説明

セラミック粒子収納体

【課題】 アスコルビン酸含浸セラミック粒子の交換をカセットごと簡単に行えるセラミック粒子収納体を提供する。
【解決手段】 アスコルビン酸は水に容易に溶けるため、湯水中にアスコルビン酸の錠剤や粉末等を入れても効果が長持ちしない。そこで本発明にあっては、アスコルビン酸含浸セラミック粒子6を他の機能性物質とは別にして着脱可能なカセット型容器4に収めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に沈めておくことで、入浴者に体調維持・改善効果を与えることができるとともに、湯中の塩素除去も行うことのできるセラミック粒子収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
肩こり、腰痛、冷え等の防止や改善を目的として、浴槽内に重炭酸ナトリウム等の入浴剤を投入しておくことが行われている。また、特許文献1に記載の風呂釜用フィルターのように、風呂釜内へのゴミの侵入を防止するとともにヌメリや湯泥の発生を防止するため、風呂水が抗菌剤及び遠赤外線放射性能を有するセラミックスに接触するようにしたものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−33208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記入浴剤を投入する方法では、湯の交換時に薬剤も廃棄されてしまって不経済である。また、水不溶性の機能性物質は浴槽内に沈降してしまうため使用できないという不便さがある。
【0005】
一方、特許文献1のフィルターの場合は、フィルターが風呂釜内U字管の出入り口に取付けられているため、湯が強制的にフィルターの中を通過し、そのため、セラミックスが短時間のうちに風呂垢で汚染されて機能を失ってしまうという難点がある。
【0006】
機能性物質としては、ラドン、ゲルマニウムなど多数のものが提案されているが、機能性物質の一種であるアスコルビン酸(ビタミンC)は他の機能性物質に比較して水に溶けやすく、他の機能性物質を含浸させたセラミック粒子と同じ箇所に収納すると、他の機能性物質が残っていてもアスコルビン酸のみが先に溶出し、アスコルビン酸と他の機能性物質との相乗効果も期待できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るセラミック粒子収納体は、機能性物質を吸着あるいは担持させた多数のセラミック粒子を、湯水透過可能な容器に収めたセラミック粒子収納体であって、この収納体には湯水透過可能なカセット型容器が脱着可能に装着されており、カセット型容器にはアスコルビン酸を含浸させたセラミック粒子が装填された構成とした。
【0008】
前記機能物質としては、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、アナターゼ型酸化チタン、銀、ヒアルロン酸、キトサン、スクワラン、ラドン、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、トルマリンおよびゲルマニウムから選ばれる少なくとも1種類を挙げることができる。
【0009】
好ましい態様として、セラミック粒子収納体は、機能性物質を吸着あるいは担持させた複数のセラミック粒子を収めた湯水透過可能な中空ドーナツ状容器と、この中空ドーナツ状容器に脱着可能に装着される湯水透過可能なアスコルビン酸を含浸させたセラミック粒子が装填されているカセット型容器から構成される。
【0010】
また、前記アスコルビン酸を含浸させたセラミック粒子の製造工程は、ゼオライトを造粒する第1工程、ゼオライト粒子をアスコルビン酸水溶液に含浸させる第2工程、アスコルビン酸を含浸させたゼオライト粒子を乾燥させる第3工程、および前記第2工程と第3工程を3回繰り返す第4工程からなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るセラミック粒子収納体によれば、セラミック粒子に吸着、担持させた各種機能性物質によって肩凝り、腰痛、冷え性の回復ならびにその他の体調維持、改善効果を与えるとともに、セラミック粒子に含浸されたアスコルビン酸が消耗した場合には交換を容易にして長期間にわたる塩素除去を含む多くの効果を期待することができる。
【0012】
またアスコルビン酸の各種機能、すなわち、塩素除去により肌への刺激をなくして、アトピー性皮膚炎の防止やしみ、そばかす、日焼け、かぶれによる色素の沈着の緩和、歯ぐきからの出血、鼻からの出血予防、肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、老年期のビタミンCの補給を享受することができる。
【0013】
また、各種機能性物質を吸着あるいは担持させた複数のセラミック粒子をも使用しているため、上記アスコルビン酸の効果に加えて、後述の各種体調維持、体調改善効果を期待することができる。さらに、機能性物質として銀やアナターゼ型酸化チタンを使用した場合には浴槽内のカビやヌメリの発生を防止することもできる。
【0014】
更に、セラミック粒子収納体を浴槽内に沈めて使用するとき、当初はカセット型容器を装着したまま投入し、その後、直ぐにカセット型容器を取り外すことでアスコルビン酸の無駄な流出を避けることができる。また、アスコルビン酸含浸を上記工程のように3回以上繰り返すことで製造すれば、より徐放性の優れたアスコルビン酸含浸セラミック粒子とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明を実施するための実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のセラミック粒子収納体の使用方法の一例を示す図、図2は本発明のセラミック粒子収納体の平面図、図3は同セラミック粒子収納体の正面図、図4は図2のA−A方向断面図、図5は中空ドーナツ状容器からカセット型容器を外した状態の断面図である。
【0016】
本発明のセラミック粒子収納体1は、本図に示すように浴槽Fの湯水中に沈ませて使用することができる。セラミック粒子収納体1は全体的に偏平な形状をしているため浴槽Fの底面にそのまま寝かせるようにしてもよいが、吸盤10aを供えた固定治具10を用いてセラミック粒子収納体1を縦に保持してもよい。
【0017】
セラミック粒子収納体1は湯水透過可能な中空ドーナツ状容器2と、このドーナツ状容器2の中央に形成される貫通孔3に脱着可能に装着される湯水透過可能なカセット型容器4から構成される。
【0018】
前記中空ドーナツ状容器2は2つの半体2a、2bの凹面側を突合せ、ビス止めすることで内部が中空のドーナツ状容器2が形成され、半体2a、2bには湯水が透過するための多数の孔が形成されている。前記一方の半体2aにはスライド蓋2cが取付けられている。機能性物質を含むゼオライト粒子の収納および取り出しはこのスライド蓋2cをスライド開閉することにより容易に行うことができる。また、収納体1を掃除する必要がある場合には半体2aと2bを分解することができる。
【0019】
一方カセット型容器4は、筒部4aの両端開口を湯水を透過させるための多数の孔が形成された蓋体4bで塞いでいる。カセット型容器4の貫通孔3への装着は、例えばカセット型容器4の外側面に突条を形成し、貫通孔3には前記突条が嵌り込む溝部が形成され、装着は入浴者が指で押し出して容易に脱着できる程度の緩やかのものである。
【0020】
図4に示すように、セラミック粒子収納体1には、機能性物質を吸着あるいは担持させた複数のセラミック粒子5が収められている。また、カセット型容器4にはアスコルビン酸を含浸させた複数のセラミック粒子6が収納されている。
【0021】
ドーナツ状容器2の内部に収納される、機能性物質を吸着あるいは担持させた複数のセラミック粒子5の製造方法については、本出願人が先に出願した公開2005−170734号公報に記載の「セラミック粒子およびセラミック粒子の製造方法」に詳細に説明されている。すなわち、ゼオライトとカオリンとの混合物からなるセラミック粒子を造粒後乾燥し、機能性物質を含む水溶液と接触させ、その後焼成して平均粒径1〜10mmの粒子とする。
【0022】
なお、公開2005−170734号公報では、機能性物質としてメタりん酸ナトリウムを使用しているが、本発明においてはメタりん酸ナトリウムに代えて、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、アナターゼ型酸化チタン、銀、ヒアルロン酸、キトサン、スクワラン、ラドン、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、トルマリンおよびゲルマニウムから選ばれる少なくとも1種類を使用する。
【0023】
上記機能性物質中、ヒアルロン酸は、保湿成分として化粧品や健康食品にも配合され、関節炎の治療にも使用されている。肌をみずみずしく保つことができるため外部からの雑菌進入を防ぎ病気への抵抗力も高まるとされている。
重炭酸ナトリウムは、温泉の天然成分としても知られている安全性の高い物質であり、風呂水に溶け出すと皮膚の表面を柔らかくし、脂肪や分泌物を乳化して洗い流し、肌が滑らかになる効果がある。
酸化マグネシウムは、アーモンド類や魚介類、海藻類、豆類等、多くの食品に含まれている健康維持には欠かせないミネラル成分である。
アナターゼ型酸化チタンには、光触媒作用による殺菌や浄化の効果が期待できる。銀は、ゼオライトのような多孔性セラミックに担持すると殺菌効果を発揮する。
キトサンは、化粧品、健康食品、食品添加物、繊維、神経再生や皮膚再生などの再生医療素材として利用されている。抗菌作用があり、黄色ブドウ球菌や大腸菌、肺炎桿菌や院内感染原因菌、カビ類に対して有効とされている。
スクワランは、人の肌に本来含まれる成分で、細胞に酸素を供給して新陳代謝を活発にする作用があるため、老化の進行を遅らせる効果が期待できる。
ラドンは、ラジウム元素の放射性崩壊によって得られる放射性物質であり、ホルミシス効果により血液中のコレステロールや過剰な糖分などを分解し、それによって組織の中に停滞しているこりや痛みの原因となる老廃物を体外へ排出する効果があると言われている。上記ホルミシス効果とは、生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示すという生理的刺激作用の効果をいう。
トルマリンはゲルマニウムやチタンと同じく、膝関節等に微弱な電流を流して関節などをやさしく刺激する働きがあり、電子イオンを外し、マイナスイオンを発生させると言われている
またゲルマニウムは、血液中に酸素を取り込む機能があると言われていて、取り込まれた酸素とゲルマニウム自体の相互作用によって新陳代謝が活性化され短時間で大量の汗をかくことができる。そのため汗とともに血液や体の余分な脂肪、毒素、老廃物が排出されて血液循環が促進され、体質も弱アルカリ性に改善されると言われている。
【0024】
前記貫通孔3に脱着可能に装着される、湯水透過可能なカセット型容器4には、アスコルビン酸を含浸させたセラミック粒子6を入れる。アスコルビン酸はビタミンCのことであり水道水に含まれる塩素を除去する効果がある。そのため、塩素による肌への刺激をなくして、たとえばアトピー性皮膚炎を防ぐことができる。また、アスコルビン酸そのものの効果である、しみ、そばかす、日焼け、かぶれによる色素の沈着の緩和、歯ぐきからの出血、鼻からの出血予防、肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、老年期のビタミンCの補給にも役立つ。
【0025】
ところで、アスコルビン酸は水に容易に溶けるため、湯水中にアスコルビン酸の錠剤や粉末等を入れても効果が長持ちしない。そこで本発明のセラミック粒子収納体1においては、アスコルビン酸含浸セラミック粒子6を他の機能性物質とは別にして着脱可能なカセット型容器4に収めた。このため、セラミック粒子収納体1を浴槽内に沈めて使用するときに、当初はカセット型容器4を装着したまま投入し、その後、直ぐにカセット型容器4を取り外すことでアスコルビン酸の無駄な流出を避けることができる。
【0026】
本発明のセラミック粒子収納体1ではアスコルビン酸をセラミック粒子に含浸させてあるため、アスコルビン酸そのものの錠剤や粉末を使用した場合に比較して十分長持ちする。しかし、さらに徐放性をより向上させるため、アスコルビン酸含浸セラミック粒子は以下の工程で製造することが望ましい。
【0027】
まず、第1工程としてゼオライトを造粒する。ゼオライトとしてはゼオライトとカオリンとの混合体を使用しても良い。また、粒子の大きさは、完成品が平均粒径0.5〜3mmとなるよう調整する。次に、第2工程としてゼオライト粒子をアスコルビン酸水溶液に含浸させ、第3工程としてアスコルビン酸を含浸させたゼオライト粒子を乾燥させる。乾燥方法としては、10〜30分間風乾させた後、200℃〜400℃で10〜30分間焼成する。そして第4工程として、上記第2工程と第3工程を3回以上繰り返す。
【0028】
こうして製造されたセラミック粒子6にはアスコルビン酸が十分に含浸されているため浴槽内に沈めた場合にも、アスコルビン酸が一挙に溶けて流れ出してしまうことがなく、カセット型容器4は繰り返し使用することができる。もちろん、何度か使用した後には、カセット型容器4に新しいアスコルビン酸含浸セラミック粒子6を入れ替えて使用することも可能である。
【0029】
なお、上記中空ドーナツ状容器2に収める機能性物質のうち、ヒアルロン酸とスクワランとは、アスコルビン酸と同様水溶性のため、上記アスコルビン酸含浸セラミック粒の製造方法と同様の3回繰り返し含浸を行うことが薦められる。ただし、焼成温度はもっと高く、600℃前後とすることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のセラミック粒子収納体は、浴槽内に沈めておくことで入浴者にさまざまな体調維持効果および体調改善効果を与えることができるため、家庭風呂のみでなく、銭湯、温泉、プール等、人が湯水に触れるあらゆる分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のセラミック粒子収納体の使用方法の一例を示す図
【図2】本発明のセラミック粒子収納体の平面図
【図3】同セラミック粒子収納体の正面図
【図4】図2のA−A方向断面図
【図5】中空ドーナツ状容器からカセット型容器を外した状態の断面図
【符号の説明】
【0032】
1…セラミック粒子収納体、2…中空ドーナツ状容器、2a、2b…中空ドーナツ状容器を構成する半体、2c…スライド蓋、3…貫通孔、4…カセット型容器、4a…筒状部、4b…蓋体、5…機能性物質含有セラミック粒子、6…アスコルビン酸含浸セラミック粒子、10…固定治具、10a…吸盤、F…浴槽。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性物質を吸着あるいは担持させた多数のセラミック粒子を湯水透過可能な容器に収めたセラミック粒子収納体であって、このセラミック粒子収納体には湯水透過可能なカセット型容器が脱着可能に装着されており、このカセット型容器にはアスコルビン酸を含浸させたセラミック粒子が装填されていることを特徴とするセラミック粒子収納体。
【請求項2】
前記機能物質が、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、アナターゼ型酸化チタン、銀、ヒアルロン酸、キトサン、スクワラン、ラドン、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、トルマリンおよびゲルマニウムから選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1記載のセラミック粒子収納体。
【請求項3】
前記セラミック粒子収納体は、機能性物質を吸着あるいは担持させた多数のセラミック粒子を収めた湯水透過可能な中空ドーナツ状容器と、前記中空ドーナツ状容器に脱着可能に装着される前記カセット型容器からなることを特徴とする請求項1または2記載のセラミック粒子収納体。
【請求項4】
前記アスコルビン酸を含浸させたセラミック粒子は、ゼオライトを造粒する第1工程、造粒したゼオライト粒子をアスコルビン酸水溶液に含浸させる第2工程、アスコルビン酸を含浸させたゼオライト粒子を乾燥させる第3工程、および前記第2工程と第3工程を3回以上繰り返す第4工程を経て製造されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のセラミック粒子収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−126838(P2009−126838A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305490(P2007−305490)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【特許番号】特許第4115512号(P4115512)
【特許公報発行日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(595164545)イオンコーポレーション株式会社 (6)
【Fターム(参考)】