説明

セパレータ

【課題】ガス状流出物中に存在する非常に小さな粒子の分離を著しく向上させる装置を提供する。
【解決手段】貫通するチャンネルを有するフェルト状の多孔質繊維物質からなるシート形状の多孔質物質であり、さらに、シートと同じ面積を有する不浸透性物質でつくられた、チャンネルに相当する孔を備えるプレートによって支持されているセパレータ。なお、モジュール化されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセパレータの分野に関し、より詳しくはガス流から大きさ(サイズ)が1μmオーダー及びそれ以下の固体又は液体状の粒子を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの方法と装置が既にこのために開示されている。
【0003】
特許文献1は、粒子が捕捉される非乱流ゾーンを規定する一連のプレート上を乱流ガス流が流れるこのタイプの方法とシステムについて記載している。さらに正確には、このプレートは互いに平行であって、垂直に並んでいる。特に微細な粒子の濾過を改善するため、前記プレートの間に繊維からなる濾過手段を具備することもできる。
【0004】
特許文献2は、同じ原理に基づく装置について記載しているが、プレートはスロットが付いているか又は格子に代わっている。
【0005】
さらに、特許文献3は、排出ガス中に含まれる粒子を捕集するためにディーゼル型エンジンの排気側に設置したセパレータに関する。それ故ハニカムセルの開口に垂直なチャンネルでハニカム構造に孔があけられており、この構造は70%程度の多孔率を有している。しかしながら、この型のセパレータはこの物質中に捕捉された液滴を排液装置で除去できないため、霧用には使用できない。
【0006】
特許文献4は、側面が繊維の波形部材によって境界を画された1つ以上の垂直流れチャンネルを備えたセパレータに関する。この文献によると、セパレータで分離するのに適当なより大きな粒子とするためセパレータの上流に必ず凝集器が設置されている。したがって、この方法は比較的コスト高であり、決して無視できない圧力降下が必然的に伴う。
【0007】
特許文献1では、捕捉された粒子は壁に蓄積後重力によって装置の底部に落下する。壁に蓄積したこれらの粒子を落下させるため壁を振動させることを目的とした手段が往々にして必要である。この装置は1μm未満の非常に微細な粒子を分離しようとする時は問題となる。この場合、流れのチャンネルの高さは非常に小さくなければならず、したがってプレートの高さが非常に大きくなければならず、このため流れが非常に弱い場合には装置がずいぶん大きくなる。特許文献2よる装置にも同じ問題が存在する。
【0008】
しかしながら、これらの既知方法ではサイズが1μm未満の液体又は固体状の粒子を効率よく収集して除去することができない。
【0009】
本出願人の名で公表された特許文献5は、ガス状流出物の乱流を予定したチャンネルを含む泡状のものでつくられたセパレータについて記載しており、これにより上述の欠点を克服することができる。
【特許文献1】USP5626651
【特許文献2】WO95/28217
【特許文献3】WO97/00102
【特許文献4】WO97/27928
【特許文献5】WO99/19044
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、出願人は分離の領域で研究を続けて、ガス状流出物中に存在する非常に小さな粒子の分離を著しく向上させる装置を開発することができた。
【0011】
最初の研究段階で、懸濁粒子を含む乱流状態のガス状流出物が多孔性物質でつくられた直径Dのチャンネル2内を流れるとき(図1参照)、この流出物の境界層が、このチャンネルの境界を定める周辺端から周辺層3の厚さLにわたって多孔質物質の内部に入り、この流出物により生じた渦のため粒子がこの周辺層3中に運ばれ、そこで多孔質物質の繊維の孔によって捕集されることがわかった。
【0012】
それ故チャンネル2はなんらの障害物もない状態にとどまり、捕集された粒子の蓄積がこのチャンネル周囲の環状部中に位置するので、ガス状流出物がチャンネル内をずっと一定の圧力及び流速で流れることができる。
【0013】
同じ原理にしたがって次の研究段階の間に、懸濁粒子を含む乱流状態のガス流出物がシート状の多孔性物質の面に沿って流れるときは、この流出物の境界層が多孔性物質の内部方向に移動し、そしてこの流出物によって生じた乱流の渦により、粒子がこのシートの表面層の中に運ばれてそこで多孔性物質の繊維の孔によって捕集されることが発見された。
【0014】
同様に、この形状では、粒子は流出物の流れを妨げずにシート本体中に蓄積するので流出物の圧降下は最小となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、大きさが実質的に1μmオーダー及びそれ以下の液体又は固体の粒子を含むガス状流出物を最適条件で処理することを目的とした、多孔性物質でつくられたセパレータである。
【0016】
本発明によれば、大きさが実質的に1μm以下の粒子を含むガス状流出物を処理する多孔質物質製であって、かつ、チャンネルを含むセパレータは、このチャンネルがフェルトなどの繊維多孔性物質によって囲まれていることが特徴である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
前記物質の多孔率は、90〜99%の範囲とすることができる。
前記物質を形成する細孔の大きさは、約0.1〜5mmの範囲とすることができる。
前記物質を形成する繊維の直径は、2〜100μmの範囲であってよい。
前記物質を貫通するチャンネルの直径は、3〜15mmの範囲とすることができる。
チャンネルの長さは、約10〜200cmとすることができる。
流出物は、チャンネルの一方の端から他方の端に乱流状態で流れることができる。
繊維の材料は、合成物質であってもよい。
繊維の材料は、セラミック物質であってもよい。
多孔性の物質は、チャンネルを含むシートの形であってよい。
シートの厚みは、1〜10mmの範囲とすることができる。
多孔性の物質は、シートを積み重ねて得ることができる。
シートは、これと同じ表面積を有する不浸透性材料でつくられ、シートのチャンネルに相当する孔を備えたプレートによって支持できる。
シートは固定手段によって互いに一定距離に配置されている。
【0018】
本発明は、大きさが実質的に1μmオーダー及びそれ以下の粒子を含むガス状流出物を処理する、チャンネルを含む、多孔質物質でつくられたセパレータ、また、セパレータが、チャンネルを含む多孔質物質でつくられ、かつ、1つ以上の他のシートと実質的に平行で一定間隔に配置されている1つ以上のシートからなる1つ以上のモジュールを含むこと、及び前記シートと同じ表面積を有する不浸透性物質でつくられ、シートのチャンネルに相当する孔を備えた1つ以上のプレートを含むことを特徴とする。
【0019】
多孔質物質の多孔率は90〜99%の範囲とすることができ、孔の大きさは約0.1〜約5mmの範囲、チャンネルの直径は3〜15mmの範囲とすることができる。
流出物はシートの少なくとも1つの面を乱流状態で流れることができる。
モジュールは互いに一定距離に配置された2つ以上のシートの2つ以上のサブアセンブリを含むことができる。
【0020】
シートは固定手段によって互いに一定距離に配置できる。
固定手段は好ましくはプレートから得られるフレームからなることができる。
多孔性物質は静電気で荷電することができる。
【0021】
本発明の他の特徴、利点及び改善点は、添付の図面を参照して、非限定的な実施例による以下の説明により明らかとなろう。
【0022】
図2は、本発明によるフェルトのような多孔性繊維物質からなるセパレータの本体(ボデー)1を示す。
【0023】
もちろん、フェルトは織ったり紡いだりしないで緊密にからまった繊維又は糸からなる多孔性の物質であると考えてよい。
【0024】
繊維に使用する材料は、好都合にもポリエステル又はポリプロピレン、又はセラミック物質などの合成物質であってよい。
【0025】
本発明に使用する多孔性物質は小さな細孔からなり、その多孔率は90〜99%の範囲である。
【0026】
細孔の大きさは0.1〜5mmの範囲であり、繊維の直径は2〜100μmの範囲であるが、2〜20μmの範囲のフイラメント直径が時には好ましい。
【0027】
さらに、この図で見られるように、好ましくは互いに平行なチャンネル2が繊維多孔質物質又はフェルトでつくられた本体1中孔あけして通され、図2の矢印Aで示すように流体がそのなかを流れるようにされる。
【0028】
チャンネル2の直径は、ここでは3〜15mmの範囲であり、2つのチャンネル間の距離は3〜20mmの範囲とすることができる。
【0029】
流れのチャンネル2により占められる断面は、前記本体全断面の15〜50%である。チャンネルの断面は好ましくは図2に示されているように円形状であるが、本発明の範囲を逸脱しない限り他の形をとることもできる。
【0030】
チャンネルの一般的レイアウトは平行したチャンネルのグリッド状ネットワークが形成するようにしてもよいが、発明の範囲を逸脱しない限り異なるレイアウトのチャンネルネットワークを考えることもできる。
【0031】
例として、約15μm直径の繊維からなるポリエステルフェルト製で97%多孔率を有する本体を通過させることによって、液体粒子(ここでは油状の霧中に含まれる液滴)を分離するテストを行った。このテストでは99.5%の粒子回収率を得ることができた。
【0032】
同じ油状の霧中に含まれる液滴を分離するため、約2μm直径の繊維を含むセラミックフェルト製で93%多孔率を有するボデーで別のテストを行った。このテストでは前記液滴に対して99.8%回収率を得ることができた。
【0033】
行ったテストにより、チャンネル2の周辺端層3(図1参照)の厚さL(図1参照)は、繊維の直径(Df)及びチャンネル2の直径(D)に正比例すること、L/Df×D比の値が実質的に一定値に等しいこと、及びLの値が実質的に孔の直径の5〜10倍の範囲にあることを示すことができた。
【0034】
霧を形成する液滴を分離する分野において、本発明は、このようにしてフェルトボデーを通して重力により流れる液体を生成する液滴を排出できる利点を有している。
【0035】
粘性の霧セパレータを備えた装置に関する使用例を図3に例示する。
【0036】
図3の矢印Bに示すように、ガスと油状の霧の混合物が多孔性のフェルト材料でつくられたボデー1を含むインクロージャー4中に供給される。
【0037】
この混合物はボデー1を通して実質上水平に貫通するチャンネル2を通って流れ、この霧の中に含まれる油滴が前記チャンネル中に沈降した後、チャンネル2の他端で、矢印Cで示すようにインクロージャー4から流れ出る。本発明によって得られる、油滴が沈降後に形成した液体の排出によりインクロージャー4の底部に油を集めることができる。この油は排出してタンク又は符号5で示される手段のような特別な装置中に貯蔵できる。
【0038】
このように、フェルトを形成する糸又は繊維によって集められた油は、その吸収速度と実質的に同じ流れ速度で装置の底部に流れる。
【0039】
フェルトは本来従来技術のいかなる方法によってでも孔あけするのに十分な程堅いので、本発明は既知のセパレータに比較してカーカス又は別の保持部材なしで済ますことができる。さらに、チャンネルをつくるとき高精度が得られる。
【0040】
本発明にしたがう装置は、また、堆積物がフェルトの糸又は繊維の上に現われ、そこで固体又はアスフアルト状の層を形成するのでガス状排出物の煙霧(fume;フューム)の分離に適している。
【0041】
粒子は低濃度で存在するので、フェルトの洗浄及び/又は取り替えは殆ど不要である。クリーニングは、例えば、フェルト中に含まれている粒子が排出されて既知のすべての方法によって収集できるように、フェルトを振動又は振とうする目的の操作中に実施される。
【0042】
さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明のフェルトは汚れたとき洗うことができ、また一旦きれいになったらもとの場所に戻すことができる。
【0043】
本発明によるセパレータはまた産業ダストの分離にも適する。
【0044】
ディーゼルエンジンの排出ガスからフュームを分離する場合に、2μm直径のセラミック繊維を有するフェルトボデーでテストを行った。このボデーの断面は8cm×10cmで、長さは25cmであり、実質的に環状の5mm直径のチャンネル54本を備えている。
【0045】
テストの間、排出ガスの流量は100m3/時、圧降下は8kPaであり、このガス中に存在するスーツ(煤煙)の80%が捕集された。
【0046】
空気中に含まれるダストで別のテストを行った。その結果は、0.5μm未満の直径の粒子に対して回収率が82%程度と特に満足できるものであった。
【0047】
このテストは、静電気で帯電した20μm直径のポリプロピレン繊維でつくられたフェルトボデーからなるセパレータを使用して行われた。このセパレータは11cm×25cmの断面、23cmの長さを有し、181本の5.5mm直径の環状チャンネルを備えていた。このセパレータを通る空気の流量は約70m3/時で、圧力降下は約0.25kPaであった。
【実施例】
【0048】
図4に示されている本発明の一実施態様において、チャンネル2は、97%多孔率及び15μmオーダーの繊維直径を有する合成物質のフェルトのような繊維多孔質物質でつくられたシート11を積み重ねて得られ、前記積み重ねがセパレータのボデー10を形成している。約0.95cmの厚さと11cm×25cmの断面を有する平行六面体のシート(これらのシートは同じであるのが好ましい)の各々に約9.5mmの直径の孔すなわちチャンネルを123本貫通させ、次いでこのシート30枚を積み重ねてガス排出物の方向に対して横方向に約30.5cm長さのハウジングに設置すると、積み重ねの結果、123本の9.5mm直径を有するチャンネルを含む多層シートブロックが形成する。
【0049】
この多層シートブロックで行ったテストでは、圧降下が2.5kPa(10インチ水柱)、及び1μm未満の直径の液滴を含む油状の霧の流量が250m3/時(150フイート3/分)で、99.5%オーダーの液滴回収率を得ることができた。
【0050】
このフェルトシートは、繊維の密着凝集を強化する特別な処理によってさらに硬化させることが好ましい。
【0051】
例として、この処理は、例えばセラミックフェルト製のシートをn−デカンシラン溶液中に浸すこと、次いでこれらのシート上及びシート内部の過剰溶液を除去すること、これらを加熱空気で乾燥させること、及びシランをオーブン中で400℃まで徐々に熱分解させることにある。
【0052】
本発明の一変形において、セパレータは、図5に見られるように、多孔質物質でつくられた少なくとも1つのシート11(少なくとも1つの他のシートから一定距離に保持されており、BからCへのガス排出物の流れ方向に実質的に横方向に配置されている)からなる少なくとも1つのモジュールの積み重ねを含んでいる。
【0053】
この場合、使用する多孔質物質は90〜99%の範囲の高多孔率の泡状のもの、フェルト又は織物であってよい。
【0054】
次に、上述のように孔又はチャンネルを有するシートを形成した後、シートの各コーナー近くにオリフィス12の孔をあけ、次いで固定棒13でシートを互いに一定距離に保ち、ここでオリフィス12にしたがって配置した管状円筒形の固定棒を積み重ねる。この積み重ね作業が完了したら、連結棒14を積み重ね全体を通るようにオリフィス12と環状固定棒13中を滑らせて通す。そうするとこのアセンブリは各連結棒の各開放端に配置されたベルビル型のロックスプリングワッシャー(座金)などのロック手段によって正しい位置に保持される。
【0055】
このようにして互いに一定距離に配置された実質的に平行なシート11からなる堅固なブロックが得られ、そこでは各シートの孔又はチャンネル2は次のシートの孔に連続する。
【0056】
図4及び5に示すように、少なくとも1つのシート11の少なくとも1つの面には、シートを丈夫にする手段と前記シートを通過して流れるガス排出物のための通路を形成する支持手段16を備えるのが好ましい。
【0057】
好ましくは、この支持手段は、これらの図において矢印で示されたガス排出物の流れ方向に対して各シート11の下流側に配置され、シートの裏面(シートの前面はガス排出物に向かっている面である)と反対側に、好ましくは接触して設置される。
【0058】
この支持手段は、シートと同じ表面積を有する厚紙、金属又はプラスチックのプレートなどの不浸透性物質でつくられた堅い薄板16からなり、シートの孔すなわちチャンネル2やオリフィス12に対応する孔やオリフィスがあけられている。
【0059】
プレート16の孔の直径は、シート11にあけられた孔の直径よりやや大きめが好ましい。
【0060】
このプレートの存在のお陰で、ガス排出物はシートの全体を流れることはできず、チャンネル2を通って流れるように強いられる。
【0061】
もちろん、本発明の範囲を逸脱することなく、図6に2つのシートのサブアセンブリ(各サブアセンブリはフリーの間隔で隔てられている)の連続を示したように、固定数又は可変数のシートを有する一連の2つ以上のサブアセンブリを得るように、1つ以上のシートのサブアセンブリをフリーの間隔によって隔てることも可能である。
【0062】
このレイアウトでは、上述のように、シートサブアセンブリの全部又は1部の下流面にプレート16を具備することができる。
【0063】
ディーゼルエンジンの排出ガス中に存在する粒子を除去するために使用する、図5に相当する変形に関する一連のテストでは、商標名Kaowool Sで市販されているような極めて細い繊維を有するセラミックフェルトシートが使用される。各シートは6mmの厚さであり、約3mm厚さの好ましくはフェルトシートにリベットで留められている孔あき金属プレートで支持されている。金属プレートの孔又はチャンネルに相当する、シートが備える孔又はチャンネルは、直径が約5mmであり、各センターと孔の間の距離が約8mmとなるよう三角形の形に配置されている。各シートは、10〜50mm範囲、好ましくは約12mmの距離で隣のシートと隔てられている。
【0064】
これらのテストを行うため、1200ケの5mm直径の孔又はチャンネルを含む10ケの300mm直径のシートを円筒形のケース中に配置したところ、30〜100m/秒範囲の速度を有する排出ガスに関して殆どすべての粒子が除去されたことがわかった。
【0065】
シートが含む粒子を取り除いてシートの粒子による飽和を防止するため、これらのシートは酸化によって再生しなければならない。
【0066】
好都合にも、シートの前面に格子が配置され、上述のようにリベット留めされてシート及びプレートにつなげられる。プレートと結びついたこの格子には、ガスの速度及び/又は振動による応力に対するフェルトシートの抵抗力を強化する利点がある。
【0067】
図6に示す変形に関する他の実験では、セパレータは、静電気で永久的に帯電した約20μm直径の繊維を有する、大きさが11cm×25cmで1.5mm厚さの多数のポリプロピレンシートからなる。各シートは6mm径の孔又はチャンネルを備え、孔の直径のおよそ3〜10倍の距離で他のシートと隔てられており、このテストの場合では、この距離が20mmであり、約181ケの孔又はチャンネルが得られるように三角形のレイアウトが好ましい。
【0068】
各シートの裏面、すなわちガス排出物に関して反対側には、0.75mm厚さの孔あきアルミニウム板が備えられ(この孔はシートの孔に対応する)、その上にシートが例えば糊づけで好都合に固定されている。
【0069】
好ましくは、金属プレートの各端はシートと反対方向に約90°折り畳まれ、2つのシートを好ましくは約22mmの距離で隔てるため、2つの隣り合うシートの固定手段として役立つ堅固なフレームを形成するようにする。
【0070】
このテストに対し、セパレータは、静電気で帯電した19のシートブロックの積み重ねからなり、等しいサイズと等しい孔の配列の各2つの積み重ねたシートを含むモジュールを含み、各ブロックは互いに22のmm空間で隔てられており、各シートの孔は注意深く一直線に整列されている。このモジュールは両端開放のケース中に入れられ、その出口端は吸気装置につながれ、入り口端は吸気装置によってチャンネルを通して吸入されるガス排出物に通じている。ガス状排出物の流れ方向最後のシートの裏面に1枚だけのプレートを持つことも可能である。
【0071】
このテストの間、ガス排出物の流量は約70m3/時、圧降下が0.25kPaであり、粒子回収率は82%であった。
【0072】
もちろん、ガス排出物中に含まれる粒子を分離することを目的とした装置を形成するために、次々に配置した幾つかのシートブロックモジュールを同じケースに収容することができる。
【0073】
図5及び6の場合では、ガス流出物は各シート又は各シートブロックの上流で乱流状態にある。より詳しくは、シート又はシートブロックから流出するガス流出物は2つのシート又はシートブロックの間の空間で乱流状態に終わる。この乱流のため、乱流堆積メカニズムの結果として、超微細粒子が孔又はチャンネル周囲のシートの前表面に当たって静電気エネルギーの助けでこのシートの繊維によって収集される。
【0074】
さらに、粒子はまた特に図1及び2と関連して述べたように、シート又はシートブロックに形成された孔の層によって集めることができる。
【0075】
一定間隔シートのセパレータを使用することによって、図4に示すような積み重ねシートからなるブロックによって非常に多量の物質を獲得できることが観測できた。
【0076】
例として、図5の実施態様と同じ圧力降下と同じガス流出物流速で同じ粒子回収率を得るためには、約500ケの積み重ねシートからなるブロックを使用することが必要であろう。
【0077】
したがって、図5の実施態様は図4の実施態様に関しての90%を超える物質を留保できる。
【0078】
本発明は上述の実施例に限定されずにすべての変形を含む。
【0079】
チャンネルは、特別に、処理しようとする流出物が流れるグリッドパターンを形成するフェルトシートのアセンブリからなることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明のセパレータのチャンネルを説明する拡大断面図である。
【図2】本発明のセパレータの一部を示す斜視図である。
【図3】本発明の装置の構成を説明する模式断面図である。
【図4】本発明の実施態様の斜視図である。
【図5】本発明の変形を示す局所断面図である。
【図6】本発明の他の変形を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 ボデー
2 チャンネル
3 チャンネル2の周辺端層
4 インクロージャー
5 タンク
10 セパレータのボデー
11 シート
12 オリフィス
13 固定棒
14 連結棒
16 プレート(堅い薄板)
L チャンネル2の周辺端層3の厚さ
D チャンネル2の直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な粒子を含むガス状流出物を処理する、チャンネル(2)を有する、多孔質物質からなるセパレータであって、
多孔質物質がチャンネル(2)を含む多孔質繊維物質からなるシート(11)の形であり、
該シート(11)が、シートと同じ表面積を有する不浸透性物質でつくられ、かつ、シートのチャンネル(2)に相当する孔を備えるプレートによって支持されていること、
及び/又は
該シート(11)が、固定手段(13)により互いに一定間隔に配置されていること
を特徴とするセパレータ。
【請求項2】
多孔質物質の多孔率が、90〜99%の範囲にある、請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
多孔質物質を形成している細孔の大きさが、0.1〜5mmである、請求項1又は2に記載のセパレータ。
【請求項4】
多孔質物質を形成している繊維の径が、2〜100μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項5】
シート(11)の厚さが、1〜10mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項6】
微細な粒子を含むガス状流出物を処理する、チャンネル(2)を有する、多孔質物質からなるセパレータであって、
セパレータが、多孔質物質でつくられ、チャンネル(2)を含み、かつ、1つ以上の他のシートと実質的に平行で一定間隔に配置されている1つ以上のシート(11)からなる1つ以上のモジュールを含むこと、及び
前記シート(11)と同じ表面積を有する不浸透性物質でつくられ、シート(11)のチャンネル(2)に相当する孔を備えた1つ以上のプレート(16)を含むこと
を特徴とするセパレータ。
【請求項7】
多孔質物質の多孔率が90〜99%であり、細孔のサイズが0.1〜5mmであり、かつ、チャンネル(2)の直径が3〜15mmである、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
モジュールが、互いに一定の間隔に配置された2つ以上のシート(11)の2つ以上のサブアセンブリを含む、請求項6又は7に記載のセパレータ。
【請求項9】
シート(11)が、固定手段(13)によって互いに一定間隔に配置されている、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項10】
固定手段が、フレームからなる、請求項9に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記フレームが、プレート(16)から得られる、請求項10に記載のセパレータ。
【請求項12】
多孔質物質が、静電気で帯電している、請求項1〜11のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のセパレータを用いる、微細な粒子を含むガス状流出物の処理方法であって、
該ガス状流出物が、シート(11)の少なくとも片方の面を乱流状態で流れることを特徴とするガス状流出物の処理方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のセパレータを用いる、微細な粒子を含むガス状流出物の処理方法であって、
該ガス状流出物が、ディーゼルエンジンの排出ガスであることを特徴とするガス状流出物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−222871(P2007−222871A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80793(P2007−80793)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【分割の表示】特願2002−557505(P2002−557505)の分割
【原出願日】平成14年1月16日(2002.1.16)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【出願人】(503257712)デュリアン インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DULLIEN INC.
【Fターム(参考)】