セルスタック装置およびこれを用いた燃料電池モジュールならびに燃料電池装置
【課題】燃料電池セルに効率よく燃料ガスを供給することができるセルスタック装置および燃料電池モジュールならびに燃料電池装置を提供する。
【解決手段】セルスタック装置1は、原燃料ガスを中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室6と、燃料ガス流入口10にそれぞれの一端が接続され、他端が燃料電池セル2の上端よりも上に位置する燃料ガス供給管8と、昇温室6の下方または側方に燃料電池セル2の配列方向に沿って配置され、中央部が原燃料ガス送出口10に接続され、両端部が燃料ガス供給管8に接続されており、間部に改質部を有する流路部材11を備えることから、昇温室6と流路部材11との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室6と流路部材11との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【解決手段】セルスタック装置1は、原燃料ガスを中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室6と、燃料ガス流入口10にそれぞれの一端が接続され、他端が燃料電池セル2の上端よりも上に位置する燃料ガス供給管8と、昇温室6の下方または側方に燃料電池セル2の配列方向に沿って配置され、中央部が原燃料ガス送出口10に接続され、両端部が燃料ガス供給管8に接続されており、間部に改質部を有する流路部材11を備えることから、昇温室6と流路部材11との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室6と流路部材11との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成するための改質部を具備するセルスタック装置およびこれを用いた燃料電池モジュールならびに燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と空気(酸素含有ガス)とを用いて電力を得ることができる燃料電池セルを複数個配列してなるセルスタックと、該セルスタックに供給する燃料ガスを生成するための改質器とを備えるセルスタック装置や、該セルスタック装置を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュールが種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成するにあたっては、例えば、天然ガス等の炭化水素系ガスを水蒸気と反応させて燃料ガスを生成する水蒸気改質法や部分酸化改質法が知られており、そのような改質を行なうための改質器も種々提案されている。
【0004】
図11は従来の燃料電池モジュール60を示す外観斜視図であり、収納容器61よりセルスタック装置68を後方に引出した状態を示している。
【0005】
セルスタック装置68は、複数の燃料電池セル62を配列してなるセルスタック63を有しており、セルスタック63の上方にはUの字状の改質器65が配置されている。改質器65において、原燃料供給管67より供給された原燃料は、気化部69にて温度の上昇した原燃料ガスとされたのち、改質部70内にて水蒸気改質等の改質反応が行なわれて燃料ガス(水素含有ガス)に改質される。そして気化部69と改質部70とからなる改質器65にて生成された燃料ガスは、燃料ガス供給管66を介してマニホールド64に供給され、マニホールド64から各燃料電池セル62に燃料ガスが供給される。このような構成により、セルスタック装置68が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−59377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、セルスタック装置68においては、気化部69および気化部69と改質部70の接続部がセルスタック63の直上にあるため、改質部入口(接続部)の温度の上昇に伴って、過剰に温度の上昇した原燃料ガスが改質部70に供給されるおそれがある。それにより、改質部70内に設けられた改質触媒が過昇温により劣化し、セルスタック装置68の耐久性が低下するおそれがある。
【0008】
それゆえ、本発明においては、耐久性の低下を抑制し、長期信頼性が向上したセルスタック装置およびこれを用いた燃料電池モジュールならびに燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のセルスタック装置は、内部に長手方向に沿って燃料ガスを下端部から上端部へ流すための燃料ガス流路を備え、前記燃料ガスと酸素含有ガスとで発電する柱状の燃料電池セルを複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるとともに、発電に使用されなかった前記燃料ガスを前記燃料電池セルの上端部側で燃焼させる構成のセルスタックと、前記燃料電池セルの下端部を固定するとともに、前記燃料電池セルの配列方向の両端部に燃料ガス流入口を備えて、前記燃料電池セルに前記燃料ガスを供給するマニホールドと、前記セルスタックの上方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で配置され、外部より供給される原燃料を加熱して原燃料ガスとするとともに、該原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、前記燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、前記燃料電池セルの長手方向に沿って他端が前記燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、前記セルスタックの上方で前記昇温室の下方または側方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で前記燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、前記燃料電池セルの配列方向における中央部側が前記原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ前記燃料ガス供給管に接続されており、内部に前記原燃料ガスを前記燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることを特徴とする。
【0010】
このようなセルスタック装置においては、セルスタック装置が、原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、燃料電池セルの長手方向に沿って他端が燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、セルスタックの上方で昇温室の下方または側方に燃料電池セルの上端部と離間した状態で燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、燃料電池セルの配列方向における中央部側が原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ燃料ガス供給管に接続されており、内部に原燃料ガスを燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることから、昇温室と流路部材との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室と流路部材との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0011】
それにより、流路部材内に過剰に温度が上昇した原燃料ガスが供給されることを抑制することができることから、流路部材(改質部)内に備える改質触媒の過昇温による劣化を抑制することができ、セルスタック装置の耐久性が低下することを抑制することができる。そのため、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0012】
また、本発明のセルスタック装置は、前記流路部材の前記改質部が前記昇温室との接続部まで延長されていることが好ましい。
【0013】
このようなセルスタック装置においては、流路部材の改質部が昇温室との接続部まで延長されていることから、昇温室にて生成された温度の上昇した原燃料ガスを直ちに改質することができ、原燃料ガスを効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0014】
また、本発明のセルスタック装置は、前記流路部材は、前記改質部の一部が蛇行流路とされていることが好ましい。
【0015】
このようなセルスタック装置においては、流路部材は、改質部の一部が蛇行流路とされていることから、改質部の長さを長くすることができ、改質部内に配置する改質触媒の量を増加させることができ、原燃料ガスをさらに効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0016】
また、本発明のセルスタック装置は、前記原燃料ガス送出口と前記改質部との間または前記原燃料ガス送出口に、前記原燃料ガスの流量を調整する流量調整部材が設けられていることが好ましい。
【0017】
このようなセルスタック装置においては、原燃料ガス送出口と改質部との間または原燃料ガス送出口に、原燃料ガスの流量を調整する流量調整部材が設けられていることから、改質部に効率よく原燃料ガスを流入させることができ、原燃料ガスをさらに効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0018】
本発明の燃料電池モジュールは、上記のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。
【0019】
本発明の燃料電池装置は、上記の燃料電池モジュールと、前記セルスタック装置を作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることから、セルスタック発電効率の低下を抑制することができ、長期信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のセルスタック装置は、原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、燃料電池セルの長手方向に沿って他端が燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、セルスタックの上方で昇温室の下方または側方に燃料電池セルの上端部を離間した状態で燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、燃料電池セルの配列方向における中央部側が原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ燃料ガス供給管に接続されており、内部に原燃料ガスを燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることから、昇温室と流路部材との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室と流路部材との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0021】
また、本発明の燃料電池モジュールは、上記のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。さらに、本発明の燃料電池装置は、上記の燃料電池モジュールと、セルスタック装置を作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のセルスタック装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すセルスタック装置の一部を抜粋して示すA−A’線断面図である。
【図3】本発明のセルスタック装置の他の一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示すセルスタック装置の一部を抜粋して示すB−B’線断面図である。
【図5】本発明のセルスタック装置のさらに他の一例の一部を抜粋して示す断面図である。
【図6】本発明のセルスタック装置のさらに他の一例を示す斜視図である。
【図7】図6に示すセルスタック装置の一部を抜粋して示すC−C’線断面図である。
【図8】本発明の燃料電池モジュールの一例を示す外観斜視図である。
【図9】図8に示す燃料電池モジュールのD−D’線断面図である。
【図10】本発明の燃料電池装置の一例を示す構成図である。
【図11】従来のセルスタック装置の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明のセルスタック装置の一例を示す外観斜視図であり、図2は、図1に示すセルスタック装置1を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材11および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示すA−A’線断面図である。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。
【0024】
図1に示すセルスタック装置1は、内部に長手方向に沿って下端部から上端部に貫通する燃料ガス流路を有する燃料電池セル2を複数個立設させた状態で、間に集電部材(図示せず)を介して電気的に直列に接続してなるセルスタック3が、セルスタック3を構成する燃料電池セル2の下端部を燃料電池セル2に燃料ガスを供給するマニホールド4に絶縁性の接着材により固定されている。また、燃料電池セル2の上端部側には、燃料電池セル2と離間して、外部より供給される原燃料を温度の上昇した原燃料ガスとするとともに、該原燃料ガスを送出する原燃料ガス送出口12を備えた箱状の昇温室6と、内部に改質触媒13を有する改質部を備え、昇温室6と接続された流路部材11とが配置されている。さらに、燃料電池セル2の配列方向(以下、セル配列方向と略す場合がある。)に沿った両端部には、燃料電池セル2の長手方向に沿って配置され、一端がマニホールド4に設けられた燃料ガス流入口10にそれぞれ接続され、他端が、燃料電池セル2の上端よりも上に位置するとともに、流路部材11にそれぞれ接続された燃料ガス供給管8が配置されている。
【0025】
なお、ここでいうマニホールド4の燃料電池セル2の配列方向に沿った端部とは、セルスタック3の端部からマニホールド4の端部までの空間およびマニホールド4の側面のうち燃料電池セル2配列方向と直交する側面を意味する。なお、セルスタック3の両端部には、燃料電池セル2の発電により生じた電流を収集して外部に引き出すための、電流引き出し部9を有する導電部材5が配置されている。
【0026】
ここで、燃料電池セル2としては、内部を燃料ガス(水素含有ガス)が長手方向に沿って流れる燃料ガス流路を有する中空平板状で、支持体の表面に、燃料側電極層、固体電解質層および酸素側電極層を順に設けてなる固体酸化物形燃料電池セル2を例示している。
【0027】
また、セルスタック装置1は、燃料電池セル2の上端部側において、燃料電池セル2の発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成とされている。それにより、後述する昇温室6や流路部材11の温度を効率よく上昇させることができる。
【0028】
図2において、セルスタック3の上方におけるセル配列方向の中央部に、燃料電池セル2の上端部と離間して配置される昇温室6は、箱状の形状からなり、上面中央部に外部から原燃料を供給する原燃料供給管7が接続されており、底面のセル配列方向に沿った両端部に原燃料ガス送出口12をそれぞれ備えている。原燃料供給管7より供給された原燃料は、昇温室6にて温められ、温度の上昇した原燃料ガスとなり、原燃料ガス送出口12から流路部材11に送出される。なお、セルスタック3の上方におけるセル配列方向の中央部に、昇温室6が配置されることから、原燃料を効率よく温度の上昇した原燃料ガス(昇温室6の温度を効率よく上昇する)することができる。
【0029】
図1および図2において示す流路部材11は、それぞれ原燃料ガス送出口12と接続される2つの部材からなり、中央部側が昇温室6の底面(原燃料ガス送出口12)と接続され、昇温室6の下方(燃料電池セル2側)に向けて延びた後、セル配列方向に沿ってセルスタック3の端に配置された燃料電池セル2側(セルスタック装置1の端部側)に向けて延び、両端部がそれぞれ燃料ガス供給管8と接続されている。
【0030】
図1および図2においては、一方の部材の一端が一方の原燃料ガス送出口12と接続され、一方の部材の他端が一方の燃料ガス供給管8と接続され、他方の部材の一端が他方の原燃料ガス送出口12と接続され、他方の部材の他端が他方の燃料ガス供給管8と接続されている。
【0031】
流路部材11は、内部の全域に改質触媒13を有する改質部17を備えるとともに、セル配列方向に沿った端部側(燃料ガス供給管8との接続部)に燃料ガス送出口14を備えている。原燃料ガス送出口12から送出された原燃料ガスは、改質触媒13により燃料ガスに改質されながら、下方に向けて流れた後、セル配列方向に沿った端部側に向けて流れる。生成された燃料ガスは、燃料ガス送出口14に接続された燃料ガス供給管8を下方に向けて流れ、マニホールド4の両端部に設けられた燃料ガス流入口10からマニホールド4内に供給され、セルスタック3を構成する各燃料電池セル2に供給される。
【0032】
原燃料としては、都市ガス等の炭化水素系ガスや灯油等の液体燃料があげられる。なお、原燃料として炭化水素系ガス等の気体燃料を用いた場合には、原燃料ガスは炭化水素系ガスを意味する。
【0033】
図1および図2に示すセルスタック装置1においては、流路部材11の改質部17において生成された燃料ガスは、マニホールド4の両端部側よりセルスタック3を構成する各燃料電池セル2に供給されることとなる。それにより、セルスタック3を構成する各燃料電池セル2に十分な量の燃料ガスを供給することができ、セルスタック3の発電効率を向上することができる。
【0034】
また、流路部材11および昇温室6とマニホールド4とが、2本の燃料ガス供給管8により接続されていることから、流路部材11および昇温室6とマニホールド4とを強固に接続することができる。
【0035】
なお、図2に示すセルスタック装置1において、流路部材11(改質部17)は、左右対称となるように設けることが好ましい。それにより、マニホールド4の両端部側より供給される燃料ガスの量を均一に近づけることができ、セルスタック3を構成する各燃料電池セル2に十分な量の燃料ガスを供給することができ、セルスタック3の発電効率を向上することができる。また、流路部材11の容積および内部に配置される改質触媒13の量が同じとなれば左右対称でなくともよい。
【0036】
改質部17の内部に備える改質触媒13としては、改質効率や耐久性に優れた改質触媒を用いることが好ましく、例えば、γ−アルミナ、α−アルミナまたはコージェライト等の多孔質担体にRu、Pt等の貴金属やNi、Fe等の卑金属を担持させた改質触媒等を用いることができる。
【0037】
ここで、流路部材11(改質部17)内に過剰に温度の上昇した原燃料ガスが供給された場合に、流路部材11(改質部17)内に備える改質触媒13が過昇温されて劣化が生じるおそれがある。それにより、セルスタック3の長期信頼性が低下するおそれがあった。
【0038】
図1および図2に示すセルスタック装置1において、流路部材11の中央部側が、流路部材11における最も高い位置にて昇温室6と接続されていることから、昇温室6と流路部材11との接続部が、燃料電池セル2の上端部側で、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができる。それにより、流路部材11(改質部17)内に過剰に温度の上昇した原燃料ガスが供給されることを抑制することができることから、改質触媒13の過昇温による劣化が生じることを抑制でき、セルスタック3の長期信頼性を向上させることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置1とすることができる。
【0039】
また、改質部17が昇温室6との接続部まで延長されている(改質部17と昇温室6とが接続されている)ことから、昇温室6にて生成された温度の上昇した原燃料ガスを直ちに改質することができ、原燃料ガスを効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0040】
ここで、図11に示した従来の燃料電池モジュール60では、気化部69が燃料電池セル62の直上に設けられていることから、過剰に温度の上昇した原燃料ガスが改質部70に供給され、改質触媒が過昇温により劣化するおそれがあった。それにより、改質効率が低下し、セルスタック63の長期信頼性が低下するおそれがあった。
【0041】
一方、図1および図2に示すセルスタック装置1は、昇温室6が流路部材11の上方に配置されている(昇温室6が、従来のセルスタック装置68における気化部69よりも高い位置に設けられていることとなる。)ことから、過剰に温度の上昇した原燃料ガスが改質部17に供給されることを抑制することができる。それにより、改質触媒13の過昇温による劣化を抑制し、セルスタック3の長期信頼性を向上させることができる。
【0042】
ここで、流路部材11(改質部17)において水蒸気改質をする場合において、原燃料供給管7に原燃料および水を供給し、昇温室6にて原燃料を温度の上昇した原燃料ガスとするとともに水を水蒸気に気化させた後、原燃料ガス送出口12を介して流路部材11に原燃料ガスおよび水蒸気を供給し、改質部17にて所定の改質触媒13により水蒸気改質を行なう。その際、昇温室6の大きさ(容積)が不十分であると、気化不良をおこす可能性があり、改質部17に気化されていない水が供給されてしまい、改質触媒13の気孔中に水が入り込むおそれがある。この場合に、改質部17の温度上昇に伴い、改質触媒13中の水が気化することで、改質触媒13が破損して劣化するおそれがある。
【0043】
図1および図2に示すセルスタック装置1は、流路部材11の上方に昇温室6を設けることから、昇温室6を十分な大きさを有する構成とすることができ、改質部17に水が供給されることを抑制し、改質触媒13の劣化を抑制することができる。それにより、セルスタック装置1の長期信頼性を向上させることができる。
【0044】
なお、昇温室6に水を供給するにあたり、原燃料供給管7とは別に水供給管を設けることもできる。この場合、原燃料供給管7と水供給管を2重管とすることが好ましい。
【0045】
また、図示していないが、昇温室6はセラミックボール等を備えることが好ましい。それにより、昇温室6内の表面積を増加させることができ、効率的に原燃料を温度の上昇した原燃料ガスとすることができるほか、水を効率よく水蒸気に気化させることができる。
【0046】
なお、図2に示すセルスタック装置1においては、流路部材11の全域に改質触媒13を備え、流路部材11の全域が改質部17となる例を示したが、流路部材11の一部のみを改質部17としてもよい。必要となる燃料ガスの量に合わせて改質触媒13の量を適宜設定し、流路部材11内に改質部17を設ければよい。
【0047】
また、図2に示すセルスタック装置1においては、改質部17が原燃料ガス送出口12との接続部まで延長している構成を示したが、改質部17が原燃料ガス送出口12との接続部まで延長していなくてもよい。
【0048】
図3は、本発明のセルスタック装置の他の一例を示す外観斜視図であり、図4は図3に示すセルスタック装置15を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材16および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示すB−B’線断面図である。
【0049】
図3に示すセルスタック装置15は、セル配列方向における中央部に、燃料電池セル2の上端部と離間して配置された箱状の昇温室6の両側方に、流路部材16が燃料電池セル2の上端部と離間して配置されている。昇温室6のセル配列方向と直交する両側面の上端部側にそれぞれ原燃料ガス送出口12が設けられており、原燃料ガス送出口12が両側方に配置された流路部材16の中央部側と接続されている。
【0050】
流路部材16は、原燃料ガス送出口12から送出された原燃料を燃料電池セル2側に向けて流した後に、セル配列方向と直交する両側面に設けられた燃料ガス送出口14に向けてセル配列方向に沿って原燃料ガスを流す。
【0051】
図3および図4に示すセルスタック装置15において、原燃料ガス送出口12が、昇温室6のセル配列方向と直交する側面における上端部側に設けられており、接続された流路部材16が原燃料ガスを燃料電池セル2側に向けて流した後、セル配列方向に沿った両端部に向けて流すことから、流路部材16の入り口(原燃料ガス送出口12)が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させることにより生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、流路部材16(改質部17)に過剰に温度の上昇した原燃料ガスが供給されることを抑制することができることから、改質触媒13の過昇温による劣化を抑制することができ、改質効率の低下を抑制することができる。それにより、セルスタック3の長期信頼性を向上させることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置15とすることができる。
【0052】
図3および図4に示す昇温室6は、セルスタック3の上方にセル配列方向の中央部に位置するように配置されている。セルスタック3の発電に伴って、セルスタック3の燃料電池セル2の配列方向における中央部側の温度が高く、端部側の温度が低いという温度分布を生じる場合がある。ここで、図3および図4に示す昇温室6は、セル配列方向の中央部に位置するように配置されていることから、特に改質部17にて水蒸気改質を行う場合において、昇温室6での水が気化する際の気化熱により、セルスタック3の中央部側の温度を低下させることができ、セルスタック3のセル配列方向における温度分布が生じることを抑制することができる。それにより、温度の高い燃料電池セル2に生じる電流集中を抑制することができ、燃料電池セル2の劣化を抑制することができる。そのため、長期信頼性の向上したセルスタック装置15とすることができる。
【0053】
ここで、図1および図2において示す流路部材11を構成する昇温室6の左右に配置された各部材の容積、形状および改質触媒13の充填状態のばらつき等により、各部材の圧力損失が異なった場合に、昇温室6から各部材に送出される原燃料ガスの量が異なるおそれがあり、それにより、マニホールド4にそれぞれ設けられた燃料ガス流入口10に供給される燃料ガスの量が異なり、各燃料電池セル2に供給される燃料ガスの量にばらつきが生じ、燃料電池セル2が劣化するおそれがある。
【0054】
図4に示すセルスタック装置15は、原燃料ガス送出口12に流量調整部材23として細管を用いている。それにより、各部材に原燃料ガスを効率よく均一に分配させることができ、セルスタック装置15を構成する各燃料電池セル2に供給される燃料ガスの量を均一に近づけることができ、さらに効率のよい改質を行なうことができ、発電効率の向上したセルスタック装置15とすることができる。
【0055】
なお、流量調整部材23として、細管を用いる例を示したが、他にもオリフィス、層流素子または多孔質部材等を用いることもできる。なお、流量調整部材23として細管を用いる場合には、管径、穴数または長さ等を適宜設定することにより、昇温室6から各部材に送出される原燃料ガスの量を調整することができる。好ましくは、各部材に送出される原燃料ガスの量を均一に近づけるために、それぞれの流量調整部材23(細管)は、管径および長さが等しいことが好ましい。
【0056】
また、図4に示すセルスタック装置15のように改質部17が昇温室6との接続部まで延長されている場合においては、流量調整部材23は原燃料ガス送出口12に設ければよく、改質部17が昇温室6との接続部まで延長されていない場合においては、原燃料ガス送出口12と改質部17との間または原燃料ガス送出口12に設ければよい。いずれの場合においても、それぞれの改質部17に流入する燃料ガスの量が均一に近づくように流量調整部材23を設ければよい。
【0057】
図5は、本発明のセルスタック装置のさらに他の一例のセルスタック装置18を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材19および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示す断面図である。
【0058】
図5に示すセルスタック装置18は、昇温室6の両側方に流路部材19が配置されており、流路部材19の中央部側が原燃料送出口12と接続されている。昇温室6のセル配列方向と直交する側面における上端部側に原燃料ガス送出口12を備えるとともに、流路部材19(改質部17)内が、原燃料ガスを上下方向に蛇行するように流す蛇行流路となっており、原燃料ガスは流路部材19内を蛇行しながらセル配列方向に沿って流れている。それにより、改質部17の長さを長くする(改質触媒13の量を増加する)ことができ、改質効率をさらに向上させることができる。
【0059】
このような流路部材19においても、原燃料ガス送出口12から送出された原燃料ガスは燃料電池セル2側に向けて流れた後、流路部材の19のセル配列方向における両端部に設けられた燃料ガス送出口14に向けて流れることとなる。図5に示すセルスタック装置18は、流路部材19のセル配列方向に沿って流す部位が蛇行流路となっている。
【0060】
ここで、セルスタック装置18は、燃料電池セル2の上端部側で発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成とされており、その燃焼熱で効率的に昇温室6および流路部材19の温度を上昇させることができ、原燃料を効率よく温度の上昇した原燃料ガスとすることができるほか、原燃料ガスの改質を効率よく行なうことができる。
【0061】
図5に示すセルスタック装置18は、原燃料ガスが流路部材19内(改質部17内)を蛇行するように流れることから、改質部17内に備えられる改質触媒13の量(原燃料ガスと改質触媒13とが接する時間)を増加させることができ、改質効率をさらに向上させることができる。それにより、セルスタック3の発電効率を向上させることができ、発電効率の向上したセルスタック装置18とすることができる。
【0062】
なお、図5においては、原燃料ガスを上下方向に蛇行する蛇行流路を設けた流路部材19を示したが、蛇行流路は、セル配列方向に沿ってもしくは、燃料電池セル2の幅方向に沿って蛇行する蛇行流路とすることもできる。この場合においても、改質部17の長さを長くする(改質触媒13の量を増加する)ことができ、改質効率を向上させることができる。
【0063】
また、昇温室6内に仕切部材(図示せず)を設けて原燃料ガスが上下方向に蛇行するように流れるための蛇行流路を設けてもよい。この場合においても、原燃料ガスが蛇行するように流れることから、原燃料が昇温室6内を流れる距離を増加させることができ、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させた際に生じる燃焼熱により、効率的に原燃料ガスの温度を上昇させることができることから、改質効率をさらに向上させることができる。
【0064】
なお、図5に示すセルスタック装置18においては、改質部17の全域に蛇行流路を設けた例を示したが、改質部17の一部のみを蛇行流路としてもよい。
【0065】
また、流路部材19の改質触媒13が配置されていない部位(改質部17ではない部位)を蛇行流路としてもよい。この場合においても、燃料ガスを蛇行させて流すことができ、燃料ガスの温度を効率よく上昇させることができ、温度の上昇した燃料ガスを燃料電池セル2に供給することができる。それによりセルスタック装置18の発電効率を向上させることができる。
【0066】
図6は、本発明のセルスタック装置のさらに他の一例を示す外観斜視図であり、図7は図6に示すセルスタック装置20を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材21および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示すC−C’線断面図である。
【0067】
図6に示すセルスタック装置20は、セル配列方向における中央部に配置された昇温室6の底面中央部に原燃料ガス送出口12が設けられており、原燃料ガス送出口12に管状の流路部材21が接続されている。
【0068】
流路部材21は、昇温室6の下方に燃料電池セル2と離間した状態で配置され、中央部に原燃料ガス送出口12に接続する連結部22を有し、連結部22(中央部側)は原燃料送出口12に接続されている。流路部材21は、両端部に燃料ガス送出口14を備え、燃料ガス送出口14は燃料ガス供給管8と接続されている。そのため、流路部材21は、連結部22を燃料電池セル2側に向けて流れた原燃料ガスをセル配列方向における両端部に設けられた燃料ガス送出口14に向けて流した後、セルスタック3の両端部側に配置されたそれぞれの燃料ガス供給管8に流すように設けられている。セルスタック装置20においては、流路部材21と燃料ガス供給管8は一体的に設けられている。
【0069】
それにより、流路部材21と燃料ガス供給管8とを別々に作製した後、溶接等により接続する工程を簡略化することができ、セルスタック装置20の製造工程を簡略化することができる。
【0070】
なお、図6および図7に示すセルスタック装置20は、昇温室6と改質部17とが直接接続されていない。この場合においても、昇温室6と流路部材21との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じた燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室6と流路部材21との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。それにより、改質部17に過剰に温度が上昇した燃料ガスが供給されることを抑制することができ、改質触媒13が劣化することを抑制することができる。
【0071】
図8は、収納容器28内に、上述したセルスタック装置1を収納してなる本発明の燃料電池モジュール27(以下、モジュールという場合がある。)の一例を示す外観斜視図である。なお、図8においては、昇温室6および流路部材11を収納容器28の上壁の内面に接続しており、セルスタック装置1としては、昇温室6および流路部材11を取り外した状態を示している。
【0072】
また、図8に示すモジュール27においては、収納容器28の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されるセルスタック装置1(図8においては昇温室6および流路部材11を取りはずして示している)を後方に取り出した状態を示している。以下に、モジュール27を構成する収納容器28について説明する。
【0073】
図9は、図8に示すモジュール27の示すD−D’線断面を概略的に示した断面図である。モジュール27を構成する収納容器28は、外壁30にて収納容器28の外枠が形成され、内部に燃料電池セル2(セルスタック3)を収納する発電室42が形成されている。
【0074】
このような収納容器28においては、セルスタック3を構成するセル配列方向に沿う側部と、該側部に対向する収納容器28の外壁との間に、空気や排ガスを流すための流路を備えている。
【0075】
ここで、収納容器28は、外壁30の内側に所定間隔をあけて第1の壁31が形成されており、第1の壁31の内側に所定間隔をあけて第2の壁32が配置されており、さらに第2の壁32の内側に所定間隔をあけて第3の壁33が配置されている。
【0076】
それにより、外壁30と第1の壁31とで形成された空間が第1の流路34となり、第2の壁32と第3の壁33とで形成された空間が第2の流路35となり、第1の壁31と第2の壁32とで形成された空間が第3の流路36となる。
【0077】
なお、図9に示した収納容器28においては、第1の壁31の上端部が第2の壁32に接続されており、第2の壁32が収容容器28の上壁(外壁30)と接続されており、第3の壁33の上端部が第2の壁32と接続されている。
【0078】
また、収納容器28の底部には、空気(酸素含有ガス)を収納容器28内に供給するための空気供給管37が接続されており、空気供給管37より供給される空気は空気導入部38に流れる。空気導入部38は空気導入口39により第1の流路34とつながっているため、空気導入部38を流れる空気は、空気導入口39を通して、第1の流路34に流れる。第1の流路34を上方に向けて流れた空気は、第2の壁32に設けられた空気流通口40を通して、第2の流路35に流れる。そして、第2の流路35を下方に向けて流れた空気は、第3の壁33に設けられた空気吹き出し口41を通して、発電室42内に供給される。
【0079】
一方、燃料電池セル2より排出される排ガスや、燃料電池セル2の上端部側で発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させることにより生じる排ガスは、第2の壁32に設けられた排ガス流通口43を通して第3の流路36に流入する。そして、第3の流路36を下方に向けて流れた排ガスは、排ガス収集口44を通して排ガス収集部45に流れた後、排ガス収集部45に接続された排ガス排気管46を通して収納容器28の外部に排気される。
【0080】
それゆえ、空気導入管37より供給される空気は、空気導入部38を流れる間に、排ガス収集部45を流れる排ガスと熱交換され、第1の流路34を流れる間に、第3の流路36を流れる排ガスと熱交換され、第2の流路35を流れる間に、発電室42内の熱とで熱交換されることとなる。
【0081】
なお、図9において、空気導入管37の内部に排ガス排気管46が位置するように設けた例を示しているが、排ガス排気管46の内部に空気導入管37が位置するように設けることもでき、さらには、空気導入管37と排ガス排気管46とは、それぞれ位置をずらして設けることもできる。
【0082】
ここで、図9に示すモジュール27においては、第3の流路36のうち、第2の壁27側に断熱材47(図中において断熱材47は斜線にて示している)が配置されている。それにより、第2の流路35を流れる空気と第3の流路36を流れる排ガスとの熱交換を抑制することができ、第2の流路35を流れる空気の温度が低下することを抑制できる。
【0083】
それにより、燃料電池セル2に供給される空気の温度が低下することを抑制でき、高温の空気を燃料電池セル2に供給することができることから、発電効率の高いモジュール27とすることができる。
【0084】
なお、第3の流路36に配置される断熱材47は、好ましくは、セルスタック3を構成する燃料電池セル2の配列方向に沿う側部の外形以上の大きさとすることが好ましい。それにより、第2の流路35を流れる空気と第3の流路36を流れる排ガスとの熱交換を効率よく抑制することができる。
【0085】
また断熱材47は、第3の流路36以外にも、収納容器28内の熱が極端に放熱され、燃料電池セル2(セルスタック3)の温度が低下して発電量が低減しないように適宜設けることができ、図9においては、第3の流路36以外に、マニホールド4の底部と、燃料電池セル2(セルスタック3)の両側面側と、収納容器28の上壁(外壁48)と昇温室6との間とに設けている例を示している。
【0086】
ここで、セルスタック3(燃料電池セル2)の両側面側に配置されている断熱材47においては、空気吹き出し口41に対応して、空気を燃料電池セル2側に流すための孔が設けられている。
【0087】
そして空気吹き出し口41より発電室42内に供給された空気は、燃料電池セル2の下端部側から上端部側に向けて流れることとなり、効率よく燃料電池セル2の発電を行なうことができる。
【0088】
長期信頼性の向上したセルスタック装置1を上述のような収納容器の発電室42内に収納することにより、長期信頼性の向上したモジュール27とすることができる。
【0089】
図10は、外装ケース内に図9で示したモジュール27と、モジュール27を動作させるための補機(図示せず)とを収納してなる燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、図10においては一部構成を省略して示している。
【0090】
図10に示す燃料電池装置50は、支柱51と外装板52から構成される外装ケース内を仕切板53により上下に区画し、その上方側を上述したモジュール27を収納するモジュール収納室54とし、下方側をモジュール27を動作させるための補機を収納する補機収納室55として構成されている。なお、補機収納室55に収納する補機を省略して示している。それにより、コンパクトな燃料電池装置50とすることができる。
【0091】
また、仕切板53には、補機収納室55の空気をモジュール収納室54側に流すための空気流通口56が設けられており、モジュール収納室54を構成する外装板52の一部に、モジュール収納室54内の空気を排気するための排気口57が設けられている。
【0092】
このような燃料電池装置50においては、上述したように、長期信頼性の向上したモジュール27をモジュール収納室54に収納し、モジュール27を動作させるための補機を補機収納室55に収納して構成されることにより、長期信頼性の向上した燃料電池装置50とすることができる。
【0093】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【0094】
例えば、昇温室6の原燃料供給管7に、原燃料または水を流路部材11に向けて流すための流通方向調整部材を設けることも可能である。
【0095】
なお流通方向調整部材としては、底部を有する筒状の容器の左右に穴を有する部材のほか、先端が二手に分かれたパイプ等、適宜左右2方向に原燃料を流すことのできる部材とすることができる。
【0096】
また、この場合において流通調整方向部材の吹き出し口は、昇温室6の底面と対向しないように設けることが好ましい。それにより、昇温室6の一部の温度が急激に低下し、昇温室6での水の気化効率が悪くなることを抑制できる。
【0097】
また例えば原燃料ガス送出口12に原燃料が十分に気化されずに改質部17に流入することを抑制する原燃料流入抑制部材を設けてもよい。
【0098】
原燃料流入抑制部材としては、蓋を有する筒状の容器の左右に穴を有する部材等があげられ、特に、原燃料供給管7と原燃料ガス送出口12とが平面視して同一線上にある場合に特に有効に用いることができる。
【0099】
また例えば、収納容器28は、外壁30と第1の壁31とで第1の流路34を形成し、第2の壁32と第3の壁33とで第2の流路35を形成し、第1の壁31と第2の壁32とで第3の流路36を形成していればよく、適宜空気流通口41や排ガス流通口43の位置を変更することもできる。
【0100】
また、例えば第1の壁31と第2の壁32との間に第1の流路34と第2の流路35とをつなぐ空気流通路を設けてもよく、第2の壁32と第3の壁33との間に、発電室42と第3の流路33とをつなぐ排ガス流通路を設けてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1、15、18、20、68:セルスタック装置
2、62:燃料電池セル
3、63:セルスタック
4、64:マニホールド
6:昇温室
7、67:原燃料供給管
8、66:燃料ガス供給管
10:燃料ガス流入口
11、16、19、21:流路部材
12:原燃料ガス送出口
13:改質触媒
14:燃料ガス送出口
17:改質部
23:流量調整部材
27、60:燃料電池モジュール
50:燃料電池装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成するための改質部を具備するセルスタック装置およびこれを用いた燃料電池モジュールならびに燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と空気(酸素含有ガス)とを用いて電力を得ることができる燃料電池セルを複数個配列してなるセルスタックと、該セルスタックに供給する燃料ガスを生成するための改質器とを備えるセルスタック装置や、該セルスタック装置を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュールが種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、燃料電池セルに供給する燃料ガスを生成するにあたっては、例えば、天然ガス等の炭化水素系ガスを水蒸気と反応させて燃料ガスを生成する水蒸気改質法や部分酸化改質法が知られており、そのような改質を行なうための改質器も種々提案されている。
【0004】
図11は従来の燃料電池モジュール60を示す外観斜視図であり、収納容器61よりセルスタック装置68を後方に引出した状態を示している。
【0005】
セルスタック装置68は、複数の燃料電池セル62を配列してなるセルスタック63を有しており、セルスタック63の上方にはUの字状の改質器65が配置されている。改質器65において、原燃料供給管67より供給された原燃料は、気化部69にて温度の上昇した原燃料ガスとされたのち、改質部70内にて水蒸気改質等の改質反応が行なわれて燃料ガス(水素含有ガス)に改質される。そして気化部69と改質部70とからなる改質器65にて生成された燃料ガスは、燃料ガス供給管66を介してマニホールド64に供給され、マニホールド64から各燃料電池セル62に燃料ガスが供給される。このような構成により、セルスタック装置68が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−59377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、セルスタック装置68においては、気化部69および気化部69と改質部70の接続部がセルスタック63の直上にあるため、改質部入口(接続部)の温度の上昇に伴って、過剰に温度の上昇した原燃料ガスが改質部70に供給されるおそれがある。それにより、改質部70内に設けられた改質触媒が過昇温により劣化し、セルスタック装置68の耐久性が低下するおそれがある。
【0008】
それゆえ、本発明においては、耐久性の低下を抑制し、長期信頼性が向上したセルスタック装置およびこれを用いた燃料電池モジュールならびに燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のセルスタック装置は、内部に長手方向に沿って燃料ガスを下端部から上端部へ流すための燃料ガス流路を備え、前記燃料ガスと酸素含有ガスとで発電する柱状の燃料電池セルを複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるとともに、発電に使用されなかった前記燃料ガスを前記燃料電池セルの上端部側で燃焼させる構成のセルスタックと、前記燃料電池セルの下端部を固定するとともに、前記燃料電池セルの配列方向の両端部に燃料ガス流入口を備えて、前記燃料電池セルに前記燃料ガスを供給するマニホールドと、前記セルスタックの上方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で配置され、外部より供給される原燃料を加熱して原燃料ガスとするとともに、該原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、前記燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、前記燃料電池セルの長手方向に沿って他端が前記燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、前記セルスタックの上方で前記昇温室の下方または側方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で前記燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、前記燃料電池セルの配列方向における中央部側が前記原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ前記燃料ガス供給管に接続されており、内部に前記原燃料ガスを前記燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることを特徴とする。
【0010】
このようなセルスタック装置においては、セルスタック装置が、原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、燃料電池セルの長手方向に沿って他端が燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、セルスタックの上方で昇温室の下方または側方に燃料電池セルの上端部と離間した状態で燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、燃料電池セルの配列方向における中央部側が原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ燃料ガス供給管に接続されており、内部に原燃料ガスを燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることから、昇温室と流路部材との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室と流路部材との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0011】
それにより、流路部材内に過剰に温度が上昇した原燃料ガスが供給されることを抑制することができることから、流路部材(改質部)内に備える改質触媒の過昇温による劣化を抑制することができ、セルスタック装置の耐久性が低下することを抑制することができる。そのため、長期信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
【0012】
また、本発明のセルスタック装置は、前記流路部材の前記改質部が前記昇温室との接続部まで延長されていることが好ましい。
【0013】
このようなセルスタック装置においては、流路部材の改質部が昇温室との接続部まで延長されていることから、昇温室にて生成された温度の上昇した原燃料ガスを直ちに改質することができ、原燃料ガスを効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0014】
また、本発明のセルスタック装置は、前記流路部材は、前記改質部の一部が蛇行流路とされていることが好ましい。
【0015】
このようなセルスタック装置においては、流路部材は、改質部の一部が蛇行流路とされていることから、改質部の長さを長くすることができ、改質部内に配置する改質触媒の量を増加させることができ、原燃料ガスをさらに効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0016】
また、本発明のセルスタック装置は、前記原燃料ガス送出口と前記改質部との間または前記原燃料ガス送出口に、前記原燃料ガスの流量を調整する流量調整部材が設けられていることが好ましい。
【0017】
このようなセルスタック装置においては、原燃料ガス送出口と改質部との間または原燃料ガス送出口に、原燃料ガスの流量を調整する流量調整部材が設けられていることから、改質部に効率よく原燃料ガスを流入させることができ、原燃料ガスをさらに効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0018】
本発明の燃料電池モジュールは、上記のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。
【0019】
本発明の燃料電池装置は、上記の燃料電池モジュールと、前記セルスタック装置を作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることから、セルスタック発電効率の低下を抑制することができ、長期信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のセルスタック装置は、原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、燃料電池セルの長手方向に沿って他端が燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、セルスタックの上方で昇温室の下方または側方に燃料電池セルの上端部を離間した状態で燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、燃料電池セルの配列方向における中央部側が原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ燃料ガス供給管に接続されており、内部に原燃料ガスを燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることから、昇温室と流路部材との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室と流路部材との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。
【0021】
また、本発明の燃料電池モジュールは、上記のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。さらに、本発明の燃料電池装置は、上記の燃料電池モジュールと、セルスタック装置を作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることから、長期信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のセルスタック装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すセルスタック装置の一部を抜粋して示すA−A’線断面図である。
【図3】本発明のセルスタック装置の他の一例を示す斜視図である。
【図4】図3に示すセルスタック装置の一部を抜粋して示すB−B’線断面図である。
【図5】本発明のセルスタック装置のさらに他の一例の一部を抜粋して示す断面図である。
【図6】本発明のセルスタック装置のさらに他の一例を示す斜視図である。
【図7】図6に示すセルスタック装置の一部を抜粋して示すC−C’線断面図である。
【図8】本発明の燃料電池モジュールの一例を示す外観斜視図である。
【図9】図8に示す燃料電池モジュールのD−D’線断面図である。
【図10】本発明の燃料電池装置の一例を示す構成図である。
【図11】従来のセルスタック装置の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明のセルスタック装置の一例を示す外観斜視図であり、図2は、図1に示すセルスタック装置1を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材11および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示すA−A’線断面図である。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。
【0024】
図1に示すセルスタック装置1は、内部に長手方向に沿って下端部から上端部に貫通する燃料ガス流路を有する燃料電池セル2を複数個立設させた状態で、間に集電部材(図示せず)を介して電気的に直列に接続してなるセルスタック3が、セルスタック3を構成する燃料電池セル2の下端部を燃料電池セル2に燃料ガスを供給するマニホールド4に絶縁性の接着材により固定されている。また、燃料電池セル2の上端部側には、燃料電池セル2と離間して、外部より供給される原燃料を温度の上昇した原燃料ガスとするとともに、該原燃料ガスを送出する原燃料ガス送出口12を備えた箱状の昇温室6と、内部に改質触媒13を有する改質部を備え、昇温室6と接続された流路部材11とが配置されている。さらに、燃料電池セル2の配列方向(以下、セル配列方向と略す場合がある。)に沿った両端部には、燃料電池セル2の長手方向に沿って配置され、一端がマニホールド4に設けられた燃料ガス流入口10にそれぞれ接続され、他端が、燃料電池セル2の上端よりも上に位置するとともに、流路部材11にそれぞれ接続された燃料ガス供給管8が配置されている。
【0025】
なお、ここでいうマニホールド4の燃料電池セル2の配列方向に沿った端部とは、セルスタック3の端部からマニホールド4の端部までの空間およびマニホールド4の側面のうち燃料電池セル2配列方向と直交する側面を意味する。なお、セルスタック3の両端部には、燃料電池セル2の発電により生じた電流を収集して外部に引き出すための、電流引き出し部9を有する導電部材5が配置されている。
【0026】
ここで、燃料電池セル2としては、内部を燃料ガス(水素含有ガス)が長手方向に沿って流れる燃料ガス流路を有する中空平板状で、支持体の表面に、燃料側電極層、固体電解質層および酸素側電極層を順に設けてなる固体酸化物形燃料電池セル2を例示している。
【0027】
また、セルスタック装置1は、燃料電池セル2の上端部側において、燃料電池セル2の発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成とされている。それにより、後述する昇温室6や流路部材11の温度を効率よく上昇させることができる。
【0028】
図2において、セルスタック3の上方におけるセル配列方向の中央部に、燃料電池セル2の上端部と離間して配置される昇温室6は、箱状の形状からなり、上面中央部に外部から原燃料を供給する原燃料供給管7が接続されており、底面のセル配列方向に沿った両端部に原燃料ガス送出口12をそれぞれ備えている。原燃料供給管7より供給された原燃料は、昇温室6にて温められ、温度の上昇した原燃料ガスとなり、原燃料ガス送出口12から流路部材11に送出される。なお、セルスタック3の上方におけるセル配列方向の中央部に、昇温室6が配置されることから、原燃料を効率よく温度の上昇した原燃料ガス(昇温室6の温度を効率よく上昇する)することができる。
【0029】
図1および図2において示す流路部材11は、それぞれ原燃料ガス送出口12と接続される2つの部材からなり、中央部側が昇温室6の底面(原燃料ガス送出口12)と接続され、昇温室6の下方(燃料電池セル2側)に向けて延びた後、セル配列方向に沿ってセルスタック3の端に配置された燃料電池セル2側(セルスタック装置1の端部側)に向けて延び、両端部がそれぞれ燃料ガス供給管8と接続されている。
【0030】
図1および図2においては、一方の部材の一端が一方の原燃料ガス送出口12と接続され、一方の部材の他端が一方の燃料ガス供給管8と接続され、他方の部材の一端が他方の原燃料ガス送出口12と接続され、他方の部材の他端が他方の燃料ガス供給管8と接続されている。
【0031】
流路部材11は、内部の全域に改質触媒13を有する改質部17を備えるとともに、セル配列方向に沿った端部側(燃料ガス供給管8との接続部)に燃料ガス送出口14を備えている。原燃料ガス送出口12から送出された原燃料ガスは、改質触媒13により燃料ガスに改質されながら、下方に向けて流れた後、セル配列方向に沿った端部側に向けて流れる。生成された燃料ガスは、燃料ガス送出口14に接続された燃料ガス供給管8を下方に向けて流れ、マニホールド4の両端部に設けられた燃料ガス流入口10からマニホールド4内に供給され、セルスタック3を構成する各燃料電池セル2に供給される。
【0032】
原燃料としては、都市ガス等の炭化水素系ガスや灯油等の液体燃料があげられる。なお、原燃料として炭化水素系ガス等の気体燃料を用いた場合には、原燃料ガスは炭化水素系ガスを意味する。
【0033】
図1および図2に示すセルスタック装置1においては、流路部材11の改質部17において生成された燃料ガスは、マニホールド4の両端部側よりセルスタック3を構成する各燃料電池セル2に供給されることとなる。それにより、セルスタック3を構成する各燃料電池セル2に十分な量の燃料ガスを供給することができ、セルスタック3の発電効率を向上することができる。
【0034】
また、流路部材11および昇温室6とマニホールド4とが、2本の燃料ガス供給管8により接続されていることから、流路部材11および昇温室6とマニホールド4とを強固に接続することができる。
【0035】
なお、図2に示すセルスタック装置1において、流路部材11(改質部17)は、左右対称となるように設けることが好ましい。それにより、マニホールド4の両端部側より供給される燃料ガスの量を均一に近づけることができ、セルスタック3を構成する各燃料電池セル2に十分な量の燃料ガスを供給することができ、セルスタック3の発電効率を向上することができる。また、流路部材11の容積および内部に配置される改質触媒13の量が同じとなれば左右対称でなくともよい。
【0036】
改質部17の内部に備える改質触媒13としては、改質効率や耐久性に優れた改質触媒を用いることが好ましく、例えば、γ−アルミナ、α−アルミナまたはコージェライト等の多孔質担体にRu、Pt等の貴金属やNi、Fe等の卑金属を担持させた改質触媒等を用いることができる。
【0037】
ここで、流路部材11(改質部17)内に過剰に温度の上昇した原燃料ガスが供給された場合に、流路部材11(改質部17)内に備える改質触媒13が過昇温されて劣化が生じるおそれがある。それにより、セルスタック3の長期信頼性が低下するおそれがあった。
【0038】
図1および図2に示すセルスタック装置1において、流路部材11の中央部側が、流路部材11における最も高い位置にて昇温室6と接続されていることから、昇温室6と流路部材11との接続部が、燃料電池セル2の上端部側で、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができる。それにより、流路部材11(改質部17)内に過剰に温度の上昇した原燃料ガスが供給されることを抑制することができることから、改質触媒13の過昇温による劣化が生じることを抑制でき、セルスタック3の長期信頼性を向上させることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置1とすることができる。
【0039】
また、改質部17が昇温室6との接続部まで延長されている(改質部17と昇温室6とが接続されている)ことから、昇温室6にて生成された温度の上昇した原燃料ガスを直ちに改質することができ、原燃料ガスを効率よく燃料ガスに改質することができる。
【0040】
ここで、図11に示した従来の燃料電池モジュール60では、気化部69が燃料電池セル62の直上に設けられていることから、過剰に温度の上昇した原燃料ガスが改質部70に供給され、改質触媒が過昇温により劣化するおそれがあった。それにより、改質効率が低下し、セルスタック63の長期信頼性が低下するおそれがあった。
【0041】
一方、図1および図2に示すセルスタック装置1は、昇温室6が流路部材11の上方に配置されている(昇温室6が、従来のセルスタック装置68における気化部69よりも高い位置に設けられていることとなる。)ことから、過剰に温度の上昇した原燃料ガスが改質部17に供給されることを抑制することができる。それにより、改質触媒13の過昇温による劣化を抑制し、セルスタック3の長期信頼性を向上させることができる。
【0042】
ここで、流路部材11(改質部17)において水蒸気改質をする場合において、原燃料供給管7に原燃料および水を供給し、昇温室6にて原燃料を温度の上昇した原燃料ガスとするとともに水を水蒸気に気化させた後、原燃料ガス送出口12を介して流路部材11に原燃料ガスおよび水蒸気を供給し、改質部17にて所定の改質触媒13により水蒸気改質を行なう。その際、昇温室6の大きさ(容積)が不十分であると、気化不良をおこす可能性があり、改質部17に気化されていない水が供給されてしまい、改質触媒13の気孔中に水が入り込むおそれがある。この場合に、改質部17の温度上昇に伴い、改質触媒13中の水が気化することで、改質触媒13が破損して劣化するおそれがある。
【0043】
図1および図2に示すセルスタック装置1は、流路部材11の上方に昇温室6を設けることから、昇温室6を十分な大きさを有する構成とすることができ、改質部17に水が供給されることを抑制し、改質触媒13の劣化を抑制することができる。それにより、セルスタック装置1の長期信頼性を向上させることができる。
【0044】
なお、昇温室6に水を供給するにあたり、原燃料供給管7とは別に水供給管を設けることもできる。この場合、原燃料供給管7と水供給管を2重管とすることが好ましい。
【0045】
また、図示していないが、昇温室6はセラミックボール等を備えることが好ましい。それにより、昇温室6内の表面積を増加させることができ、効率的に原燃料を温度の上昇した原燃料ガスとすることができるほか、水を効率よく水蒸気に気化させることができる。
【0046】
なお、図2に示すセルスタック装置1においては、流路部材11の全域に改質触媒13を備え、流路部材11の全域が改質部17となる例を示したが、流路部材11の一部のみを改質部17としてもよい。必要となる燃料ガスの量に合わせて改質触媒13の量を適宜設定し、流路部材11内に改質部17を設ければよい。
【0047】
また、図2に示すセルスタック装置1においては、改質部17が原燃料ガス送出口12との接続部まで延長している構成を示したが、改質部17が原燃料ガス送出口12との接続部まで延長していなくてもよい。
【0048】
図3は、本発明のセルスタック装置の他の一例を示す外観斜視図であり、図4は図3に示すセルスタック装置15を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材16および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示すB−B’線断面図である。
【0049】
図3に示すセルスタック装置15は、セル配列方向における中央部に、燃料電池セル2の上端部と離間して配置された箱状の昇温室6の両側方に、流路部材16が燃料電池セル2の上端部と離間して配置されている。昇温室6のセル配列方向と直交する両側面の上端部側にそれぞれ原燃料ガス送出口12が設けられており、原燃料ガス送出口12が両側方に配置された流路部材16の中央部側と接続されている。
【0050】
流路部材16は、原燃料ガス送出口12から送出された原燃料を燃料電池セル2側に向けて流した後に、セル配列方向と直交する両側面に設けられた燃料ガス送出口14に向けてセル配列方向に沿って原燃料ガスを流す。
【0051】
図3および図4に示すセルスタック装置15において、原燃料ガス送出口12が、昇温室6のセル配列方向と直交する側面における上端部側に設けられており、接続された流路部材16が原燃料ガスを燃料電池セル2側に向けて流した後、セル配列方向に沿った両端部に向けて流すことから、流路部材16の入り口(原燃料ガス送出口12)が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させることにより生じる燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、流路部材16(改質部17)に過剰に温度の上昇した原燃料ガスが供給されることを抑制することができることから、改質触媒13の過昇温による劣化を抑制することができ、改質効率の低下を抑制することができる。それにより、セルスタック3の長期信頼性を向上させることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置15とすることができる。
【0052】
図3および図4に示す昇温室6は、セルスタック3の上方にセル配列方向の中央部に位置するように配置されている。セルスタック3の発電に伴って、セルスタック3の燃料電池セル2の配列方向における中央部側の温度が高く、端部側の温度が低いという温度分布を生じる場合がある。ここで、図3および図4に示す昇温室6は、セル配列方向の中央部に位置するように配置されていることから、特に改質部17にて水蒸気改質を行う場合において、昇温室6での水が気化する際の気化熱により、セルスタック3の中央部側の温度を低下させることができ、セルスタック3のセル配列方向における温度分布が生じることを抑制することができる。それにより、温度の高い燃料電池セル2に生じる電流集中を抑制することができ、燃料電池セル2の劣化を抑制することができる。そのため、長期信頼性の向上したセルスタック装置15とすることができる。
【0053】
ここで、図1および図2において示す流路部材11を構成する昇温室6の左右に配置された各部材の容積、形状および改質触媒13の充填状態のばらつき等により、各部材の圧力損失が異なった場合に、昇温室6から各部材に送出される原燃料ガスの量が異なるおそれがあり、それにより、マニホールド4にそれぞれ設けられた燃料ガス流入口10に供給される燃料ガスの量が異なり、各燃料電池セル2に供給される燃料ガスの量にばらつきが生じ、燃料電池セル2が劣化するおそれがある。
【0054】
図4に示すセルスタック装置15は、原燃料ガス送出口12に流量調整部材23として細管を用いている。それにより、各部材に原燃料ガスを効率よく均一に分配させることができ、セルスタック装置15を構成する各燃料電池セル2に供給される燃料ガスの量を均一に近づけることができ、さらに効率のよい改質を行なうことができ、発電効率の向上したセルスタック装置15とすることができる。
【0055】
なお、流量調整部材23として、細管を用いる例を示したが、他にもオリフィス、層流素子または多孔質部材等を用いることもできる。なお、流量調整部材23として細管を用いる場合には、管径、穴数または長さ等を適宜設定することにより、昇温室6から各部材に送出される原燃料ガスの量を調整することができる。好ましくは、各部材に送出される原燃料ガスの量を均一に近づけるために、それぞれの流量調整部材23(細管)は、管径および長さが等しいことが好ましい。
【0056】
また、図4に示すセルスタック装置15のように改質部17が昇温室6との接続部まで延長されている場合においては、流量調整部材23は原燃料ガス送出口12に設ければよく、改質部17が昇温室6との接続部まで延長されていない場合においては、原燃料ガス送出口12と改質部17との間または原燃料ガス送出口12に設ければよい。いずれの場合においても、それぞれの改質部17に流入する燃料ガスの量が均一に近づくように流量調整部材23を設ければよい。
【0057】
図5は、本発明のセルスタック装置のさらに他の一例のセルスタック装置18を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材19および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示す断面図である。
【0058】
図5に示すセルスタック装置18は、昇温室6の両側方に流路部材19が配置されており、流路部材19の中央部側が原燃料送出口12と接続されている。昇温室6のセル配列方向と直交する側面における上端部側に原燃料ガス送出口12を備えるとともに、流路部材19(改質部17)内が、原燃料ガスを上下方向に蛇行するように流す蛇行流路となっており、原燃料ガスは流路部材19内を蛇行しながらセル配列方向に沿って流れている。それにより、改質部17の長さを長くする(改質触媒13の量を増加する)ことができ、改質効率をさらに向上させることができる。
【0059】
このような流路部材19においても、原燃料ガス送出口12から送出された原燃料ガスは燃料電池セル2側に向けて流れた後、流路部材の19のセル配列方向における両端部に設けられた燃料ガス送出口14に向けて流れることとなる。図5に示すセルスタック装置18は、流路部材19のセル配列方向に沿って流す部位が蛇行流路となっている。
【0060】
ここで、セルスタック装置18は、燃料電池セル2の上端部側で発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させる構成とされており、その燃焼熱で効率的に昇温室6および流路部材19の温度を上昇させることができ、原燃料を効率よく温度の上昇した原燃料ガスとすることができるほか、原燃料ガスの改質を効率よく行なうことができる。
【0061】
図5に示すセルスタック装置18は、原燃料ガスが流路部材19内(改質部17内)を蛇行するように流れることから、改質部17内に備えられる改質触媒13の量(原燃料ガスと改質触媒13とが接する時間)を増加させることができ、改質効率をさらに向上させることができる。それにより、セルスタック3の発電効率を向上させることができ、発電効率の向上したセルスタック装置18とすることができる。
【0062】
なお、図5においては、原燃料ガスを上下方向に蛇行する蛇行流路を設けた流路部材19を示したが、蛇行流路は、セル配列方向に沿ってもしくは、燃料電池セル2の幅方向に沿って蛇行する蛇行流路とすることもできる。この場合においても、改質部17の長さを長くする(改質触媒13の量を増加する)ことができ、改質効率を向上させることができる。
【0063】
また、昇温室6内に仕切部材(図示せず)を設けて原燃料ガスが上下方向に蛇行するように流れるための蛇行流路を設けてもよい。この場合においても、原燃料ガスが蛇行するように流れることから、原燃料が昇温室6内を流れる距離を増加させることができ、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させた際に生じる燃焼熱により、効率的に原燃料ガスの温度を上昇させることができることから、改質効率をさらに向上させることができる。
【0064】
なお、図5に示すセルスタック装置18においては、改質部17の全域に蛇行流路を設けた例を示したが、改質部17の一部のみを蛇行流路としてもよい。
【0065】
また、流路部材19の改質触媒13が配置されていない部位(改質部17ではない部位)を蛇行流路としてもよい。この場合においても、燃料ガスを蛇行させて流すことができ、燃料ガスの温度を効率よく上昇させることができ、温度の上昇した燃料ガスを燃料電池セル2に供給することができる。それによりセルスタック装置18の発電効率を向上させることができる。
【0066】
図6は、本発明のセルスタック装置のさらに他の一例を示す外観斜視図であり、図7は図6に示すセルスタック装置20を構成する昇温室6、原燃料供給管7、流路部材21および燃料ガス供給管8の一部を抜粋して示すC−C’線断面図である。
【0067】
図6に示すセルスタック装置20は、セル配列方向における中央部に配置された昇温室6の底面中央部に原燃料ガス送出口12が設けられており、原燃料ガス送出口12に管状の流路部材21が接続されている。
【0068】
流路部材21は、昇温室6の下方に燃料電池セル2と離間した状態で配置され、中央部に原燃料ガス送出口12に接続する連結部22を有し、連結部22(中央部側)は原燃料送出口12に接続されている。流路部材21は、両端部に燃料ガス送出口14を備え、燃料ガス送出口14は燃料ガス供給管8と接続されている。そのため、流路部材21は、連結部22を燃料電池セル2側に向けて流れた原燃料ガスをセル配列方向における両端部に設けられた燃料ガス送出口14に向けて流した後、セルスタック3の両端部側に配置されたそれぞれの燃料ガス供給管8に流すように設けられている。セルスタック装置20においては、流路部材21と燃料ガス供給管8は一体的に設けられている。
【0069】
それにより、流路部材21と燃料ガス供給管8とを別々に作製した後、溶接等により接続する工程を簡略化することができ、セルスタック装置20の製造工程を簡略化することができる。
【0070】
なお、図6および図7に示すセルスタック装置20は、昇温室6と改質部17とが直接接続されていない。この場合においても、昇温室6と流路部材21との接続部が、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて生じた燃焼熱により直接温められることを抑制することができ、昇温室6と流路部材21との接続部の温度が過剰に上昇することを抑制することができる。それにより、改質部17に過剰に温度が上昇した燃料ガスが供給されることを抑制することができ、改質触媒13が劣化することを抑制することができる。
【0071】
図8は、収納容器28内に、上述したセルスタック装置1を収納してなる本発明の燃料電池モジュール27(以下、モジュールという場合がある。)の一例を示す外観斜視図である。なお、図8においては、昇温室6および流路部材11を収納容器28の上壁の内面に接続しており、セルスタック装置1としては、昇温室6および流路部材11を取り外した状態を示している。
【0072】
また、図8に示すモジュール27においては、収納容器28の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されるセルスタック装置1(図8においては昇温室6および流路部材11を取りはずして示している)を後方に取り出した状態を示している。以下に、モジュール27を構成する収納容器28について説明する。
【0073】
図9は、図8に示すモジュール27の示すD−D’線断面を概略的に示した断面図である。モジュール27を構成する収納容器28は、外壁30にて収納容器28の外枠が形成され、内部に燃料電池セル2(セルスタック3)を収納する発電室42が形成されている。
【0074】
このような収納容器28においては、セルスタック3を構成するセル配列方向に沿う側部と、該側部に対向する収納容器28の外壁との間に、空気や排ガスを流すための流路を備えている。
【0075】
ここで、収納容器28は、外壁30の内側に所定間隔をあけて第1の壁31が形成されており、第1の壁31の内側に所定間隔をあけて第2の壁32が配置されており、さらに第2の壁32の内側に所定間隔をあけて第3の壁33が配置されている。
【0076】
それにより、外壁30と第1の壁31とで形成された空間が第1の流路34となり、第2の壁32と第3の壁33とで形成された空間が第2の流路35となり、第1の壁31と第2の壁32とで形成された空間が第3の流路36となる。
【0077】
なお、図9に示した収納容器28においては、第1の壁31の上端部が第2の壁32に接続されており、第2の壁32が収容容器28の上壁(外壁30)と接続されており、第3の壁33の上端部が第2の壁32と接続されている。
【0078】
また、収納容器28の底部には、空気(酸素含有ガス)を収納容器28内に供給するための空気供給管37が接続されており、空気供給管37より供給される空気は空気導入部38に流れる。空気導入部38は空気導入口39により第1の流路34とつながっているため、空気導入部38を流れる空気は、空気導入口39を通して、第1の流路34に流れる。第1の流路34を上方に向けて流れた空気は、第2の壁32に設けられた空気流通口40を通して、第2の流路35に流れる。そして、第2の流路35を下方に向けて流れた空気は、第3の壁33に設けられた空気吹き出し口41を通して、発電室42内に供給される。
【0079】
一方、燃料電池セル2より排出される排ガスや、燃料電池セル2の上端部側で発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させることにより生じる排ガスは、第2の壁32に設けられた排ガス流通口43を通して第3の流路36に流入する。そして、第3の流路36を下方に向けて流れた排ガスは、排ガス収集口44を通して排ガス収集部45に流れた後、排ガス収集部45に接続された排ガス排気管46を通して収納容器28の外部に排気される。
【0080】
それゆえ、空気導入管37より供給される空気は、空気導入部38を流れる間に、排ガス収集部45を流れる排ガスと熱交換され、第1の流路34を流れる間に、第3の流路36を流れる排ガスと熱交換され、第2の流路35を流れる間に、発電室42内の熱とで熱交換されることとなる。
【0081】
なお、図9において、空気導入管37の内部に排ガス排気管46が位置するように設けた例を示しているが、排ガス排気管46の内部に空気導入管37が位置するように設けることもでき、さらには、空気導入管37と排ガス排気管46とは、それぞれ位置をずらして設けることもできる。
【0082】
ここで、図9に示すモジュール27においては、第3の流路36のうち、第2の壁27側に断熱材47(図中において断熱材47は斜線にて示している)が配置されている。それにより、第2の流路35を流れる空気と第3の流路36を流れる排ガスとの熱交換を抑制することができ、第2の流路35を流れる空気の温度が低下することを抑制できる。
【0083】
それにより、燃料電池セル2に供給される空気の温度が低下することを抑制でき、高温の空気を燃料電池セル2に供給することができることから、発電効率の高いモジュール27とすることができる。
【0084】
なお、第3の流路36に配置される断熱材47は、好ましくは、セルスタック3を構成する燃料電池セル2の配列方向に沿う側部の外形以上の大きさとすることが好ましい。それにより、第2の流路35を流れる空気と第3の流路36を流れる排ガスとの熱交換を効率よく抑制することができる。
【0085】
また断熱材47は、第3の流路36以外にも、収納容器28内の熱が極端に放熱され、燃料電池セル2(セルスタック3)の温度が低下して発電量が低減しないように適宜設けることができ、図9においては、第3の流路36以外に、マニホールド4の底部と、燃料電池セル2(セルスタック3)の両側面側と、収納容器28の上壁(外壁48)と昇温室6との間とに設けている例を示している。
【0086】
ここで、セルスタック3(燃料電池セル2)の両側面側に配置されている断熱材47においては、空気吹き出し口41に対応して、空気を燃料電池セル2側に流すための孔が設けられている。
【0087】
そして空気吹き出し口41より発電室42内に供給された空気は、燃料電池セル2の下端部側から上端部側に向けて流れることとなり、効率よく燃料電池セル2の発電を行なうことができる。
【0088】
長期信頼性の向上したセルスタック装置1を上述のような収納容器の発電室42内に収納することにより、長期信頼性の向上したモジュール27とすることができる。
【0089】
図10は、外装ケース内に図9で示したモジュール27と、モジュール27を動作させるための補機(図示せず)とを収納してなる燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、図10においては一部構成を省略して示している。
【0090】
図10に示す燃料電池装置50は、支柱51と外装板52から構成される外装ケース内を仕切板53により上下に区画し、その上方側を上述したモジュール27を収納するモジュール収納室54とし、下方側をモジュール27を動作させるための補機を収納する補機収納室55として構成されている。なお、補機収納室55に収納する補機を省略して示している。それにより、コンパクトな燃料電池装置50とすることができる。
【0091】
また、仕切板53には、補機収納室55の空気をモジュール収納室54側に流すための空気流通口56が設けられており、モジュール収納室54を構成する外装板52の一部に、モジュール収納室54内の空気を排気するための排気口57が設けられている。
【0092】
このような燃料電池装置50においては、上述したように、長期信頼性の向上したモジュール27をモジュール収納室54に収納し、モジュール27を動作させるための補機を補機収納室55に収納して構成されることにより、長期信頼性の向上した燃料電池装置50とすることができる。
【0093】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【0094】
例えば、昇温室6の原燃料供給管7に、原燃料または水を流路部材11に向けて流すための流通方向調整部材を設けることも可能である。
【0095】
なお流通方向調整部材としては、底部を有する筒状の容器の左右に穴を有する部材のほか、先端が二手に分かれたパイプ等、適宜左右2方向に原燃料を流すことのできる部材とすることができる。
【0096】
また、この場合において流通調整方向部材の吹き出し口は、昇温室6の底面と対向しないように設けることが好ましい。それにより、昇温室6の一部の温度が急激に低下し、昇温室6での水の気化効率が悪くなることを抑制できる。
【0097】
また例えば原燃料ガス送出口12に原燃料が十分に気化されずに改質部17に流入することを抑制する原燃料流入抑制部材を設けてもよい。
【0098】
原燃料流入抑制部材としては、蓋を有する筒状の容器の左右に穴を有する部材等があげられ、特に、原燃料供給管7と原燃料ガス送出口12とが平面視して同一線上にある場合に特に有効に用いることができる。
【0099】
また例えば、収納容器28は、外壁30と第1の壁31とで第1の流路34を形成し、第2の壁32と第3の壁33とで第2の流路35を形成し、第1の壁31と第2の壁32とで第3の流路36を形成していればよく、適宜空気流通口41や排ガス流通口43の位置を変更することもできる。
【0100】
また、例えば第1の壁31と第2の壁32との間に第1の流路34と第2の流路35とをつなぐ空気流通路を設けてもよく、第2の壁32と第3の壁33との間に、発電室42と第3の流路33とをつなぐ排ガス流通路を設けてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1、15、18、20、68:セルスタック装置
2、62:燃料電池セル
3、63:セルスタック
4、64:マニホールド
6:昇温室
7、67:原燃料供給管
8、66:燃料ガス供給管
10:燃料ガス流入口
11、16、19、21:流路部材
12:原燃料ガス送出口
13:改質触媒
14:燃料ガス送出口
17:改質部
23:流量調整部材
27、60:燃料電池モジュール
50:燃料電池装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に長手方向に沿って燃料ガスを下端部から上端部へ流すための燃料ガス流路を備え、前記燃料ガスと酸素含有ガスとで発電する柱状の燃料電池セルを複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるとともに、発電に使用されなかった前記燃料ガスを前記燃料電池セルの上端部側で燃焼させる構成のセルスタックと、
前記燃料電池セルの下端部を固定するとともに、前記燃料電池セルの配列方向の両端部に燃料ガス流入口を備えて、前記燃料電池セルに前記燃料ガスを供給するマニホールドと、
前記セルスタックの上方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で配置され、外部より供給される原燃料を加熱して原燃料ガスとするとともに、該原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、
前記燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、前記燃料電池セルの長手方向に沿って他端が前記燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、
前記セルスタックの上方で前記昇温室の下方または側方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で前記燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、前記燃料電池セルの配列方向における中央部側が前記原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ前記燃料ガス供給管に接続されており、内部に前記原燃料ガスを前記燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることを特徴とするセルスタック装置。
【請求項2】
前記流路部材の前記改質部が前記昇温室の前記原燃料ガス送出口との接続部まで延長されていることを特徴とする請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項3】
前記流路部材は、前記改質部の一部が蛇行流路とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のセルスタック装置。
【請求項4】
前記原燃料ガス送出口と前記改質部との間または前記原燃料ガス送出口に、前記原燃料ガスの流量を調整するための流量調整部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池モジュールと、前記セルスタック装置を作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項1】
内部に長手方向に沿って燃料ガスを下端部から上端部へ流すための燃料ガス流路を備え、前記燃料ガスと酸素含有ガスとで発電する柱状の燃料電池セルを複数個立設させた状態で配列して電気的に接続してなるとともに、発電に使用されなかった前記燃料ガスを前記燃料電池セルの上端部側で燃焼させる構成のセルスタックと、
前記燃料電池セルの下端部を固定するとともに、前記燃料電池セルの配列方向の両端部に燃料ガス流入口を備えて、前記燃料電池セルに前記燃料ガスを供給するマニホールドと、
前記セルスタックの上方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で配置され、外部より供給される原燃料を加熱して原燃料ガスとするとともに、該原燃料ガスを前記燃料電池セルの配列方向における中央部の上方に位置する原燃料ガス送出口から送出する箱状の昇温室と、
前記燃料ガス流入口にそれぞれの一端が接続され、前記燃料電池セルの長手方向に沿って他端が前記燃料電池セルの上端よりも上に位置する燃料ガス供給管と、
前記セルスタックの上方で前記昇温室の下方または側方に前記燃料電池セルの上端部と離間した状態で前記燃料電池セルの配列方向に沿って配置され、前記燃料電池セルの配列方向における中央部側が前記原燃料ガス送出口に接続され、両端部がそれぞれ前記燃料ガス供給管に接続されており、内部に前記原燃料ガスを前記燃料ガスに改質するための改質触媒を備えてなる改質部を有する流路部材を備えることを特徴とするセルスタック装置。
【請求項2】
前記流路部材の前記改質部が前記昇温室の前記原燃料ガス送出口との接続部まで延長されていることを特徴とする請求項1に記載のセルスタック装置。
【請求項3】
前記流路部材は、前記改質部の一部が蛇行流路とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のセルスタック装置。
【請求項4】
前記原燃料ガス送出口と前記改質部との間または前記原燃料ガス送出口に、前記原燃料ガスの流量を調整するための流量調整部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のセルスタック装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のセルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池モジュールと、前記セルスタック装置を作動させるための補機とを、外装ケース内に収納してなることを特徴とする燃料電池装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−96433(P2011−96433A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247462(P2009−247462)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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