説明

スロットルバルブ制御装置

【課題】複雑な処理を行わずにスロットルバルブ(以下、スロットル)の位置の収束性を向上させる。
【解決手段】DCモータでスロットルを制御する装置では、モータに供給する印加電圧Vを一定時間Ts毎の処理で決定しており、その処理では、前回決定した印加電圧Vからバネ力補償電圧Vs(スロットルの戻しバネと同じ力をモータに出力させる分の電圧)を引いた電圧(V−Vs)に対応したモータの無負荷回転数Noを算出し(S120)、そのNoからスロットルの予測位置Peを算出する(S130)。そして、一定時間Tsでスロットルを目標位置Ptと予測位置Peとの差分だけ作動させることとなるモータの一定の回転数を、要求速度Nrとして算出し(S150)、そのNrと同じ値の無負荷回転数に対応するモータの印加電圧(=Ke・Nr)に上記Vsを加えた電圧Vrと、バッテリ電圧Vbとのうち、小さい方を印加電圧Vとする(S160,S170)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のスロットルバルブを作動させるアクチュエータとしてのDC(直流)モータを駆動することにより、スロットルバルブを制御するスロットルバルブ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスロットルバルブ制御装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、スロットルバルブの実開度(実位置)を検出し、その検出した実開度と、アクセルペダルの踏込量等に基づき設定された開度の指令値(つまり目標開度)との偏差に応じて、該偏差が0となるように、DCモータをPID制御するものがある。そして、特許文献1では、PID制御の各種制御ゲインを状況に応じて切り替えることにより、スロットルバルブの位置の収束性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−47135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、状況に応じて制御ゲインを切り替えるため、制御のための処理が複雑になる。また、装置の開発時において、複数通りの各状況での制御ゲインが適切なことを検証する作業を行うこととなるが、その作業に多大な時間がかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、制御ゲインを切り替えるような複雑な処理を行うことなく、スロットルバルブの位置の収束性を向上可能なスロットルバルブ制御装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のスロットルバルブ制御装置は、内燃機関のスロットルバルブを作動させるDCモータを駆動することにより、そのスロットルバルブを制御するものであり、スロットルバルブの目標位置を決定する目標位置決定手段と、一定時間毎に作動して、スロットルバルブの位置を前記決定された目標位置にするためにDCモータへ印加すべき駆動用印加電圧を決定し、該決定した駆動用印加電圧をDCモータに供給する駆動制御手段とを備える。
【0007】
そして、駆動制御手段は、DCモータの無負荷回転数の積分値が該DCモータの実際の回転量と等しくなる理論を利用して、駆動用印加電圧を決定している。
ここで、その理論について説明する。
【0008】
まず、DCモータ(以下単に、モータともいう)のトルクTは、式1によって求められる。
【0009】
【数1】

尚、「Kt」はモータのトルク定数、「R」はモータのコイルの抵抗、「V」はモータの印加電圧、「Ve」はモータの逆起電力である。
【0010】
また、モータの逆起電力定数を「Ke」とし、モータの無負荷回転数(T=0となる回転数)を「No」とし、モータの回転数を「N」とすると、下記の式2及び式3の関係がある。
【0011】
V=Ke・No …式2
Ve=Ke・N …式3
そして、この式2及び式3から、式1は、式4となる。
【0012】
【数2】

従って、モータのイナーシャモーメントを「I」とすると、モータの角加速度(dN/dt)は、式5となる。
【0013】
【数3】

そして、式5において、モータの緒元(特性値)によって決まる定数部分を、式6の如く「K」に置き換えると、モータの回転数Nは、式7で表される。
【0014】
K=(Kt・Ke)/(R・I) …式6
【0015】
【数4】

式7における括弧内の第2項は、モータの回転量なので、目標位置までの回転量をXとし、目標位置での回転数を0とすると、式7は、式8となり、その式8から式9が得られる。
【0016】
【数5】

そして、その式9から、図1に示すように、モータの無負荷回転数の積分値がモータの実回転量(実際の回転量)と等しくなることが分かる。
【0017】
図1では、ある無負荷回転数Noに対応する印加電圧Voを、モータに時間toだけ供給しており、この場合、電圧Voの供給開始時から、該電圧Voの供給が終わりモータの惰性回転が終わるまでの、該モータの実回転量は、無負荷回転数Noと時間toとの積(=No×to)と同じになる。このため、スロットルバルブを目標位置まで作動させるのに必要なモータの回転量を、時間toで割った値の無負荷回転数Noに対応する印加電圧Voを式2から求め、その印加電圧Voをモータに時間toだけ供給すれば、モータへの印加電圧Voの供給が終わりモータの惰性回転が終わった時に、スロットルバルブは目標位置に到達して収束することとなる。
【0018】
つまり、スロットルバルブを目標位置まで作動させるのに必要なモータの回転量と、モータの無負荷回転数Noの積分値とが同じになるように、モータに電圧を供給すれば、モータへの電圧供給が終わってモータの惰性回転が終わった時に、スロットルバルブは目標位置に収束することとなる。また、モータに供給した印加電圧に対応する無負荷回転数を積分すれば、モータの回転量を求めることができるため、モータに供給した印加電圧に対応する無負荷回転数から、スロットルバルブの作動位置を予測することができる。
【0019】
本発明では、これらのことに着目しており、このため、駆動制御手段は、DCモータに供給する駆動用印加電圧を決定するための手段として、予測手段と、要求回転数算出手段と、要求電圧算出手段とを備えている。尚、以下の説明では、駆動制御手段の作動周期(前記一定時間)をTsとする。
【0020】
まず、予測手段は、前回決定された駆動用印加電圧(即ち、一定時間Ts前から現在までモータに供給している電圧)から、該駆動用印加電圧に対応するDCモータの無負荷回転数を算出し、該算出した無負荷回転数から、スロットルバルブの位置の予測値である予測位置を算出する。
【0021】
尚、駆動用印加電圧に対応する無負荷回転数とは、その駆動用印加電圧を無負荷状態のDCモータに供給した場合の、該DCモータの回転数(無負荷回転数)である。また、DCモータの印加電圧と無負荷回転数とには、一般に式2の関係があるため、一方から他方を算出することができる。
【0022】
そして、要求回転数算出手段が、目標位置と予測手段により算出された予測位置との差分に応じて、スロットルバルブを一定時間Tsで当該差分だけ目標位置へ向けて作動させることとなるDCモータの一定の回転数を、要求回転数として算出する。換言すれば、要求回転数算出手段は、DCモータの回転数が一定時間Ts継続して一定になったとすると、スロットルバルブを前記差分だけ目標位置へ向けて作動させることとなる、その一定の回転数を、要求回転数として算出する。更に換言すれば、要求回転数算出手段は、スロットルバルブを予測位置から目標位置まで作動させるのに必要なモータの回転量が一定時間Tsで得られる該モータの一定回転数を、要求回転数として算出する。
【0023】
次いで、要求電圧算出手段が、要求回転数算出手段により算出された要求回転数と同じ値の、DCモータの無負荷回転数である要求無負荷回転数に対応するDCモータの印加電圧を、要求電圧として算出する。尚、要求無負荷回転数に対応する印加電圧とは、無負荷状態のDCモータに供給すると該DCモータの回転数が、その要求無負荷回転数になる印加電圧である。
【0024】
そして、駆動制御手段は、要求電圧算出手段により算出された要求電圧を、駆動用印加電圧として決定する。
このような駆動制御手段は、一定時間Ts前からモータに供給している印加電圧(駆動用印加電圧)に対応した無負荷回転数から、スロットルバルブの予測位置を算出し、その予測位置から目標位置までスロットルバルブを作動させるのに必要なDCモータの回転量と、モータへの印加電圧に対応する無負荷回転数の積分値とが、同じになるように、そのモータへの駆動用印加電圧を決定することとなる。
【0025】
よって、請求項1のスロットルバルブ制御装置によれば、スロットルバルブの目標位置と予測位置とが一致すると、スロットルバルブを作動させるためのDCモータへの電圧供給が停止して、DCモータが惰性回転状態となり、そのDCモータの惰性回転が終わった時に、スロットルバルブの位置が目標位置に到達して収束することとなる。
【0026】
このため、従来技術の如く制御ゲインを切り替えるような複雑な処理を行わなくても、スロットルバルブの位置の収束性を向上させることができる。特に、通常のフィードバック制御におけるP制御(比例制御)では、目標位置と実位置とに差がある限り、DCモータを駆動し続けるため、目標位置への収束性が悪いが、請求項1のスロットルバルブ制御装置によれば、そのような収束性の悪さを改善することができる。
【0027】
また、請求項1のスロットルバルブ制御装置によれば、開発時において、従来装置のように、複数通りの各状況での制御ゲインが適切なことを検証する、といった作業を行う必要がないため、開発作業も容易になる。
【0028】
次に、請求項2のスロットルバルブ制御装置では、請求項1のスロットルバルブ制御装置において、駆動制御手段は、要求電圧算出手段により算出された要求電圧が、DCモータに供給可能な最大電圧を越えていれば、その最大電圧を駆動用印加電圧として決定し、要求電圧算出手段により算出された要求電圧が前記最大電圧以下であれば、その要求電圧を駆動用印加電圧として決定する。
【0029】
そして、この構成によれば、DCモータへの駆動用印加電圧を、DCモータに供給可能な最大電圧の範囲内で決定しながらも、スロットルバルブを目標位置に制御することができる。
【0030】
算出された要求電圧が最大電圧を超えて、駆動用印加電圧が、その要求電圧よりも小さい値(最大電圧)に設定されたとしても、その不足分だけ、次回に算出される要求電圧(延いては、駆動用印加電圧)が大きくなるからであり、結局は、駆動制御手段が複数回作動することによって、スロットルバルブを予測位置から目標位置まで作動させるのに必要なモータの回転量と、モータへの印加電圧に対応する無負荷回転数の積分値とが、同じになるように、そのモータへの印加電圧が調節される。
【0031】
次に、請求項3のスロットルバルブ制御装置は、請求項1,2のスロットルバルブ制御装置において、スロットルバルブの実際の位置である実位置を検出する位置検出手段を備えている。そして、予測手段は、位置検出手段により検出された実位置の変化に基づいて、スロットルバルブが停止したか否かを判定し、スロットルバルブが停止したと判定した場合には、位置検出手段により検出された実位置を、予測位置とする。
【0032】
この構成によれば、スロットルバルブの目標位置と予測位置とが一致して、DCモータが惰性回転状態となり、そのDCモータの惰性回転が終わった時(即ち、スロットルバルブが停止した時)に、予測位置として、スロットルバルブの実位置が設定される。
【0033】
よって、スロットルバルブが停止した時の実位置と目標位置とに差がある場合には、再び、目標位置と予測位置とに差分が生じることとなり、その差分に応じて、スロットルバルブを目標位置にするための駆動用印加電圧がDCモータに供給される。このため、スロットルバルブの制御精度を高めることができる。
【0034】
次に、請求項4のスロットルバルブ制御装置では、請求項1〜3のスロットルバルブ制御装置において、スロットルバルブには、該スロットルバルブを基準位置へ戻すための付勢力を、該スロットルバルブに与える付勢手段が設けられている。
【0035】
そして、駆動制御手段は、補償電圧算出手段を更に備えており、その補償電圧算出手段は、前記付勢力と同じ大きさで且つ該付勢力とは反対方向の力を、DCモータがスロットルバルブに与えるための、該DCモータへの印加電圧である付勢力補償電圧を算出する。
【0036】
更に、予測手段は、前回決定された駆動用印加電圧から、付勢力補償電圧算出手段により算出された付勢力補償電圧を減じた電圧である補正印加電圧を用いて、該補正印加電圧に対応するDCモータの無負荷回転数を算出し、該算出した無負荷回転数から、予測位置を算出するようになっている。DCモータへの駆動用印加電圧のうち、付勢力補償電圧の分は、付勢手段による付勢力に対抗する力を発生するのに使用されるからである。そして、同様の理由により、要求電圧算出手段は、要求無負荷回転数に対応するDCモータの印加電圧に、付勢力補償電圧算出手段により算出された付勢力補償電圧を加えた電圧を、要求電圧として算出する。
【0037】
この構成によれば、付勢手段による付勢力の影響を加味して、スロットルバルブを目標位置に制御することができる。よって、付勢手段があっても、スロットルバルブの良好な制御精度を確保することができる。
【0038】
ところで、請求項4のスロットルバルブ制御装置において、付勢手段の付勢力がスロットルバルブの位置に応じて変化するのであれば、請求項5に記載の如く構成すれば良い。
即ち、請求項5のスロットルバルブ制御装置では、請求項4のスロットルバルブ制御装置において、付勢手段は、それの付勢力がスロットルバルブの位置に応じて変化するものである。そして、当該スロットルバルブ制御装置は、スロットルバルブの実際の位置である実位置を検出する位置検出手段を備えている。更に、付勢力補償電圧算出手段は、位置検出手段により検出された実位置に基づいて、前記付勢力補償電圧を算出する。
【0039】
この構成によれば、付勢手段の付勢力がスロットルバルブの位置に応じて変化しても、その変化する付勢力の影響を加味して、スロットルバルブを目標位置に制御することができ、良好な制御精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明が利用している原理の説明図である。
【図2】実施形態のスロットルバルブ制御装置としてのECUを、それの周辺機器と共に表す構成図である。
【図3】駆動制御処理を表すフローチャートである。
【図4】実施形態の作用を説明する第1の説明図である。
【図5】実施形態の作用を説明する第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明が適用された実施形態のスロットルバルブ制御装置について説明する。尚、本実施形態のスロットルバルブ制御装置は、内燃機関のスロットルバルブを制御する電子制御装置であり、以下、その電子制御装置をECUという。
【0042】
図2に示すように、内燃機関であるエンジン1の吸気通路2には、吸気通路2を通ってエンジン1に吸入される空気量を制御するスロットルバルブ3が設けられ、このスロットルバルブ3には、当該スロットルバルブ3の実際の位置(開閉位置であり、開度でもある)を検出する位置センサ4が設けられている。
【0043】
また、エンジン1が搭載された車両(自動車)のアクセルペダル5には、該アクセルペダル5の踏込量(以下、アクセル開度ともいう)を検出するアクセル開度センサ6が設けられている。そして、位置センサ4及びアクセル開度センサ6からの信号は、マイコン(マイクロコンピュータ)10を中心に構成されたECU11に入力される。
【0044】
更に、スロットルバルブ3の回転軸には、減速ギア13が取り付けられており、その減速ギア13は、DCモータ14の回転軸に取り付けられたピニオンギア15と噛み合っている。そして、スロットルバルブ3は、DCモータ14の回転により開閉される。つまり、スロットルバルブ3のアクチュエータとして、DCモータ14が使用されている。そして、DCモータ14には、ECU11から電力が供給される。
【0045】
尚、減速ギア13とピニオンギア15とのギア比(減速ギア13の歯数/ピニオンギア15の歯数)Kgは、1よりも大きく、本実施形態では例えば10である。
また、スロットルバルブ3の回転軸には、戻しバネ(いわゆるリターンスプリングであり、以下単に、バネという)16が設けられており、スロットルバルブ3は、このバネ16によって、常時、所定の基準位置の方向に付勢されている。尚、その基準位置は、例えば、スロットルバルブ3が全閉となる全閉位置でも良いが、本実施形態では、エンジン1の回転数がアイドル回転数となるスロットルバルブ3の位置、あるいは、それよりもスロットルバルブ3が若干開く位置に設定されている。もし、スロットルバルブ3の制御が不能になっても、エンジン1の運転が継続できるようにするためである。
【0046】
次に、ECU11のマイコン10がスロットルバルブ3を制御するために実行する処理について説明する。
まず、マイコン10は、定期的に実行する目標位置決定処理により、アクセル開度センサ6からの信号に基づきアクセル開度を検出すると共に、そのアクセル開度からスロットルバルブ3の目標位置を決定する。このため、マイコン10は、目標位置決定処理を実行することで、スロットルバルブ3の目標位置を決定する目標位置決定部10aとして機能する、と言える。尚、目標位置決定処理では、例えば、車両の駆動輪に加速スリップが発生した際にエンジン1の出力を抑制するトラクション制御や、車両の走行姿勢を安定させるための車両姿勢制御等を実現するために、アクセル開度以外の車両の各種情報(駆動輪のスリップ率や、車両のヨーレート等)に応じて、スロットルバルブ3の目標位置を決定する場合もある。
【0047】
また、マイコン10は、一定時間Ts毎に、図3の駆動制御処理を実行することにより、スロットルバルブ3の位置を目標位置にするためにDCモータ14へ印加すべき駆動用印加電圧を決定し、その決定した駆動用印加電圧をDCモータ14に供給する。
【0048】
そして、図3に示すように、マイコン10が駆動制御処理を開始すると、まずS103にて、位置センサ4からの信号に基づき、スロットルバルブ3の実位置(実際の位置)Pを検出する。
【0049】
次に、S105にて、上記S103で検出した実位置Pに基づいて、バネ力補償電圧(付勢力補償電圧に相当)Vsを算出する。
このバネ力補償電圧Vsは、バネ16の付勢力(詳しくは、バネ16がスロットルバルブ3に与える付勢力)と同じ大きさで且つ該付勢力とは反対方向の力を、DCモータ14がスロットルバルブ3に与えるために必要な、該DCモータ14への印加電圧である。
【0050】
そして、本実施形態において、バネ16の付勢力は、スロットルバルブ3の実位置Pに応じて変化するため、このS105では、スロットルバルブ3の位置とバネ力補償電圧Vsとの対応関係を示す関数(又はデータテーブル)Fに、上記S103で検出した実位置Pをあてはめることで、その実位置Pに対応するバネ力補償電圧Vsを算出する。尚、上記関数(又はデータテーブル)Fは、理論計算と実験とにより決定されており、マイコン10のROMに記憶されている。
【0051】
次に、S110にて、上記S103で検出した実位置Pの変化に基づいて、スロットルバルブ3が停止したか否かを判定する。
具体的には、例えば、前回検出した実位置Pと、今回検出した実位置Pとの差の絶対値が、規定値よりも小さければ(つまり、スロットルバルブ3の作動速度が所定値より小さければ)、スロットルバルブ3が停止したと判定する。また例えば、前回検出した実位置Pと、今回検出した実位置Pとの差の正負極性が逆転したら、スロットルバルブ3が停止したと判定するように構成することもできる。
【0052】
このS110にて、スロットルバルブ3が停止していないと判定した場合には、S120に進み、当該駆動制御処理で前回決定したDCモータ14への駆動用印加電圧Vと、上記S105で算出したバネ力補償電圧Vsと、DCモータ14の逆起電力定数Keとから、下記の式10により、DCモータ14の無負荷回転数Noを算出する。
【0053】
【数6】

つまり、一定時間Ts前に決定した駆動用印加電圧Vからバネ力補償電圧Vsを減じた電圧(V−Vs)である補正印加電圧を、式2に、印加電圧Vとして代入することで、その補正印加電圧に対応したDCモータ14の無負荷回転数Noを算出している。
【0054】
そして、次のS130にて、上記S120で算出した無負荷回転数Noから、スロットルバルブ3の位置を予測する。具体的には、スロットルバルブ3の位置の予測値である予測位置Peを、下記の式11により算出する。
【0055】
【数7】

尚、式11の右辺における1項目(Pe)は、前回の予測位置Peである。また、式11の右辺における2項目(No×Ts/Kg)は、前回処理時から今回処理時までの一定時間Tsにおける無負荷回転数Noの積分値をギア比Kgで割ったものであり、更に詳しい意味としては、前回処理時から今回処理時までの一定時間Tsにおいて、DCモータ14が無負荷回転数Noで回転したと仮定した場合のスロットルバルブ3の移動量であり、図1に示した理論から、前回処理時に決定した駆動用印加電圧VをDCモータ14に一定時間Ts供給したことによるスロットルバルブ3の移動量である。このため、その移動量を前回の予測位置Peに加えることで、今回の予測位置Peを算出している。このため、S130では、S120で算出される無負荷回転数Noを積分した値(即ち、DCモータ14の回転量)をギア比Kgで割ることで、予測位置Peを算出していると言える。
【0056】
そして、このS130で予測位置Peを算出したら、S150に進む。
一方、上記S110にて、スロットルバルブ3が停止したと判定した場合には、S140に移行して、上記S103で検出した実位置Pを、予測位置Peとして設定し、その後、S150に進む。
【0057】
S150では、前述の目標位置決定処理にて算出した最新の目標位置Ptと、上記S130で算出した予測位置Peとから、下記の式12により、DCモータ14の要求速度(要求回転数に相当)Nrを算出する。
【0058】
【数8】

この式12では、目標位置Ptと予測位置Peとの差分(Pt−Pe)を「ΔP」とすると、スロットルバルブ3を一定時間Tsで当該差分ΔPだけ目標位置Ptへ向けて作動させることとなるDCモータ14の一定の回転数を、要求速度Nrとして算出している。
【0059】
次に、S160にて、下記の式13により、DCモータ14に印加すべき要求電圧Vrを算出する。
Vr=Ke・Nr+Vs …式13
つまり、S150で算出した、要求速度Nrと同じ値の、DCモータ14の無負荷回転数である要求無負荷回転数に対応するDCモータの印加電圧(=Ke・Nr)を算出すると共に(式2参照)、その印加電圧(=Ke・Nr)に、S105で算出したバネ力補償電圧Vsを加えた電圧を、要求電圧Vrとして算出する。
【0060】
そして、次のS170にて、要求電圧Vrから、DCモータ14への駆動用印加電圧Vを決定する。
具体的には、本実施形態において、ECU11がDCモータ14に供給可能な最大電圧は、電源電圧としてのバッテリ電圧(車載バッテリの電圧)Vbであるため、要求電圧Vrとバッテリ電圧Vbとのうちで、小さい方を、駆動用印加電圧Vとして決定する。つまり、要求電圧Vrがバッテリ電圧Vbを越えていれば、バッテリ電圧Vbを駆動用印加電圧Vとし、要求電圧Vrがバッテリ電圧Vb以下であれば、その要求電圧Vrをそのまま駆動用印加電圧Vとする。
【0061】
そして更に、S170では、決定した駆動用印加電圧VをDCモータ14に供給する処理を行い、その後、当該駆動制御処理を終了する。
尚、ECU11からDCモータ14へは、可変の駆動用印加電圧Vが、そのままアナログ電圧のかたちで供給されても良いが、本実施形態では、PWM(Pulse Width Modulation)信号のかたちで供給される。即ち、ECU11では、0Vとバッテリ電圧Vbとに変化するPWM信号のデューティ比を、駆動用印加電圧Vの値に応じて変化させることにより、DCモータ14に供給する印加電圧を、決定した駆動用印加電圧Vの値に制御する。具体的には、決定した駆動用印加電圧Vがバッテリ電圧VbのM%(Mは0〜100の何れか)であるとすると、PWM信号のデューティ比をM%にする。よって、例えば、駆動用印加電圧Vがバッテリ電圧Vbと等しければ、PWM信号のデューティ比を100%にし、駆動用印加電圧Vがバッテリ電圧Vbの半分であれば、PWM信号のデューティ比を50%にする。
【0062】
次に、図3の駆動制御処理の作用を、図4と図5を用い説明する。
尚、スロットルバルブ3の目標位置Ptを決定する目標位置決定処理と、図3の駆動制御処理(図3)とは、非同期に実行されても良いのであるが、図4では、便宜上、目標位置決定処理が、駆動制御処理の直前に実行されるものとしている。そして、図4において、時刻t1〜t5の各々は、一定時間Ts毎の目標位置決定処理及び駆動制御処理の実行タイミングのうちの、5つを示している。更に、図4において、Pt,Pe,Vr,Vの各々に添え字として付している[tn](nは1〜5の何れか)は、そのPtやPe等が、どの時刻tnの処理で算出されたものかを示している。
【0063】
まず、図4において、時刻t1より前では、スロットルバルブ3が停止しており、目標位置Ptと予測位置Peと実位置Pとが全て一致している。このため、時刻t1より前では、図3のS150〜S170で、要求速度Nrが0と算出され、要求電圧Vrがバネ力補償電圧Vs(<バッテリ電圧Vb)となるため、DCモータ14への駆動用印加電圧Vは、そのバネ力補償電圧Vsとなる。つまり、バネ16の付勢力とDCモータ14の力とが釣り合って、スロットルバルブ3が停止した状態になっている。また、このため、図3のS120では、無負荷回転数Noが0と算出され、図3のS130で算出される予測位置Peも変わらない。
【0064】
そして、時刻t1にて、目標位置PtがPt[t1]になると、駆動制御処理では、S120にて無負荷回転数Noが今回も0と算出されて、S130で算出される予測位置Pe[t1]は前回と変わらないことから、目標位置Ptと予測位置Pe[t1]とに差が発生する。このため、その目標位置Ptと予測位置Pe[t1]との差に応じた要求速度Nrが算出されて(S150)、要求電圧Vr[t1]がVsよりも大きい値に算出される(S160)。そして、この例では、要求電圧Vr[t1]がバッテリ電圧Vbを越えているため、DCモータ14への駆動用印加電圧V[t1]が、バッテリ電圧Vbとなる(S170)。尚、この図4の例において、目標位置Ptは、時刻t1から時刻t5まで同じである。
【0065】
次に、時刻t2の駆動制御処理では、S120にて、前回の時刻t1から現在(t2)までDCモータ14に出力している駆動用印加電圧V[t1]から、無負荷回転数Noが算出されるため、その無負荷回転数Noは0でなく、S130で算出される予測位置Pe[t2]は前回の予測位置Pe[t1]から更新される。
【0066】
そして、この時点でも、目標位置Ptと予測位置Pe[t2]とに差があるため、その差に応じた要求速度Nrが算出されて(S150)、要求電圧Vr[t2]がVsよりも大きい値に算出される(S160)。そして、この例では、要求電圧Vr[t2]もバッテリ電圧Vbを越えているため、DCモータ14への駆動用印加電圧V[t2]が、バッテリ電圧Vbとなる(S170)。
【0067】
次に、時刻t3の駆動制御処理においても、時刻t2と同様に、S120にて、前回の時刻t2から現在(t3)までDCモータ14に出力している駆動用印加電圧V[t2]から、無負荷回転数Noが算出されるため、その無負荷回転数Noは0でなく、S130で算出される予測位置Pe[t3]は前回の予測位置Pe[t2]から更新される。
【0068】
そして、この時点でも、目標位置Ptと予測位置Pe[t3]とに差があるため、その差に応じた要求速度Nrが算出されて(S150)、要求電圧Vr[t3]がVsよりも大きい値に算出される(S160)。そして、この例では、要求電圧Vr[t3]がバッテリ電圧Vbよりも小さいため、DCモータ14への駆動用印加電圧V[t3]は、その要求電圧Vr[t3]となる(S170)。
【0069】
次に、時刻t4の駆動制御処理においても、時刻t2,t3と同様に、S120にて、前回の時刻t3から現在(t4)までDCモータ14に出力している駆動用印加電圧V[t3]から、無負荷回転数Noが算出されるため、その無負荷回転数Noは0でなく、S130で算出される予測位置Pe[t4]は前回の予測位置Pe[t3]から更新される。そして、図4の例では、この時点で、予測位置Pe[t4]が目標位置Ptと一致する。
【0070】
すると、S150〜S170では、要求速度Nrが0と算出され、要求電圧Vr[t4]がバネ力補償電圧Vsとなるため、DCモータ14への駆動用印加電圧V[t4]は、そのバネ力補償電圧Vsとなる。よって、DCモータ14には、バネ16の付勢力に対抗する分だけ電圧が供給される。
【0071】
このため、もし、次の時刻t5で目標位置Ptが変更されなければ、DCモータ14は、惰性回転をしてから停止することとなり、その時点で、スロットルバルブ3の位置は目標位置Ptに到達して収束する。
【0072】
一方、時刻t5にて、目標位置PtがPt[t5]に変更されると、時刻t1と同様に、駆動制御処理では、S120にて無負荷回転数Noが0と算出されて、S130で算出される予測位置Pe[t5]は前回の予測位置Pe[t4]と変わらないことから、目標位置Ptと予測位置Pe[t5]とに差が発生する。このため、その目標位置Ptと予測位置Pe[t5]との差に応じた要求速度Nrが算出されて(S150)、要求電圧Vr[t5]がVsよりも大きい値に算出される(S160)。そして、この例では、要求電圧Vr[t5]がバッテリ電圧Vbよりも小さいため、DCモータ14への駆動用印加電圧V[t5]は、その要求電圧Vr[t5]となる(S170)。
【0073】
そして、その駆動用印加電圧V[t5]がDCモータ14に一定時間Ts供給されることで、スロットルバルブ3の位置が目標位置Pt[t5]に収束する。
尚、図4の時刻t1において、仮に、目標位置Ptの変化が小さく、駆動制御処理のS160で算出された要求電圧Vr[t1]がバッテリ電圧Vbよりも小さければ、その要求電圧Vr[t1]が駆動用印加電圧V[t1]となり、次の時刻t2にて、図4の時刻t4と同様に、予測位置Peと目標位置Ptとが一致することとなる。このため、要求速度Nrが0と算出されて、要求電圧Vrがバネ力補償電圧Vsとなり、DCモータ14への駆動用印加電圧Vは、V[t1]からバネ力補償電圧Vsに戻る。すると、DCモータ14は、惰性回転をしてから停止し、その時点で、スロットルバルブ3の位置は目標位置Ptに収束する。つまり、1回の駆動制御処理によって、スロットルバルブ3が目標位置に移動することとなり、図1において、「Vo」をV[t1](=Vr[t1])とし、「to」をTsに置換したような動作になる。
【0074】
一方、図5の時刻t6に示すように、DCモータ14の惰性回転が終わってスロットルバルブ3が停止した時に、実位置Pと目標位置Ptとにずれがあっても、駆動制御処理のS110でスロットルバルブ3が停止したと判定されて、実位置Pが予測位置Peとして設定される(S140)。
【0075】
このため、図5のように、スロットルバルブ3が停止した時の実位置Pと目標位置Ptとに差がある場合には、再び、目標位置Ptと予測位置Pe(=P)とに差分が生じることとなり、その差分に応じて、駆動制御処理のS150〜S170により、スロットルバルブ3を目標位置Ptにするための駆動用印加電圧VがDCモータ14に供給されることとなる。よって、スロットルバルブ3の制御精度が高まる。
【0076】
以上のようなECU11では、図3におけるS120,S130の処理により、一定時間Ts前からDCモータ14に供給している駆動用印加電圧Vからバネ力補償電圧Vsを引いた電圧(V−Vs)を、スロットルバルブ3を作動させるための電圧(補正印加電圧)として、その電圧に対応したDCモータ14の無負荷回転数Noを算出し、その無負荷回転数Noから、スロットルバルブ3の予測位置Peを算出している。そして、図3におけるS150〜S170の処理により、予測位置Peから目標位置Ptまでスロットルバルブ3を作動させるのに必要なDCモータ14の回転量と、DCモータ14の無負荷回転数Noの積分値とが、同じになるDCモータ14の印加電圧(=Ke・Nr)に、バネ力補償電圧Vsを加えた電圧Vrを、駆動用印加電圧VとしてDCモータ14に供給している。
【0077】
このため、スロットルバルブ3の目標位置Ptと予測位置Peとが一致すると、駆動用印加電圧Vが実質0のVsになって、DCモータ14への実質的な電圧供給(スロットルバルブ3を作動させるための電圧供給)が停止し、DCモータ14が惰性回転状態となる。そして、そのDCモータ14の惰性回転が終わった時に、スロットルバルブ3が目標位置Ptに到達して収束することとなる。
【0078】
よって、従来技術の如く制御ゲインを切り替えるような複雑な処理を行わなくても、スロットルバルブ3の位置の収束性を向上させることができる。また、開発時において、複数通りの各状況での制御ゲインが適切なことを検証する、といった作業を行う必要がないため、開発作業も容易になる。
【0079】
更に、図3におけるS110,S140の処理を行うため、図5を用いて説明したように、スロットルバルブ3の制御精度を高めることができる。そして更に、バネ力補償電圧Vsを、スロットルバルブ3の実位置Pに応じて算出するため(S103,S105)、バネ16の付勢力による影響を正しく加味して、スロットルバルブ3の制御精度を高めることができる。
【0080】
尚、本実施形態では、マイコン10が目標位置決定処理を実行することで実現される目標位置決定部10aが、目標位置決定手段に相当し、図3の駆動制御処理が、駆動制御手段に相当している。そして、図3の駆動制御処理のうち、S105が付勢力補償電圧算出手段に相当し、S110〜S140が予測手段に相当し、S150が要求回転数算出手段に相当し、S160が要求電圧算出手段に相当している。また、図3のS103が位置検出手段に相当し、バネ16が付勢手段に相当している。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0082】
例えば、バネ16がない場合、あるいは、バネ16があっても付勢力(バネ力)が弱くてその付勢力を考慮する必要がない場合には、図3におけるS105を削除すると共に、S120とS160との各々では、式10と式13における「Vs」を0にして計算を行えば良い。また、バネ16の代わりに、ゴムや油圧ダンパー等の他の付勢部材を用いても良い。
【0083】
一方、図3のS160で算出される要求電圧Vrが必ずバッテリ電圧Vb以下になることが保証されているのであれば(例えば、Tsが十分に長い場合や、目標位置Ptの変化量が制限されている構成の場合)、図3のS170では、要求電圧Vrを常に駆動用印加電圧Vとして決定すれば良い。
【符号の説明】
【0084】
1…エンジン(内燃機関)、2…吸気通路、3…スロットルバルブ、4…位置センサ、5…アクセルペダル、6…アクセル開度センサ、10…マイコン、10a…目標位置決定部、11…ECU(スロットルバルブ制御装置)、13…減速ギア、14…DCモータ、15…ピニオンギア、16…戻しバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のスロットルバルブを作動させるDCモータを駆動することにより、前記スロットルバルブを制御するスロットルバルブ制御装置であって、
前記スロットルバルブの目標位置を決定する目標位置決定手段と、
一定時間毎に作動して、前記スロットルバルブの位置を前記決定された目標位置にするために前記DCモータへ印加すべき駆動用印加電圧を決定し、該決定した駆動用印加電圧を前記DCモータに供給する駆動制御手段とを備え、
更に、前記駆動制御手段は、前記駆動用印加電圧を決定するための手段として、
前回決定された前記駆動用印加電圧から、該駆動用印加電圧に対応する前記DCモータの無負荷回転数を算出し、該算出した無負荷回転数から、前記スロットルバルブの位置の予測値である予測位置を算出する予測手段と、
前記目標位置と前記予測手段により算出された予測位置との差分に応じて、前記スロットルバルブを前記一定時間で当該差分だけ前記目標位置へ向けて作動させることとなる前記DCモータの一定の回転数を、要求回転数として算出する要求回転数算出手段と、
前記要求回転数算出手段により算出された要求回転数と同じ値の、前記DCモータの無負荷回転数である要求無負荷回転数に対応する前記DCモータの印加電圧を、要求電圧として算出する要求電圧算出手段と、を備えると共に、
前記駆動制御手段は、前記要求電圧算出手段により算出された要求電圧を、前記駆動用印加電圧として決定すること、
を特徴とするスロットルバルブ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスロットルバルブ制御装置において、
前記駆動制御手段は、前記要求電圧算出手段により算出された要求電圧が、前記DCモータに供給可能な最大電圧を越えていれば、前記最大電圧を前記駆動用印加電圧として決定し、前記要求電圧算出手段により算出された要求電圧が前記最大電圧以下であれば、該要求電圧を前記駆動用印加電圧として決定すること、
を特徴とするスロットルバルブ制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスロットルバルブ制御装置において、
前記スロットルバルブの実際の位置である実位置を検出する位置検出手段を備え、
前記予測手段は、前記位置検出手段により検出された実位置の変化に基づいて、前記スロットルバルブが停止したか否かを判定し、前記スロットルバルブが停止したと判定した場合には、前記検出された実位置を前記予測位置とすること、
を特徴とするスロットルバルブ制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のスロットルバルブ制御装置において、
前記スロットルバルブには、該スロットルバルブを基準位置へ戻すための付勢力を、該スロットルバルブに与える付勢手段が設けられており、
前記駆動制御手段は、前記付勢力と同じ大きさで且つ該付勢力とは反対方向の力を、前記DCモータが前記スロットルバルブに与えるための、該DCモータへの印加電圧である付勢力補償電圧を算出する付勢力補償電圧算出手段を更に備え、
前記予測手段は、前回決定された前記駆動用印加電圧から、前記付勢力補償電圧算出手段により算出された付勢力補償電圧を減じた電圧である補正印加電圧を用いて、該補正印加電圧に対応する前記DCモータの無負荷回転数を算出し、該算出した無負荷回転数から、前記予測位置を算出するようになっており、
前記要求電圧算出手段は、前記要求無負荷回転数に対応する前記DCモータの印加電圧に、前記付勢力補償電圧算出手段により算出された付勢力補償電圧を加えた電圧を、前記要求電圧として算出すること、
を特徴とするスロットルバルブ制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスロットルバルブ制御装置において、
前記付勢手段は、前記付勢力が前記スロットルバルブの位置に応じて変化するものであり、
当該スロットルバルブ制御装置は、前記スロットルバルブの実際の位置である実位置を検出する位置検出手段を備え、
前記付勢力補償電圧算出手段は、前記位置検出手段により検出された実位置に基づいて、前記付勢力補償電圧を算出すること、
を特徴とするスロットルバルブ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−256721(P2011−256721A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129201(P2010−129201)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】