説明

セリンプロテアーゼを阻害するペプチドを用いて眼科障害を治療する組成物及び方法

【課題】滲出性、および/または、炎症性の状態を有する眼科疾患、もしくは、障害を治療するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、眼科障害の発達の速度を少なくとも遅延し、これらの疾患の基になる主要な問題(すなわち、網膜血管透過性、ならびに/または、限局性出血をもたらす血管、および、網膜の微細血管破裂からの流体の滲出)に対処する、眼科障害の治療のための改善された化合物、および、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト又は動物の眼科障害を治療する組成物及び方法に関する。本発明の組成物及び方法は、眼の内部への眼球内及び眼周囲投与に極めて適しており、患者の視力を安定させる、向上させる及び/又は改善するのに有効である、治療効果を眼に提供する。より詳細には、本発明は、滲出性及び/又は炎症性の状態を有する眼科疾患又は障害を治療する組成物及び方法に関する。とりわけ、本発明は、網膜疾患又は障害、より詳細には網膜血管透過性及び/又は完全性の障害に関連する眼科疾患又は障害を治療する組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般用語として眼科疾患又は障害は、(i)例えば、角膜浮腫、前ブドウ膜炎、翼状片、滲出性又は炎症性の要素を有する角膜疾患又は混濁化、結膜炎、アレルギー及びレーザー誘発性滲出のような眼の前部の疾患又は障害、並びに(ii)例えば、滲出性眼疾患、より詳細には、滲出性網膜症、滲出性黄斑変性、黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性又は未熟児網膜症のような眼の後部の疾患又は障害に分けることができる。
【0003】
滲出性又は炎症性の眼の疾患又は障害、より詳細には滲出性網膜症の病因には、血液網膜関門(BRB)の変質及び炎症が関わっている。網膜は、実質的に神経細胞物質からなり、網膜と脈絡膜血管系との間の関門(本明細書ではBRBと呼ぶ)は、血液脳関門と極めて似ている。BRBは、以下のように画定された2つの区画から構成される:脈絡膜の血管の内側を覆う網膜血管内皮細胞からなる内側関門、及び脈絡膜から網膜を離す網膜色素上皮(RPE)細胞からなる外側関門。機能的には、BRBは、神経細胞環境への血管の直接的な接触を防止する追加的な要素として作用するRPE、網膜血管及び関連するグリア細胞層の完全性に依存している。BRBは、網膜の神経細胞の生理学的環境を保全するように機能する。BRBが損なわれると、血漿がBRBを横断して網膜内に漏れ出し、したがって、滲出性網膜症及び視界障害のような病理過程に寄与する。網膜後部領域におけるBRBの破壊に関連する病気には、例えば、近視性網膜症のような浮腫網膜状態、臨床性黄斑浮腫のような黄斑浮腫又は糖尿病のような多様な原因から生じる血管造影嚢胞様黄斑浮腫、滲出性黄斑変性、及び例えば網膜のレーザー治療により生じる黄斑浮腫が含まれる。
【0004】
他の状態が滲出性網膜症をもたらすかそれに関連することができる。例えば、近視性網膜症は、部分的には強膜の過成長に起因する網膜の重篤な形成異常によりもたらされる状態である。この変形は、脈絡膜内の血管系の制限をもたらし、最終的に代償的な血管新生をもたらす。それにもかかわらず、新たに形成された血管は脆く、漏出及び滲出しやすく、滲出性網膜症をもたらすと思われる。
【0005】
同様に、黄斑浮腫(例えば、臨床性黄斑浮腫又は血管造影嚢胞様黄斑浮腫)は、黄斑の膨潤を伴う状態であり、典型的に疾患(例えば、糖尿病)、傷害又は眼の手術のような原因によって生じる。流体が黄斑の層内に集まり、かすみ、ゆがんだ中心視覚を引き起こす。
【0006】
滲出性黄斑変性(「湿性」又は血管新生加齢性黄斑変性(湿性AMD)とも呼ばれる)では、脈絡膜から網膜への血管の異常な過成長が起こり、RBRを損なう。異常血管は、脆く、漏れやすい。
【0007】
糖尿病性網膜症は、糖尿病の重篤な合併症である。初期段階では、毛細血管瘤及び点状出血が観察される。その後、微小血管閉鎖及び網膜浮腫が、血管透過性増強及び血管新生によりもたらされる。最後の段階では、網膜剥離が、硝子体における結合組織の牽引により引き起こされる。更に、虹彩ルベオーシス及び血管新生緑内障が観察され、盲目をもたらす。
【0008】
網膜虚血又は変性は別の網膜症である。これは、傷害、外傷、腫瘍によりもたらされる場合があるか、或いは血管の閉塞のような、又は網膜若しくは視神経の血液、酸素若しくは他の栄養素の利用可能性を低減して、神経細胞死(変性)及び視力喪失をもたらす眼内圧亢進のような多様な傷害に関連する場合がある。そのような傷害には、例えば、糖尿病、アテローム動脈硬化症、静脈性毛細血管不全、閉塞性動脈及び静脈網膜症(例えば、網膜静脈閉塞症)、緑内障及び老人性黄斑変性症が含まれる。
【0009】
そのような疾患の治療は、現在、レーザー治療、薬剤療法又は両方の組み合わせにより、血管の成長を取り除く又は阻害することに集中している。
【0010】
現在、これらの障害のために広く使用されている治療は、光力学療法又はレーザー光凝固術による血管の除去、破壊又は封鎖を対象とするレーザー療法である。例えば、集中レーザー治療は、糖尿病性網膜症で確認されている毛細血管瘤に適用することができる。レーザー療法は、血管新生を阻害し、浮腫の程度を減少すると考えられる。しかし、レーザー療法の合併症は、視力変質の大きな危険性を有する網膜の大きな部分に浮腫及び破壊を更にもたらしうる炎症である。加えて、レーザー治療は、血管が再び成長する場合があり、毛細血管瘤が起こる場合があるので、必ずしも永続的な治癒ではない。更に、異常な血管のレーザー治療は、黄斑の中央領域のような網膜の特定領域に位置する血管に対して実施することができない。
【0011】
コルチコステロイド(例えば、酢酸アネコルタブ、トリアムシノロン...)のような抗血管形成特性又は抗血管新生特性を有する、これらの眼科障害を治療するための薬剤化合物が提案されている。しかし、コルチコステロイドは、それらの使用を制限する重篤な副作用を有し、例えば、眼球内圧の増加(緑内障)及び白内障の形成である。ラニビズマブとも呼ばれるLucentis(商標)又はペガプタニブナトリウムとも呼ばれるMacugen(商標)のような他の生成物は、血管内皮増殖因子(VEGF)に対して向けられている。しかし、現在まで、これらの化合物がどのように成功したかを示すには不十分な証拠しか存在しない。
【0012】
本発明は、前記眼科障害の発達の速度を少なくとも遅延し、これらの疾患の基になる主要な問題(すなわち、網膜血管透過性、並びに/又は限局性出血をもたらす血管及び網膜の微細血管破裂からの流体の滲出)に対処する、眼科障害の治療のための改善された化合物及び方法を提供する。本発明の一つの態様において、眼科障害、より詳細には滲出性及び/又は炎症性眼科障害を治療する化合物及び方法が提供される。本発明のより特定の態様において、眼の後部の疾患及び/又は障害、より詳細には網膜症、とりわけ網膜血管透過性及び/又は安定性の障害に関連する眼科障害を治療する化合物及び方法が提供される。
【0013】
動物において、プロテアーゼ(例えば、カリクレイン、プラスミン、エラスターゼ、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクティベーター、トロンビン、ヒトリポタンパク会合凝固インヒビター又は凝固因子)は、血流に影響を与える広範囲の生物学的経路に関わり、したがって、創傷の治癒、細胞外マトリックス破壊、組織再構築、及び凝血をもたらすカスケード、線維素溶解、並びに補体活性化において必須である。プロテアーゼは、病原体又は外来性作用物質を破壊する炎症性細胞により、並びに正常及び眼精細胞により、これらが周囲を動き回ると放出される。プロテアーゼ活性の過剰産生又は調節の欠如は、病理状態をもたらす有害な結果を有する可能性がある。例えば、カリクレインは、組織と血漿の両方において見出されるセリンプロテアーゼであり、血漿カリクレインは、接触活性化凝固、線維素溶解、低血圧及び炎症に関わることが示されている(非特許文献1を参照すること)。
プロテアーゼの活性は、インヒビターにより調節される。血清中の10%のタンパク質はプロテアーゼインヒビターであることが示されている(非特許文献2)。したがって、プロテアーゼ、より詳細には特定のセリンプロテアーゼのインヒビターが、虚血疾患、出血症例(例えば、線維素溶解又はフィブリノーゲン分解、血栓融解に関連する出血過多、手術後出血及び不適切な雄核発生)のような多様な病理状況のための潜在的な薬剤標的として注目を集めた。例えばそのようなインヒビターの一つである、アプロチニン(ウシ膵臓トリプシンインヒビターとも呼ばれる)は、手術時失血を低減するため及び冠状動脈バイパス移植の際に患者に輸血する必要性のための予防的使用が米国で認可された(概説は、非特許文献3を参照すること)。アプロチニンの有効性は、実は、血漿カリクレイン及びプラスミンを含む多様なセリンプロテアーゼを阻害するその比較的に非特異的な能力に関連している。セリンプロテアーゼのカリクレインは、CASカスケードを開始し、好中球、プラスミン、凝固及び多様なキニンの活性化をもたらす酵素である。これは、接触活性化カスケードの初期のタンパク質分解事象により活性化されるまで、不活性分子として循環する酵素前駆体(プレカリクレイン)として分泌される。
プロテアーゼインヒビターは、ファミリーメンバーにおける及び鎖内ジスルフィド架橋の保存における広範囲に及ぶ配列相同性に基づいた一連のファミリーに分類される(概説は、非特許文献4を参照すること)。クニッツファミリーのセリンプロテアーゼインヒビター(すなわち、クニッツ型セリンプロテアーゼインヒビター)は、アプロチニン(ウシ膵臓トリプシンインヒビター)との相同性により特徴決定される。クニッツ型セリンプロテアーゼインヒビターには、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、カリクレイン、プラスミン、凝固因子XIa及びIXa及びカテプシンGのインヒビターが含まれる。したがって、これらのインヒビターは、凝血、線維素溶解、補体活性化、炎症及び腫瘍発生を含む、多様な生理学的過程を調節する。クニッツ型セリンプロテアーゼインヒビターは、一般に、1つ以上の未変性又は非未変性の阻害ドメイン(「クニッツドメイン」)を含む塩基性で低分子量のタンパク質である。クニッツドメインは、およそ50〜60個の残基の折り畳みドメインであり、中央非平行ベータシート及び短C末端へリックスを形成する(特許文献1を参照すること)。この特徴的なドメインは、3つのジスルフィド結合を形成する6個のシステイン残基を含み、二重ループ構造をもたらす。N末端領域と最初のベータ鎖の間に活性阻害活性ループが存在する。この結合ループは、最後の2本のベータ鎖の間に形成されているヘアピンループにCys残基を介して結合しているジスルフィドである。多様なプロテイナーゼインヒビターから単離されたクニッツドメインは、阻害活性を示す(例えば、非特許文献5;非特許文献6)。結合クニッツドメインも、阻害活性を有する(例えば、特許文献1を参照すること)。1つ以上のクニッツドメインを含むプロテイナーゼインヒビターには、組織因子経路インヒビター(TFPI)、組織因子経路インヒビター2(TFPI−2)、アミロイドβ−タンパク質前駆体(AβPP)、アプロチニン及び胎盤ビクニンが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,087,473号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Bhoola,et al.,1992,Pharmacological Reviews,44,1−80
【非特許文献2】Roberts et al.,1995,Critical Reviews in Eukaryotic Gene Expression,5,385−436
【非特許文献3】Engles,2005,Am J Health Syst Pharm.,62,S9−14
【非特許文献4】Laskowski and Kato,1980,Ann.Rev.Biochem.49,593−626
【非特許文献5】Petersen et al.,1996,Eur.J.Biochem.125,310−316
【非特許文献6】Wagner et al.,1992,Biochem.Biophys.Res.Comm.186,1138−1145
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、例えばカリクレインのようなセリンプロテアーゼのインヒビターを、眼科障害、より詳細には滲出性及び/又は炎症性眼科障害の治療に成功裏に用いることができるという発見に基づいている。一つの特別な実施態様によると、前記インヒビターは、例えばカリクレインのようなセリンプロテアーゼを阻害するペプチドである。同様に、前記インヒビター(例えば、前記ペプチド)を眼の後部の疾患、より詳細には網膜血管透過性及び/又は完全性の障害に関連する疾患(例えば、網膜変性)の治療に成功裏に用いることができることが示されている。より詳細には、本発明は、眼科障害を治療及び/又は予防する方法においてカリクレインインヒビターを使用する方法、並びにそのような使用のための組成物を提供する。本発明は、また、眼、より詳細には眼の後部の滲出性及び/又は炎症性の状態を低減する、阻害する又は予防する方法、並びにそのような使用のための組成物に関する。
本発明は例えば、以下の項目を提供する:
(項目1)
治療の必要な患者において眼科障害の治療のための、セリンプロテアーゼを阻害する少なくとも1つのペプチドを含む組成物。
(項目2)
前記ペプチドがカリクレインインヒビターである、項目1記載の組成物。
(項目3)
前記ペプチドがクニッツドメインポリペプチドである、項目1又は2記載の組成物。
(項目4)
前記ペプチドが、アミノ酸配列:Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Cys Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Xaa40 Xaa41 Xaa42 Xaa43 Xaa44 Xaa45 Xaa46 Xaa47 Xaa48 Xaa49 Xaa50 Cys Xaa52 Xaa53 Xaa54 Cys Xaa56 Xaa57 Xaa58(配列番号1)を含み、ここでXaaが、互いに独立して、任意のアミノ酸である、項目1〜3のいずれか1項記載の組成物。
(項目5)
以下:
Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa56、Xaa57又はXaa58が、互いに独立して、任意のアミノ酸又は不在である;
Xaa10が、Asp及びGluからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa11が、Asp、Gly、Ser、Val、Asn、Ile、Ala及びThrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa13が、Arg、His、Pro、Asn、Ser、Thr、Ala、Gly、Lys及びGlnからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa15が、Arg、Lys、Ala、Ser、Gly、Met、Asn及びGlnからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa16が、Ala、Gly、Ser、Asp及びAsnからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa17が、Ala、Asn、Ser、Ile、Gly、Val、Gln及びThrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa18が、His、Leu、Gln及びAlaからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa19が、Pro、Gln、Leu、Asn及びIleからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa21が、Trp、Phe、Tyr、His及びIleからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa22が、Tyr及びPheからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa23が、Tyr及びPheからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa31が、Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Ala、Val、Leu、Ile及びThrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa32が、Glu、Gln、Asp、Asn、Pro、Thr、Leu、Ser、Ala、Gly及びValからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa34が、Thr、Ile、Ser、Val、Ala、Asn、Gly及びLeuからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa35が、Tyr、Trp及びPheからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa39が、Glu、Gly、Ala、Ser及びAspからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa40が、Gly及びAlaからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa43が、Asn及びGlyからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa45が、Phe及びTyrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa20、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29、Xaa41、Xaa42、Xaa44、Xaa46、Xaa47、Xaa48、Xaa49、Xaa50、Xaa52、Xaa53及びXaa54が、互いに独立して、任意のアミノ酸である
の1つ以上が適用される、項目4記載の組成物。
(項目6)
前記ペプチドが
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号2)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Arg Xaa21 Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号3)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Lys Ala Asn His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号4)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号5)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Gln Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Ala Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号6)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Ser Leu Pro Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号7)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号8)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Gly Ala His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号9)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Arg Cys Lys Gly Ala His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号10)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Gly Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号11)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号12)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号13)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala Gln Pro Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号14)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Ser Cys Arg Ala Ala His Leu Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号15)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Glu
Gly Gly Ser Cys Arg Ala Ala His Gln Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号16)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Arg Gly Ala His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号17)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Arg Gly Ala Leu Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号18)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Ser Gly Asn Cys Arg Gly Asn Leu Pro Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号19)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Ser Gly Arg Cys Arg Gly Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号20)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Gly Gly Arg Cys Arg Ala Ile Gln Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号21)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号22)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号23)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Arg Xaa21 Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号24)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Lys Ala Asn His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号25)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Thr Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号26)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Gln Phe Thr Tyr Gly Gly Cys
Ala Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号27)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Ser Leu
Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号28)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号29)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Gly Ala His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号30)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Arg Cys Lys Gly Ala His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号31)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Gly Gly Arg Cys Arg Gly Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号32)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号33)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号34)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala Gln
Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号35)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Ser Cys Arg Ala Ala His
Leu Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号36)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Glu Gly Gly Ser Cys Arg Ala Ala His
Gln Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号37)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Gly Ala His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号38)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Arg Gly Ala Leu
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号39)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Ser Gly Asn Cys Arg Gly Asn Leu
Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号40)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Ser Gly Arg Cys Arg Gly Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号41)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Gly Gly Arg Cys Arg Ala Ile Gln
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号42)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Arg Cys Arg Gly Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号43)
からなる群より選択される、項目1〜5のいずれか1項記載の組成物。
(項目7)
前記ペプチドが、Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号23)である、項目1〜6のいずれか1項記載の組成物。
(項目8)
前記眼科障害が、滲出性及び/又は炎症性眼科障害である、項目1〜7のいずれか1項記載の組成物。
(項目9)
前記眼科障害が、網膜血管透過性及び/又は完全性の障害に関連する、項目1〜8のいずれか1項記載の組成物。
(項目10)
前記眼科障害が、眼の後部の疾患である、項目1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初の実施態様によると、本発明は、セリンプロテアーゼを阻害する少なくとも1つのペプチドの治療有効量及び眼科的に適合性のある溶媒成分を含む、患者の眼に眼球内配置するのに有用な眼科組成物を提供する。
【0018】
別の実施態様によると、前記眼科組成物は、更に、組成物が眼の中に眼球内配置された後、眼の内部に前記ペプチドを放出するのを遅延するのに有効な量の生体適合性ポリマー成分と、ポリマー成分を可溶性にするのに有効な量の眼科的に適合性のある溶媒成分とを含み、この組成物は、眼の内部へ眼球内配置された後、ポリマー成分のない実質的に同一の組成物の眼球内配置と比べて、眼の中の前記ペプチドの放出を遅延するのに有効な遅延放出組成物を形成することに有効である。
【0019】
別の実施態様によると、本発明は、治療の必要な患者において眼科障害を予防又は治療処置する方法であって、セリンプロテアーゼを阻害する少なくとも1つのペプチドの治療有効量を含む組成物を前記患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0020】
別の実施態様によると、本発明は、眼、より詳細には眼の後部における滲出性及び/又は炎症性の状態を低減、阻害又は予防する方法、並びにそのような使用のための組成物に関し、前記方法は、セリンプロテアーゼを阻害する少なくとも1つのペプチドの治療有効量を含む組成物をその必要性のある患者に投与する工程を含む。
【0021】
別の実施態様によると、本発明は、患者における眼科障害の予防又は治療処置に有用な眼科組成物の調製のための、セリンプロテアーゼを阻害する少なくとも1つのペプチド、より詳細には上記で引用されたものの使用に関する。
【0022】
一つの特定の実施態様によると、上記の全てにおいて前記セリンプロテアーゼはカリクレインである。
【0023】
別の特定の実施態様によると、上記の全てにおいて前記セリンプロテアーゼは血漿カリクレインである。
【0024】
別の特定の実施態様によると、セリンプロテアーゼを阻害する本発明の前記ペプチドは、カリクレインインヒビターであり、より好ましくはクニッツドメインポリペプチドである。
【0025】
一つの特定の実施態様によると、セリンプロテアーゼを阻害する本発明の前記ペプチドは、アミノ酸配列:Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Cys Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Xaa40 Xaa41 Xaa42 Xaa43 Xaa44 Xaa45 Xaa46 Xaa47 Xaa48 Xaa49 Xaa50 Cys Xaa52 Xaa53 Xaa54 Cys Xaa56 Xaa57 Xaa58(配列番号1)又はそのフラグメント若しくは変種、例えばカリクレインに結合し、それを阻害するフラグメントを含む(又はからなる)。例えば、ペプチドは、80、70、65、60、58、55又は52個未満のアミノ酸を有することができる。
【0026】
「Xaa」は、ペプチド配列における位置を意味し、互いに独立して任意のアミノ酸である。
【0027】
特定の実施態様によると、Xaaは、システイン以外の任意のアミノ酸であることができる。
【0028】
他の特定の実施態様によると、以下の1つ以上が適用される:
Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa56、Xaa57又はXaa58は、互いに独立して、任意のアミノ酸又は不在である;
Xaa10は、Asp及びGluからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa11は、Asp、Gly、Ser、Val、Asn、Ile、Ala及びThrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa13は、Arg、His、Pro、Asn、Ser、Thr、Ala、Gly、Lys及びGlnからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa15は、Arg、Lys、Ala、Ser、Gly、Met、Asn及びGlnからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa16は、Ala、Gly、Ser、Asp及びAsnからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa17は、Ala、Asn、Ser、Ile、Gly、Val、Gln及びThrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa18は、His、Leu、Gln及びAlaからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa19は、Pro、Gln、Leu、Asn及びIleからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa21は、Trp、Phe、Tyr、His及びIleからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa22は、Tyr及びPheからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa23は、Tyr及びPheからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa31は、Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Ala、Val、Leu、Ile及びThrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa32は、Glu、Gln、Asp、Asn、Pro、Thr、Leu、Ser、Ala、Gly及びValからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa34は、Thr、Ile、Ser、Val、Ala、Asn、Gly及びLeuからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa35は、Tyr、Trp及びPheからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa39は、Glu、Gly、Ala、Ser及びAspからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa40は、Gly及びAlaからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa43は、Asn及びGlyからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa45は、Phe及びTyrからなる群より選択されるアミノ酸である;
Xaa6、Xaa7、Xaa8、Xaa9、Xaa20、Xaa24、Xaa25、Xaa26、Xaa27、Xaa28、Xaa29、Xaa41、Xaa42、Xaa44、Xaa46、Xaa47、Xaa48、Xaa49、Xaa50、Xaa52、Xaa53及びXaa54は、互いに独立して、任意のアミノ酸である。
【0029】
別の特定の実施態様によると、配列番号1の最初及び/又は最後の4個のアミノ酸は、それぞれ場合により存在するか又は不在であることができ、存在する場合は、任意のアミノ酸、例えば任意の非システインアミノ酸であることができる。
【0030】
別の特定の実施態様によると、配列番号1の最初及び/又は最後の3個のアミノ酸は、それぞれ場合により存在するか又は不在であることができ、存在する場合は、任意のアミノ酸、例えば任意の非システインアミノ酸であることができる。
【0031】
別の特定の実施態様によると、本明細書に記載されているアミノ酸配列のN末端から1、2、3若しくは4個のアミノ酸を除去することが可能である、及び/又は本明細書に記載されているアミノ酸配列のC末端から1、2、3、4若しくは5個のアミノ酸を除去することが可能である
別の特定の実施態様によると、本発明のペプチドは、以下の特性:Xaa11が、Asp、Gly、Ser又はValからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa13が、Pro、Arg、His又はAsnからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa15が、Arg又はLysからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa16が、Ala又はGlyからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa17が、Ala、Asn、Ser又はIleからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa18が、His、Leu又はGlnからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa19が、Pro、Gln又はLeuであることができ;Xaa21が、Trp又はPheからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa31が、Gluであり;Xaa32が、Glu又はGlnからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa34が、Ile、Thr又はSerからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa35が、Tyrであり;そしてXaa39が、Glu、Gly又はAlaからなる群より選択されるアミノ酸である、の1つ以上を持つ配列を有する。
【0032】
別の特定の実施態様によると、本発明のペプチドは、以下の:Xaa10が、Aspであり;Xaa11が、Aspであり;Xaa13が、Pro又はArgからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa15が、Argであり;Xaa16が、Ala又はGlyからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa17が、Alaであり;Xaa18が、Hisであり;Xaa19が、Proであり;Xaa21が、Trpであり;Xaa31が、Gluであり;Xaa32が、Gluであり;Xaa34が、Ile又はSerからなる群より選択されるアミノ酸であり;Xaa35が、Tyrであり;そしてXaa39が、Glyである、アミノ酸を含む。
【0033】
本発明によると、本明細書に記載されているペプチドの全て又は一部を使用することが可能である。例えば、本発明のペプチドは、特定のカリクレインエピトープの結合ドメインを含むことができる。例えば、クニッツドメインの結合ループを環化して、単離に使用することができるか、又は別のドメインに、例えば別のクニッツドメインのフレームワークにグラフトすることができる。
【0034】
本発明のペプチドの例を以下に記載する(示していない場合は、「Xaa」は、任意のアミノ酸、任意の非システインアミノ酸又は配列番号1に許容されるアミノ酸と同じセットからの任意のアミノ酸を意味する):
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号2)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Arg Xaa21 Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号3)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Lys Ala Asn His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号4)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号5)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Gln Phe Thr Tyr Gly Gly Cys Ala Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号6)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Ser Leu Pro Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号7)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号8)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Lys Gly Ala His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号9)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Arg Cys Lys Gly Ala His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号10)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Gly Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号11)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号12)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号13)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala Gln Pro Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号14)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Ser Cys Arg Ala Ala His Leu Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号15)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Glu
Gly Gly Ser Cys Arg Ala Ala His Gln Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号16)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Pro Cys Arg Gly Ala His Leu Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号17)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly His Cys Arg Gly Ala Leu Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号18)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Ser Gly Asn Cys Arg Gly Asn Leu Pro Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号19)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Ser Gly Arg Cys Arg Gly Asn His Gln Arg
Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号20)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Gly Gly Arg Cys Arg Ala Ile Gln Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号21)、
Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp
Asp Gly Arg Cys Arg Gly Ala His Pro Arg
Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys
Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys Gly Gly
Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu
Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号22)。
【0035】
本発明のペプチドの追加的な例は、本明細書に記載されているアミノ酸配列、例えば上記で提供されたアミノ酸配列と比べて、少なくとも1個のアミノ酸により異なっているが、7、6、5、4、3又は2個未満のアミノ酸の差により異なっている(例えば、置換、挿入又は欠失)ものである。一つの実施態様において、3、2又は1個より少ない差が、結合ループのうちの1つに存在する。例えば、最初の結合ループは、本明細書に記載されているアミノ酸配列、例えば上記で提供されたアミノ酸配列と比べて差を有さなくてもよい。別の例において、最初又は二番目の結合ループのいずれも本明細書に記載されているアミノ酸配列、例えば上記で提供されたアミノ酸配列と比べて差がない。
【0036】
本発明のペプチドは、US5,786,328、US6,333,402又はUS6,010,880(この内容は参照として本明細書に組み込まれる)に記載されたポリペプチドを含む(又はからなる)ことができる。
【0037】
本発明のペプチドの例を以下に記載する(示していない場合は、「Xaa」は、任意のアミノ酸、任意の非システインアミノ酸又は配列番号1に許容されるアミノ酸と同じセットからの任意のアミノ酸を意味する):
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号23)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Arg Xaa21 Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号24)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Lys Ala Asn His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号25)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Thr Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号26)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Gln Phe Thr Tyr Gly Gly Cys
Ala Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号27)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Ser Leu
Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号28)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Ala Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号29)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Lys Gly Ala His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号30)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Arg Cys Lys Gly Ala His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys
Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号31)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Gly Gly Arg Cys Arg Gly Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号32)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号33)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号34)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Val Gly Arg Cys Arg Gly Ala Gln
Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号35)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Ser Cys Arg Ala Ala His
Leu Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号36)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Glu Gly Gly Ser Cys Arg Ala Ala His
Gln Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号37)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Gly Ala His
Leu Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号38)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly His Cys Arg Gly Ala Leu
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号39)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Ser Gly Asn Cys Arg Gly Asn Leu
Pro Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号40)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Ser Gly Arg Cys Arg Gly Asn His
Gln Arg Phe Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号41)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Gly Gly Arg Cys Arg Ala Ile Gln
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号42)、
Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys
Ala Asp Asp Gly Arg Cys Arg Gly Ala His
Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg
Gln Cys Glu Glu Phe Ser Tyr Gly Gly Cys
Gly Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu
Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Asp(配列番号43)。
【0038】
別の実施態様によると、セリンプロテアーゼを阻害する本発明の前記ペプチドは、アミノ酸配列:Xaa−1 Xaa0 Xaa1 Xaa2 Xaa3 Xaa4 Cys Xaa6 Xaa7 Xaa8 Xaa9 Xaa10 Xaa11 Gly Xaa13 Cys Xaa15 Xaa16 Xaa17 Xaa18 Xaa19 Xaa20 Xaa21 Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Xaa28 Xaa29 Cys Xaa31 Xaa32 Phe Xaa34 Xaa35 Gly Gly Cys Xaa39 Xaa40 Xaa41 Xaa42 Xaa43 Xaa44 Xaa45 Xaa46 Xaa47 Xaa48 Xaa49 Xaa50 Cys Xaa52 Xaa53 Xaa54 Cys Xaa56 Xaa57 Xaa58(配列番号44)又はそのフラグメント若しくは変種、例えばカリクレインに結合し、それを阻害するフラグメントを含み(又はからなり)、ここでXaa1〜Xaa58は、上記で定義されたとおりであり、Xaa−1はGluであり、そしてXaa0はAlaである。
【0039】
好ましい実施態様によると、本発明のペプチドは、配列番号23である(Markland et al.,1996,Biochemistry,35,8058−8067;Ley et al.,1996,Mol Divers,2,119−124;US 6,333,402)。
【0040】
本発明は、上記に開示されたペプチドの変種の使用にも拡大され、前記変種は、より詳細には、上記に開示されたペプチドに対して実質的に相同性があると定義される。アミノ酸配列と関連して使用されるとき、用語「実質的に相同性」は、配列が実質的に同一又は同様である配列を意味し、立体配座の相同性が生じ、したがって同様の生物学的活性が生じる。この用語は、配列の共通の進展を意味することを意図しない。典型的には、「実質的に相同性」の配列は、少なくとも所望の活性に関わることが知られている任意の領域にわたって、配列において少なくとも50%超、より好ましくは少なくとも80%の同一性がある。最も好ましくは、末端以外で5個以下の残基が異なっている。好ましくは、少なくとも上記の領域における配列の相違は、「保存的修飾」の形態である。「保存的修飾」は、(i)本明細書以降で定義されるアミノ酸の保存的置換として、及び(ii)末端、ドメイン間境界、ループ又は相対的に高い移動度の他のセグメントにおけるアミノ酸の単一又は複数の挿入又は欠失として定義される(例えば、X線回析解析又はNMRによる構造の明確な分解の失敗により示される)。好ましくは、末端を除いて、約5個以下のアミノ酸が特定の位置で挿入又は欠失しており、修飾は、活性に重要な結合部位を含むことが知られている外側領域である。保存的修飾は、本明細書において、以下の5つの群のうちの1つ範囲内の変換として定義される:
I.小型の脂肪族、非極性又は僅かに極性の残基:Ala、Ser、Thr(Pro、Gly)
II.極性の負荷電残基:及びそれらのアミドAsp、Asn、Glu、Gln
III.極性の正荷電残基:His、Arg、Lys
IV.大型の脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val(Cys)
V.大型の芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
【0041】
残基Pro、Gly及びCysは、これらには特別な立体配座の役割があるので括弧の中に入れた。Cysは、ジスルフィド結合の形成に参加する。Glyは、鎖に柔軟性を付与する。Proは、鎖に剛性を付与し、アルファらせんを分断する。これらの残基は、ポリペプチドの特定の領域において必須でありうるが、その他では置換されうる。
【0042】
半保存的置換は、上記の群(I)〜(V)のうちの2つの間での交換として定義され、上記の(I)、(II)及び(III)を含む上位群(a)又は上記の(IV)及び(V)を含む上位群(B)に限定されている。
【0043】
化合物は、遺伝子的にコードされているアミン酸に見出される側基に限定されることはなく、むしろ保存的置換が許容される。Lysを、Arg、オルニチン、グアニドリシン及び正電荷を担持する他の側基に代えることができる。Asnを、Ser、O−メチルセリン、Gln、アルファ−アミドグリシン、Ala、アルファ−アミノ酪酸及びアルファ−アミノ−ガンマ−ヒドロキシ酪酸(ホモセリン)のような(しかし限定されない)、他の小型で中性の親水性基に代えることができる。Hisを、両性、芳香族、疎水性及び環状の特性のうちの1つ以上を有する他のアミノ酸に代えることができる。例えば、(限定されないが)Hisを、メチルヒスチジン、L−p−アミノフェニルアラニン、L−m−(N,N,ジメチルアミノ)フェニルアラニン、カナバニン及びN−メチルアスパラギンに代えることができる。
【0044】
クニッツドメインは、極めて小型であり、このことが循環から過度に迅速な排除のような薬理学的な問題を引き起こす場合は、2つ以上のそのようなドメインをリンカーにより結合することができる。このリンカーは、好ましくは、1個以上のアミノ酸の配列である。ペプチドリンカーは、全てのタンパク質を組み換えDNA技術により発現することができるので有利である。免疫原性複合体の形成に慣用的に使用されるもののような、非ペプチジルリンカーの使用も可能である。
【0045】
化学ペプチド合成は、当該技術において十分に記載され、実施されている。一般に、当該技術において知られているように、そのような方法は、遊離アミノ、カルボキシル及びチオ基のような反応性官能基をブロック又は保護することを伴う。ポリペプチド結合を形成した後、保護基を除去する(又は脱保護する)。したがって、それぞれのアミノ酸残基の付加は、保護及び脱保護のために幾つかの工程を必要とする。現行の方法は固相合成を利用し、C末端アミノ酸を、濾過により流体相から分離するのに十分なほど大型の不溶性樹脂粒子に共有結合させる。したがって、反応体は、樹脂粒子を、自動プログラム式機械を使用して適切な溶媒により洗浄することによって除去される。完成したポリペプチド鎖を、ポリペプチド結合に影響を与えない反応により樹脂から切断する。
【0046】
用語「及び/又は」には、本明細書で使用される場合、「及び」、「又は」、並びに「前記用語に関連する要素の全て又は他の任意の組み合わせ」の意味が含まれる。
【0047】
用語「アミノ酸」及び「残基」は、同義語であり、天然のアミノ酸、並びにアミノ酸類似体(例えば、D又はL光学異性体を含む非天然、合成、及び修飾アミノ酸)を包含する。
【0048】
本明細書で交換可能に使用される用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合を介して結合している10個以上のアミノ酸を含むアミノ酸残基のポリマーを意味する。ポリマーは、直鎖、分岐鎖又は環状であることができ、天然に生じる及び/又はアミノ酸類似体を含んでもよく、非アミノ酸で中断されていてもよい。一般的な指標として、アミン酸ポリマーが長い(アミノ酸残基が50個を超える)場合、好ましくは、ポリペプチド又はタンパク質と呼ばれる。
【0049】
本明細書で使用されるとき、用語「治療」又は「治療する」は、予防及び/又は治療を包含する。したがって、本発明の組成物及び方法は、治療用途に限定されず、予防用途においても使用することができる。したがって、状況、障害又は状態を「治療する」又はそれらの「治療」には、(i)状況、障害又は状態に罹患しているか又は罹患しやすくなっている可能性があるが、状況、障害又は状態の臨床又は準臨床症状をまだ体感していない又は表していない被験者において、状況、障害又は状態の進展の臨床症状の出現を予防又は遅延すること、(ii)状況、障害又は状態を抑制すること、すなわち、疾患又はその少なくとも1つの臨床若しくは準臨床症状の発現を阻止するか又は低減すること、或いは(iii)疾患を緩和すること、すなわち状況、障害若しくは状態、又はその少なくとも1つの臨床若しくは準臨床症状を退行させることが含まれる。
【0050】
特定の実施態様において、本発明のペプチドは、ペグ化されており、すなわち、複数のポリエチレングリコール部分が、mPEGの修飾のために、前記ペプチド、特に利用可能なリシンを提示するもの、及びN末端に結合している(US20050089515を参照すること)。
【0051】
特定の実施態様によると、本発明の眼科障害は、滲出性及び/又は炎症性眼科障害である。
【0052】
特定の実施態様によると、本発明の眼科障害は、網膜血管透過性及び/又は完全性の障害に関連する障害である。
【0053】
別の実施態様によると、本発明の眼科障害は、限局性出血をもたらす網膜の微細血管破裂に関連する障害である。
【0054】
別の実施態様によると、本発明の眼科障害は、眼の後部の疾患、より詳細には網膜疾患である。
【0055】
別の実施態様によると、本発明の眼科障害は眼の前部の疾患である。
【0056】
本発明によると、用語「疾患」又は「障害」は、同じ意味を有する。
【0057】
本発明が処理又は対処できる眼科障害(滲出性及び/又は炎症性眼科障害、網膜血管透過性及び/又は完全性の障害に関連する障害、限局性出血をもたらす網膜の微細血管破裂に関連する障害、眼の後部の疾患、網膜疾患、並びに眼の前部の疾患を含む)のうち、以下のものが限定されずに含まれる:加齢性黄斑変性(ARMD)、滲出性黄斑変性(「湿性」又は血管新生加齢性黄斑変性(湿性AMD)とも呼ばれる)、黄斑浮腫、加齢円板状黄斑変性、嚢胞様黄斑浮腫、眼瞼浮腫、網膜浮腫、糖尿病性網膜症、急性黄斑視神経網膜症、中心性漿液性網脈絡膜症、網脈絡膜症、脈絡膜血管新生、血管新生黄斑症、血管新生緑内障、閉塞性動脈及び静脈網膜症(例えば、網膜静脈閉塞症又は網膜動脈閉塞症)、網膜中心静脈閉塞症、播種性血管内凝固異常症、網膜静脈分枝閉塞症、高血圧性眼底変化、眼虚血性症候群、網膜動脈毛細血管瘤、コーツ病、傍中心窩毛細血管拡張症、半側網膜静脈閉塞症、乳頭静脈炎、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈疾患(CAD)、凍結分岐脈管炎(Frosted Branch Angitis)、鎌状赤血球網膜症及び他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、疾患のような原因によって生じる黄斑浮腫(例えば、糖尿病性黄斑浮腫)、眼の傷害又は眼の手術;例えば傷害、外傷又は腫瘍により生じる網膜虚血又は変性、ブドウ膜炎、虹彩炎、網膜血管炎、眼内炎、全眼球炎、転移性眼炎、脈絡膜炎、網膜色素上皮炎、結膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎、滲出性網膜剥離、角膜潰瘍、結膜潰瘍、慢性コイン状角膜炎、タイゲソン角膜炎、進行性モーレン潰瘍、細菌又はウイルス感染により及び眼の手術により引き起こされる眼の炎症性疾患、眼の物理的な傷害により引き起こされる眼球の炎症性疾患、かゆみ、発赤、浮腫及び潰瘍を含む眼球の炎症性疾患により引き起こされる症状、紅斑、多形滲出性紅斑、結節性紅斑、環状紅斑、浮腫性強皮症、皮膚炎、血管神経症性浮腫、咽頭浮腫、声門浮腫、声門下喉頭炎、気管支炎、鼻炎、咽頭炎、静脈洞炎、喉頭炎、又は中耳炎。
【0058】
本発明によると、用語「眼の後部の疾患」は、とりわけ、眼の後側領域の網膜、黄斑、中心窩に影響を与える疾患を意味する。眼の後部の疾患の例には、臨床性黄斑浮腫のような黄斑浮腫又は糖尿病のような多様な原因から生じる名刺血管造影嚢胞様黄斑浮腫、滲出性黄斑変性、及び網膜のレーザー治療により生じる黄斑浮腫、新生加齢性黄斑変性、未熟児網膜症(水晶体後線維増殖症としても知られている)、網膜虚血及び脈絡膜血管新生、網膜疾患(糖尿病性網膜症、糖尿病性網膜浮腫、網膜剥離、網膜下血管新生に起因する老人性黄斑変性症、近視性網膜症);炎症性疾患;網膜芽細胞腫又は偽性グリオーマのような新生物に関連するブドウ膜炎;硝子体切除後の血管新生;血管疾患(網膜虚血、脈絡膜血管不全、脈絡膜血栓症、頸動脈虚血によりもたらされる網膜症);視神経の血管新生が挙げられる。
【0059】
本発明によると、用語「眼の前部」の疾患は、主に、角膜、虹彩、毛様体、結膜などのような眼の前部の組織に影響を与える疾患を意味する。眼の前部の疾患の例には、角膜血管新生(炎症、移植、虹彩の発達不全、滲出性又は炎症性の要素を有する角膜疾患又は混濁化、眼の穿通又は眼球の挫傷性傷害に起因する血管新生に起因する);慢性ブドウ膜炎;前ブドウ膜炎;LASIK、LASEK、屈折矯正手術、IOL移植のような手術によってもたらされる炎症性状態;白内障手術の合併症としての回復不能角膜浮腫;傷害又は外傷の結果としての浮腫(物理的、化学的、薬理学的など);炎症;結膜炎(例えば、持続的アレルギー性、巨大乳頭性、季節周期的アレルギー性、通年性アレルギー性、毒性、細菌、ウイルス又はクラミジアの感染により引き起こされる結膜炎);角結膜炎(春季、アトピー性、乾燥);虹彩毛様体炎;虹彩炎;強膜炎;上強膜炎;感染性角膜炎;点状表層角膜炎;円錐角膜;後部多形性角膜ジストロフィー;フックスジストロフィー(角膜及び内皮);無水晶体及び偽水晶体水疱性角膜症;角膜浮腫;強膜疾患;眼部瘢痕性類天疱瘡;毛様体扁平部炎;ポスナーシュロスマン症候群;ベーチェット病;フォークト・小柳・原田症候群;過敏反応;眼球表面障害;結膜浮腫;トキソプラズマ網脈絡膜炎;眼窩の炎症性偽腫瘍;結膜浮腫;結膜静脈鬱血;眼窩周囲蜂巣炎;急性涙嚢炎;非特異的血管炎;サルコイドーシス;サイトメガロウイルス感染が挙げられる。
【0060】
好ましい実施態様において、本発明は眼の後部の疾患に関する。
【0061】
本発明によると、本明細書で使用するとき、用語「治療有効量」は、化合物が適用される病気に対して治療効果を誘発するのに十分である、個別の化合物としての又は他の化合物との組み合わせた治療剤の量を意味する。この語句は、用量が病気を完全に消滅させなければならないことを意味すると理解するべきではない。何が治療有効量を構成するかは、とりわけ、方法論で使用される化合物の生薬理学的特性、治療される状態、投与の頻度、送達様式、治療される個人の性格、疾患の重篤度及び患者の反応に応じて変わる。熟練した製薬化学者が認識する要因の種類が存在し、本明細書に記載される治療のためにいつ組成物を配合するかを説明することができる。
【0062】
好ましくは目的のペプチドの有効容量が本発明の方法において用いられる。眼球及び眼球外用の製剤では、ペプチドの濃度は、約0.01%w/w〜約10%w/wの範囲であることができる。典型的には、この送達様式での濃度は、約0.025%w/w〜約2.5%w/wの範囲である。
【0063】
本発明の方法で使用される正確な医薬製剤(すなわち、眼科組成物)は、広範囲の商業的及び科学的基準によって変わる。すなわち、上記に記載された本発明の上記の製剤が他の作用物質を含有できることを、熟練した読者は理解する。
【0064】
例えば、本発明の方法で使用される眼科組成物は、好ましくは、生理食塩水をビヒクルとして使用して調製される。眼科組成物のpHは、当業者に既知の適切な緩衝系(例えば、酢酸緩衝剤、クエン酸緩剤液、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤)により、実質的に中性のpH(例えば、約7.4、約6.5〜約7.4の範囲など)に維持することができる。
【0065】
組成物の生物学的活性に過剰な影響を与えない限り、眼科組成物の調製において使用される任意の希釈剤を選択することができる。特に注射用眼科組成物に有用なそのような希釈剤の例は、水、多様な食塩水、有機又は無機塩溶液、リンゲル液、デキストロース又はハンクス溶液である。
【0066】
加えて、本発明の方法で使用される眼科組成物は、他の緩衝剤、希釈剤、担体、佐剤又は賦形剤のような添加剤を含むことができる。眼に適用するのに適した任意の薬理学的に許容される緩衝剤、例えばトリス又はリン酸緩衝剤を使用することができる。他の作用物質を多様な目的の製剤に用いることができる。例えば、緩衝剤、防腐剤、共溶媒、界面活性剤、油、保湿剤、皮膚軟化剤、キレート剤、安定剤又は酸化防止剤を用いることができる。用いることができる水溶性防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、重硫酸ナトリウム、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、エチルアルコール、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。界面活性剤はツイーン80であることができる。
【0067】
使用することができる他のビヒクルには、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、精製水などが含まれるが、これらに限定されない。等張化剤、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、グリセリンなどを含めることができる。酸化防止剤には、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエンなどが含まれるが、これらに限定されない。眼科組成物中の化合物についての適応症、有効用量、製剤、禁忌、供給者は、利用可能であるか又は当業者に既知である。
【0068】
これらの作用物質は、約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約2重量%の個別の量で存在することができる。用いることができる適切な水溶性緩衝剤は、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどであり、所望の投与経路については米国FDAにより認可されている、これらの作用物質は、系のpHを約2〜約9、好ましくは約4〜約8に維持するのに十分な量で存在することができる。したがって、緩衝剤は、眼科組成物全体の約5%(w/w)まで存在することができる。塩化ナトリウム及び塩化カリウムなどであるがこれらの限定されない電解液も製剤に含めることができる。
【0069】
眼科障害の治療又は予防のための本発明の眼科組成物は、投与の準備が整っている前調製済シリンジによる単一単位用量の形態で提供することができる。
【0070】
本発明の方法を実施するには、眼科状態の部位(例えば、滲出性網膜症、炎症又は黄斑浮腫の場所)への治療剤(すなわち、本発明のペプチド)の送達をもたらす任意の方法により、眼科組成物を患者に投与することができる。任意の眼科組成物を、局所、結膜下、テノン下、眼球内、眼球移植片などのような眼球経路により投与することができる。
【0071】
本発明の方法を実施する眼科組成物の投与は、好ましくは眼球内注射であるが、他の投与様式も効果的でありうる。典型的には、眼科組成物は、個人に(化学送達系又は侵襲性装置により)眼球内投与される。しかし、本発明は、眼又は眼に隣接して位置する細胞又は組織内の十分な量のペプチドが眼科状態の部位との接触を達成する限り、局所的(眼球外適用)又は全身的(例えば、経口若しくは例えば皮下投与のような他の非経口経路)も含む点において、眼球内送達に限定されてはいない。非経口投与は、開業医にとって明白である適切な状況で使用される。好ましくは、眼科組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位投与形態で投与される。
【0072】
上記に記述されたように、眼の中の領域へのその場での送達は、注射、カニューレ又は正確に計量された量の所望の眼科組成物を眼の中の特定の区画又は組織(例えば、後眼房又は網膜)に導入するように設計された他の侵襲性装置により達成することができる。眼球内注射は、硝子体の中(硝子体内)、又は結膜の下(結膜下)、又は眼の後ろ(眼球後部)、又は強膜の中、又はテノン嚢の下(テノン下)であることができ、デポー剤形であることができる。投与の他の眼球内経路、並びに注射部位及び形態も考慮され、本発明の範囲内である。
【0073】
好ましくは、眼球内注射は、好ましくは自己密封式基準規格針(gauge needle)又は他の任意の適切な目盛付送達装置を介する硝子体内注射である。眼の中への注射は、自己密封式針により毛様体扁平部を介することができる。
【0074】
一つの実施態様において、眼科組成物は、眼科状態を治療又は予防するために眼球内(例えば、硝子体の中)に注射される。硝子体内注射により眼科組成物を投与する場合、活性作用物質は、注射の容量を最小限にするために濃縮されるべきである。好ましくは、注射の容量は、約5ml未満である。このような容量は、眼球内圧の増加及び送達針により形成された開口部からの注射流体の漏出を防止するために、硝子体流体の代償的な排液が必要になる場合がある。より詳細には、注射される容量は、約1.0ml〜0.05mlである。より詳細には、注射される容量は、およそ0.1mlである。
【0075】
注射では、約20mg/ml未満の濃度を注射することができ、前に記載した要因に応じて任意の量が有効でありうる。好ましくは、7mg/ml未満の用量が投与され、6mg/ml、5mg/ml、4mg/ml、3mg/ml、2mg/ml及び1mg/ml未満の用量がより好ましい。濃度の実例には、約5μg/ml〜約50μg/ml;約25μg/ml〜約100μg/ml;約100μg/ml〜約200μg/ml;約200μg/ml〜約500μg/ml;約500μg/ml〜約750μg/ml;約500μg/mlから1mg/mlまでなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
硝子体内注射は、当該技術で周知の多様な方法により達成することができる。例えば、眼をBetadine(登録商標)のような滅菌剤で洗浄することができ、本発明の化合物を、適切な担体により、標準規格細針(例えば、27ゲージ)を用いて、化合物が腹側表面に対して後極に沈降するような眼の中の位置に注射する。注射の前に正圧を適用することにより、眼を注射のために調製する必要がありうる。幾つかの場合において、穿開術が必要なことがある。局所麻酔又は全身麻酔が必要なことがある。
【0077】
本発明の方法を実施するのに使用されるシリンジは、適切には、21〜30ゲージ針(例えば、23、24、25、26又は27ゲージ針)を収容することができ、好ましくは小さい容量、例えば1.5ml、より好ましくは0.5mlのものである。針及びシリンジは、針がシリンジから脱着可能な種類であることができるが、配置は、シリンジ/針一体構造のものであることが好ましい。これは、シリンジからの針の離脱の可能性を明らかに制限する。配置が不正開封を防ぐものであることも好ましい。したがって、本発明の製剤は、投与の準備が整っている前調製済シリンジによる単一単位用量の形態で提供することができる。
【0078】
適切なシリンジの種類は、例えば、Becton Dickinson and Companyにより製造されたUniject(登録商標)の名称で販売されている。この種類のシリンジにおいて、物質は、プランジャーによるのではなく、針を供給している柔軟なレザバーの側面に圧力を適用することにより、針から眼に放出される。名称が意味するように、レザバーと針の構造が単一単位を形成する。
【0079】
眼科障害の治療又は予防のための本発明の眼科組成物の局所適用は、軟膏剤、ゲル剤又は点眼剤であることができる。好ましくは、ペプチドを含む浸透性組成物が使用される。局所眼科組成物は、更にその場でゲル化しうる水性製剤であることができる。そのような製剤は、眼と接触するか又は眼の外側の涙液と接触するとゲル化を促進するのに有効な濃度でゲル化剤を含む。適切なゲル化剤には、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの三置換エチレンジアミンブロックコポリマーのような熱硬化性ポリマー(例えば、ポロキサミン);ポリカルボフィル;並びにゲラン、カラギーナン(例えば、カッパ−カラギーナン及びイオタ−カラギーナン)、キトサン及びアルギン酸ガムのような多糖類が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書で使用されるとき、語句「その場でゲル化しうる」は、眼と接触するか又は眼の外側の涙液と接触するとゲルを形成する低粘度の液体ばかりでなく、眼に投与されたときに粘度又はゲル剛度の実質的な増加を示す半流動体及びチキソトロープゲルのようなより粘性の液体も包含する。
【0081】
眼科障害の治療のための局所眼科組成物を調製するために、本発明の眼科組成物の治療有効量を、当該技術で既知の眼科学用ビヒクルの中に入れる。例えば、ステロイドを含有する局所眼科製剤が、US5,041,434に開示されており、一方、眼科薬及び高粘性ゲルを形成する高分子量ポリマーの持続放出性眼科製剤が、US4,271,143及びUS4,407,792に記載されている。更に、GB2007091は、カルボキシビニルポリマー、水溶性塩基性物質及び眼科薬の水溶液を含むゲルの形態の眼科組成物を記載する。あるいは、US4,615,697は、制御放出組成物、並びに生体付着剤及び抗炎症剤のような治療剤に基づいた使用方法を開示する。
【0082】
投与されるペプチドの量及び方法において使用される局所眼科組成物における化合物の濃度は、希釈剤、送達系又は選択された装置、患者の臨床状態、副作用、及び製剤における化合物の安定性によって決まる。したがって、医者は、該当の患者又は同様の患者における臨床経験によって、適切な濃度のペプチドを含有する適切な調合剤を用い、投与される製剤の量を選択する。
【0083】
製剤が2つ以上の活性作用物質(例えば、2つ以上のペプチド又はペプチドとテトラサイクリン誘導体のような別の作用物質など)を含有する場合、活性作用物質を、混合物として、混合剤として、同じ眼科組成物で、別個の製剤で、延長放出性製剤で、リポソームで、マイクロカプセルで又は以前に記載された実施態様のいずれかで投与することができる。眼科組成物を、局所投与することができるか、又は眼に注射することができるか、又は1つの活性作用物質を局所投与し、別の作用物質を注射することができる。
【0084】
眼科組成物を、眼科障害を治療又は予防するために、当業者に既知の、微小球、マイクロカプセル、リポソームなどのような担体製剤を用いる徐放性製剤として、局所軟膏剤若しくは液剤として、静脈用液剤若しく懸濁剤として、又は眼球内注射として投与することもできる。
【0085】
時効性薬剤送達系を眼球内投与して、長時間にわたって作用物質の持続的放出をもたらすことができる。眼科組成物は、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ無水物、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリアミノ酸、ポリエチレンオキシド、アクリル末端ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼン、ポリ(オルトエステル)、酢酸スクロースイソブチレート(SAIB)のような生体適合性ポリマー、及び米国特許第6,667,371号;同第6,613,355号;同第6,596,296号;同第6,413,536号;同第5,968,543号;同第4,079,038号;同第4,093,709号;同第4,131,648号;同第4,138,344号;同第4,180,646号;同第4,304,767号;同第4,946,931号(それぞれその全体が参照として本明細書に明確に組み込まれる)に開示されているもののような他のポリマー、又は微小球若しくはリポソームとして配合される脂質のマイクロ若しくはマクロカプセル又はマトリックスのようなビヒクルの形態であることができる。微視的又は巨視的眼科組成物を、針を介して投与することができるか、又は眼の中、例えば水晶体包の中に縫合することより移植できる。遅延又は延長放出特性は、多様なビヒクルの製剤(被覆又は非被覆微小球、被覆又は非被覆カプセル、脂質又はポリマー成分、単層又は多層構造、及び上記の組み合わせなど)により提供することができる。微小球、マイクロカプセル、リポソームなどの配合及び装填、並びにそれらの眼球内移植は、当業者に既知の標準的な技術であり、例えば、サイトメガロウイルス網膜炎を治療するガンシクロビル持続性放出移植片の使用は、Vitreoretinal Surgical Techniques,Peyman et al.,Eds.(Martin Dunitz,London 2001,chapter 45);Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology,Wise,Ed.(Marcel Dekker,New York 2000)に開示されており、その関連する部分は、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。例えば、持続性放出眼球内移植片を、硝子体腔内に移植するために毛様体扁平部を介して挿入することができる。
【0086】
本発明は、また、滲出性/炎症性の状態を有する眼科障害(例えば、滲出性網膜症)、並びに/又は網膜血管透過性及び/若しくは完全性の障害に関連する眼科障害の治療又は予防の方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つの本発明のペプチドの治療有効量を、好ましくは移植片として網膜の中又は眼の前側若しくは後側の腔の中に挿入することに適している、例えばゲル又はポリマーの形態の生体適合性のある生分解性マトリックスに含む眼科組成物を投与する工程を含む。組成物が移植片として送達される場合、あらゆる既知の、液体又は例えばミセル形態の生体適合性のある生分解性マトリックスに既知の化学を使用して、又は微粒子として組み込むことができる。
【0087】
徐放性又は延長放出性送達系は、多数のバイオポリマー(生物学に基づいた系)、リポソーム、コロイド、樹脂を用いる系及び他のポリマー送達系又は区画化レザバーのうちのいずれかを含み、本明細書に記載されている組成物が、治療化合物の連続的又は長期供給源を提供するために利用することができる。
【0088】
調製される任意の徐放性装置において、前記ペプチドは、好ましくは移植片の約10重量%〜90重量%の量で存在する。より好ましくは、ペプチドは、移植片の約50重量%〜80重量%である。好ましい実施態様において、ペプチドは、移植片の約50重量%で含まれる。特に好ましい実施態様において、ペプチドは、移植片の約70重量%で含まれる。
【0089】
一つの形態において、本発明の方法に使用される移植片は、生侵食性ポリマーマトリックス内に閉じ込められたペプチドにより配合される。作用物質の放出は、ポリマーの侵食、続く予め閉じ込められている作用物質の粒子の、硝子体への露出、その後の作用物質の溶解及び放出によって達成される。この形態の薬剤放出により達成される放出動力学は、メチルセルロースのようなヒドロゲルによるような、ポリマー膨張を介して薬剤を放出する製剤により達成されるものと異なる。この場合、薬剤は、ポリマー侵食ではなくポリマー膨張により放出され、これは、薬剤を、露出した経路を介して液体として拡散する。放出動力学を決定するパラメーターには、薬剤粒子の大きさ、薬剤の水溶性、薬剤とポリマーの比率、製造方法、露出した表面積、及びポリマー侵食速度が含まれる。
【0090】
例示的な特に興味深い生体適合性のある非生分解性ポリマーには、ポリカルバメート又はポリ尿素、特にポリウレタン、架橋ポリ(ビニルアセテート)のような架橋して非生分解性ポリマーを生成しうるポリマーなどが挙げられる。また、特に興味深いものは、エチレン−ビニルアセテート(EVA)コポリマー、エチレン−ビニルヘキサノエートコポリマー、エチレン−ビニルプロピオネートコポリマー、エチレン−ビニルブチレートコポリマー、エチレン−ビニルペンタノエートコポリマー、エチレン−ビニルトリメチルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルジエチルアセテートコポリマー、エチレン−ビニル3−メチルブタノエートコポリマー、エチレン−ビニル3−3−ジメチルブタノエートコポリマー及びエチレン−ビニルベンゾエートコポリマーのような、4%〜80%のエステル含有量を有するエチレン−ビニルエステルコポリマーである。
【0091】
追加的な例示的な天然に生じる又は合成の非生分解性ポリマー物質には、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、可塑化ポリ(ビニルクロリド)、可塑化ポリ(アミド)、可塑化ナイロン、可塑化軟質ナイロン、可塑化ポリ(エチレンテレフタレート)、天然ゴム、シリコーン、ポリ(イソプレン)、ポリ(イソブチレン)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(アクリロニトリル)、架橋ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)、塩素化ポリ(エチレン)、ポリ(4,4′−イソプロピリデンジフェニレンカーボネート)、ビニリデンクロリド−アクリロニトリルコポリマー、ビニルクロリドジエチルフマレートコポリマー、シリコーン、シリコーンゴム(特に、医療等級)、ポリ(ジメチルシロキサン)、エチレン−プロピレンゴム、シリコーン−カーボネートコポリマー、ビニリデンクロリド−ビニルクロリドコポリマー、ビニルクロリド−アクリロニトリルコポリマー、ビニリデンクロリド−アクリロニトリルコポリマー、ポリ(オレフィン)、ポリ(ビニル−オレフィン)、ポリ(スチレン)、ポリ(ハロ−オレフィン)、ポリ(ビニル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(オキシド)、ポリ(エステル)、ポリ(アミド)及びポリ(カーボネート)が挙げられる。
【0092】
移植片からのペプチドの拡散を、移植片の構造によって制御することもできる。例えば、移植片からのペプチドの拡散は、薬剤を含むポリマー層に固着されている膜によって制御することができる。膜層は、ペプチドを含むポリマー層と所望の治療部位の中間に位置する。膜は、上記に示された生分解性物質のいずれか、ポリマーに存在するペプチドと別の作用物質の存在、ペプチドを含むポリマーの組成物、所望の拡散速度などから構成される。例えば、ポリマー層は、通常、非常に大量のペプチドを含み、典型的には飽和している。そのようなペプチド飽和ポリマーは、一般に、非常に速い速度でペプチドを放出する。この状況では、ペプチドの放出は、ポリマーよりもペプチド透過性が低い膜を選択することによって遅くすることができる。膜の低ペプチド透過性のため、ペプチドはポリマー中に集中したままになり、全体的な拡散速度は、膜のペプチド透過性によって決定される。したがって、移植片からのペプチドの放出速度が低減され、治療部位へのペプチドのより制御され、延長された送達をもたらす。
【0093】
熟練した読者は、本発明の方法で使用される眼科組成物のいずれかが眼球環境に停滞する持続時間は、とりわけ、製剤に用いられる化合物の物理化学的及び/又は薬理学的特性、用いられる化合物の濃度、化合物の生物学的利用能、治療される疾患、投与様式及び治療の好ましい長さのような要因によって左右される。釣り合いは、多くの場合、眼において必要とされる効果の長さと治療される病気によって決まる。
【0094】
本発明の方法による治療の頻度は、治療される疾患、ペプチドの送達可能な濃度及び送達方法によって決定される。硝子体内注射によりペプチドを送達する場合、投与頻度は、毎月でありうる。好ましくは、投与頻度は、3か月毎である。投与の頻度は、観察により決定することもでき、前に投与されたペプチドが可視的に消滅したときに投与量を送達する。治療結果が達成されると、ペプチドを減らすか、停止する。場合により、副作用が治療の停止の根拠となる。一般に、化合物の有効量は、症状の主観的な緩和、又は臨床医若しくは他の有資格観察者により指摘された客観的に確認される改善のいずれかを提供するものである。
【0095】
眼科障害を予防又は治療する本発明の方法における使用のために調製される眼科組成物は、好ましくは、数時間から何か月まで、可能であれば数年の停滞時間を有するが、後者の時間には、そのような持続時間を付与するために特殊な送達系を必要とする。そのような送達系の例示的形態が、本明細書の他(例えば、下記)に開示されている。最も好ましくは、本発明の方法に使用される製剤は、数時間(すなわち、1時間から24時間)、数日間(すなわち、1、2、3、4、5、6若しくは7日間)又は数週間(すなわち、1、2、3、4週間)の停滞時間(すなわち、眼中の時間)を有する。あるいは、製剤は、1か月、2か月、3か月のような少なくとも数か月の停滞時間を有し、4、5、6、7超から12か月の停滞時間が達成可能である。
【0096】
本発明の眼科状態の治療又は予防の方法は、単独で、又は光力学療法、レーザー手術、レーザー光凝固術、若しくは1つ以上の生物学的若しくは薬理学的治療のような1つ以上の他の療法と組み合わせて実施することができる。
【0097】
レーザー治療は、眼科障害の性質に応じて多数の形態を取る。近視のような障害をレーザー手術で治療して、角膜の形を変えることができ(例えば、LASIK(登録商標)手術)、一方、AMDのような障害の治療に広く使用されている治療は、光力学療法又はレーザー光凝固術を介した血管の除去又は封鎖を対象とする、レーザー療法である。レーザー療法は、更に、網膜芽細胞腫又は偽性グリオーマのような新生物の治療又は除去に使用することができる。
【0098】
光凝固術は、漏出血管を封着する、異常血管の成長を遅延する、及び/又は眼の中の新たな血管を破壊するためのレーザーの使用を伴う。加えて、レーザーを、眼に網膜を封着するために使用することができ、網膜剥離の予防の助けになる。例えば、集中レーザー治療は、糖尿病性網膜症で確認されている毛細血管瘤に適用することができる。
【0099】
光力学療法は、光活性薬剤(例えば、Visudyne(登録商標))、及び異常血管を破壊するレーザーの使用を伴う。Visudyne(登録商標)を血液に注射し、レーザーで活性化すると、血管を実質的に破壊する。この治療は、有効であるためには、数回のセッションを必要とすることがある。網膜血管新生を遅延する網膜レーザー光凝固術の有益な効果を説明するために、幅広い理論が提案されてきたが、基礎となる分子機構は、依然として解明されていない。
【0100】
レーザー光凝固術の治療効果は、網膜における最大の酸素消費者である光受容体の破壊に起因すると考えられる。その後、これらの光受容体は、グリア細胞に取って代わられ、脈絡膜から網膜内への酸素の拡散を増加させ、それによって網膜内の低酸素症を緩和する。この改善された酸素化は、二方向のカスケード事象を引き起こす:(1)網膜静脈の構築が毛細血管における静水圧の減少及び毛細血管と細静脈の構築をもたらす;並びに(2)VEGFの細胞産生が阻害される。共に、これらの効果は、最終的に、血管新生の阻害及び浮腫の減少をもたらすと考えられる。細胞繁殖及び細胞タンパク質の調節がレーザー光凝固術により誘発され、これらの治療効果は、生理学的反応における必須の部分でありうる。
【0101】
しかし、レーザー治療(光力学療法又はレーザー光凝固術)の合併症は炎症であり、更なる浮腫をもたらす。これは、眼の新生物を除去又は治療するレーザー治療の後でも起こりうる。加えて、レーザー治療は、血管が再び成長する場合があり、毛細血管瘤が再形成する場合があるので、必ずしも永続的な治癒ではない。更に、異常な血管のレーザー治療は、黄斑の中央領域のような網膜の特定領域に位置する血管に対して実施することができない。
【0102】
したがって、本発明の実施態様において、網膜のレーザー治療が示される場合、本発明の眼科組成物の投与は、レーザー治療の前又は後で注射により実施することができる。本発明のペプチドの投与は、レーザー治療の前又は後の浮腫を低減、排除又は予防することができ、したがって、レーザー治療の副作用の1つを低減又は排除することができる。
【0103】
別の実施態様において、本発明は、角膜手術(例えば、LASIK(登録商標)手術、レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)、又は他の角膜手技)の後の患者に本発明の眼科組成物を、患者に投与する工程を含む、眼の刺激を低減する方法である。そのような治療は、角膜又は硝子体を曇らせる可能性がある眼の中への流体の滲出を、低減又は抑制する。
【0104】
既に記載された他の成分に加えて、本発明の眼科組成物は、併用療法において、内皮細胞に対するVEGFの作用を阻止するように設計された抗血管形成剤を更に含むことができる。本発明の方法に用いることができる作用物質の例は、(a)Genentechにより開発されたLucentis(登録商標)及び(b)Eyetech Pharmaceuticalsにより開発されたMacugen(登録商標)である。Lucentis(登録商標)及びMacugen(登録商標)は、硝子体内に注射される化合物であり、強力な抗血管形成化合物である。
【0105】
本発明の別の態様において、本発明の眼科組成物は、本明細書に記載されている眼科障害の治療のために、グルココルチコイド(例えば、プレドニゾロン、プレドニゾン)、エストロゲン(例えば、エストロジオール)、アンドロゲン(例えば、テストステロン)、レチノイン酸誘導体(例えば、9−シス−レチノイン酸、13−トランス−レチノイン酸、オール−トランスレチノイン酸)、ビタミンD誘導体(例えば、カルシポトリオール、カルシポトリエン)、非ステロイド性抗炎症剤、ビタミンD誘導体、抗感染剤、タンパク質キナーゼCインヒビター、MAPキナーゼインヒビター、抗アポトーシス剤、成長因子、栄養素ビタミン、不飽和脂肪酸及び/又は眼の抗感染剤からなる群より選択される化合物を更に含むことができる。本発明のなお別の実施態様において、これらの作用物質の混合物を使用することができる。使用することができる眼の抗感染剤には、ペニシリン(アンピリシン、アジオシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ピペラシリン及びチカルシリン)、セファロスポリン(セファマンドール、セファゾリン、セフォタキシム、セフスロジン、セフタジジム、セフトリアキソン、セファロチン及びモキサラクタム)、アミノグリコシド(アミカシン、ゲンタマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン及びネオマイシン)、種々の作用物質、例えばアズトレオナム、バシトラシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、コトリモキサゾール、フシジン酸、イミペネム、メトロニダゾール、テイコプラニン及びバンコマイシン、抗真菌剤(アムホテリシンB、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、ナタマイシン、オキシコナゾール及びテルコナゾール)、抗ウイルス剤(アシクロビル、エチルデオキシウリジン、ホスカルネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン及び(S)−1−(3−ジドロキシ−2−ホスホ−ニルウエトキシプロピル)シトシン(HPMPC))、抗腫瘍剤(アルキル化剤(クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン及びブスルファン)のような細胞周期(相)非特異的作用物質、アントラサイクリン系抗生物質(ドキソルビシン、ダウノマイシン及びダクチノマイシン)、シスプラチン、並びにニトロソ尿素)、抗代謝剤、例えば抗ピリミジン(シタラビン、フルオロウラシル及びアザシチジン)、抗葉酸剤(メトトレキサート)、抗プリン(メルカプトプリン及びチオグアニン)、ブレオマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリシン及びビンブラスチン)、ポドフィロトキシン(エトポシド(VP−16))、並びにニトロソ尿素(カルムスチン、(BCNU))、免疫抑制剤、例えばシクロスポリンA及びSK506、並びに抗炎症性又は抑制剤(インヒビター)及びプラスミノゲンアクチベーターインヒビターのようなタンパク分解酵素のインヒビターが含まれるが、これらに限定されない。上記の作用物質の局所及び結膜下投与のための用量、並びに硝子体内用量及び硝子体での半減期は、Intravitreal Surgery Principles and Practice,Peyman G A and Shulman,J Eds.,2nd edition,1994,Appleton−Longeにおいて見出すことができ、その関連するセクションは、参照として本明細書に明確に組み込まれる。
【0106】
別の実施態様によると、本発明は、眼科障害を治療及び/又は予防する方法においてセリンプロテアーゼインヒビターを使用する方法、並びにそのような使用のための組成物を提供する。別の実施態様によると、本発明は、眼科障害を治療及び/又は予防する方法においてカリクレインインヒビターを使用する方法、並びにそのような使用のための組成物を提供する。前記インヒビターの例は、上記で開示されたようなペプチドであるか、又は直接的若しくは間接的なインヒビターのうちから選択されるインヒビターである。本明細書で使用されるとき、用語「直接的インヒビター」は、ブラジキニン及び/又はカリジンの産生を妨げることができる作用物質を意味する。それは、ヒトのような哺乳動物に投与したあと、インビトロ又はインビボのいずれかでカリクレインの活性を(例えば、少なくとも10%、20%若しくは30%、又はそれ以上)減少することができる作用物質に関する。より好ましい実施態様によると、前記直接的インヒビターは、カリクレインのキニノゲナーゼ活性を(例えば、少なくとも10%、20%、又は30%、好ましくは50%、より好ましくは75%又は85%、最も好ましくは95%)減少する作用物質である。これらの直接的インヒビターの機能的特徴決定は、例えば、Gallimore et al,1979,Thromb Res 16,695−703;Kondo et al.,1984,Endocrinol Jpn.,31,635−643に開示されているような周知のアッセイ方法を使用して試験することができる。「部分的インヒビター」は、インヒビターとして作用するが、弱い最大阻害反応を生じる化合物を意味する。この用語は当該技術でよく知られている。例示的なカリクレインインヒビター(例えば、血漿カリクレインインヒビター)には、US6,333,402、US6,057,287、US6,010,880又はZhang et al.,2006,Med Chem.,2,545−553に記載されているものが挙げられ、これらの内容はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0107】
本明細書で使用されるとき、用語「間接的インヒビター」は、例えば、カリクレイン遺伝子発現、より詳細にはカリクレインmRNAを特異的に妨げることができる作用物質を意味する。本発明の一つの実施態様によると、前記インヒビター又は部分的インヒビターは、アンチセンスRNA、siRNA、リボザイム、miRNA、shRNA、すなわち、前記カリクレイン、好ましくは血漿カリクレインの発現レベルを低減する化合物からなる群より選択される。別の実施態様によると、本明細書で使用されるとき、用語「間接的インヒビター」は、抗カリクレイン又は抗プレカリクレイン抗体を意味する。本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子又はその免疫学的に活性な部分、すなわち抗原結合部分を意味する。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例には、scFV及びdcFVフラグメント、Fab及びF(ab′)2フラグメントが挙げられ、それぞれ、抗体をパパイン又はペプシンのような酵素で処理することによって生成できる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組み換え、例えばキメラ若しくはヒト化、完全ヒト、非ヒト、例えば、ネズミ、又は単鎖抗体であることができる。抗体を毒素又は画像化剤と結合することができる。加えて、キメラ、ヒト化及び完全ヒト抗体も本発明の範囲内である。キメラ、ヒト化、最も好ましくは完全ヒト抗体が、反復投与を含む用途、例えば、ヒト患者の治療処置にとって望ましい。これらの用語及び組み換えDNA技術によりこれらの抗体を産生する方法は、当該技術において広く知られている(例えば、EP184187、EP171496、EP173494、WO86/01533、US4,816,567を参照すること)。
【0108】
当業者は、本明細書に記載されている発明は、特に記載された以外の変形及び変更が可能であることを理解する。本発明は、そのような変形及び変更を全て含む。本発明は、また、明細書において参照された又は示された工程、特徴、製剤及び化合物の全てを、個別に又は集合的に含み、工程又は特徴の任意及び全ての組み合わせ、又は任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0109】
この文章で引用されたそれぞれの文書、参考文献、特許出願又は特許は、その全体が参照として本明細書に明確に組み込まれ、それは、この文章の一部として読者により読まれ、考慮されるべきであることを意味する。この文章で引用された文書、参考文献、特許出願又は特許がこの文書において繰り返されないということは、単に簡素化の理由による。
【0110】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施態様の範囲に限定されず、これらは例示の目的のみが意図される。機能的に同等な生成物、製剤及び方法は、明確に、本明細書に記載されている発明の範囲内である。
本明細書に記載されている発明は、1つ以上の範囲の値(例えば、大きさ、濃度など)を含む。値の範囲は、範囲を限定する値、及び範囲の境界を限定する値に直接隣接する値と同じ又は実質的に同じ結果をもたらす範囲に隣接する値を含む、範囲内の全ての値を含むことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】RVOのブタモデルにおけるOCT測定最大網膜厚に対する配列番号23の硝子体内効果。最大網膜厚を、RVOの24時間後の光干渉断層像により決定した。値は、平均±標準誤差である。値の比較は、一方向ANOVA、続くスチューデントt検定により実施した。
【図2】RVOのブタモデルにおける細胞外網膜浮腫の発生に対する配列番号23の硝子体内効果。網膜組織内のエバンスブルー染料濃度の量は、血漿溢出及び浮腫の程度を反映する。対照値は、手術されず、処置されなかった2個の眼の網膜のエバンスブルー染料含有量を表し、一方、疑似手術された眼(n=4)は、閉塞することなく外科手術に付された(方法を参照すること)。値は、平均±標準誤差である。値の比較は、一方向ANOVA、続くスチューデントt検定により実施した。**はp<0.01。
【実施例】
【0112】
実施例1
材料及び方法
ブタ調製
50〜60kgの体重で5〜6か月齢の雑種(ラージホワイト×ランドレース×ピエトレイン)の雌ブタを使用した。ケタミン(10mg/kg)、アザペロン(2mg/kg)及びアトロピン(0.02mg/kg)の筋肉内注射に続いて、静脈内チオペンタールナトリウム(10mg/kg)により麻酔を誘発した。気管挿管法の後、Hallowell人工呼吸器(15〜20rpm、圧力20cmHO)を使用してイソフルラン(100%O中1〜2%)により麻酔を維持した。
【0113】
3誘導ECG(誘導II配置)、体温、動脈血圧及び血液ガスを連続的にモニタリングした。
【0114】
網膜静脈閉塞(RVO)の手順
瞳孔をトロピカミドにより拡張した。結膜辺縁部網膜剥離の後に、縁から3mmで0.9mmの強膜切開が続いた。基底部を、平凹レンズ及び手術用顕微鏡(Microscope OPMI 6−C,Zeiss,Germany)の軸性光線を使用して観察した。側頭大静脈(major temporal vein)の網膜静脈分枝閉塞(RVO)を、300ミクロンのプローブ(GN 300,Aesculap,Tuttlingen,Germany)を使用して、硝子体横断焼灼術により実施した。閉塞の完了を、閉塞部位の上流の血流を完全に阻止することにより評価した。両方の眼をRVOに付した。
【0115】
疑似手術を、2匹のブタ(4個の眼)で以下のように実施し、瞳孔をトロピカミドにより拡張した。結膜辺縁部網膜剥離の後に、縁から3mmで0.9mmの強膜切開が続いた。基底部を、平凹レンズ及び手術用顕微鏡(Microscope OPMI 6−C,Zeiss,Germany)の軸性光線を使用して観察した。
【0116】
1匹のブタには、手術をせず、処置もしなかった。
【0117】
薬剤処置
試験した動物の数が増えた。
【0118】
RVOに付した動物を、無作為化してビヒクル又は薬剤を摂取させた(10〜14匹のブタ/群)。したがって、溶液中の配列番号23の100μl(投与量21.2μg/眼)又は対応するビヒクル(食塩水)の100μlを、RVOの直後に硝子体内に注射した。
【0119】
配列番号23(図においてDX88とも呼ばれている)は、以下の配列:Glu Ala Met His Ser Phe Cys Ala Phe Lys Ala Asp Asp Gly Pro Cys Arg Ala Ala His Pro Arg Trp Phe Phe Asn Ile Phe Thr Arg Gln Cys Glu Glu Phe Ile Tyr Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gln Asn Arg Phe Glu Ser Leu Glu Glu Cys Lys Lys Met Cys Thr Arg Aspのペプチドである。
【0120】
網膜最大厚及び浮腫の測定
24時間後、動物に再び麻酔をかけ、網膜の後側で40MHzの超音波試験を行う。スキャンは、正常及び浮腫網膜を包含するように方向づける。これは、OCTスキャンの最適な設置を確実にする。光干渉断層計法(Stratus OCT,Zeiss Humphrey,Dublin,CA)は、網膜中心の最大厚及び網膜下流体の存在を記録する。
【0121】
OCT測定の後、それぞれの動物は、エバンスブルー染料の静脈内注射を45mg/kgで受け、静脈血試料(およそ1ml)を、2時間の間15分間隔で得た。これらの血液試料を12,000rpmで15分間遠心分離した。染料が2時間循環した後、動物にクエン酸緩衝剤(0.05M、pH3.5)を左心室から10分間注入し、血液を右心室から収集した。総注入容量は、10分間で5lであった。注入後、両方の眼を摘出し、赤道で半分にした。網膜を注意深く切開して取り出した。網膜を調製し、計量し、Speed−Vacで5時間乾燥した。それぞれの網膜を500μlのホルムアミド中、70℃で18時間インキュベートして、エバンスブルー染料を抽出した。上澄みを、Ultrafree−MCにより3,000rpmで2時間濾過した。血漿試料中及び網膜組織中のエバンスブルー染料濃度を、620nm及び740nmの両方で分光光度法により測定した。
【0122】
したがって、本発明の実施態様において、網膜厚及び浮腫に対する薬剤の評価を可能にするブタのRVOモデルが記載される。このモデルにおいて配列番号23を評価する実施例を提示する。
【0123】
実施例2
RVOにより誘発される急性黄斑浮腫のブタモデルにおける配列番号23の効果
24時間の時点で、網膜静脈の自発的な再灌流が、10%及び30%のビヒクル処置眼及び配列番号23処置眼においてそれぞれ観察された(下記の表1を参照すること)。
【0124】
細胞外浮腫を表すエバンスブルー染料の網膜濃度は、RVOの24時間後に著しく増加した(図2)。これは、配列番号23処置ブタにおいて47%有意に(p<0.01)低減した(図1)。
【0125】
繰り返し実験した後、選択した動物モデルにおいて、ペプチドの配列番号23は、OTCにより測定された最大網膜厚の増加を変更しなかったと結論付けた(図1)。使用した測定方法は、本発明の動物モデルには実際には適応しないと結論付けた。本研究者の解釈は、配列番号23は、ブタRVOモデルにおいて虚血浮腫要素に対して微量であると思われる血管漏出を特異的に標的にするというものである。加えて、OCT画像は、網膜がRVO閉塞の後に不規則な増厚及びでこぼこの表面を表すことを明らかにし、これが、OCTに基づく測定の信頼性を乏しくしている。
表1−ブタにおけるRVOの24時間後の自発的な網膜静脈の再灌流の速度に対する配列番号23の効果
【0126】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−211194(P2012−211194A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−171140(P2012−171140)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【分割の表示】特願2008−558710(P2008−558710)の分割
【原出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(506065987)ダイアックス コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】