説明

セファロスポリン合成に使用するための中間体の生成プロセス

本発明は、式(I)


(式中、R、R及びRは、互いに独立に、アキリル(aklyl)、アルケニル、アリール、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルバモイル−(C1−6)アルキル、アミノ−(C1−6)アルキル、アクラミノ(aclamino)−(C1−6)アルキルもしくはカルボキシ(C1−6)アルキルであるか、又は、R及びRは、隣接する窒素原子と一緒に、脂環式5員から8員複素環を形成し、Rは、アルキル、アルケニル又はアリールを表す。)の、セファロスポリン合成のための中間体の生成のための新規プロセスに関する。本発明によるプロセスは、好ましくない副産物、特に式(I)のΔ2−類似化合物の形成を大幅に減少させる点で注目に値する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、式
【0002】
【化11】

(式中、R、R及びRは、互いに独立に、アルキル、アルケニル、アリール、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルバモイル−(C1−6)アルキル、アミノ−(C1−6)アルキル、アシルアミノ−(C1−6)アルキル又はカルボキシ−(C1−6)アルキルであるか、又は、R及びRは、隣接する窒素原子と一緒に、脂環式の、5員から8員、好ましくは5員から6員、最も好ましくは5員の、脂環式、複素環式の環を形成し、該環は、窒素原子に加えて、酸素及びイオウからなる群から選択される(好ましくは酸素)、さらなる1又は2個のヘテロ原子も含有し得、Rは、アルキル、アルケニル又はアリールを表す。)の化合物の生成のためのプロセス、ならびに、式Iの化合物の、酸付加塩及び/又は水和物の生成のためのプロセスであって、
a)式III
【0003】
【化12】

の化合物を得るための、プロトン性溶媒を添加することによる、式II
【0004】
【化13】

(式中、Rは、シリル保護基である。)の化合物の脱シリル化と、
b)式Iの化合物を得るための、式IV
【0005】
【化14】

(式中、R、R及びRは、上記に示した意味を有する。)の有機塩基との、段階a)で得られた式IIIの化合物の反応と、
の反応段階を含むプロセスに関する。
【0006】
別段の指定がない場合、本発明の範囲内の各有機基は、1個から20個の炭素原子を含有する。アルキルは、とりわけ、(C1−8)アルキル、好ましくは、(C1−6)アルキル、例えば、(C1−4)アルキルである。アルケニルは、とりわけ、(C2−8)アルケニル、好ましくは、(C2−4)アルケニル、例えばビニルである。アリールは、とりわけ、(C6−18)アリール(ここで、アリールは、フェニルなどの1つの環か、又は例えばナフチルなどの2つのアネレーション(anellated)された環など、いくつかの環を示し得る。)である。アリールは、好ましくはフェニルである。アシルアミノアルキルは、とりわけ、(C1−12)−アシルアミノアルキル、例えば、(C1−6)−アシルアミノアルキルである。
【0007】
、R及びRは、互いに独立に、アルキル、アルケニル、アリール又はヒドロキシ(C1−6)アルキル、特に、アルキル及びアリール、例えばアルキルなど、である。
【0008】
及びRが隣接する窒素原子と一緒に、脂環式の5員から8員複素環を形成し、Rが、アルキル、アルケニル又はアリールを表す場合、複素環は、飽和しているか、又は部分的に不飽和であり得る。例えば、5員の複素環は、1個の二重結合を含有し得、6員の複素環は、1又は2個の二重結合を含有し得、7又は8員の複素環は、1から3個の二重結合を含有し得る。いかなる累積二重結合もない。この複素環は、非置換であるか、又は置換され得、例えば、アルキルにより、1回又は複数回、例えば2回又は3回など、置換され得る。Rは、好ましくは、メチル又はエチル、例えばメチル、などのアルキルである。式IVの環式複素環の例は、1−メチル−ピロリジン、1−メチル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール、1−メチル−ピペリジン、N−メチル−モルホリンである。
【0009】
シリル保護基には、カルボキシル及びアミノ基に対して、先行技術から公知である、適切なシリル保護基、特に、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、ジアリールアルキルシリル又はアリールジアルキルシリル基、例えば、tert.−ブチルジメチルシリル、トリメチルシリル、トリ−イソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル基が含まれる。トリアルキルシリル基が好ましく、特にトリメチルシリル基が好ましい。
【0010】
プロトン性溶媒は、保護されたカルボキシル及びアミノ基を脱シリル化するための、つまりそれらを脱保護するための、シリル保護基と反応する位置にある陽イオンを含有する溶媒である。
【0011】
適切なプロトン性溶媒は、とりわけ、アルコール、例えば、(C1−4)−アルコールなどの(C1−6)−アルコールである。本アルコールは、一級、二級又は三級アルコールであり得る。本アルコールの含水量は、基本的に水不含であるというように、5重量%以下であり、好ましくは、1重量%以下、とりわけ0.5重量%以下、例えば0.1重量%以下である。適切なアルコールは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、グリコール、2−メチル−プロパン−2−オール、グリセロール、プロパンジオール又はブタンジオールである。プロパンジオールの例は、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールである。ブタンジオールの例は、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール又は1,4−ブタンジオールである。好ましいプロトン性溶媒は、1,2−ブタンジオール又はイソプロパノールである。プロトン性溶媒はまた、様々なアルコールの混合物でもあり得る。
【0012】
添加されるプロトン性溶媒量は、決定的なものではなく、広範囲にわたり変化し得る。しかし、添加されるプロトン性溶媒量は、少なくとも、式IIの化合物の脱シリル化を完遂するのに十分な量であるべきであり、例えば、式IIの化合物に対して少なくとも2倍モル過剰量である。
【0013】
式IIIのN,O−ビス−シリル化3−ヨードメチル−3−セフェム化合物は、先行技術から公知の様式で、例えば、7−アミノ−セファロスポラン酸(7−ACA)を、シリル化剤と反応させ、次いでその反応産物をヨウ化剤と反応させることにより、EP612752A2に記載のように、生成され得る。
【0014】
反応段階a)及びb)は、好ましくは、式IIIの化合物のホモ重合化反応などの望ましくない二次反応を抑制するように、短時間を置いて連続で行われる。短時間は、例えば、プロトン性溶媒及び続いて式IVの化合物を、式IIの化合物の溶液又は懸濁液に、1時間にわたり、例えば、30分以内又は10分以内で、添加すると、達成され得る。さらに好ましい実施形態は、反応段階a)及びb)を1つの反応容器において同時に行うことに存する。これは、式IIの化合物の溶液又は懸濁液への、プロトン性溶媒と式IVの化合物との、同時添加又はほぼ同時添加、例えば1分間以内の添加、により行われ得る。このようにして、式Iの化合物を、例えば、ヨウ化水素酸塩の形態など、酸付加塩の形態で、直接沈殿させ得る。
【0015】
反応段階a)及びb)が行われる温度は、決定的なものではない。反応段階a)及びb)は、有利に、−80℃から+40℃、好ましくは−40℃から0℃、例えば−30℃から−20℃の温度で進められる。より高温では、式IIIの化合物の分解産物などの望ましくない副産物が次第に観察されるようになり、より低温では、収率は増加するが、反応速度が顕著に低下する。
【0016】
式IVの化合物の必要量は、式IIIの化合物の溶液又は懸濁液中の、水素イオンの濃度及び、式IVの化合物が反応できるさらなる化合物(例えば、トリメチルヨードシランなど過剰なヨウ化剤)の存在に依存する。例えば、式IIIの化合物に対して1.5倍から10倍モル過剰量、例えば2倍から5倍過剰量など、式IIIの化合物に対して、式IVの化合物の過剰量を添加することが好ましい。
【0017】
式Iの化合物は、例えば公知のプロセスに類似した、公知の方法により、単離及び精製され得る。式Iによる化合物が酸付加塩として沈殿する場合、反応混合物から直接それを単離することができる。これを行うために、例えば、陰イオン交換体を使用した、水性又は水/有機相(例えばジクロロメタン/水)中の沈殿した式Iの化合物の精製など、公知のプロセスを使用し得る。使用される陰イオン交換体は、市販の陰イオン交換体、例えばAmberlite(R)LA−2であり得る。本発明による反応の反応混合物からの式Iの化合物を精製及び単離するさらなる可能な方法は、公知の方式で行われる水性酸性抽出(例えば、希硫酸、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸などの、希有機又は無機酸を用いる。)であり、この方法により、例えば、アセトン又はイソプロパノールなど対溶媒(counter−solvent)の添加によって、式Iの化合物を水相から沈殿させる。
【0018】
式Iの化合物は、遊離形態、つまり、ベタインの形態、酸付加塩の形態及び/又は水和物の形態で、得られ得る。式Iの化合物のある形態から別の形態への変換は、例えば、公知のプロセスの類似のプロセスに従い行われ得る。とりわけ、酸付加塩は、対応する無機又は有機酸を式Iの化合物の溶液に添加し、続いて沈殿させることにより、得られ得るか、又は変換され得る。このプロセスは、pH値の調整、特異的な酸付加塩(例えば一−酸付加塩又は二−酸付加塩)の形成など、適切な条件により制御される。式Iの化合物の好ましい酸付加塩は、硫酸水素塩、ヨウ化水素酸塩、塩酸塩又は臭化水素酸塩である。ヨウ化水素酸塩又は塩酸塩が特に好ましく、とりわけ、式Iの化合物の一塩酸塩又は二塩酸塩などの塩酸塩が好ましい。式Iの化合物の酸付加塩はまた、水和物、例えば、一水和物、二水和物又は三水和物、例えば一水和物、としても存在し得る。
【0019】
式Iの化合物の水和物は、例えば、水の存在下での沈殿など、公知の方式において生成させることができる。特に好ましい実施形態において、本発明によるプロセスで、式Iの化合物は、一塩酸塩一水和物の形態で得られる。
【0020】
本発明によるプロセスの、特に好ましいある実施形態は、式IA
【0021】
【化15】

の化合物が得られるようするための、R及びRが、一緒に、C−アルキレン基を表し、隣接する窒素原子と一緒に、飽和5員複素環を形成し、Rが、メチル基を表す、式Iの化合物の生成に関する。既に上記で述べられているように、式IAの化合物を遊離化合物として、つまりベタインの形態で、又は酸付加塩の形態及び/又は水和物の形態で、生成させることができる。特に好ましいのは、一ヨウ化水素酸塩などのヨウ化水素酸塩、一臭化水素酸塩などの臭化水素酸塩又は一もしくは二塩酸塩などの塩酸塩、特に水和物の形態の、例えば、一塩酸塩一水和物の形態又は二塩酸塩一水和物の形態の、式IAの化合物である。
【0022】
遊離形態又は酸付加塩形態及び/又は水和物形態の式Iの化合物は、抗菌活性を有するセファロスポリンの調製における、有用な中間体である。
【0023】
例えば、式IAの化合物は、式V
【0024】
【化16】

のセフェピム調製における、有用な中間体化合物である。したがって、さらなる態様において、本発明は、
a)式III
【0025】
【化17】

の化合物を得るための、プロトン性溶媒を添加することによる、式II
【0026】
【化18】

(式中、Rは、シリル保護基である。)の化合物の脱シリル化と、
b)式IA
【0027】
【化19】

の化合物を得るための、式IVA
【0028】
【化20】

の強有機塩基との、段階a)において得られる式IIIの化合物の反応と、
c)段階b)で得られるような、式IAの化合物の、酸付加塩及び/又は水和物の形態への任意の変換と、
d)式Vのセフェピムを得るための、段階b)から得られる式IAの化合物又は段階c)から得られるその酸付加塩及び/又は水和物の、7−アミノ基のアシル化と、
の反応段階を含む、
式Vのセフェピム又はその酸付加塩及び/又はその水和物の1つの生成のためのプロセスに関する。
【0029】
段階d)における式IAの化合物の7−アミノ基のアシル化は、例えば、公知のプロセスと類似のプロセスに従い行われ得る。式Vのセフェピムには、例えば、German Offenlegungsschrift DE3626375Aの、先行技術から公知であるような、その全形態のセフェピムが含まれる。とりわけ、セフェピムは、遊離形態、塩の形態、特に酸付加塩及び/又は溶媒和物、例えば水和物、の形態で存在し得る。
【0030】
式Iの化合物の生成のための先行プロセスに関するある問題は、対応するΔ−2化合物が副産物として大量に形成されることであった(例えば、Walkerら、J.Org.Chem.53,1988,p.983から991、985頁の表1参照、により記載されているように。)。Δ2−化合物は、セファロスポリン骨格の3位の二重結合のかわりに、2位に二重結合を有する。セフェピムを含む、抗菌活性を有する得られるセファロスポリンの殆どが、Δ3−化合物であるので、Δ−2化合物は、対応する所望のΔ3−化合物から、式Iの中間体のステージか、又は最終産物のステージのいずれかで、分離されなければならない。対応するΔ3及びΔ2−化合物の間の物理化学的類似性の観点において、Δ2−化合物の分離は困難かつ費用が嵩む。さらに、Δ2−化合物を破棄しなければならず、例えば、所望するΔ3最終産物を形成するためのさらなる反応に使用できないので、この生成プロセスからの総収率が大幅に低下する。
【0031】
驚くべきことに、今回、本発明からのプロセスを使用することにより、式IのΔ2−化合物の形成を実質的に抑制することが可能であることを見出した。本発明によるプロセスを用いて生成される式Iの化合物のΔ3/Δ2比は、95/5を超え、例えば99/1を超え、とりわけ99.5/0.5を超える(99.9/0.1を超えるなど。)。このようにして、本発明によるプロセスを用いて生成される式Iの化合物のΔ2−生成物の存在量は、実際的な検出限界を下回り得る。さらに、本発明によるプロセスにより、式Iの化合物のΔ3−化合物の総収率が向上し、例えば、使用される7−アミノセファロスポラン酸(7−ACA)を基に、理論的収率が50%を超える(例えば60%を超えるか、70%を超える。)ようになる。Δ3/Δ2比の評価は、例えばHPLCなど、公知の分析法により行われる。本発明のプロセスのさらなる長所は、例えばGB2165245Aに述べられるように、反応混合物から望ましくないΔ2−化合物を分離するための、不経済かつ複雑な処理段階を省くことである。
【0032】
3−ヨードメチル基及び、式IIIの化合物の非保護7−アミノ及び4−カルボキシル基の特定の反応性のために、3−ヨードメチル基で起こる求核性置換の前に式IIの化合物の脱シリル化が行われると、望ましくない副産物、例えばホモ重合化合物の形成が増加すると予想されるので、本発明によるプロセスから優れた結果が得られることは非常に驚くべきことであった。
【0033】
次の実施例は、本発明によるプロセスを例示するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。温度は全て摂氏(℃)で示す。
【0034】
実施例
【実施例1】
【0035】
7−アミノ−3−[(1−メチル−1−ピロリジニウム)メチル]ceph−3−em−4−カルボキシレート塩酸塩水和物(=1−[(7−アミノ−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−3−イル)メチル]−1−メチル−ピロリジニウム−塩化物水和物又は「NMP−ACA.HCl.HO」)。
【0036】
ジクロロメタン 950ml中の、3−アセトキシ−7−トリメチルシリルアミノ−3−セフェム−4−カルボン酸トリメチルシリルエステル(ビスシリル化7−ACA) 76.5gの溶液を、−1℃で、トリメチルヨードシラン(TMSI) 40.2mlと混合する。−3℃にて17時間撹拌後、その反応溶液を−20℃に冷却し、−18℃から−20℃にて、ジクロロメタン 200ml、1,2−ブタンジオール 80ml及びN−メチルピロリジン(NMPI) 69mlの混合物に撹拌注入する。得られる懸濁液を−20℃にてさらに15分間撹拌し、次いで、その溶液を、水 200ml及び濃塩酸 110mlに添加する。5分間激しく撹拌した後、相分離が起こる。水相を600gまで水で満たす。次に、アセトン 1200mlを添加し、その溶液を種結晶と混合し、0℃に冷却する。その溶液を1時間、結晶化させるために静置し、次いで、トリエチルアミンでpH値をpH2.5に調整し、室温(25℃)にて10分間撹拌する。
【0037】
吸引により沈殿物を濾過し、アセトン/水(9:1)の混合物で2回洗浄し、次いでアセトンで2回洗浄し、続いて、Pにて、45℃/10mbarで乾燥させる。白色の結晶性物質、NMP−ACA 46.6g(理論的収率 73%)が、85.6% 7−アミノ−3−[(1−メチル−1−ピロリジニウム)メチル]ceph−3−em−4−カルボキシレートを含む、塩酸塩一水和物として得られる。7−アミノ−3−[(1−メチル−1−ピロリジニウム)メチル]ceph−2−em−4−カルボキシレートの含量は、0.1重量%未満である。
【0038】
NMRデータ
H−NMR(300MHz,DO):δ(ppm)=2.14(m,4H,−NCH−);2.93(s,3H,C−);3.41−3.60(m,5H,−NCH−,SC);3.87(d,1H,J=16.9Hz,SC);3.92,4.67(2d,2H,J=13.9Hz,−C−N−);4.78(d,1H,J=5.2Hz,H−7);5.13(d,j=5.2Hz,H−6)。M.p.:165℃(分解)。
【実施例2】
【0039】
7−アミノ−3−[(1−メチル−1−ピロリジニウム)メチル]ceph−3−em−4−カルボキシレート(NMP−ACA)
【0040】
ジクロロメタン 1900ml中の、3−アセトキシ−7−トリメチルシリルアミノ−3−セフェム−4−カルボン酸トリメチルシリルエステル(ビスシリル化7−ACA) 153gの溶液を、−3℃で、トリメチルヨードシラン 80.4mlと混合する。−3℃にて17時間撹拌後、その反応溶液を−30℃に冷却し、最高温度18℃にて、イソプロパノール 2500ml及びN−メチルピロリジン 250mlの混合物に撹拌注入する。得られる懸濁液を18℃にて3.5時間撹拌する。次いで、吸引により沈殿物を濾過し、イソプロパノール 1000ml及びメチルブチルエーテル 1000mlで洗浄し、続いて、室温にて真空乾燥させる。7−アミノ−3−[(1−メチル−1−ピロリジニウム)メチル]ceph−3−em−4−カルボキシレート 97.5gが得られる。
【実施例3】
【0041】
7−アミノ−3−[(1−メチル−1−ピロリジニウム)メチル]ceph−3−em−4−カルボン酸塩化物 塩酸塩水和物(=1−[(7−アミノ−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−3−イル)メチル]1−メチル−ピロリジニウム−塩化物 塩酸塩水和物又は「NMP−ACA.2HCl.HO」)
【0042】
ジクロロメタン 950ml中の、3−アセトキシ−7−トリメチルシリルアミノ−3−セフェム−4−カルボン酸トリメチルシリルエステル(ビスシリル化7−ACA) 76.5gの溶液を、−1℃で、トリメチルヨードシラン(TMSI) 40.2mlと混合する。−3℃にて17時間撹拌後、その反応溶液を−20℃に冷却し、−18℃から−20℃にて、ジクロロメタン200ml、1,2−ブタンジオール 80ml及びN−メチルピロリジン(NMPI) 69mlの混合物に撹拌注入する。得られる懸濁液を−20℃にてさらに15分間撹拌し、次いで、その溶液を、水 80ml及び濃塩酸 120mlに添加する。5分間激しく撹拌した後、相分離が起こる。
【0043】
温度が17℃を超えないように水相にアセトン 200mlを滴下添加する。濃塩酸を添加することにより、pHをpH0.5以下に調整する。その溶液が濁るまで、アセトンを続けて添加し、種結晶を播種する。17℃にて40分間撹拌した後、その懸濁液を0℃に冷却し、60分間撹拌する。アセトンをさらに900ml、ゆっくりと添加した後、その懸濁液を0℃にてさらに20分間撹拌する。次いで、結晶性沈殿物を吸引により濾過し、アセトン/水(9:1)の混合物で2回洗浄し、次いでアセトンでさらに2回洗浄し、続いて、Pにて、45℃/10mbarで乾燥させる。淡黄色の結晶性粉末の形態で、7−アミノ−3−[(1−メチル−1−ピロリジニウム)メチル]ceph−3−em−4−カルボン酸塩化物 塩酸塩水和物(NMP−ACA.2HCl.HO)54.12g(理論的収率 65.1%)を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(式中、R、R及びRは、互いに独立に、アルキル、アルケニル、アリール、ヒドロキシ(C1−6)アルキル、カルバモイル−(C1−6)アルキル、アミノ−(C1−6)アルキル、アシルアミノ−(C1−6)アルキルもしくはカルボキシ−(C1−6)アルキルであるか、又は、R及びRは、隣接する窒素原子と一緒に、脂環式5員から8員複素環を形成し、該環は、窒素原子に加えて、酸素及びイオウからなる群から選択される、さらなる1又は2個のヘテロ原子も含有し得、Rは、アルキル、アルケニル又はアリールを表す。)
の化合物ならびに、式Iの化合物の、酸付加塩及び/又は水和物の生成のための、プロセスであって、
a)式
【化2】

の化合物を得るための、プロトン性溶媒を添加することによる、式
【化3】

(式中、Rは、シリル保護基である。)の化合物の脱シリル化と、
b)式Iの化合物を得るための、式
【化4】

(式中、R、R及びRは、上記に示した意味を有する。)の有機塩基との、段階a)で得られた式IIIの化合物の反応、
の反応段階を含む、前記プロセス。
【請求項2】
段階a)及びb)が1つの反応容器中で同時に行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
、R及びRが、互いに独立に、アルキル、アルケニル、アリール又はヒドロキシ(C1−6)アルキルである、請求項1又は請求項2の一項に記載のプロセス。
【請求項4】
及びRが、一緒に、C−アルキレン基を表し、隣接する窒素原子と一緒に、飽和5員複素環を形成し、Rが、メチル基を表し、その結果、式
【化5】

の化合物が得られる、請求項1又は請求項2の一項に記載のプロセス。
【請求項5】
プロトン性溶媒が、(C1−4)−アルコール又はいくつかの(C1−4)−アルコールの混合物である、請求項1から請求項4の一項に記載のプロセス。
【請求項6】
アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、2−メチル−プロパン−2−オール、グリコール、グリセロール、プロパンジオール又はブタンジオールである、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
アルコールが、イソプロパノール又は1,2−ブタンジオールである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
段階b)から得られる式Iの化合物が、酸付加塩及び/又は水和物の形態で得られるか、又は酸付加塩及び/又は水和物に変換される、請求項1から7の一項に記載のプロセス。
【請求項9】
酸付加塩が、ヨウ化水素酸塩又は塩酸塩である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
水和物が、一水和物である、請求項8から9の一項に記載のプロセス。
【請求項11】

【化6】

のセフェピム又はその酸付加塩及び/又はその水和物の1つの生成のためのプロセスであって、
a)式
【化7】

の化合物を得るための、プロトン性溶媒を添加することによる、式
【化8】

(式中、Rは、シリル保護基である。)の化合物の脱シリル化と、
b)式
【化9】

の化合物を得るための、式
【化10】

の強有機塩基との、段階a)において得られる式IIIの化合物の反応と、
c)段階b)から得られた式IAの化合物の、酸付加塩及び/又は水和物の形態への任意の変換と、
d)式Vのセフェピムを得るための、段階b)から得られる式IAの化合物又は段階c)から得られるその酸付加塩及び/又は水和物の、7−アミノ基のアシル化と、
の反応段階を含む、前記プロセス。

【公表番号】特表2007−515453(P2007−515453A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546070(P2006−546070)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014646
【国際公開番号】WO2005/063772
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(593045444)サンド・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】