説明

セルロース溶液

【課題】静電紡糸に適するセルロース溶液を提供することにより、射出状態、ノズル汚れを改善し、繊維中の粒子状部分を減少する。
【解決手段】セルロース濃度が0.5〜20wt%であり、平均分子量が1000〜400万であるポリアルキレングリコールと界面活性剤をそれぞれ0.01〜20wt%および0.01〜5wt%の濃度で含有していることを特徴とするセルロース溶液。又溶媒が銅アンモニア溶液であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロース溶液に関し、特に、静電紡糸法に適したセルロース溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維径の小さい繊維からなる繊維集合体は、単位体積あたりの表面積が非常に大きく、分離性能および液体保持性能等に優れているため、非常に有用である。
このような繊維集合体の製造方法の一つとして、静電紡糸法が知られている。(例えば特許文献1および2参照。)
【0003】
静電紡糸法とは、電極間に形成された静電場中に、ノズル等を用いて紡糸原液を吐出することで、静電気力と溶媒の揮発により、紡糸原液を細化および固化させて、極細繊維状物質をコレクター上に堆積させ、繊維や繊維集合体を得る紡糸方法である。
【0004】
紡糸原液は、ポリマーを溶媒に溶解させた溶液である。ポリマーは特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどが使用できる。ここに例示したポリマー以外も含め、二種類以上のポリマーを溶媒に溶解させた溶液を用いることもできる。
【0005】
また、溶媒はポリマーによって適当なものが選ばれる。特に限定されるものではないが、例えば、水、アセトン、メタノール、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ギ酸、クロロホルムおよびエチレンカーボネートなどが挙げられる。ここに例示した溶媒以外も含め、二種類以上を混合して、溶媒として用いることもできる。
【0006】
セルロース溶液の一つの例である銅アンモニアセルロース溶液は、ポリマーがセルロースであり、溶媒は銅、アンモニアおよび水などである。従来、産業用に用いられている銅アンモニアセルロース溶液の組成はおよそ以下の通りである。(特許文献3参照)
セルロース 9.0〜12.0wt%
銅 3.5〜4.0wt%
アンモニア 6.5〜8.0wt%
【0007】
ただし、上記組成の銅アンモニアセルロース溶液を静電紡糸しても、射出が不連続となり、繊維中に粒子状部分が存在し、繊維径が極めて小さく且つ均一な繊維集合体は得られない。また、上記組成の溶液に溶媒である水および/またはアンモニアなどを添加し、セルロース濃度および銅濃度を低下させた溶液で静電紡糸をしても、粒子状部分の比率は低下するが、射出の状態は依然として不連続であり、繊維中への粒子状部分の存在は避けられない。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−145465号公報
【特許文献2】特開2002−249966号公報
【特許文献3】特公昭45−25854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、繊維径が極めて小さく、均一で、粒子状部分の少ないセルロース極細繊維およびその繊維集合体を作製可能な、静電紡糸法に適したセルロース溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、セルロース溶液の静電紡糸法において、紡糸原液に特定の成分を含ませることで、極細で均一な繊維を安定して生産できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)セルロースが溶媒に溶解しているセルロース溶液において、セルロース濃度が0.5〜20wt%であり、平均分子量が1000〜400万であるポリアルキレングリコールを0.01〜20wt%と界面活性剤を0.01〜5wt%含有していることを特徴とするセルロース溶液。
【0012】
(2)セルロース溶液の表面張力が10〜50mN/mであることを特徴とする上記(1)に記載のセルロース溶液。
【0013】
(3)溶媒が銅アンモニア溶液であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のセルロース溶液。
【発明の効果】
【0014】
本発明のセルロース溶液は、静電紡糸に用いた際に、連続的に射出され、ノズル先端での紡糸原液の詰りが無く、安定して紡糸することができる。また、得られる繊維は、粒子状部分が極めて少なく、繊維径が極めて小さく且つ均一な繊維である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は静電紡糸に適したセルロース溶液に関するものであり、ポリアルキレングリコール及び界面活性剤を特定濃度範囲で含有するセルロース溶液である。
【0016】
本発明のセルロース溶液について、以下に詳述する。
セルロース原料としては、コットンリンターおよびパルプ等が挙げられ、その重合度(DP)は精製後において、700〜1000である事が好ましい。セルロース原料の重合度がこの範囲であると、溶解後のセルロース溶液として、静電紡糸に適した粘性を得ることができ、静電紡糸によるセルロース繊維の重合度を比較的高い範囲で維持できる。
【0017】
溶媒としては銅アンモニア、二硫化炭素、苛性ソーダ、硫酸、液体アンモニア/チオシアン酸アンモン、N−メチルモルホリンN−オキシドおよびDMAc/LiCl等セルロースに対して溶解能を有する溶媒が挙げられる。これらの溶媒の中では、セルロース溶液としての粘性安定性、導電性および溶解安定性の観点から、銅アンモニア溶液が好ましい。
【0018】
本発明のセルロース溶液におけるセルロース濃度は0.5〜20wt%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜15wt%の範囲、特に好ましくは2〜10wt%の範囲である。セルロース濃度が0.5wt%未満では、溶液の溶解安定性が低く、また繊維中に粒子状部分が多くなる。また、20wt%を超えると、粘度が著しく高く、静電紡糸の射出安定性が悪い。よって濃度は0.5〜20wt%の範囲が好ましい。
なお、本明細書において、繊維中の粒子状部分とは、繊維径が平均径の数倍から数百倍に大きくなった概ね球状の部分であり、大きいものは直径が数μmにも達する場合がある。
【0019】
セルロース溶液の粘度は0.001〜300Pa・sの範囲が好ましく、より好ましくは0.005〜100Pa・sの範囲、特に好ましくは0.01〜10Pa・sの範囲である。粘度がこの範囲にあると、静電紡糸における射出安定性の観点から好ましい。なお、セルロース溶液の粘度は、後述するように、例えばセルロース濃度およびポリアルキレングリコール濃度によって制御することができる。
【0020】
セルロース溶液の電気伝導度は0.01〜30mS/cmの範囲であり、より好ましくは0.05〜20mS/cmの範囲である。電気伝導度がこの範囲にあると、射出安定性の観点から好ましい。なお、セルロース溶液の電気伝導度は、例えば、溶液中に含まれる有機酸塩、無機酸塩および金属イオン等の濃度によって制御することができる。
【0021】
セルロース溶液の表面張力は10〜50mN/mの範囲であり、より好ましくは10〜40mN/m、特に好ましくは10〜35mN/mの範囲である。表面張力がこの範囲にあると、射出安定性の観点から好ましい。なお、セルロース溶液の表面張力は、後述するように、例えば界面活性剤の濃度によって制御可能である。
【0022】
本発明のセルロース溶液に含有されるポリアルキレングリコール(以下はPAGと略す)は、下記式(1)〜(4)のうちの少なくとも1つであることが好ましい。これらの式中、RおよびR’はアルキル基であり、AOはアルキレンオキサイドである。アルキレンオキサイドは2種類以上のアルキレンオキサイドを含んでもよく、分岐を含む構造であっても良い。例えば、特に限定されるものではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリエチレンングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレンングリコールモノアルキルエーテルおよびポリエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0023】
RO−(AO)n−R’ (1)
RO−(AO)n−H (2)
HO−(AO)n−H (3)
R[−O−(AO)n−H]3 (4)
【0024】
PAGの平均分子量は、1000〜400万の範囲が好ましく、より好ましくは5000〜200万、特に好ましくは10万〜100万の範囲である。PAGの平均分子量がこの範囲にあると、以下に述べる、PAGの添加効果により、射出安定性が飛躍的に向上するという観点から好ましい。逆に、平均分子量が1000より小さいと、以下に述べるPAGの添加効果の発現が認められず、また400万を越えると、紡糸原液の粘度の観点から好ましくない。
【0025】
またその含有量は0.01〜20wt%の範囲であり、好ましくは0.05〜10wt%、特に好ましくは0.1〜5wt%の範囲である。PAGの含有量がこの範囲にあると、PAGの添加効果により、射出安定性が飛躍的に向上するという観点から好ましい。逆に、0.01wt%未満ではPAGの添加効果が認められず、また20wt%を超えると、経済性の観点から好ましくない。
【0026】
静電紡糸におけるセルロース溶液において、PAGの働きは、セルロース溶液中で、セルロース分子とPAG分子が相互作用し、新たな構造体を形成することで、PAGがセルロース分子同士の絡み度合いを改善する役割を果たし、結果として、静電紡糸の射出ノズルから、安定して、連続的なセルロース溶液の射出を可能にする効果を発現していると推察される。新たな構造体の形成については、セルロース溶液の動的粘弾性測定において、PAGを含有しないセルロース溶液については、低周波数領域において粘性は低下しているが、PAGを含有するセルロース溶液については、低周波数領域で粘性が上昇することから推察される。
【0027】
また、セルロース溶液の静電紡糸において、PAGはセルロース溶液の曳糸性を良好にし、連続射出性を顕著に向上させる効果を有する。
PAGを含有しない場合において、溶液中のセルロース濃度が低い場合は、セルロース分子同士の絡みが不十分であり、射出時に、電場によって引っ張られる紡糸原液は、ノズル先端において引きちぎられるような状態となり、結果として、連続的な射出は達成されない。そこで、この問題を改善するために、溶液中のセルロース濃度をより高濃度にするが、それでも射出ノズル先端の紡糸状態が改善されない、もしくは溶液の粘度が上昇し、適正範囲から外れることで、射出自体が起こりにくくなる。この粘度上昇は、銅アンモニアセルロース溶液の場合、その粘度が、セルロース濃度の6.5乗に比例するためである。
【0028】
これに対し、本発明のごとく、PAGを比較的少量でも含有するセルロース溶液では、PAGを介してセルロース分子同士の絡みが飛躍的に改善され、セルロース溶液がちぎれないで、連続的な射出が可能となる。
【0029】
また、その粘度についても、銅アンモニアセルロース溶液の場合、PAGを含有しない場合においては、セルロース(分子量:約10万)濃度が5wt%のとき、約3.6Pa・sであるが、PAGを含有する場合、全ポリマー濃度が5wt%(セルロース(分子量:約10万)4wt%、PAG(分子量:約50万)1wt%)のとき約1.7Pa・sであり、PAGを含有しない場合と比較して、粘度が小さく、より静電紡糸が容易な溶液である。
【0030】
このように、PAGはセルロース溶液において、セルロースポリマーの溶解をミクロに向上させる手助けをし、繋ぎ剤的な役割を果たすものといえる。
【0031】
本発明に用いる界面活性剤は、セルロース溶液に添加する際に、溶液によく相溶し、ゲル化など溶液を変質させるものでなければ、特に限定されるものではなく、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、両性、及びこれらの2種類以上を含むもののいずれを用いてもよい。例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタインおよびアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0032】
その含有量は、0.01〜5wt%の範囲であり、好ましくは0.05〜2wt%、特に好ましくは0.1〜1wt%の範囲である。界面活性剤の含有量がこの範囲にあると、射出安定性の観点から好ましい。逆に、含有量が0.01wt%未満では、以下に述べる界面活性剤の添加効果が発現されず、また5wt%以上では、セルロース溶液の粘度上昇と、経済性の観点から好ましくない。
【0033】
本発明に用いる界面活性剤の働きは、セルロース溶液の表面張力を低下させ、玉状での射出を排除し、射出におけるセルロース溶液の変形、繊維状への細化を容易にする効果を有する。界面活性剤を特定範囲で含有することで、銅アンモニアセルロース溶液(セルロース濃度:3wt%)の場合、その表面張力を58.7mN/mから30.3mN/mへと大きく低下させることが出来、射出ノズル先端での玉状での射出を排除できる。
【0034】
本発明は静電紡糸法に適したセルロース溶液に関するが、なかでもより好ましい紡糸原液である、銅アンモニアセルロース溶液の作製方法について説明する。
【0035】
まず硫酸銅溶液にアンモニアを反応させ水酸化銅溶液をつくり、これに濃アンモニアを加えて、セルロース溶解能を有する銅アンモニア溶液を作製する。これにセルロース源として重合度が700〜1000の精製されたコットンリンターを添加し、十分に攪拌し、溶解させることで、セルロース濃度が8〜12wt%である銅安セルロース溶液を作製する。
【0036】
次に、静電紡糸に適した銅アンモニアセルロース溶液とするには、さらにこの溶液に、PAGおよび界面活性剤をそれぞれの濃度が0.01〜20wt%および0.01〜5wt%になるように添加し、均一に分散するようよく混練する。
【0037】
また、この溶液のセルロース、銅およびアンモニアの濃度については、PAG等を添加する前の段階で調整してもよいし、PAG等を添加する際に、同時にアンモニア水等を添加して調整してもよい。
【0038】
次に、前記セルロース溶液を静電紡糸法によって紡糸する方法について説明する。本紡糸法は、該溶液を静電場に導入すればよく、特に限定されるものでなく、任意の便宜的な方法を用いることが出来る。例えば、図1に示すように、シリンジ1に紡糸原液2を入れ、シリンジポンプ3により金属製ノズル4を通じて紡糸原液を任意の吐出量で押し出す。また、これと並行して高電圧発生装置5によりノズルに高電圧を印加することで、ノズルと接地されたコレクター6の間に静電場を形成させる。静電場中に押し出された紡糸原液は、溶液内の電荷の反発により細化され、コレクター上に極細繊維状として捕集される。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明について実施例を用いて、更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例中にあるセルロース溶液に関する各値は以下の方法により求めた。また、実施例、比較例中にある各評価については、以下の通りである。
【0040】
(1)表面張力
協和界面化学製の表面張力計(CBVP−Z)を用いて、25℃における表面張力を測定した。
【0041】
(2)(評価A)射出状態
1時間連続で紡糸した際に、射出ノズル先端部の紡糸原液の射出状態が、連続か不連続かを目視で観察して評価した。
○ 殆ど連続して射出した。
△ 不連続と連続が混在して射出した。
× 殆ど不連続に射出した。
【0042】
(3)(評価B)ノズル詰りおよび汚れの有無
1時間連続で紡糸した際に、ノズル先端部で紡糸原液の詰りおよび汚れの有無ついて評価した。
○ 詰りおよび汚れが殆ど無い状態であった。
△ 詰りおよび汚れが少々見られる状態であった。
× 詰りおよび汚れが多く見られた。
【0043】
(4)(評価C)繊維中の粒子状部分の有無
得られたシート状の繊維集合体(厚さは20μm)の表面を走査型電子顕微鏡(日本電子製 JSM−6380)で1000倍に拡大して観察し、その写真(12cm×8cm)内での粒子状部分の多少を評価した。
○ ほとんど存在しない。(個数:2個以内)
△ 少しだけ存在する。(個数:3〜5個)
× 多く存在する。(個数:6個以上)
【0044】
(実施例1〜4)
銅アンモニアセルロース溶液(セルロース:10wt%、銅:3.6wt%、アンモニア:6.1wt%、その他は殆ど水)に、アンモニア水(28wt%)、ポリエチレングリコール(以後はPEGと略す)水溶液(10wt%、分子量は表1に示した)、界面活性剤(商品名:ペグノール(東邦化学(株)製))を、表1の組成となるように添加し、よく混練して、静電紡糸用の紡糸原液を作製した。
【0045】
この紡糸原液を図1に示したシリンジに入れ、内径0.41mmの金属ノズルから金属基板上に定量吐出(2.62ml/hr)し、静電紡糸を行った。金属ノズルと金属基板間(距離:10cm)には、高圧電源で20kVの電圧を印加した。
【0046】
全ての実施例において、その紡糸状態は、射出はほぼ連続的で安定しており、射出ノズル先端での紡糸原液の詰りや汚れは殆ど無く、安定した静電紡糸状態であった。
また、得られた繊維集合体の表面を操作型電子顕微鏡で観察したところ、粒子状部分が極めて少ない、表面の滑らかな非常に細い繊維であった。実施例1の観察結果を図2に示す。
【0047】
(比較例1〜3)
銅アンモニアセルロース溶液(セルロース:10wt%、銅:3.6wt%、アンモニア:6.1wt%、その他は殆ど水)に、アンモニア水、PEG水溶液、界面活性剤(商品名:ペグノール(東邦化学(株)製))を、表1の組成となるように添加し、よく混練して、静電紡糸用の紡糸原液を作製した。
【0048】
この紡糸原液をシリンジに入れ、内径0.41mmの金属ノズルから金属基板上に定量吐出し、静電紡糸を行った。金属ノズルと金属基板間(距離:10cm)には、高圧電源で20kVの電圧を印加した。
【0049】
すべての比較例において、その紡糸状態は、射出は不連続であり、発生時間にそれぞれ若干の差があるものの、紡糸開始後数分程度で、ノズル先端によごれが発生し、しばらくするとこれが固化し、詰りが発生した。
【0050】
また、得られた繊維集合体には、目視でも確認できる程大きい、多数の粒子状部分が確認されるか、または、目視では観察できなくとも、走査型電子顕微鏡での拡大観察において、小さな粒子状部分が多数確認された。比較例2の観察結果を図3に示す。
【0051】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のセルロース溶液は、静電紡糸において好適に利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】静電紡糸法の一様態を示す模式図である。
【図2】実施例1で得られた繊維集合体表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【図3】比較例2で得られた繊維集合体表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。
【符号の説明】
【0054】
1 シリンジ
2 紡糸原液
3 シリンジポンプ
4 ノズル
5 高電圧発生装置
6 コレクター
10 粒子状部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースが溶媒に溶解しているセルロース溶液において、セルロース濃度が0.5〜20wt%であり、平均分子量が1000〜400万であるポリアルキレングリコールを0.01〜20wt%と界面活性剤を0.01〜5wt%含有していることを特徴とするセルロース溶液。
【請求項2】
セルロース溶液の表面張力が10〜50mN/mであることを特徴とする請求項1に記載のセルロース溶液。
【請求項3】
溶媒が銅アンモニア溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−280635(P2008−280635A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124512(P2007−124512)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】