説明

スロットカッター用のカートリッジの調整工具

本発明はスロットカッターのカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具を提供する。調整機構は本体回転軸を有し、そして本体前表面と本体後表面との間に延在する本体周表面を備えている。本体にはねじ付貫通孔が設けられ、そのそれぞれは中にねじ付ボルトのねじ部分を受け入れる。調整機構が互いのアーバーにカートリッジを有するスロットカッターと共に取り付けられたとき、ねじ付ボルトの各々が関連するカートリッジの力係合領域に対向する。ねじ付ボルトの頭部を回動することによって、カートリッジの各々が軸方向に変位されて、カートリッジの各々の軸方向位置が個別に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットカッターのカートリッジの軸方向位置を調整する調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
カートリッジに取り付けられた切削インサートを有するスロットカッターは公知である。かかるスロットカッターは、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に見出される。この種の典型的なスロットカッターは、カッター回転軸を有する円盤状の形状を具備するスロットカッター工具本体を備えている。スロットカッター工具本体は、前表面と後表面との間に延在する周表面を有している。スロットカッター工具本体の周表面に沿って、複数のカートリッジポケットが形成されている。カートリッジは、カートリッジポケットの各々に取り付けられる。切削インサートは、各カートリッジのインサートポケット内に保持される。
【0003】
スロットカッターには幾つかの形式があり、それらの機能は互いに異なっている。スロットカッターの第1の形式は、切削インサートが、例えば、スロットの形成又は細面のフライス削りのために、スロットカッターの周方向に切削するように、インサートポケットに取り付けられた切削インサートを有するカートリッジを有している。
【0004】
スロットカッターの第2の形式は、切削インサートが、スロットカッターの一側部の近傍で、すなわち、例えば、図2及び4のスロットカッターに示されるように、その前表面又はその後表面の近傍で切削するように、インサートポケットに取り付けられた切削インサートを有するカートリッジを有している。この取付け形式は、ポケットないしはキャビティの側壁をフライス削りするため、又は、スロットカッターの回転軸が機械加工されるワークピースの面に直交して位置されるときに面フライス削りを行うために用いられ得る。
【0005】
第3の形式のスロットカッターは、例えば、図5に示されるように、スロットカッターの周表面の周りに交互に配列された対応するカートリッジのインサートポケット内に取り付けられた切削インサートを有している。かかる配列では、所与のカートリッジがスロットカッター工具本体の前表面の近傍で切削する切削インサートを保持し、そして引き続くカートリッジがスロットカッター工具本体の後表面の近傍で切削する切削インサートを保持する。この形式のスロットカッターは、スロットの両肩部のみならずスロットの底部をフライス削りするために用いられ得る。
【0006】
スロットは特定の幅寸法にフライス切削されるべきであるので、2つの連続した切削インサートの軸方向に方向付けられた刃先の間の軸方向距離(図5の符号「W」参照)は精確に設定されることが不可欠である。さらに、異なる幅のスロットが同じスロットカッターでもって切削され得るように、軸方向に調整できるカートリッジの形式が存する。この目的のためにも、スロットカッター工具本体に関して、及びカートリッジの各々に関して、カートリッジの各々の軸方向位置を精確に調整することが不可欠である。
【0007】
スロットカッター工具本体は、一般に、ここで「S型」及び「F型」のアダプターと称する、異なる形式のアダプターを装備している。「S型」のアダプターは、スピンドルに連結されたアーバーを受け入れるべく設計された、スロットカッターの回転軸に中心を有する中央開口部である。「F型」アダプターは、スピンドルに連結するためのアーバーを構成する、スロットカッターの中央開口部での概ね筒状の中央突出部である。
【0008】
カートリッジをスロットカッター工具本体に組み付け、それらを所望の位置に調整するためには、この技術分野で知られているように、スロットカッター工具本体が組立装置のアーバーに取り付けられる。その後、カートリッジがカートリッジポケットの1つに取り付けられる。カートリッジをスロットカッター工具本体に関して所望の軸方向位置に調整するためには、カートリッジが測定工具により示される所望の位置に到達するまで、軸方向の前方又は後方に、ハンマーによって直接に、又は他の工具の助けを借りて叩かれる。第1のカートリッジ、又は交互するカートリッジのスロットカッターの場合には第1の2つのカートリッジの位置が得られた後に、残りのカートリッジがスロットカッター工具本体に取り付けられ、そして、第1の組み立てられたカートリッジ、すなわち、基準カートリッジとして役立つカートリッジに関して同様に調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,062,775号明細書
【特許文献2】米国特許第6,488,456号明細書
【特許文献3】米国特許第6,971,823号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かかる調整方法は、スロットカッター工具本体に関して、ハンマー又は他の工具のそれぞれの叩きにより生ずる所与のカートリッジの軸方向の変位が精確には予測し得ないので、極めて多大な時間を必要とする。したがって、調整が熟練の作業者により実行されるときでさえ、カートリッジを所望の位置にもたらすためには、通常、幾つかのステップが要求される。これは、カートリッジに要求される変位の大きさが、典型的には、0.005mmから0.020mmの範囲にあることから、困難な作業である。かかる小さな変位が要求される状態では、ハンマーによるか弱い叩きでさえも所与の軸方向における要求変位を行き過ぎさせるかも知れず、この結果、作業者にカートリッジを反対の軸方向に移動させるべく強いることになる。実際には、行ったり来たりの調整は幾つかの段階を必要とし、その行為はより多大な時間を必要とするかも知れず、組立の厳しい精度が要求されるときは、神経が苛立つものである。
【0011】
本発明の目的は、上述の不都合を著しく低減ないしは克服する、スロットカッターのカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具を提供することにある。
【0012】
本発明のさらなる目的は、単一のカートリッジが取り付けられたスロットカッター工具本体に関して、単一のカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具を提供することにある。
【0013】
本発明のさらなる目的は、スロットカッター工具本体に取り付けられた基準カートリッジに関して、スロットカッター工具本体に取り付けられた全てのカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具を提供することにある。
【0014】
本発明のもうさらなる目的は、「L型」及び「S型」アダプターのような異なる形式のアダプターを有する異なる形式のスロットカッター工具本体と共に用いられるカートリッジ調整工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、本体回転軸を有し、そして、本体前表面と本体後表面との間に延在する本体周表面を有する本体、及び
該本体に本体周表面の近くで結合される複数の調整エレメントであって、調整エレメントの各々が本体の対応する第1の係合部材に対して独立して軸方向に調整可能である複数の調整エレメント、
を備え、調整エレメントの各々の突出区分の軸方向変位が個々に調整可能である
カートリッジ調整工具が提供される。
【0016】
典型的には、該調整エレメントは、本体回転軸に関して半径方向に同様に配置されている。
【0017】
さらに典型的には、調整エレメントの各々は、先行する調整エレメントに関して角度において同様に変位されている。
【0018】
ある実施形態によれば、調整エレメントの各々は、本体前表面と本体後表面との間に延在する対応する本体の周部開口に関連付けられている。
【0019】
必要であれば、本体の周部開口の各々は、本体周表面から半径方向に内方に延在するスロットである。
【0020】
1つの実施形態では、本体に関連付けられた第1の係合部材はねじ付孔であり、及び調整エレメントの各々は本体の関連するねじ付孔にねじ係合するねじ付のボルトである。
【0021】
調整エレメントの各々の突出する区分は、ねじ付ボルトの前方のねじ部分である。
【0022】
ある実施形態によれば、ねじ付ボルトは、本体後表面から軸方向に後方に突出している。
【0023】
必要であれば、ねじ付ボルトの各々はボルト頭部を有し、そして該ボルト頭部の周表面は刻み目付である。
【0024】
典型的に、本体には、本体中央貫通孔が設けられている。
【0025】
さらに、本発明によれば、スロットカッター工具本体に取り付けられた複数のカートリッジを軸方向で整列させる方法であって、
(a)スロットカッター工具本体に、互いのアーバーにカートリッジ調整工具を取付け、
(b)カートリッジ調整工具本体から前方に突出している複数の調整エレメントを、カートリッジの各々の力係合領域に対向させて軸方向に整列させ、かくて、カートリッジ調整工具とスロットカッター工具本体との間に適切な角度的方向性を設定し、
(c)カートリッジ調整工具をスロットカッター工具本体に、両者間の適切な角度的方向性で固定し、
(d)対向しているカートリッジの力係合領域にカートリッジの移動の軸方向の力を及ぼして、カートリッジが所望の位置に到達するまでカートリッジを変位させるべく、所与の調整エレメントを軸方向に変位させ、
(e)カートリッジを該所望の位置で締め付け、そして
(f)引き続くカートリッジについて、上記ステップ(d)及び(e)を繰り返す、
ステップを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0026】
スロットカッター工具本体に取り付けられた複数のカートリッジを軸方向で整列させる方法は、必要に応じて、上記ステップ(e)及び(f)の間に、
カートリッジ調整工具とスロットカッター工具本体と共にアーバーを、2つの引き続くカートリッジの間の角度変位に対応する角度分だけ一緒に回転させるステップをさらに備える。
【0027】
さらに、本発明に従って、スロットカッター工具本体に関してのカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具であって、
スロットカッター工具本体に取り付けられるべく適合されたフレームと、
該フレームから突出している少なくとも1つの調整エレメントと、を備え、
該フレームに関しての該少なくとも1つの調整エレメントの変位が調整可能であることを特徴とするカートリッジ調整工具が提供される。
【0028】
必要に応じて、該少なくとも1つの調整エレメントの変位は、フレームに関して軸方向に調整されてもよい。
【0029】
カートリッジ調整工具がスロットカッター工具本体に取り付けられたとき、カートリッジの力係合領域に関しての少なくとも1つの調整エレメントの軸方向変位が、カートリッジの軸方向変位を生じさせる。
【0030】
さらに、本発明に従って、スロットカッター工具本体に関してのカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具であって、
スロットカッター工具本体に半径方向に取り付けられるべく適合された形状を有し、且つカッター前表面とカッター後表面とに沿って延在するフレームと、
該フレームから軸方向内方に突出する調整エレメントと、を備え、各々の調整エレメントの軸方向変位が個別に調整され得ることを特徴とするカートリッジ調整工具が提供される。
【0031】
典型的には、調整エレメントの各々は、フレームのねじ付孔にねじ係合するねじ付ボルトである。
【0032】
実際には、フレームに、スロットカッター工具本体の両側部に関してフレームの位置を固定する手段が設けられている。
【0033】
有利なことに、調整エレメントは、スロットカッター工具本体に取り付けられているカートリッジに軸方向に前向きの力、又は軸方向に後ろ向きの力を加える。
【0034】
必要なら、フレームは、間にフレーム開口部を画成する側板を有し、そして該フレームは、フレーム開口部が所望の値に調整され得るように取り外し可能である。
【0035】
さらに、本発明に従って、スロットカッター工具本体に取り付けられたカートリッジを軸方向に整列させる方法であって、
(a)カートリッジ調整工具をスロットカッター工具本体に取付け、
(b)カートリッジ調整工具のフレームから内方に突出しカートリッジの力係合領域に対向している調整エレメントが軸方向に整列されるべく整列させ、
(c)カートリッジ調整工具のフレームを固定手段によってスロットカッター工具本体に固定し、
(d)カートリッジの力係合領域にカートリッジの移動の所望の方向の力を及ぼすべく調整エレメントを軸方向に変位させて、カートリッジが所望の位置に到達するまでカートリッジを変位させ、そして
(e)カートリッジをカートリッジ締め付け手段によって所望の位置に締め付けるステップを備えることを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明のより良い理解、及び本発明が実際にどのように実施されるかを示すために添付図面が参照される。
【0037】
【図1】本発明によるカートリッジ調整工具の斜視図である。
【図2】スロットカッターに調整位置で取り付けられた、図1のカートリッジ調整工具の斜視図である。
【図3】カートリッジ調整工具及び図2のスロットカッターの端面図である。
【図4】カートリッジ調整工具及び図2のスロットカッターの側面図である。
【図5】「F型」のスロットカッターに取り付けられた図1のカートリッジ調整工具の側面図である。
【図6】スロットカッター工具本体に関してカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具の斜視図である。
【図7】図6のカートリッジ調整工具がスロットカッター工具本体に調整位置で取り付けられた状態のスロットカッター工具本体の部分的端面図である。
【図8】図7のVIII-VIII線に沿ってとられたカートリッジ調整工具及びスロットカッター工具本体の断面図である。
【図9】図7のIX-IX線に沿ってとられたカートリッジ調整工具及びスロットカッター工具本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
最初に、本発明の第1の実施形態によるカートリッジ調整工具10を示す図1ないし5に注目する。カートリッジ調整工具10は円盤形の本体12を備え、該本体12は本体前表面14、本体後表面16、及びそれらの間に延在する本体周表面18を有している。カートリッジ調整工具10は本体回転軸Aの回りに回転対称である。カートリッジ調整工具10はまた、本体中心貫通孔20の形態の取り付け部分を有し、これは本体回転軸Aに関して対称であり、本体前表面14と本体後表面16との間に延在している。
【0039】
本体には、本体前表面14から本体後表面16に延在する複数のねじ付貫通孔22が設けられている。当該ねじ付貫通孔22は、本体に関連付けられた第1の係合部材を構成する。1つの実施形態では、ねじ付貫通孔22が本体回転軸Aに関して同様に半径方向に配置され、すなわち、それらは本体回転軸Aに中心付けられた仮想円(図には示されていない)上に位置している。さらに、ねじ付貫通孔22の各々は、先行するねじ付貫通孔22に関して典型的に同様に角度において変位され、すなわち換言すると、ねじ付貫通孔22は上述の仮想円に沿って互いから等しく離間されている。本発明の特定の実施形態によれば、ねじ付貫通孔22は本体周表面18の近くに位置されている。
【0040】
調整エレメントを構成するねじ付ボルト24がねじ付貫通孔22の各々にねじ係合している。ねじ付ボルト24の各々は、前端部28を有するねじ部分26と、ねじ部分26のねじ部径D2よりも大きな頭部径D1を典型的に有する頭部30とを有している。頭部30は、頭部周表面32を有し、必要に応じて、手による頭部30の快適な把持と回動のために刻み目が付けられてもよい。
【0041】
ねじ付ボルト24は、関連するねじ付貫通孔22に本体後表面16から挿入され、ねじ付貫通孔22にねじ係合し、そして、本体前表面14に関して前方に突出する。ねじ付ボルト24の頭部30を時計回り又は反時計回り方向に回すことで、本体前表面14に関するねじ部分26の前端部28の軸方向変位量を変える。このように、ねじ付ボルト24の各々が本体12に本体周表面18の近くでねじ結合され、各々のねじ付き調整ボルトは本体12に対して独立して軸方向に調整可能であり、本体前表面14に関して軸方向前方に突出可能な前端部28を有している。
【0042】
異なる形式のアダプターを有するスロットカッターを調整することを可能にするために、後述するように、本体の周部開口を構成するスロット34がねじ付貫通孔22の各々の近くに形成されている。各スロット34は本体前表面14と本体後表面16との間に延在している。さらに、各スロット34は本体周表面18から半径方向内方に延在している。
【0043】
スロットカッター工具本体38に取り付けられた複数のカートリッジ36を軸方向に整列させる方法がここに説明される。ここに説明される方法は、正確な整列を設定するために用いられる計測機器(不図示)に応じて、スロットカッター工具本体38に関して、又は他のカートリッジに関して、どのようにしてカートリッジ36を整列させるかを教示する。選択肢として、カートリッジ36は、所望の位置に以前にセットされている基準のカートリッジ36に関して整列されても良い。当該基準カートリッジ36は、後述するように、異なるカートリッジ調整工具によってその所望の位置にセットされてもよい。
【0044】
第1の段階で、カートリッジ調整工具10は、その本体中心貫通孔20を介して(図4及び5に破線で示される)互いのアーバー40に、カートリッジ調整工具10の本体の回転軸Aがカッターの回転軸Bに一致するように、スロットカッター工具本体38と共に取り付けられる。このことは、本体前表面14がスロットカッター工具本体38に面するように、カートリッジ調整工具10がスロットカッター工具本体38に同軸で、離間された関係に取り付けられることに帰す。カートリッジの整列の便宜上、アーバー40は典型的に水平に位置され、そして、手によって自由に回動され得る。カートリッジ調整工具10とスロットカッター工具本体38との間の相対的な方向に加えてアーバー40にそれらを組み付ける順序は、スロットカッター工具本体38が有しているアダプター42の形式に主に依存する。
【0045】
図2は、(図4及び5に示される)互いのアーバー40にカートリッジ調整工具10と共に取り付けられているスロットカッター44を示している。スロットカッター44は、円盤状の形状とカッター回転軸Bを有するスロットカッター工具本体38を備えている。スロットカッター工具本体38は、カッター前表面48とカッター後表面50との間に延在するカッター周表面46を有している。複数のカートリッジポケット52(図7に明瞭に見られる)がカッター周表面46に沿って形成されている。カートリッジ36はカートリッジポケット52の各々に取り付けられている。切削インサート54は、カートリッジ36の各々のインサートポケット56内に、インサート保持ねじ58によってしっかりと保持されている。図2のスロットカッター44は、一側式である。これは、全ての切削インサート54の側部能動切刃60が同一方向、この場合には、カッター前表面48に面していることを意味している。
【0046】
カートリッジ36の各々は、カートリッジ保持ねじ62によって、そのカートリッジポケット52に保持されている。図示の実施形態では、カートリッジ保持ねじ62は概ね軸方向に延在している。しかしながら、他の形式のカートリッジによっては、カートリッジ保持ねじは概ね半径方向に延在してもよい。カートリッジ36が調整される前に、それらは最初にそれぞれのカートリッジポケット52内に軸方向に大まかに整列されて取り付けられ、そして必要に応じてカートリッジの各々が軸方向に僅かに変位され得るために、カートリッジ保持ねじ62は完全には締め付けられていない。
【0047】
第2の段階において、カートリッジ調整工具10は、ねじ付ボルト24のねじ部分26の前端部28がカートリッジ36の力係合領域64に対向するまで、スロットカッター44に関して本体回転軸Aの回りに回動される。カートリッジ36の力係合領域64は、カートリッジ36の側部66において軸方向に向けられた表面であり、軸方向に向けられた力を受けたとき、カートリッジ36の容易且つ円滑な軸方向変位を可能にする。関連する力係合領域64に対向するねじ付ボルト24を調整することによって、カートリッジ調整工具10とスロットカッター44との間の適切な角度的方向性が得られる。
【0048】
第3の段階では、カートリッジ調整工具10が、例えば、互いのアーバー40に開放端部70から取り付けられる(図4に図解のために破線で示されている)締め付けナット68又はブッシュによって、スロットカッター工具本体38に固定される。このようにして、カートリッジ調整工具10はスロットカッター工具本体38に関して適切な角度的方向性でもって固定される。
【0049】
第4の段階では、ねじ部分26の前端部28が動作中のねじ付ボルト24に対向して位置されているカートリッジ36の力係合領域64に接するまで、所与のねじ付ボルト24の頭部30が回動される。その後、頭部30をさらに回動すると、カートリッジ36の力係合領域64に力が及び、カートリッジ36の軸方向の変位を生じさせ、これにより、カートリッジ36を所望の位置に向けて付勢する。この段階で、カートリッジ36の変位が適切な計測機器(不図示)によりモニターされる。カートリッジ36が所望の位置に到達したとき、すなわち、より詳細には、カートリッジ36に保持されている切削インサート54の側部能動切刃60が所望の位置に到達したとき、ねじ付ボルト24の頭部30の回動が停止される。該所望の位置は、カッターの回転軸Bに直交する基準平面Pによって表わされ得る。
【0050】
第5の段階で、カートリッジ36は、カートリッジ36をその最終位置に固定すべく、適切なねじ回し72(図5に示される)でもってカートリッジ保持ねじ62を完全に締め付けることにより、締め付けられる。
【0051】
第6の段階では、アーバーがカートリッジ調整工具とスロットカッター工具本体と共に、2つの引き続くカートリッジ36の間の角度上の変位74(図3に示されている)に対応する角度、回動される。今度は、第4及び第5の段階が引き続くカートリッジ36について繰り返される、すなわち、カートリッジ36が所望の位置に到達するまで軸方向に変位させ、そしてその後、カートリッジ36を該所望の位置に固定すべくカートリッジ保持ねじ62を完全に締め付けるのである。この段階は、全てのカートリッジ36が所望の位置に固定されるまで繰り返される。
【0052】
カートリッジ36の軸方向位置を調整する該方法は、単一のカートリッジ36の軸方向変位が容易且つ正確にモニターされ、かくてスロットカッター工具本体38に取り付けられたカートリッジ36の軸方向位置を調整するのに要する時間が著しく低減されるので、有利である。熟練者は、頭部30の角度上の回転量と該角度上の回転量により生じるカートリッジ36の軸方向の変位との間のいわゆる変換率に慣れている。かくて、カートリッジ36の要求される変位のために、調整者はどの程度に頭部30の角度上の回転量を施すべきかを知っている。こうして、時間を浪費し、カートリッジ36を反対方向に戻して変位させることを要する、カートリッジ36の過剰な変位を回避している。
【0053】
本発明によるカートリッジ調整工具10を用いることにより得られるもう1つの有利な点は、 カートリッジ36の位置における向上した精度である。これは、先行技術で用いられていたような、ハンマーでのカートリッジ36の叩きに加えて、全体のアーバー40の震動や振動、及び計測システムが避けられるという事実によっている。
【0054】
スロットカッター工具本体38に、例えば、図5に示される「F型」アダプターが設けられるときは、カートリッジ調整工具10は、「F型」アダプターを有する側部と反対の側部で、スロットカッター工具本体38に対して取り付けられてもよい。
【0055】
スロットカッター工具本体38に、例えば、図4に示される「S型」アダプターが設けられるときは、カートリッジ調整工具10はスロットカッター工具本体38の側部のいずれか1方でスロットカッター工具本体38に対して取り付けられてもよい。
【0056】
カートリッジ保持ねじ62は、典型的には、カートリッジ保持ねじ62を締め付けるために用いられるねじ回し72がより容易にアクセスできるように、カートリッジ36の側部66に取り付けられる。例えば、図5に示されるように、カートリッジ36の向きが交互に配列されるとき、カートリッジ保持ねじ62は、典型的には、カートリッジ36の容易な調整とカートリッジ保持ねじ62の容易な締め付けとを可能にするために、同じ側部に配列されている。
【0057】
かくて、カートリッジ調整工具10が、カートリッジ保持ねじ62が存している所と反対の側部でスロットカッター工具本体38に取り付けられたときは、その後、カートリッジ保持ねじ62はねじ回し72によって自由にアクセス可能である。これは、カートリッジ調整工具10が取り付けられた所と反対の側部に位置され得るカートリッジ保持ねじ62を見ることなく、例えば、図4に示されている。一方、カートリッジ調整工具10がカートリッジ保持ねじ62が位置する所と同じ側部(例えば、図5に示される)でスロットカッター工具本体38に対して取り付けられるときは、その後、カートリッジ保持ねじ62は本体周表面18に設けられたスロット34を介してねじ回し72にアクセス可能である。
【0058】
さて、図6乃至9を注目する。スロットカッター工具本体38に関しての単一のカートリッジ36の軸方向位置を調整することが要求されるときは、他の調整機構が用いられ、以後、個別カートリッジ調整工具76と称される。
【0059】
当該個別カートリッジ調整工具76は、例えば、図8及び9に見られるように、U形状のフレーム78を備えている。該フレーム78は2つの対立する側板80を有し、これらは、側板80の第1の部分84においてフレーム中央部分82によって連結されている。フレーム中央部分82の厚さがフレーム開口部86を決定している(図6及び8参照)。
【0060】
個別カートリッジ調整工具76には、側板80の第2の部分88の形態で取り付け部分が設けられており、この第2の部分88はそれぞれの第1の部分84から離間されている。第2の部分88には、個別カートリッジ調整工具76がスロットカッター工具本体38に取り付けられたとき、カッター前表面48とカッター後表面50とに関してフレーム78の位置を固定させる手段が設けられている。本発明の特定の実施形態による固定手段は固定用ねじ90である。固定用ねじ90の各々は、固定用ねじ90のアレン(allen)形式の頭部94と前端部96との間に延在するねじ部分92を有するグラブ(grub)ねじであってもよい。
【0061】
固定用ねじ90は、フレーム78の側板80に設けられた固定用ねじ付孔98にねじ係合される。図6から分かるように、フレーム78の先導部分100には固定用ねじ90の先導対102が設けられ、固定用ねじ90の一方の各々は、他方の固定用ねじ90に対向し、そして異なる側板80の固定用ねじ付孔98にねじ係合している。同様に、フレーム78の後端部分104には固定用ねじ90の後端対106が設けられている。
【0062】
個別カートリッジ調整工具76の調整エレメントである、ねじ付の調整ボルト108がフレーム78の中間部分110に位置され、調整ねじ付孔112にねじ係合している。調整ねじ付孔112の各々は異なる側板80に形成され、他方の調整ねじ付孔112に対向している。
【0063】
各ねじ付きの調整ボルト108は、フレーム78から軸方向で内方に突出する、ねじ付きの調整ボルト108の前端部116で終了するねじ部分114と、ねじ部分114のねじ径D4より大きい頭部径D3を典型的に有している頭部118とを有している。頭部118は頭部周表面120を有し、必要に応じ、手によって把持し回動するのを容易とすべく刻み目が付けられてもよい。
【0064】
上記から、フレーム78の離間された第2の部分88はそれらの間にフレーム開口部86を画成していることが理解できる。さらに、これらの離間された部分88は、フレーム78がカッター周部の少なくとも一部分に跨るとき、カッター前表面48とカッター後表面50とに固定用ねじ90でもって固設されるように構成されている。加えて、ねじ付きの調整ボルト108がフレーム78にねじ結合され、両方向からフレーム開口部86に突出し、そして離間された部分88の間の方向に沿って移動するように配列されている。
【0065】
スロットカッター工具本体38に取り付けられたカートリッジ36を、個別カートリッジ調整工具76によって、スロットカッター工具本体38に関して軸方向に整列させる方法がここに説明される。
【0066】
第1の段階では、個別カートリッジ調整工具76が、フレーム78の側板80の一方がカッター前表面48に隣接して位置され、且つ他方の側板80がカッター後表面50に隣接して位置されるように、スロットカッター工具本体38に取り付けられた第1のカートリッジ36を覆って概ね半径方向に取り付けられる。かくて、図7乃至9から分かるように、この第1の段階では、フレーム78の部分がカッター本体の周辺部分に跨っている。
【0067】
この段階では、個別カートリッジ調整工具76のスロットカッター工具本体38への自由で邪魔されない取付けを可能にするために、全ての固定用ねじ90及びねじ付きの調整ボルト108は完全には締め付けられていない。実際には、このことは、各固定用ねじ90の前端部96及び各ねじ付きの調整ボルト108の前端部116が、それらの関連する側板80の内壁122とほぼ同一平面にあるということを意味する。
【0068】
図7から分かるように、固定用ねじ90の先導対102がカートリッジ36の先導側部124に取り付けられ、且つ固定用ねじ90の後端対106がカートリッジ36の後端側部126に取り付けられるように、個別カートリッジ調整工具76は取り付けられている。
【0069】
第2の段階では、個別カートリッジ調整工具76がカートリッジ36を調整する正確な位置にあるために、ねじ付きの調整ボルト108の前端部116がカートリッジ36の力係合領域128(図2、4及び5におけるカートリッジの力係合領域64に酷似している)に対向して位置されねばならない(図9参照)。カートリッジ36に関しての個別カートリッジ調整工具76の正確な位置を観察するために、フレーム78にはねじ付きの調整ボルト108の近くにフレーム開口部130が設けられている。
【0070】
スロットカッター工具本体38の半径方向132に関しての個別カートリッジ調整工具76の方向付けは、2つのガイドラインに従ってもよい。第1のガイドラインは、ねじ付きの調整ボルト108の前端部116がカートリッジ36の力係合領域128に対向して位置されていることである。第2のガイドラインは、固定用ねじ90の先導対102に加えて固定用ねじ90の後端対106が、スロットカッター工具本体38の固定用領域134に対向して位置されていることである。
【0071】
スロットカッター工具本体38の固定用領域134は、2つの隣接するカートリッジポケット52の間に位置され、カッター前表面48及びカッター後表面50に見出される領域であり、固定用ねじ90の前端部96を確実に受けることができる。このように、多数のかかる固定用領域がある。図7において、1つの固定用領域134(破線の引き出し線で示されている)はフレーム78によって隠されており、したがって、実証目的のみのために、他の固定用領域134が引き続くカッター本体部分136に示されている。カッター本体部分136はスロットカッター工具本体38の半径方向での極端部分であり、2つの隣り合うカートリッジポケット52の間に位置されている。
【0072】
第3の段階では、図8に示されるように、全ての固定用ねじ90がカッター前表面48とカッター後表面50の関連する固定用領域134に対して完全に締め付けられる。この位置では、固定用ねじ90の先導対102はカートリッジ36に先行するカッター本体部分136に対して締め付けられ、そして、固定用ねじ90の後端対106はカートリッジ36に引き続くカッター本体部分136に対して締め付けられる。
【0073】
調整の便宜のためには、スロットカッター工具本体38が、図8から分かるように、フレーム開口部86に関して概ね中心付けられて固定されることが有利である。
【0074】
第4の段階では、カートリッジ36の要求されている変位の方向に応じて、第1(138)のねじ付きの調整ボルト108(図9参照)が、ねじ付きの調整ボルト108の前端部116がカートリッジ36の力係合領域128に接触するまで、フレーム78の内向きの方向140に回動される。同時に、第1(138)のねじ付きの調整ボルト108に対向している第2(142)のねじ付きの調整ボルト108は、カートリッジ36の軸方向の変位を可能とするために、回動されずにカートリッジ36の隣接する力係合領域128から離間されている。
【0075】
この段階で、第1(138)のねじ付きの調整ボルト108の回動を継続すると、所望の方向Fへのカートリッジ36の軸方向の変位が生じる。スロットカッター工具本体38に関してのカートリッジ36の所望の軸方向位置が、適切な測定工具(不図示)によって観察されて、到達されたとき、第1(138)のねじ付きの調整ボルト108の回動は停止される。
【0076】
カートリッジ36の過剰の変位の場合には、カートリッジを変位させる行為が反対方向に逆行されねばならない。この場合、第1(138)のねじ付きの調整ボルト108が、カートリッジ36の反対方向に向かう変位を可能にするためにある量だけ緩められる。その後、第2(142)のねじ付きの調整ボルト108がカートリッジ36の隣接する力係合領域128に接触するまで、フレーム78の内向き方向140に回動される。第2(142)のねじ付きの調整ボルト108をさらに回動すると、スロットカッター工具本体38に関してのカートリッジ36の所望の方向への軸方向の変位を生じさせる。スロットカッター工具本体38に関してのカートリッジ36の所望の軸方向位置が到達されたとき、第2(142)のねじ付きの調整ボルト108の回動が停止される。
【0077】
第5の段階では、カートリッジ締め付け手段である、カートリッジ保持ねじ62(図2及び3に示されている)が完全に締め付けられ、スロットカッター工具本体38に関してのカートリッジ36の軸方向位置を固定する。
【0078】
異なる厚さを有するスロットカッター工具本体上の単一のカートリッジ36を調整するためには、個別カートリッジ調整工具76を用いることが有利であるので、フレーム開口部86を変更することができるのは有益である。これは、フレーム中央部分82のサイズを変更することによってなされ得る。図8に示されるような本発明の特定の実施形態によれば、フレーム中央部分82は2つの別個の中央部分構成部品、すなわち、第1の中央部分構成部品144及び第2の中央部分構成部品146から作られている。第1の中央部分構成部品144には、第1の構成部品貫通孔148が設けられている。第2の中央部分構成部品146には、第1の構成部品貫通孔148に整列されている第2の構成部品ねじ付孔150が設けられている。第1の中央部分構成部品144を第2の中央部分構成部品146に取り付けるために、中央取り付けねじ152が第1の構成部品貫通孔148に挿入され、そして第2の構成部品ねじ付孔150にねじ係合する。
【0079】
フレーム開口部86を拡大することが望まれるなら、中央取り付けねじ152が第2の構成部品ねじ付孔150から係合解除され、そして第1の構成部品貫通孔148から取り外される。その後、第1及び第2の中央部分構成部品144、146が互いから分離される。
【0080】
この段階で、整合孔が設けられている相補的な中央部分(不図示)が、第1及び第2の中央部分構成部品144、146の間に挿入される。その後、他の中央取り付けねじが第1の構成部品貫通孔148及び整合孔を通して挿入され、第2の構成部品ねじ付孔150にねじ係合する。かくて、大きなフレーム開口部を有する個別カートリッジ調整工具が得られる。
【0081】
上記から、単一のスロットカッター工具本体に取り付けられたカートリッジを整列させるために、両工具を用いてもよいこともまた分かる。例えば、個別カートリッジ調整工具76が、1つ以上のカートリッジを軸方向に位置させ、これにより、1つ以上のかかる「基準」カートリッジを該軸方向位置に固定するために、先ず用いられ得る。その後、カートリッジ調整工具10が、他のカートリッジを固定された基準カートリッジに軸方向に整列させるために、カッター本体の一側部に取り付けられ得る。
【0082】
本発明がある程度の詳細さでもって説明されたが、後に請求されるような本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、種々の変更及び修正がなされ得ることが理解されるべきである。
【0083】
円盤状のカートリッジ調整工具は、貫通孔を備えて、又は回転軸と同軸である孔を備えてさえも形成される必要はない。このように、円盤状のカートリッジ調整工具が中心孔を備えずに形成されるなら、それは、締め付け手段又は磁気手段(不図示)によってスロットカッターに取り付けられてもよい。
【0084】
調整エレメントは、カートリッジ調整工具にねじ結合される必要はなく、滑りウェッジ又は他の調整可能手段(不図示)によって押されてもよい。
【0085】
個別カートリッジ調整工具の調整エレメントは、カートリッジ調整工具のフレームにねじ結合される必要はなく、滑りウェッジ又は他の調整可能手段(不図示)によって押されてもよい。
【0086】
カートリッジ調整工具はスロットカッターの両側部にねじ手段によって取り付けられる必要はない。むしろスロットカッターの一側部のみに、例えば、磁気手段によって取り付けられてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体回転軸、及び本体前表面と本体後表面との間に延在する本体周表面を有する本体、及び
該本体に本体周表面の近くで結合される複数の調整エレメントであって、調整エレメントの各々が本体の対応する第1の係合部材に対して独立して軸方向に調整可能である複数の調整エレメント、
を備えることを特徴とするカートリッジ調整工具。
【請求項2】
該調整エレメントは、本体回転軸に関して半径方向に同様に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項3】
調整エレメントの各々は、先行する調整エレメントに関して角度において同様に変位されていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項4】
調整エレメントの各々は、本体前表面と本体後表面との間に延在する対応する本体の周部開口に関連付けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項5】
本体の周部開口の各々は、本体周表面から半径方向に内方に延在するスロットであることを特徴とする請求項4に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項6】
ねじ付の調整エレメントの各々はねじ付のボルトであり、
第1の係合部材の各々は本体に形成されたねじ付孔であり、及び
該ねじ付ボルトの各々が対応するねじ付孔にねじ係合することを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項7】
調整エレメントの各々の前方に突出する区分は、ねじ付ボルトの前方のねじ部分であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項8】
ねじ付ボルトの各々は、本体後表面から軸方向に後方に突出していることを特徴とする請求項7に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項9】
ねじ付ボルトの各々はボルト頭部を有し、該ボルト頭部の周表面は刻み付であることを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項10】
本体には、本体の軸に沿って延在する本体中央貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の調整機構。
【請求項11】
スロットカッター工具本体に取り付けられた複数のカートリッジの各々を軸方向で整列させる方法であって、
(a)スロットカッター工具本体にカートリッジ調整工具を同軸に取付け、
(b)カートリッジ調整工具の本体に結合された複数の調整エレメントの各々が、対応するカートリッジに属する力係合領域に対抗するように、カートリッジ調整工具をスロットカッター工具本体に対して配列し、
(c)対応するカートリッジの力係合領域に力を及ぼし、これにより前記対応するカートリッジを所望の位置に向けて付勢するべく、所与の調整エレメントを軸方向に変位させ、
(d)前記対応するカートリッジの1つが前記所望の位置に到達すると、前記対応するカートリッジを締め付け、そして
(e)残りのカートリッジについて上記ステップ(c)及び(d)を繰り返す、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
上記ステップ(d)及び(e)の間で、スロットカッター工具本体とカートリッジ調整工具とを、2つの引き続くカートリッジの間の角度変位に対応する角度分だけ一緒に回転させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
カッター回転軸、カッター周部、カッター前表面及びカッター後表面を有するスロットカッター工具本体に取り付けられたカートリッジの軸方向位置を調整するカートリッジ調整工具であって、
スロットカッター工具本体に取り付けられるべく適合されたフレームと、
該フレームから突出している少なくとも1つの調整エレメントと、を備え、
該フレームに関しての該少なくとも1つの調整エレメントの位置が選択的に調整可能であることを特徴とするカートリッジ調整工具。
【請求項14】
カートリッジの力係合領域に関しての該少なくとも1つの調整エレメントの軸方向変位が、カートリッジの軸方向変位を生じさせることを特徴とする請求項13に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項15】
該フレームは、間にフレーム開口を画成する、離間された部分を有し、該離間された部分は、フレームがカッター周部の少なくとも一部分に跨るとき、カッター前表面とカッター後表面とに固定されるべく構成されており、
少なくとも1つの調整エレメントが該フレームに結合されて前記フレーム開口内に突出し、該少なくとも1つの調整エレメントは離間された部分の間に画成される方向に沿って移動すべく配列されていることを特徴とする請求項13に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項16】
第1及び第2のねじ付きの調整エレメントを備え、
該第1のねじ付きの調整エレメントは前記離間された部分の第1の部分にねじ結合されて前記フレーム開口内に第1の方向から突出し、
該第2のねじ付きの調整エレメントは前記離間された部分の第2の部分にねじ結合されて前記フレーム開口内に第1の方向と反対の第2の方向から突出し、及び
当該第1及び第2のねじ付きの調整エレメントは独立して 調整可能であることを特徴とする請求項13に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項17】
調整エレメントの各々は、フレームのねじ付孔にねじ係合するねじ付ボルトであることを特徴とする請求項15に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項18】
前記離間された部分の各々には、一対の離間された固定用ねじが設けられていることを特徴とする請求項15に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項19】
該離間された部分は、フレーム開口の幅が所望の値に調整され得るように、該フレームから取り外し可能であることを特徴とする請求項15に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項20】
該離間された部分は、1つ以上の取り付けねじにより互いに固定され、
該取り付けねじの係合解除によってフレームを解体したとき、相補的な中央部分が離間された部分の間に挿入され、かくて、フレーム開口の幅が変更され得ることを特徴とする請求項19に記載のカートリッジ調整工具。
【請求項21】
カッター回転軸、カッター周部、カッター前表面及びカッター後表面を有するスロットカッター工具本体に取り付けられたカートリッジを軸方向で位置決めする方法であって、
(a)間にフレーム開口部を画成する離間された部分を有するフレームと、該フレームに結合されて前記フレーム開口部内に突出する少なくとも1つの調整エレメントとを備えるカートリッジ調整工具を用意し、
(b)該フレームがカッター周部の少なくとも一部分に跨り、そして該少なくとも1つの調整エレメントがカートリッジの力係合領域に軸方向に位置されるべく向かい合うように、該カートリッジ調整工具をスロットカッター工具本体に取付け、
(c)該カートリッジ調整工具のフレームを、前記離間された部分に設けられた1つ以上の固定用ねじを締め付けることにより、スロットカッター工具本体に固定し、
(d)カートリッジの力係合領域に力を及ぼして、これにより前記カートリッジを所望の位置に向けて軸方向に付勢すべく、該少なくとも1つの調整エレメントを軸方向に変位させ、そして
(e)前記カートリッジが前記所望の位置に到達すると、前記カートリッジを締め付ける、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
カッター回転軸、カッター周部、カッター前表面及びカッター後表面を有するスロットカッター工具本体に取り付けられた複数のカートリッジの各々を軸方向で整列させる方法であって、
使用するときにカッター周部の少なくとも周辺部分に跨る第1のカートリッジ調整工具を用いて、前記複数のカートリッジの少なくとも1つを軸方向で位置決めし、そして
使用するときに、カッター工具本体の第1の側部側に取り付けられている第2のカートリッジ調整工具を用いて、前記複数のカートリッジの他を軸方向で整列させる、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
カッター回転軸、カッター周部、カッター前表面及びカッター後表面を有するスロットカッター工具本体と組み合わされるカートリッジ調整工具であって、
該カートリッジ調整工具は、本体回転軸、及び本体前表面と本体後表面との間に延在する本体周表面を有する本体と、該本体を貫通して形成された少なくとも1つの孔と、本体周表面の近くで該本体にねじ結合された複数のねじ付きの調整エレメントであって、ねじ付きの調整エレメントの各々が本体に対して独立して軸方向に調整可能であり、本体前表面に関して軸方向に前方に突出可能な前端部を有する複数のねじ付きの調整エレメントと、を備え、
該カートリッジ調整工具とスロットカッター工具本体とは、本体の前表面が前記スロットカッター工具本体に面する状態で、アーバーに同軸に取り付けられ、且つ
該カートリッジ調整工具が前記孔を経由してアーバーに取り付けられることを特徴とするカートリッジ調整工具。
【請求項24】
カッター回転軸、カッター周部、カッター前表面及びカッター後表面を有するスロットカッター工具本体と組み合わされるカートリッジ調整工具であって、
該カートリッジ調整工具は、間にフレーム開口部を画成する離間された部分を有するフレームと、該フレームにねじ結合されて前記フレーム開口部に突出する少なくとも1つのねじ付きの調整エレメントであって、離間された部分の間に画成される方向に沿って移動するべく配列された少なくとも1つのねじ付きの調整エレメントと、を備え、
該レームは、カッター周部の少なくとも一部分に跨り、そして
該離間された部分がカッターの前表面及びカッターの後表面に固定されることを特徴とするカートリッジ調整工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−516288(P2011−516288A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503544(P2011−503544)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000284
【国際公開番号】WO2009/125382
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(306037920)イスカーリミテッド (93)
【Fターム(参考)】