セラミック触媒体
【課題】セラミック担体の外周部に排気ガスを流れ易くすることができ、セラミック担体全体における触媒の早期活性化を図ることができるセラミック触媒体を提供すること。
【解決手段】セラミック触媒体1は、エンジンの排気ガスを通す排気管3における通路径を上流側よりも拡大させた径大部31に設置される。セラミック触媒体1は、ハニカム状のセル壁12に囲まれたセル13を多数設けてなるセラミック担体11に触媒を担持させてなる。セラミック担体11は、排気管3における径大部31の直上に設けられた上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である中央部21と、中央部21の周囲に配された外周部22とを有する。外周部22の開口率は、中央部21の開口率よりも大きく、かつ、外周部22の吸水率は、中央部21の吸水率よりも大きい。
【解決手段】セラミック触媒体1は、エンジンの排気ガスを通す排気管3における通路径を上流側よりも拡大させた径大部31に設置される。セラミック触媒体1は、ハニカム状のセル壁12に囲まれたセル13を多数設けてなるセラミック担体11に触媒を担持させてなる。セラミック担体11は、排気管3における径大部31の直上に設けられた上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である中央部21と、中央部21の周囲に配された外周部22とを有する。外周部22の開口率は、中央部21の開口率よりも大きく、かつ、外周部22の吸水率は、中央部21の吸水率よりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の内燃機関の排気ガス浄化用触媒等に用いられるセラミック触媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の内燃機関の排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒としては、セル壁をハニカム状に配して多数のセルを設けてなるセラミック担体に触媒を担持させたセラミック触媒体が知られている。
このセラミック触媒体は、排気ガスの通路である排気管内に設置して用いられる。そして、高温の排気ガスをセラミック担体に流通させることにより、担持した触媒を活性化させ、排気ガスの浄化を行う。
【0003】
一般に、セラミック触媒体は、排気管の通路径を上流側よりも拡大させた部分に設置されている。すなわち、セラミック触媒体が設置されている排気管の通路径は、セラミック触媒体のすぐ上流側にある排気管の通路径よりも大きい。したがって、上記セラミック触媒体の外周部分は、排気管の通路が上流側よりも拡大した部分に配置され、上記セラミック触媒体の中央部分に比べて排気ガスが流入し難い。
そのため、セラミック触媒体の外周部分は、中央部分に比べて昇温が遅く、触媒を早期に活性化することができない。これにより、セラミック触媒体の排気ガス浄化性能を効率よく有効に発揮することができない。
【0004】
セラミック担体に担持された触媒を早期に活性化させるセラミック触媒体の構造としては、特許文献1等に開示されている。しかしながら、上記の構造は、排気管の通路径を拡大させた部分にセラミック触媒体を設置する構成を想定したものではないため、排気ガスをセラミック触媒体の外周部分に流れ易くすることはできない。
上記の問題を解決するため、セラミック触媒体内を排気ガスが均一な流量で流れるように、セラミック担体の外周部分から中央部分に向かってセル数が多くなるように構成したセラミック触媒体が特許文献2及び3に提案されている。しかしながら、上記の構造では、触媒の担持量にばらつきが生じてしまい、しいては、セル数の多い領域において目詰まりが発生してしまうという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平8−193512号公報
【特許文献2】特開2000−97019号公報
【特許文献3】特開平10−244167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたもので、セラミック担体の外周部に排気ガスを流れ易くすることができ、セラミック担体全体における触媒の早期活性化と共に触媒の目詰まり防止を図ることができるセラミック触媒体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内燃機関の排気ガスを通す排気管における通路径を上流側よりも拡大させた径大部に設置される排気ガス浄化触媒用のセラミック触媒体において、
該セラミック触媒体は、ハニカム状のセル壁に囲まれたセルを多数設けてなるセラミック担体に触媒を担持させてなり、
上記セラミック担体は、上記排気管における上記径大部の直上に設けられた上流排気管部を上記セラミック担体の軸方向に投影した場合に、上記上流排気管部よりも内側の領域である中央部と、該中央部の周囲に配された外周部とを有し、
上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率よりも大きく、かつ、上記外周部の吸水率は、上記中央部の吸水率よりも大きいことを特徴とするセラミック触媒体にある(請求項1)。
【0008】
本発明のセラミック触媒体において、上記セラミック担体の上記中央部は、上記上流排気管部を上記セラミック担体の軸方向に投影した場合に、上記上流排気管部よりも内側の領域である。そのため、上記中央部の周囲に配された上記外周部は、上記排気管の通路径を上記上流排気管から拡大させた部分、つまり該上流排気管部からの排気ガスが上記中央部よりも流入し難い部分に配置される。
【0009】
本発明のセラミック触媒体では、上述したような排気ガスの流入し難い部分に配置される上記外周部の開口率を上記中央部の開口率よりも大きくしてある。そのため、上記外周部の通気抵抗は、上記中央部の通気抵抗よりも小さくなり、上記セラミック担体に流入する排気ガスは、通気抵抗のより小さな上記外周部に流れ易くなる。これにより、上記セラミック触媒体は、上記セラミック担体の上記外周部をより早く昇温させることができると共に、該外周部に担持された触媒をより早く活性化することができる。
【0010】
また、上記セラミック触媒体は、上記セラミック担体の上記外周部に排気ガスを流れ易くすることにより、上記セラミック担体全体における排気ガスの流通量の偏りを低減することができると共に、上記セラミック担体における内部温度のばらつきを小さくすることができる。これにより、上記セラミック触媒体は、上記セラミック担体に担持されている触媒を全体的に効率よく早期に活性化することができる。
【0011】
また、上記セラミック触媒体では、上記外周部の吸水率を上記中央部の吸水率よりも大きくしてある。そのため、上記セラミック担体に触媒を担持させる際に、上記中央部と上記外周部とのセル幅(上記セルの間隔)の違いによって生じる触媒の担持量の差を調整することができる。これにより、上記セルにおける触媒の目詰まりを防止することができ、触媒を均一に担持することができる。それ故に、上記セラミック触媒体は、触媒による排気ガス浄化性能のばらつきの少ない、優れたものとなる。
【0012】
このように、本発明のセラミック触媒体は、上記セラミック担体の上記外周部に排気ガスを流れ易くすることができると共に触媒の目詰まりを防止することができる構造である。また、上記セラミック担体全体における触媒の早期活性化を図ることができ、優れた排気ガス浄化性能を有するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、「開口率」とは、上記セラミック担体の径方向断面における上記中央部及び上記外周部のそれぞれの領域に対して、上記セル壁が存在せずに開口している部分が占める割合である。
また、「吸水率」とは、上記中央部及び上記外周部のそれぞれの領域における上記セル壁の重量に対して、該セル壁が吸水できる量の割合である。
【0014】
また、上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率の1.01倍以上であることが好ましい(請求項2)。
上記外周部の開口率が上記中央部の開口率の1.01倍未満である場合には、上記外周部に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができないおそれがある。
【0015】
また、上記中央部の吸水率は、17〜24%であることが好ましい。また、上記外周部の吸水率は、18〜25%であることが好ましい。そして、上記中央部と上記外周部との吸水率の差は、1%以上であることが好ましい。
この場合には、上記セラミック担体に触媒を担持させる際に、上記セルにおける触媒の目詰まりを防止し、触媒を均一に担持することができるという効果を充分に発揮することができる。
【0016】
また、上記中央部及び上記外周部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの開口面積は、上記中央部の上記セルの開口面積に比べて大きいことが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記外周部に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
【0017】
また、上記中央部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの形状は六角形状であることが好ましい(請求項4)。
六角形状の上記セルは、四角形状の上記セルよりも通気抵抗が小さい。そのため、上記外周部に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
【0018】
また、上記外周部は、上記セラミック担体の外周に近づくに従って徐々に開口率が大きくなることが好ましい(請求項5)。
上記外周部は、上記セラミック担体の外周に近づくに従って排気ガスが流れ難い。そのため、このように上記外周部の開口率を上記セラミック担体の外周に近づくに従って大きくすることによって、上記外周部全体に効率よく排気ガスを流入させることができる。これにより、上記外周部においても、排気ガスの流通量の偏りが低減され、内部温度のばらつきが小さいものとなり、上記セラミック担体全体における触媒の早期活性化をさらに図ることができる。
【0019】
また、上記中央部と上記外周部との間には、両者を隔てる内周壁が設けられていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記中央部と上記外周部との接合部分の強度を上記内周壁によって充分に確保することができる。また、上記セラミック触媒体全体の強度を充分に確保することができる。
なお、上記セラミック担体は、上記中央部と上記外周部との間に上記内周壁を設けない構成とすることもできる。また、いずれの構成においても、上記中央部と上記外周部とを一体的に成形することもできるし、両者を別々に成形して接合することもできる。ただし、別々に成形する場合には、上記両者の境界において、上記セル壁同士をしっかりと接合しておくことが好ましい。
【0020】
また、上記セラミック担体は、コージェライトよりなることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記セラミック担体として熱膨張係数の低いコーディエライトを用いることにより、耐熱衝撃性に優れた上記セラミック触媒体となる。耐熱衝撃性に優れた上記セラミック触媒体は、熱応力による割れ等の発生を抑制することができる。また、コーディエライトは高温耐久性に優れる材料である。したがって、担持されている触媒の性能を長期に渡り維持することができる。さらに、コーディエライトは安価であり、製造コストの低減を実現することができる。
【0021】
また、上記セラミック担体の形状は、断面形状が円形、楕円形等、一般的に用いられている形状を採用することができる。
また、上記セラミック担体に担持させる触媒としては、Pt、Rh、Pd、Ba、K等を用いることができる。また、助触媒としては、CeO2、ZrO2等を用いることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるセラミック触媒体について、図1、図2を用いて説明する。
本例のセラミック触媒体1は、図1に示すごとく、エンジンから排出される排気ガスを通す排気管3における通路径を上流側よりも拡大させた径大部31に設置される。
セラミック触媒体1は、図1、図2に示すごとく、ハニカム状のセル壁12に囲まれたセル13を多数設けてなるセラミック担体11に触媒を担持させてなる。そして、セラミック担体11は、排気管3における径大部31の直上に設けられた上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である中央部21と、中央部21の周囲に配された外周部22とを有している。そして、外周部22の開口率は、中央部21の開口率よりも大きく、かつ、外周部22の吸水率は、中央部21の吸水率よりも大きい。
以下、これを詳説する。
【0023】
本例のセラミック触媒体1は、図1に示すごとく、自動車エンジンの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒として用いられるものであり、エンジンから排出される排気ガスの通路である排気管3内に設置されている。図1に示した矢線Zは、触媒を作用させる排気ガスの流路方向である。また、図1は、排気管3のみを軸方向に半分切り取って示してある。
【0024】
また、同図に示すごとく、排気管3は、セラミック触媒体1を設置する径大部31と、径大部31の上流側及び下流側に設けられた上流排気管部32及び下流排気管部33とを有している。径大部31は、通路径を上流排気管部32及び下流排気管部33よりも拡大させた部分である。
【0025】
また、同図に示すごとく、径大部31は、セラミック触媒体1が挿入固定されている固定部311を有している。また、径大部31は、上流排気管部32と固定部311との間に上流テーパ部312を有している。上流テーパ部312は、その通路径が固定部311に近づくに従って徐々に大きくなっている。また、径大部31は、固定部311と下流排気管部33との間に下流テーパ部313を有している。下流テーパ部313は、その通路径が固定部311から遠ざかるに従って徐々に小さくなっている。
【0026】
なお、本例の排気管3において、径大部31の最大通路径Xは、固定部311の通路径であり、110mmである。また、上流排気管部32及び下流排気管部33の通路径Yは、45mmである。
【0027】
また、図1、図2に示すごとく、セラミック触媒体1は、触媒を担持させる円柱形状のセラミック担体11を有している。セラミック担体11は、コーディエライトを主成分として構成されており、格子状に配設されたセル壁12と、セル壁12によって区画されている多数のセル13とによって構成されたハニカム構造体である。また、セラミック担体11は、その外周を円筒形状の外周壁14により覆われている。
なお、本例のセラミック担体11の外径は103mm、長さは105mmである。また、外周壁14の厚みは0.4mmである。
【0028】
また、図2に示すごとく、セラミック担体11は、径方向断面において、その円形断面を4分割するように設けられた2本の分割セル壁121、122を有している。分割セル壁121、122は、セラミック担体11の中心Oにおいて直交するように形成されている。また、分割セル壁121、122以外のセル壁12は、分割セル壁121、122のどちらか一方に対して線対称となるように放物線状に形成されている。その放物線は、分割セル壁121、122と外周壁14とが交わる4つの交点P1〜P4に近づくに従って傾きが大きくなっている。
【0029】
また、同図に示すごとく、セラミック担体11は、径方向断面において、中央部21と中央部21の周囲に配された外周部22とを有している。ここで、中央部21は、上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である(図1参照)。したがって、中央部21の径Dは、上流排気管部32の通路径Yと同じである。なお、図2では、中央部21と外周部22との境界線を点線で示してある。この点線は、上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した位置を示している。
【0030】
また、同図に示すごとく、外周部22全体の開口率は、中央部21全体の開口率よりも大きくなっている。本例の中央部21全体の開口率は83%、外周部22全体の開口率は85%であり、外周部22の開口率は、中央部21の約1.02倍である。
また、外周部22は、部分的に見た開口率がセラミック担体11の外周、つまり外周壁14に近づくに従って徐々に大きくなっている。さらに、本例では、上述した形状のセル壁12が形成されていることにより、部分的に見た開口率が中心Oから外周壁4に近づくに従って徐々に大きくなっている。
【0031】
また、外周部22の吸水率は、中央部21の吸水率よりも大きくなっている。本例の中央部21の吸水率は19%、外周部22の吸水率は20%であり、中央部21と外周部22との吸水率の差は1%である。
【0032】
なお、吸水率は、以下のように測定した(JASO M505−87に準拠)。
まず、中央部21及び外周部22を所定の大きさに切り出し、この試料を150℃、2時間の条件で乾燥させ、重量を測定する(乾燥重量W1)。次いで、セル13が形成されている方向(セル方向)を垂直にして試料を常圧下30℃の恒温水槽に1分間浸漬する。試料を取り出して軽く水切りをした後、再び上記恒温水槽に1分間浸漬する。その後、試料を再び取り出し、セル方向を垂直にして30秒間放置する。
【0033】
次いで、ワイヤメッシュ製コンベアにセル方向を垂直にして試料を載せ、コンベアの進行方向に垂直に往復運動するエアノズルの下を一回通過させ、セル13内の水を除去する。その後、重量を測定する(吸水後重量W2)。そして、吸水率=100×(W2−W1)/W1の式によって中央部21及び外周部22の吸水率を求める。ここで、エアノズルの条件は、ノズルスロート径:40mm、エアノズル流量:118L/min、エアノズル位置:試料上端面から12.7mm上方、エアノズル速度:45サイクル/minである。また、コンベア移動速度は、30.5cm/minである。
【0034】
また、セラミック担体11において、セル壁12の壁面には、触媒(図示略)が担持されている。本例の触媒としては、Pt、Rhを用いた。また、助触媒としては、CeO2、ZrO2を用いた。
なお、触媒としては、上記以外にもPd、Ba、K等を用いることができる。
【0035】
次に、本例のセラミック触媒体1の製造方法について、簡単に説明する。
セラミック触媒体1を製造するに当たっては、製造工程そのものは従来と同様の工程を採用することができる。まず、セラミック担体11を構成するコーディエライト原料をハニカム状に成形体として押出成形する。そして、その成形体を所定の長さに切断し、乾燥後、焼成する。これにより、セラミック担体11を得る。
なお、押出成形を行う際の金型としては、セル壁12の配設形状に対応する形状のスリット溝を設けた押出成形用金型(図示略)を用いた。上記スリット溝は、放電加工、レーザー加工等の方法により形成することができる。
【0036】
次に、得られたセラミック担体11に触媒を担持する。
まず、助触媒としてのCeO2/ZrO2化合物を水中で撹拌しながら、触媒としてのPt、Rhを含有する硝酸薬液を添加した後、水分を蒸発させる。これにより、CeO2/ZrO2化合物の表面にPt、Rhを担持させた担持粉末を得る。次いで、この担持粉末を250℃で1時間焼成し、上記担持粉末に含まれる硝酸塩を除去する。次いで、上記担持粉末にアルミナ、バインダ等を加えてスラリー状とし、ボールミルで処理することによりスラリーに含まれる粉末(例えば、Pt、Rh、アルミナ、バインダ等)の粒径をそろえる。
【0037】
次いで、上記スラリーにセラミック担体11を浸漬し、セラミック担体11の表面に上記スラリーを付着させる。その後、セラミック担体11を引き上げ、120℃で20分間乾燥させ、500℃で2時間焼成する。以上により、セラミック担体11に触媒を担持させてなるセラミック触媒体1を得る。なお、本例のセラミック触媒体1は、セラミック担体11の容積に対する触媒の担持量を270g/Lとした。
【0038】
次に、本例のセラミック触媒体1(本発明品E)について、図1に示すごとく、実際に排気ガス浄化用触媒として自動車エンジンの排気管3内に設置した場合における、セラミック担体11の内部温度の分布を調べた。
セラミック担体11の内部温度は、セラミック担体11の両端面から軸方向に10mmの位置にそれぞれ熱電対を設けて測定を行った。測定箇所は、セラミック担体11における中心O、外周壁14における交点P1、P3、中心Oと交点P1、P3との中間点M1、M3の5点とした。
【0039】
また、比較のために、図3に示すごとく、全領域において開口率が同じ、つまり中央部921及び外周部922の開口率が同じセラミック担体911に触媒を担持してなる従来のセラミック触媒体91(従来品C)を作製し、本発明品Eと同様の測定を行った。
なお、セラミック担体911は、四角形格子状に配設されたセル壁912と、セル壁912によって区画されている多数の四角形状のセル913とによって構成されており、セル壁912及びセル913は、規則正しく配設されている。また、セラミック担体911は、その外周を円筒形状の外周壁914により覆われている。
【0040】
セラミック担体11(911)の内部温度の測定結果を図4に示す。図4は、セラミック担体11(911)における内部位置(O、P1、P3、M1、M3)と内部温度(℃)との関係を示したものである。
同図から知られるように、従来品Cは、中心Oと交点P1、P3との温度差の平均である温度差ΔTが約150℃である。これに対して、本発明品Eは、温度差ΔTが約50℃と従来品Cに比べて非常に小さく、また内部温度の極端なばらつきもみられない。
【0041】
以上の結果から、本発明品Eであるセラミック触媒体1は、従来品Cに比べて、中心Oと外周壁14(交点P1、P3)との温度差ΔTを小さくすることができると共に、セラミック担体11の内部温度のばらつきを小さくすることができるということわかる。
【0042】
次に、本例のセラミック触媒体1(本発明品E)における作用効果について説明する。
本例のセラミック触媒体1において、セラミック担体11の中央部21は、上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である。そのため、中央部21の周囲に配された外周部22は、排気管3の通路径を上流排気管32から拡大させた部分、つまり上流排気管部32からの排気ガスが中央部21よりも流入し難い部分に配置される。
【0043】
本例のセラミック触媒体1では、上述したような排気ガスの流入し難い部分に配置される外周部22全体の開口率を、中央部21全体の開口率よりも大きくしてある。そのため、外周部22の通気抵抗は、中央部21の通気抵抗よりも小さくなり、セラミック担体11に流入する排気ガスは、通気抵抗のより小さな外周部22に流れ易くなる。これにより、セラミック触媒体1は、セラミック担体11の外周部22をより早く昇温させることができると共に、外周部22に担持された触媒をより早く活性化することができる。
【0044】
また、セラミック触媒体1は、セラミック担体11の外周部22に排気ガスを流れ易くすることにより、セラミック担体11全体における排気ガスの流通量の偏りを低減することができる。そして、セラミック担体11の中心Oと外周壁14との温度差ΔT及び内部温度のばらつきを小さくすることができる。これにより、セラミック触媒体1は、セラミック担体11に担持されている触媒を全体的に効率よく早期に活性化することができる。
【0045】
また、セラミック触媒体1では、外周部22の吸水率を中央部21の吸水率よりも大きくしてある。そのため、セラミック担体11に触媒を担持させる際に、中央部21と外周部22とのセル幅(セル13の間隔)の違いによって生じる触媒の担持量の差を調整することができる。これにより、セル13における触媒の目詰まりを防止することができ、触媒を均一に担持することができる。それ故に、セラミック触媒体1は、触媒による排気ガス浄化性能のばらつきの少ない、優れたものとなる。
【0046】
また、本例では、外周部22全体の開口率は、中央部21全体の開口率の約1.02倍である。そのため、外周部22に排気ガスを流れ易くする効果をより一層得ることができる。
また、外周部22は、部分的に見た開口率がセラミック担体11の外周に近づくに従って徐々に大きくなる。外周部22は、セラミック担体11の外周に近づくに従って排気ガスが流れ難い。そのため、このように外周部22の開口率をセラミック担体11の外周に近づくに従って大きくすることによって、外周部22全体に効率よく排気ガスを流入させることができる。これにより、外周部22においても、排気ガスの流通量の偏りが低減され、内部温度のばらつきが小さいものとなり、セラミック担体11全体における触媒の早期活性化をさらに図ることができる。
【0047】
また、セラミック担体11は、コージェライトよりなる。すなわち、セラミック担体11として熱膨張係数の低いコーディエライトを用いることにより、耐熱衝撃性に優れたセラミック触媒体1となる。耐熱衝撃性に優れたセラミック触媒体1は、熱応力による割れ等の発生を抑制することができる。また、コーディエライトは高温耐久性に優れる材料である。したがって、担持されている触媒の性能を長期に渡り維持することができる。さらに、コーディエライトは安価であり、製造コストの低減を実現することができる。
【0048】
このように、本例のセラミック触媒体1は、セラミック担体11の外周部22に排気ガスを流れ易くすることができると共に触媒の目詰まりを防止することができる構造である。また、セラミック担体11全体における触媒の早期活性化を図ることができ、優れた排気ガス浄化性能を有するものとなる。
【0049】
(実施例2)
本例は、実施例1のセラミック触媒体1において、セラミック担体11の中央部21と外周部22との開口率の差を変化させた場合における、中心Oと外周壁14との温度差ΔTを調べたものである。
【0050】
本例では、外周部22の開口率が中央部21の開口率に対してどれだけ大きいかということを表す開口率比を0〜3%の範囲で変化させ、それぞれの温度差ΔTを測定した。なお、開口率比(%)は、中央部21の開口率をA、外周部22の開口率をBとした場合に、100×(B−A)/Aの式で表される。また、セラミック担体11の内部温度の測定は、実施例1と同様である。
【0051】
温度差ΔTの測定結果を図5に示す。図5は、開口率比(%)と温度差ΔT(℃)との関係を示したものである。
同図から知られるように、開口率比が大きくなればなるほど、温度差ΔTは小さくなる傾向にあることがわかる。例えば、セラミック触媒体1を自動車エンジンの排気ガス浄化用触媒として用いる場合には、この温度差ΔTを100℃以下とすることが望ましい。そのため、開口率比は、1%以上であることが好ましい。すなわち、外周部22の開口率が中央部21の開口率の1.01倍以上であることが好ましい。
【0052】
(実施例3)
本例は、実施例1のセラミック触媒体1において、セラミック担体11における中央部21及び外周部22のセル13の形状や大きさを変化させた場合の例である。以下、図6〜図11を用いて説明する。
【0053】
図6、図7は、中央部21及び外周部22のセル13はいずれも四角形状であり、外周部22のセル13の開口面積が、中央部21のセル13の開口面積に比べて大きい例である。この場合には、外周部22に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
図8、図9は、中央部21のセル13は四角形状であり、外周部22のセル13が六角形状である例である。六角形状のセル13は、四角形状のセル13よりも通気抵抗が小さい。そのため、外周部22に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
【0054】
図10、図11は、外周部22の開口率がセラミック担体11の外周壁14に近づくに従って徐々に大きくなる例である。本例においては、中央部21のセル13は四角形状であり、外周部22のセル13は外周壁14に近づくに従ってセル13の開口面積が大きくなるように放射状に設けられている。外周部22は、セラミック担体11の外周壁14に近づくに従って排気ガスが流れ難くなる。そのため、このように外周部22の開口率を外周壁14に近づくに従って大きくすることによって、外周部22全体に効率よく排気ガスを流入させることができる。これにより、外周部22における排気ガスの流通量の偏り及び内部温度のばらつきが低減され、セラミック担体11全体における触媒の早期活性化をさらに図ることができる。
【0055】
また、図6、図8、図10では、中央部21と外周部22との間に、両者を隔てる内周壁15が設けてある。中央部21と外周部22とを内周壁15を介して接合することにより、両者の間の接合強度を向上させることができる。また、これにより、セラミック担体11全体の強度を向上させることができる。
【0056】
これに対して、図7、図9、図11は、中央部21と外周部22との間に、内周壁15を設けない構成である。これらは、中央部21と外周部22との境界において、両者のセル壁12が途切れることなく、セル壁12同士をしっかりと接合することにより、両者の間の接合強度及びセラミック担体11全体の強度を確保している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1における、排気管内に設置されたセラミック触媒体を示す説明図。
【図2】実施例1における、セラミック触媒体の径方向断面を示す説明図。
【図3】実施例1における、従来品のセラミック触媒体の径方向断面を示す説明図。
【図4】実施例1における、内部位置と内部温度との関係を示す説明図。
【図5】実施例2における、開口率比と温度差との関係を示す説明図。
【図6】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図7】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図8】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図9】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図10】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図11】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
1 セラミック触媒体
11 セラミック担体
12 セル壁
13 セル
21 中央部
22 外周部
3 排気管
31 径大部
32 上流排気管部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の内燃機関の排気ガス浄化用触媒等に用いられるセラミック触媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の内燃機関の排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒としては、セル壁をハニカム状に配して多数のセルを設けてなるセラミック担体に触媒を担持させたセラミック触媒体が知られている。
このセラミック触媒体は、排気ガスの通路である排気管内に設置して用いられる。そして、高温の排気ガスをセラミック担体に流通させることにより、担持した触媒を活性化させ、排気ガスの浄化を行う。
【0003】
一般に、セラミック触媒体は、排気管の通路径を上流側よりも拡大させた部分に設置されている。すなわち、セラミック触媒体が設置されている排気管の通路径は、セラミック触媒体のすぐ上流側にある排気管の通路径よりも大きい。したがって、上記セラミック触媒体の外周部分は、排気管の通路が上流側よりも拡大した部分に配置され、上記セラミック触媒体の中央部分に比べて排気ガスが流入し難い。
そのため、セラミック触媒体の外周部分は、中央部分に比べて昇温が遅く、触媒を早期に活性化することができない。これにより、セラミック触媒体の排気ガス浄化性能を効率よく有効に発揮することができない。
【0004】
セラミック担体に担持された触媒を早期に活性化させるセラミック触媒体の構造としては、特許文献1等に開示されている。しかしながら、上記の構造は、排気管の通路径を拡大させた部分にセラミック触媒体を設置する構成を想定したものではないため、排気ガスをセラミック触媒体の外周部分に流れ易くすることはできない。
上記の問題を解決するため、セラミック触媒体内を排気ガスが均一な流量で流れるように、セラミック担体の外周部分から中央部分に向かってセル数が多くなるように構成したセラミック触媒体が特許文献2及び3に提案されている。しかしながら、上記の構造では、触媒の担持量にばらつきが生じてしまい、しいては、セル数の多い領域において目詰まりが発生してしまうという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平8−193512号公報
【特許文献2】特開2000−97019号公報
【特許文献3】特開平10−244167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたもので、セラミック担体の外周部に排気ガスを流れ易くすることができ、セラミック担体全体における触媒の早期活性化と共に触媒の目詰まり防止を図ることができるセラミック触媒体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内燃機関の排気ガスを通す排気管における通路径を上流側よりも拡大させた径大部に設置される排気ガス浄化触媒用のセラミック触媒体において、
該セラミック触媒体は、ハニカム状のセル壁に囲まれたセルを多数設けてなるセラミック担体に触媒を担持させてなり、
上記セラミック担体は、上記排気管における上記径大部の直上に設けられた上流排気管部を上記セラミック担体の軸方向に投影した場合に、上記上流排気管部よりも内側の領域である中央部と、該中央部の周囲に配された外周部とを有し、
上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率よりも大きく、かつ、上記外周部の吸水率は、上記中央部の吸水率よりも大きいことを特徴とするセラミック触媒体にある(請求項1)。
【0008】
本発明のセラミック触媒体において、上記セラミック担体の上記中央部は、上記上流排気管部を上記セラミック担体の軸方向に投影した場合に、上記上流排気管部よりも内側の領域である。そのため、上記中央部の周囲に配された上記外周部は、上記排気管の通路径を上記上流排気管から拡大させた部分、つまり該上流排気管部からの排気ガスが上記中央部よりも流入し難い部分に配置される。
【0009】
本発明のセラミック触媒体では、上述したような排気ガスの流入し難い部分に配置される上記外周部の開口率を上記中央部の開口率よりも大きくしてある。そのため、上記外周部の通気抵抗は、上記中央部の通気抵抗よりも小さくなり、上記セラミック担体に流入する排気ガスは、通気抵抗のより小さな上記外周部に流れ易くなる。これにより、上記セラミック触媒体は、上記セラミック担体の上記外周部をより早く昇温させることができると共に、該外周部に担持された触媒をより早く活性化することができる。
【0010】
また、上記セラミック触媒体は、上記セラミック担体の上記外周部に排気ガスを流れ易くすることにより、上記セラミック担体全体における排気ガスの流通量の偏りを低減することができると共に、上記セラミック担体における内部温度のばらつきを小さくすることができる。これにより、上記セラミック触媒体は、上記セラミック担体に担持されている触媒を全体的に効率よく早期に活性化することができる。
【0011】
また、上記セラミック触媒体では、上記外周部の吸水率を上記中央部の吸水率よりも大きくしてある。そのため、上記セラミック担体に触媒を担持させる際に、上記中央部と上記外周部とのセル幅(上記セルの間隔)の違いによって生じる触媒の担持量の差を調整することができる。これにより、上記セルにおける触媒の目詰まりを防止することができ、触媒を均一に担持することができる。それ故に、上記セラミック触媒体は、触媒による排気ガス浄化性能のばらつきの少ない、優れたものとなる。
【0012】
このように、本発明のセラミック触媒体は、上記セラミック担体の上記外周部に排気ガスを流れ易くすることができると共に触媒の目詰まりを防止することができる構造である。また、上記セラミック担体全体における触媒の早期活性化を図ることができ、優れた排気ガス浄化性能を有するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、「開口率」とは、上記セラミック担体の径方向断面における上記中央部及び上記外周部のそれぞれの領域に対して、上記セル壁が存在せずに開口している部分が占める割合である。
また、「吸水率」とは、上記中央部及び上記外周部のそれぞれの領域における上記セル壁の重量に対して、該セル壁が吸水できる量の割合である。
【0014】
また、上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率の1.01倍以上であることが好ましい(請求項2)。
上記外周部の開口率が上記中央部の開口率の1.01倍未満である場合には、上記外周部に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができないおそれがある。
【0015】
また、上記中央部の吸水率は、17〜24%であることが好ましい。また、上記外周部の吸水率は、18〜25%であることが好ましい。そして、上記中央部と上記外周部との吸水率の差は、1%以上であることが好ましい。
この場合には、上記セラミック担体に触媒を担持させる際に、上記セルにおける触媒の目詰まりを防止し、触媒を均一に担持することができるという効果を充分に発揮することができる。
【0016】
また、上記中央部及び上記外周部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの開口面積は、上記中央部の上記セルの開口面積に比べて大きいことが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記外周部に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
【0017】
また、上記中央部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの形状は六角形状であることが好ましい(請求項4)。
六角形状の上記セルは、四角形状の上記セルよりも通気抵抗が小さい。そのため、上記外周部に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
【0018】
また、上記外周部は、上記セラミック担体の外周に近づくに従って徐々に開口率が大きくなることが好ましい(請求項5)。
上記外周部は、上記セラミック担体の外周に近づくに従って排気ガスが流れ難い。そのため、このように上記外周部の開口率を上記セラミック担体の外周に近づくに従って大きくすることによって、上記外周部全体に効率よく排気ガスを流入させることができる。これにより、上記外周部においても、排気ガスの流通量の偏りが低減され、内部温度のばらつきが小さいものとなり、上記セラミック担体全体における触媒の早期活性化をさらに図ることができる。
【0019】
また、上記中央部と上記外周部との間には、両者を隔てる内周壁が設けられていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記中央部と上記外周部との接合部分の強度を上記内周壁によって充分に確保することができる。また、上記セラミック触媒体全体の強度を充分に確保することができる。
なお、上記セラミック担体は、上記中央部と上記外周部との間に上記内周壁を設けない構成とすることもできる。また、いずれの構成においても、上記中央部と上記外周部とを一体的に成形することもできるし、両者を別々に成形して接合することもできる。ただし、別々に成形する場合には、上記両者の境界において、上記セル壁同士をしっかりと接合しておくことが好ましい。
【0020】
また、上記セラミック担体は、コージェライトよりなることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記セラミック担体として熱膨張係数の低いコーディエライトを用いることにより、耐熱衝撃性に優れた上記セラミック触媒体となる。耐熱衝撃性に優れた上記セラミック触媒体は、熱応力による割れ等の発生を抑制することができる。また、コーディエライトは高温耐久性に優れる材料である。したがって、担持されている触媒の性能を長期に渡り維持することができる。さらに、コーディエライトは安価であり、製造コストの低減を実現することができる。
【0021】
また、上記セラミック担体の形状は、断面形状が円形、楕円形等、一般的に用いられている形状を採用することができる。
また、上記セラミック担体に担持させる触媒としては、Pt、Rh、Pd、Ba、K等を用いることができる。また、助触媒としては、CeO2、ZrO2等を用いることができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるセラミック触媒体について、図1、図2を用いて説明する。
本例のセラミック触媒体1は、図1に示すごとく、エンジンから排出される排気ガスを通す排気管3における通路径を上流側よりも拡大させた径大部31に設置される。
セラミック触媒体1は、図1、図2に示すごとく、ハニカム状のセル壁12に囲まれたセル13を多数設けてなるセラミック担体11に触媒を担持させてなる。そして、セラミック担体11は、排気管3における径大部31の直上に設けられた上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である中央部21と、中央部21の周囲に配された外周部22とを有している。そして、外周部22の開口率は、中央部21の開口率よりも大きく、かつ、外周部22の吸水率は、中央部21の吸水率よりも大きい。
以下、これを詳説する。
【0023】
本例のセラミック触媒体1は、図1に示すごとく、自動車エンジンの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒として用いられるものであり、エンジンから排出される排気ガスの通路である排気管3内に設置されている。図1に示した矢線Zは、触媒を作用させる排気ガスの流路方向である。また、図1は、排気管3のみを軸方向に半分切り取って示してある。
【0024】
また、同図に示すごとく、排気管3は、セラミック触媒体1を設置する径大部31と、径大部31の上流側及び下流側に設けられた上流排気管部32及び下流排気管部33とを有している。径大部31は、通路径を上流排気管部32及び下流排気管部33よりも拡大させた部分である。
【0025】
また、同図に示すごとく、径大部31は、セラミック触媒体1が挿入固定されている固定部311を有している。また、径大部31は、上流排気管部32と固定部311との間に上流テーパ部312を有している。上流テーパ部312は、その通路径が固定部311に近づくに従って徐々に大きくなっている。また、径大部31は、固定部311と下流排気管部33との間に下流テーパ部313を有している。下流テーパ部313は、その通路径が固定部311から遠ざかるに従って徐々に小さくなっている。
【0026】
なお、本例の排気管3において、径大部31の最大通路径Xは、固定部311の通路径であり、110mmである。また、上流排気管部32及び下流排気管部33の通路径Yは、45mmである。
【0027】
また、図1、図2に示すごとく、セラミック触媒体1は、触媒を担持させる円柱形状のセラミック担体11を有している。セラミック担体11は、コーディエライトを主成分として構成されており、格子状に配設されたセル壁12と、セル壁12によって区画されている多数のセル13とによって構成されたハニカム構造体である。また、セラミック担体11は、その外周を円筒形状の外周壁14により覆われている。
なお、本例のセラミック担体11の外径は103mm、長さは105mmである。また、外周壁14の厚みは0.4mmである。
【0028】
また、図2に示すごとく、セラミック担体11は、径方向断面において、その円形断面を4分割するように設けられた2本の分割セル壁121、122を有している。分割セル壁121、122は、セラミック担体11の中心Oにおいて直交するように形成されている。また、分割セル壁121、122以外のセル壁12は、分割セル壁121、122のどちらか一方に対して線対称となるように放物線状に形成されている。その放物線は、分割セル壁121、122と外周壁14とが交わる4つの交点P1〜P4に近づくに従って傾きが大きくなっている。
【0029】
また、同図に示すごとく、セラミック担体11は、径方向断面において、中央部21と中央部21の周囲に配された外周部22とを有している。ここで、中央部21は、上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である(図1参照)。したがって、中央部21の径Dは、上流排気管部32の通路径Yと同じである。なお、図2では、中央部21と外周部22との境界線を点線で示してある。この点線は、上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した位置を示している。
【0030】
また、同図に示すごとく、外周部22全体の開口率は、中央部21全体の開口率よりも大きくなっている。本例の中央部21全体の開口率は83%、外周部22全体の開口率は85%であり、外周部22の開口率は、中央部21の約1.02倍である。
また、外周部22は、部分的に見た開口率がセラミック担体11の外周、つまり外周壁14に近づくに従って徐々に大きくなっている。さらに、本例では、上述した形状のセル壁12が形成されていることにより、部分的に見た開口率が中心Oから外周壁4に近づくに従って徐々に大きくなっている。
【0031】
また、外周部22の吸水率は、中央部21の吸水率よりも大きくなっている。本例の中央部21の吸水率は19%、外周部22の吸水率は20%であり、中央部21と外周部22との吸水率の差は1%である。
【0032】
なお、吸水率は、以下のように測定した(JASO M505−87に準拠)。
まず、中央部21及び外周部22を所定の大きさに切り出し、この試料を150℃、2時間の条件で乾燥させ、重量を測定する(乾燥重量W1)。次いで、セル13が形成されている方向(セル方向)を垂直にして試料を常圧下30℃の恒温水槽に1分間浸漬する。試料を取り出して軽く水切りをした後、再び上記恒温水槽に1分間浸漬する。その後、試料を再び取り出し、セル方向を垂直にして30秒間放置する。
【0033】
次いで、ワイヤメッシュ製コンベアにセル方向を垂直にして試料を載せ、コンベアの進行方向に垂直に往復運動するエアノズルの下を一回通過させ、セル13内の水を除去する。その後、重量を測定する(吸水後重量W2)。そして、吸水率=100×(W2−W1)/W1の式によって中央部21及び外周部22の吸水率を求める。ここで、エアノズルの条件は、ノズルスロート径:40mm、エアノズル流量:118L/min、エアノズル位置:試料上端面から12.7mm上方、エアノズル速度:45サイクル/minである。また、コンベア移動速度は、30.5cm/minである。
【0034】
また、セラミック担体11において、セル壁12の壁面には、触媒(図示略)が担持されている。本例の触媒としては、Pt、Rhを用いた。また、助触媒としては、CeO2、ZrO2を用いた。
なお、触媒としては、上記以外にもPd、Ba、K等を用いることができる。
【0035】
次に、本例のセラミック触媒体1の製造方法について、簡単に説明する。
セラミック触媒体1を製造するに当たっては、製造工程そのものは従来と同様の工程を採用することができる。まず、セラミック担体11を構成するコーディエライト原料をハニカム状に成形体として押出成形する。そして、その成形体を所定の長さに切断し、乾燥後、焼成する。これにより、セラミック担体11を得る。
なお、押出成形を行う際の金型としては、セル壁12の配設形状に対応する形状のスリット溝を設けた押出成形用金型(図示略)を用いた。上記スリット溝は、放電加工、レーザー加工等の方法により形成することができる。
【0036】
次に、得られたセラミック担体11に触媒を担持する。
まず、助触媒としてのCeO2/ZrO2化合物を水中で撹拌しながら、触媒としてのPt、Rhを含有する硝酸薬液を添加した後、水分を蒸発させる。これにより、CeO2/ZrO2化合物の表面にPt、Rhを担持させた担持粉末を得る。次いで、この担持粉末を250℃で1時間焼成し、上記担持粉末に含まれる硝酸塩を除去する。次いで、上記担持粉末にアルミナ、バインダ等を加えてスラリー状とし、ボールミルで処理することによりスラリーに含まれる粉末(例えば、Pt、Rh、アルミナ、バインダ等)の粒径をそろえる。
【0037】
次いで、上記スラリーにセラミック担体11を浸漬し、セラミック担体11の表面に上記スラリーを付着させる。その後、セラミック担体11を引き上げ、120℃で20分間乾燥させ、500℃で2時間焼成する。以上により、セラミック担体11に触媒を担持させてなるセラミック触媒体1を得る。なお、本例のセラミック触媒体1は、セラミック担体11の容積に対する触媒の担持量を270g/Lとした。
【0038】
次に、本例のセラミック触媒体1(本発明品E)について、図1に示すごとく、実際に排気ガス浄化用触媒として自動車エンジンの排気管3内に設置した場合における、セラミック担体11の内部温度の分布を調べた。
セラミック担体11の内部温度は、セラミック担体11の両端面から軸方向に10mmの位置にそれぞれ熱電対を設けて測定を行った。測定箇所は、セラミック担体11における中心O、外周壁14における交点P1、P3、中心Oと交点P1、P3との中間点M1、M3の5点とした。
【0039】
また、比較のために、図3に示すごとく、全領域において開口率が同じ、つまり中央部921及び外周部922の開口率が同じセラミック担体911に触媒を担持してなる従来のセラミック触媒体91(従来品C)を作製し、本発明品Eと同様の測定を行った。
なお、セラミック担体911は、四角形格子状に配設されたセル壁912と、セル壁912によって区画されている多数の四角形状のセル913とによって構成されており、セル壁912及びセル913は、規則正しく配設されている。また、セラミック担体911は、その外周を円筒形状の外周壁914により覆われている。
【0040】
セラミック担体11(911)の内部温度の測定結果を図4に示す。図4は、セラミック担体11(911)における内部位置(O、P1、P3、M1、M3)と内部温度(℃)との関係を示したものである。
同図から知られるように、従来品Cは、中心Oと交点P1、P3との温度差の平均である温度差ΔTが約150℃である。これに対して、本発明品Eは、温度差ΔTが約50℃と従来品Cに比べて非常に小さく、また内部温度の極端なばらつきもみられない。
【0041】
以上の結果から、本発明品Eであるセラミック触媒体1は、従来品Cに比べて、中心Oと外周壁14(交点P1、P3)との温度差ΔTを小さくすることができると共に、セラミック担体11の内部温度のばらつきを小さくすることができるということわかる。
【0042】
次に、本例のセラミック触媒体1(本発明品E)における作用効果について説明する。
本例のセラミック触媒体1において、セラミック担体11の中央部21は、上流排気管部32をセラミック担体11の軸方向に投影した場合に、上流排気管部32よりも内側の領域である。そのため、中央部21の周囲に配された外周部22は、排気管3の通路径を上流排気管32から拡大させた部分、つまり上流排気管部32からの排気ガスが中央部21よりも流入し難い部分に配置される。
【0043】
本例のセラミック触媒体1では、上述したような排気ガスの流入し難い部分に配置される外周部22全体の開口率を、中央部21全体の開口率よりも大きくしてある。そのため、外周部22の通気抵抗は、中央部21の通気抵抗よりも小さくなり、セラミック担体11に流入する排気ガスは、通気抵抗のより小さな外周部22に流れ易くなる。これにより、セラミック触媒体1は、セラミック担体11の外周部22をより早く昇温させることができると共に、外周部22に担持された触媒をより早く活性化することができる。
【0044】
また、セラミック触媒体1は、セラミック担体11の外周部22に排気ガスを流れ易くすることにより、セラミック担体11全体における排気ガスの流通量の偏りを低減することができる。そして、セラミック担体11の中心Oと外周壁14との温度差ΔT及び内部温度のばらつきを小さくすることができる。これにより、セラミック触媒体1は、セラミック担体11に担持されている触媒を全体的に効率よく早期に活性化することができる。
【0045】
また、セラミック触媒体1では、外周部22の吸水率を中央部21の吸水率よりも大きくしてある。そのため、セラミック担体11に触媒を担持させる際に、中央部21と外周部22とのセル幅(セル13の間隔)の違いによって生じる触媒の担持量の差を調整することができる。これにより、セル13における触媒の目詰まりを防止することができ、触媒を均一に担持することができる。それ故に、セラミック触媒体1は、触媒による排気ガス浄化性能のばらつきの少ない、優れたものとなる。
【0046】
また、本例では、外周部22全体の開口率は、中央部21全体の開口率の約1.02倍である。そのため、外周部22に排気ガスを流れ易くする効果をより一層得ることができる。
また、外周部22は、部分的に見た開口率がセラミック担体11の外周に近づくに従って徐々に大きくなる。外周部22は、セラミック担体11の外周に近づくに従って排気ガスが流れ難い。そのため、このように外周部22の開口率をセラミック担体11の外周に近づくに従って大きくすることによって、外周部22全体に効率よく排気ガスを流入させることができる。これにより、外周部22においても、排気ガスの流通量の偏りが低減され、内部温度のばらつきが小さいものとなり、セラミック担体11全体における触媒の早期活性化をさらに図ることができる。
【0047】
また、セラミック担体11は、コージェライトよりなる。すなわち、セラミック担体11として熱膨張係数の低いコーディエライトを用いることにより、耐熱衝撃性に優れたセラミック触媒体1となる。耐熱衝撃性に優れたセラミック触媒体1は、熱応力による割れ等の発生を抑制することができる。また、コーディエライトは高温耐久性に優れる材料である。したがって、担持されている触媒の性能を長期に渡り維持することができる。さらに、コーディエライトは安価であり、製造コストの低減を実現することができる。
【0048】
このように、本例のセラミック触媒体1は、セラミック担体11の外周部22に排気ガスを流れ易くすることができると共に触媒の目詰まりを防止することができる構造である。また、セラミック担体11全体における触媒の早期活性化を図ることができ、優れた排気ガス浄化性能を有するものとなる。
【0049】
(実施例2)
本例は、実施例1のセラミック触媒体1において、セラミック担体11の中央部21と外周部22との開口率の差を変化させた場合における、中心Oと外周壁14との温度差ΔTを調べたものである。
【0050】
本例では、外周部22の開口率が中央部21の開口率に対してどれだけ大きいかということを表す開口率比を0〜3%の範囲で変化させ、それぞれの温度差ΔTを測定した。なお、開口率比(%)は、中央部21の開口率をA、外周部22の開口率をBとした場合に、100×(B−A)/Aの式で表される。また、セラミック担体11の内部温度の測定は、実施例1と同様である。
【0051】
温度差ΔTの測定結果を図5に示す。図5は、開口率比(%)と温度差ΔT(℃)との関係を示したものである。
同図から知られるように、開口率比が大きくなればなるほど、温度差ΔTは小さくなる傾向にあることがわかる。例えば、セラミック触媒体1を自動車エンジンの排気ガス浄化用触媒として用いる場合には、この温度差ΔTを100℃以下とすることが望ましい。そのため、開口率比は、1%以上であることが好ましい。すなわち、外周部22の開口率が中央部21の開口率の1.01倍以上であることが好ましい。
【0052】
(実施例3)
本例は、実施例1のセラミック触媒体1において、セラミック担体11における中央部21及び外周部22のセル13の形状や大きさを変化させた場合の例である。以下、図6〜図11を用いて説明する。
【0053】
図6、図7は、中央部21及び外周部22のセル13はいずれも四角形状であり、外周部22のセル13の開口面積が、中央部21のセル13の開口面積に比べて大きい例である。この場合には、外周部22に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
図8、図9は、中央部21のセル13は四角形状であり、外周部22のセル13が六角形状である例である。六角形状のセル13は、四角形状のセル13よりも通気抵抗が小さい。そのため、外周部22に排気ガスを流れ易くする効果を充分に得ることができる。
【0054】
図10、図11は、外周部22の開口率がセラミック担体11の外周壁14に近づくに従って徐々に大きくなる例である。本例においては、中央部21のセル13は四角形状であり、外周部22のセル13は外周壁14に近づくに従ってセル13の開口面積が大きくなるように放射状に設けられている。外周部22は、セラミック担体11の外周壁14に近づくに従って排気ガスが流れ難くなる。そのため、このように外周部22の開口率を外周壁14に近づくに従って大きくすることによって、外周部22全体に効率よく排気ガスを流入させることができる。これにより、外周部22における排気ガスの流通量の偏り及び内部温度のばらつきが低減され、セラミック担体11全体における触媒の早期活性化をさらに図ることができる。
【0055】
また、図6、図8、図10では、中央部21と外周部22との間に、両者を隔てる内周壁15が設けてある。中央部21と外周部22とを内周壁15を介して接合することにより、両者の間の接合強度を向上させることができる。また、これにより、セラミック担体11全体の強度を向上させることができる。
【0056】
これに対して、図7、図9、図11は、中央部21と外周部22との間に、内周壁15を設けない構成である。これらは、中央部21と外周部22との境界において、両者のセル壁12が途切れることなく、セル壁12同士をしっかりと接合することにより、両者の間の接合強度及びセラミック担体11全体の強度を確保している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1における、排気管内に設置されたセラミック触媒体を示す説明図。
【図2】実施例1における、セラミック触媒体の径方向断面を示す説明図。
【図3】実施例1における、従来品のセラミック触媒体の径方向断面を示す説明図。
【図4】実施例1における、内部位置と内部温度との関係を示す説明図。
【図5】実施例2における、開口率比と温度差との関係を示す説明図。
【図6】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図7】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図8】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図9】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図10】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【図11】実施例3における、中央部及び外周部のセル形状を変更した例を示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
1 セラミック触媒体
11 セラミック担体
12 セル壁
13 セル
21 中央部
22 外周部
3 排気管
31 径大部
32 上流排気管部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスを通す排気管における通路径を上流側よりも拡大させた径大部に設置される排気ガス浄化触媒用のセラミック触媒体において、
該セラミック触媒体は、ハニカム状のセル壁に囲まれたセルを多数設けてなるセラミック担体に触媒を担持させてなり、
上記セラミック担体は、上記排気管における上記径大部の直上に設けられた上流排気管部を上記セラミック担体の軸方向に投影した場合に、上記上流排気管部よりも内側の領域である中央部と、該中央部の周囲に配された外周部とを有し、
上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率よりも大きく、かつ、上記外周部の吸水率は、上記中央部の吸水率よりも大きいことを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項2】
請求項1において、上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率の1.01倍以上であることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記中央部及び上記外周部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの開口面積は、上記中央部の上記セルの開口面積に比べて大きいことを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項4】
請求項1又は2において、上記中央部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの形状は六角形状であることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記外周部は、上記セラミック担体の外周に近づくに従って徐々に開口率が大きくなることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記中央部と上記外周部との間には、両者を隔てる内周壁が設けられていることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、上記セラミック担体は、コーディエライトよりなることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項1】
内燃機関の排気ガスを通す排気管における通路径を上流側よりも拡大させた径大部に設置される排気ガス浄化触媒用のセラミック触媒体において、
該セラミック触媒体は、ハニカム状のセル壁に囲まれたセルを多数設けてなるセラミック担体に触媒を担持させてなり、
上記セラミック担体は、上記排気管における上記径大部の直上に設けられた上流排気管部を上記セラミック担体の軸方向に投影した場合に、上記上流排気管部よりも内側の領域である中央部と、該中央部の周囲に配された外周部とを有し、
上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率よりも大きく、かつ、上記外周部の吸水率は、上記中央部の吸水率よりも大きいことを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項2】
請求項1において、上記外周部の開口率は、上記中央部の開口率の1.01倍以上であることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記中央部及び上記外周部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの開口面積は、上記中央部の上記セルの開口面積に比べて大きいことを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項4】
請求項1又は2において、上記中央部の上記セルの形状は四角形状であり、上記外周部の上記セルの形状は六角形状であることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記外周部は、上記セラミック担体の外周に近づくに従って徐々に開口率が大きくなることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記中央部と上記外周部との間には、両者を隔てる内周壁が設けられていることを特徴とするセラミック触媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、上記セラミック担体は、コーディエライトよりなることを特徴とするセラミック触媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−18370(P2008−18370A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193720(P2006−193720)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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