説明

セリンプロテアーゼ、特にC型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼの阻害因子

【課題】本発明は、プロテアーゼ、特にセリンプロテアーゼ、更に具体的にはHCV NS3プロテアーゼを阻害するための化合物、方法および医薬組成物に関する。
【解決手段】本化合物およびこれを利用する組成物および方法は、ウイルス、特にHCVウイルスを阻害するために単独または併用かのいずれかで使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セリンプロテアーゼ、特にC型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼの阻害因子
本発明の技術分野
本発明は、プロテアーゼ阻害因子、特にセリンプロテアーゼ阻害因子として、更に具体的にはC型肝炎NS3プロテアーゼ阻害因子として有用な新規種の化合物に関する。これらは、それ自体でもC型肝炎ウイルスの生活環を妨害する働きをし、また、抗ウイルス剤としても有用である。
本発明は、またこれらの化合物を含む医薬組成物に関する。本発明の化合物および医薬組成物は、特に、HCV NS3プロテアーゼ活性を阻害するのに非常に適しており、そのため、増殖の際にセリンプロテアーゼに影響を受けるC型肝炎ウイルスに対する治療剤として有利に使用できる。本発明はまた、本発明の化合物および関連化合物を用いて、C型肝炎ウイルスNS3プロフアーゼおよび他のセリンプロテアーゼを含むプロテアーゼ活性を阻害する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(HCV)による感染は、ヒトにおける窮迫した医学的課題である。HCVは世界的に概算1%のヒト罹患率を持つほとんどの非A型、非B型肝炎のケースでその原因となる要因であると認識されている[Purcell, R. H., “Hepatitis C virus: Historical perspective and current concepts”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 181-192 (1994); Van der Poel, C. L., “Hepatitis C Virus. Epidemiology, Transmission and Prevention in Hepatitis C virus. Current Studies in Hematology and Blood Transfusion”, H. W. Reesink, Ed., (Basel: Karger), pp. 137-163 (1994)]。合衆国だけでも400万人が感染していると言える[Alter, M. J. and Mast, E.E., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437-455 (1994)]。
【0003】
HCVに最初に曝された時点では、感染個体の約20%だけが急性臨床肝炎を発症するのに対し、残りの個体は自然に感染を消散させるようである。しかしながら、多くの場合、ウイルスは、何十年と続く慢性感染を定着させる[Iwarson, S. “The Natural Course of Chronic Hepatitis”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 201-204 (1994)]。通常、これは、再発性で、徐々に悪化する肝臓の炎症をもたらし、肝硬変や肝細胞癌などのより重篤な疾患状態へと進展することもある[Kew, M. C., “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211-220 (1994); Saito, I., et al. “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, pp. 6547-6549 (1990)]。あいにく、慢性HCVの進展を衰弱化する広範囲に有効な処置はない。
【0004】
HCVゲノムは、3010−3033アミノ酸のポリタンパク質をコードする[Choo, Q.-L., et al. “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451-2455 (1991); Kato, N. et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patients with Non-A, Non-B Hepatitis”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524-9528 (1990); Takamizawa, A. et al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers”, J. Virol., 65, pp. 1105-1113 (1991)]。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製の触媒機構を与える。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解切断により得られる[Bartenschlager, R. et al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine-Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions”, J. Virol., 67, pp. 3835-3844 (1993); Grakoui, A. et al., “Characterization of the Hepatitis C Virus -Encoded Serine proteinase: Determination of Proteinase-Dependent Polyprotein Cleavage Sites”, J. Virol., 67, pp. 2832-2843 (1993); Grakoui, A. et al., Expression and Identification of Hepatitis C. Virus Polyprotein Cleavage products”, J. Virol., 67, pp. 1385-1395 (1993); Tomei, L. et al., “NS3 is a serine protease required for processing of hepatitis C virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017-4026 (1993)]。
【0005】
HCV NSタンパク質3(NS3)は、大多数のウイルス酵素のプロセッシングを助長するセリンプロテアーゼ活性を含有し、よって、ウイルス複製および感染能のために必須であると考えられている。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼの変異がウイルス感染能を低下させることは知られている[Chambers, T. J. et al., “Evidence that the N-terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From Yellow Fever Virus is a Serine Protease Responsible for Site-Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898-8902 (1990)]。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の1027−1207残基)は、HCVポリタンパク質の4つの下流部位全てをプロセッシングするNS3のセリンプロテアーゼドメインを含有することが示されている[C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans-Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147-8157 (1994)]。
【0006】
HCV NS3セリンプロテアーゼおよびその付随コファクターNS4Aは、ウイルス酵素の全てのプロセッシングを助力するため、ウイルス複製にとって必須であると考えられている。このプロセッシングは、ウイルス酵素プロセッシングHIVプロテアーゼ阻害因子に関与するヒト免疫不全ウイルスアスパルチルプロテアーゼにより実施されるものに類似しているようであり、ウイルスタンパク質プロセッシングを阻害することは、ヒトにおける強力な抗ウイルス影響要因であり、このことは、ウイルス生活環のこの段階を中断することにより、治療上有効な作用がもたらされることを示している。
従って、このことは、薬剤開発にとって魅力的な標的である。あいにく、現在抗HCV剤として利用できるセリンプロテアーゼ阻害因子はない。
更に、HCVに関する現行の理解は、その他に満足の行く抗HCV剤または処置を導くには至っていない。唯一確立されているHCV疾患治療は、インターフェロン処置である。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を持ち[Janssen, H. L. A., et al. “Suicide Associated with Alfa-Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis”, J. Hepatol., 21, pp. 241-243 (1994); Renault, P. F. and Hoofnagle, J. H., “Side effects of alpha interferon.” Seminars in Liver Disease 9, 273-277. (1989)]、ほんの一部(〜25%)のケースでしか長期緩解を誘導していない[Weiland, O. “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279-288 (1994)]。また、効果的な抗HCVワクチンに対する展望も不確定なままである。
【0007】
このため、より効果的な抗HCV治療に対する要望がある。かかる阻害因子は、プロテアーゼ阻害因子、特に、セリンプロテアーゼ阻害因子として、より具体的には、HCV NS3プロテアーゼ阻害因子としての治療的潜在能力を持っている。具体的には、かかる化合物は、抗ウイルス剤、特に抗HCV剤として有用であり得る。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、プロテアーゼ阻害因子、特に、セリンプロテアーゼ阻害因子として、より具体的には、HCV NS3プロテアーゼ阻害因子として有用な、化合物およびそれらの医薬的に許容できる誘導体を提供する。これらの化合物は、単独で、またはα−、β−またはγ−インターフェロンなどの免疫調節剤;リバビリンおよびアマンタジンなどのその他の抗ウイルス剤;その他のC型肝炎プロテアーゼ阻害因子;ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼ、または内部リボゾーム移行を含むHCV生活環における他の標的の阻害因子;またはそれらの組み合わせと併用して使用できる。
【0009】
本発明は、また、プロテアーゼ、特に、セリンプロテアーゼ、より具体的には、HCV NS3プロテアーゼを阻害する方法も提供する。
【0010】
本発明は、また、本発明の化合物を含む医薬組成物はもちろん、α−、β−またはγ−インターフェロンなどの付加的な免疫調節剤;リバビリンおよびアマンタジンなどのその他の抗ウイルス剤;その他のC型肝炎プロテアーゼ阻害因子;ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼ、または内部リボゾーム移行を含むHCV生活環における他の標的の阻害因子;またはそれらの組み合わせを含む多成分組成物を提供する。本発明は、また、HCV阻害のために他の関連化合物と同様に本発明の化合物を使用する方法も提供する
【0011】
発明の詳細な説明
ここに記載した本発明をより十分に理解できるように、以下に詳細な説明を述べる。説明中、下記の略語を使用する:
記号 試薬またはフラグメント
Abu アミノ酪酸
Ac アセチル
AcOH 酢酸
Bn ベンジル
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
Bz ベンゾイル
Cbz カルボベンジルオキシ
CDI カルボニルジイミダゾール
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DMAP ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DPPA ジフェニルホスホリルアジド
DMSO ジメチルスルホキシド
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
FMOC 9−フルオレニルメトキシカルボニル
HbtU O−ベンゾトリアゾリル−N,N,N',N'−
テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOBt N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
Me メチル
MS 質量分析
NMP N−メチルピロリジノン
ND 測定せず
Pip ピペリジン
Prz ピペラジン
PyBrop ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサ
フルオロホスフェート
Pyr ピリジン
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TFE トリフルオロエタノール
Tol トルエン
【0012】
本明細書では下記の用語を用いる:
特記しない限り、本明細書で使用した“−SO−”および“−S(O)−”の用語は、スルホンまたはスルホン誘導体(即ち、Sに連結した両付加基)を表し、スルフィン酸エステルではない。
【0013】
“置換された”の用語は、所定の構造中の1つ以上の水素基を特定の基から選択した基で置き換えたことを表す。1以上の水素基を特定の基から選択した置換基で置きかえる場合、その置換基は、位置毎に同じでもよく、異なっていてもよい。
【0014】
本明細書で使用した“アミノ”の用語は、第一級であるかまたは1〜2個のアルキル基で置換されうる三価窒素を表す。
【0015】
“アルキル”または“アルカン”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特定数の炭素原子か、または数が特定されていない、好ましくは1〜10個の、より好ましくは1〜5個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状飽和脂肪族炭化水素基を表す。アルキル基の例には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、n-ヘキシルおよび同等物がある。
【0016】
“アルケニル”または“アルケン”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特定数の炭素原子か、または数が特定されていない、好ましくは2〜10個の炭素原子、より好ましくは2〜5個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状モノまたはポリ不飽和脂肪族炭化水素基を表す。アルケニル基の例には、これらに限定されないが、エテニル、E−およびZ−プロペニル、E−およびZ−イソブテニル、E−およびZ−ペンテニル、E−およびZ−ヘキセニル、E,E−、E,Z−、Z,E−およびZ,Z−ヘキサジエニルおよび同等物がある。
【0017】
“アルキニル”または“アルキン”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特定数の炭素原子か、または数が特定されていない、好ましくは2〜10個の炭素原子、より好ましくは2〜5個の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状モノまたはポリ不飽和脂肪族炭化水素基で、不飽和脂肪族炭化水素基の少なくとも1つは三重結合を含むものを表す。アルキニル基の例には、これらに限定されないが、エチニル、プロピニル、イソブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘキセニニルおよび同等物がある。
【0018】
“アリール”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特定数の炭素原子を含有する炭素環式芳香族基を表し、所望により、1ないし3のシクロアルキル、芳香族、複素環式またはヘテロ芳香族環と縮合、例えば、ベンゾ縮合されていてもよい。好ましいアリール基は、6〜14個の炭素原子を持ち、より好ましい基は、6〜10個の炭素原子を持つ。アリール基の例には、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、アントラセニルおよび同等物がある。
【0019】
“炭素環”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和であってよく、かつ所望により、1ないし3のシクロアルキル、芳香族、複素環式またはヘテロ芳香族環と縮合、例えば、ベンゾ縮合されていてもよい安定な非芳香族3ないし8員炭素環基を表す。この炭素環は、安定な構造をもたらす環内炭素原子の位置で結合できる。
【0020】
“シクロアルキル”または“シクロアルカン”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、飽和で、かつ所望により、1ないし3のシクロアルキル、芳香族、複素環式またはヘテロ芳香族環と縮合、例えば、ベンゾ縮合されていてもよい安定な非芳香族3ないし8員炭素環基を表す。このシクロアルキルは、安定な構造をもたらす環内炭素原子の位置で結合できる。好ましい炭素環は、5から6個の炭素を持つ。炭素環基の例には、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、インダン、テトラヒドロナフタレンおよび同等物がある。
【0021】
“シクロアルケニル”または“シクロアルケン”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、環内炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ含有する安定な環状炭化水素環基を表す。この炭素環は、安定な構造をもたらすどの環状炭素原子の位置でも結合できる。炭素原子数は、特定されていないが、シクロアルケニル基は、好ましくは5〜7個の炭素原子を持つ。シクロアルケニル基の例には、これらに限定されないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエニル、インデニルおよび同等物がある。
【0022】
“シクロアルキリデニル”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、環内炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ含有する安定な環状炭化水素環基で、環状炭化水素基が、所望により、1ないし3のシクロアルキル、芳香族、複素環式またはヘテロ芳香族環と縮合、例えば、ベンゾ縮合され得るものを表す。この炭素環は、安定な構造をもたらすどの環状炭素原子の位置でも結合できる。炭素原子数は、特定されていないが、シクロアルキリデニル基は、好ましくは5〜7個の炭素原子を持つ。シクロアルキリデニル基の例には、これらに限定されないが、シクロペンチリデニル、シクロヘキシリデニル、シクロペンテニリデニルおよび同等物がある。
【0023】
当業者なら、ある種の基がシクロアルカン類またはアリール基のいずれかとして分類され得ると認識するであろう。かかる基の例には、インダニルおよびテトラヒドロナフチル基がある。
【0024】
“単環”または“単環式”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特記しない限り、5〜7員環系を表す。
【0025】
“二環”または“二環式”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特記しない限り、6〜11員環系を表す。
【0026】
“三環”または“三環式”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特記しない限り、11〜15員環系を表す。
【0027】
“ヘテロシクリル”および“複素環”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特記しない限り、飽和か、または部分的に不飽和であるかのいずれかであるが、芳香族ではなく、かつ所望により、1ないし3のシクロアルキル、芳香族、複素環式またはヘテロ芳香族環と縮合、例えば、ベンゾ縮合され得る、安定な5ないし15員単環、二環、または三環の複素環式環を表す。各複素環は、1以上の炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1ないし4個のヘテロ原子からなる。本明細書で使用する“窒素および硫黄ヘテロ原子”の用語は、窒素および硫黄の任意の酸化形態および任意の塩基性窒素の四級化形態を含む。複素環は、安定な構造をもたらすどの環内炭素またはヘテロ原子の位置でも結合できる。
【0028】
上記定義の好ましい複素環には、例えば、イミダゾリジニル、インダゾリノリル、ペルヒドロピリダジル、ピロリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、β−カルボリニル、チアゾリジニル、チアモルホリニルスルホン、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、フラザニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキサチオリル、ジチオリル、テトラヒドロチオフェニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフロテトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノテトラヒドロフラニル、テトラヒドロフロジヒドロフラニル、テトラヒドロピラノジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロフロテトラヒドロフラニル、ジヒドロプラノテトラヒドロフラニル、スルホラニルおよび同等物がある。
【0029】
“ヘテロアリール”および“ヘテロ芳香族”の用語は、単独でまたは他の用語と併用して、特記しない限り、芳香族であり、かつ所望により、1ないし3のシクロアルキル、芳香族、複素環式またはヘテロ芳香族環と縮合、例えば、ベンゾ縮合され得る、安定な3ないし7員単環複素環式環を表す。各ヘテロ芳香族環は、1以上の炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1ないし4個のヘテロ原子からなる。本明細書で使用する“窒素および硫黄ヘテロ原子”の用語は、窒素および硫黄の任意の酸化形態および任意の塩基性窒素の四級化形態を含む。ヘテロ芳香族環は、安定な芳香族構造をもたらすどの環内炭素またはヘテロ原子の位置でも結合できる。
【0030】
上記定義の好ましいヘテロ芳香族には、例えば、ベンズイミダゾリル、イミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インドリル、インダゾリル、ピリダジル、ピリジル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、キノキソリル、ピラニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フリル、チエニル、トリアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、チオフェニル、および同等物がある。
【0031】
“ハロ”の用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の基を表す。好ましいハロゲン基には、フッ素および塩素がある。
【0032】
化学式中の括弧は、本明細書では、1)同じ原子または基に結合している1以上の原子または基の存在;または2)鎖の分枝位置(即ち、開き括弧の直前の基または原子が閉じ括弧の直後の基または原子に直接結合している)を示すために用いている。第1の用途の例は、“N(R)”であり、これは2つのR基が窒素原子に結合していることを示す。第2の用途の例は、“−C(O)R”であり、これは酸素原子およびRが、下記の構造:
【化1】

のように、炭素原子に結合していることを示す。
【0033】
本明細書で使用する“B”は、ホウ素原子を示す。
【0034】
本発明は、プロテアーゼ阻害因子、特に、セリンプロテアーゼ阻害因子、より具体的には、HCV NS3プロテアーゼ阻害因子として有用な化合物を提供するものである。これらは、それ自体でも、増殖の際にセリンプロテアーゼの影響を受けるHCVウイルスおよび他のウイルスの生活環を妨害する働きをする。よって、これらの化合物は、抗ウイルス剤として有用である。
【0035】
従って、一実施態様では、本発明は、式(I):
【化2】

式中:
はチオール、ヒドロキシル、チオメチル、アルケニル、アルキニル、トリフルオロメチル、C1−2アルコキシ、C1−2アルキルチオ、またはC1−3アルキルであり、ここで、C1−3アルキル基は、所望により、チオール、ヒドロキシル、チオメチル、アルケニル、アルキニル、トリフルオロメチル、C1−2アルコキシ、またはC1−2アルキルチオである、
の化合物を提供する。
【0036】
は、
【化3】

である。
【0037】
はアルキル、アリール、アラルキル、または単環式、二環式または三環式複素環であり、所望により、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アラルコキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、アルカノイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド、カルボキシ、ヘテロシクリルオキシアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロシクリルカルボニル、アロイル、アリールスルホニル、ヘテロシクリルスルホニル、ヘテロシクリルスルホニルアミノ、アリールスルホンアミド、アラルキルスルホンアミド、ヘテロシクリルアルカノイル、カルボキシアルキル、カルボキシアミドアルキル、アルカンスルホニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、またはハロアルキルから選択される1〜3個の基で置換されている。
【0038】
はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、またはヘテロシクリルチオアルキルである。
【0039】
各Qは、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであるかまたは、各Qは、酸素原子であって、それらが結合しているホウ素と共に、5−7員環を形成しており、その中の環原子は、炭素、窒素または酸素である。
【0040】
Uは、水素、G−C(O)−、G−SO−、G−C(O)−C(O)−、(G)−N−C(O)−C(O)−、(G)−N−SO−、(G)N−C(O)−、またはG−O−C(O)−である。
【0041】
は、水素、アルキル、カルボキシアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリルアルケニルであり、所望により、アルキル、アルケニル、アラルキル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリル、カルボキシアルキル、カルボキシアミドアルキル、アルキルスルホニル、またはスルホンアミドから選択される1〜3個の基で置換されているか;または、2つのG基は、それらが結合している窒素原子と共に4−10員窒素含有単環式または二環式飽和または不飽和環系を形成しており、環を形成する1〜2個の原子が、N、SまたはOであり、その他の環形成原子がCであり;ここで、この環系は、所望により、アルキル、アルケニル、アラルキル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロシクリル、ケト、ヒドロキシ、アミノ、アルカノイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、スルホニル、またはスルホンアミドから選択される1または2個の基で置換されている。
【0042】
は結合;
【化4】

【化5】

【化6】

【0043】
式中:
13は、シクロアルキルアルキル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アラルコキシアルキル、ヘテロシクリルアルコキシアルキル、アラルキルチオアルキル、またはヘテロシクリルアルキルチオアルキルであり、所望により、1〜2個のアルキル、アルケニル、アラルキル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロシクリル、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、アルカノイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、スルホニル、またはスルホンアミド基で置換されている、
である。
【0044】
14は、水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、アルコキシ、または−CH−Gであり、ここで、Gはアリール、アラルキル、カルボシクリルまたはヘテロシクリルであり、各アリール、アラルキルまたは複素環の環部分は、所望により、アルキル、アルケニル、アラルキル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アラルコキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、アルカノイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアミドアルキル、アルカンスルホニル、スルホンアミド、ハロ、シアノ、またはハロアルキルから選択される1−3個の基で置換されているか、または
【0045】

【化7】

であるとき、
【0046】
13およびG14は、それらが結合している原子(それぞれ、炭素および窒素)と共に、1−7員の窒素含有複素環式環系を形成し、これは、所望により、1ないし2個の新たなヘテロ原子を含有しており、得られた環系は、所望により、新たな炭素環式または複素環式環系と縮合して、7〜11個の原子からなる二環式環系を形成しており;かつ単環式または二環式環系は、所望により、オキソ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルキル、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロ、またはニトロから選択される1または2個の基で置換されている。
【0047】
各Qは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アラルキル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルカノイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、またはアラルキルスルホンアミドであり、ここで、アルキル、アルケニル、アリールまたはヘテロシクリル基は、所望により、ケト、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、アミノ、アルキル、アルコキシ、またはアリキルチオから選択される1〜3個の基で置換されており;ここで、Qは、特定の原子に結合しておらず、どの置換可能な原子にも結合できる。
【0048】
は、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルカノイル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニルであり、該アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル基はどれでも、所望により、ケト、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、アミノ、アルキル、アルコキシまたはアルキルチオから独立して選択される1以上の基で置換されている。
【0049】
は、アリールまたは芳香族複素環であり、ここで:
アリールまたは芳香族複素環は、5〜14個の原子を持つ単環式、二環式、または三環式であり、所望により、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、アミノ、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、またはアルキルチオから選択される1〜3個の基で置換されている。
【0050】
は、単結合または
【化8】

であり、式中、G15は、アルキル、アルケニル、シクロアルキルアルキル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、任意のアラルキルまたはヘテロシクリルアルキル基の環は、所望により、1〜2個のアルキル、アルケニル、アラルキル、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、ヘテロシクリル、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、アルカノイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、スルホニルまたはスルホンアミド基で置換されている。
【0051】
は、単結合または
【化9】

であり、式中、G16は、水素、アルキル、アルケニル、アラキルキル、またはシクロアルキルアルキリルであり;
【0052】
は、単結合または
【化10】

であり、式中、G17は、所望によりカルボキシで置換されたアルキルであり、ここでアルキルは、好ましくはC1−3アルキルである。
【0053】
は、単結合または
【化11】

であり、式中、G18は、所望によりカルボキシで置換されたアルキルであり、ここでアルキルは、好ましくはC1−3アルキルである。
【0054】
各Zは、独立して、OまたはHであり、ただし、所定化合物中、Hであるのはたった2つのZ基である。
式(I)の好ましい化合物は、少なくとも1つの置換基が下記に定義されるものであるような化合物である:
はビニル、アセチレニル、−CH、−CF、−CHCH、−CHCF、−SCH、−SH、−CHSHまたは−CHOHであり;
【0055】
13はC3−6分枝アルキルであるか、またはG13およびG14は、それらが結合している原子(それぞれ、炭素および窒素)と共に、4−7員を持つ窒素含有複素環式環系を形成し、これは、所望により1ないし2個の新たなヘテロ原子を含有し、ここで、単環式または二環式環系は、所望により、オキソ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルキル、アルケノキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ハロ、またはニトロから選択される1または2個の基で置換されており;そして
はOである。
【0056】
式(I)のより好ましい化合物は、Gが−SH、−CHSH、−CFまたは−CFCFであるような化合物である。
【0057】
式(I)の最も好ましい化合物は、Gが−SHまたは−CFである化合物である。
【0058】
別の実施態様によれば、本発明は、Wが下記Wのところで定義するとおりであり、その他の置換基は上記定義のとおりである、式(I)の化合物を提供する。
【0059】
その他の実施態様によれば、本発明は、式(II):
【化12】

の化合物を提供する。
【0060】
これらの化合物中:
Wは、
【化13】

【化14】

であり、
mは0または1である。
【0061】
各Rは、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであるか、または各Rは、酸素原子であって、それらがそれぞれ結合しているホウ素と共に、5−7員環を形成しており、その環の原子は、炭素、窒素または酸素である。
【0062】
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであるか、または同じ窒素原子に結合している2つのR基は、その窒素原子と共に、5−7員単環式複素環式環系を形成しており、任意のR炭素原子が、所望によりJで置換されている。
【0063】
Jは、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアルキル、ケト、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、アシル、スルホニルまたはスルホンアミドであり、所望により1〜3個のJ基で置換されている。
【0064】
は、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ケト、ヒドロキシ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、スルホニルまたはスルホンアミドである。
【0065】
Lは、アルキル、アルケニル、 またはアルキニルであり、式中、炭素原子に結合している任意の水素が所望によりハロゲンで置換されており、また、末端炭素原子に結合している任意の水素またはハロゲン原子が、所望により、スルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されている。
【0066】
は、単結合、
【化15】

である。
【0067】
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキルまたはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されている。
【0068】
およびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されている。
【0069】
Xは、単結合、−C(H)(R)−、−O−、−S−または−N(R)−である。
【0070】
は、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されている。
【0071】
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルカノイル、ヘテロシクラノイル、ヘテロアラルカノイル、−C(O)R14、−SO14、またはカルボキサミドであり、所望により1〜3個のJ基で置換されているか;またはRおよびZは、それらが結合している原子と共に、所望により1〜3個のJ基で置換されている窒素含有単環式または二環式環系を形成する。
【0072】
14は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルである。
【0073】
Yは、単結合、−CH−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−S(O)−、 −S(O)−、または−S(O)(NR)−であり、式中、Rは、上記定義の通りである。
【0074】
Zは、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−OR、または−N(R)であり、式中、任意の素原子が所望によりJで置換されており、式中、Rは、上記定義の通りである。
【0075】
は、単結合または
【化16】

である。
【0076】
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されている。
【0077】
Mは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されており、式中、任意のアルキル炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよい。
【0078】
Vは、単結合、−CH−、−C(H)(R11)−、−O−、−S−、または−N(R11)−である。
【0079】
11は、水素またはC1−3アルキルである。
【0080】
Kは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)(NR11)−であり、式中、R11は、上記定義の通りである。
【0081】
Tは、−R12、−アルキル−R12、−アルケニル−R12、−アルキニル−R12、−OR12、−N(R12)、−C(O)R12、−C(=NOアルキル)R12、または
【化17】

である。
【0082】
各R12は、水素、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキリデニル、またはヘテロシクロアルキリデニルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されているか、または第1のR12と第2のR12が、それらが結合している窒素とともに、所望により1〜3個のJ基で置換されている単環式または二環式環系を形成している。
【0083】
10は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個の水素、J基で置換されている。
【0084】
15は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されている。
【0085】
16は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである。
【0086】
好ましくは、Wは、
【化18】

である。
【0087】
より好ましくは、Wは、
【化19】

である。
【0088】
最も好ましくは、Wは、
【化20】

、式中、Rはアラルキルである、または
【化21】

である。
【0089】
好ましくは、Jは、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、アラルキル、アラルコキシ、ハロ、ヘテロアリール、シアノ、アミノ、ニトロ、ヘテロシクリル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシ、ヘテロシクリルアルキル、アラルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アルカノイルアミノ、ホルミルまたはケトである。
【0090】
より好ましくは、Jは、t-ブチル、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、イソキサゾリル、ピリジニル、ピペリジニル、カルボキシメチル、カルボキシエチル;ジアルキルアミノ、モルホリニルメチル、フェニルアセチルアミノ、またはアシルアミノである。
【0091】
好ましくは、Jは、アルコキシ、アルキル、ハロまたはアリールである。
より好ましくは、Jは、C1−3アルコキシ、クロロ、C1−3アルキル、またはフェニルである。
【0092】
好ましくは、Lは、アルキル、アルケニル、アリル、またはプロパルギルである。
より好ましくは、Lは、トリハロメチル、スルフヒドリル、またはトリハロメチル、スルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されたアルキルである。
【0093】
好ましくは、Rは、アルキル、アラルキル、またはシクロアルキルアルキル、またはシクロアルキルである。より好ましくは、Rは、フェニルアルキルまたはシクロアルキルである。最も好ましくは、Rは、イソブチル、シクロヘキシルアルキル、またはフェネチルである。
【0094】
好ましくは、RおよびRはそれぞれ水素である。
好ましくは、Xは、−O−または−N(R)−である。
好ましくは、Rは、水素である。
好ましくは、Yは、−CH−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、または−S(O)−である。
【0095】
好ましくは、Rは、H、フッ素、トリフルオロメチル、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキルである。
好ましくは、Zは、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ヘテロアリール、OR、またはN(R)であり、式中、Rは、好ましくはアラルキルまたはアルケニルである。
【0096】
より好ましくは、Zは、フェニル、1,4−ベンゾジオキサニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾチアゾリル、ナフチル、ベンジル、オキサジアゾリル、イソキサゾリル、キノリル、ベンゾチオフェニル、チアゾリル、シクロヘキシル、ブチル、ナフチル、ジオキソラニル、ベンジル、ピリジニル、モルホリニル、N−アニリニル、N−アミノベンゾチアゾール、N−アミノベンゾジオキソール、N−アミノナフチレン、N−ベンジルアミン、N−アミノピリジン、ベンジルオキシ、アリルオキシ、またはフェネチルであり、所望によりJで置換されている。
【0097】
最も好ましくは、Zは、ナフチル、3,4−ジクロロフェニル、2−カルボメトキシフェニルである。
好ましくは、Rは、アルキルである。より好ましくは、Rは、プロピルである。最も好ましくは、Rは、イソプロピルである。
【0098】
好ましくは、Mは、アルキル、ヘテロアラルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、アラルキル、またはアラルキルであり、アルキル炭素原子の1つは、OまたはSで置換されているものである。
より好ましくは、Mは、プロピル、メチル、ピリジルメチル、ベンジル、ナフチルメチル、フェニル、イミダゾリルメチル、チオフェニルメチル、シクロヘキシルメチル、フェネチル、ベンジルチオメチル、またはベンジルオキシエチルである。
【0099】
好ましくは、Vは、−N(R11)−である。
好ましくは、R11は、水素である。
好ましくは、Kは、−C(O)−または−S(O)−である。
好ましくは、Tは、−R12、−アルキル−R12、−アルケニル−R12、-OR12、−N(R12)、−C(=NOアルキル)R12、または
【化22】

である。
【0100】
より好ましくは、Tは、−R12または−アルキル−R12である。
好ましくは、R12は、アリールまたはヘテロアリールであり、所望により1〜3個のJ基で置換されている。より好ましくは、R12は、1−ナフチル、イソキノリル、インドリル、または2−アルコキシ−1−ナフチルである。
【0101】
好ましくは、R10は、カルボキシで置換されたアルキルである。より好ましくは、R10は、カルボキシで置換されたC1−3アルキルである。
好ましくは、R15は、カルボキシで置換されたアルキルである。より好ましくは、R15は、カルボキシで置換されたC1−3アルキルである。
【0102】
式(II)の好ましい実施態様では、Aは:
【化23】

であり;
【0103】
は、単結合である。
好ましくは、この好ましい実施態様では、Xは、Oである。
より好ましくは、Yは、−CH−である。
あるいは、Yは、−C(O)−である。
【0104】
あるいは、Yは、−C(O)−であり、Zは、−N(R)−である。
あるいは、この好ましい実施態様では、Xは、−N(R)−である。
より好ましくは、Yは、−C(O)−である。
あるいは、Yは、−S(O)−である。
あるいは、Yは、−C(O)−であり、Zは、−N(R)である。
あるいは、この好ましい実施態様では、Xは、−N(R)−であり、式中、Rは、−C(O)R14または−S(O)14である。
より好ましくは、Rが−C(O)R14であるとき、Yは、−C(O)−である。
あるいは、Yは、−S(O)−である。
あるいは、Yは、−C(O)−であり、Zは−N(R)である。
【0105】
より好ましくは、Rが−S(O)14であるとき、Yは、−C(O)−であり、Zは、−N(R)である。
【0106】
本発明のより好ましい実施態様は、式(II)、式中、Aが:
【化24】

、式中、Xが−O−であり、Yが−CH−である、であり;
が、
【化25】

であり、
Vが、−(NR11)−であり、そして、
Kが、−C(O)−である、
の化合物である。
【0107】
その他の本発明のより好ましい実施態様は、式(II)、式中、Aが:
【化26】

式中、XがOであり、YがCHである、であり;
が、
【化27】

であり、
Vが、−N(R11)−であり、そして、
Kが、−S(O)−である、
の化合物である。
【0108】
その他の本発明のより好ましい実施態様は、式(II)、式中、Aが:
【化28】

、式中、XがOであり、Yが−CH−である、であり;
が、単結合であり、
Vが、−N(R11)−であり、そして、
Kが、−C(O)−である、
の化合物である。
【0109】
その他の本発明のより好ましい実施態様は、式(II)、式中、Aが:
【化29】

、式中、XがOであり、Yが−CH−である、であり;
が、単結合であり、
Vが、−N(R11)−であり、そして、
Kが、−S(O)−である、
の化合物である。
【0110】
好ましくは、これらのより好ましい実施態様では、Wは:
【化30】

である。
【0111】
より好ましくは、Wは、
【化31】

である。
最も好ましくは、Wは、
【化32】

【化33】

式中、Rがアラルキルである、であるか、または
【化34】

である。
【0112】
好ましくは、これらのより好ましい実施態様では、Lはアルキル、アルケニル、アリル、またはプロパルギルである。
より好ましくは、Lはトリハロメチル、スルフヒドリルまたはトリハロメチル、スルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されているアルキルである。
【0113】
式(II)のその他の好ましい実施態様では、Aは、
【化35】

であり、そして、
【0114】
は単結合である。この好ましい実施態様における好ましいグループは、上記に記載のとおりである。
【0115】
式(II)のその他の好ましい実施態様では、Aは、単結合である。この好ましい実施態様における好ましいグループは、上記に記載のとおりである。
【0116】
式(II)のその他の好ましい実施態様では、Aは、
【化36】

であり、

【化37】

である。
【0117】
この好ましい実施態様の、好ましい、より好ましい、最も好ましいグループは、上記のとおりである。
【0118】
本発明は、NS3プロテアーゼの活性部位指向性阻害因子の多くが、その性質上、ペプチド模擬体であり得るので、これを天然基質から設計できると予想している。従って、本発明のペプチド模擬阻害因子中の好ましい置換基には、酵素に対して高い親和性(低K)を持つ天然基質または合成基質の主鎖または側鎖に相当するようなものがある。
【0119】
式(II)のその他の好ましい実施態様では、Aは単結合である。この好ましい実施態様のうち、好ましい、より好ましい、最も好ましい化合物は、上記定義のとおりである。
当業者ならば、ある種のグループを、その結合位置によって、複素環またはヘテロ芳香族のいずれかに分類できることが分かる。
【0120】
本発明の化合物は、1以上の不斉炭素を含んでいてもよいので、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、および個々のジアステレオマーとして生じることがある。これらの化合物のかかる異性体形は全て、明らかに本発明の中に含まれる。各ステレオジェン炭素は、RまたはS配置であり得る。本発明にて構想される置換基や変化物の組み合わせは、安定な化合物のフォーメーションをもたらすものだけである。本明細書で使用する“安定な”の用語は、製造できるのに十分な安定性を持ち、かつここに詳述した目的(例えば、哺乳動物への治療的または予防的投与や、アフィニティークロマトグラフィーに使用する場合)に役立つ十分な期間中、化合物の完全な形態を維持している化合物を表す。典型的に、かかる化合物は、40℃以下の温度で、水分または他の化学的に反応性の条件がない場合、少なくとも1週間安定である。
本発明の化合物は、常用技術を用いて合成できる。有利なことに、これらの化合物は、容易に入手できる出発物質から適宜合成される。
本明細書で使用する、本発明の化合物とは、式(I)および(II)の化合物を含み、それらの医薬的に許容できる誘導体またはプロドラッグを含むと定義される。“医薬的に許容できる誘導体またはプロドラッグ”とは、本発明の化合物の任意の医薬的に許容できる塩、エステル、エステル塩、またはそれらの誘導体であって、レシピエントに投与する際に、本発明の化合物を(直接または間接的に)提供できるものを意味する。
【0121】
従って、本発明は、経口吸収、クリアランス、代謝またはコンパートメント分布などの生物学的特性を増強するように設計した誘導体である本発明の化合物のプロドラッグも提供する。
【0122】
当業者なら分かるように、本発明の化合物は、適切な官能基を付けて選択的生物学的特性を増強するように修飾することができる。このような修飾は、当分野では知られており、所定の生物学的コンパートメント(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透性を増す、経口アベイラビリティーを増す、注射投与を可能にするよう溶解度を増す、代謝を変える、そして、排出速度を変えるようなものを含む。
【0123】
“保護”の用語は、所定の官能基に適切な化学基(保護基)を付ける場合を表す。適切なアミノ保護基および保護基の例は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2d. Ed., John Wiley and Sons (1991); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994); L. Paquette, ed. Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)に記載されており、本発明で使用したある特定の化合物でも例示されている。
【0124】
特に好ましい誘導体およびプロドラッグは、本発明の化合物を哺乳動物に投与した場合に(例えば、経口投与した化合物をより容易に血中に吸収させることにより)その化合物のバイオアベイラビリティーを高めるものであり、より好ましいクリアランス速度または代謝プロフィールを持つか、または親化合物と比較して、その親化合物の生物学的コンパートメント(例えば、脳またはリンパ系)への送達を増強するようなものである。好ましいプロドラッグには、水溶解性または腸管膜による能動輸送を増強する基を式(I)および(II)の構造に付けた誘導体がある。
【0125】
本発明の化合物の医薬的に許容できる塩には、医薬的に許容できる無機および有機酸および塩基から得られるものがある。適切な酸塩の例には、アセテート、アジペート、アルギネート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフエート、ブチレート、シトレート、カンファレート、カンファースルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、ホルメート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、グリコレート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシエタンエルホネート、ラクテート、マレエート、マロネート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オキサレート、パルモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ホスフェート、ピクレート、ピパレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、タートレート、チオシアネート、トシレート、およびウンデカノエートがある。その他の酸、例えば、シュウ酸は、それ自体は医薬的に許容できるものではないが、本発明の化合物およびそれらの医薬的に許容できる酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩を製造する場合に採用できる。
【0126】
適切な塩基から得られる塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1−4アルキル)塩がある。本発明はまた、本明細書に開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も構想している。水または油溶解性または分散性生成物は、かかる四級化により得ることができる。
【0127】
一般に、式(I)および(II)の化合物は、実施例1〜8に例示した方法により得られる。しかしながら、当業者なら分かるように、本明細書に記載した合成スキームは、本願に記載および特許請求した化合物を合成できる全ての手段を包括的に列挙したものではない。当業者ならば、別の方法も明らかであろう。更に、上記の多様な合成工程は、所定の化合物を得るために順序を変えても実施できる。
【0128】
理論に束縛されることなく、我々は、本発明の化合物は、共有的かまたは非共有的かのいずれかで、HCV NS3プロテアーゼの活性部位と相互作用し、天然または合成物質を切断するような酵素の能力を阻害すると考える。非共有的相互作用は、相対的に大きい阻害特異性を付与する場合に有利であり、これは他の不用な標的、例えば、システインプロテアーゼを阻害しないであろう。よって、これらの化合物は、哺乳動物に投与した場合に、広範囲のプロテアーゼと相互作用して、不用な毒性作用を引き起こすこともある共有的プロテアーゼ阻害因子よりも大きい治療的指標を持つであろう。反対に、共有的相互作用は、より大きい阻害能を付与して、投与用量を下げ、特異性という問題の欠如を改善する場合に有利である。
【0129】
本発明の新規化合物は、優れたプロテアーゼ阻害因子、特に、セリンプロテアーゼ、より具体的には、HCV NS3プロテアーゼ阻害因子である。従って、これらの化合物は、プロテアーゼ、特に、セリンプロテアーゼ、より具体的には、HCV NS3プロテアーゼを標的とし、かつ阻害する能力がある。これらの化合物は、それ自体でもHCVを含むウイルスの生活環を妨害する。実施例11の方法など、様々な方法により阻害を測定できる。
【0130】
“抗ウイルス剤”の用語は、ウイルス阻害活性を持つ化合物または薬物を表す。このような薬剤には、逆転写酵素阻害因子(ヌクレオシドおよび非ヌクレオシド類似体を含む)やプロテアーゼ阻害因子がある。好ましくは、プロテアーゼ阻害因子は、HCVプロテアーゼ阻害因子である。
【0131】
本明細書で使用する“処置する”の用語は、患者における特定疾病の症状の軽減または特定疾病に関連する確認可能な測定値の向上を表す。本明細書で使用する“患者”の用語は、ヒトを含む、哺乳動物を表す。
【0132】
こうして、別の実施態様によれば、本発明は、式(I)または(II)の化合物またはそれらの医薬的に許容できる塩;更に、これらに限定されないが、α−、β−またはγ−インターフェロンなどの免疫調節剤;リバビリンおよびアマンタジンなどのその他の抗ウイルス剤;その他のHCVプロテアーゼ阻害因子;ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼなどのHCV生活環における他の標的の阻害因子;またはそれらの組み合わせと、医薬的に許容できる担体、アジュバントまたは媒体を含む医薬組成物を提供する。別の実施態様は、式(I)または(II)の化合物またはそれらの医薬的に許容できる塩;および医薬的に許容できる担体、アジュバントまたは媒体を含む組成物を提供する。このような組成物は、所望により、α−、β−またはγ−インターフェロンなどの免疫調節剤;その他のHCVプロテアーゼ阻害因子;HCVヘリカーゼの阻害因子;またはそれらの組み合わせから選択される付加的な薬剤を含んでいてもよい。
【0133】
“医薬的に許容できる担体またはアジュバント”の用語は、本発明の化合物と共に患者に投与され得る担体またはアジュバントを表し、これは、その薬理活性を破壊せず、かつ治療量の化合物を送達するのに十分な用量で投与しても非毒性である。
【0134】
本発明の医薬組成物に使用してもよい、医薬的に許容できる担体、アジュバントおよび媒体には、これららに限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、dα−トコフェロールなどの自己乳化薬剤送達系(SEDDS)、ポリエチレングリコール1000スクシネート、ツイーンまたは他の類似の高分子送達マトリクスなどの医薬投与形態に使用される界面活性剤、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、ホスフェートなどの緩衝剤基質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセライド混合物、水、硫酸カリウムなどの塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三珪酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂がある。“α−、β−およびγ−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、または化学修飾した誘導体、例えば、2−および3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリン、またはその他の可溶化誘導体もまた、これを使用して式(I)または(II)の化合物の送達を増強するのに有利である。
本発明の医薬組成物は、経口的、非経口的、吸入スプレイ、局所的、経腸的、経鼻的、口内、経膣的に投与でき、または移植リザーバーにより投与できる。好ましくは、経口投与または注射による投与である。本発明の医薬組成物は、常用の非毒性の医薬的に許容できる担体、アジュバント、または媒体を含んでいてもよい。ある場合では、製剤pHを医薬的に許容できる酸、塩基または緩衝剤で調整して、製剤化合物の安定性またはその送達形を強化できる。本明細書で使用した非経口という用語には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、動脈内、滑液内、胸骨内、くも膜下内、病片内、および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。
【0135】
医薬組成物は、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁剤である、滅菌注射用製剤の剤形であり得る。この懸濁液は、当業者には知られた技術に従い、適切な分散または湿潤剤(例えば、ツイーン80など)および懸濁剤を用いて製剤化できる。滅菌注射用製剤は、また、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液としての、滅菌注射溶液または懸濁液であってもよい。採用できる許容可能な媒体や溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。更に、滅菌固定油は、溶媒または懸濁培地として常用される。この目的では、合成モノまたはジグリセライドを含む低刺激性の固定油が使用できる。オレイン酸やそのグリセライド誘導体などの脂肪酸は、特に、そのポリオキシエチル化形態ではオリーブ油またはヒマシ油などの天然の医薬的に許容できる油状物であるので、注射用製剤において有用である。これらの油状溶液または懸濁液は、ヘルベチカ薬局方(Ph. Helv.)に記載のものなどの長鎖アルコール希釈剤または分散剤、あるいは類似のアルコール、またはカルボキシメチルセルロース、または類似の分散剤など、乳液および/または懸濁液などの医薬的に許容できる投与形態の処方に通常使用されているものも含有できる。ツイーンまたはスパンなどのその他常用の界面活性剤および/または医薬的に許容できる固体、液体または他の投与形態の製造に常用される他の類似の乳化剤またはバイオアベイラビリティー増強剤も、製剤目的に用いることができる。
【0136】
本発明の医薬組成物は、経口的に許容できる投与形態で経口投与でき、その中には、カプセル剤、錠剤、および水性懸濁液および溶液があるが、これらに限定されない。経口用の錠剤の場合、通常使用される担体には、ラクトースおよびコーンスターチがある。典型的には、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も添加される。カプセル形での経口投与の場合、有用な希釈剤にはラクトースおよび乾燥コーンスターチがある。水性懸濁液を経口投与する場合、その有効成分を乳化剤および懸濁剤と混合する。所望ならば、ある種の甘味剤および/または芳香剤および/または着色剤を添加してもよい。
【0137】
本発明の医薬組成物は、経腸投与用に坐剤形態でも投与できる。これらの組成物は、本発明の化合物と、室温で固体であるが直腸温度では液体であるため、直腸内で溶解して有効成分を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することにより製造できる。このような物質には、これらに限定されないが、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールがある。
【0138】
本発明の医薬組成物の局所投与は、所望の処置が局所適用により容易に接近できる領域または器官に関与する場合、特に有用である。皮膚への局所適用では、医薬組成物を、担体に懸濁または溶解させた有効成分を含有する適切な軟膏を用いて製剤化すべきである。本発明の化合物の局所投与用の担体には、鉱物油、流動パラフィン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化用ワックスおよび水があるが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、担体に懸濁または溶解させた活性化合物を含有する適切なローションまたはクリームと共に製剤化できる。適切な担体には、鉱物油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水があるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物は、直腸坐剤製剤または適切な浣腸剤により、胃腸管低部へ局所適用することもできる。局所経皮パッチもまた、本発明に含まれる。
【0139】
本発明の医薬組成物は、経鼻エアゾールまたは吸入によって投与できる。このような組成物は、医薬製剤分野ではよく知られた技術により製造され、かつ、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または当分野では既知の他の可溶化剤または分散剤を用いて、塩水中の溶液として製造することもできる。
【0140】
1日当り約0.01から約100mg/kg体重、好ましくは、1日当り約0.5から約75mg/kg体重の投与レベルの本明細書記載のプロテアーゼ阻害因子化合物が、抗ウイルス、特に抗HCV媒介疾患の予防および処置のための単一療法において有用である。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日に約1から約5回、あるいは、連続注入として投与される。このような投与は、慢性または急性治療として使用できる。単回投与形態用に担体物質と混和できる有効成分の量は、処理対象の宿主や特定の投与様式によって変わる。典型的な製剤では、約5%から約95%の活性化合物(w/w)を含有する。好ましくは、このような製剤は、約20%から約80%の活性化合物を含有している。
【0141】
本発明の組成物が式(I)または(II)の化合物と1種以上の付加的治療剤または予防剤との組み合わせを含むとき、その化合物と付加剤は、約10から100%の投与レベルで、より好ましくは単一療法で通常投与される投与量の約10から80%で存在すべきである。
【0142】
一実施態様によれば、本発明の医薬組成物は、付加的な免疫調整剤を含む。付加的免疫調整剤の例には、α−、β−およびγ−インターフェロンが含まれるが、これらに限定されない。
【0143】
別の実施態様では、本発明の医薬組成物は、更に、抗ウイルス剤を含むことができる。抗ウイルス剤の例には、リバビリンおよびアマンタジンがある。
その他別の実施態様では、本発明の医薬組成物は、更に、その他のHCVプロテアーゼ阻害因子を含むことができる。
【0144】
更に別の実施態様では、本発明の医薬組成物は、更に、HCV生活環における他の標的、例えば、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、またはメタロプロテアーゼの阻害を含むこともできる。
【0145】
患者の症状を改善する場合、必要ならば、本発明の化合物、組成物またはその組み合わせの維持用量を投与してもよい。その結果、投与の用量または頻度、あるいは、その両方を、症状の関数として、症状が所望レベルまで軽減されて、処置を止めても症状改善が維持されるレベルまで下げてもよい。しかしながら、患者は、疾病症状の再発も考えられるため長期の間欠的な処置を必要とする。
【0146】
当業者ならば明らかであるように、上記した用量よりも低いまたは高い用量が必要とされ得る。特定の患者に対する具体的な投与および処置法は、採用した具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、規定食、投与時間、排出速度、薬剤併用、感染の重篤度および経過、感染に対する患者の素因、および処置する医師の判断を含む様々な要因によって変わる。
【0147】
これらの化合物またはその医薬的に許容できる塩類を医薬的に許容できる担体と共に製剤化するとき、得られた組成物を、インビボで、ヒトなどの哺乳動物に投与して、セリンプロテアーゼ、特に、HCV NS3プロテアーゼを阻害するか、またはウイルス感染、特にHCVウイルス感染を予防できる。このような処置は、本発明の化合物を:例えば、α−、β−またはγ−インターフェロンなどの免疫調節剤;リバビリンおよびアマンタジンなどのその他の抗ウイルス剤;その他のHCV NS3プロテアーゼ阻害因子;ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼ、または内部リボゾーム移行などのHCV生活環における他の標的の阻害因子と併用しても達成できる。これらの付加剤と本発明の化合物と組み合わせて、単回投与形態を作ることもできる。あるいは、これらの付加剤を多回投与形態の部分として別個に哺乳動物に投与してもよい。
【0148】
従って、本発明の他の実施態様は、式(I)または(II)、式中、置換基は上記定義のとおりである、の化合物を投与することにより、哺乳動物におけるセリンプロテアーゼ活性を阻害する方法を提供するものである。好ましくは、このセリンプロテアーゼはHCV NS3である。
【0149】
別の実施態様では、本発明は、哺乳動物に式(I)または(II)、式中、置換基は上記定義のとおりである、の化合物を投与する工程を含む、該哺乳動物におけるHCVまたはHCV NS3活性を阻害する方法を提供する。
【0150】
別の実施態様では、本発明は、上記医薬組成物および組合わせを哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物におけるセリンプロテアーゼ活性を低下させる方法を提供する。この医薬組成物が有効成分として本発明の化合物のみを含むならば、かかる方法は、更に、免疫調整剤、抗ウイルス剤、HCVプロテアーゼ阻害因子、またはHCV生活環における他の標的の阻害因子から選択される薬剤を害哺乳動物に投与する工程を含む。このような付加的剤は、HCV阻害因子組成物の投与前、投与と同時、または投与後に哺乳動物に投与すればよい。
【0151】
好ましい実施態様では、これらの方法は、哺乳動物におけるHCV NS3プロテアーゼ活性を下げるのに有用である。この医薬組成物が、有効成分として本発明の化合物のみを含むならば、かかる方法は、更に、免疫調整剤、抗ウイルス剤、HCVプロテアーゼ阻害因子、またはヘリカーゼ、ポリメラーゼまたはメタロプロテアーゼなどのHCV生活環における他の標的の阻害因子から選択される薬剤を該哺乳動物に投与する工程を含む。このような付加的剤は、本発明の組成物の投与前、投与と同時、または投与後に哺乳動物に投与すればよい。
【0152】
別の好ましい実施態様では、これらの方法は、哺乳動物におけるウイルス複製を阻害するのに有用である。かかる方法は、例えば、HCVなどのウイルス疾患を処置または予防するのに有用である。医薬組成物が有効成分として本発明の化合物のみを含むならば、かかる方法は、更に、免疫調整剤、抗ウイルス剤、HCVプロテアーゼ阻害因子、またはHCV生活環における他の標的の阻害因子から選択される薬剤を該哺乳動物に投与する工程を含む。このような付加的剤は、本発明の組成物の投与前、投与と同時、または投与後に哺乳動物に投与すればよい。
【0153】
本明細書に記載の化合物はまた、実験用試薬としても使用できる。本発明の化合物を使用して、材料のウイルス汚染を処理または予防することもできるため、かかる材料と接触する研究所または医療従事者または患者のウイルス感染リスクを低減することができる。これらの材料には、血液、組織などの生物学的材料;外科器具や白衣;実験器具や白衣;および採血装置や用具があるが、これらに限定されない。
【0154】
本発明が十分に理解されるよう、下記実施例を記載する。これらの実施例は、単なる例示目的であって、いかにしても本発明の範囲を限定すると解釈されるものではない。
【実施例】
【0155】
原料と方法の概略
本発明の化合物を製造するための一般的な合成方法論を実施例1に提供する。化合物1−198を含む本発明の化合物を製造するためのさらに特定の方法論を、実施例2−9に提供する。
【0156】
表1−7には、溶液勾配、保持時間、%純度により示した本実験HPLCデータを報告する。
すべての化合物の正確な(M+H)および/または(M+Na)分子イオンは、マトリックスで助力されたレザー脱離質量分析(Kratos MALDI I)または電子噴霧質量分析(MICROMASS Quatro II)から得られた。
【0157】
実施例1
本発明のペプチジル、ペプチド擬似化合物の合成で使われる多数のアミノ酸は、例えば、Sigma Chemical社またはBachem Feinchemikalien AG(Switzerland)の市販品を購入することができる。市販されていないアミノ酸は、既知の合成ルート (“Kinetic Resoultion of Unnatural and Rarely Occurring Amino Acids: Enantioselective Hydrolysisof N-Acyl Amino Acids Catalyzed by Acylase I”,Chenault,H.K.et.al.,J.Am.Chem.Soc.111,6354-6364 (1989)、およびこの中に引用されている文献;“Synthesis of β-γ-Unsaturated Amino Acids by the Strecker Reaction”,Greenlee,W.J.,J.Org.Chem. 49,2632-2634 (1984);“Recent Stereoselective Synthetic Approaches to Beta-amino Acids”, Cole, D.Tetrahedron 50:9517 (1994);“The Chemistry of Cyclie Alpha Imino Acids”,Mauger,A.B;Volume 4 of “Chemisty and Bichemistry of Amino Acids, Peptides, and Proteins”, Weinstein,B.editor,Marcel Dekker (1977);“Recent Progress in the Synthesis and Reactions of Substituted Piperidines”, Org. Prep. Procedure Int.24,585-621 (1992),これらのすべては出典明示により本明細書に組み込まれている)で製造できる。
【0158】
式(I)または(II)の一定の化合物は、ペプチドおよび有機化学合成の分野でよく知られた技法によりアミノ酸から合成することができる。このような合成の例は、一般にBodanszkyとBodanszky (“The Practice of Peptide Synthesis”, Springer-Verlag, Berlin, Germany (1984),“The Peptides”, Gross and Meinhofer, eds; Academic Press, 1979, Vols. I-III, and Stewart, J. M. and Young,J.D.,“Solid Phase Peptide Synthesis, Second Edition”,Pierce Chemical Company,Rockford, IL (1984) and “Recent Advances in the Generation of Molecular Diversity”, Moos, W. H., Green, G. D. and Pavia, M. R. in“Annual Reports in Medicinal Chemistry, Vol.28”pp. 315-324; Bristol, J.A., ed.; Academic Press, San Diego, CA (1993) これらのすべては出典明示により本明細書に組み込まれている)に記載されている。
【0159】
一般的に、ペプチドの液相合成では、カップリングされるアミノ酸のα−アミンはBoc、Cbz、FmocまたはAllocなどのウレタンで保護するのに対し、遊離のカルボキシルは、所望により例えばHOBT、HOAt、HOSuまたはDMAPなどの触媒の存在下、DCC、EDCまたはDICなどのカルボジイミドとの反応によって活性化される。別の方法は、活性化されたエステル、酸ハロゲン化物、酵素活性化されたアミノ酸および例えばBOP、Py−BOPなどのホスホニウム試薬、N−カルボキシ−酸無水物、対称酸無水物、混合酸無水物、カルボニック―亜リン酸またはカルボニック−リン酸無水物を含む酸無水物の中間体を介する工程であり、これらも適当である。ペプチドが形成された後、保護基は上で挙げた文献内で叙述されている方法、例えばパラジウム、白金またはロジウム触媒を使用した水素化、液体アンモニア中のナトリウムでの処置、塩化水素、弗化水素、臭化水素、ギ酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸での処置、第二級アミン、フルオライドイオン、臭化イオン、ヨウ化イオンを含むトリメチルシリルハロゲン化物、アルカリでの処置で除去することができる。合成過程の自動化は、例えば上記のような技術を使って、Advanced Chemtech 357 FBS および 496 MOS、Tecan CombiTec、とりわけApplied Biosystems 433Aという市販されている機械を使って完成することができるが、機械はこれに限られることはない。これらの方法の具体的な適用とそれらの均等方法は、目標化合物によって変わるが、当業者には明らかである。化学的過程の変更と機械の選択は、通常の研究者の技術の範囲内である。
【0160】
実施例2
化合物1−26(表1)はスキーム1に記載のようにして製造した。
【化38】

【0161】
301−306の合成
工程A.301の合成。4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂(1.05mmol/g,20.0g)を焼結ガラス漏斗に入れ、ジメチルホルムアミド(3×75ml)、ジメチルホルムアミド中10%(v/v)ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(2×75ml)、および最後にジメチルホルムアミド(4×75ml)で洗浄した。樹脂に十分なジメチルホルムアミドを加えてスラリーとし、続いて300(8.0g、20.8mmol、A.M.Murphy et.al.J.Am.Chem.Soc.,114,3156−3157 (1992)に従い(2S)2−(t−ブチルオキシカルボニルアミノ)−ブチルアルデヒドから製造される)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT・HO:3.22g、21.0mmol)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N,N−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩(HBTU:8.0g、21.0mmol)、およびDIEA(11.0ml、63mmol)を添加した。反応混合物をリストアーム振盪器で室温中一昼夜撹拌した。樹脂を吸引ろ過により焼結ガラス漏斗で分離し、ジメチルホルムアミド(3×75ml)で洗浄した。次いで未反応アミン基は、20%(v/v)無水酢酸/ジメチルホルムアミド溶液を直接的に漏斗に入れ(10分洗浄)、樹脂と反応させて保護した。樹脂をジメチルホルムアミド(3×75ml)とジクロロメタン(3×75ml)で洗浄し、その後、真空下で一昼夜乾燥し、300a(26.3g、収率81%)を得た。
【0162】
Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide synthesizerを使用し、以下の手順で、樹脂300aからt−Boc保護基を除去した。樹脂300a(0.05mmol)をジクロロメタン(3×1ml)で洗浄して膨潤させ、その後、50%(v/v)TFA/ジクロロメタン(1.0ml)を添加し10分間撹拌させ、その後、新鮮な試薬(1ml)と共に30分撹拌させt−Boc保護基を除去した。その後樹脂をジクロロメタン(3×1ml)、続いてDMF(3×1ml)、および10%DIEA/ジメチルホルムアミド(v/v)(2×1ml)、最後にN−メチルピロリドン(3×1ml)で洗浄して、樹脂301を得た。
【0163】
工程B.303の合成。本化合物は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide synthesizerを用いて樹脂301(0.05mmol)から製造した。樹脂301をN−メチルピロリドン0.5ml中0.4M 302および0.4M HOBTの溶液、N−メチルピロリドン0.5ml中0.4M HBTUの溶液、およびN−メチルピロリドン0.35ml中1.6M DIEAの溶液でアシル化し、反応物を室温で4時間振盪させた。この結合反応を繰り返した。樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)、ジクロロメタン(3×1ml)の順で洗浄し、樹脂303を得た。
【0164】
工程C.305の合成。樹脂に結合した化合物の合成は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide synthesizerを使って完成した。樹脂303をジクロロメタン(3×1ml)で洗浄し、50%(v/v)TFA/ジクロロメタン(1.0ml)を入れ10分間撹拌させ、その後新鮮な試薬(1ml)と共に30分間撹拌させt−Boc保護基を除去した。その後、樹脂をジクロロメタン(3×1ml)、次いでDMF(3×1ml)、および10%DIEA/ジメチルホルムアミド(v/v)(2×1ml)の順序で洗浄し、最後にN−メチルピロリドン(3×1ml)で洗浄して、樹脂304を得た。この樹脂をN−メチルピロリドン0.5ml中0.4M Fmoc−バリンおよび0.4M HOBTの溶液、N−メチルピロリドン0.5ml中0.4M HBTUの溶液、およびN−メチルピロリドン0.35ml中1.6M DIEAの溶液でアシル化し、反応物を室温で4時振盪した。この結合反応を繰り返した。自動化された工程は次のように構成される:(1)樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)で洗浄する(2)ジメチルホルムアミド(1ml)中25%(v/v)ピペリジンと共に3分間撹拌し、その後新鮮な試薬(1ml)と共に10分間撹拌して脱保護する(3)これまでに述べてきたカップリングの前に、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)およびN−メチルピロリドン(3×1ml)で洗浄する。Fmoc−バリンとピラジン−2−カルボキシル酸はこの方法で結合させた。
【0165】
工程D.306の合成。切断の前に樹脂を1:1ジクロロメタン/メタノール(3×1ml)で洗浄し、次いで真空乾燥した。室温で30分間95%TFA/5%HO(v/v、1.5ml)で処置する、または室温で1時間テトラヒドロフラン/30%ホルマリン/1N HCl 9:1:1(v:v:v)で処置する手順のどちらかで、樹脂からアルデヒドを切断した。樹脂を切断試薬(1ml)で洗浄し、集めたろ液を水で薄めて、その後凍結乾燥して、306を未精製状態で白色粉末として得た。この化合物をWaters Delta Pak C18、15μm、300Åカラム(30×300mm)での半分取RP−HPLCにより、45分(流速20ml/分)にわたり0.1%トリフルオロ酢酸水溶液を含むアセトニトリル直線勾配で溶出して精製した。目的生成物を含む画分をあわせて凍結乾燥し、306を準備した。
【0166】
実施例3
化合物27−29(表1) はスキーム2に記載のようにして製造した。
【化39】

【0167】
工程A.301の合成。工程A、スキーム1参照。
【0168】
工程B.308の合成。樹脂301(6.0g、0.65mmol/g、3.9mmol)を、ジクロロメタン(3×50ml)で洗浄して、焼結ガラス漏斗中に膨潤させた。Boc保護基を50%(v/v)TFA/ジクロロメタン(50ml)と共に10分間(絶え間なく撹拌を続けながら)、次いで新鮮な試薬(50ml)と共に30分間撹拌して、外した。樹脂をジクロロメタン(3×50ml)、ジメチルホルムアミド(2×50ml)、10%DIEA/ジメチルホルムアミド(v/v)(2×50ml)、最後にN−メチルピロリドン(3×50ml)で洗浄した。樹脂を100mlフラスコに移し、N−メチルピロリドンを加えて懸濁させ、その後307(2.83g、8.0mmol)、HOBT・HO(1.22g、8.0mmol)、HBTU(3.03g、8.0mmol)、DIEA(4.2ml、24mmol)を添加した。反応混合物をリストアーム振盪器を使用して室温で一昼夜振盪した。樹脂は築き上げられ、ジメチルホルムアミド中20%(v/v)無水酢酸を使用した保護を実施して、上述した301から308(6.86g、定量的)を得た。
【0169】
工程C.309の合成。本化合物は、Tecan Combic synthesizerを用いて樹脂308(0.15mmol)から製造した。樹脂308(0.076mmol)をジメチルホルムアミド(3×2ml)で洗浄し、25%(v/v)ピペリジン/ジメチルホルムアミド(2.5ml)と共に5分間、次いで新鮮な試薬(2ml)と共に30分間撹拌して脱保護した。樹脂をジメチルホルムアミド(3×2.5ml)、N−メチルピロリドン(3×2.5ml)で洗浄したあと、N−メチルピロリドン(0.8ml)中0.4M Fmoc−バリンと0.4M HOBTの溶液、N−メチルピロリドン(0.8ml)中0.4M HBTUの溶液およびN−メチルピロリドン(0.6ml)中1.6M DIEAの溶液でアシル化し、反応物を室温で8時間振盪させた。結合反応を繰り返した。脱保護と結合の工程は、第2のバリン残基と最後のピラジン−2−カルボキシル酸残基を加えるために繰り返された。その後樹脂をジクロロメタン(3×2.5ml)で洗浄して、樹脂309を得た。
【0170】
工程D.310の合成。樹脂309に1:1ピリジン/ジクロロメタン(1ml)、ジメチルホルムアミド(0.2ml)中0.8M ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタン(1.5ml)中0.2M Z−COClを加え、室温で8時間振盪させた。このアシル化反応を繰り返した。この樹脂をジクロロメタン(3×2.5ml)、ジメチルホルムアミド(3×2.5ml)、ジクロロメタン(3×2.5ml)、最後に1:1ジクロロメタン/メタノール(3×2.5ml)で洗浄して、樹脂301を得た。
【0171】
工程E.311の合成。切断前に、樹脂を1:1ジクロロメタン/メタノール(3×1ml)で洗浄し、次いで真空乾燥した。テトラヒドロフラン/ホルマリン/酢酸/1N HCl 5:1:1:0.1を室温で1時間処置し、樹脂からアルデヒドを切断させた。切断試薬(1ml)で洗浄した後、集めたろ液を水で稀釈し、次いで凍結乾燥を行い、311を未精製状態で白色粉末として得た。この化合物をWaters Delta Pak C18、15μm、300Åカラム(30×300mm)での半分取RP−HPLCにより、45分(流速20ml/分)にわたり0.1%トリフルオロ酢酸水溶液を含むアセトニトリル直線勾配で溶出して精製した。目的生成物を含む画分をあわせて、供給物311を凍結乾燥した。
【0172】
実施例4
化合物30−56(表1)は、スキーム3に記載のようにして製造した。
【化40】

【0173】
工程A.301の合成。工程A、スキーム1参照。
【0174】
工程B.308の合成。工程B、スキーム2参照。
【0175】
工程C.312の合成。本化合物は、Tecan CombiTec Synthesizerを用いて樹脂308(0.15mmol)から製造した。樹脂308をトルエン(3×2.5ml)で洗浄し、次いで、トルエン(1.0ml)に懸濁した。これに、トルエン(1.0ml)中0.8M Rδ−イソシアネート、続いてトルエン(1.0ml)中0.8M DIEAを加えるか、またはトルエン(1.0ml)中0.8M DIEA含有0.8M Rδ−カルボン酸、続いてトルエン(1.0ml)中0.8Mジフェニルホスホリルアジドを加える。反応物を55℃で8時間振盪させた。その後、樹脂をトルエン(3×2.5ml)で洗浄し、ジメチルホルムアミド(4×2.5ml)で洗浄し、樹脂312を得る。
【0176】
工程D.313の合成。工程D、スキーム2参照。
【0177】
工程E.314の合成。工程E、スキーム2参照。
【0178】
実施例5
化合物57−70(表1)は、スキーム4に記載のようにして製造した。
【化41】

【0179】
工程A.301の合成。工程A、スキーム1参照。
【0180】
工程B.316の合成。本化合物は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide synthesizerを用いて樹脂301(0.05mmol)から製造した。樹脂301をN−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M 315および0.4M HOBTの溶液、N−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M HBTUの溶液およびN−メチルピロリドン(0.35ml)中1.6M DIEAの溶液でアシル化し、反応物を室温で4時間振盪させた。この結合反応を繰り返した。その後、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)、次いで、ジクロロメタン(3×1ml)で洗浄した。その後、Boc保護基を、50%(v/v)TFA/ジクロロメタン(1.0ml)と共に10分間、次いで新鮮な試薬(1.0ml)と共に30分間撹拌して、はずした。その後、樹脂をジクロロメタン(3×1.0ml)、ジメチルホルムアミド(2×1.0ml)、10%DIEA/ジメチルホルムアミド(v/v)(2×1.0ml)、ジメチルホルムアミド(3×1.0ml)、最後にジクロロメタン(3×1.0ml)で洗浄して、316を得た。
【0181】
工程C.317aの合成。樹脂316をN−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M Z−COHおよび0.4M HOBTの溶液、N−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M HBTUの溶液およびN−メチルピロリドン(0.35ml)中1.6M DIEAの溶液でアシル化し、反応物を室温で4時間振盪させた。この結合反応を繰り返した。その後、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)で洗浄して、317aを得た。
【0182】
工程C.317bの合成。樹脂316をジメチルホルムアミド(1ml)中0.5M Z−COClおよびN−メチルピロリドン(0.35ml)中1.6M DIEAにより室温で2時間アシル化した。このアシル化工程を繰り返した。この樹脂をジメチルホルムアミド(3×2.5ml)で洗浄して、樹脂317bを得た。
【0183】
工程C.317cの合成。樹脂316をジクロロメタン(0.5ml)中1.0M Z−スルホニルクロリドおよびジクロロメタン(0.60ml)中1M ピリジンと室温で4時間反応させた。この反応を繰り返した。この樹脂をジクロロメタン(3×1.0ml)、次いで、ジメチルホルムアミド(3×1.0ml)で洗浄して、樹脂317cを得た。
【0184】
工程C.317dの合成。樹脂316をジメチルホルムアミド(1.2ml)中0.5M Z−イソシアネートと室温で8時間反応させた。この反応を繰り返した。この樹脂をジメチルホルムアミド(3×1.0ml)で洗浄して、樹脂317dを得た。
【0185】
工程C.317eの合成。樹脂316を酢酸(0.1ml)およびシアノボロヒドリド(200mg)の存在下、ジメチルホルムアミド(1.2ml)中0.5M Z−CHOと室温で4時間反応させた。この反応を繰り返した。この樹脂をジメチルホルムアミド(3×1.0ml)で洗浄して、樹脂317eを得た。
【0186】
工程D.318の合成。樹脂結合化合物の合成は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide synthesizerを用いて完了した。工程C、スキーム1に記載の自動サイクルを用いて、Fmoc−バリン、次いで、別のFmoc−バリン、最後に、ピラジン−2−カルボン酸を加えた。
【0187】
工程E.319の合成。工程E、スキーム2参照。
【0188】
実施例6
化合物81−100および127−142(表3および4)は、スキーム5に記載のようにして製造した。
【化42】

【0189】
工程A.301の合成。工程A、スキーム1参照。
【0190】
工程B.320の合成。樹脂結合化合物の合成は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide synthesizerを用い、樹脂165(0.05mmol)から始めて完了した。工程C、スキーム1に記載の自動サイクルを用いて、Fmoc−A、次いで、Fmoc−バリン、最後に、末端Fmoc−アミノ酸を加えた。Fmoc基を、既に記載のように、25%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(v:v)によりはずして、樹脂166を得た。
【0191】
工程C.321aの合成。樹脂320をN−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M T−COHの溶液、N−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M HBTUの溶液およびN−メチルピロリドン(0.35ml)中1.6M DIEAの溶液でアシル化し、反応物を室温で4時間振盪させた。この結合反応を繰り返した。その後、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1ml)で洗浄し、樹脂321aを得た。
【0192】
工程C.321bの合成。樹脂320をジメチルホルムアミド(1ml)中0.5M T−COClおよびN−メチルピロリドン(0.35ml)中1.6M DIEAにより室温で2時間アシル化した。このアシル化工程を繰り返した。次いで、この樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1ml)で洗浄して、樹脂321bを得た。
【0193】
工程C.321cの合成。樹脂320をジクロロメタン(0.5ml)中1.0M T−スルホニルクロリドおよびジクロロメタン(0.60ml)中1M ピリジンと室温で4時間反応させた。この反応を繰り返した。この樹脂をジメチルホルムアミド(3×1.0ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1.0ml)で洗浄して、樹脂303cを得た。
【0194】
工程C.321dの合成。樹脂320をジメチルホルムアミド(1.2ml)中0.5M T−イソシアネートと室温で8時間反応させた。この反応を繰り返した。その後、この樹脂をジメチルホルムアミド(3×1.0ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1.0ml)で洗浄して、樹脂321dを得た。
【0195】
工程D.322の合成。アルデヒドを樹脂から切断し、室温で45分間95%TFA/5%HO(v/v、1.5ml)で室温で45分間処置することにより全体的に脱保護した。樹脂を新鮮な切断試薬(1ml)で洗浄した後、集め合わせた濾液を1:1冷エーテル:ペンタン(12ml)に加え、得られた沈殿を遠心およびデカンテーションにより単離した。得られたペレットを10%アセトニトリル/90%HO/0.1%TFA(15ml)に溶かし、凍結乾燥して、白色粉末として粗製の322を得た。この化合物を、0.1%TFA(v/v)含有アセトニトリル直線勾配20ml/分で45分にわたり溶出するWaters DeltaPak 300Å C18カラム(15μ、30×300mm)での半分取RPHPLCにより精製した。所望の生成物を含むフラクションを集め、凍結乾燥させて、322を用意した。
【0196】
実施例7
化合物143−197(表6)は、スキーム6に記載のようにして製造した。
【化43】

【0197】
工程A.301の合成。工程A、スキーム1参照。
【0198】
工程B.326の合成。本化合物は、Applied Biosystems Model 433A Peptide synthesizerを用い、樹脂301(0.50mmol)から製造した。Nα−Fmoc−保護アミノ酸を、N−メチルピロリジノン中、結合剤としてHOBtを含むHBTUを用いる標準的な結合サイクルにより樹脂301に順次加えて、樹脂326を得た。
【0199】
工程C.327aの合成。合成は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide Synthesizerを用いて完了した。樹脂326(0.05mmol)をジメチルホルムアミド(1ml)中25%(v/v)ピペリジンで3分間、次いで新鮮な試薬(1ml)で10分間脱保護した。樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)およびN−メチルピロリドン(3×1ml)で洗浄した。樹脂を、N−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M T−COHおよび0.4M HOBTの溶液、N−メチルピロリドン(0.5ml)中0.4M HBTUの溶液およびN−メチルピロリドン(0.35ml)中1.6M DIEAの溶液でアシル化し、反応物を室温で4時間振盪させた。この結合反応を繰り返した。その後、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1ml)で洗浄し、樹脂327aを得た。
【0200】
工程C.327bの合成。合成は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide Synthesizerを用いて完了した。樹脂326(0.05mmol)をジメチルホルムアミド(1ml)中25%(v/v)ピペリジンで3分間、次いで新鮮な試薬(1ml)で10分間脱保護した。樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)およびN−メチルピロリドン(3×1ml)で洗浄した。樹脂を、ジメチルホルムアミド(1ml)中0.5M T−COClおよびN−メチルピロリドン(0.35ml)中1.6M DIEAで室温で2時間アシル化した。このアシル化工程を繰り返した。その後、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1ml)で洗浄し、樹脂327bを得た。
【0201】
工程C.327cの合成。合成は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide Synthesizerを用いて完了した。樹脂326(0.05mmol)をジメチルホルムアミド(1ml)中25%(v/v)ピペリジンで3分間、次いで新鮮な試薬(1ml)で10分間脱保護した。樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)およびジクロロメタン(3×1ml)で洗浄した。樹脂を、ジクロロメタン(0.5ml)中1.0M T−スルホニルクロリドおよびジクロロメタン(0.60ml)中1Mピリジンと室温で4時間反応させた。この反応を繰り返した。その後、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1.0ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1.0ml)で洗浄し、樹脂327cを得た。
【0202】
工程C.327dの合成。合成は、Advanced ChemTech 396 Multiple Peptide Synthesizerを用いて完了した。樹脂326(0.05mmol)をジメチルホルムアミド(1ml)中25%(v/v)ピペリジンで3分間、次いで新鮮な試薬(1ml)で10分間脱保護した。樹脂をジメチルホルムアミド(3×1ml)で洗浄した。樹脂を、ジメチルホルムアミド(1.2ml)中0.5M T−イソシアネートと室温で8時間反応させた。この反応を繰り返した。その後、樹脂をジメチルホルムアミド(3×1.0ml)、ジクロロメタン(3×1.0ml)および1:1ジクロロメタン/メタノール(v/v)(3×1.0ml)で洗浄し、樹脂327dを得た。
【0203】
工程D.328の合成。工程D、スキーム1参照。
【0204】
実施例8
化合物79−80および101−123(表2、3および4)は、スキーム7に記載のようにして製造した。
【化44】

【0205】
工程A.330の合成。2−クロロクロロトリチル樹脂(2.2mmol/g、1.69g)をDIEA(0.47ml、2.7mmol)の存在下、ジクロロメタン中329(0.385g、1.1mmol、S. L. Harbeson et al., J. Med. Chem., 37, 2918 (1994)に従い製造した)と室温で1時間反応させた。メタノールを添加して反応を止め、樹脂を吸引濾過により焼結ガラスロート上に分離し、ジクロロメタン(3×25ml)で洗浄した。樹脂を真空で一晩乾燥させて330を得た(1.92g、0.49meq/g)。
【0206】
工程B.332の合成。樹脂結合化合物の合成は、Applied Biosystem Model 433A Peptide synthesizerを用い、樹脂330(0.74mmol)から開始して完了した。工程C、スキーム1に記載の自動サイクルを用いて、Fmoc−A、次いで、Fmoc−AおよびFmoc−Aを添加した。前述のとおり、Fmoc基を25%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(v:v)で除去して、樹脂332を得た。
【0207】
工程C.333の合成。切断する前に、樹脂を1:1ジクロロメタン/メタノール(3×1ml)で洗浄し、次いで真空乾燥させた。ペプチドは、酢酸:トリフルオロエタノール:ジクロロメタン(1:1:3)で室温で1時間処理することにより、樹脂から切断した。この樹脂をジクロロメタンで洗浄後、集め合わせた濾液を真空濃縮し、粗製333(0.48g、76%)を白色粉末として得た。
【0208】
工程D.335の合成。化合物333(0.05g、0.058mmol)をジメチルアセトアミド(1ml)に溶かし、これにDIEA(0.17mmol)、適切なアミン(0.20mmol)およびPyBrop(0.12mmol)を加えた。反応を70℃で2時間撹拌した。次いで、反応物をHO(8ml)に希釈し、遠心して沈殿を得、これを真空乾燥させて粗製334を得、次いで、直接化合物335へと酸化した。粗製334をN−メチルピロリドン(3ml)に溶かし、Dess-Martin ペルイオジナン(periodinane)(110mg、0.26mmol)と室温で一晩反応させた。飽和水性重炭酸ナトリウム(5ml)と10%(w:v)水性チオ硫酸ナトリウム(5ml)を反応に加え、撹拌後、HO(40ml)を加えた。沈殿を遠心により分離し、固体を真空乾燥させた。必要な場合は、酸不安定性の保護基を、1:1トリフルオロ酢酸:ジクロロメタンで室温で30分間処理することにより除去した。溶媒を真空除去し、粗製化合物を、0.1%TFA(v/v)含有アセトニトリル直線勾配20ml/分で45分にわたり溶出するWaters DeltaPak 300Å C18カラム(15μ、30×300mm)での半分取RP−HPLCにより精製した。所望の生成物を含有するフラクションを集め、凍結乾燥させて335を用意した。
【0209】
実施例9
化合物71−78および124−126は、適切な保護ペプチド酸から製造した。保護ペプチド酸は、前述のスキーム7のように、2−クロロ−クロロトリチル樹脂を用いて製造した。次いで、これらのペプチド酸は、標準液相ペプチド結合法を用いて下記の基の1つに結合させた。これらの基の製法に関する文献も与える。
【化45】

J. Oleksyszin et al., Synthesis, 985-986 (1979)
【化46】

S. Elgendy et al., Tetrahedron, 50, 3803-3812 (1994)
【化47】

M. R. Angelestro et al., Tetrahedron Letters, 33, 3265-3268 (1992)
【化48】

T.T. Curran, J. Organic Chemistry, 58, 6360-6363 (1993)
【化49】

E. Edwards, et al., J. Medicinal Chemistry, 38, 3972-3982 (1995)
【0210】
必要な場合は、スキーム7で記載のように、Dess Martin ペルイオジナンを用いて、得られた生成物をケトンへと酸化する。必要な場合は、酸不安定性保護基を1:1トリフルオロ酢酸:ジクロロメタンで室温で30分間処理することによりはずした。溶媒を真空除去し、粗生成物を0.1%TFA(v/v)含有アセトニトリル直線勾配20ml/分で45分にわたり溶出するWaters DeltaPak 300Å C18カラム(15μ、30×300mm)での半分取RP−HPLCにより精製した。所望の生成物を含有するフラクションを集め、凍結乾燥させて最終生成物71−78および124−126を用意した。
【0211】
実施例10
化合物198は、実施例1に記載の一般法の修飾法により製造した。
【化50】

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【0212】
【化51】

【表11】

【表12】

【0213】
【化52】

【表13】

化合物80のアミノ酸配列:配列番号1
【0214】
【化53】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

化合物101、102、103、104、105、106、107、108、109、124、125、126のアミノ酸配列:配列番号2
【0215】
【化54】

【表19】

【表20】

【0216】
【化55】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【0217】
【表27】

【0218】
実施例11
式(I)または(II)の化合物がNS3セリンプロテアーゼを阻害できる限り、これらは、HCVを含むウイルス疾患の処置対して明らかに臨床的に有用なものである。これらの試験は、化合物がインビボでHCVを阻害する能力を予想するものである。
【0219】
各種ペプチドと各種アッセイ
ペプチドEDVV abuCSMSY(Abuはアミノ酪酸を示す)、DEMEECSQHLPYI、ECTTPCSGSWLRDおよびEDVV AbuC−p−ニトロアニリドは、AnaSpec Inc. (San Jose, CA)から購入した。
【0220】
精製して凍結乾燥させたペプチドと手元にあったペプチドのペプチド含量を、定量窒素分析により測定し、ストックペプチド溶液(Galbreath)を製造する際に適切な値を用いた。pKa測定値は、Robertson Microlit Laboratories, Inc. (Madison, NJ)により測定した。
【0221】
HPLC切断アッセイは、30℃で50mM HEPES−KOH(pH7.8)、100mM NaCl、20%グリセロール、5mM DTTおよびNS4Aペプチドを含むまたは含まない、DMSOの最終濃度が4%を超えないような適切な量の基質(DMSO中)を含有する100μl容量中、25nMないし3.0μM酵素を用いて実施した。別の対照実験により、このDMSOの割合が酵素活性に影響しないことが証明された。等容量の10%TFA:アセトニトリル(1:1)混合物を添加して切断反応を止め、自動注入および210nmおよび280nm(適宜)でのダイオードアレイ検出を備えたHewlett Packard 1050を用いて、活性を逆相HPLCカラム(Rainin C18 Microsorb-MV, 5mm、4.6×250mm;0−50%アセトニトリル、0.1%TFA@3.33%分)にて評価した。ペプチド溶出フラグメントを集め、質量分析およびN−末端配列分析により同定した。フラグメントの同一性および濃度は、更に、実際の合成生成物により照合した。初期切断速度は、<20%基質変換で測定し、触媒パラメーターは、MultiFitプログラム(Day Computing, Cambridge, MA)を用い、Michaelis-Menten速度論により測定した。
【0222】
分光測光アッセイは、運動可能出力(kinetic capability)付きSpectraMax 250 リーダー(Molecular Devicex, Sunnyvale, CA)を用い、96ウェルマイクロタイタープレートにて30℃で実施した。EDVV AbuC−p−ニトロアニリド(5A−pNA)基質の切断は、HPLCアッセイのところで使用したのと同じ緩衝液中、NS4Aと共にまたはなしで30℃で実施し、pNA解離を405nmで監視した。p−ニトロアニリンの吸光率は、pH値5.5以上ではpHと無関係である[Tuppy, H., et al., Hoppe-Seyler's Z. Physiol. Chem., 329, pp. 278-288 (1962)、Raybuck and Luong, 非公開の所見]。このアッセイでのDMSOの割合は、4%を超えなかった。
【0223】
Vmax、KmおよびVmax/KmのpH依存性の測定は、50mM MES、25Nmトリス、25mMエタノールアミンおよび0.1M NaClを含有する一連の一定イオン強度緩衝液を用いて実施した[Morrison, J. F. and Stone, R.F., Biochemistry, 27, pp. 5499-5506 (1988)]。logVデータに対する変曲点は、等式
logV=log[Vmax/(1+H/Ka)]
[Dixon, M. and Webb, E. C. Enzymes; Academic Press: New York; Vol., pp. 138-164 (1979)]に対するデータの非線形最小二乗法により算出した。log(V/K)データに対する変曲点は、等式
logV=log[Vmax/(1+H/Ka+Kb/H)][Dixon, M. and Webb, E. C. Enzymes; Academic Press: New York; Vol., pp. 138-164 (1979)]
に対するデータの非線形最小二乗法により算出した。両ケースでプログラムKineTic (BioKin Ltd)を使用した。
【0224】
迅速平衡次二基質反応(rapid equilibrium ordered bisubstrate reaction)の速度定数は、等式1に対する非線形最小二乗法による速度 対 [4A]、[EDVV AbuC−pNa]データから[Morrison, J. F. Biocim. Biophys. Acta., 185, pp. 269-286 (1969)]に記載のとおり測定した。ペプチジル阻害因子のKiiおよびKis値は、速度 対 [阻害因子]、[基質]データから、混合阻害に対する等式にあてはめて決めた:
速度=Vmax[S]/(Km(1+[I]/Kis)+[S](1+[I]/Kii)
両方とも市販のプログラムKinetAsyst(StateCollege, PA)を使用した。Ki値は、緊密結合競合阻害の場合のMorrisonの等式に対するデータの非線形最小二乗法による速度 対 [阻害因子]プロットから算出した。これにはKineTicプログラム(BioKin Ltd)を使用した。
【0225】
結果は、表9に示す。Ki値はμMで現す。カテゴリー“A”は、<1μM阻害を示し、カテゴリー“B”は、1−100μM阻害を示し、カテゴリー“C”は、>100μMを示す。記号“ND”は化合物が試験されなかったことを示す。
【表28】

【表29】

【0226】
以上、多数の本発明の実施態様を与えてきたが、基本的構造を変えて、本発明の方法を利用する他の実施態様を提供できることは明らかである。よって、本発明の範囲は、例示のために与えた具体的な実施態様よりはむしろ、添付の請求の範囲により定義されると分かるであろう。
【0227】
配列表

配列番号1に関する情報:
配列の特徴:
配列の長さ:5アミノ酸
配列の型:アミノ酸
他の情報:Proはプロリン誘導体
分子の型:ペプチド
配列:配列番号1
Glx Asx Val Val Pro
1 5

配列番号2に関する情報:
配列の特徴:
配列の長さ:5アミノ酸
配列の型:アミノ酸
他の情報:
分子の型:ペプチド
配列:配列番号2
Glx Asx Val Val Leu
1 5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】

式中
Wは:
【化2】

であり、
mは0または1であり;
各Rは、ヒドロキシ、アルコキシまたはアリールオキシであるか、または各R1は、酸素原子であって、それらがそれぞれ結合しているホウ素と共に5−7員環を形成し、その環原子は炭素、窒素または酸素であり;
各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ヘテロシクリル、へテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであるか、または同じ窒素原子に結合している2つのR基がその窒素原子と共に5−7員環単環式複素環系を形成し、そのとき任意のR炭素原子は所望によりJで置換されており;
Jはアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアルキル、ケト、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、アシル、スルホニル、またはスルホンアミドであって、所望により1〜3個のJ1基で置換されており;
はアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ケト、ヒドロキシ、アミノ、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、ホルミル、スルホニル、またはスルホンアミドであり;
Lはアルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、任意の水素が所望によりハロゲンで置換されており、また任意の末端炭素原子に結合している任意の水素またはハロゲン原子が所望によりスルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されており;
は単結合、
【化3】

であり、
はアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されており;
およびRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されており;
Xは、単結合、−C(H)(R)−、−O−、−S−または、−N(R)−であり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されており;
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルカノイル、ヘテロシクラノイル、ヘテロアラルカノイル、−C(O)R14、−SO14またはカルボキサミドであり、所望により1〜3個のJ基で置換されているか;またはR8およびZは、それらが結合している原子と共に、所望により1〜3個のJ基で置換されている窒素含有単環式または二環式環系を形成し;
14は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり;
Yは、単結合、−CH−、−C(O)−、−C(O)C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)(NR)−であり、Rは上記定義のとおりであり;
Zは、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−OR、または−N(R)であり、任意の炭素原子が所望によりJで置換されており、Rは上記定義のとおりであり;
は、単結合または
【化4】

であり;
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されており;
Mは、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルであり、所望により、1〜3個のJ基で置換されており、任意のアルキル炭素原子がヘテロ原子で置換されていてもよく;
Vは、単結合、−CH−、−C(H)(R11)−、−O−、−S−または−N(R11)−であり;
11は、水素またはC1−3アルキルであり;
Kは、単結合、−O−、−S−、−C(O)−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)(NR11)−であり、R11は上記定義のとおりであり;
Tは、−R12、−アルキル−R12、−アラルケニル−R12、−アルキニル−R12、−OR12、−N(R12)、−C(O)R12、−C(=NOアルキル)R12または
【化5】

であり;
12は、水素、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキリデニル、またはヘテロシクロアルキリデニルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されているか、または第1のR12と第2のR12が、それらが結合している窒素と共に、所望により1〜3個の水素J基で置換されている単環式または二環式環系を形成し;
10は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されており;
15は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシアルキル、またはカルボキサミドアルキルであり、所望により1〜3個のJ基で置換されており;そして、
16は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである、
で示される化合物。
【請求項2】

【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRが水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】

【化7】

であり、Rがアルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
がイソプロピルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Lがアルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、任意の水素が所望により、ハロゲンで置換されており、任意の末端炭素原子に結合している任意の水素またはハロゲン原子が所望によりスルフヒドリルまたはヒドロキシで置換されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Lがトリハロメチル、スルフヒドリルであるか、またはトリハロメチル、スルフヒドリルまたはヒドロキシで置換したアルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Xが−O−または−N(H)−であり、
Yが−CH−、−C(O)−または−S(O)−である、
請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Vが−N(H)−であり、Kが−C(O)−または−S(O)−である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】

【化8】

であり、RおよびRが水素であり;

【化9】

であり、Rがイソプロピルであり;
Lがエチルであり;
Xが−O−または−N(H)−であり、
Yが−CH−、−C(O)−または−S(O)−であり、
Vが−N(H)−であり、
Kが−C(O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Mがイソプロピルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Zがアリールまたはヘテロアリールである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Tがアリールまたはヘテロアリールである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
Tがピラジンである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Xが−O−であり、Yが−CH−である、請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
Zがアリールまたはヘテロアリールである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Zがアリールである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Mがイソプロピルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項19】
Tが−R12、−OR12、−N(R12)または
【化10】

である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Mがアルキル、ヘテロアラルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、アラルキル、またはアラルキルであり、アルキル炭素原子の1つがOまたはSで置換されている、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
該ヘテロ原子がSまたはOである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Tがアリールまたはヘテロアリールである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Tがピラジンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
A2が単結合であり;
Lがエチルであり;
Xが−O−であり;
Yが−CH−であり;
Vが−N(H)−であり;そして
Kが−C(O)−または−S(O)−である、
請求項3に記載の化合物。
【請求項25】
Mがイソプロピルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
Zがアリールまたはヘテロアリールである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
Zがフェニルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Tが−R12、−アルキル−R12、−アルケニル−R12、−OR12、−N(R12)、−C(=NOアルキル)R12または
【化11】

である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
が であり
【化12】


【化13】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
Mがイソプロピルであり、Kが−C(O)−である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
Tが−R12、−アルキル−R12、−アルケニル−R12、−OR12、−N(R12)、−C(=NOアルキル)R12または
【化14】

である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Wが
【化15】

である、請求項1−31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
a)HCV NS3プロテアーゼを阻害するのに有効な量の請求項1−32に記載の化合物;および
b)医薬的に適した担体
を含んで成る、医薬的に許容できる組成物。
【請求項34】
該患者に、請求項1−32のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を含んで成る、セリンプロテアーゼ活性を阻害する方法。
【請求項35】
セリンプロテアーゼがHCVNS3プロテアーゼである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
患者/哺乳動物に、請求項1−32のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を含んで成る、患者におけるC型肝炎ウイルス感染を処置または予防する方法。
【請求項37】
該化合物を患者に投与し、かつ医薬的に適した担体と合わせて医薬的に許容できる組成物へと製剤化する、請求項36に記載の方法。

【公開番号】特開2011−93912(P2011−93912A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279518(P2010−279518)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【分割の表示】特願2007−290832(P2007−290832)の分割
【原出願日】平成9年10月17日(1997.10.17)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】