続く遊離ヒドロキシル基とジエチルマロネート及び4−ヒドロキシブチルビニルエーテルとの適切な比率でのエステル交換により、成分(a1)としての使用に適切なビニルエーテル官能アルキド樹脂を生じる。
【0222】
アセタール官能アルキド樹脂の調製では、一般に、アミノ基により官能化されたジアルキルアセタールが使用される。適切なアセタール化合物の例には、4−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタール及び4−アミノブチルアルデヒドジエチルアセタールが挙げられる。アルキド樹脂は、アミノアセタールモノマーを、イソシアナト基により、低沸点アルコールのエステル基により、又は(メタ)アクリレート基により官能化されたアルキド樹脂に添加することによって変性される。得られたジアルキルアセタール変性アルキド樹脂を、高固形分及び低粘度を有する被覆組成物に組み込むことができる。アセタール官能アルキド樹脂の調製は、ヒドロキシアセタールをアルキド樹脂のカルボキシル基と反応させるか、又はジイソシアネート若しくはジエステル化合物をアルキド樹脂のヒドロキシル基と反応させることによって実施することもできる。
この調製方法の例は、国際公開公報第99/47617号に記載されており、例えば、ジエチルマロネートによるヒドロキシ官能アルキド樹脂のエステル化、続く、遊離エステル基と4−アミノブチルアルデヒドジメチルアセタールとの適切な比率でのアミド交換である。得られたアセタール変性アルキド樹脂は、成分(a1)として適している。
【0223】
アルキド樹脂へのアルコキシシラン基の組み込みでは、アルキド樹脂を構成している1つ以上の構成成分と後で反応する1つ以上の反応性基を有するシロキサン化合物が使用される。例えば、式:(E)−Si(R10(R20
〔式中
10は、アルコキシ若しくはオキシアルキレンアルコキシであるか、又はEが水素である場合、R10は、ハロゲンであり、
20は、脂肪族、脂環式又は芳香族基であり、Eは、水素、又はアミノ、イソシアナト、メルカプト若しくはエポキシ基により置換されているアルキル基であり、aは1〜3であり、bは1〜3であり、cは0〜2であり、そしてa+b+c=4である〕で示されるアルコキシ−シランである。
10は、好ましくは、アルコキシ基において1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、そしてR20は、好ましくは、18個以下の炭素原子を有する基である。
適切なシロキサン化合物の例は、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、ポリグリコール−エーテル変性アミノシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス−メトキシ−エトキシエトキシシラン、3−アミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピル−トリメトキシ−シラン、N−2−アミノエチル−3−アミノプロピル−メチルジメトキシ−シラン、N−メチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−ウレイドプロピル−トリエトキシシラン、3,4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピル−メチル−ジメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、トリ−メトキシシラン、トリクロロシラン、トリヨードシラン、トリブロモシラン、ジクロロメチルシラン、並びにジブロモメチルシランである。
アルキド樹脂は、例えばアミノ基変性アルコキシシランを、低沸点アルコールのポリイソシアネート又はポリエステルにより変性されたアルキド樹脂に挿入することによって、変性することができる。水素化物官能アルコキシシランをアルキドに直接結合することができ、すなわち、ジイソシアネート又はジエステルのような結合分子により変性することなく、シリル水素化物基を含有する化合物を、アルキド樹脂のエチレン性不飽和基に付加することによって、直接結合することができる。この付加は、遷移金属によって触媒される。その過程において、ハロゲン化シリル水素化物が使用され、付加反応を停止させるために、低沸点アルコールによるアルコキシシラン化合物への変換が行われる。付加反応は、立体障害基の不在下で有利に実施され、例えば10−ウンデセンカルボン酸のエステルを用いる場合では、エチレン性不飽和基が末端基であるときに最適に進行する。
アルコキシシロキサン変性アルキド樹脂の調製の例は、国際公開公報第99/47617号に記載されている。ジエチルマロネートによるヒドロキシ官能アルキド樹脂のエステル化、続く遊離エステル基と3−アミノプロピルトリエトキシシランとの適切な比率でのアミド交換は、アルコキシシラン変性アルキド樹脂を生じる。ヒドロキシ変性アルキド樹脂を、過剰量のイソホロンジイソシアネートと反応させ、続いて遊離イソシアネートを3−アミノプロピルトリエトキシシランと反応させることもできる。記載されている方法により得られるアルコキシシロキサン変性アルキド樹脂は、両方とも成分(a1)において使用するのに適している。
【0224】
ラジカル重合性成分が本発明の配合物に添加される場合、適切なラジカル光開始剤又はそのような光開始剤の混合物を加えることも有利である場合があり、例えば、カンファーキノン;ベンゾフェノン及びその誘導体、Lambertiから入手可能なESACURE(登録商標)TZT、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンの混合物、Darocur(登録商標)BP、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、3−メチル−4′−フェニル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4′−フェニル−ベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン4,4′−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、〔4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル〕−フェニルメタノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、3−メチル−4′−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4′−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなど、アセトフェノン及びその誘導体、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE(登録商標)184)若しくはIRGACURE(登録商標)500(IRGACURE(登録商標)184とベンゾフェノンの混合物);又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン(DAROCUR(登録商標)1173)、2−ヒドロキシ−1−〔3−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル〕−1,1,3−トリメチル−インダン−5−イル〕−2−メチル−プロパン−1−オン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、α−ヒドロキシ−又はα−アミノ−アセトフェノン、例えば、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE(登録商標)369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(IRGACURE(登録商標)379)、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン)、(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE(登録商標)651)、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127)、2−ベンジル−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、F. Lambertiにより提供されるESACURE(登録商標)KIP、2−ヒドロキシ−1−{1−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル〕−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン;ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、例えば、ベンジルジメチルケタール、フェニルグリオキサレート及びその誘導体、例えば、オキソ−フェニル−酢酸2−〔2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−エトキシ〕−エチルエステル(IRGACURE(登録商標)754);モノ−又はビス−アシルホスフィンオキシド、例えば、(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンタ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−ホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)又ははビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4−ジペンチルオキシフェニル)ホスフィンオキシド;又はオキシムエステル、例えば、1,2−オクタンジオン1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−2−(O−ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE01)、エタノン1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE02)、9H−チオキサンテン−2−カルボキシアルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、過酸エステル、例えば、欧州特許公報第126541号に記載されているベンゾフェノンテトラカルボン酸過酸エステル、並びに当業者に既知の他のあらゆるラジカル光開始剤である。
DAROCUR(登録商標)及びIRGACURE(登録商標)化合物は、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能である。
【0225】
他の追加の成分は、例えば、アルコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ基含有ポリウレタン、ヒマシ油などのようなヒドロキシ官能成分であることができる。その例には、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオールのような脂肪族及び脂環式ポリオールが挙げられ、例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシ−エチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びソルビトールである。ポリオールは、1つ又は異なる不飽和カルボン酸により、部分的に又は全部がエステル化されていることができ、部分エステル中の遊離ヒドロキシル基は他のカルボン酸により変性、例えば、エーテル化又はエステル化されていることが可能である。エステルの例には、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチルロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペンタエリトリトールジイタコネート、ジペンタエリトリトールトリスイタコネート、ジペンタエリトリトールペンタイタコネート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジ−及びトリ−アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0226】
式Iのスルホニウム塩化合物を、シロキサン基含有樹脂の光活性硬化剤として使用することもできる。これらの樹脂を、例えば、酸触媒加水分解により自己縮合させることができるか、又は例えば多官能アルコール、ヒドロキシ基含有アクリル若しくはポリエステル樹脂、部分的に加水分解されているポリビニルアセタール又はポリビニルアルコールのような第2樹脂成分により架橋することができる。このポリシロキサンの重縮合の種類は、例えば、J.J. Lebrun, H. Pode, Comprehensive Polymer Science, Vol. 5, page 593, Pergamon Press, Oxford, 1989に記載されている。
【0227】
その溶解度が酸の作用により現像液中で増加する化合物、すなわち成分(a2)の例には、例えば以下のモノマーの共重合により得ることができるオリゴマー、ポリマー及びコポリマーが挙げられる:非環状又は環状第二級及び第三級アルキル(メタ)アクリレート、例えば、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、3−オキソ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、5−ノルボルネン−2−tert−ブチルエステル、8−エチル−8−トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、(2−テトラヒドロ−ピラニル)オキシノルボルニルアルコールアクリレート、(2−テトラヒドロピラニル)オキシメチルトリシクロドデカンメタノールメタクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、(2−テトラヒドロピラニル)オキシ−ノルボルニルアルコールアクリレート、(2−テトラヒドロピラニル)オキシメチルトリシクロドデカンメタノールメタクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシ)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシ)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシスチレン、非環状又は環状アルコキシカルボニルスチレン、例えば、o−/m−/p−tert−ブトキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニル)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシカルボニル)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシカルボニルスチレン、非環状又は環状アルコキシカルボニルオキシスチレン、例えば、o−/m−/p−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシカルボニルオキシ)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシルカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシカルボニルオキシスチレン、非環状又は環状アルコキシカルボニルアルコキシスチレン、例えば、o−/m−/p−ブトキシカルボニルメトキシスチレン、p−tert−ブトキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニルメトキシ)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシカルボニルメトキシ)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシカルボニルメトキシスチレン、トリメチルシロキシスチレン、ジメチル(ブチル)シロキシスチレン、不飽和アルキルアセテート、例えば、イソプロペニルアセテート及びその誘導体、5−ノルボルネニル−2−tert−ブチルエステル;また、低活性化エネルギーを有する酸不安定基を担持するモノマー、例えば、p−又はm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−メトキシ−1−メチルプロポキシ)スチレン、p−又はm−(1−メトキシ−1−メチルプロポキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−メトキシエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−メトキシエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−エトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−エトキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−エトキシ−1−メチルプロポキシ)スチレン、p−又はm−(1−エトキシ−1−メチルプロポキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−エトキシエトキシ)メチルスチレン、p−(1−エトキシフェニルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−n−プロポキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−n−プロポキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−n−プロポキシエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−n−プロポキシエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシ−1−メチルプロポキシ)スチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシ−1−メチルプロポキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシプロポキシ)スチレン、p−又はm−(1−イソプロポキシプロポキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−n−ブトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−n−ブトキシエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−イソブトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−tert−ブトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−n−ペンチルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−イソアミルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−n−ヘキシルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−シクロヘキシルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−ベンジルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−ベンジルオキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−又はm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−又はm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン。アルコキシアルキルエステル酸不安定基を有するポリマーの更なる例は、米国特許第5,225,316号及び欧州特許公報第829766号において見出すことができる。アセタール保護基を有するポリマーの例は、例えば、米国特許第5,670,299号、欧州特許公報第780732号、米国特許第5,627,006号、米国特許第5,558,976号、米国特許第5,558,971号、米国特許第5,468,589号、欧州特許公報第704762号、欧州特許公報第762206号、欧州特許公報第342498号、欧州特許公報第553737号、並びにACS Symp. Ser. 614, Microelectronics Technology, pp. 35-55 (1995)、J. Photopolymer Sci. Technol. Vol. 10, No. 4 (1997), pp. 571-578、J. Photopolymer Sci. Technol. Vol. 12, no. 4 (1999) pp. 591-599及び“Proceedings of SPIE”, Advances in Resist Technology and Processing XVII, Vol. 3999, Part One, pp. 579-590, 28. Feb.-1. March 2000に記載されている。しかし本発明の組成物に適切なポリマーは、これらに限定されない。
酸不安定基を有するモノマーを、適切であれば、特定の溶解特性及び付着特性を確立するために、例えば、スチレン、アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メトキシスチレン、4−ビニルシクロヘキサノール、ノルボルネン、エチル−ノルボルネン及びマレイン酸無水物のような酸不安定基を担持しない他のラジカル重合性モノマーにより共重合することもできる。あるいは、酸不安定基を、類似のポリマー反応の後に初めて導入することができる。また、プレポリマーを、そのような類似のポリマー反応の前に、例えば部分水素化、部分アルキル化、部分アシル化により標的化様式で変性できることが、当業者には既知である。換言すると、酸不安定基を有するポリマーを、毎回、共重合によりモノマーから合成する必要がない。
【0228】
例えば、H.-T. Schacht, P. Falcigno, N. Muenzel, R. Schulz, and A. Medina, ACS Symp. Ser. 706 (Micro- and Nanopatterning Polymers), pp. 78-94, 1997; H.-T. Schacht, N. Muenzel, P. Falcigno, H. Holzwarth, and J. Schneider, J. Photopolymer Science and Technology, Vol.9, (1996), 573-586に記載されているように、酸不安定架橋を導入することも可能である。そのような酸架橋系は、熱安定性の観点からレジスト用途において好ましい。そのような酸不安定架橋は、例えば4−ヒドロキシスチレンコポリマーのようなフェノール基含有ポリマーと、二官能及び多官能ビニルエーテルとの反応によって得ることもできる。
【0229】
酸との反応によりアルカリ性現像液中で溶解度を増加する成分(a2)の他の例は、例えば、カルボン酸基又はフェノールOH基がそれぞれ酸不安定保護基によりブロックされている、カルボン酸及びフェノール基含有化合物のようなモノマー化合物である。そのような酸不安定ブロックは、例えば、カルボキシル基を、tert−ブチルエステル基、2−メチル−2−アダマンチルエステル基、8−エチル−8−トリシクロデカニルエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基又は他の幾つかの酸開裂性エステル基に変換することにより実施することができる。フェノールOH基を、既知の方法に従い、例えば、酸開裂性tert−ブチルカーボネート基、シリルエーテル、アセタール基及びケタール基に変換することによりブロックすることができる。
【0230】
本発明は、成分(a2)が、脂環式コポリマー、4−ヒドロキシ−フェニル基含有コポリマー、マレイン酸無水物含有コポリマー、並びにアクリル酸−、アクリル酸エステル−及びメタクリル酸エステル含有コポリマーの群から選択される少なくとも1つの化合物であるが、但し、これらのコポリマーが、酸との反応の後でアルカリ性現像液においてポリマーの溶解度を増加する官能基を担持する、放射線感受性組成物にも関する。
【0231】
本発明の組成物において、光開始剤(b)は、組成物に基づいて0.05%〜15%、例えば0.5%〜10%、好ましくは1%〜5%の量で有利に使用される。
【0232】
本発明の組成物は、数多くの用途で使用することができ、例えば、カチオン放射線硬化性印刷用インクにおいて、顔料着色されていても、いなくてもよいカチオン放射線硬化性被覆化合物において、ガラス繊維強化及び炭素繊維強化複合材料、回路基板の内層及び外層を含む、カチオン放射線硬化性接着剤、被膜及び成型品において使用することができる。
【0233】
本発明の組成物には、また、例えばデジタル多用途ディスク(DVD)の製造における接着結合(DVD結合)に使用され、例えば、国際公開公報第99/66506号、国際公開公報第99/63017号、特開平11−241055A2、特開平11−181391A2、国際公開公報第98/31765号に記載されている接着剤、また、フレキシブル包装用放射線硬化性積層接着剤(例えば、米国特許第5,328,940号を参照すること)、光学接着剤(例えば、ドイツ国特許出願第225985号)及び感圧接着剤(例えば、米国特許第4,988,741号及び欧州特許公報第115870号)が含まれる。
【0234】
本発明の組成物は、紙、ガラス、金属、シリコン、ポリカーボネート、アクリレートポリマー及び他のポリマー基材に良好な接着を有し、硬化の際に僅かな収縮しか示さない、硬質被覆、接着結合又は光重合性寸法安定性三次元成型品(例えば、高速プロトタイプ用)の必要性がある場合に、有利に使用される。
本発明の式Iの化合物の適用の種類に応じて、更なる適切な添加剤、増感剤及び/又は光開始剤を添加することが有益でありうる。そのような添加剤、増感剤及び光開始剤は、当該技術において慣用であり、当業者には既知である。
【0235】
したがって、また好ましいものは、成分(a1)又は(a2)及び(b)に加えて、追加的な添加剤(c)及び/又は増感剤化合物(d)、並びに場合により更なる光開始剤(e)を含む、上記に記載された組成物である。
【0236】
光重合性混合物は、光開始剤に加えて、種々の添加剤(c)を含むことができる。その例には、熱抑制剤、光安定剤、蛍光増白剤、充填剤及び顔料、並びに白色及び着色顔料、染料、耐電防止剤、定着剤、湿潤剤、流動性助剤、潤滑剤、ロウ、接着防止剤、分散剤、乳化剤、酸化防止剤、充填剤、例えば、タルク、石膏、ケイ酸、ルチル、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化鉄、反応促進剤、増粘剤、マット剤、消泡剤、及び例えばラッカー及び被覆技術において慣用の他の補助剤が挙げられる。
【0237】
配合物は、追加的な添加剤(c)として染料及び/又は白色若しくは着色顔料を含むこともできる。意図される使用に応じて、無機と有機の両方の顔料を使用することが可能である。そのような添加剤は当業者にとって既知であり、その幾つかの例としては、例えば、ルチル又はアナターゼ型の二酸化チタン顔料、カーボンブラック、亜鉛華のような酸化亜鉛、酸化鉄黄、酸化鉄赤のような酸化鉄、クロムイエロー、クロムグリーン、ニッケルチタンイエロー、ウルトラマリーンブルー、コバルトブルー、ビスマスバナデート、カドミウムイエロー及びカドミウムレッドである。有機顔料の例は、モノ−又はビスアゾ顔料、及びその金属錯体、フロタロシアニン顔料、多環式顔料、例えば、ペリレン、アントラキノン、チオインディゴ、キナクリドン及びトリフェニルメタン顔料、並びにジケト−ピロロ−ピロール、イソインドリノン、例えば、テトラクロロ−イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンズイミダゾロン及びキノフタロン顔料である。
顔料は、個別に又は混合物で配合物において使用することができる。意図される使用に応じて、顔料は当該技術で慣用の量、例えば、総重量に基づいて1〜60重量%又は10〜30重量%の量で配合物に添加される。
【0238】
配合物は、例えば、広範囲の種類の有機染料を含むこともできる。その例には、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料及び金属錯体染料が挙げられる。慣用の濃度は、例えば、総重量に基づいて0.1〜20%、特に1〜5%である。
添加される顔料、潜在的な顔料若しくは染料、又はそのような顔料及び染料の異なる着色前駆体を、照射によってヨードニウム塩から形成された酸の存在下で色変化を受けるように選択することができる。照射されたそのような組成物は、色変化によって、例えばUV放射線、電子ビーム、X線などのための照射量指示器として使用できることを示す。
【0239】
添加剤の選択は、該当の使用分野及びその分野で求められる特性に左右される。上記に記載された添加剤(c)は、当該技術において慣用であり、したがって当該技術において慣用の量で使用される。
【0240】
本発明の組成物は、例えば国際公開公報第05/070989号でヨードニウム塩の安定剤として記載されている、例えばヒンダードニトロキシル又はホスファイト型からの安定剤を、成分(c)として式Iの化合物のために含むこともできる。
【0241】
前記安定剤化合物の例は、例えば米国特許第6,444,733号に開示されている有機リン安定剤であり、その開示は、参照として本明細書に組み込まれる。有機リン安定剤は既知であり、多くは市販されている。前記安定剤化合物の他の例は、ヒンダードニトロキシル安定剤又はヒンダードニトロキシドであり、当該技術において周知であり、例えば米国特許第6,337,426号及び米国特許第5,254,760号に開示されており、その関連する開示は、参照として本明細書に組み込まれる。
式Iのスルホニウム塩のための他の適切な安定剤(c)は、例えば、国際公開公報第99/35188号に開示されている。例は、Ciba Specialty Chemicalsにより提供されるTINUVIN(登録商標)製品、特にTINUVIN(登録商標)144及びTINUVIN(登録商標)292のような第三級及び立体障害アミンである。
【0242】
光重合の促進は、更なる添加剤(d)として、スペクトル感受性を移動又は広げる光増感剤を加えることによって実施することもできる。これらは、特に、例えばベンゾフェノン、チオキサントン、また特にイソプロピルチオキサントン、フェノチアジン誘導体、アントラキノン及び3−アシルクマリン誘導体のような芳香族カルボニル化合物、テルフェニル、スチリルケトン、及び3−(アロイルメチレン)−チアゾリン、カンファーキノン、またエオシン、ローダミン及びエリトロシン染料、並びに、例えば9−メチルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブチルオキシアントラセン、9−メトキシアントラセン、9−アントラセンメタノール、特に9,10−ジメトキシ−2−エチル−アントラセン、9,10−ジブチルオキシアントラセン及び9,10−ジエトキシアントラセンのようなアントラセン誘導体である。更に適切な光増感剤が、例えば国際公開公報第98/47046号において記述されている。
また本発明の主題は、成分(a1)又は(a2)及び(b)に加えて、少なくとも1つの増感剤化合物(d)、特にベンゾフェノン、チオキサントン、アントラセン又はそれらの誘導体を含む上記に記載されている放射線感受性組成物である。
適切な光増感剤(d)の更なる例は、国際公開公報第06/008251号、第36頁30行目から第38頁8行目に開示されており、その開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0243】
例えば、アルキル−及びアリール−アミン供与体化合物のような電子供与体化合物を組成物において使用することも可能である。そのような化合物は、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリル及び1,2,4−トリメトキシベンゼンである。そのような供与体化合物は、好ましくは、配合物に基づいて約0.01〜5%の濃度、特に約0.05〜0.50%の濃度で使用される。
【0244】
上記に記載されている増感剤(d)は、当該技術において慣用であり、したがって、当該技術において慣用の量、好ましくは組成物に基づいて0.05〜5%の濃度、特に0.1〜2%の濃度で使用される。
【0245】
本発明の組成物は、例えば、共開始剤としてカチオン性光開始剤、光酸形成剤及びラジカル光開始剤のような更なる光開始剤(e)を、0.01〜15%、好ましくは0.1〜5%の量で追加的に含むことができる。
【0246】
カチオン性光開始剤及び酸形成剤の例は、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩、ヨードニウム塩であり、例えば、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−〔(2−ヒドロキシ−テトラデシルオキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート又はヘキサフルオロホスフェート(SarCat(登録商標)CD 1012; Sartomer)、トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−イソブチルフェニル−4′−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(IRGACURE(登録商標)250, Ciba Specialty Chemicals)、4−オクチルオキシフェニル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート又はヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート又はヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4′−エトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4′−ドデシルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4′−フェノキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートである。記述された全てのヨードニウム塩のうち、他のアニオンを有する化合物も当然のことながら適しており、例えば、商標名CYRACURE(登録商標)UVI-6990、CYRACURE(登録商標)UVI-6974(Union Carbide)、DEGACURE(登録商標)KI 85(Degussa)、SP-55、SP-150、SP-170(Asahi Denka)、GE UVE 1014(General Electric)、SarCat(登録商標)KI-85(=トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート;Sartomer)、SarCat(登録商標)CD 1010(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;Sartomer)、SarCat(登録商標)CD 1011(=混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート;Sartomer)で入手可能な更なるスルホニウム塩;フェロセニウム塩、例えば、(η−イソプロピルベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)−鉄IIヘキサフルオロホスフェート、ニトロベンジルスルホネート、アルキル−及びアリール−N−スルホニルオキシイミド、及び更なる既知のアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、1,2−ジスルホン、オキシムスルホネート、ベンゾイントシレート、トリルスルホニルオキシ−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、並びに更なる既知のベータ−ケトスルホン、ベータ−スルホニルスルホン、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチル−フェニル−スルホニル)−ジアゾメタン、ベンゾイル−トシル−ジアゾメタン、イミノスルホネート及びイミドスルホネート、及びトリクロロメチル−s−トリアジン及び他のハロアルキル基含有化合物である。更なる適切な追加の光潜酸(b1)の例には、国際公開公報第04/074242号、第38頁10行目から第41頁14行目に提示されているカチオン性光開始剤及び酸形成剤の例、並びに国際公開公報第04/074242号の実施例に開示されている化合物が挙げられ、その関連する開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0247】
共開始剤としてのラジカル光開始剤の例は、上記に記載されている化合物である。
【0248】
本発明の組成物は、多様な目的のために使用することができ、例えば、スクリーン印刷用インク、フレキソ印刷用インク又はオフセット印刷用インクのような印刷用インクとして、例えば木材又は金属用の、クリアラッカーとして、着色表面被覆組成物として、白色表面被覆組成物として、粉末被覆組成物として、とりわけ紙、木材、金属又はプラスチック用の塗料として、構造物及び道路のマーキング用の、写真再生プロセス用の、ホログラフ記録材料用の、画像記録プロセス用の又は有機溶媒により若しくは水性アルカリ媒体を使用して現像される印刷版製造用の、スクリーン印刷用マスクの製造用の日光硬化性塗料として、歯科充填配合物して、放射線硬化性接着剤として、感圧接着剤として、接着防止用被覆として、積層用樹脂として、フォトレジスト、例えば液体膜及び乾燥膜のガルバノレジスト、エッチレジスト又はパーマネントレジストとして、光構造性誘電体として、及び電子回路用のはんだマスクとして、あらゆる種類のスクリーンのカラーフィルター製造用又はプラズマディスプレー及びエレクトロルミネセンスディスプレーの製造における構造の製造用の、光スイッチ、光格子(干渉グリッド)の製造用の、例えば電気絶縁化合物として電子部品の被覆又は密閉用のレジストとして、又は光ファイバー用の、コイル被覆用の被覆として、UV放射線、X線及び電子ビーム用の、並びに例えばステレオリソグラフィーのため及び複合材料、例えばガラス又は炭素又はグラファイト繊維で強化されている複合材料のための三次元物品の製造用の指示器系に使用することができる。組成物は、また、光学レンズ、例えば、コンタクトレンズ又はフレネルレンズの製造のため、また、医療装置、補助具又は移植組織の製造のために適している。
【0249】
本発明の光硬化性組成物は、例えば、全種類の基材、例えば木材、織物、紙、セラミック、ガラス、大理石、特に膜の形態のポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又は酢酸セルロースのようなプラスチック、並びにAl、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg又はCo及びGaAs、Si又はSiO2のような金属のための被覆材料として適しており、これに、被膜が塗布されるか、又は画像が像様式暴露により適用されるか、又は構造レジスト層が適用される。
【0250】
基材の被覆は、基材に液体組成物、溶液又は懸濁液を適用することにより実施することができる。溶液中の溶媒の選択及び濃度は、主に組成物の性質及び被覆方法により決定される。溶媒は不活性であるべきであり、すなわち成分とどのような化学反応も始めるべきではなく、被覆操作後の乾燥により、再び除去することができるべきである。
適切な溶媒の例は、ケトン、エーテル及びエステルであり、例えば、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルアミルケトン、N−メチルピロリドン、ガンマ−ブチロラクタム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチルエステル、酢酸n−ブチルエステル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルエステル、プロピレンカーボネート及び3−エトキシ−プロピオン酸エチルエステルである。
基材を被覆した後、溶媒は一般に乾燥により除去される。
配合物は、既知の被覆方法、例えば、スピンコーティング、浸清、ナイフコーティング、流し塗り、刷毛塗り、又は吹付け、特に静電吹付け及びリバースロールコーティングにより、及び電気泳動塗装により基材に均一に適用される。感光層を仮の軟質支持体に適用し、次に積層により層を移転して最終基材、例えば、銅積層プリント回路基板を被覆することも可能である。
適用量(層厚)及び基材の種類(層支持体)は、所望の使用分野により左右される。層厚の範囲は、一般に約0.1μm〜100μmを超える値、好ましくは0.5μm〜50μmの値を含む。例えばステレオリソグラフィーによる三次元物品の製造では、得ることのできる物品の寸法は、暴露装置の大きさによってのみ制限される。
【0251】
本発明の放射線感受性組成物は、例えば、極めて高度な感光性を有し、かつアルカリ性の水性媒体中で膨張することなく現像できるネガティブレジストとして使用される。これらは、ガルバノレジスト、液体及び乾燥膜におけるエッチレジスト、はんだレジストのような電子部品用のフォトレジストとして、あらゆる種類のスクリーン用のカラーフィルターの製造における、又はプラズマディスプレー及びエレクトロルミネセンスディスプレーの製造用の構造体の形成における、印刷版、例えばオフセット印刷版の製造における、活版印刷用、平版印刷用、凹版印刷用、フレキソ印刷用又はスクリーン印刷用版型の版型の製造における、例えば点字テキストの製造用のレリーフコピーの製造における、スタンプの製造における、成形体のエッチングに使用される又は集積スイッチング回路の製造におけるマイクロレジストとして使用されるレジストとして適している。組成物は、また、材料を封入するための光構造性誘電体として、又はコンピュータチップ、プリント回路及び他の電気又は電子部品の製造における絶縁被覆として使用することができる。可能な層支持体、及び被覆基材の加工条件は、それらに応じて変更される。
【0252】
本発明の化合物は、また、画像記録又は画像複製(コピー、複写)用の単層又は多層材料の製造に使用され、これは、単色又は多色であることができる。それらに含まれるものは、情報のホログラフ記憶用、例えばホログラフ画像又は3次元ホログラフデータ記憶用の材料である。そのような材料は、色検査系で使用することもできる。この技術において、マイクロカプセルを含む配合物を使用することも可能であり、画像を生成するために、暴露工程の後で熱工程を実施することができる。そのような系及び技術、並びにその使用は、例えば米国特許第5,376,459号に記載されている。
情報の写真記録には、例えば、ポリエステル、酢酸セルロース又はプラスチック被覆紙のフィルムが使用され、オフセット印刷用版型には、特別に処理したアルミニウムが使用され、プリント回路の製造には、銅被覆積層体が使用され、集積スイッチング回路の製造には、シリコンウエハーが使用される。写真用材料及びオフセット印刷用版型の層厚は、一般に約0.5μm〜10μmであり、プリント回路では、1.0μm〜約100μmである。
【0253】
本発明は、また、表面被覆組成物、引掻き抵抗性被覆、耐汚染被覆、防曇被覆、耐触被覆、粉末被覆組成物、印刷用インク、ノンインパクト印刷用インク、インクジェット印刷用インク、印刷版、歯科用配合物、歯科用コンポジット、複合材、立体リソグラフ用樹脂、接着剤、接着防止被覆、相似被覆、光ファイバー用被覆、カラーフィルター、レジスト材料又は画像記録材料、ホログラフ用樹脂の製造における放射線感受性酸供与体としての、上記に記載された式Iの化合物に使用に関する。
【0254】
本発明は、また、本発明の組成物により少なくとも1面を被覆されている被覆基材に関する。
【0255】
本発明の更なる主題は、電磁放射線又は電子ビームの作用下でカチオン的又は酸触媒的に重合可能な又は架橋可能な化合物の光重合又は架橋の方法であって、上記に記載された式Iの化合物を光潜酸供与体として使用する方法、並びに、表面被覆組成物、引掻き抵抗性被覆、耐汚染被覆、防曇被覆、耐触被覆、粉末被覆組成物、印刷用インク、ノンインパクト印刷用インク、インクジェット印刷用インク、印刷版、歯科用配合物、歯科用コンポジット、複合材、立体リソグラフ用樹脂、接着剤、接着防止被覆、相似被覆、光ファイバー用被覆、カラーフィルター、レジスト材料又は画像記録材料、ホログラフ用樹脂の製造における上記に記載された方法である。
【0256】
表現「像様式暴露」には、予め決められたパターンを含むマスク、例えば、透明陽画、金属マスク、クロムマスクを通した透明な支持体上への照射、被覆基材の表面上を例えばコンピュータ制御で画像を生成するように動くレーザービームを用いる曝露、及びコンピュータ制御の電子ビームによる照射(CTP)が含まれる。画像は、また、例えばホログラフ用途では、2個のビーム又は画像を干渉させることにより生成することができる。例えば、A. Bertsch, J.Y. Jezequel, J.C. AndreによりJournal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry 1997, 107 pp. 275-281において及びK. -P. NicolayによりOffset Printing 1997, 6, pp. 34-37において記載されているように、画素を1個ずつ作動させてデジタル画像を生成できる液晶製のマスクを使用することも可能である。
【0257】
既に記述したように、式Iの化合物を、特に、フォトレジストにおいて酸供与体として使用することもできる。レジスト系は、式Iの化合物を含む配合物の像様式暴露、続く現像工程により得ることができる。用語「フォトレジスト」は、化学的に増強されたレジストに限定されることはなく、反応が酸の放射線−化学生成により開始され、現像工程において、暴露と非暴露の領域で溶解度の差をもたらす、全てのレジスト材料が含まれる。例えば、また含まれるものは、例えば、米国特許第5,998,092号及びSPIE, Vol. 3999, pp. 569-578 (2000)に記載されている水性媒体で加工できるレジスト、並びに例えばSPIE, Vol. 3999, pp. 62-73 (2000)に記載されているピナコール転位に基づいたレジストである。
【0258】
したがって、本発明は、式Iの化合物を放射線感受性酸供与体として含むフォトレジストにも関する。
【0259】
化学的に増強されたフォトレジストは、放射線感受性成分が触媒量の酸をもたらし、次にそれがレジストの少なくとも1つの酸感受性成分の化学反応に触媒作用を及ぼす、レジスト配合物であると理解される。これは、レジストの照射と非照射の部分に溶解度の差をもたらす。この方法の触媒特性のため、1個の酸分子が、二次反応により捕捉又は破壊されない限り、反応性ポリマーマトリックスを通して拡散して、1つの反応部位から次の反応部位へと多数の部位で反応を開始することができる。したがって低い酸濃度でさえも、レジストの照射と非照射の部分に溶解度の大きな差を得るのに十分である。したがって一般に少量の潜酸化合物を加えるだけで十分である。しかし照射されるまで、潜酸供与体は化学的及び熱的に安定であることが必要である。また、マイクロエレクトロニクス加工プロセスにおけるレジストの使用に悪影響を与える粒子の形成を防ぐため、液体レジスト配合物及び固体レジストフィルムの中では潜触媒は容易に可溶性である必要がある。
潜酸供与体の化学的及び熱的安定性は、化学的に増強されたフォトレジストにおけるその使用にとって必須であることが、上記の言及から明らかである。
【0260】
酸触媒反応の作用によりもたらされる、レジストの暴露と非暴露の領域の溶解度の差は、レジストにおける他の成分により左右される。本発明の組成物が、照射の後、及び場合により熱後処理の後に現像液中で組成物の溶解度を増加する成分を含む場合、これはポジティブフォトレジストである。
したがって本発明は、また、ポジティブフォトレジストに関する。
しかし、組成物の成分が、照射の後、及び場合により熱後処理の後に現像液中で溶解度を低下させる場合、これはネガティブフォトレジストである。
したがって本発明は、ネガティブフォトレジストにも関する。
化学的に増強されたフォトレジストの概要は、例えば、H. Ito, IBM Journal of Research and Development, Vol. 41, No. 1/2, page 69 (1997); H. Ito, SPIE Vol. 3678, page 2 (1999)において見出すことができ、ネガティブレジストは、J.M. Shaw et al. IBM Journal of Research and Development, Vol. 41, No. 1/2, page 81 (1997)において見出すことができる。
【0261】
本発明の式Iの化合物を光潜酸供与体として用いることができる、例えば化学的に増幅された適切なネガティブ及びポジティブレジスト配合物は、国際公開公報第04/074242号、第19頁最終段落から第38頁7行目に開示されている。前記開示は参照として本明細書に組み込まれる。
また、レジスト配合物に慣用の添加剤(c)を、本発明の式Iの化合物を含む対応する配合物に添加できることが明白である。そのような添加剤の例は、当業者に既知の慣用的な量でフォトレジストにおいて使用され、例えば、染料、顔料、可塑剤、界面活性剤、流動性向上剤、湿潤剤、定着剤、チキソトロープ剤、着色剤、充填剤、溶解促進剤、スペクトル増感剤、酸増幅剤、光増感剤及び有機塩基性化合物である。更に、溶媒及び界面活性剤を加えることができる。詳細な開示が、国際公開公報第04/074242号、第41頁15行目から第45頁4行目に提示されている。前記開示は参照として本明細書に組み込まれる。
フォトレジストを調製するために、適切であれば溶媒中の本発明の組成物を基材に適用し、溶媒を加熱により蒸発させ、被覆基材を電磁放射線、例えばレーザーに暴露する。
暴露の後、及び必要であれば熱処理の後、組成物の暴露部位(ポジティブレジストの場合)又は組成物の非暴露部位(ネガティブレジストの場合)は、一般に当業者に既知の方法により現像液を使用して除去される。場合により、現像工程の前に、更なる加熱工程が実施される。詳細な開示が、国際公開公報第04/074242号、第45頁5行目から第47頁8行目に提示されている。前記開示は参照として本明細書に組み込まれる。
したがって、本発明は、また、
(1)基材に上記記載の組成物を適用すること;
(2)組成物を60℃〜160℃の温度で加熱すること;
(3)150nm〜1500nmの波長の光で像様式暴露を実施すること;
(4)場合により、組成物を60℃〜160℃の温度で加熱すること;
(5)続いて、溶媒又はアルカリ性現像水溶液で現像すること
による、フォトレジストを製造する方法に関する。
【0262】
本発明は、また、カチオン若しくは酸触媒重合性又は架橋性の化合物の重合又は架橋における光潜酸供与体としての又は酸の作用により現像液中で溶解度を増加する化合物の溶解度を増加するための、上記に記載されている式Iの化合物の使用に関し、また、電磁放射線の作用によるカチオン若しくは酸触媒重合性又は架橋性の化合物の光重合又は架橋の方法に関し、この方法では、式Iの化合物が光潜酸供与体として使用される。
本発明の更なる主題は、引掻き抵抗性被覆、耐汚染被覆、防曇被覆、耐汚染被覆、耐蝕被覆、粉末被覆組成物を含む表面被覆組成物、印刷用インク、インクジェット印刷を含むノンインパクト印刷用インク、インク印刷用印刷版、コンポジットを含む歯科用配合物、ステレオリソグラフィー用樹脂、接着剤、接着防止被覆(剥離被覆、特にシリコーン剥離被覆)、相似被覆、光ファイバー用被覆、カラーフィルター、レジスト材料又はホログラフ用樹脂を含む画像記録材料の製造における上記に記載された方法である。
【0263】
式Iのカチオン性光開始剤を含む本発明の組成物を、国際公開公報第02/064268号に記載されている真空蒸着法に用いることもできる。すなわち、光開始剤は、フラッシュ蒸発真空蒸着に適している。したがって、フラッシュ蒸発真空蒸着されたカチオン硬化性材料から固体高分子構造を形成する方法では、
(i)カチオン硬化性モノマーと、室温で熱的に安定し化学的に不活性なカチオン性光開始剤との混合物を調製する工程;
(ii)前記混合物を真空下でフラッシュ蒸発させて蒸気を生成する工程;
(iii)蒸気を濃縮して膜を生成する工程;及び
(iv)前記膜を放射線源に暴露して、高分子固体膜を生成する工程が含まれ、
前記光開始剤は、上記に記載された式Iのものである。
前記手順のために適切な装置、並びにモノマーに関する詳細は、国際公開公報第02/064268号に記載されており、その教示は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0264】
酸を放出するUV照射は、一般に、1nm〜600nm、好ましくは10nm〜600nm、特に100nm〜600nm、とりわけ150nm〜500nmの波長の光で実施される。適切な放射線は、例えば、日光、又は人工光源からの光に存在する。多数の多様な種類の光源を使用することができる。点光源及び平面放熱器(ランプカーペット)も適している。その例には以下が挙げられる:カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中圧、高圧及び低圧水銀灯、適切であれば金属ハロゲン化物でドープされているもの(金属ハロゲンランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマーランプ、超化学線蛍光管、蛍光灯、アルゴン白熱灯、フラッシュランプ、写真用投光ランプ、発光ダイオード(LED)、電子線及びX線。更に、プラズマ又はコロナへの暴露は、本発明の光開始剤化合物を活性化するための放射として適している。ランプと、曝露される基材との間隔は、意図される使用及びランプの種類及び強度により変わることができ、例えば、0cm〜150cm、又は0.5cm〜150cm、好ましくは2cm〜150cmであってもよい。レーザー光源、例えばエシキマーレーザーも適している。可視領域のレーザーを使用することもできる。
【0265】
下記の実施例は本発明をより詳細に説明する。記載の残りの部分及び請求項において、部及び百分率は、特に記述のない限り重量に基づいている。炭素原子を3個より多く有するアルキル基が、特定の異性体の記載がなく言及される場合、それぞれの場合においてn個の異性体を意味する。
【0266】
実施例1:下記の調製
【0267】
【化61】

【0268】
a)2.5lの反応器の中で、塩化アルミニウム355.50gをo−ジクロロベンゼン600mlに懸濁した。次に、2,6−ジメチルフェノール190gを加え、混合物を、室温で撹拌した。塩化チオニル52.90g及びo−ジクロロベンゼン20mlの混合物を反応混合物に20℃の温度でゆっくりと加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次に混合物を6リットルの水/氷に注いだ。水層を除去し、6リットルのヘキサンを有機相に加え、トリス−フェノール−スルホニウム塩が沈殿し、濾過した。次にこの生成物を再結晶により精製し、メチル化反応b)に直接使用した。
b)上記の生成物9.11g及び炭酸カリウム14.61gを、350mlの反応容器の中でジメチルホルムアミド30mlに懸濁した。混合物を85℃に加熱し、次に硫酸ジメチル13.33gを滴加した。混合物を90℃で4時間撹拌し、次に水に注いだ。沈殿物を濾過し、塩化メチレンに取り、水で洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.34 6H s,3.77 9H s,3.69 3H s,2.32 18H s。
【0269】
実施例2:下記の調製
【0270】
【化62】

【0271】
実施例1の化合物4.48gを、塩化メチレン50mlに溶解した。ヘキサフルオロリン酸カリウム3.49gを水50mlに溶解した。2相を混合し、2時間激しく撹拌した。次に有機相を水で2回洗浄し、乾燥し、蒸発させた。所望の化合物を結晶化した。
H−NMRデータ(δppm,DMSO−d):7.58 6H s,3.76 9H s,2.30 18H s。
【0272】
実施例3:下記の調製
【0273】
【化63】

【0274】
実施例1a)の化合物20g及び炭酸カリウム32.07gを、ジメチルホルムアミド(DMF)40mlに懸濁した。混合物を65℃に加熱し、次に臭化アリル29.26gを滴加した。混合物を70℃で更に5時間撹拌し、次に水に注いだ。生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥した。生成物を再結晶により精製した。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.46 6H s,6.11−6.02 3H m,5.42 3H d,5.29 3H d,4.39 6H d,2.35 18H s。
【0275】
実施例4:下記の調製
【0276】
【化64】

【0277】
実施例3)の化合物5gをジクロロメタン25mlに溶解した。硝酸銀1.71gを、水10mlに溶解し、最初の溶液に加えた。混合物を激しく撹拌し、灰色を帯びた沈殿物が生じた。ヘキサフルオロリン酸カリウム1.85gを水20mlに溶解し、反応混合物に加え、室温で更に1時間撹拌した。混合物を濾過し、有機相を分離し、水で洗浄した。有機相を乾燥し、蒸発させた。所望の化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.28 6H s,6.15−6.03 3H m,5.45 3H d,5.31 3H d,4.41 6H d,2.36 18H s。
【0278】
実施例5:下記の調製
【0279】
【化65】

【0280】
実施例4)に記載されている方法と同様に、実施例3)の化合物をカリウムノナフレート(CSOK)で処理した。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.31 6H s,6.13−6.03 3H m,5.43 3H d,5.32 3H d,4.41 6H d,2.35 18H s。
【0281】
実施例6:下記の調製
【0282】
【化66】

【0283】
実施例3)に記載された方法と同様に、実施例1a)の化合物を4−クロロメチレン−スチレンで処理して、実施例6)の化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.54 6H s,7.46 6H d,7.40 6H d,6.74 3H dxd,5.79 3H d,5.30 3H d,4.90 6H s,2.37 18H s。
【0284】
実施例7:下記の調製
【0285】
【化67】

【0286】
実施例2)に記載された方法と同様に、実施例6)の化合物をヘキサフルオロリン酸カリウムで処理して、実施例7)の化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.46 6H d,7.42 6H d,7.32 6H d,6.75 3H dxd,5.80 3H d,5.31 3H d,4.93 6H s,2.38 18H s。
【0287】
実施例8:下記の調製
【0288】
【化68】

【0289】
実施例2)に記載された方法と同様に、実施例6)の化合物をカリウムノナフレート(CSOK)で処理して、実施例8)の化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.46 6H d,7.41 6H d,7.37 6H d,6.75 3H dxd,5.80 3H d,5.31 3H d,4.91 6H s,2.37 18H s。
【0290】
実施例9:下記の調製
【0291】
【化69】

【0292】
350mlのスルホン化フラスコの中で、2,6−ジフェニルフェノール24.6g(0.1mol)をジクロロメタン150mlに懸濁し、0℃に冷却した。塩化アルミニウム14.7g(0.11mol)を少量ずつ加えて、ピンク色の懸濁液を得た。次に塩化チオニル(3.9g;33mmol)を滴加した。反応混合物は緑色になり、懸濁した物質は完全に溶解した。1.25時間後、温度を22℃に上昇させ、混合物を4.5時間更に撹拌した。反応塊を氷/水/HCl混合物に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して中性にし、蒸発させた。粗トリス−(2′−ヒドロキシ−〔1,1′;3′,1″〕テルフェニル−5′−イル)−スルホニルクロリド23.3g(87%)を褐色の粉末として得て、精製することなく次の工程に使用した。
【0293】
実施例10:下記の調製
【0294】
【化70】

【0295】
エタノール100ml中の実施例9の生成物8.0gの溶液を、脱イオン水100mlに溶解したヘキサフルオロリン酸カリウム2.21gに撹拌下で滴加した。1時間後、淡黄色の懸濁液を濾過し、幾つかに分けた脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥した。トリス−(2′−ヒドロキシ−〔1,1′;3′,1″〕テルフェニル−5′−イル)−スルホニウムヘキサフルオロホスフェート8.76g(96%)をベージュ色の粉末として得た。
元素分析:C5439S.PF;計算値:C 71.05%;H 4.31%;S 3.51%。実測値:C 69.32%;H 4.50%;S 3.98%。
【0296】
実施例11:下記の調製
【0297】
【化71】

【0298】
200mlのスルホン化フラスコの中で、実施例9の粗生成物5.0gをDMF 70mlに50℃で溶解した。炭酸カリウム(2.85g)及びヨウ化カリウム(約20mg)を加え、続いて塩化アリル1.85gを加えた。24時間後、緑色の反応混合物を水に注ぎ、ヘキサンと共に振とうした。緑色の沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空下で乾燥した。粗生成物を還流エーテルで取り出し、ヘキサンで洗浄し、乾燥した。トリス−(2′−アリルオキシ−〔1,1′;3′,1″〕テルフェニル−5′−イル)−スルホニウムクロリド3.0gを、黄色を帯びた緑色の粉末として得た。生成物をエタノール120mlに溶解し、水180ml中のヘキサフルオロリン酸カリウム(0.72g)の溶液に滴加した。沈殿物を濾過し、真空下で乾燥して、トリス−(2′−アリルオキシ−〔1,1′;3′,1″〕テルフェニル−5′−イル)−スルホニウムヘキサフルオロホスファート2.3gを、140〜145℃で分解しながら溶融する黄色を帯びた緑色の粉末として得た。
【0299】
実施例12:下記の調製
【0300】
【化72】

【0301】
500mlのスルホン化フラスコの中で、2,6−ジシクロヘキシルフェノール25.85g(0.1mol)をジクロロメタン150mlに懸濁し、0℃に冷却した。次に塩化アルミニウム14.7g(0.11mol)を少量ずつ加えて、赤色の溶液を得た。次に塩化チオニル(3.9g;33mmol)を滴加した。0.5時間後、温度を22℃に上昇させ、混合物を4時間更に撹拌した。反応塊を氷/水/HCl混合物に注いだ。白色の沈殿物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、真空下で乾燥した。トリス−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシ−フェニル)−スルホニウムクロリド24.8g(88%)を白色の固体として得た。
H−NMRデータ(δppm,DMSO−d):9.65(3H,s,OH),7.15(6H,s),3.02(6H,m),1.70(30H,m),1.38(12H,m),1.12(18H,m)。
【0302】
実施例13:下記の調製
【0303】
【化73】

【0304】
エタノール150ml中の実施例12の生成物12gの溶液を、脱イオン水100mlに溶解したヘキサフルオロリン酸カリウム3.16gに撹拌下で滴加した。1時間後、白色の懸濁液を、ほとんどのエタノールを蒸発させることによって濃縮し、生成物を濾過し、幾つかに分けた水で洗浄し、真空下で乾燥した。トリス−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシ−フェニル)−スルホニウムヘキサフルオロホスフェート12.2g(90%)を白色の粉末として得た。
元素分析:C5475S.PF;計算値:C 68.33%;H 7.96%;S 3.38%;O 5.06%。実測値:C 68.50%;H 7.77%;S 3.38%;O 5.70%。
【0305】
実施例14:下記の調製
【0306】
【化74】

【0307】
200mlのスルホン化フラスコの中で、実施例12の化合物10.0g(3.6mmol)をメタノール60mlに溶解した。ナトリウムメトキシド(2.12g、39mmol)を加え、続いて硫酸ジメチル6.45g(51mmol)を15分間かけて滴加した。7時間撹拌した後、混合物を80℃で20時間加熱した。混合物を蒸発により濃縮し、ジエチルエーテルに取り、濾過した。白色の沈殿物を水で洗浄して中性にし、真空下で乾燥した。純粋なトリス−(3,5−ジシクロヘキシル−4−メトキシ−フェニル)−スルホニウムクロリド6.0g(57%)を得た。濾液の抽出によって、僅かにピンク色を帯びた追加的な生成物4.4gを得た。
H−NMRデータ(δppm,DMSO−d):7.26(6H,s),3.76(9H,s),2.98(6H,m),1.67(30H,m),1.38(12H,m),1.16(18H,m)。
【0308】
実施例15:下記の調製
【0309】
【化75】

【0310】
エタノール60ml中の実施例14の生成物4.4gの溶液を、脱イオン水200mlに溶解したヘキサフルオロリン酸カリウム1.10gに撹拌下で滴加した。1時間後、白色の懸濁液を濾過し、沈殿物を幾つかに分けた脱イオン水で洗浄し、真空下で乾燥した。トリス−(3,5−ジシクロヘキシル−4−メトキシ−フェニル)−スルホニウムヘキサフルオロホスフェート3.9g(79%)を白色の粉末として得た。
元素分析:C5781S.PF;計算値:C 69.06%;H 8.24%;S 3.23%。実測値:C 69.03%;H 7.90%;S 3.34%。
【0311】
実施例16:下記の調製
【0312】
【化76】

【0313】
実施例4)に記載された方法と同様に、実施例3)の化合物をヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム(NaSbF)で処理して、標記化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.26 6H s,6.16−6.03 3H m,5.44 3H d,5.31 3H d,4.41 6H d,2.36 18H s。
【0314】
実施例17:下記の調製
【0315】
【化77】

【0316】
実施例4)に記載された方法と同様に、実施例3)の化合物をリチウムトリス−(トリフルオロメチルスルホニル)−メチド(Li((CFSOC))で処理して、標記化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.19 6H s,6.14−6.05 3H m,5.46 3H d,5.33 3H d,4.42 6H d,2.36 18H s。
【0317】
実施例18:下記の調製
【0318】
【化78】

【0319】
実施例2)に記載された方法と同様に、実施例6)の化合物をヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム(NaSbF)で処理して、標記化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.46 6H d,7.41 6H d,7.30 6H d,6.74 3H dxd,5.79 3H d,5.30 3H d,4.92 6H s,2.37 18H s。
【0320】
実施例19:下記の調製
【0321】
【化79】

【0322】
実施例2)に記載された方法と同様に、実施例6)の化合物をリチウムトリス−(トリフルオロメチルスルホニル)−メチド(Li((CFSOC))で処理して、標記化合物を得た。
H−NMRデータ(δppm,CDCl):7.47 6H d,7.41 6H d,7.23 6H d,6.75 3H dxd,5.80 3H d,5.31 3H d,4.93 6H s,2.37 18H s。
【0323】
実施例20:下記の調製
【0324】
【化80】

【0325】
a)実施例14)に記載された方法と同様に、実施例9)の生成物6.0g(7.5mmol)をメタノール中のナトリウムメトキシド及び硫酸ジメチルで処理して、目的塩化物5.9gを褐色の粉末として得て、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
b)粗生成物をヘキサフルオロリン酸カリウムにより実施例15に記載の方法と同様に処理した。生成物を褐色の粉末として単離した(4.9g)。
元素分析:C5745S.PF;計算値:C 71.69%;H 4.75%;S 3.36%。実測値:C 71.03%;H 4.50%;S 3.98%。
【0326】
実施例21:下記の調製
【0327】
【化81】

【0328】
a)水素化ナトリウム1.85g(鉱油中50%)を無水ジメチルホルムアミド100mlに乾燥雰囲気下で懸濁した。実施例1a)の生成物5.0g(11.6mmol)を0℃で少量ずつ加えた。30分後、塩化プロピオニル3.54g(38.3mmol)を滴加し、混合物を2時間かけて20℃に温めた。反応混合物を氷水にそそぎ、ジクロロメタンで抽出し、水で洗浄して中性にし、蒸発させた。中間体の塩化物7.2gを黄色の固体として得て、更に精製することなく使用した。
b)粗生成物をエタノール50mlに溶解し、ヘキサフルオロリン酸カリウム(2.58g;14mmol)の水溶液に撹拌しながら1時間かけて滴加した。沈殿物を濾過し、水、ジエチルエーテルで洗浄し、次に真空下で乾燥した。トリス−(3,5−ジメチル−4−プロピオニルオキシ−フェニル)−スルホニウムヘキサフルオロホスフェート6.7gをベージュ色の固体として得た。
元素分析:C3339S.FP;計算値:C 55.93%;H 5.55%;S 4.52%。実測値:C 55.84%;H 4.56%;S 4.50%。
【0329】
実施例22:下記の調製
【0330】
【化82】

【0331】
実施例21)に記載された方法と同様に、実施例1a)の生成物を塩化イソブチロイル及びヘキサフルオロリン酸カリウムで処理して、トリス−(4−イソブチリルオキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−スルホニウムヘキサフルオロホスフェートを白色の粉末として得た。
H−NMRデータ(δppm,DMSO−d):7.71,6H s;2.97,3H septet;2.18,18H s;1.29,3H d。
【0332】
実施例23:下記の調製
【0333】
【化83】

【0334】
実施例21)に記載された方法と同様に、実施例1a)の生成物を塩化アセチル及びヘキサフルオロリン酸カリウムで処理して、トリス−(4−アセトキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−スルホニウムヘキサフルオロホスフェートを白色の粉末として得た。
H−NMRデータ(δppm,DMSO−d):7.71 6H s,2.40 9H s,2.19 18H s。
【0335】
実施例24:下記の調製
【0336】
【化84】

【0337】
実施例21)に記載された方法と同様に、実施例9)の生成物を塩化プロピオニル及びヘキサフルオロリン酸カリウムで処理して、トリス−(2′−プロピオニルオキシ−〔1,1′;3′,1″〕テルフェニル−5′−イル)−スルホニウムヘキサフルオロホスフェートを黄色の粉末として得た。
元素分析:C6351S.FP;計算値:C 69.99%;H 4.75%;S 2.97%。実測値:C 71.11%;H 4.80%;S 3.37%。
【0338】
適用例A1:
下記の成分を混合することにより、組成物を調製した:
81.80部 3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート(CYRACURE(登録商標)UVR 6105、Dow Chemicalにより提供)
11.73部 3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン(CYRACURE(登録商標)UVR 6000、Dow Chemicalにより提供)
5.92部 ε−カプロラクトントリオール(Tone Polyol 301、Dow Chemicalにより提供)
0.56部 ケイ素表面添加剤(Byk 307、BYKにより提供)
100.0部 重ね刷り用ワニス、フレキソインク基本配合物
実施例2の化合物の3%を前記配合物の中で撹拌し、次にそれを4μmのワイヤーバーによりアルミニウムフィルムに85μmの厚さで適用した。
硬化は、アルミニウム反射鏡を備えた1×120W/cm中圧水銀ランプ(IST)の下で、コンベアベルトによりサンプルを移動させることによって実施した。硬化は、Tela(商標)ティッシュペーパーを用いる乾燥摩擦抵抗により決定した。ベルト速度を10m/分の段階で変えた。光開始剤の反応性が高いほど、ベルトをより速く動かして硬化被覆を得ることができる。記載した組成物では、硬化被覆は、180m/分のコンベアベルト速度で達成された。
そのような試料の黄変を測定するために、化合物2の3%を有する上記の配合物をQパネル(白色ポリエステル下塗り)に適用し(30μm)、200W/cmの中圧水銀灯(IST)下でコンベアベルトにより20m/分の速度で硬化した。b値は、2.3を硬化した後、直接測定した。次に試料を蛍光灯(TLK40/05)で16時間照射し、b値を再び測定して、2.3では変化がなかった。
【0339】
適用例A2〜A4:
例A2〜A4の試験条件は例A1に記載されたとおりである。試験化合物及び結果を以下の表に提示する。
【0340】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化85】


〔式中、
、L、L及びLは、互いに独立して、水素又は有機置換基であり;
Rは、T、T、T、A−T又はA−Tであり、有機置換基としてのL及びLが、両方ともフェニル又はシクロヘキシルである場合、Rは、追加的に水素を示し;
Xは、O、S、NR又はNCORであるが;
但し、
(i)XがOであり、L及びLが水素である場合、Rは、A−T又はTを示し;
(ii)XがOであり、Lが水素であり、Lが水素以外である場合、Rは、A−T又はTを示し;
(iii)XがSであり、L及びLが水素である場合、Rは、A−T又はTを示し;
(iv)XがNRであり、Rがアルキルであり、L及びLが水素である場合、Rは、A−T又はTを示し;
は、C〜C12シクロアルキル、C〜C20アルケニル、C〜C12シクロアルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキル、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上Eで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルケニル、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルケニル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルケニル、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニル、又は1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニルであり;
は、C〜C12シクロアルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキル、1つ以上のO、S若しくはOCOで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C20アルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のCO、COO、OCO若しくは下記:
【化86】


で中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルキル、1つ以上のDで置換されているC〜C20アルケニル、1つ以上のDで置換されているC〜C12シクロアルケニル、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニル、又は1つ以上のDで置換され、1つ以上のEで中断されているC〜C12シクロアルケニルであり;
は、Tで提示された意味の1つを有するか又はC〜C20アルキルであり:
は、水素又はTであり;
Aは、CO、COO又はCONRであり;
Dは、水素、R、OR、SR、NR、ハロゲン、NO、CN、O−グリシジル、O−ビニル、O−アリル、COR、NRCOR、COOR、OCOR、下記:
【化87】


CONR、OCOOR、OCONR、NRCOOR、SOH、下記:
【化88】


〜C18アリール、O−C〜C18アリール、下記:
【化89】


O−CR=CR、CR=CR、COCR=CR、OCOCR=CR、NRCOCR=CR又はSOMであり;
は、OH、SR、ハロゲン、NO、CN、O−グリシジル、O−アリル、下記:
【化90】


であり;
Eは、O、S、COO、OCO、CO、NR、NCOR、NRCO、CONR、OCOO、OCONR、NRCOO、SO、SO、フェニレンであるか、又は1つ以上のR、OR、SRで置換されているフェニレン、C〜Cシクロアルキレン、CR=CR又は下記:
【化91】


であり;
、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル又はフェニルであり;
Mは、無機又は有機カチオンであり;そして
Yは、無機又は有機アニオンである〕
で示される化合物。
【請求項2】
、L、L及びLが、互いに独立して、水素、R、OR、SR、ハロゲン、NO、CN又はCORであり;
Xが、O又はSであり;そして
が、請求項1で定義されているTに与えられている意味の1つを有するか又は水素である
請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
Xが、O又はSであり;
及びLが、互いに独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ又はフェニルであり;そして
及びLが、水素である
請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項4】
Dが、水素、R、OR、O−グリシジル、O−ビニル、ビニル、O−アリル、COR、COOR、OCOR,下記:
【化92】


であり;
Eが、O、COO、OCO、COであり;そして
が、水素、C〜C12アルキル又はフェニルである
請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項5】
有機置換基としてのL及びLが、メチル、フェニル又はシクロヘキシルであり;
及びLが、水素であり;
Rが、水素、T、T又はA−Tであり;
Xが、Oであり;
が、C〜C20アルケニルか、又は1つ以上のDで置換されているC〜C20アルキルであり;
が、C〜C20アルキルであり;
Dが、下記:
【化93】


であり;
、R及びRが、水素であり;そして
無機又は有機アニオンとしてのYが、Cl、Br、PF、OSO、OSOCH又は下記式:
【化94】


のペルフルオロアルキルスルホニルメチドであり、
ここで
、R及びRが、ペルフルオロメチルである
請求項1〜4のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項6】
式II又はIIa:
【化95】


〔式中、
R、X、L、L、L及びLは、請求項1で定義されたとおりである〕で示される化合物を、
塩化チオニルと、フリーデル−クラフツ触媒の存在下で反応させ、続いて、置換反応により、式(IIa)の場合ではRで水素を置換し、場合により続いてアニオンY又はY′を交換する
式Iの化合物の調製方法。
【請求項7】
(a1)カチオン的若しくは酸触媒的に重合可能な若しくは架橋可能な化合物、又は
(a2)酸の作用化において現像液で溶解度を増加する化合物;及び
(b)少なくとも1つの、請求項1記載の式Iの化合物
を含む、放射線感受性組成物。
【請求項8】
成分(a1)又は(a2)及び(b)に加えて、追加的な添加剤(c)及び/又は増感剤化合物(d)、並びに場合により更なる光開始剤(e)を含む、請求項7記載の放射線感受性組成物。
【請求項9】
カチオン的若しくは酸触媒的に重合可能な若しくは架橋可能な化合物の重合若しくは架橋における光潜酸供与体としての又は酸の作用下において現像液中で溶解度を増加するように化合物の溶解度を増加させるための光潜酸供与体としての、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項10】
表面被覆組成物、引掻き抵抗性被覆、耐汚染被覆、防曇被覆、耐触被覆、粉末被覆組成物、印刷用インク、ノンインパクト印刷用インク、インクジェット印刷用インク、印刷版、歯科用配合物、歯科用コンポジット、複合材、立体リソグラフ用樹脂、接着剤、接着防止被覆、相似被覆、光ファイバー用被覆、カラーフィルター、レジスト材料又は画像記録材料、ホログラフ用樹脂の製造における放射線感受性酸供与体としての、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項11】
請求項7記載の組成物で少なくとも1面が被覆された被覆基材。
【請求項12】
電磁放射線又は電子ビームの作用下で、カチオン的又は酸触媒的に重合可能な又は架橋可能な化合物の光重合又は架橋の方法であって、請求項1記載の式Iの化合物を光潜酸供与体として使用する方法。
【請求項13】
表面被覆組成物、引掻き抵抗性被覆、耐汚染被覆、防曇被覆、耐触被覆、粉末被覆組成物、印刷用インク、ノンインパクト印刷用インク、インクジェット印刷用インク、印刷版、歯科用配合物、歯科用コンポジット、複合材、立体リソグラフ用樹脂、接着剤、接着防止被覆、相似被覆、光ファイバー用被覆、カラーフィルター、レジスト材料又は画像記録材料、ホログラフ用樹脂の製造における請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2010−505787(P2010−505787A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530839(P2009−530839)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060074
【国際公開番号】WO2008/040648
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】