説明

セメントプラント耐火アンカー

ステンレス鋼から形成された本体を含むセメントプラント耐火アンカー(10)であり、前記本体の外面が、高温パックセメンテーションプロセスにより形成された鉄アルミナイド相の表面拡散コーティングを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントプラントのプレヒータタワーにて用いるためのセメントプラント耐火アンカーに関する。しかし、当業者には、本発明がプレヒータタワーに限定されず、熱交換器、膨張ベローズ、バーナ、管ハンガー、及び、セメント産業にて用いられるその他の高温部品に適用され得ることが理解されよう。
【背景技術】
【0002】
ポルトランドセメントは、コンクリート及びモルタルの両方における基本原料である。ポルトランドセメントの製造は、石灰石を少量のその他の材料(例えば粘土)と組み合わせ、そして、この混合物をキルン(窯)内で加熱することを含む。得られた生成物を焼結して塊又は小塊にし、これは一般に「クリンカ」と称される。その後、クリンカを石膏と共に粉体状に粉砕して「普通ポルトランドセメント」(‘ordinary Portland cement’)をつくる。これは、最も一般的に用いられているタイプのセメントである。
【0003】
セメントプラントにおいて、プレヒータタワーがクリンカ製造工程にて用いられる。プレヒータタワーは、原材料(例えば、石灰石及びクレイ)をキルンに入れる通路である一連の垂直チャンバサイクロンを支持する。クリンカ中のその他の添加物は、塩化物、硫黄、アルカライド(alkalide)、一酸化炭素、窒素酸化物、及び二酸化硫黄を含む。原材料はキルンに入る前に予熱され、熱ガスがライザ及びダクトを用いて循環される。ライザ及びダクト内の温度範囲は、典型的には850℃〜950℃である。
【0004】
サイクロン及びライザの内壁は耐火材料によりライニングされ、耐火材料は耐火アンカーにより機械的に支持される。耐火アンカーは、典型的には、サイクロン及びライザの外側スチールシェルに溶接されたステンレス鋼アンカーである。耐火アンカーはスチールシェルに溶接され、その後、耐火材料がシェルに、2つの層にて付けられる。絶縁層がシェルに隣接して配置され、第2の層である高温面の層(hot face layer)が、シェルから最も離れた位置に配置されている。耐火アンカーは絶縁層及び高温面層の両方を通って延在する。耐火材料自体がスチールシェルに十分に接着しないため、アンカーは、耐火ライニングをシェルに機械的に固定することを補助するマトリクスに配置される。
【0005】
耐火アンカーは、典型的に、253MAステンレス鋼から製造される。253MAは、希土類金属を含むオーステナイト系クロムニッケル鋼である。253MAの典型的な組成は、クロムを20%〜22%、ニッケルを10%〜12%、シリコンを1.4%〜2%、並びに少量のカーボン、マンガン、窒素及びセリウムを含み得る。そして残りの成分が鉄であり得る。
【0006】
253MAステンレス鋼は、高温にて高い強度を有し、従って、約900℃までの温度での構造用途にしばしば用いられる。253MAは、1150℃までの温度の空気に対して優れた抵抗性をもたらす。なぜなら、253MAステンレス鋼は、高温にて、薄い弾性の酸化物を急速に形成し、これが、表面を保護する犠牲ライニングとして機能するからである。さらに、253MAステンレス鋼は、シグマ相脆化に対する良好な耐性を有する。上記の全ての条件により、253MAステンレス鋼は、セメントプラントにおける耐火アンカーのための良好な選択肢とされる。
【0007】
耐火アンカーの故障が、セメントプラントにて十分に認識されている問題である。耐火アンカーが故障すると、耐火材料の一部がスチールシェルから分離してサイクロンを閉塞させることがある。さらに、メンテナンスによる運転停止の間、耐火アンカーの故障はいずれも労働者の生命を危険にさらすため、安全性が非常に懸念される。
【0008】
セメントプラントにおいて、COの放出を低減してエネルギーの回収を最大にするために代替燃料も用いられる。代替燃料は、タイヤ、ゴム紙くず、廃油、廃木、製紙スラッジ、下水スラッジ、プラスチック、及び使用済み溶剤を含むがこれらに限定されない。これらの代替燃料をセメントプラントのプレヒータタワー及びキルン内で燃焼させると、高濃度の塩化物、硫黄、リン酸塩、バナジウム及び重金属(これらの物質に限定されない)が排出される。
【0009】
本出願の出願人は、高温の塩素処理浸蝕がセメントプラントにおける耐火アンカーの故障の主な原因であることを発見した。耐火材料が多孔質であることが、耐火アンカーが配置されている耐火ライニングの内部に塩素が深く侵入することを可能にしている。塩素はアンカーの表面の酸化物スケールの孔を通って拡散し、揮発性金属塩化物を形成する。時間の経過と共に、253MAステンレス鋼の塩素誘発性腐食により重大な金属損耗が生じ、最終的に、耐火アンカーの故障と、それにより耐火ライニングの故障とを生じる。
【0010】
さらに、金属酸化物の成長により生じる応力が、高温面の耐火ライニングの亀裂を促進することがある。耐火材におけるこのような亀裂により、腐食性塩素がアンカーに達する流路が生じる。
【0011】
実際、セメントプラントにおける耐火アンカーの寿命は、一般的に約2年である。寿命終了時、コスト高となる運転停止の期間に、耐火材料を除去して再び設置しなければならない。修理及びメンテナンスのためのセメントプラントの閉鎖は、プラント運営担当者にとってかなりの費用負担となる。
【0012】
耐火アンカーの寿命を長くするために、耐火アンカーの表面をジルコンベースの塗料で保護することが知られている。ジルコン塗料自体は耐火アンカーの表面を浸蝕する有害な酸及び化学物質に対して耐性を有するが、ジルコン塗料は耐火アンカーの縁部及び角部を十分に保護しない。また、セメントプラント内で生じる動作温度にて、253MAステンレス鋼の熱膨張のレベルは、ジルコンコーティングの熱膨張レベルとは異なる。従って、時間の経過に伴い、ジルコン塗料がアンカーから分離して、耐火アンカーが塩素処理の影響を受け易くなることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記の欠点の1以上を実質的に克服し、又は少なくとも改善し、或いは、既存の耐火アンカーの有用な代替物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の態様において、ステンレス鋼から形成された本体を備え、前記本体の外面が、高温パックセメンテーションプロセスにより形成された鉄アルミナイド相の表面拡散コーティングを備える、セメントプラント耐火アンカーを提供する。
【0015】
本発明は、第2の態様において、ステンレス鋼から形成された本体を備え、前記本体の外面が、高温共蒸着パックセメンテーションプロセスにより形成された鉄アルミナイド相及びニッケルアルミナイド相の表面拡散コーティングを備える、セメントプラント耐火アンカーを提供する。
【0016】
前記ステンレス鋼は、好ましくは、253MAグレードである。
【0017】
また、前記表面拡散コーティングは、好ましくは、共蒸着高温パックセメンテーションプロセスにより形成された前記鉄アルミナイド相及びニッケルアルミナイド相中にクロムも含む。
【0018】
前記アンカーは、好ましくは、セメントプラント内の面に固定可能な近位端と、ほぼY字状の外形を画成している2つのアームに分割された遠位端とを有するステムを有する。
【0019】
本発明は、第3の態様において、ステンレス鋼セメントプラント耐火アンカーの外面上に、高温塩素処理浸蝕に対する保護をもたらす保護層を高温パックセメンテーションにより形成するための方法を提供する。前記方法は、
レトルト内に、
溶融アルミナ(Al)充填剤、
アルミニウム又はニッケル−アルミニウム若しくはクロム−アルミニウムのマスター合金、及び、
ハロゲン化物塩活性剤を含む混合物
を配置するステップと、
前記耐火アンカーを前記混合物内に配置するステップと、
前記ハロゲン化物塩を前記アルミニウム又はアルミニウムの合金と反応させるために前記レトルト内の温度を950℃〜1100℃に上昇させ、それにより、耐火アンカーの前記外面に気体拡散により運ばれる気体金属ハロゲン化物を形成するステップとを含み、
前記金属ハロゲン化物が前記ステンレス鋼の表面と反応し、前記アルミニウム又はアルミニウム−クロムを、前記耐火アンカーの前記表面上に拡散コーティングとして蒸着させる。
【0020】
前記拡散コーティングは、好ましくは、鉄アルミナイド、又は、鉄アルミナイド及びニッケルアルミナイドである。
【0021】
前記ハロゲン化物塩活性剤は、好ましくはフッ化ナトリウムである。
【0022】
前記ハロゲン化物塩活性剤は、好ましくは塩化アンモニウム及び塩化ナトリウムである。
【0023】
前記マスター合金は、好ましくは、アルミニウムクロム(Al−Cr)であり、前記方法により、クロムを含む鉄アルミナイド及びニッケルアルミナイドの共蒸着拡散コーティングが形成される。
【0024】
前記レトルト内の温度を上昇させる前記ステップは、好ましくは、前記レトルトを約3時間にわたり約200℃で予熱し、且つ前記温度を約8時間にわたり約1100℃に上昇させることを含む。
【0025】
前記レトルト内の温度を上昇させる前記ステップは、好ましくは、前記レトルトを約3時間にわたり約200℃で予熱し、且つ前記温度を約16時間にわたり約1100℃に上昇させることを含む。
【0026】
前記方法は、好ましくは、不活性ガスを前記レトルトの外部周囲にて循環させるステップを含む。
【0027】
前記方法は、さらに、前記保護層中の酸化アルミニウムを増大させるために前記耐火アンカーを過酸化物により処理するステップを含む。
【0028】
ここで、本発明の好ましい実施形態を、具体的な例を用いて、添付図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】スチールシェルに固定された253MAステンレス鋼耐火アンカーを示す。
【図2】図3に示す高温パックセメンテーションプロセスにて用いられるレトルトを示す概略図である。
【図3】図1の耐火アンカーに拡散コーティングを形成するための高温パックセメンテーションプロセスを示す温度時間図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の実施形態においては、253MAステンレス鋼、又は類似のグレードのステンレス鋼からつくられた耐火アンカー10が、耐火アンカー10の外側基板層に保護コーティングを塗布する「パックセメンテーション」(“pack cementation”)(拡散浸透)又はパック拡散プロセスにより処理される。
【0031】
パックセメンテーションを行う前に、耐火アンカーの表面にグリットブラスト処理(粒状物高圧吹付け洗浄)を施すことができ、それにより拡散コーティングのための準備がされる。
【0032】
コーティング材料が基板の表面に拡散し、外側基板層の粒状構造の一部となり、それにより、拡散コーティングを耐火アンカー10上に形成する。図1に示すように、アンカー10は、セメントプラント内の面に固定可能な近位端と、ほぼY字状の外形を画成している2つのアームに分割された遠位端とを有するステムを有する。
【0033】
図1に示されているように、耐火アンカーは、サイクロン及びライザのスチールシェル12に溶接されている。アンカー10は、シェルに隣接した耐火絶縁層14と、シェル12から最も離れた位置の高温面層16とに延在している。
【0034】
図2に示されているように、パック材料混合物20が、レトルト22又は別のこのような密閉容器内に配置され、処理される耐火アンカー10が、レトルト22内に、パック材料20間に間隔を有して配置されている。レトルト22は、一般的にパック材料20を詰め込まれ、密閉され、そして、炉24内に配置される。
【0035】
第1の実施形態のパック材料20は多数の成分を含む。ここで、これらをより詳細に説明する。
【0036】
パック材料中にマスター合金が粉体の形態で含まれる。マスター合金は、最終的に耐火アンカー10の表面上に相互拡散(inter−diffused)層として蒸着される金属又は金属合金を含む。マスター合金は、アルミニウム(Al)、クロム−アルミニウム(Cr−Al)、シリコン(Si)、ニッケル−アルミニウム(Ni−Al)、又は別の適切な合金であり得る。
【0037】
第1の実施形態によれば、耐火アンカー10に拡散コーティングを施すために用いられるマスター合金は、アルミニウム、又は、ニッケル−アルミニウム若しくはクロム−アルミニウムである。
【0038】
また、パック材料20は不活性充填剤も含む。不活性充填剤は溶融アルミナAlであり、レトルト22内で耐火アンカー10を物理的に支持する。さらに、不活性充填剤は、セメンテーション粉体を通るガス流路をもたらすように十分に多孔質である。これが、気体の金属ハロゲン化物が耐火アンカー10の基板表面上に移動することを可能にする。また、不活性充填剤は金属マスター合金自体の焼結を防止するようにも機能する。
【0039】
また、パック材料20は活性剤を必要とし、この活性剤は、アルミナイジングパックのためのハロゲン化物塩フッ化ナトリウム、又は、共蒸着パックのための塩化アンモニウム、塩化ナトリウムの形態である。レトルト22内の温度が上昇すると、ハロゲン化物塩がアルミニウムと反応し、気体の金属ハロゲン化物AlXnを生成する。気体金属ハロゲン化物は、気体拡散により耐火アンカー10の表面に運ばれる。次いで、金属ハロゲン化物は、253MAステンレス鋼アンカー10の表面と反応し、マスター合金を、耐火アンカー10の表面に、典型的には鉄アルミナイドの拡散コーティングとして蒸着させる。
【0040】
基板表面にて、蒸着プロセスによりガスが分解され、それにより、鉄アルミナイド、又は鉄アルミナイド相及びニッケルアルミナイド相を蒸着させ、ハロゲン活性剤を放出してパックに戻す。そして、ハロゲン化物活性剤はアルミニウム粉体と自由に反応し、金属ハロゲン化物AlXnを再形成する。こうして、パックセメンテーションプロセスは、パック内にアルミニウムが存在しなくなるまで、或いは、熱が減少し、化学反応が終了するまで続けられる。
【0041】
図2に示されているように、不燃性の不活性ガス(例えば、95%のアルゴン(Ar)と5%の水素(H)とから成るArgoplas5)がレトルト22の周囲を循環する。不活性ガスは2つ以上の流路に流入することができ、図2に示されているように、不活性ガスの第1の流れが導管26内に入り、導管28を通って外に出る。さらに、不活性ガスの第2の流れが導管30内に入り、導管32を通って外に出る。不活性ガスは、レトルト周囲のキャビティ内を自由に循環する。また、レトルト22を持ち上げてレトルト22の下にガス流路を設けるためにセラミックスペーサ36が用いられている。不活性ガスは還元状況を確立し、酸素/空気の全てをシステムから排出させる。
【0042】
レトルト22内の内部温度をセメンテーション粉体間にて監視するために、アルミナシースを有する熱電対34が設けられている。
【0043】
耐火アンカー10の表面処理のためのプロセスは、レトルトを約200℃に予熱して、セメンテーション粉体内の水分を除去し、且つ、残留酸素をシステムから排出することを含む。約3時間後、温度を950℃〜1100℃に上昇させ、この上昇した温度で8時間〜16時間維持する。次いで、温度を下げて、耐火アンカー10を炉から取り出す。
【0044】
253MAステンレスからつくられる耐火アンカーの第2の実施形態も開示する。第1の実施形態と同様の参照番号を用いる。第2の実施形態において、耐火アンカー10は、クロム−アルミニウムCr−Alの共蒸着プロセスにおけるパックセメンテーションにより処理される。このプロセスは、第1の実施形態に関する上記のプロセスと類似である。しかし、マスター合金が、アルミニウムとクロムとの混合物を含む。これは、合金であっても、又は、アルミニウム粒子とクロム粒子との混合物であってもよい。共蒸着プロセスにより、クロムとアルミニウムとの拡散コーティングが生成され、このコーティングは、鉄アルミナイドのみの拡散コーティングよりも耐亀裂性が大きい。第2の実施形態において、用いられるハロゲン化物塩は、塩化アンモニウムNHCl及び塩化ナトリウムである。同一の不活性充填剤(溶融アルミナAl)が用いられる。
【0045】
パックセメンテーションプロセスにより形成される拡散コーティングの厚さは、150ミクロン〜200ミクロンの範囲である。
【0046】
拡散コーティングプロセスプロセスが完了したとき、コーティングは、鉄アルミナイドの外側層と、253MAステンレス鋼基板内へのアルミニウムの内部拡散による内側層とを含む。
【0047】
パックセメンテーションプロセスの完了後、拡散コーティング中の酸化アルミニウムを増大させるために、耐火アンカー10を過酸化物により処理する。
【0048】
第1の実施形態及び第2の実施形態のプロセスの利点は、形成されるコーティングが均一で非常にコンパクトであり、基板の表面に拡散され、且つ、高温の塩素誘発性腐食に対して耐性を有することである。
【0049】
さらなる利点は、鉄アルミナイド又は鉄アルミナイド相及びニッケルアルミナイド相に形成される酸化アルミニウムAl拡散層が、他の要素よりも高い熱力学的安定性を有することである。酸化アルミニウムは、塩素誘発性腐食浸蝕からの保護バリアとして機能する。
【0050】
さらなる利点は、高温パックセメンテーションプロセスが耐火アンカー10の複雑な形状により制限を受けず、耐火アンカー10がほぼY字状の外形を有することも関係ないことである。拡散コーティングは、アンカー10の角部及び屈曲部に浸透することができる。
【0051】
本発明を特定の実施形態に関して記載してきたが、当業者には、本発明が、多くのその他の形態で具体化され得ることが理解されよう。
【符号の説明】
【0052】
10 耐火アンカー
12 スチールシェル
14 耐火絶縁層
16 高温面層
20 パック材料混合物
22 レトルト
24 炉
26 導管
28 導管
30 導管
32 導管
34 熱電対
36 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼から形成された本体を備え、前記本体の外面が、高温パックセメンテーションプロセスにより形成された鉄アルミナイド相の表面拡散コーティングを備える、セメントプラント耐火アンカー。
【請求項2】
ステンレス鋼から形成された本体を備え、前記本体の外面が、高温共蒸着パックセメンテーションプロセスにより形成された鉄アルミナイド相及びニッケルアルミナイド相の表面拡散コーティングを備える、セメントプラント耐火アンカー。
【請求項3】
前記ステンレス鋼が253MAグレードである請求項1又は2に記載の耐火アンカー。
【請求項4】
前記表面拡散コーティングが、共蒸着高温パックセメンテーションプロセスにより形成された前記鉄アルミナイド相及びニッケルアルミナイド相中にクロムも備える請求項3に記載の耐火アンカー。
【請求項5】
前記アンカーが、前記セメントプラント内の面に固定可能な近位端と、ほぼY字状の外形を画成している2つのアームに分割された遠位端とを有するステムを備える請求項1から4のいずれか一項に記載の耐火アンカー。
【請求項6】
ステンレス鋼セメントプラント耐火アンカーの外面上に、高温塩素処理浸蝕に対する保護をもたらす保護層を高温パックセメンテーションにより形成するための方法であって、
レトルト内に、
溶融アルミナ(Al)充填剤、
アルミニウム又はニッケル−アルミニウム若しくはクロム−アルミニウムのマスター合金、及び、
ハロゲン化物塩活性剤を含む混合物
を配置するステップと、
前記耐火アンカーを前記混合物内に配置するステップと、
前記ハロゲン化物塩を前記アルミニウム又はアルミニウムの合金と反応させるために前記レトルト内の温度を950℃〜1100℃に上昇させ、それにより、耐火アンカーの前記外面に気体拡散により運ばれる気体金属ハロゲン化物を形成するステップとを含み、
前記金属ハロゲン化物が前記ステンレス鋼の表面と反応し、前記アルミニウム又はアルミニウム−クロムを前記耐火アンカーの前記表面上に拡散コーティングとして蒸着させる方法。
【請求項7】
前記ステンレス鋼が253MAグレードである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記拡散コーティングが、鉄アルミナイド、又は、鉄アルミナイド及びニッケルアルミナイドである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ハロゲン化物塩活性剤がフッ化ナトリウムである請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ハロゲン化物塩活性剤が塩化アンモニウム及び塩化ナトリウムである請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記マスター合金がアルミニウムクロム(Al−Cr)であり、且つ、クロムを含む鉄アルミナイド及びニッケルアルミナイドの共蒸着拡散コーティングが形成される請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記レトルト内の温度を上昇させる前記ステップが、前記レトルトを約3時間にわたり約200℃に予熱し、且つ前記温度を約8時間にわたり約1100℃に上昇させることを含む請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記レトルト内の温度を上昇させる前記ステップが、前記レトルトを約3時間にわたり約200℃に予熱し、且つ前記温度を約16時間にわたり約1100℃に上昇させることを含む請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
不活性ガスを前記レトルトの外部周囲にて循環させるステップを含む請求項6から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記保護層中の酸化アルミニウムを増大させるために前記耐火アンカーを過酸化物により処理するステップを含む請求項6から14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511626(P2012−511626A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539849(P2011−539849)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001611
【国際公開番号】WO2010/066009
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(500573370)ベスビウス クルーシブル カンパニー (23)
【Fターム(参考)】