説明

セラミック薄膜フィルタを使用して微細藻類を収穫する方法

本開示は、セラミック系薄膜フィルタなどの薄膜フィルタを使用して、例えば、微細藻類細胞などの生物物質を収穫する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、ここに引用する、2009年1月22日に出願された米国特許出願第12/357901号への優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、薄膜フィルタを使用して、バイオディーゼル生産および食品または栄養補給食品のための微細藻類細胞を収穫する方法を含む、生物物質を収穫する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ますます高騰している原油価格、限りのある石化燃料資源、および地球温暖化に関する環境上の懸念のために、最近10年間に亘り、代替の効く再生可能かつ地球にやさしいエネルギーの開発に非常に多くの関心が寄せられてきた。植物は、光合成により太陽エネルギーを再生可能な貯蔵できる化学エネルギーに変換する自然システムを持っており、したがって、菜種、ヤシ、大豆およびトウモロコシなどの高油量植物(high oil plant)が、生物燃料生産のための原料として使用されてきた。食用作物またはセルロース系材料からの生物燃料とは対照的に、珪藻および藍色細菌を含む、直径が0.4mm未満の、光合成できる生物である微細藻類は、一部には、それほど複雑ではない構造、速い生長速度、高油含有量、食糧供給と競合しないこと、および発電所の近くなどの農業に適していない土地で栽培できることのために、油生産のためのより魅力的な供給源であろう。
【0004】
微細藻類バイオマスを収穫するための一般に使用される技術としては、遠心分離、凝集、および濾過が挙げられる。しかしながら、当該技術分野において使用されたこれらの技法には、以下に限られないが、工業規模では、または生物物質サイズの範囲では、実施できないかまたは実現性がないほど、長くかかることおよび/または費用がかかることを含む欠点があり、さらに、サンプルを損傷するおよび/または汚染するかもしれない。それにもかかわらず、地球上のエネルギー需要が増すにつれて、再生可能で地球にやさしい生物燃料の必要性が差し迫ってきており、それゆえ、生物物質を収穫するための単純かつ効果的な方法が望ましい。
【0005】
しかしながら、微細藻類系生物燃料は、工業技術とプロセスの難題のために、工業規模ではまだ製造されておらず、微細藻類系燃料は、石油系燃料よりも高価である。例えば、バイオディーゼル生産のための技術的障害の1つは、大規模での微細藻類の収穫である。非特許文献1における概算によれば、微細藻類を収穫するための費用は、バイオディーゼル生産の総費用の20〜30%を占める。その難点は、一部には、微細藻類の小さなサイズ(3〜30μm)と培地中のその低濃度(典型的に500mg/L未満)との組合せのためである。
【0006】
本出願の発明者等は、ここに、薄膜フィルタを使用した、微細藻類細胞を含む生物物質を収穫するための効果的な方法を発見した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gudin C. & Therpenier C., Bioconversion of Solar Energy into Organic Chemicals by Microalgae, Adv. Biotechnol Processes (1986) 6:73-110
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに記載した詳細な説明および様々な例示の実施の形態によれば、本開示は、薄膜フィルタを使用して、例えば、微細藻類細胞などの生物物質を収穫する方法に関する。様々な例示の方法において、生物物質は、生物物質を含むサンプルを薄膜フィルタに通過させることにより収穫され、ここで、このフィルタの支持体は多孔質材料からなる。追加の例示の実施の形態において、生物物質を含有するサンプルは、薄膜フィルタに通して循環させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、本発明をさらに理解するために含まれており、本明細書に包含され、その一部を構成する。これらの図面は、特許請求の範囲に記載された本発明を制限することを意図するものではなく、むしろ、本発明の例示の実施の形態を例証するために提供され、記載と共に、本発明の原理を説明するように働く。
【図1】本発明のある実施の形態による例示の薄膜フィルタの説明図
【図2】本発明のある実施の形態による、生物物質を収穫するための例示の装置の説明図
【図3】ここでの実施例1に記載された例示の方法からの性能結果を示すグラフ
【図4】ここでの実施例2に記載された初期バイオマス密度の濾過流束への影響を示すグラフ
【図5】ここでの実施例2に記載されたポンプの流量の濾過流束への影響を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示と説明のためであり、特許請求の範囲に記載された本発明を制限するものではない。本発明の他の実施の形態は、明細書の検討およびここに開示された本発明の実施から当業者には明白であろう。明細書および実施例は、説明のためだけであると考えられ、本発明の真の範囲および精神は、特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
【0011】
本開示は、薄膜フィルタを使用して、微細藻類を含む生物物質を収穫する方法に関する。様々な実施の形態において、この方法は、希釈された生物懸濁液などの、少なくとも1種類の生物物質を含むサンプルを少なくとも1つの薄膜フィルタに通過させる工程を含むであろう。少なくとも1つの例示の実施の形態において、少なくとも1種類の生物物質を含むサンプルは、2回以上などの1回以上、少なくとも1つの薄膜フィルタに通過させられるかまたは循環される。ここに開示された方法は、以下に限られないが、生物燃料生産のための微細藻類の収穫を含む、工業規模などでの、生物物質を収穫するために現在使用されているプロセスを簡単にするであろう。
【0012】
ここに用いたように、「収穫する」、「収穫」という用語およびその変形は、ここに記載された様々な方法より得られる生物物質のバイオマス密度または濃度を増加させることを意味する。生物物質の収穫は、例えば、流体容積の減少および/またはバイオマス密度の増加により証拠付けられるであろう。ここに用いたように、「減少した流体容積」、「増加したバイオマス密度」という語句およびその変形は、元のサンプルのものと比べた、流体容積の減少またはバイオマス密度の増加を意味する。ほんの一例として、収穫方法は、元のサンプルに対して、少なくとも40、60、80、90またはさらには95パーセント以上などの、少なくとも20パーセント、サンプルの流体容積を減少させるであろう。様々な例示の実施の形態において、収穫は、生物物質を含有するスラリーまたはペーストが得られるまで、流体容積を減少させてもよい。
【0013】
微細藻類細胞懸濁液の工業バイオマス密度は、光量、温度、およびCO2と栄養素の供給を含む培養条件に応じて異なるであろう。しかしながら、典型的に、制御された光バイオリアクタから産生されたバイオマス密度は、開放型(open pond)培養からのものよりも高い。それゆえ、非限定的実施例として、異なる培養条件下で得られたバイオマス密度は、10mg/L未満から500mg/L超まで、例えば、500mg/L未満から1500mg/L超まで、様々であってよい。ここに開示された方法は、非常に低密度のバイオマス、例えば、10mg/L未満のバイオマスを収穫することができ、他方で、この方法は、非常に高密度のバイオマス、例えば、5,000mg/L超のバイオマスを収穫することもできる。
【0014】
ここに用いたように、「生物物質」、「バイオマス」という用語、およびその変形は、植物質と動物質、例えば、以下に限られないが、微細藻類細胞および細菌細胞を含むことが意図されている。「希釈された生物懸濁液」、「生物懸濁液」、「懸濁液」という用語、およびその変形は、液体またはスラリー中の生物物質の懸濁液を意味する。懸濁液の非限定的例としては、特に、開放型または閉鎖型の光バイオリアクタから得られるものなどの、細胞栄養素を含有するpHが調節された流体であってよい培地中に懸濁された微細藻類が挙げられる。追加の例としては、生物物質を含有する油および有機溶媒、例えば、油または脂質を含有する水性微細藻類懸濁液が挙げられる。
【0015】
ここに用いたように、「薄膜フィルタ」、「フィルタ」という用語、およびその変形は、必要に応じて少なくとも1つの薄膜層が被覆された多孔質モノリス体または支持体を含むことが意図されている。モノリス体または支持体は、例えば、セラミック材料および炭素系材料を含む任意の適切な多孔質材料から形成してよい。セラミック材料としては、以下に限られないが、ムライト、コージエライト、アルミナ、および炭化ケイ素を含むものが挙げられる。炭素系材料としては、以下に限られないが、合成炭素含有高分子材料(硬化または未硬化であってよい);活性炭粉末;木炭粉末;コールタールピッチ;石油ピッチ;木粉;セルロースおよびその誘導体;小麦粉、木粉、トウモロコシ粉、木の実の殻の粉などの天然有機材料;デンプン;コークス;石炭;またはそれらの混合物が挙げられる。ある実施の形態において、炭素系材料は、フェノール樹脂またはフルフリルアルコール系樹脂を含む。ある実施の形態において、炭素系材料は、上述した材料の炭化され、必要に応じて活性化された形態である。
【0016】
少なくとも1つの例示の実施の形態において、モノリス体は多孔質セラミック材料からなる。非限定的例として、多孔質モノリス体は、ムライト(3Al23・2SiO2)、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、コージエライト(2MgO・2Al23・5SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、チタニア(TiO2)、アルミナシリカ混合物、ガラス、無機耐火材料、および多孔質金属酸化物から選択されたセラミック組成物から製造されてよい。
【0017】
少なくとも1つの実施の形態において、モノリス体は、ここにその全開示を引用する、米国特許第6238618号および同第6254822号の各明細書に開示され記載されたムライト組成物などの多孔質セラミックムライトからなる。少なくともいくつかの実施の形態において、ムライトは、腐食性環境などにおける、著しい強度保持、および拡張されたpH動作範囲を提示するであろう。少なくとも特定の実施の形態において、ムライト体は、優れたpH安定性に加え、その中を通過する有機流体の種類に関して実質的に制限がない。ムライトからなるモノリスは、少なくとも特定の実施の形態において、バックパルス処理(back pulsed)し、蒸気滅菌しても差し支えない。ムライト材料は、食品との接触について、FDA(米国食品医薬品局)の認可も受けるであろう。これらの利点は、様々な実施の形態および典型的に高pH培地中で培養され、食品や栄養補給食品に使用してもよい、スピルリナ細胞などの微細藻類細胞の種の収穫にとって、重要であろう。しかしながら、例えば、他の用途を意図したフィルタのために、他の材料がより適しているかもしれないことが当業者には認識されよう。
【0018】
モノリスまたは支持体を形成する多孔質材料は、網目構造の複数の流路を形成する多孔質の網目構造または相互に接続されたマトリクスからなる。この開示の様々な実施の形態において、モノリス体の総細孔体積または気孔率は、例えば、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、およびそこから導かれる任意の範囲を含む、20%から60%に及んでよい。
【0019】
様々な例示の実施の形態において、モノリス体の細孔体積は、例えば、8μmから12μmに及ぶものを含む、2μmから20μmに及ぶ細孔径サイズを有する細孔から実質的になっていてよい。
【0020】
細孔径および総気孔率値は、当業者に公知の従来の方法およびモデルを使用して定量化できる。例えば、細孔径および気孔率は、水銀圧入法および窒素吸着などの標準技法によって測定できる。
【0021】
モノリスは「濾液導管」をさらに含んでもよく、これは、濾液物質が、濃縮水または生物懸濁液とは別の流れで、モノリス体の内部を通って流れるための流路を提供するように配列されたチャンネルまたは導管である。濾液導管は、導管の壁を通り抜けた分離濾液をその後の収集または処理のためにモノリス体の外部まで導くことができるであろう。様々な例示の実施の形態において、これらの濾液導管は、モノリスの入口端から出口端まで延在してよい。濾液導管は、多孔質材料を通る流れの抵抗より低い流動抵抗の流路を提供する。少なくとも1つの実施の形態において、モノリスは、濾液導管が多孔質材料体の全体に分布して、多孔質材料体から近くの濾液導管まで低圧力降下流路を提供するように構成されていてよい。例示の別個の濾液導管が、例えば、ここに引用する米国特許第4781831号明細書に開示され、記載されている。
【0022】
様々な例示の実施の形態において、濾液導管は、その導管から濾液収集区画または区域まで延在する1つ以上のチャンネルまたはスロットをさらに含んでもよい。例えば、スロットは、縦の導管からモノリスの外面まで横方向に延在してもよい。様々な実施の形態において、チャンネルまたはスロットは、モノリスの入口端または出口端で、導管の長手方向に沿った任意の点でモノリス体の外面を通って、もしくはそれらの任意の組合せで形成されてもよい。
【0023】
さらに別の実施の形態において、濾液導管は、1つ以上の障壁材により入口端および/または出口端で施栓または封鎖されていてもよい。この障壁材は、モノリスの入口端または出口端で濾液導管へ、またはそこからの生物懸濁液流が直接通過するのを阻害するであろう。障壁材は、例えば、濾液導管中に挿入されたまたは導入された材料の栓であってよい。障壁材は、必要に応じて、構造物と同じ材料からなっていても、またはある他の適切な材料であってもよく、障壁材は、少なくともいくつかの実施の形態において、構造材料のものと同様のまたはそれ未満の気孔率を有してよい。例えば、様々な例示の実施の形態において、栓は、セメント、有機シーラント、またはエポキシからなっていてよい。
【0024】
少なくとも1つの例示の実施の形態において、モノリス体は濾液導管を含まない。例えば、モノリスが、例えば、50mm未満の小さなモジュール径を有する場合、濾液導管を含むことなく、適切な濾過を行うであろう。さらに別の例示の実施の形態において、モノリス体は濾液導管を含む。例えば、50mm超の直径を有する本体では、フィルタ本体の内部からの濾液流体の除去を促進するために濾液導管が必要であろう。
【0025】
様々な例示の実施の形態において、裸のモノリス体が、生物物質を収穫するために適しているであろう。例えば、大きなサイズの微細藻類について、適切な細孔径分布(すなわち、セルの直径よりも小さい)を有するモノリス体を、バイオマスの収穫に使用してもよい。
【0026】
様々な例示の実施の形態において、モノリス体の細孔よりも小さいな細孔径を有する多孔質材料の少なくとも1つの薄膜層が、モノリスまたは支持体内の流体通路の壁上に堆積されていてもよい。この薄膜層は、以下に限られないが、セラミックおよび炭素系材料、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、ガラス、ジルコニア、チタニア、およびそれらの組合せから選択される材料を含む、任意の適切な多孔質材料からなっていてもよい。少なくとも1つの実施の形態において、薄膜層は、アルミナ、ジルコニア、シリカまたはチタニアからなる。様々な実施の形態において、薄膜フィルタの所望の濾過細孔径は、流体通路に特定の被覆を使用することによって調節されるであろう。薄膜層は、従来のスリップキャスティングまたは当業者に公知の任意の他の方法などの、従来公知の湿式化学法により塗布してもよい。様々な例示の実施の形態において、少なくとも1つの薄膜層は、5μmから150μmに及ぶ層厚を示すように堆積される。追加の例示の実施の形態において、薄膜層の細孔体積は、10nmから500nm、例えば、200nmから450nm、および200nmから400nmに及ぶ細孔径を含んでよい。少なくとも1つの実施の形態において、少なくとも1つの薄膜層は、必要に応じて、より小さな細孔径、例えば、200nm未満を有する少なくとも1つの第2の薄膜層と組み合わされてもよい。
【0027】
追加の例示の実施の形態において、分離機能を提供する随意的な薄膜を、少なくとも1つの薄膜層に、もしくはモノリス体または支持体の流体通路の表面に直接施してもよい。さらに別の実施の形態において、分離機能を提供する薄膜を、1μmから10μmに及ぶ層厚を示すように堆積させてもよく、この薄膜は、200nm未満の細孔径を有してもよい。
【0028】
少なくとも1つの例示の実施の形態において、開示された方法は、あるサイズ範囲、例えば、0.2μmから3μmに及ぶなどの0.2μmから30μmに及ぶ範囲の生物物質を濾過するであろう。
【0029】
例えば、例示の薄膜フィルタの説明図である図1に示すように、希釈された生物懸濁液101が、入口端103で薄膜フィルタ102に進入し、出口端104に向かってこのフィルタを通って移動する。薄膜フィルタ102を通って移動しながら、予め選択された細孔径またはそれより小さな細孔径の懸濁液成分が、図1の矢印により示されるように、多孔質体105から、薄膜フィルタ106を通り、濾液導管108中へと通過する。図1は、濾液導管108がモノリスの入口端および/または出口端で障壁107により施栓されてもよいことも示している。
【0030】
様々な実施の形態において、薄膜フィルタの適切な細孔径分布は、例えば、生物物質の細胞サイズおよび所望の濾過流束に基づいて、当業者が決定してよい。一例として、細孔径分布は、ある実施の形態において濾過流束を最大にするために、濾過されている生物物質の直径に基づいて調節する必要があるであろう。例えば、ここに説明したように、微細藻類には数千種があり、そのサイズは3μmから30μmに及ぶ。それゆえ、例えば、シネコシスティス属(Synechocystis)ps.PCC6803などの細菌サイズの藍藻について、最適な薄膜フィルタの細孔径は、特定の用途の所望の濾過流束のために0.2μmから1μmの範囲にあるであろう。同様に、スピルリナ(Spirulina Platensis)などの藍藻の大きなサイズについて、最適な薄膜フィルタの細孔径は、特定の用途の所望の濾過流束のために1μmから3μmの範囲にあるであろう。
【0031】
様々な実施の形態において、ここに記載された方法は、任意のpH範囲で動作してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、この方法は、11などの2から13までに及ぶpHを有するサンプルについて行ってもよい。
【0032】
様々な例示の実施の形態において、少なくとも1つの薄膜フィルタを、例えば、少なくとも1つの筐体内に搭載してもよい。この少なくとも1つの筐体は、プラスチック材または金属材を含む任意の種類の筐体材から選択されてもよく、例えば、3−A承認衛生ステンレス鋼設計筐体または非衛生工業設計筐体などの、多数の構造で設計することができる。それらの筐体の種類のいずれにおいても、薄膜フィルタには、フィルタ筐体の二面の各々を覆って嵌るエラストマー製シールが必要に応じて嵌められてもよい。これらのシールは、例えば、透過水が供給物および/または濃縮物と混ざるのを防ぐために、濾液空間を封止するように構成されていてもよい。当業者には、異なる種類のシールを使用してもよいことが認識されよう。さらに、様々な例示の実施の形態において、各薄膜フィルタの構造は、個々のモノリスであってよく、各端部に固着されたステンレス鋼製端部リング接続具を備えてもよい。任意の特定の用途のための適切な固着材は、当業者が決定できる能力の範囲内にある。一例として、少なくとも1つの実施の形態において、端部リングをモノリスに固着するのに使用される材料は高分子接着剤であってよい。
【0033】
様々な例示の実施の形態において、生物物質を薄膜フィルタに通過させる工程は、様々な細胞サイズおよび細胞密度の生体懸濁液を、少なくとも1つの薄膜フィルタに通して、例えば、2回以上などの1回以上、通過させるまたは循環させることを含んでよい。少なくとも1つの実施の形態において、2つ以上の薄膜フィルタを直列にまたは並列に使用してよい。生物物質を薄膜フィルタに通して通過させるまたは循環させるための当業者に公知の任意の方法を使用してよい。一例として、駆動力として、真空ポンプまたは他の同様の機構を使用してよい。使用した方法およびサンプルが薄膜フィルタに通過させられる回数は、例えば、収穫されている生物物質の種類および所望のバイオマス濃度に応じて、当業者により容易に決定されるであろう。
【0034】
例えば、生物物質を収穫するための例示のベンチスケール装置の説明図である図2に示されるように、生物懸濁液201は、蠕動ポンプ208を使用して薄膜モジュール216に通して1回以上連続的に循環されるであろう。容積縮小またはバイオマス濃度の最大化のために、フィルタ筐体の入口209と出口210は、薄膜フィルタ202の直径よりも縮減されてもよい。薄膜モジュール216の側面を真空に引いて濾過のための駆動力を提供するために、真空ポンプ211を使用してもよい。様々な実施の形態において、例えば、1000mL/分超、1200mL/分超、または1595mL/分等の1500mL/分超などの、駆動力を独立して提供するために十分に大きい流量で、循環を動作させるときに、真空ポンプまたは他の同様な機構は不必要であろう。様々な例示の実施の形態において、少なくとも1種類の生物懸濁液を少なくとも1つの薄膜フィルタに通過させるための駆動力は、0.05バールから4バールまでに及んでよい。濾過された流体212は、濾液フラスコ213中に連続的に収集され、濃縮された細胞214は、供給容器または上部フラスコ215に戻される。
【0035】
サンプルを少なくとも1つの薄膜フィルタに1回以上通過させるまたは循環させることによって、通過供給原料の所望の容積縮小または密度増加が一旦得られたら、濃縮された生物懸濁液を回収してよい。生物物質の高い回収率を達成するために、追加の工程を行ってもよい。様々な例示の実施の形態において、薄膜の壁に沿って形成されるかもしれない生物物質の濾塊を壊すために、例えば、5分間などの、当業者により決定される適切な期間に亘り、回収前に大きい流量(すなわち、動作流量よりも大きい)で循環をさらに運転してもよい。追加の例示の実施の形態において、供給容器に戻った濃縮済み生物物質を収集するために、ポンプを逆に動作させてもよい。
【0036】
本開示の追加の例示の実施の形態において、濾過システムは、このシステムを流体、例えば、以下に限られないが、水または培地でフラッシングすることにより再生してもよい。システムをフラッシングすることにより、システムの配管および濾液筐体中に捕捉されたまたは滞留した生物物質などの、残留した生物物質を回収してもよい。さらに別の例として、残留した生物物質は、システムをフラッシングすることによって、実質的に完全に回収し、それによって、ほぼ100%の回収率を達成することができる。回収された残留する濃縮済み生物物質は、正常な細胞生存能力を示すであろうし、供給容器中に収集しても、またはバイオマスの新たなサイクルを開始するためにバイオリアクタまたは開放池に直接ポンプで送り込んでもよい。
【0037】
本開示の追加の例示の実施の形態において、培地または水によるフラッシングによる濾過システムのそのような再生は、例えば、流束を著しく低下させずに、1インチ×2インチ(約2.5cm×5cm)の薄膜フィルタについて50g/m2の濾過容量を達成するために、一定の流束を維持するのに十分であろう。
【0038】
少なくとも1つの例示の実施の形態において、濾過中に流束の著しい低下が観察された場合、フィルタは、当業者に公知の任意の方法によって洗浄しても差し支えない。例えば、フィルタをシステムから取り出し、市販の漂白剤中に浸漬し、次いで、蒸留水で濯いでもよい。さらに別の例において、フィルタを30分間に亘り市販の漂白剤中に浸漬し、次いで、3回までまたはそれ以上蒸留水で濯いでもよい。少なくとも1つの実施の形態において、このプロセスは、薄膜を著しく汚さずにまたは性能を変化させずに、濾過性能を実質的に完全に回復させるであろう。一例として、そのような漂白法を使用した後、1インチ×2インチ(約2.5cm×5cm)の薄膜フィルタは、薄膜を汚さずにおよび/または性能を変化させずに、360g/m2を濃縮することができるであろう。別の実施の形態において、薄膜フィルタは、漂白剤または他の洗浄剤を薄膜に通して循環させることによって所定の位置にある間に、洗浄してもよい。その上、薄膜フィルタは、例えば、500℃の温度で、このフィルタを濾内で加熱乾燥することによって、洗浄してもよい。
【0039】
少なくとも1つの例示の実施の形態において、薄膜フィルタを閉鎖型システム、すなわち、バイオリアクタ、または開放池とループで接続してもよく、希釈された生物懸濁液を少なくとも1つのフィルタに1回以上循環させて、容積を減少させ、バイオマスを濃縮してもよい。少なくとも1つの実施の形態において、所望の容積および/または濃度が達成されるまで、生物懸濁液を、少なくとも1つのフィルタに通して2回以上、連続的に循環させてもよい。
【0040】
湿ったバイオマスを、油抽出のために直接処理してもよい。しかしながら、油抽出の前に、様々な例示の実施の形態において、記載した方法によって得られた濃縮バイオマスを、その後、例えば、重力沈殿により水を除去するか、または乾燥させ、例えば、空気乾燥させ、もしくは任意の他の公知の方法によってさらに濃縮してもよい。
【0041】
別記しない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用した全ての数は、そのように述べられていようとなかろうと、全ての場合において「約」という用語によって修飾されているものと理解すべきである。本明細書および特許請求の範囲に使用した正確な数値は、本発明の追加の実施の形態を形成することも理解すべきである。実施例において開示された数値の精度を確実にするために努力がなされてきた。しかしながら、任意の測定された数値は、それぞれの測定技法に見られる標準偏差から生じるある種の誤差を固有に含み得る。
【0042】
ここに用いたように、単数形の使用は、「少なくとも1つ」を意味し、はっきりとそうではないと示されていない限り、「たった1つ」に制限されるべきではない。それゆえ、例えば、「薄膜フィルタ」の使用は、少なくとも1つの薄膜フィルタを意味することが意図されている。
【0043】
本発明の他の実施の形態は、本明細書の検討およびここに開示された本発明の実施から当業者には明白であろう。明細書および実施例は、例示のみとして考えられ、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲により示されることが意図されている。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明を制限することを意図するものではない。
【0045】
実施例1
pHを維持するために10mMのHEPES緩衝液(pH7.4)を加えた、改質BG−11培地(ATCC培地616)中で培養した藍色細菌(シネコシスティス属sp.PCC6803)の藍藻細胞懸濁液を、ハニカム型ムライト系薄膜フィルタを使用して収穫した。
【0046】
この実験に使用した薄膜フィルタはSP−2−1であった。これは、長さが2インチ(約5.08cm)、直径が1インチ(約2.54cm)であり、56個の正方形流体通路(各1.85×1.85mm2)を有するムライト系薄膜支持体である。総濾過面積は210.5cm2であり、断面積または前面面積は1.8144cm2であった。
【0047】
セラミック支持体またはモノリスは、50%の気孔率および9μmの平均細孔径を有し、アルミナから製造された、支持体の上部に被覆された選択的薄膜は0.2μmから0.4μmの平均細孔径を有した。
【0048】
懸濁液からシネコシスティス属sp.PCC6803細胞を収穫するために、図2に示されたものと同様のベンチスケール装置を使用した。この懸濁液を、蠕動ポンプを使用して薄膜フィルタに通して循環させた。死空間を減少させ、濾過効率を増加させるために、フィルタ筐体の入口と出口を、薄膜フィルタの元の11/2インチ(約3.81cm)の直径から、5/16インチ(約0.79cm)の直径まで減少させた。薄膜モジュールを通る微細藻類細胞培養懸濁液の供給流量は704mL/分であった。薄膜モジュールの透過水ポートを真空に引いて、濾過のために15inHg(約100kPa)の駆動力を提供した。
【0049】
薄膜の透過水ポートを真空に引く際に、培地は薄膜フィルタを通じて濾液容器(下側のフラスコ)に引き込まれ、一方で、微細藻類細胞は供給容器(上側のフラスコ)において濃縮される。
【0050】
薄膜フィルタの性能は、濾過水流束および濾過効率を測定することによって評価した。細胞密度を、690nmでの吸光度を分光分析で決定することにより測定した。細胞密度およびバイオマス(乾燥質量)は、光学密度と細胞密度との間の所定の相関関係、および細胞密度と乾燥質量との間の所定の相関関係を使用することによって得た。
【0051】
表1に要約されているように、1回目の運転について、微細藻類の初期供給容積は857mLであり、細胞密度は331.9mg/Lであった。704mL/分の供給流量および15inHg(約100kPa)の薄膜を横切る圧力差での30分間の連続動作後、供給容積は184mLの容積まで減少した。よって、濃縮プロセスを停止した。
【0052】
薄膜から濃縮した微細藻類を回収するために、供給物を、透過水ポートを真空に引かずに、大きい流量で薄膜に通して循環させた。これにより、薄膜に沿って堆積した「藻類濾塊」が壊れ、回収率が増加する。それゆえ、蠕動ポンプの速度を704mL/分の動作速度から1020mL/分まで増加させ、供給循環を5分間継続した。次いで、このポンプを逆に運転して、濃縮済み細胞懸濁液を供給容器に集めた。濃縮済み細胞懸濁液は、1,589.1mg/Lの細胞密度で184mLであると測定され、これは、元の懸濁液より5倍大きい。培地の80パーセントがこのプロセスにより回収された。
【0053】
濃縮済み細胞を除去した後、薄膜を200mLの回収した培地で3回フラッシングすることによって、この薄膜を再生した。このプロセスは、水流束を初期の基線に戻すのに十分であることが分かった。このプロセスでは、システム中に捕捉された残留する生物物質(8%未満)も回収され、これは、次のバッチ式培養の種として使用できる。
【0054】
回収した残留微細藻類及び濃縮済み微細藻類の生存力を検証し、両方とも正常な生長速度を示した。したがって、ここに開示された収穫方法は、微細藻類細胞に害を及ぼさなかった。
【0055】
次いで、藍色細菌収穫の2回目と3回目を、同じ手法と供給容積を使用したが、異なるバイオマス密度と供給流量を使用して行った。2回目と3回目の運転は、1020mL/分の流量で行った。供給概要と結果も、以下の表1に列記されている。
【表1】

【0056】
蒸留水の流束を、微細藻類の収穫の各運転の前後に測定し、薄膜性能を評価するために使用した。図3は、これらの別々の運転からの水と藍色細菌懸濁液の流束の比較を示している。これらの結果は、セラミック製薄膜フィルタの性能は、3回の別々の運転において一貫していたことを示している。3回の運転後に測定した水の流束は、正常範囲のままであった(220mLから350mL)。透過水中の細胞密度と最終的な濃縮物中の細胞密度を比較することにより計算した[濃縮物/(濃縮物+濾液)]濾過効率は、混合した濾液/透過水中の細胞は検出されなかったので、ほぼ100%であった。
【0057】
実施例1の薄膜フィルタは、濾過流束において著しい変化なく、50g/m2を連続的に濃縮できる(238.1cm/分の速度で決定された100L/時・m2・バール)。水流束が基線の30%まで低下したときに、フィルタを取り外し、市販の漂白剤中に30分間に亘り浸漬し、次いで、蒸留水で3回濯いだ。この処理により、薄膜性能を復元することができ、著しい薄膜の汚れは観察されなかった。そのような実施について、累積で、1インチ×2インチ(約2.5cm×5cm)の薄膜フィルタにより、合計で8グラムの微細藻類バイオマス(乾燥質量)が収穫され、これは、360g/m2と等しい。
【0058】
比較例
5分間に亘る8,000rpmでの従来の方法である遠心分離を使用した細胞収穫の2回の比較運転も行った。比較運転に使用した細胞懸濁液は、表1において「2回目の運転」と識別されたものと同じであった。ペレット中と上清中に検出された細胞数に基づいて、回収率を計算した。2回の比較遠心分離運転の結果が表2に示されている。
【表2】

【0059】
表1に示された本発明の方法の回収率、すなわち、(濃縮物中のバイオマス+残留バイオマス)/出発時の総バイオマスは、一貫して90%より高いのに対し、比較運転、すなわち、従来の遠心分離方法では、沈殿物中のバイオマス/出発時の総バイオマスと計算して、80%未満の回収率が得られた。
【0060】
実施例2
実施例1に記載された薄膜フィルタSP−2−1を使用して、pHを維持するために10mMのHEPES緩衝液(pH7.4)を加えた、改質BG−11培地(ATCC培地616)中で培養した細胞懸濁液から、単細胞の藍藻であるシネコシスティス属sp.PCC6803を収穫した。
【0061】
実施例1に記載した実験設備を使用して、様々な密度を有する一連の細胞懸濁液を濾過した、最低のサンプル細胞濃度は100mg/Lであり、細孔は1,800mg/Lであった。その結果が以下の表3に述べられている。1インチ×2インチ(約2.5cm×5cm)の薄膜フィルタを使用して、シネコシスティス属sp.PCC6803を5349mg/Lほど高い濃度まで濃縮した。
【表3】

【0062】
463cm/分の等速で表3に示されたサンプルからのデータを使用して、濾過流束へのバイオマス密度の影響が図4に示される。図4に示されるように、一般に、濾過流束(L/時・m2・バール)は、初期バイオマス密度(mg/L)が増加するにつれて、減少する。例えば、初期バイオマス密度が7倍増加したときに、濾過流束は58%減少した。
【0063】
濾過流束も供給流量により影響を受けた。図5に示されるように、130mg/Lの初期バイオマス密度を有する表3のサンプルからのデータを使用して、濾過流束の増加は、薄膜モジュールを通る供給流量の増加に対して比例している。例えば、供給流量が2.4倍に増加したときに、濾過流束は1.9倍増加した。
【0064】
実施例3
より大きい濾過流束を研究するために、5種類のセラミック製薄膜フィルタ(1インチ×2インチ(約2.5cm×5cm)モジュール)を同じ動作条件下で試験した:SP−2−1、SP−2−2、SP−2−3、SP−2−4、およびSP−2−8。これらのフィルタは、先の実施例1に記載したものと同様の寸法および薄膜平均細孔径(0.2〜0.4μm)を有する。しかしながら、それらは、セラミック製支持体の気孔率と平均細孔径が異なる。これらの薄膜フィルタの濾過表面積は210.5cm2であり、断面積または前面面積は1.8144cm2である。350mg/Lの密度でシネコシスティス属sp.PCC6803細胞を試験に使用した。透過水ポートを0.5バールの真空に引き、供給速度は401.7cm/分に維持した。表4は、これらの薄膜フィルタの気孔率および平均細孔径並びにそれぞれの濾過効率および流束を要約している。
【表4】

【0065】
表4に示された結果は、モノリス体の気孔率および細孔径分布の選択が、高い流束並びに高い濾過効率を達成するために重要であろうことを示唆している。例えば、全気孔率が3から50%の範囲内にあり、セラミック製支持体の平均細孔径が7から10μmの範囲内にあるときに、高い流束が検出された。他方で、大きな細孔径により、大きな細孔を被覆するのに必要なより厚い薄膜被覆のために、流束が減少するであろう。例えば、表4に示されるように、17.7μmの大きいモノリス細孔径を有するフィルタSP−2−8は非常に小さい流束を示した。
【0066】
実施例4
スピルリナは、プランクトン様の光合成糸状藍色細菌である。この種は、その高い栄養特性(すなわち、タンパク質および脂質を多く含有する)のために、食品および栄養補給食品に使用されてきた。スピルリナは、単細胞であるが、比較的大きく、長さが0.5mmのサイズを得ており、これは、ほとんどの他の藻類のサイズの約100倍である。スピルリナはアルカリ性条件で培養される(pH9から11)。大きなサイズの微細藻類についての薄膜フィルタの性能および高pHに対するフィルタの耐容性を研究するために、この種の濾過を行った。
【0067】
この実験に使用した薄膜フィルタは、実施例1に記載したSP−2−1であった。供給物のスピルリナの細胞密度は188mg/Lであった。840mL/分の供給流量および15inHgの薄膜を横切る圧力差で25分間に亘り濾過した後、供給容積は、初期の600mLから188mLまで減少し、バイオマス密度は686mg/Lまで増加した。得られた濾過流束は98.9L/時・m2・バールであった。このデータは実施例2における濾過流束と同様であり、小さなサイズの細胞種であるシネコシスティス属sp.PCC6803を、同様の濾過条件したで比較した。したがって、同じ薄膜フィルタについて、濾過流束は、少なくともいくつかの実施の形態において、例えば、3μmの直径から500μm超の長さに及ぶ、生物物質のサイズまたは形状により影響を受けないであろうことが分かる。
【0068】
実施例5
この実施例において、薄膜に亘り印加される駆動力の影響を研究した。大きなムライト系薄膜フィルタを使用した:長さが12インチ(約30cm)、直径が1インチ(約2.5cm)、および85個の円形流体通路(直径が1.7mm)。総濾過表面積は0.13m2であり、その開放前面面積は1.88cm2であった。セラミック製支持体は、37.7%の全気孔率および4.2μmの平均細孔径を有した。この支持体の上部に被覆されたアルミナの薄膜は0.2μmの平均細孔径を有した。
【0069】
薄膜フィルタの高い濾過流束のために、透過水ポートは減圧に引かなかった。薄膜に渡り測定した圧力差は0.057バールであった。シネコシスティス属sp.PCC6803の微細藻類懸濁液を30分間に渡り高い供給流量1595mL/分で循環させた。バイオマス密度は329.4ml/Lから1379.1mg/Lまで濃縮され、一方で、供給容積は800mLから191mLまで減少した。達成された濾過効率は97%以上であった。
【0070】
別の運転において、濾過は738mL/分の低流量で行い、透過水ポートを10inHgの真空に引いた。325mg/Lの供給密度で、濾過流束は5,271mL/分・m2・バールであった。
【符号の説明】
【0071】
101,201 生物懸濁液
102,106,202 薄膜フィルタ
103 入口端
104 出口端
105 多孔質体
107 障壁
108 濾液導管
208 蠕動ポンプ
211 真空ポンプ
212 濾過された流体
213 濾液フラスコ
214 濃縮された細胞
215 供給容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細藻類を収穫する方法であって、微細藻類を含む少なくとも1種類の生物物質を含む少なくとも1種類の生物懸濁液を少なくとも1つの薄膜フィルタに通過させる工程を有してなる方法において、
前記少なくとも1つの薄膜フィルタが、多孔質材からなるモノリス体から構成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の生物懸濁液が、開放池および/または閉鎖型光バイオリアクタから得られた培地、油、および有機溶媒から選択される少なくとも1種類の液体またはスラリーをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の生物懸濁液が、2から13に及ぶpHを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種類の生物懸濁液のバイオマス密度が、収穫前に10mg/Lから5000mg/Lまでに及ぶことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種類の生物懸濁液を前記少なくとも1つの薄膜フィルタに通過させるたの少なくとも1つの駆動力を印加する工程をさらに含み、該駆動力が0.05バールから4バールに及ぶことを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515553(P2012−515553A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548123(P2011−548123)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021760
【国際公開番号】WO2010/085619
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】