説明

セッション設定方法、設定条件管理サーバ、セッション制御ノード及び移動通信システム

【課題】セッションの設定条件情報を複雑化させずとも、ユーザ端末の位置関連情報に特有の付加サービスをユーザ端末(30)に提供可能とする。
【解決手段】本発明のセッション設定方法は、セッション制御ノード(12)が、ユーザ端末(30)の位置関連情報を含む登録要求信号を受信する工程と、セッション制御ノード(12)が、前記位置関連情報を含む設定条件要求信号を設定条件管理サーバ(13)に送信する工程と、設定条件管理サーバ(13)が、前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報をセッション制御ノード(12)に送信する工程と、セッション制御ノード(12)が、ユーザ端末(30)からのセッション設定要求信号が受信された場合に、前記設定条件情報が示すアプリケーションサーバ(14)に対して、前記セッション設定要求信号を転送する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末のセッションを設定するためのセッション設定方法、設定条件管理サーバ、セッション制御ノード及び移動通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP国際標準では、IPベースのマルチメディア通信サービスを提供することを目的として、IPマルチメディアサブシステム(IMS:IP Multimedia Subsystem)が検討されている。IMSでは、プレゼンスサービス、会議電話、通訳電話等の付加サービスが、アプリケーションサーバ(以下、ASと呼ぶ)で提供される。
【0003】
IMSでは、ユーザ端末のセッション制御を行うS−CSCF(Serving Call Session Control Function)は、上述のような付加サービスがユーザ端末によって要求される場合、当該付加サービスを提供するASと当該ユーザ端末とのセッションを設定させる必要がある。このようなセッションの設定条件は、initial Filter Criteria(以下では、「iFC」と呼ぶ)で規定される。S−CSCFは、ユーザの認証情報やサービス情報を保持するデータベースであるHSS(Home Subscriber Server)からiFCを取得し、取得したiFCが示すASとユーザ端末とのセッションを設定する(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS23.228 ”IP Multimedia Subsystem(IMS); Stage 2”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、IMSで提供される一部の付加サービスは、ユーザ端末の位置や、ユーザ端末が接続するアクセスネットワーク種別や、当該アクセスネットワークを提供する事業者などに特有のものがある。例えば、「通訳電話」などの付加サービスは、ユーザ端末の位置が「海外」の位置を示す場合や、ユーザ端末のアクセスネットワークを提供する事業者が「海外」の事業者である場合などに、特有のものである。
【0006】
しかしながら、以上のようなユーザ端末の位置及びアクセスネットワーク種別、当該アクセスネットワークを提供する事業者などといったユーザ端末の位置関連情報に特有の付加サービスを提供しようとする場合、当該位置関連情報を判断するために、iFCに規定されるセッションの設定条件情報が複雑化するという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、セッションの設定条件情報を複雑化させずとも、ユーザ端末の位置関連情報に特有の付加サービスをユーザ端末に提供可能なセッション設定方法、設定条件管理サーバ、セッション制御ノード及び移動通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1側面に係るセッション設定方法は、ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードが、前記ユーザ端末の位置関連情報を含む登録要求信号を受信する工程と、前記セッション制御ノードが、前記登録要求信号が受信された場合、前記位置関連情報を含む設定条件要求信号を設定条件管理サーバに送信する工程と、前記設定条件管理サーバが、前記設定条件要求信号が受信された場合、前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を前記セッション制御ノードに送信する工程と、前記セッション制御ノードが、前記ユーザ端末からのセッション設定要求信号が受信された場合に、前記設定条件情報が示すアプリケーションサーバに対して、前記セッション設定要求信号を転送する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、セッション制御ノードが、位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を設定条件管理サーバから受信し、当該設定条件情報が示すアプリケーションサーバに対してユーザ端末からのセッション設定要求信号を転送する。このため、設定条件情報内において位置関連情報に関する判定条件を含める必要がなく、設定条件情報を複雑化させずとも、ユーザ端末の位置関連情報に特有の付加サービスを提供するアプリケーションサーバとユーザ端末との間のセッションを設定でき、当該付加サービスをユーザ端末に提供できる。
【0010】
本発明の第2側面に係る設定条件管理サーバは、位置関連情報と、ユーザ端末のセッションを設定するための設定条件情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードから、該ユーザ端末の位置関連情報を含む設定条件要求信号を含む設定条件要求信号を受信する受信部と、前記受信部によって前記設定条件要求信号が受信された場合、前記記憶部において前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を前記セッション制御ノードに送信する送信部と、を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明の第3側面に係るセッション制御ノードは、ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードであって、前記ユーザ端末の位置関連情報を含む登録要求信号が受信された場合に、前記位置関連情報を含む設定条件要求信号を設定条件管理サーバに送信する送信部と、前記設定条件管理サーバから、前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を受信する受信部と、を具備し、前記送信部は、前記ユーザ端末からのセッション設定要求信号が受信された場合に、前記設定条件情報が示すアプリケーションサーバに対して、該セッション設定要求信号を転送することを特徴とする。
【0012】
本発明の第4側面に係る移動通信システムは、ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードと、位置関連情報と、前記セッションを設定するための設定条件情報とを関連付けて記憶する設定条件管理サーバとを具備し、前記セッション制御ノードは、前記ユーザ端末の位置関連情報を含む登録要求信号が受信された場合に、前記位置関連情報を含む設定条件要求信号を設定条件管理サーバに送信し、前記設定条件管理サーバから、前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を受信し、前記ユーザ端末からのセッション設定要求信号が受信された場合に、前記設定条件情報が示すアプリケーションサーバに対して、該セッション設定要求信号を転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セッションの設定条件情報を複雑化させずとも、ユーザ端末の位置関連情報に特有の付加サービスをユーザ端末に提供可能なセッション設定方法、設定条件管理サーバ、セッション制御ノード及び移動通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係るHSSの機能構成図である。
【図3】本実施の形態に係るHSSのiFC記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【図4】本実施の形態に係るS−CSCFの機能構成図である。
【図5】本実施の形態に係るユーザ端末の登録処理時の動作を示すシーケンス図である。
【図6】本実施の形態に係るHSSにおけるiFCの更新処理時の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る移動通信システムの概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係る移動通信システムでは、事業者A(例えば、国内の事業者)の提供するIMS10と事業者B(例えば、海外の事業者)の提供するIMS20とが相互に接続されている。
【0017】
図1に示す移動通信システムにおいて、事業者Aに加入するユーザ端末30は、事業者AのIMS10に接続可能に構成されている。また、ユーザ端末30は、事業者BのIMS20を介して、事業者AのIMS10に接続可能に構成されている。このように、事業者Aに加入するユーザ端末30が、異なる事業者BのIMS20を介して事業者AのIMS10に接続することを「ローミングアウト」という。
【0018】
なお、図示しないが、ユーザ端末30は、アクセスネットワークを介して、IMS10及びIMS20に接続される。かかるアクセスネットワークには、UTRAN、E−UTRAN、WLAN(IEEE 802.11a)、WiMAXなどの各種無線アクセスネットワークや、CN、EPCなどの各種IP移動伝達ネットワークが含まれてもよい。
【0019】
事業者AのIMS10は、ユーザ端末30のアクセスネットワーク(不図示)とのインタフェース機能を有するP−CSCF(Proxy CSCF)11と、P−CSCF11とP−CSCF21とに接続され、ユーザ端末30のセッション制御を行うS−CSCF12(Serving CSCF)と、S−CSCF12に接続され、ユーザ端末30のユーザ情報を管理するHSS(Home Subscriber Server)13と、S−CSCF12に接続され、通訳電話等の付加サービスを提供するAS(Aplication Server)14A及び14Bと、を含む。なお、AS14A及びAS14Bを区別しない場合、AS14と総称する。
【0020】
事業者BのIMS20は、ユーザ端末30のアクセスネットワーク(不図示)とのインタフェース機能を有するP−CSCF(Proxy CSCF)21を含む。
【0021】
図1に示す移動通信システムにおいて、事業者Bにローミングアウトしているユーザ端末30は、P−CSCF21を介して、事業者AのS−CSCF12に対する登録処理を行う。S−CSCF12(セッション制御ノード)は、ユーザ端末30の登録処理において、ユーザ端末30の位置関連情報に関連付けられたiFC(設定条件情報)をHSS13(設定条件管理サーバ)から取得する。S−CSCF12は、取得したiFCが示すAS14とユーザ端末30との間でセッションを設定する。
【0022】
ここで、iFCとは、ユーザ端末30のセッションを設定するための設定条件情報である。例えば、iFCには、AS14にSIP信号(例えば、後述する「INVITE」)を転送するための各種条件を示すトリガポイント、AS14のアドレスなどが含まれる。
【0023】
また、位置関連情報とは、ユーザ端末30の位置に関連する各種情報であり、ユーザ端末30の位置を示す位置情報、ユーザ端末30が接続するアクセスネットワークの種別(例えば、3GPPのUTRAN、WLAN(IEEE 802.11a)など)を示すアクセスネットワーク種別情報、当該アクセスネットワーク(すなわち、当該アクセスネットワークを提供する事業者)を識別するアクセスネットワーク識別情報の少なくとも1つを含む。これらの位置関連情報は、SIP信号(例えば、後述する「REGISTER」)を用いて、ユーザ端末30からS−CSCF12に通知される。
【0024】
なお、本実施の形態に係る移動通信システムは、図1に示す構成に限られるものではない。例えば、IMS10において、S−CSCF12を他ネットワークから隠ぺいする機能を有するI−CSCF(Interogating−CSCF)などの各種ノードが設けられてもよい。また、IMS20においても、IMS10と同様に各種ノードが設けられてもよい。
【0025】
また、本実施の形態に係る移動通信システムにおいては、S−CSCF12がSIP(Session Initiation Protorocl)を用いてユーザ端末30のセッションを制御する例を説明する。しかしながら、SIP以外のセッション制御プロトコルを用いて、ユーザ端末30のセッションを制御してもよい。
【0026】
次に、本実施の形態に係る移動通信システムの詳細機能構成を説明する。なお、本実施の形態に係る通移動信システムを構成する各装置(S−CSCF12、HSS13など)は、通信インタフェース、プロセッサ、メモリ、送受信回路などを含むハードウェアを有しており、メモリには、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールが記憶されている。後述する各装置の機能構成は、上述のハードウェアによって実現されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、両者の組み合わせによって実現されてもよい。
【0027】
図2は、本実施の形態に係るHSS13の機能構成図である。図2に示すように、HSS13は、送受信部131(送信部、受信部)と、iFC記憶部132(記憶部)と、iFC配信処理部133と、更新通知処理部134と、を具備する。
【0028】
送受信部131は、S−CSCF12との間で信号を送受信する。具体的には、送受信部131は、S−CSCF12からのiFC要求信号(後述)を受信する。また、送受信部131は、S−CSCF12に対してiFCや更新通知信号(後述)を送信する。
【0029】
iFC記憶部132は、位置関連情報とiFCとを関連付けて記憶する。図3は、iFC記憶部132の記憶内容の一例を示す図である。図3に示すように、iFC記憶部132は、iFCと、位置関連情報としてのアクセスネットワーク識別情報、位置情報及びアクセスネットワーク種別情報と、を関連付けて記憶する。例えば、図3において、iFC#1は、事業者Aによって提供されるアクセスネットワークAと、位置「CC」と、アクセスネットワーク種別「3GPP−UTRAN−TDD」と、に関連付けられている。また、iFC#2は、事業者Bによって提供されるアクセスネットワークBと、位置「DD」と、アクセスネットワーク種別「IEEE−802.11a」と、に関連付けられている。
【0030】
iFC配信処理部133は、位置関連情報を含むiFC要求信号をS−CSCF12から受信する。ここで、iFC要求信号とは、S−CSCF12が、HSS13に対して、iFCの配信を要求する設定条件要求信号である。後述するように、iFC要求信号は、S−CSCF12におけるユーザ端末30の登録処理時にS−CSCF12から送信される。なお、iFC要求信号としては、例えば、「Diameter SAR(Server-Assignment-Request)」が用いられてもよい。
【0031】
また、iFC配信処理部133は、iFC要求信号に含まれる位置関連情報に関連付けられたiFCをiFC記憶部132から取得する。例えば、事業者Bによって提供されるアクセスネットワークBを示すアクセスネットワーク識別情報が位置関連情報としてiFC要求信号に含まれる場合、当該アクセスネットワークBに関連付けられたiFC#2をiFC記憶部132から取得する。iFC配信処理部133は、取得したiFCを、送受信部131を介してS−CSCF12に送信する。なお、iFCは、例えば、「Diameter SAA(Server-Assignment-Answer)」を用いてS−CSCF12に送信される。
【0032】
更新通知処理部134は、iFC記憶部132に記憶されたiFCが更新された場合、S−CSCF12に対して更新通知信号を送信する。ここで、更新通知信号とは、iFCの更新を通知する信号である。更新通知信号には、S−CSCF12で更新されるべきiFCの更新内容などが含まれる。なお、iFCは、例えば、ユーザ端末30の契約変更がHSS13に通知された場合などに更新される。また、更新通知信号としては、例えば、「Diameter PPR(Push-Profile-Request)」が用いられてもよい。
【0033】
図4は、本実施の形態に係るS−CSCF12の機能構成図である。図4に示すように、S−CSCF12は、送受信部121、登録処理部122、iFC記憶部123、セッション制御部124、iFC更新処理部125を具備する。
【0034】
送受信部121は、HSS13との間で信号を送受信する。具体的には、送受信部121は、iFC要求信号をHSS13に送信し、iFCや更新通知信号をHSS13から受信する。また、送受信部121は、P−CSCF11又はP−CSCF21を介してユーザ端末30との間で信号を送受信する。具体的には、送受信部121は、ユーザ端末30からの「REGISTER」(後述)、「INVITE」(後述)を受信し、受信した「REGISTER」や「INVITE」に対する応答信号(例えば、「200 OK」)をユーザ端末30に送信する。また、送受信部121は、AS14との間で信号を送受信する。
【0035】
登録処理部122は、ユーザ端末30の登録処理を行う。具体的には、登録処理部122は、P−CSCF11又はP−CSCF21を介して、ユーザ端末30からの「REGISTER」が受信された場合、「REGISTER」に含まれる位置関連情報を含むiFC要求信号を、送受信部121を介してHSS13に送信する。
【0036】
ここで、「REGISTER」とは、S−CSCF12におけるユーザ端末30の登録処理を要求する登録要求信号である。上述のように、「REGISTER」は、ユーザ端末30の位置登録情報として、位置情報、アクセスネットワーク種別情報、アクセスネットワーク識別情報の少なくとも1つを含む。なお、位置情報としては、「REGISTER」の「P−Access−Network−Info」に含まれるセル情報が用いられてもよい。また、アクセスネットワーク種別情報としては、「REGISTER」の「P−Access−Network−Info」に含まれる情報が用いられてもよい。また、アクセスネットワーク識別情報としては、「REGISTER」の「P−Visited−Network−ID」に含まれるネットワークIDが用いられてもよい。
【0037】
また、登録処理部122は、iFC要求信号に含まれる位置関連情報に関連付けられたiFCをHSS13から取得する。具体的には、登録処理部122は、位置関連情報として含まれる位置情報、アクセスネットワーク識別情報、アクセスネットワーク種別情報の少なくとも1つに関連付けられたiFCをHSS13から取得する。例えば、事業者Bによって提供されるアクセスネットワークBを示すアクセスネットワーク識別情報を位置関連情報として含むiFC要求信号がHSS13に送信された場合、登録処理部122は、当該アクセスネットワークBに関連付けられたiFC#2を取得する。
【0038】
また、登録処理部122は、HSS13から取得されたiFCをiFC記憶部123に登録する。iFC記憶部123では、ユーザ端末30と取得されたiFCとが関連付けて記憶されてもよい。登録処理部122は、iFC記憶部123に対するiFCの登録処理が完了すると、ユーザ端末30に対して、「REGISTER」に対する応答信号(例えば、「200 OK」)を、送受信部121を介して送信する。
【0039】
セッション制御部124は、SIP信号を用いて、ユーザ端末30のセッションを制御する。具体的には、セッション制御部124は、送受信部121でユーザ端末30からの「INVITE」が受信された場合に、iFC記憶部123に記憶されたユーザ端末30のiFCが示すAS14に「INVITE」を転送する。
【0040】
ここで、「INVITE」とは、ユーザ端末30のセッションの設定を要求するセッション設定要求信号である。iFCが示すAS14に「INVITE」が転送されることにより、ユーザ端末30とAS14との間にセッションが設定される。当該AS14が提供する付加サービスは、設定されたセッションを用いて、ユーザ端末30に提供される。
【0041】
iFC更新処理部125は、送受信部121によってHSS13からの更新要求信号が受信された場合に、iFCの更新処理を行う。
【0042】
次に、本実施の形態に係る移動通信システムの動作について説明する。具体的には、(1)ユーザ端末30の登録処理時の動作と、(2)HSS13におけるiFCの更新処理時の動作について説明する。
【0043】
(1)ユーザ端末30の登録処理時の動作
図5は、ユーザ端末30の登録処理時の動作を示すシーケンス図である。なお、図5において、ユーザ端末30のアクセスネットワーク及びP−CSCF21は事業者Bによって提供され、S−CSCF12、HSS13及びAS14は事業者Aによって提供されるものとする。また、事業者Aに加入するユーザ端末30は、事業者Bの提供するIMS20にローミングアウトしているものとする。
【0044】
図5に示すように、ユーザ端末30は、アクセスネットワーク(不図示)を介して、P−CSCF21に対して「REGISTER」を送信する(ステップS101)。上述のように、「REGISTER」とは、S−CSCF12におけるユーザ端末30の登録処理を要求する登録要求信号である。P−CSCF21は、ユーザ端末30からの「REGISTER」をS−CSCF12に転送する(ステップS102)。なお、P−CSCF21は、例えば、I−CSCFなどの不図示の各種ノードを介して、「REGISTER」をS−CSCF12に送信してもよい。
【0045】
S−CSCF12は、HSS13に対して、HSS13におけるユーザ端末30の認証を要求する「Diameter MAR(Multimedia-Auth-Request)」を送信する(ステップS103)。HSS13は、HSS13におけるユーザ端末30の認証結果を示す「Diameter MAA(Multimedia-Auth-Answer)」を送信する(ステップS104)。
【0046】
S−CSCF12は、認証要求を示す「401 Unauthoraized」をP−CSCF21に送信する(ステップS105)。P−CSCF21は、S−CSCF12からの「401 Unauthoraized」をユーザ端末30に転送する(ステップS106)。
【0047】
ユーザ端末30は、位置関連情報を「REGISTER」に含めて、P−CSCF21に送信する(ステップS107)。ここでは、ユーザ情報30は、位置関連情報として、ユーザ端末30のアクセスネットワーク識別情報を「REGISTER」の情報項目である「P−Visited−Network−ID」に設定するとともに、位置情報及びアクセスネットワーク種別情報を「REGISTER」の情報項目である「P−Access−Network−Info」に設定して、「REGISTER」を送信する。
【0048】
P−CSCF21は、ユーザ端末30からの位置関連情報を含む「REGISTER」をS−CSCF12に転送する(ステップS108)。なお、P−CSCF21は、例えば、I−CSCFなどの不図示の各種ノードを介して、「REGISTER」をS−CSCF12に送信してもよい。S−CSCF12は、ユーザ端末30の認証処理を行う(ステップS109)。
【0049】
S−CSCF12は、ユーザ端末30の認証処理に成功すると、HSS13に対して、ステップS108で受信された位置関連情報を含む「Diameter SAR(Server Assignment Request)」を送信する(ステップS110)。ここでは、「Diameter SAR」は、iFC要求信号として用いられており、位置関連情報としてユーザ端末30のアクセスネットワーク識別情報、アクセスネットワーク種別情報及び位置情報が含まれる。なお、「Diameter SAR」には、位置関連情報以外にも、ユーザ端末30の識別情報等が含まれてもよい。
【0050】
HSS13は、S−CSCF12からの「Diameter SAR」に含まれる位置関連情報に基づいて、ユーザ端末30のiFCを取得する(ステップS111)。具体的には、HSS13は、位置関連情報に関連付けられたiFCをiFC記憶部132から取得する。例えば、位置関連情報として、事業者Bによって提供されるアクセスネットワークBを示すアクセスネットワーク識別情報と、「DD」を示す位置情報と、「IEEE−802.11a」を示すアクセスネットワーク種別情報と、が含まれる場合、HSS13は、これらに関連付けられたiFC#2をiFC記憶部132から取得する。
【0051】
HSS13は、取得したiFCを「Diameter SAA(Server Assignment Answer)」を用いてS−CSCF12に送信する(ステップS112)。S−CSCF12は、HSS13から受信したiFCとユーザ端末30と関連付けてiFC記憶部123に記憶させる(ステップS113)。ここでは、HSS13は、iFC#2をS−CSCF12に送信するので、S−CSCF12は、HSS13から受信したiFC#2をユーザ端末30の識別情報と関連付けてiFC記憶部123に記憶させる。
【0052】
S−CSCF12は、P−CSCF21に対して、ステップS108の「REGISTER」に対する応答信号である「200 OK」を送信する(ステップS114)。「200 OK」とは、S−CSCF12におけるユーザ端末30の登録が完了したことを示す応答信号である。P−CSCF21は、S−CSCF12から受信した「200 OK」をユーザ端末30に転送する(ステップS115)。
【0053】
ユーザ端末30は、P−CSCF21に対して、「INVITE」を送信する(ステップS116)。上述のように、「INVITE」とは、ユーザ端末30のセッションの設定を要求するセッション設定要求信号である。なお、「INVITE」には、ユーザ端末30の識別情報が含まれてもよい。
【0054】
P−CSCF21は、ユーザ端末30から受信した「INVITE」をS−CSCF12に送信する(ステップS117)。なお、P−CSCF21は、例えば、I−CSCFなどの不図示の各種ノードを介して、「INVITE」をS−CSCF12に送信してもよい。
【0055】
S−CSCF12は、iFC記憶部123に記憶されたユーザ端末30のiFCを参照し、受信した「INVITE」を転送すべきAS14を決定する(ステップS118)。例えば、ステップS106では、事業者Bに関連付けられたiFC#2がHSS13から受信され、S−CSCF12のiFC記憶部123にユーザ端末30と関連付けて記憶される。S−CSCF12は、iFC#2を参照して、「INVITE」を転送すべきAS14を決定する。
【0056】
S−CSCF12は、ステップS111で決定されたAS14に対して、ステップS110で受信された「INVITE」を送信する(ステップS119)。「INVITE」を受信したAS14とユーザ端末30との間において、S−CSCF12を介したセッション設定処理が行なわれる。設定されたセッションを用いてAS14からユーザ端末30に付加サービスが提供される。
【0057】
(2)HSS13におけるiFCの更新処理時の動作
図6は、HSS13におけるiFCの更新処理時の動作を示すシーケンス図である。なお、図6において、図5のステップS101〜S115により、ユーザ端末30のS−CSCF12に対する登録処理は完了しているものとする。このため、S−CSCF12のiFC記憶部123には、一例として、ユーザ端末30の識別情報と、iFC#2とが関連づけて記憶されているものとする。
【0058】
図6に示すように、HSS13は、所定のトリガに応じて、iFC記憶部132に記憶されたiFCを更新する(ステップS201)。例えば、HSS13は、ユーザ端末30の契約変更がHSS13に通知された場合に、当該契約変更に応じたiFCにiFC記憶部132の記憶内容を更新する。
【0059】
HSS13は、S−CSCF12に対して、「Diameter PPR(Push-Profile-Request)」を送信する(ステップS202)。ここでは、「Diameter PPR」は、更新通知信号として用いられており、ステップS201において更新されたiFCの更新内容が含まれる。
【0060】
S−CSCF12は、HSS13から受信した更新内容に基づいて、iFC記憶部123に記憶されたiFCを更新する(ステップS203)。S−CSCF12は、「Diameter PPR」に対する応答信号である「Diameter PPA(Push-Profile-Answer)」をHSS13に送信する(ステップS204)。ステップS204〜S208は、図5のステップS116〜S119と同様である。
【0061】
本実施の形態に係る移動通信システムによれば、S−CSCF12が、ユーザ端末30の位置関連情報に関連付けられたiFCをHSS13から受信し、当該iFCが示すAS14に対してユーザ端末30からの「INVITE」を転送する。このため、iFC内においてユーザ端末30の位置関連情報に関する判定条件を含める必要がなく、iFCを複雑化させずとも、ユーザ端末30の位置関連情報に特有の付加サービスを提供するAS14とユーザ端末30との間のセッションを設定でき、当該付加サービスをユーザ端末30に提供できる。
【0062】
また、本実施の形態に係る移動通信システムによれば、ユーザ端末30の位置関連情報に対応したiFCのみがHSS13から取得されるので、全てのiFCをHSS13から取得する場合と比較して、HSS13とS−CSCF12との間の信号負荷を軽減できる。
【0063】
また、本実施の形態に係る移動通信システムによれば、ユーザ端末30の位置関連情報に対応したiFCだけが取得されるので、S−CSCF12は、iFC内を参照して位置関連情報に関する判定を行う必要がない。このため、S−CSCF12が、ユーザ端末30からの「INVITE」を転送するAS14を決定する際のiFCの判断処理の負荷を軽減できる。
【0064】
上述の実施の形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び更新態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0065】
10…事業者AのIMS
20…事業者BのIMS
30…ユーザ端末
11…P−CSCF
12…S−CSCF
13…HSS
14…AS
21…P−CSCF
121…送受信部
122…登録処理部
123…iFC記憶部
124…セッション制御部
125…iFC更新処理部
131…送受信部
132…iFC記憶部
133…iFC配信処理部
134…更新通知処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードが、前記ユーザ端末の位置関連情報を含む登録要求信号を受信する工程と、
前記セッション制御ノードが、前記登録要求信号が受信された場合、前記位置関連情報を含む設定条件要求信号を設定条件管理サーバに送信する工程と、
前記設定条件管理サーバが、前記設定条件要求信号が受信された場合、前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を前記セッション制御ノードに送信する工程と、
前記セッション制御ノードが、前記ユーザ端末からのセッション設定要求信号が受信された場合に、前記設定条件情報が示すアプリケーションサーバに対して、前記セッション設定要求信号を転送する工程と、
を有することを特徴とするセッション設定方法。
【請求項2】
前記位置関連情報は、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報、前記ユーザ端末が接続するアクセスネットワークの種別を示すアクセスネットワーク種別情報及び前記アクセスネットワークを識別するアクセスネットワーク識別情報の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のセッション設定方法。
【請求項3】
位置関連情報と、ユーザ端末のセッションを設定するための設定条件情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードから、該ユーザ端末の位置関連情報を含む設定条件要求信号を受信する受信部と、
前記受信部によって前記設定条件要求信号が受信された場合、前記記憶部において前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を前記セッション制御ノードに送信する送信部と、
を具備することを特徴とする設定条件管理サーバ。
【請求項4】
前記位置関連情報は、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報、前記ユーザ端末が接続するアクセスネットワークの種別を示すアクセスネットワーク種別情報及び前記アクセスネットワークを識別するアクセスネットワーク識別情報の少なくとも1つであることを特徴とする請求項3に記載の設定条件管理サーバ。
【請求項5】
ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードであって、
前記ユーザ端末の位置関連情報を含む登録要求信号が受信された場合に、前記位置関連情報を含む設定条件要求信号を設定条件管理サーバに送信する送信部と、
前記設定条件管理サーバから、前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を受信する受信部と、を具備し、
前記送信部は、前記ユーザ端末からのセッション設定要求信号が受信された場合に、前記設定条件情報が示すアプリケーションサーバに対して、該セッション設定要求信号を転送することを特徴とするセッション制御ノード。
【請求項6】
前記位置関連情報は、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報、前記ユーザ端末が接続するアクセスネットワークの種別を示すアクセスネットワーク種別情報及び前記アクセスネットワークを識別するアクセスネットワーク識別情報の少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載のセッション制御ノード。
【請求項7】
ユーザ端末のセッションを制御するセッション制御ノードと、
位置関連情報と、前記セッションを設定するための設定条件情報とを関連付けて記憶する設定条件管理サーバとを具備し、
前記セッション制御ノードは、
前記ユーザ端末の位置関連情報を含む登録要求信号が受信された場合に、前記位置関連情報を含む設定条件要求信号を設定条件管理サーバに送信し、
前記設定条件管理サーバから、前記位置関連情報に関連付けられた設定条件情報を受信し、
前記ユーザ端末からのセッション設定要求信号が受信された場合に、前記設定条件情報が示すアプリケーションサーバに対して、該セッション設定要求信号を転送することを特徴とする移動通信システム。
【請求項8】
前記位置関連情報は、前記ユーザ端末の位置を示す位置情報、前記ユーザ端末が接続するアクセスネットワークの種別を示すアクセスネットワーク種別情報及び前記アクセスネットワークを識別するアクセスネットワーク識別情報の少なくとも1つであることを特徴とする請求項7に記載の移動通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−12814(P2013−12814A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142725(P2011−142725)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】