説明

セメント系押出成形用組成物及び該押出成形用組成物を硬化させてなるセメント製品

【課題】セメント系押出成形用組成物としての押出負荷を低下させ、成形を容易にさせると同時に、湿潤養生時間を短縮し、オートクレーブ内への移送可能時間を短縮することができるセメント系押出成形用添加剤を添加したセメント系押出成形用組成物の提供、及び硬化後の曲げ強度を維持しつつ、表面平滑性に優れたセメント製品の提供。
【解決手段】セメント、珪石粉、骨材及び繊維からなる配合物100重量部に対し、セメント系押出成形用添加剤を外割で0.01〜5.0重量部、押出助剤を外割で0.1〜1.5重量部、水を外割で15〜45重量部含有するセメント系押出成形用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント系押出成形用組成物及び該押出成形用組成物を硬化させてなるセメント製品に関し、詳しくは、特定のポリオキシアルキレン誘導体からなる共重合体、ポリエーテル系消泡剤及びチオ硫酸塩を含有するセメント系押出成形用添加剤を含むセメント系押出成形用組成物及び該押出成形用組成物を硬化させてなるセメント製品に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントを主原料で使用した成形物の製造方法には、型枠にコンクリートを流し込んで、ボックスカルバート等のコンクリート製品を製造する流し込み成形、型枠にコンクリートを流し込んで、遠心力をかけてパイルやポール等のコンクリート製品を製造する遠心成形、スラリー状のセメント組成物をメッシュ上ですき上げ、脱水してスレート等のセメント製品を製造する抄造、造粒したセメント組成物を押出成形機に投入し、スクリューで組成物を押し出して、外壁板等のセメント製品を製造する押出成形等がある。流し込み成形の一般的な主原料はセメント、細骨材、粗骨材、水、減水剤である。これらを混合し流動性のあるコンクリートを製造して成形型枠に流し込み、自然養生あるいは蒸気養生で硬化させて製造されている。遠心成形の一般的な主原料はセメント、細骨材、粗骨材、高強度混和材、水、減水剤である。これらを混合しコンクリートを製造して遠心成形用の型枠に打ち込み遠心力による成形工程を行い、オートクレーブ養生あるいは蒸気養生で硬化させて製造されている。抄造の一般的な主原料はセメント、細骨材、繊維、水である。これらを混合し得られた流動性の高いスラリーを抄造、脱水、プレス後、自然養生あるいはオートクレーブ養生で硬化させて製造されている。一方、押出成形の一般的な主原料はセメント、細骨材、繊維、水である。これらを混合して得られた造粒物を押出成形機に投入して押し出し、湿潤養生及びオートクレーブ養生で硬化させて製造されている。
【0003】
上記の成形方法を使用材料で比較した場合、粗骨材を使用する成形方法と繊維を使用する成形方法とに分けることができる。粗骨材を使用する成形方法では、粗骨材が硬化体の強度発現の一助となっているのに対し、繊維を使用する成形方法では、繊維とセメント組成物の結合強度を増加させることが、硬化体の強度発現の一助となっている。すなわち、同じセメント系の成形物でも強度発現機構が異なる。
【0004】
また、上記の成形方法の中で、流し込み成形、遠心成形は製品を製造する際に、最終強度のみが問題視されているのに対して、抄造、押出成形は最終強度のみならず、湿潤養生(一次養生)後の強度に関しても重要視されている。湿潤養生後の強度が不十分である場合は、オートクレーブ内への移送ができなくなり、作業工程に遅れが生じてしまうからである。
【0005】
一方で、押出成形に使用される珪石粉によっては、押出成形セメント製品の最終強度を低下させるという問題がある。このような問題を解決するために、珪石粉として種々の条件を付与した珪石粉を使用する方法が提案されている(例えば特許文献1〜3)。特許文献1〜3では珪石粉のブレーン値等を限定することにより、得られる押出成形セメント製品のオートクレーブ養生後の最終強度は改善されているが、押出成形セメント製品になる前の強度、すなわち湿潤養生後の強度に関しての改善は不十分であった。
【0006】
また、チオ硫酸塩については、特許文献4に、高性能減水剤との併用により、コンクリートの遠心力成形体に使用されることが記載され、特許文献5に、ポリカルボン酸系の共重合体との併用により、生コン等のコンクリートに使用されることが、それぞれ記載されている。
しかしながら、上述の通り、押出成形組成物は、特許文献4のコンクリートの遠心力成形体や特許文献5の生コン等のコンクリートとは、使用材料及び強度発現機構が全く異なるものである。さらに、特許文献5には、硬化促進剤として、チオ硫酸塩のみならず、亜硝酸塩類、硫酸塩類等の多種多様な化合物が列挙されており、また、チオ硫酸塩を実際に使用した旨の記載はない。
すなわち、チオ硫酸塩をセメント系押出成形用組成物に使用したとの報告は、これまでになされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平3−153551号公報
【特許文献2】特開平4−89343号公報
【特許文献3】特開2001−316164号公報
【特許文献4】特開昭61−68361号公報
【特許文献5】特開2003−212623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、セメント系押出成形用組成物としての押出負荷を低下させ、成形を容易にさせると同時に、湿潤養生時間を短縮し、オートクレーブ内への移送可能時間を短縮することができるセメント系押出成形用添加剤を添加したセメント系押出成形用組成物を提供し、硬化後の曲げ強度を維持しつつ、表面平滑性に優れたセメント製品を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオキシアルキレン誘導体からなる共重合体、ポリエーテル系消泡剤及びチオ硫酸塩を含有するセメント系押出成形用添加剤を含むセメント系押出成型用組成物を硬化させて得られたセメント製品は、押出負荷を低下できると共に、湿潤養生における曲げ強度発現時間を大幅に短縮することができ、また、製品表面の外観を良好に保つことができることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき、さらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]セメント、珪石粉、骨材及び繊維からなる配合物100重量部に対し、セメント系押出成形用添加剤を外割で0.01〜5.0重量部、押出助剤を外割で0.1〜1.5重量部、水を外割で15〜45重量部含有するセメント系押出成形用組成物であって、
前記セメント系押出成形用添加剤が、
(a)下記一般式(1)で表される構成単位(ア)50〜99重量%、下記一般式(2)で表される構成単位(イ)1〜50重量%を有し、重量平均分子量が15,000以上の共重合体、
(b)チオ硫酸塩、及び
(c)ポリエーテル系消泡剤
を主成分とし、
成分(a)、成分(b)及び成分(c)の重量比が(a):(b):(c)=10〜65:34〜89:0.05〜2(ただし、(a)、(b)及び(c)の合計は100である)である、セメント系押出成形用組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRの炭素数の合計は0〜1であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基で、炭素数2のオキシアルキレン基と炭素数3のオキシアルキレン基の比が炭素数2:炭素数3=40〜100:0〜60であり、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、Rは水素原子又はメチル基を表し、qは0〜2の整数を表し、rは0又は1を表し、pは20〜300の整数を表す。)
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R及びRの炭素数の合計は0〜1であり、Rは水素原子又はCOVを表し、Vは−OM又は−W−(AO)を表し、M及びMはアルカリ金属を表し、Wは酸素原子又はNHを表し、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、Rは水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、sは1〜150の整数を表す。)
[2](b)チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸カルシウム及びチオ硫酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、前記[1]記載のセメント系押出成形用組成物。
[3](c)ポリエーテル系消泡剤が、ポリオキシアルキレン系消泡剤である、前記[1]又は[2]記載のセメント系押出成形用組成物。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント系押出成形用組成物を押出成形してなる、セメント製品。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、セメント系押出成形用組成物において、押出負荷を低下させ、成形を容易にさせると同時に、湿潤養生時間を短縮することができ、また、オートクレーブ内への移送時間を短縮することができる。また、セメント製品において、硬化後の曲げ強度を維持しつつ、表面平滑性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のセメント系押出成形用組成物に含有されるセメント系押出成形用添加剤は、(a)下記一般式(1)で表される構成単位(ア)50〜99重量%、下記一般式(2)で表される構成単位(イ)1〜50重量%を有し、重量平均分子量が15,000以上の共重合体(以下、「本発明の共重合体」と略記する場合がある)を含む。
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRの炭素数の合計は0〜1であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基で、炭素数2のオキシアルキレン基と炭素数3のオキシアルキレン基の比が炭素数2:炭素数3=40〜100:0〜60であり、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、Rは水素原子又はメチル基を表し、qは0〜2の整数を表し、rは0又は1を表し、pは20〜300の整数を表す。)
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R及びRの炭素数の合計は0〜1であり、Rは水素原子又はCOVを表し、Vは−OM又は−W−(AO)を表し、M及びMはアルカリ金属を表し、Wは酸素原子又はNHを表し、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、Rは水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、sは1〜150の整数を表す。)
【0021】
一般式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRの炭素数の合計は0〜1であって、好ましくは、いずれも水素原子である。AOは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基を表し、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が挙げられ、好ましくは、炭素数2のオキシアルキレン基がオキシエチレン基で、炭素数3のオキシアルキレン基がオキシプロピレン基である。炭素数2のオキシアルキレン基と炭素数3のオキシアルキレン基との比は、炭素数2:炭素数3=40〜100:0〜60であり、好ましくは、炭素数2:炭素数3=90〜100:0〜10である。AOが2種以上の場合、ブロック状でもランダム状でも良い。
【0022】
一般式(1)において、pは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、20〜300の整数であり、好ましくは、120〜250の整数である。pが300を超えると、得られる化合物が高粘度になり製造が困難になるので、好ましくない。
qは、メチレン基の繰り返し数を表し、0〜2の整数であり、rは、カルボニル基の繰り返し数を表し、0又は1であり、好ましくは、q+r=1であり、より好ましくは、q=1、r=0である。
【0023】
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R及びRの炭素数の合計は0〜1であって、好ましくは、いずれも水素原子である。
一般式(2)において、Rは、水素原子又はCOVを表す。Vは、−OM又は−W−(AO)を表す。M及びMは、アルカリ金属を表し、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム等が挙げられる。Wは、酸素原子又はNHを表す。AOは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表し、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が挙げられる。AOが2種以上の場合、ブロック状でもランダム状でも良い。sは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜150の整数であり、好ましくは、10〜100の整数であり、より好ましくは、20〜70の整数である。sが150を超えると、得られる化合物が高粘度になり製造が困難になるため、好ましくない。
【0024】
一般式(2)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表す。炭素数1〜22の炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソセチル基、オクタデシル基、ステアリル基、イソステアリル基等の脂肪族飽和炭化水素基;アリル基、オレイル基等の脂肪族不飽和炭化水素基;シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等の脂環式飽和炭化水素基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の脂環式不飽和炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、クレジル基、ブチルフェニル基、ジブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、ジオクチルフェニル基、ジノニルフェニル基、α−メチルベンジルフェニル基等の芳香族炭化水素基又は置換芳香族炭化水素基が挙げられる。Rは、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基である。Rが炭化水素基である場合、該炭化水素基の炭素数が22を超えると、得られる化合物の製造が困難になるため、好ましくない。
【0025】
本発明の共重合体は、本発明の効果を低下させない範囲で、共重合可能な他の単量体に基づく構成単位(ウ)を含有してもよい。構成単位(ウ)は、例えば、酢酸ビニル、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
【0026】
本発明の共重合体の構成は、構成単位(ア)50〜99重量%、構成単位(イ)1〜50重量%であり、好ましくは、(ア)80〜99重量%、(イ)1〜20重量%である。構成単位(ウ)を含有する場合、本発明の共重合体の構成は、構成単位(ア)50〜98重量%、構成単位(イ)1〜49重量%、構成単位(ウ)1〜30重量%であり、好ましくは、(ア)79〜98重量%、(イ)1〜20重量%及び(ウ)1〜10重量%である。
【0027】
本発明の共重合体の重量平均分子量は、15,000以上であり、好ましくは、15,000〜1,000,000であり、より好ましくは、15,000〜50,000である。重量平均分子量が1,000,000を超えるとセメント系押出成形用組成物にした時の成形性が低下し、また高粘度になり製造が困難になるため、好ましくない。重量平均分子量が15,000より小さいと、セメント系押出成形用組成物にした時の成形性が低下してしまうため、好ましくない。
【0028】
また、本発明の共重合体は、公知の方法により、重合開始剤を用いて重合することにより得ることができる。重合の方法は、特に限定されず、塊状重合でも溶液重合でも良い。溶液重合で水を溶剤として用いる場合は、重合開始剤として、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、過酸化水素、水溶性のアゾ系開始剤を用いることができ、その際に亜硫酸水素ナトリウム、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、次亜リン酸ナトリウム等の促進剤を併用することもできる。また、溶液重合でメタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、n−ヘキサン、2−エチルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤を用いた重合の場合や、塊状重合の際には、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレート等の有機過酸化物やアゾイソブチロニトリル等のアゾ系化合物を用いることができる。また、その際にはチオグリコール酸、メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いることもできる。好ましい重合方法は、溶液重合で水を溶剤として用い、かつポリオキシアルキレン誘導体を製造後、ポリオキシアルキレン誘導体の入った反応容器内にマレイン酸系化合物、開始剤及び水を一括仕込みし、重合温度45〜65℃で重合させる方法である。
【0029】
本発明のセメント系押出成形用組成物に使用されるセメント系押出成形用添加剤は、チオ硫酸塩を必須成分とする。チオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、より具体的には、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸カルシウム、及びチオ硫酸マグネシウム等が挙げられる。中でも、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、及びチオ硫酸アンモニウムが好ましく、チオ硫酸ナトリウムがより好ましい。チオ硫酸塩は、1種又は2種以上を併用して使用してもよい。
【0030】
本発明のセメント系押出成形用組成物に含有されるセメント系押出成形用添加剤は、ポリエーテル系消泡剤を必須成分とする。ポリエーテル系消泡剤は、液体状及び粉体状のいずれのものでも使用可能である。ポリエーテル系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン系消泡剤が好ましく、下記一般式(3)で表される化合物がより好ましい。
【0031】
【化5】

【0032】
(式中、R及びR10はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種又は2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、tは5〜100の整数を表す。)
【0033】
一般式(3)において、R及びR10は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、かかる炭素数1〜22の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、イソセチル基、オクタデシル基、ステアリル基、イソステアリル基等の脂肪族飽和炭化水素基;アリル基、オレイル基等の脂肪族不飽和炭化水素基;シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等の脂環式飽和炭化水素基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の脂環式不飽和炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、クレジル基、ブチルフェニル基、ジブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、ジオクチルフェニル基、ジノニルフェニル基、α−メチルベンジルフェニル基等の芳香族炭化水素基又は置換芳香族炭化水素基等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上を混合して用いてもよい。R及びR10は、好ましくは、水素原子又は炭素数8〜22の炭化水素基である。R及びR10が炭化水素基である場合、炭化水素基の炭素数が22を超えると、得られる化合物の製造が困難になるため、好ましくない。
【0034】
一般式(3)において、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられ、これらの1種又は2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、好ましくは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロック状に付加したものであり、より好ましくは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の比がオキシエチレン基:オキシプロピレン基=0〜20:100〜80でブロック状に付加したものであり、さらに好ましくは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の比がオキシエチレン基:オキシプロピレン基=0〜10:100〜90でブロック状に付加したものである。
【0035】
一般式(3)において、tは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であって、5〜100の整数であり、好ましくは、10〜50の整数である。tが100を超えると、得られる化合物が高粘度になり製造が困難になるため、好ましくない。
【0036】
本発明のセメント系押出成形用組成物に含有されるセメント系押出成形用添加剤は、(a)本発明の共重合体、(b)チオ硫酸塩及び(c)ポリエーテル系消泡剤を主成分として含有し、成分(a)、成分(b)及び成分(c)の重量比は、(a):(b):(c)=10〜65:34〜89:0.05〜2(ただし、(a)、(b)及び(c)の合計は100である)であり、好ましくは、(a):(b):(c)=15〜50:49〜84:0.1〜1である。成分(b)の重量比が、34〜89の範囲を外れると、本発明の効果が得られず、好ましくない。
【0037】
本発明のセメント系押出成形用添加剤の含有量は、セメント、珪石粉、骨材及び繊維からなる配合物(以下、「本発明の配合物」と略記する場合がある)100重量部に対して、外割で0.01〜5.0重量部であり、好ましくは、0.03〜3.0重量部であり、より好ましくは、0.05〜2.0重量部である。本発明のセメント系押出成形用添加剤の含有量が、0.01重量部より少ないと本発明の効果が得られず、好ましくない。また、5.0重量部より多いと、メチルセルロース等の押出助剤の粘性が失われることや、押出負荷が増大して押出速度が低下すること、また、押出し成形後の製品に引き割れが発生しやすくなることがあるため、好ましくない。
【0038】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、セメントを必須成分とする。セメントは、特に限定されるものでないが、例えば、普通、早強、中庸熱、低熱のポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、シリカフューム、石灰石の鉱物系粉体を配合した混合セメント、アルミナセメント、石膏が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用して使用してもよい。セメントの量は、特に限定されないが、例えば、本発明の配合物100重量部のうち、25〜75重量部を占めることが好ましい。
【0039】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、珪石粉を必須成分とする。珪石粉は、特に限定されるものでなく、産地及びブレーン値も限定されないが、ブレーン値は、2,000〜10,000程度であることが好ましい。珪石粉の量は、特に限定されないが、例えば、本発明の配合物100重量部のうち、10〜50重量部を占めることが好ましい。
【0040】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、骨材を必須成分とする。骨材は、特に限定されるものでなく、例えば、川砂、珪砂、軽量骨材、ワラストナイト、マイカ類、高炉スラグ、シリカフュ−ム、石灰石、火山灰が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用して使用してもよい。骨材の量は、特に限定されないが、例えば、本発明の配合物100重量部のうち、5〜40重量部を占めることが好ましい。骨材としては、川砂、珪砂、軽量骨材のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
【0041】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、繊維を必須成分とする。繊維は、特に限定されるものでなく、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維及びパルプ、故紙、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維等の有機繊維などが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用して使用してもよい。繊維の量は、特に限定されないが、例えば、本発明の配合物100重量部のうち、1〜10重量部を占めることが好ましい。
【0042】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、セメント、珪石粉、骨材及び繊維を含み、これらの配合比率(重量比)は、セメント:珪石粉:骨材:繊維=25〜75:10〜50:5〜40:1〜10であり、好ましくは、セメント:珪石粉:骨材:繊維=35〜65:20〜40:10〜20:1〜10である。
【0043】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、押出助剤を必須成分とする。押出助剤は、特に限定されるものでなく、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子化合物等が挙げられる。中でもセルロース誘導体、ポリエーテルウレタン樹脂が好ましく、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好ましい。
【0044】
押出助剤の含有量は、本発明の配合物100重量部に対して、外割で0.1〜1.5重量部であり、好ましくは、0.2〜1.0重量部である。本発明の配合物の配合条件にもよるが、押出助剤の含有量が0.1重量部より少ないと、押出助剤の性能が発揮されず押出し成形後の製品に引き割れが発生しやすくなるため、好ましくなく、1.5重量部より多いと、スプリングバック現象により押出成形製品に膨れが生じてしまうため、好ましくない。
【0045】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、水を含有する。水の含有量は、本発明の配合物100重量部に対して、外割で15〜45重量部であり、好ましくは、15〜30重量部であり、より好ましくは、15〜25重量部である。水の含有量が15重量部より少ないと、押出成形組成物の混練時の負荷が大きくなってしまうため、好ましくない。
【0046】
本発明のセメント系押出成形用組成物を製造する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。かかる方法として、好ましくは、以下の方法が挙げられる。
セメント、珪石粉、骨材、繊維及び押出助剤をアイリッヒミキサー又はヘンシェルミキサーにより均一に混合した後、水及び本発明のセメント系押出成形用添加剤を該ミキサーに添加して、さらに混合し、セメント系押出成形用組成物とする。
【0047】
本発明のセメント系押出成形用組成物を用いて押出成形体(セメント製品)を製造する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。かかる方法として、好ましくは、以下の方法が挙げられる。
まず、上記の方法又は常法により、上記成分及び必要によりその他の任意成分を加えて混合して押出成形用組成物を調製し、この押出成形用組成物を所望の口金を装着した押出成形機に投入し、押出成形機内を真空状態にして押出して成形する。このような押出成形が終了した後、成形体を室温に2〜3時間静置して前置養生し、次に湿潤養生(一次養生)を行う。湿潤養生は、60℃で6〜10hr程度保持し、続いて、(0.1〜2MPa)×(4〜8hr)のオートクレーブ養生を行い、その後自然冷却し、成形体とする。
【実施例】
【0048】
以下に、実施例及び比較例等を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
なお、一般式(1)で表される化合物の構造式、一般式(2)で表される化合物の名称、その共重合組成及び重量平均分子量を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
(製造例1)
かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器を装着した3リットルフラスコに、ポリオキシエチレン(エチレンオキシドの平均付加モル数210)オキシプロピレン(プロピレンオキシドの平均付加モル数11)(エチレンオキシドとプロピレンオキシドはランダム状)モノアリルエーテル994g(0.1モル)、水707g、無水マレイン酸58.8g(0.6モル)を加え、35℃で重合開始剤として過硫酸ナトリウム24.2g(0.1モル)を加え、系内の空気を窒素ガスで置換した後、60±2℃で10時間反応させた。重合反応終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液100g(水酸化ナトリウムとして1.2モル)を加え中和し、さらに水929gを加え共重合体の40%水溶液を得た。
【0051】
(製造例2)
5リットル加圧反応器にアリルアルコール29g(0.5モル)と触媒としてナトリウムメチラート1.0gをとり、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、100〜120℃でエチレンオキシド2860g(65.0モル)とプロピレンオキシド174g(3.0モル)をあらかじめ混ぜた溶液を約0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)で徐々に圧入して付加反応を行った。反応終了後80℃まで冷却し、反応器内から2450gの付加反応体を抜き取った。続いて、反応器内を60℃まで冷却し、反応溶液中に水443g、無水マレイン酸39.2g(0.4モル)を加え、35℃以下で重合開始剤として過硫酸ナトリウム11.9g(0.05モル)を加え、系内の空気を窒素ガスで置換した後、60±2℃で10時間反応させた。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液106.7g(水酸化ナトリウムとして0.8モル)を加え中和し、さらに水526gを加え共重合体の40%水溶液を得た。
【0052】
(製造例3)
かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器を装着した3リットルフラスコに、ポリオキシエチレン(エチレンオキシドの平均付加モル数62)オキシプロピレン(プロピレンオキシドの平均付加モル数3)(エチレンオキシドとプロピレンオキシドはブロック状)モノアリルエーテル1480g(0.5モル)、無水マレイン酸68.8g(0.7モル)を加え、50℃で重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル9.8g(0.06モル)を加え、系内の空気を窒素ガスで置換した後、75±2℃で10時間反応させた。重合反応終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液117g(水酸化ナトリウムとして1.4モル)を加え中和し、さらに水1016gを加え共重合体の60%水溶液を得た。
【0053】
【表2】

【0054】
(配合例1)
ガラス容器に、成分(a)として、製造例1で得られた共重合体の40%水溶液を123.8g、成分(b)として、30%チオ硫酸ナトリウム水溶液を166.7g、及び、成分(c)として、ディスホームCC−118(日油株式会社製、ポリエーテル系消泡剤、(C1))0.5gを計量し、適宜水を加えて、本発明のセメント系押出成形用添加剤を得た。
(配合例2〜4)
成分(a)、成分(b)及び成分(c)を表1の通りにした以外は配合例1と同様に配合し、本発明のセメント系押出成形用添加剤を得た。表中、(C2)はディスホームFDS−2224(日油株式会社製、ポリエーテル系消泡剤)である。
(配合例5)
成分(b)として、硫酸アルミニウムを使用した以外は配合例1と同様に配合し、セメント系押出成形用添加剤を得た。
(配合例6)
成分(b)として、亜硝酸カルシウムを使用した以外は配合例1と同様に配合し、セメント系押出成形用添加剤を得た。
(配合例7)
成分(a)及び成分(c)を使用しなかった以外は配合例1と同様に配合し、セメント系押出成形用添加剤を得た。
(配合例8)
成分(b)を使用せず、成分(c)として、ディスホームFDS−2224(日油株式会社製、ポリエーテル系消泡剤、(C2))1.0gを使用した以外は配合例1と同様に配合し、セメント系押出成形用添加剤を得た。
(配合例9)
成分(a)として、製造例3で得られた共重合体の60%水溶液を165g使用し、成分(b)を使用しなかった以外は配合例1と同様に配合し、セメント系押出成形用添加剤を得た。
【0055】
(配合物1、2)
配合物1又は2の材料は、下記の通りである。
すなわち、セメントとして普通ポルトランドセメント(三菱マテリアル株式会社製)を、珪石粉として珪石粉末(ブレーン3800±400cm/g、秩父鉱業株式会社製)を、骨材として川砂(粗粒率1.2、茨城県鹿島産)又は軽量骨材(平均粒径0.6mm以下、宇部パーライト株式会社製)を、繊維として新聞残紙粉砕パルプ(15メッシュ全通、王子製紙株式会社製)を用いた。具体的な組成(重量部)を、表3に示す。
【0056】
【表3】

【0057】
(実施例1〜6、比較例1〜6)
配合物100重量部に対する、配合例1〜9のセメント系押出成形用添加剤、押出助剤及び水の外割添加量を、表4、5に示す(比較例1及び2はチオ硫酸塩以外の無機塩を添加、比較例3は共重合体及び消泡剤無添加、比較例4及び5はチオ硫酸塩無添加)。
【0058】
セメント製品の製造は、下記の通りに行った。
すなわち、まず、配合例1〜9のセメント系押出成形用添加剤、押出助剤及び水を除いた上記材料を、アイリッヒミキサーにより2分間均一に混合した後、配合例1〜9のセメント系押出成形用添加剤及び水を該ミキサーに添加して、該ミキサーのアジテーター電流に負荷がかかることによる電流値上昇開始後2分間混合した。得られたセメント系押出成形用組成物を、厚さ60mm、幅600mmのダイスを取り付けた押出成形機により押出成形し、60℃の条件で、6、8、10時間湿潤養生を行い、曲げ強度を測定した。湿潤養生時間後の曲げ強度が、実施例1〜4及び比較例1〜5については7N/mm以上、実施例5、6及び比較例6については4N/mm以上あれば、オートクレーブ内へ移送が可能であり、その養生時間をオートクレーブ内への移送可能時間とした。その後、1MPa×6時間の条件でオートクレーブ養生を行った後、長さ3000mmに切断したものを製品とした。
これらの製品について、押出成形時の表面状態、湿潤養生後の曲げ強度及びオートクレーブ内への移送可能時間を測定した。結果を表4、5に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
*1:本発明の押出成型用添加剤の添加量は、固形分の添加量を示す。
*2:押出助剤は、ヒドロキシエチルメチルセルロース(SNB−60T、信越化学株式会社製)を使用した。
*3:曲げ強度は、4等分2線荷重で曲げ試験を行った。なお、曲げ強度の算出は、以下の式により行った。
【式1】
【0062】

【0063】
:パネル曲げ強度(N/mm
:曲げ破壊荷重(N)
:支持スパン長さ(mm)
:断面係数(mm
:試験体の自重(N/mm)
【0064】
(「成形後の外観」の評価基準)
厚みの誤差=Δtとした場合、
◎…Δt<0.5mm、
○…0.5mm<Δt<1mm、
△…1mm<Δt<2mm、
×…Δt>2mm
【0065】
実施例1〜4は、(b)チオ硫酸塩や成分(a)及び成分(c)を含有しない比較例3〜5のみならず、(b)チオ硫酸塩に代えて硫酸アルミニウム、亜硝酸カルシウムを含有する比較例1及び2と比較しても、押出負荷が低く、曲げ強度発現時間も短かった。かかる結果から明らかな通り、本発明のセメント系押出成形用組成物は、押出負荷を低下できると共に、湿潤養生における曲げ強度発現時間を大幅に短縮することができる。
また、実施例5及び6は、(b)チオ硫酸塩のみを含有する比較例6と比較して、押出負荷が低く、成形後の外観に優れていた。かかる結果から明らかな通り、本発明のセメント系押出成形用組成物は、押出負荷を低下できると共に、製品表面の外観を良好に保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のセメント系押出成形用組成物は、押出負荷を低下させ、成形を容易にさせると同時に、湿潤養生時間を短縮することができ、また、オートクレーブ内への移送時間を短縮することができるので、非常に有用である。また、該セメント系押出成型用組成物を硬化させてなるセメント製品は、硬化後の曲げ強度を維持しつつ、表面平滑性を改善することができるので、非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、珪石粉、骨材及び繊維からなる配合物100重量部に対し、セメント系押出成形用添加剤を外割で0.01〜5.0重量部、押出助剤を外割で0.1〜1.5重量部、水を外割で15〜45重量部含有するセメント系押出成形用組成物であって、
前記セメント系押出成形用添加剤が、
(a)下記一般式(1)で表される構成単位(ア)50〜99重量%、下記一般式(2)で表される構成単位(イ)1〜50重量%を有し、重量平均分子量が15,000以上の共重合体、
(b)チオ硫酸塩、及び
(c)ポリエーテル系消泡剤
を主成分とし、
成分(a)、成分(b)及び成分(c)の重量比が(a):(b):(c)=10〜65:34〜89:0.05〜2(ただし、(a)、(b)及び(c)の合計は100である)である、セメント系押出成形用組成物。
【化1】


(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R、R及びRの炭素数の合計は0〜1であり、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基で、炭素数2のオキシアルキレン基と炭素数3のオキシアルキレン基の比が炭素数2:炭素数3=40〜100:0〜60であり、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、Rは水素原子又はメチル基を表し、qは0〜2の整数を表し、rは0又は1を表し、pは20〜300の整数を表す。)
【化2】


(式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R及びRの炭素数の合計は0〜1であり、Rは水素原子又はCOVを表し、Vは−OM又は−W−(AO)を表し、M及びMはアルカリ金属を表し、Wは酸素原子又はNHを表し、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上で、2種以上の場合はブロック状でもランダム状でも良く、Rは水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を表し、sは1〜150の整数を表す。)
【請求項2】
(b)チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸カルシウム及びチオ硫酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1記載のセメント系押出成形用組成物。
【請求項3】
(c)ポリエーテル系消泡剤が、ポリオキシアルキレン系消泡剤である、請求項1又は2記載のセメント系押出成形用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント系押出成形用組成物を押出成形してなる、セメント製品。

【公開番号】特開2011−57534(P2011−57534A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212338(P2009−212338)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000176718)三菱マテリアル建材株式会社 (20)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】