説明

スルホネート官能基有機ポリシロキサン

スルホネート官能基シロキサン組成物、この調製方法、これを含有しているエマルション組成物が、開示される。本組成物は、種々の、個人用、家庭用、ヘルスケア用製剤、ならびに布およびテキスタイル処理剤において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年12月15日出願の米国特許出願第60/636245号に対する優先権を請求する。
【0002】
本発明は、スルホネート官能基シロキサン組成物、この調製方法、これを含有しているエマルション組成物、ならびに、種々の、パーソナル(個人用)、家庭用、ヘルスケア用製剤、ならびに布およびテキスタイル処理剤におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
商業への適用において使用される大多数のシリコーン界面活性剤は非イオン性であり、この場合よく、ポリオキシアルキレンが、その親水性をもたらす。カチオンシリコーン界面活性剤も知られ、有用性を、特にヘアケアへの適用において見出している。比較すれば、アニオンシリコーン界面活性剤はよく知られているようなものでなく、恐らく、このような材料に至るその限られた難しい合成経路による。
【0004】
アニオンシリコーン界面活性剤に至るこのような1ルートは、プロパンスルトンの、アミノ官能基シロキサンとの反応に基づいており、J.Polymer Science,Polymer Chem.Ed.,vol.17,pp3559−3636(1979)において教示されるようなものである。
【0005】
米国特許第4,496,705号明細書は、高分子量のアミノアルキルシロキサンポリマーを生産する方法を教示し、2官能基アミノアルキルシランを、該シロキサンポリマー中に取り込む前に、加水分解していくことによる。第’705号特許の高分子量シロキサンポリマーは、プロパンスルトンとの反応により、双性イオンシロキサンラバーに変換されてもよい。
【0006】
米国特許第4,525,567号明細書および米国特許第4,523,002号明細書は、双性イオンを、3級シリコーン原子上で含有しているシロキサンポリマーを教示し、これらのアミノアルキルシロキサンポリマー中間体が、与えられている。第’567号特許および第’002号特許のアミノアルキルシロキサンポリマー中間体および双性イオンシロキサンポリマーは、3官能基アミノアルキルシランもしくは双性イオンシランを、それぞれ、ヒドロキシ末端化シロキサンオリゴマーと、酸触媒存在下、共重合させていくことにより、得られる。該アミノアルキルシロキサンポリマー中間体は、有機スルトンもしくは有機ラクトンとの反応により、双イオンシロキサンポリマーに変換される。
【0007】
アニオンシリコーン界面活性剤を調製する、プロパンスルトンを使用することに基づいた産業的プロセスは、プロパンスルトンの毒性のために、その安全性の問題を述べなくてはならない。また、プロパンスルトンから合成されたスルホネートポリマーは、黄色である傾向にある。これゆえ、アニオンシリコーン界面活性剤、特に、スルホネートシリコーン界面活性剤を調製する、プロパンスルトンよりも扱いに容易である中間体を使用するプロセスを同定する必要が存在する。本発明者らは、このようなプロセスを同定しており、これは、2−スルホ安息香酸環状無水物、スルホ安息香酸ナトリウム塩、もしくはこれらの誘導体を、アミノ官能基シロキサンと反応させていくことに基づく。この結果得られてくる化合物が、プロパンスルトンを使用するよりも安全なルート(合成経路)により生成されてくる一方、プロパンスルトンにより調製されたアニオンシリコーンに比較して、予期されない性能面での有益性を持つことも、見出された。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、有機ポリシロキサンに関し、式:
【0009】
【化1】

【0010】
を持っているスルホネート基を含んでおり、式中、Rが、該有機ポリシロキサンに結合している2価の有機基であり、Mが、水素、アルカリ金属、もしくは4級アンモニウム基であり、Gが、酸素原子、NH、もしくはNR基であり、式中、Rが、1価の有機基である。
【0011】
本発明は更に、スルホネート官能基有機ポリシロキサンを調製する方法を提供し、スルホ安息香酸化合物を、アミン官能基シロキサンと反応させていくことを含んでいる。
【0012】
更に、本発明は、本発明の組成物を含んでいるエマルション組成物に関する。
【0013】
本発明の組成物は、種々の産業への適用において有用であり、パーソナル(個人用)、家庭用、ヘルスケア、テキスタイル、ティッシュ、皮革、油およびガス採掘、軍事用および商業用消火泡における使用用に製剤され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
有機ポリシロキサンは、当業界においてよく知られ、しばしば、いずれかの数の、M単位(RSiO0.5)、D単位(RSiO)、T単位(RSiO1.5)、もしくはQ単位(SiO)を含んでいるものとして命名され、式中、Rが独立に、いずれかの1価の有機基である。本発明の有機ポリシロキサンは、如何なる数の、M、D、T、もしくはQ単位の組み合わせをも含有してよいが、一般式:
【0015】
【化2】

【0016】
を持っているスルホネート基である少なくとも1置換基を持つ。式中、Rが、該有機ポリシロキサンに結合している2価の有機基であり;Mが、水素、アルカリ金属、もしくは4級アンモニウムであり;Gが、酸素原子、NH、もしくはNR基であり;式中、Rが、1価の有機基である。
【0017】
該スルホネート置換基は、該有機ポリシロキサンに、Si−C結合を介して、R部分により結合されている。該スルホネート置換基は、該有機ポリシロキサンにおいて、如何なる有機シロキシ単位に対する結合をも介して存在し得、つまり、いずれのM、D、もしくはTシロキシ単位上でも、存在してよい。該スルホネート官能基有機ポリシロキサンは、如何なる数の更なる、M、D、T、もしくはQシロキシ単位一般式(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、もしくは(SiO)をも含有し得、式中、Rが、1価の有機基であり、但し、本有機ポリシロキサンが、少なくとも1シロキシ単位を、存在しているスルホネート官能基と共に持つ。
【0018】
該有機ポリシロキサン中のRにより表される1価の有機基は、1〜20炭素原子、もしくは、1〜10炭素原子を持ってよく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシル、およびオクタデシルのようなアルキル基;シクロヘキシルのようなシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、および2−フェニルエチル(フェネチル)のようなアリール基;アミノプロピルおよびアミノエチルアミノイソブチルのようなアミン有機官能基;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、もしくはこれらの混合物のようなポリアルキレンオキシド(ポリエーテル);ならびに、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、およびジクロロフェニルのようなハロゲン化炭化水素基により例示されるが、これらに限定されない。典型的に、少なくとも50%、もしくは、少なくとも80%の有機基が、該有機ポリシロキサン中において、メチルであってよい(Meとされる)。
【0019】
該スルホネート置換基中のR基は、如何なる2価の有機基でもあり得るが、典型的には、2価の炭化水素基であり、2〜6炭素原子を含有している。2価の炭化水素は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、もしくはヘキシレン基により、代表される。あるいは、Rが、プロピレン基、−CHCHCH−、もしくは、イソブチレン基−CHCH(CH)CH−である。
【0020】
上のスルホネート置換基に関する一般式中のGは、酸素原子、NH、もしくはNR基であり、式中、Rが、1価の有機基である。GがNR基である場合、Rが、上記した1価の有機基のいずれでもあり得る。典型的には、GがNH化学単位であり、上のスルホネート置換基式中のアミド基を形成している。
【0021】
該スルホネート置換基式中のMは、水素;Li、Na、およびKのようなアルカリ金属;あるいは、4級アンモニウム基から選択され得る。Mの選択は典型的に、本スルホネート官能基有機ポリシロキサンが付されるプロセス条件もしくは化学環境により、決定される。酸性〜中性条件下に、MがHとなる。本スルホネート官能基有機ポリシロキサンが、アルカリ金属水酸化物との反応のような塩基性条件に付される場合、そのスルホネート基が、塩として存在することがあり、Mが、そのアルカリ金属である。
【0022】
該スルホネート置換基は、その芳香環上で結合している−SO基を持ち、上の構造において指し示されているとおりである。該−SO基は、その芳香環上の、オルト、メタ、もしくはパラ位においてあってよいが、典型的には、そのオルト位においてあり、下の構造において指し示されているとおりである。
【0023】
【化3】

【0024】
このスルホネート置換基式中の芳香環は、当該環上で、更なる置換基をも含有してよい。もし置換基が存在すれば、アミン基に反応性たるべきではない。適切な環置換基は、ハロゲン、ニトロ、アミン、アルキル、アリール、アルキルアリールであってよい。このスルホネート置換基中において描かれているような芳香環は、ナフチルのような拡大もしくは縮合芳香環構造の一部でもあり得る。
【0025】
本発明の有機ポリシロキサン上のスルホネート置換基は、以降の構造のうちの1つを持ってよい。
【0026】
【化4】

【0027】
式中のSiは、その有機ポリシロキサン鎖からのシリコン(硅素)原子を表す。
【0028】
本スルホネート基官能基有機ポリシロキサンの重量平均分子量(M)もしくは数平均分子量(M)は変動し得、限定的ではない。本スルホネート基官能基有機ポリシロキサンは、液体もしくは固体の形たり得るが、典型的には、固体ゴムタイプの材料である。
【0029】
本スルホネート官能基有機ポリシロキサンは、如何なる数のM、D、T、もしくはQシロキシ単位一般式(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、もしくは(SiO)を含有してもよく、式中、Rが、1価の有機基であり、但し、本有機ポリシロキサンが、少なくとも1シロキシ単位を、既存のスルホネート官能基と共に持つ。あるいは、本スルホネート官能基有機ポリシロキサンは、直鎖の優先するポリシロキサンであってもよく、式MDxDyMもしくはMDxMを持っているシロキシ単位を含んでおり、式中、Dが、スルホネート基官能基ジシロキシ単位を表し、Mが、スルホネート基官能基モノシロキシ単位を表し、xが、0〜500で変動し得、yが、1〜500、もしくは、1〜200、もしくは、1〜100で変動し得る。
【0030】
もう1つ別の実施形態において、本スルホネート官能基有機ポリシロキサンは、アミノプロピルもしくはアミノエチルアミノイソブチル基のようなアミン官能基も含有する。アミン官能基量は変動し得るが、典型的に、本有機ポリシロキサンにおいて、レベル0.01〜5meqアミン/gもしくは0.2〜0.7meqアミン/gにおいて存在する。
【0031】
本発明のスルホネート官能基有機ポリシロキサンは、如何なる方法によっても調製され得るが、典型的には、本明細書において教示される方法に従って調製され、下記のとおりである。
【0032】
スルホネート官能基有機ポリシロキサンを調製する本プロセスは、スルホ安息香酸化合物を、アミン官能基シロキサンと反応させていくことを含む。
【0033】
本発明において有用なアミン官能基シロキサンは、少なくとも1アミン官能基置換基を持っている如何なる有機ポリシロキサンでもあり得る。本有機ポリシロキサンはこれゆえ、M、D、T、もしくはQの如何なる組み合わせをも持ち得、上記したとおりであるが、少なくとも1アミン官能基置換基を含有しなくてはならない。典型的に、本有機ポリシロキサンは、直鎖の優先するポリシロキサンであり、平均式MDxDyMもしくはMDxMにより表されるとおりであり、式中、Dが、アミノ官能基ジシロキシ単位を表し、Mが、アミノ官能基モノシロキシ単位を表し、式中、Aが、アミノプロピルもしくはアミノエチルアミノイソブチルのようなアミン官能基有機基であり、xが、0〜500で変動し得、yが、1〜500、もしくは、1〜200、もしくは、1〜100で変動し得る。
【0034】
本発明において有用なアミン官能基シロキサンの代表的で非限定的な商品例は、DC2−8220、DC2−8566、DC2−8040、DC2−8822、DC2−8630(Dow Corning Corporation,Midland,MI)、ならびに、DMS−A11、DMS−A12、DMSA15、DMSA21、およびDMS−A32のような、Gelest Incorporationからのアミノプロピル末端化ポリジメチルシロキサンを包含する。
【0035】
本発明におけるスルホ安息香酸化合物は、スルホ安息香酸環状無水物もしくはスルホ安息香酸金属塩から選択されてよい。本スルホ安息香酸化合物がスルホ安息香酸環状無水物である場合、2−スルホ安息香酸環状無水物もしくはこの誘導体であってよい。代表的な非限定的な列挙のスルホ安息香酸環状無水物化合物およびこの適切な誘導体が、本発明のプロセスにおいて有用であり、以下に示される。
【0036】
【化5】

【0037】
本発明のプロセスにおいて有用なスルホ安息香酸ナトリウム塩およびこの代表的な非限定的な列挙の誘導体に関する化学構造が、以下に示される。
【0038】
【化6】

【0039】
2−スルホ安息香酸環状無水物と本アミン官能基シロキサンとの間の反応は、種々の条件下に行われてよいが、典型的に、これら反応試薬を適切な溶媒中で組み合わせ、この反応混合物を常圧下に完全な反応を確実化させるに充分な時間熱していくことにより、起きる。
【0040】
該反応における各出発原料量は変動し得るが、典型的に、該反応において使用される本2−スルホ安息香酸環状無水物量に対し、過剰モルの本アミン官能基シロキサンが使用される(該有機ポリシロキサン中のアミン官能基当量に基づく)。過剰の本アミン官能基有機ポリシロキサンおよび適正な反応条件を使用すると、本2−スルホ安息香酸環状無水物の完全な消費を確実化し、結果的に、スルホネート官能基有機ポリシロキサンを与えつつ、この結果得られてくる生成物中に如何なる2−スルホ安息香酸環状無水物残渣も残さない。典型的に、該スルホ安息香酸化合物に対するアミン官能基シロキサンモル比は、0.1〜15もしくは0.1〜5の範囲である。
【0041】
該反応が無溶媒で起こりえる一方、該反応を適切な溶媒中において進めていくと、該反応を容易化させる。適切な溶媒は、これら出発原料のいずれとも反応しないものである。これゆえ、適切な溶媒は、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレンのような芳香族溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、もしくは四塩化炭素(四塩炭)のような塩素化炭化水素;ならびに、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、およびジオキサンのような非プロトン有機溶媒を包含する。
【0042】
溶媒中もしくは無溶媒で一旦組み合わされると、該反応が、これら成分を熱していくことにより、起きる。もし溶媒が使用されれば、該溶媒の還流温度が典型的に、該反応の温度を制御するようになる。もし無溶媒であれば、これら成分が熱せられ、25〜150℃もしくは50〜120℃の範囲の温度において反応するようにされるべきである。
【0043】
溶媒中での反応の完結時に、その結果得られてくるスルホネート官能基シロキサンが、該溶媒を除去していくことにより、単離され得、典型的に、減圧下に、当業界において知られている手法により、該反応の内容物を熱していくことによる。
【0044】
本発明は更に、本明細書において教示されたようなスルホネート官能基シロキサンを含んでいるエマルション組成物に関する。本エマルションは典型的に、水連続エマルションであり、ここでは、その疎水性相が、本スルホネート官能基シロキサンを含む。本エマルションは、当業界において知られているエマルション、特に、有機ポリシロキサンもしくはシリコーンエマルションを調製する手法のいずれによっても、調製され得る。例えば、本発明のエマルションは、米国特許第6,607,717号明細書の教示に従って調製され得、本明細書において援用される。典型的に、本発明のエマルションは、本スルホネート官能基有機ポリシロキサンを、界面活性剤および水と組み合わせていくことにより、調製され得る。本界面活性剤は、アニオン、カチオン、非イオン、双イオン、もしくはこれらの如何なる組み合わせたり得る。
【0045】
本発明によるエマルション調製において特に有用であると見出された界面活性剤のある幾つかの特定の代表例は、Brij30およびBrij35の混合物、Tergitol(登録商標)TMN−6およびTergitol(登録商標)15−S−15の混合物、Genapol(登録商標)UD050およびGenapol(登録商標)UD110の混合物、Softanol(登録商標)70およびSoftanol(登録商標)120の混合物、Lutensol(登録商標)ON70およびLutensol(登録商標)TO5の混合物、ならびに、Lutensol(登録商標)ON70単独を包含する。Brij30は、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルであり、HLB9.7を有し、Uniqemaから入手できる。Brij35は、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルであり、HLB16.9を有し、Uniqemaから入手できる。Tergitol(登録商標)TMN−6は、12炭素(C12)第2級アルコールエトキシレートであり、HLB11.7を有し、Dow Chemical Companyから入手できる。Tergitol(登録商標)15−S−15は、C11−15第2級アルコールエトキシレートであり、HLB15.6を有し、やはり、Dow Chemical Companyから入手できる。Genapol(登録商標)UD050は、HLB11.0を有し、Genapol(登録商標)UD110は、HLB15を有する、C11オキソアルコールポリグリコールエーテルであり、Clariant Corporationから入手できる。Softanol(登録商標)70は、C12〜14第2級アルコール7エトキシ単位(EO7)エトキシレートであり、HLB12.1を有し、BP Chemicalsから入手できる。Softanol(登録商標)120は、C12〜14第2級アルコール12エトキシ単位(EO12)エトキシレートであり、HLB14.5を有し、やはり、BP Chemicalsから入手できる。Lutensol(登録商標)ON7は、C13オキソアルコールEO7エトキシレートであり、HLB13.0を有し、BASFから入手できる。Lutensol(登録商標)TO5は、C10オキソアルコールEO5エトキシレートであり、HLB10.5を有し、やはり、BASFから入手できる。
【0046】
本発明のエマルションは典型的に、<<水中油型>>のものである。つまり、水主体の連続相においてシリコーンを有する。このようなエマルションにおける粒子サイズは典型的に、0.02〜10μmであり、範囲0.02〜2μmおよび0.02〜0.2μmがしばしば好ましい。
【0047】
本発明により調製された組成物は、種々のOTCパーソナルケア組成物、ヘルスケア組成物、および家庭用ケア組成物において使用され得るが、特に、このパーゾナルケアの場においてである。これゆえ、制汗剤、脱臭剤、皮膚用クリーム、スキンケアローション、保湿剤、面皰もしくは皺除去剤のようなフェイシャルトリートメント剤、パーソナルおよびフェイシャルクレンザー、バスオイル、香水、コロン、香袋、日焼け止め、プレシェーブおよびアフターシェーブローション、液体石鹸、ひげそり用石鹸、ひげそり用ムース、髪毛用シャンプー、髪毛用コンディショナー、髪毛用スプレー、ムース、パーマ、脱毛剤、髪毛用角質コーティング、メーキャップ、着色化粧料、ファンデーション、口紅、リップスティック、リップバーム、アイライナー、マスカラ、油落とし剤、着色化粧料落とし剤、ネイル磨き、および粉末において使用され得る。
【実施例】
【0048】
以降の実施例が提示され、本発明の組成物および方法を更に例示するが、本発明を限定しているとして解釈されるべきものでない。これら実施例における全ての部および%は重量基準であり、全ての測定値は、反対に指し示されなければ、23℃において得られた。
材料
AFS1は、DC2−8220(Dow Corning Corporation,Midland,MI)こと150cS(mm/秒)のジメチルシロキサンコポリマーであり、およそ2モル%のアミノエチルアミノイソブチルメチルシロキサンを含有している(0.507meqアミン/g)。
AFS2は、DC2−8630(Dow Corning Corporation,Midland,MI)こと900cS(mm/秒)のジメチルシロキサンコポリマーであり、およそ1モル%のアミノプロピルシロキサンを含有している(0.267meqアミン/g)。
【0049】
実施例1
アミノ官能基シロキサンおよびプロパンスルトンからのスルホネート官能基シロキサンの調製−33%のこのアミンの水素が反応した
500mL3頚フラスコが、100.39gのAFS1、4.71gの2−スルホ安息香酸環状無水物(SBAA)、および100.24gのトルエンで充填された。この反応混合物が、80℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に攪拌し続け、次いで、この温度に4時間保持された。この結果得られてくる混合物が、真空除去に付され、トルエンを除去し、60℃の真空オーブンに終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、92.73gの生成物が回収された。この乾燥された材料は、透明で僅かに黄色い高粘度のゴムであった。該ゴムは、水にもアルコールにも溶けなかったが、トルエン、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムには溶けた。この結果得られてくるポリマーは、数平均分子量Mn=4,261を持っており、多分散性3.92を有していた。
【0050】
例2(比較例)
アミノ官能基シロキサンおよびプロパンスルトンからのスルホネート官能基シロキサンの調製−33%のこのアミンの水素が反応した
3頚500mLフラスコが、100.03gのAFS1、3.12gのプロパンスルトン、および209.9gのトルエンで充填された。この反応混合物が、65℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に2時間攪拌し続けた。次いで、この反応混合物が、80℃にまで熱せられ、この温度に2時間保持された。この結果得られてくる混合物が、真空除去に付され、トルエンを除去し、60℃の真空オーブンに終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、93.41gの生成物が回収された。この乾燥された材料は、透明で黄色い高粘度のゴムであった。該ゴムは、水にもアルコールにも溶けなかったが、トルエン、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムには溶けた。この結果得られてくるポリマーは、数平均分子量Mn=44,061を持っており、多分散性2.69を有していた。
【0051】
実施例3
アミノ官能基シロキサンおよびスルホ安息香酸環状無水物からのスルホネート官能基シロキサンの調製−33%のこのアミンの水素が反応した
1L3頚フラスコが、200.04gのAFS1、9.44gの2−スルホ安息香酸環状無水物(SBAA)、および414.0gのトルエンで充填された。この反応混合物が、80℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に攪拌し続け、次いで、この温度に4時間保持された。この結果得られてくる混合物が、真空除去に付され、トルエンを除去し、60℃の真空オーブンに終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、189.60gの生成物が回収された。この乾燥された材料は、透明で僅かに黄色い高粘度のゴムであった。該ゴムは、水にもアルコールにも溶けなかったが、トルエン、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムには溶けた。この結果得られてくるポリマーは、数平均分子量Mn=7,750を持っていた。
【0052】
例4(比較例)
アミノ官能基シロキサンおよびプロパンスルトンからのスルホネート官能基シロキサンの調製−33%のこのアミンの水素が反応した
3頚1Lフラスコが、200.01gのAFS1および399.8gのトルエンで充填され、75℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に2時間攪拌し続けた。次いで、6.29gのプロパンスルトンがゆっくり加えられた。添加時間は、10分であった。次いで、この混合物が、80℃にまで熱せられ、この温度に4時間保持された。この結果得られてくる混合物が、真空除去に付され、トルエンを除去し、60℃の真空オーブンに終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、189.1gの生成物が回収された。この乾燥された材料は、透明で黄色い高粘度のゴムであった。該ゴムは、水にもアルコールにも溶けなかったが、トルエン、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムには溶けた。この結果得られてくるポリマーは、数平均分子量Mn=3,340を持っていた。
【0053】
実施例5−1
アミノ官能基シロキサンおよびスルホ安息香酸環状無水物からのスルホネート官能基シロキサンの調製−25%のこのアミンの水素が反応した
1L3頚フラスコが、200.17gのAFS2、5.05gの2−スルホ安息香酸環状無水物、および385.44gのトルエンで充填された。この反応混合物が、80℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に攪拌し続け、次いで、この温度に4時間保持された。このサンプル溶液が、真空除去に付され、トルエンの大部分を除去し、60℃の真空オーブンに終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、187.80gの生成物が回収された。この乾燥された材料は、透明で黄色い高粘度のゴムであった。該ゴムは、水にもアルコールにも溶けなかったが、トルエン、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムには溶けた。この結果得られてくるポリマーは、数平均分子量Mn=17,400を持っていた。
【0054】
実施例5−2
アミノ官能基シロキサンおよびスルホ安息香酸環状無水物からのスルホネート官能基シロキサンの調製−15%のこのアミンの水素が反応した
500mL3頚フラスコが、100.01gのAFS2、1.52gの2−スルホ安息香酸環状無水物、および190.23gのトルエンで充填された。この反応混合物が、80℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に攪拌し続け、次いで、この温度に4時間保持された。このサンプル溶液が、真空除去に付され、トルエンの大部分を除去し、60℃の真空オーブンに終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、96.17gの生成物が回収された。この乾燥された材料は、透明で高粘度の流動体であった。該流動体は、水にもアルコールにも溶けなかったが、トルエン、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムには溶けた。実施例5からのスルホネートポリマーが、高分子量アルコール(Isofol12)10%とブレンドされた。
【0055】
これら材料に関しての、その出発アミン官能基流動体との粘度の比較が、表Iにおいてリストアップされる。ポリマーAは、表Iにおいてリストアップされたとおりであり、実施例3から調製されたポリマー90%を、高沸点アルコール(Isofol12)10%とブレンドしていくことにより、得られた。ポリマーBが、実施例5−1から調製されたポリマー90%を、Isofol12 10%とブレンドしていくことにより、得られた。
【0056】
【表1】

【0057】
例6(比較例)
アミノ官能基シロキサンおよびプロパンスルトンからのスルホネート官能基シロキサンの調製−26%のそのアミンの水素が反応した
3頚1Lフラスコが、200.02gのAFS2および401.61gのトルエンで充填され、75℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に2時間攪拌し続けた。次いで、3.43gのプロパンスルトンがゆっくり、加えられた。添加時間は、10分であった。次いで、この混合物が、80℃にまで熱せられ、この温度に4時間保持された。この結果得られてくる混合物が、真空除去に付され、トルエンを除去し、60℃の真空オーブンに終夜入れておくことにより、完全に乾燥させた。仕上げに、195.0gの生成物が回収された。この乾燥された材料は透明であり、黄色で高粘度のゴムであった。該ゴムは、水にもアルコールにも溶けなかったが、トルエン、テトラヒドロフラン、およびクロロホルムには溶けた。この結果得られてくるポリマーは、数平均分子量Mn=7130を持っていた。
【0058】
実施例7
スルホネートシロキサンから調製されたエマルション
エマルションが、(実施)例3〜6のスルホネートシロキサンポリマーから調製された。これらサンプル用組成物が、表IIにおいてリストアップされる。
【0059】
【表2】

【0060】
プロパンスルトン合成ポリマーから調製されたエマルションは、安定ではなかった。僅かに黄色であり、5日以内で室温において相分離した。
【0061】
実施例8
アミノ官能基シロキサンおよびスルホ安息香酸ナトリウム塩からの、スルホネート官能基シロキサンの調製
500mLの3頚フラスコが、100.01gのAFS1、9.04gの3−スルホ安息香酸ナトリウム塩(SBAS)、および201.52gのトルエンで充填された。この反応混合物が、80℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に攪拌し続け、次いで、5.02gの水を添加した後、この温度を4時間保持した。この結果得られてくる混合物が真空除去に付され、トルエンを除去し、60℃の真空オーブン中に終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、96.14gの生成物が回収された。ポリマーが、トルエンに溶解され、0.8μm濾紙を通して濾過され、60℃の真空オーブン中において終夜再度乾燥された。最終コポリマーは、Brookfield粘度計により測定された場合、25℃において、粘度1,140,000cS(mm/秒)を示した。
【0062】
実施例9
アミノ官能基シロキサンおよびスルホ安息香酸ナトリウム塩からの、スルホネート官能基シロキサンの調製
500mLの3頚フラスコが、100.02gのAFS2、3.02gの3−スルホ安息香酸ナトリウム塩(SBAS)、および201.74gのトルエンで充填された。この反応混合物が、80℃にまで熱せられ、この間、安定窒素下に攪拌し続け、次いで、5.04gの水を添加した後、この温度を4時間保持した。この結果得られてくる混合物が真空除去に付され、トルエンを除去し、60℃の真空オーブン中に終夜入れておくことにより、完全に乾燥された。仕上げに、95.67gの生成物が回収された。ポリマーが、トルエンに溶解され、0.8μm濾紙を通して濾過され、60℃の真空オーブン中において終夜再度乾燥された。最終コポリマーは、Brookfield粘度計により測定された場合、25℃において、粘度127,400cS(mm/秒)を持っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

式中、Rが、有機ポリシロキサンに結合している2価の有機基であり、Mが、水素、アルカリ金属、もしくは4級アンモニウム基であり、Gが、酸素原子、NH、もしくはNR基であり、式中、Rが、1価の有機基である
を持っているスルホネート基を含んでいる有機ポリシロキサン。
【請求項2】
前記有機ポリシロキサンが、直鎖の優先するポリシロキサンであり、式MDxDyMもしくはMDxMを持っているシロキシ単位を含んでおり、式中、Dが、スルホネート基官能基ジシロキシ単位を表し、Mが、スルホネート基官能基モノシロキシ単位を表し、xが、0〜500で変動し得、yが、1〜500で変動し得る、請求項1の有機ポリシロキサン。
【請求項3】
更にアミン官能基を含んでいる、請求項1もしくは2の有機ポリシロキサン。
【請求項4】
前記アミン官能基が、アミノプロピルもしくはアミノエチルアミノイソブチルである、有機ポリシロキサン。
【請求項5】
がプロピレンである、請求項1の有機ポリシロキサン。
【請求項6】
Mがアルカリ金属である、請求項1の有機ポリシロキサン。
【請求項7】
前記アルカリ金属がナトリウムである、請求項6の有機ポリシロキサン。
【請求項8】
GがNHである、請求項1の有機ポリシロキサン。
【請求項9】
前記スルホネート基が式:
【化2】

を持つ、請求項1の有機ポリシロキサン。
【請求項10】
前記スルホネート基が式:
【化3】

を持つ、請求項1の有機ポリシロキサン。
【請求項11】
スルホ安息香酸化合物を、アミン官能基シロキサンと反応させていくことを含んでいる、スルホネート官能基有機ポリシロキサンを調製する方法。
【請求項12】
前記スルホネート官能基有機ポリシロキサンが、スルホ安息香酸環状無水物である、請求項11の方法。
【請求項13】
前記スルホネート官能基有機ポリシロキサンが、2−スルホ安息香酸環状無水物である、請求項11の方法。
【請求項14】
前記スルホネート官能基有機ポリシロキサンが、スルホ安息香酸金属塩である、請求項11の方法。
【請求項15】
前記スルホネート官能基有機ポリシロキサンが、3−スルホ安息香酸ナトリウム塩である、請求項11の方法。
【請求項16】
前記アミン官能基シロキサンが、直鎖の優先するポリシロキサンであり、平均式MDxDyMもしくはMDxMにより表されるとおりであり、式中、Dが、アミノ官能基ジシロキシ単位を表し、Mが、アミノ官能基モノシロキシ単位を表し、xが、0〜500で変動し得、yが、1〜500で変動し得る、請求項11の方法。
【請求項17】
前記スルホ安息香酸化合物に対するアミン官能基シロキサンのモル比が、0.1〜15の範囲である、請求項11の方法。
【請求項18】
請求項11〜17の方法のいずれか1方法により調製された、スルホネート官能基有機ポリシロキサン。
【請求項19】
請求項1もしくは18のスルホネート官能基有機ポリシロキサン組成物を含んでいるエマルション。

【公表番号】特表2008−524378(P2008−524378A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546687(P2007−546687)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/042273
【国際公開番号】WO2006/065467
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】