説明

センサノードシステム、方法、端末およびプログラム

【課題】複数の区域間の相関性に基づいて、各区域のセンサノードの挙動を制御するセンサノードシステム、方法、端末およびプログラムを提供する。
【解決手段】多数のセンサノードにより構成されるセンサネットワークにおいて、代表区域の代表センサノードでのセンシング情報により、全区域の調査を行なう端末がコンテクストを算出する。次に、端末が、算出したコンテクストに応じて、さらに詳細な情報を取得するために、代表区域及び代表区域に関連する区域でのセンシング方法を決定する。次に端末が、決定したセンシング方法を、該当する各センサノードへ通知する。各センサノードは、通知を受信し、受信した通知に応じて動作するか否かなどの動作方法を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサネットワーク技術、特に区域間の相関性に基づくセンシング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサネットワーク技術の一方式として、センシング情報に応じた、センサノードの制御方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方式では、各センサノードが、消費電力が小さいセンサと、消費電力が大きいセンサとを持つ。各センサノードは、消費電力が小さいセンサで常時計測し、当該計測した結果が予め決められた閾値を超えた場合のみ、消費電力が大きいセンサにより計測するようにしている。
【0003】
例えば、交通量と環境汚染との関係を調査するセンサネットワークにおいて、消費電力が小さいセンサが騒音センサであり、消費電力が大きいセンサが微粒子センサである場合について説明する。この場合、騒音センサによる測定値が、予め決められた一定の値以上になった場合に、つまり、交通量が多い場合に、微粒子センサによりNOxなどの自動車からの排出物質を測定する。
【0004】
特許文献1においては、以上のような制御方法により、消費電力が大きいセンサを常時動作させないことにより、その消費電力が少なくなるという効果がある。
【特許文献1】特開2005−208719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すセンサノードの制御方式にあっては、複数の区域間の関連性に基づいて、各区域のセンサノードの挙動を制御していないという問題がある。
そのために、消費電力が小さいとはいえ、複数の区域においては複数の消費電力が小さいセンサが常時動作することになるので、その合計としての消費電力は多くなるという問題がある。
【0006】
また、ある区域での計測の結果、当該計測した結果が閾値を超えた時には、予め関連付けされている同じセンサノードの消費電力が大きいセンサにより計測をすることは可能であるが、例えば、隣接する複数の区域などのセンサは動作しないため、より詳細な広い地域における計測が出来ないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の区域間の関連性に基づいて、各区域のセンサノードの挙動を制御するセンサノードシステム、方法、端末およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、区域に関連付けられたセンサノードと端末とがネットワークを介して接続されるセンサノードシステムであり、前記端末が、区域と、該区域に関連する区域である関連区域とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、区域とセンサ種別と該センサ種別により測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たすか否かを検出することにより意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、を有し、前記センサノードが、前記センシングルールを前記端末から受信する受信手段と、前記受信したセンシングルールに基づいて測定するセンシング情報処理手段と、を有することを特徴とするセンサノードシステムである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、区域に関連付けられたセンサノードと端末とがネットワークを介して接続されるセンサノードシステムであり、前記端末が、区域と、該区域に関連する区域である関連区域と、該区域と該関連区域との間の位置の関係を示す関連性情報とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、前記センサノードが測定した値と予め決められた条件とを比較することにより検出される意味情報と、該意味情報が検出された場合に測定する関連性情報とが予め関連付けて記憶されている詳細情報取得ルール記憶手段と、区域とセンサ種別と該センサ種別により測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たすか否かを検出することにより意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて前記詳細情報取得ルール記憶手段から関連性情報を抽出し、該抽出した関連性情報と前記受信したセンシング情報の区域とに基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、を有し、前記センサノードが、前記センシングルールを前記端末から受信する受信手段と、前記受信したセンシングルールに基づいて測定するセンシング情報処理手段と、を有することを特徴とするセンサノードシステムである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記端末が、意味情報と、該意味情報が検出された場合にセンサを制御するための情報である属性値とがセンサ毎に予め関連付けて記憶されているセンサ種別情報記憶手段、を有し、前記コンテクスト算出手段が、前記検出された意味情報に基づいて前記センサ種別情報記憶手段からセンサ毎の属性値を抽出し、前記センシングルール送信手段が、前記抽出された属性値を前記センシングルールに含めて前記センサノードへ送信し、前記センシング情報処理手段が、前記受信したセンシングルールの属性値に基づいて測定する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサノードシステムである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記端末が、意味情報と、センサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とに基づいて予め定められた該意味情報を検出するための判定条件とが、予め関連付けて記憶されているコンテクスト算出ルール記憶手段、を有しており、コンテクスト算出手段が、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが、前記コンテクスト算出ルール記憶手段の判定条件を満たすか否かを検出し、前記検出した判定条件に関連付けられた意味情報を前記コンテクスト算出ルール記憶手段から抽出することにより意味情報を検出する、ことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のセンサノードシステムである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記端末が、前記センサノードから受信するセンシング情報のトラフィックを計測するトラフィック測定手段と、前記計測したトラフィックに基づいて前記センサノードが送信する通信量を制限するためのセンシング情報送信ルールを選択するセンシング情報送信ルール決定手段と、を有しており、前記センシングルール送信手段が、前記センシング情報送信ルールを前記センシングルールに含めて前記センサノードへ送信し、前記センサノードが、前記受信したセンシングルールに含まれるセンシング情報送信ルールに基づいて、前記センシング情報を送信するセンシング情報送信手段、を有する、ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載のセンサノードシステムである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記端末と前記センサノードとが基地局を中継して接続されており、前記基地局が、前記センサノードから受信するセンシング情報のトラフィックを計測するトラフィック測定手段と、前記計測したトラフィックに基づいて前記センサノードが送信する通信量を制限するためのセンシング情報送信ルールを選択するセンシング情報送信ルール決定部と、前記生成したセンシング情報送信ルールを前記センシングルールに含めて前記センサノードへ送信するビーコン信号送信手段と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5に記載のセンサノードシステムである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、区域に関連付けられたセンサノードと端末とがネットワークを介して接続されるセンサノードシステムで用いられる方法であり、前記端末が、区域情報記憶方法が、区域と、該区域に関連する区域である関連区域とを予め関連付けて記憶される過程と、センシング情報受信方法が、区域とセンサ種別と該センサ種別により測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信過程と、コンテクスト算出方法が、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たすか否かを検出することにより意味情報を検出するコンテクスト算出過程と、センシングルール決定方法が、前記コンテクスト算出方法が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶方法から抽出するセンシングルール決定過程と、センシングルール送信方法が、前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信過程と、を有し、前記センサノードが、受信方法が、前記センシングルールを前記端末から受信する受信過程と、センシング情報処理方法が、前記受信したセンシングルールに基づいて測定するセンシング情報処理過程と、を有することを特徴とするセンサノードシステム方法である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、区域に関連付けられたセンサノードとネットワークを介して接続される端末であり、区域と、該区域に関連する区域である関連区域とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、区域とセンサ種別と該センサ種別により測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たすか否かを検出することにより意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、を有することを特徴とする端末である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、区域に関連付けられたセンサノードとネットワークを介して接続されるコンピュータに、区域と、該区域に関連する区域である関連区域とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、区域とセンサ種別と該センサ種別により測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たすか否かを検出することにより意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、の機能をさせることを特徴とするセンサノードシステムプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、複数の区域間の関連性に基づいて、各区域のセンサノードの挙動を制御することにより、電力消費量を低減することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば、複数の区域間の関連性に基づいて、各区域のセンサノードの挙動を制御することにより、同区域の他のセンサノードを併用し、また、当該区域で発生した災害などの影響を受けやすい区域も計測の対象とすることにより、さらに詳細な情報を取得することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、多数のセンサノードにより構成されるセンサネットワークにおいて、代表区域の代表センサノードでのセンシング情報により、全区域の調査を行なう端末がコンテクストを算出する。
次に、端末が、算出したコンテクストに応じて、さらに詳細な情報を取得するために、代表区域及び代表区域に関連する区域でのセンシング方法を決定する。次に端末が、決定したセンシング方法を、該当する各センサノードへ通知する。
各センサノードは、通知を受信し、受信した通知に応じて動作するか否かなどの動作方法を決定する。
【0020】
この方法により、各センサノードの電力消費量を低減することができる。消費量を低減することができることは、各センサノードが蓄電池などで動作している場合など、電力の消費量が懸念される場合には、更に有効である。
【0021】
なお、算出されたコンテクストに基づいた詳細なセンシングを行なう場合に、各センサノードから送信されるセンシング情報のトラフィックが膨大になる可能性が有る。当該トラフィックの低減のため、トラフィック量を計測し、計測したトラフィック量に基づいて、センシング情報の集約やフィルタリングといった、センシング情報送信ルールを予め決定しておく。当該ルールに基づいて、各センサノードがセンシング情報を送信する。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態によるセンサノードシステムの構成を示す概略ブロック図である。
センサノードシステムは、全区域を同時に調査可能な端末1、各区域の基地局2及びセンサノード3により構成される。
端末1と各基地局2とは、ネットワーク4を介して接続されている。また、同じ区域の基地局2とセンサノード3とは、ネットワーク5を介して接続されている。ネットワーク4またはネットワーク5は、有線または無線のネットワークである。
【0023】
端末1と基地局2とは、それぞれ、ネットワーク4において、識別番号(例えばIPアドレス)により、それぞれが一意に識別されている。また、それぞれの区域における基地局2とセンサノード3とは、ネットワーク5において、IPアドレスのような識別番号により、それぞれが一意に識別されている。
また、それぞれのセンサノード3は、1つまたは複数のセンサを有している。
【0024】
図1において、区域1においては、複数のセンサノード3(1−1、1−2、1−M)からのセンシング情報は基地局2(1)に集められ、基地局2(1)のセンシング情報が端末1に集められる。同様に区域2から区域Nについてのセンサノード3からのセンシング情報も端末1に集められる。
【0025】
ここで、区域とセンサノード3には、それぞれ代表というものが予め設定されてあり、代表区域の代表センサノード3のみが、通常時において、そのセンサを用いて測定を実行し、測定した測定結果を端末1へ基地局2を介して送信している。代表区域における代表センサノード以外のセンサノード、及び、非代表区域のセンサノード3は、通常時においては、センサを用いた測定や、測定結果の送信などの動作は実行していない。
図1においては、区域1が代表区域であり、センサノード3(1−1)が代表センサノードである。また、区域2から区域Mは非代表区域であり、センサノード3(1−2、1−M、2−1から2−M、N−1からN−M)は非代表センサノードである。
【0026】
実施の形態においては、通常時においては、代表区域の代表センサノード3のみがモニタを実行している。そのため、他の区域のセンサノード3は動作していないために、全体としての消費電力は小さいものとなる。
ここで、代表センサノード3(1−1)の測定により、端末1が、例えば火災などを検出した場合には、代表区域の代表センサであるセンサノード3(1−1)のみでなく、代表区域の非代表センサノード3または代表区域と関連する非代表地域のセンサノード3も、モニタを実行する。
これにより、火災などの災害の場合には、複数の区域における複数のセンサノード3により、より詳細な情報を取得することができる。
なお、実施の形態においては、代表区域および代表センサノードは予め決められているものとして説明する。
【0027】
例えば、実施の形態の説明として、本発明によるセンサノードシステムを、例えば火災などのように、隣接する区域に波及しやすい災害の状況調査に用いる場合を例に説明する。
例えば、代表区域としては、火災が発生しやすい調理室がある区域を代表区域として予め設定する。また、火災を検出するために、代表センサノードのセンサとして、温度センサを予め設定する。
センサノードシステムは、代表区域である調理室の区域を、代表センサノードである温度センサによりモニタを行う。火災が発生していない通常時においては、調理室の区域の温度センサのみがモニタを実行するため、その消費電力は小さいものとなる。
【0028】
この代表センサノードのモニタにより、端末1が、火災の発生を検出した場合、端末1が、同区域の他のセンサノードを併用し、また、火災の影響を受けやすい区域も調査対象とすることにより、さらに詳細な情報を取得する。
例えば、センサノードシステムは、火災が発生した場合には、火災が発生した区域の上方や横方向の区域に炎は広がっていくので、火災を検出した区域に上方向や横方向に隣接する区域を調査する。
以下においても、火災調査に用いる場合を例として、センサノードシステムを説明する。
【0029】
次に、図2を用いて、センサノードシステムの端末1と基地局2とセンサノード3との構成を説明する。また、1例としてのデータである図3から図5を用いて、図2の各記憶部に登録されるデータについて具体的に説明する。
【0030】
まず、端末1の構成について説明する。
コンテクスト算出ルール登録部101は、コンテクスト算出のために予め登録しておくデータであるコンテクスト算出ルールを、コンテクスト算出ルール記憶部DB1に登録する機能を有する。コンテクスト算出ルールとは、コンテクストと当該コンテクストが発生したことの判定条件との対応を表すルールである。
【0031】
図2のコンテクスト算出ルール記憶部DB1には、コンテクスト算出のためのデータであるコンテクスト算出ルールが予め記憶されている。
具体的には、コンテクスト算出ルール記憶部DB1には、判定条件と意味情報とが関連付けられてコンテクスト算出ルールテーブルT1として記憶されている。コンテクスト算出ルールテーブルT1の一例を、図3(1)に示す。
図3(1)のコンテクスト算出ルールテーブルT1には、検索条件が温度センサで60℃以上であり、その場合の意味情報が火災であることが、関連付けて記憶されている。
なお、判定条件とは、各意味情報に対応する、後述するセンシング情報のセンサ種別と測定結果に関する条件とである。この場合、センサ種別が温度センサであり、測定結果に関する条件が60℃以上である。
【0032】
つまり、意味情報とは、あるセンサによる測定値と、予め決められた条件とを比較することにより、その状況を示す情報である。逆に、意味させる状況の情報に基づいて、センサとその測定値との判定条件が予め定められてコンテクスト算出ルール記憶部DB1に記憶されている。
【0033】
なお、1つのセンサが複数の意味情報と関係付けられていてもよい。また、複数のセンサが1つの意味情報と関係付けられていてもよい。
例えば、温度センサによる測定結果が、火災という意味情報と、快適度という意味情報とに関係付けられていてもよい。
また、快適度という意味情報があり、この意味情報は、温度センサと湿度センサとによる測定結果により決められるものとしてもよい。
なお、後述のコンテクスト算出部132は、上記のコンテクスト算出ルール記憶部DB1に登録されている情報に基づいて、同時に、2つの意味情報を検出してもよい。
【0034】
なお、コンテクスト算出ルールテーブルT1においては、検索条件を検索キーとして、対応する意味情報を抽出する。そのため、図3の属性欄に、説明のために、「(検索キー)」と明示している。なお、同様に図3から図5の各テーブルにおいて、検索に用いる属性欄に「(検索キー)」と示しているが、これも説明のためである。具体的な検索については、後述する。
【0035】
図2の詳細情報取得ルール登録部102は、センシングルール算出のために予め登録しておくデータである詳細情報取得ルールを、詳細情報取得ルール記憶部DB2に登録する機能を有する。詳細情報取得ルールとは、コンテクストと、当該コンテクストに対応して更に詳細な情報を取得するために必要なセンシング方法との対応を表すルールである。
【0036】
図2の詳細情報取得ルール記憶部DB2には、センシングルール算出のためのデータである詳細情報取得ルールが、予め記憶されている。
【0037】
具体的には、詳細情報取得ルール記憶部DB2には、意味情報と、関連区域の情報である関連種別と値とセンシング対象とが、関連付けられて詳細情報取得ルールテーブルT2として記憶されている。詳細情報取得ルールテーブルT2の一例を、図3(2)に示す。
図3(2)の詳細情報取得ルールテーブルT2には、意味情報と関連区域の関連種別と値とセンシング対象とが、それぞれ、火災と位置と同位置と火気、火災と位置と隣接(同階)と火気、および、火災と位置と隣接(高階)と火気、として関連付けられて記憶されている。
【0038】
例えば、この意味は、火災の場合においては、火災が発生した区域に対して、位置において火災が発生している同じ区域、位置において隣接で同階になる区域、位置において隣接で高階になる区域、について、火気をモニタするようにすることである。
このように、コンテクストである意味情報に基づいて、例えば、火災であれば、炎が上や横方向の区域に広がる。そのため、コンテクストに基づいて、関連区域に関する情報を詳細情報取得ルールテーブルT2に予め設定してある。
【0039】
図2の区域情報登録部103は、センシングルール算出のため予め登録しておくデータである区域情報を、区域情報記憶部DB3に登録する機能を有する。区域情報とは、複数の区域間の対応を表す情報である。
区域間の対応には、例えば、火災の場合においては、区域間の隣接性がある。他にも、環境特性や人間の行動特性などの各種特性の、区域間での類似性などが有る。
【0040】
図2の区域情報記憶部DB3には、センシングルール算出のためデータである区域情報が、予め記憶されている。
具体的には、区域情報記憶部DB3には、区域名と、関連区域の情報である関連区域名と関連種別と値とが、関連付けられて区域情報テーブルT3として予め記憶されている。区域情報テーブルT3の一例を、図4(1)に示す。
図4(1)の区域情報テーブルT3には、区域名と関連区域の区域名情報と関連種別と値とが、それぞれ、幕張ビル15階厨房と幕張ビル15階厨房と位置と同位置、幕張ビル15階厨房と幕張ビル15階食堂と位置と隣接(同階)、幕張ビル15階厨房と幕張ビル16階居室と位置と高(高階)、および、幕張ビル15階厨房と幕張ビル14階居室と位置と低(低階)、として関連付けて記憶されている。
【0041】
図2のセンサ種別情報登録部104は、センシングルール算出のために予め登録しておくデータであるセンサ種別情報を、センサ種別情報記憶部DB4に登録する機能を有する。センシング情報とは、各センサ種別が調査可能なセンシング対象(どのような事象をセンシングするか)、及び、各センシング対象に応じて各センサ種別のセンシング方法の属性値を示す情報である。センシング方法の属性値は、例えば、センシングのサンプリング周期などを対象とする。
【0042】
図2のセンサ種別情報記憶部DB4には、センシングルール算出のためのデータであるセンサ種別情報が予め記憶されている。
【0043】
具体的には、センサ種別とセンシング対象と属性値とが関連付けられてセンサ種別情報テーブルT4として記憶されている。なお、1つのセンサ種別の情報に対して、複数のセンシング対象と属性値とが関連付けられて記憶されてもよい。また、属性値とは、センサ種別単位かつセンシング対象単位の情報であり、センシング方法に関する情報である。センサ種別情報テーブルT4の一例を、図4(2)に示す。
図4(2)のセンサ種別情報テーブルT4には、センサ種別とセンシング対象と属性値が、それぞれ、温度センサと快適度とサンプリング周期1回/秒、温度センサと火気とサンプリング周期10回/秒、および、超高感度炎センサと火気とサンプリング周期5回/秒、として関連付けて記憶されている。
【0044】
このように、センサ種別情報テーブルT4により、センサ種別が温度センサと同じセンサ種別であっても、センシング対象の違いにより属性値としてのサンプリング周期が異なるようにする設定が出来る。また、同じセンシング対象が火気であっても、温度センサによる測定と超高感度炎センサとの測定をするように設定することが出来る。
【0045】
図2のセンサノード情報登録部105は、センシングルール算出のため予め登録しておくデータであるセンサノード情報を、センサノード情報記憶部DB5に登録する機能を有する。センサノード情報とは、各区域に存在するセンサノード、及び、当該センサノードのセンサ種別を表す情報である。
【0046】
図2のセンサノード情報記憶部DB5には、センシングルール算出のためのデータであるセンサノード情報が予め記憶されている。
具体的には、センサノード情報記憶部DB5には、区域名とセンサノードとセンサ種別とが関連付けられてセンサノード情報テーブルT5として記憶されている。なお、1つの区域名に対して複数のセンサノードとセンサ種別とが対応づけて記憶されてもよい。センサノード情報テーブルT5の一例を、図4(3)に示す。
図4(3)のセンサノード情報テーブルT5には、区域名とセンサノードとセンサ種別とが、それぞれ、幕張ビル15階厨房とセンサノードAと人感センサ、として関連付けられて記憶されている。図4(3)の、他の情報についての説明は省略する。
【0047】
図2のセンシング情報受信部131は、各センサノード3で取得したセンシング情報を、基地局2から受信する機能を有する。一例としての、センシング情報には、区域名とセンサ種別と測定結果とが含まれる。
つまり、センシング情報受信部131は、区域とセンサ種別と該センサ種別により測定された測定結果とを含むセンシング情報をセンサノード3から受信する。
また、センシング情報受信部131は、受信したセンシング情報を、センシング情報記憶部DB10のセンシング情報テーブルT10に登録する機能を有する。センシング情報テーブルT10の一例を、図5(1)に示す。
図5(1)のセンシング情報テーブルT10には、区域名とセンサ種別と測定結果とが、幕張ビル15階厨房と温度センサと70℃として関連付けて登録される。
【0048】
図2のコンテクスト算出部132は、コンテクスト算出ルール記憶部DB1に予め記憶されている判定条件と意味情報、および、センシング情報テーブルT10に登録された区域名とセンサ種別と測定結果、とに基づいてコンテクストを算出する機能を有する。ここで、コンテクストとは、区域名と意味情報との情報を有する情報である。
つまり、コンテクスト算出部132は、受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが予め決められた条件を満たすか否かを検出することにより意味情報を検出する。
また、コンテクスト算出部132は、算出したコンテクストをコンテクスト記憶部DB11のコンテクストテーブルT11に登録する機能を有する。
【0049】
具体的には、コンテクスト算出部132は、センシング情報テーブルT10に登録された区域名とセンサ種別と測定結果とを取得し、取得したセンサ種別と測定結果とに基づいて、コンテクスト算出ルール記憶部DB1から意味情報を取得する。
例えば、コンテクスト算出部132は、図5(1)のセンシング情報テーブルT10から取得したセンサ種別と測定結果である温度センサと70℃とが、コンテクスト算出ルール記憶部DB1の判定条件である温度センサで60℃以上を満たすことより、その意味情報である火災をコンテクスト算出ルール記憶部DB1から取得する。
【0050】
次に、コンテクスト算出部132は、取得した意味情報とセンシング情報テーブルT10から取得した区域名とを組み合わせることにより、コンテクストを算出し、算出したコンテクストを、コンテクスト記憶部DB11のコンテクストテーブルT11に登録する。
【0051】
なお、コンテクスト算出部132が実行するコンテクストの算出は、端末1のセンシング情報受信部131がセンシング情報を受信したことに応じて実行するようにしてもよいし、端末1のセンシング情報受信部131がセンシング情報を受信することに依存せず、予め決められた一定の時間毎に実行するようにしてもよい。
【0052】
図2のセンシングルール決定部133は、コンテクスト記憶部DB11に登録されたコンテクストと、詳細情報取得ルール記憶部DB2と区域情報記憶部DB3とセンサ種別情報記憶部DB4とセンサノード情報記憶部DB5とに予め記憶された情報とに基づいて、どの区域のどのセンサノードでどのようなセンシングを行なうかを示す情報であるセンシングルールを生成する機能を有する。
【0053】
センシングルールとは、コンテクストの詳細な情報の取得、及び、各区域の基地局およびセンサノードの消費電力の低減を目的とした、どの区域のどのセンサノードのどのようなセンサ種別をどのようなサンプリング周期などの属性値で測定するか、という情報を含む、センサノードを制御するためのルールである。
また、センシングルール決定部133は、生成したセンシングルールをセンシングルール記憶部DB12のセンシングルールテーブルT12に登録する機能を有する。
【0054】
なお、センシングルール決定部133がコンテクストの詳細な情報の取得、及び、各区域の基地局及びセンサノードの消費電力の低減を目的として、最適なセンシングルールを生成するように、詳細情報取得ルール記憶部DB2と区域情報記憶部DB3とセンサ種別情報記憶部DB4とセンサノード情報記憶部DB5とに情報が予め登録されている。
【0055】
センシングルールテーブルT12に登録される1例としてのセンシングルールを図5(3)に示す。図5(3)のセンシングルールテーブルT12には、区域名とセンサノードとセンサ種別と属性値とが、幕張ビル15階厨房とセンサノードBと温度センサとサンプリング周期10回/秒、などが記録される。
【0056】
なお、図5(3)に示したセンシングルールは、後述するように、図5(1)に示したセンシング情報に基づいて、コンテクスト算出部132が図5(2)に示すように区域名が幕張ビル15階厨房であり意味情報が火災であるコンテクストと算出し、算出したコンテクストに基づいて、センシングルール決定部133が生成したセンシングルールである。
ここでは、コンテクストが幕張ビル15階厨房での火災であるため、センシングルールとして、区域が幕張ビル15階厨房と隣接する上または横になる区域である幕張ビル15階厨房と幕張ビル15階食堂と幕張ビル15階居室が選択され、また、センサ種別とその属性値が火気を検出するためのものが選択されている。
なお、センシングルール決定部133がセンシングルールを生成する詳細な説明は後述する。
【0057】
なお、センシングルール決定部133が実行するセンシングルールの決定は、端末1のコンテクスト算出部132がコンテクストを算出したことに応じて実行するようにしてもよいし、端末1のコンテクスト算出部132がコンテクストを算出することに依存せず、予め決められた一定の時間毎に実行するようにしてもよい。
【0058】
図2のセンシングルール送信部134は、センシングルール決定部133で生成されセンシングルール記憶部DB12に登録されたセンシングルールを、センシングルールが更新される都度、センシングルールを基地局2へ送信する機能を有する。
【0059】
なお、実施の形態の説明においては、センシングルール送信部134は、センシングルールを全てのセンサノード3へ、基地局2を介して送信するものとして説明する。例えば、図1の端末1は、区域1と2とNにおける基地局1と2とNとを介して、区域内の全てのセンサノード3に、センシングルールを送信する。
【0060】
次に、図2の説明に戻り、基地局2の構成について説明する。
センシングルール受信部201は、センシングルールを端末1からネットワーク4を介して受信し、受信したセンシングルールを後述のビーコン信号送信部205へ送信する機能を有する。
センシング情報中継部202は、センサノード3からネットワーク5を介してセンシング情報を受信し、受信したセンシング情報を端末1にネットワーク4を介して送信する機能を有する。
トラフィック測定部203は、センシング情報中継部202がセンサノード3から受信するセンシング情報のトラフィックを測定する機能を有する。
【0061】
センシング情報送信ルール決定部204は、トラフィック測定部203で測定したトラフィックの測定結果に応じて、その基地局2が存在する区域のセンシング情報送信ルールを決定する機能を有する。また、センシング情報送信ルール決定部204は、決定したセンシング情報送信ルールをビーコン信号送信部205に送信する機能を有する。
なお、センシング情報送信ルールとは、後述のセンシング情報送信部304が、センシング情報処理部303から取得するセンシング情報の集約やフィルタリングのための情報である。
【0062】
ここで、センシング情報送信ルールとは、センシング情報のトラフィックの低減を目的とした、センシング情報の集約やフィルタリングのルールである。情報送信ルールの一例を次に説明する。
センシング情報送信ルール決定部204は、次に示すような予め定められた情報送信ルールの中から、情報送信ルールを選択することにより、センシング情報送信ルールを決定する。
【0063】
第1の情報送信ルールとして、センシング情報の集約がある。センシング情報の集約とは、同様の結果を表す、複数のセンシング情報を1つのセンシング情報としてまとめて送信することである。
例えば、近隣のセンサノード間でセンシング結果の傾向が同様の場合、これらのセンサノードのうち、特定の一つのセンサノードからのセンシング情報のみを採用し、特定の範囲において、予め決められた特定のセンサには送信する指示を含む情報を送信し、他のセンサには送信しない指示を含む情報を送信する。この情報を受信したセンサノードは、送信するかしないかの指示を含む情報を受信し、送信する指示を含む情報を受信したことを検出した場合には、センシング情報を送信する。このようにすることにより、特定の範囲において、特定のセンサノードのみしか送信してこなくなる。これは、場所的集約である。
【0064】
また、例えば、同様のセンシング情報が時間的に連続して発生している場合、最初に取得したセンシング情報のみを採用する、または、測定したセンシング情報の測定値の変化があった場合のみ、センシング情報を送信するという情報を送信する。この情報を受信したセンサノードは、測定値の変化を検出し、変化があった場合のみ、センシング情報を送信する。このようにすることにより、測定した値に変化のあったセンサのみしか送信してこなくなる。これは、時間的集約である。
例えば、上記のような場所的集約または時間的集約をした情報をセンシング情報として採用する。
【0065】
第2の情報送信ルールとして、センシング情報のフィルタリングがある。センシング情報のフィルタリングとは、特定の条件を満たした場合のみ、送信対象のセンシング情報とする。
例えば、センシング情報が予め決められた閾値を超えた場合のみ、センシング情報とする。また、例えば、複数のセンシング情報の論理演算結果が特定の条件を満たした場合のみ、センシング情報とする。
例えば、予め決められた値になった場合のみ送信する情報を送信し、この情報を受信したセンサノードは、測定した測定値が、受信した値以上になった場合のみ、測定した値を送信する。
【0066】
なお、センサノード3でのセンシング情報編集方法では、以下のセンシング情報を対象とする。中継センサノードは、当該センサノード自身が取得したセンシング情報、及び、他のセンサノードから受信したセンシング情報を対象とする。
非中継センサノードは、当該センサノード自身が取得したセンシング情報をセンシング対象とする。
【0067】
ビーコン信号送信部205は、各基地局が存在する区域の全てのセンサノード3にネットワーク5を介して、定期的にビーコン信号を配信する機能を有する。なお、ビーコン信号送信部205は、ビーコン信号に、センシングルール受信部201から受信したセンシングルール及びセンシング情報送信ルール決定部204から受信したセンシング情報送信ルールを含めて配信する。
【0068】
次に、センサノード3の構成について説明する。
ビーコン信号受信部301は、基地局2からビーコン信号を受信する機能を有する。また、ビーコン信号受信部301は、受信したビーコン信号をセンシング設定部302へ送信する機能を有する。
【0069】
センシング設定部302は、ビーコン信号をビーコン信号受信部301から受信し、受信したビーコン信号から、センシングルール及びセンシング情報送信ルールを抽出する機能を有する。
また、センシング設定部302は、抽出したセンシングルールに基づいてセンシング情報処理部303のセンシング信号の処理方法を設定登録し、また、抽出したセンシング情報送信ルールに基づいてセンシング情報送信部304のセンシング情報編集方法を設定登録する。
【0070】
また、センシング設定部302は、抽出したセンシングルールの中に、自身のセンサノード3を指定する情報があるか否かを検出し、自身のセンサノード3を指定する情報があることを検出した場合には、後述のセンシング情報処理部303およびセンシング情報送信部304の動作を実行させ、自身のセンサノード3を指定する情報があることを検出しない場合には、後述のセンシング情報処理部303およびセンシング情報送信部304の動作を停止させる機能を有する。
【0071】
センシング情報処理部303は、センシング設定部302により設定登録されたセンシング信号の処理方法に基づいて、センサのセンシングを行なう機能を有する。
また、センシング情報処理部303は、センシングを行った結果であるセンシング情報をセンシング情報送信部304へ送信する機能を有する。
【0072】
センシング情報送信部304は、センシング情報をセンシング情報処理部303から受信し、受信したセンシング情報を、センシング設定部302により設定登録されたセンシング情報編集方法に基づいて編集し、編集したセンシング情報を基地局2にネットワーク5を介して送信する機能を有する。
【0073】
なお、基地局2のトラフィック測定部203及びセンシング情報送信ルール決定部204の機能は、基地局2の機能とせず、端末1の機能とすることも可能である。これらの機能を端末1の機能とする場合は、センシングルールを端末1が送信するのと同様に、センシング情報送信ルールを、端末1から各区域の基地局2を経由して各センサノード3へ送信する。
【0074】
なお、センサノード3は、代表区域を含む全区域のセンサノード3を対象とする。代表区域には代表センサノード3及び非代表センサノード3が、非代表区域には非代表センサノード3のみが存在する。
【0075】
なお、基地局2と当該基地局2配下の各センサノード3との送受信は、これらの位置関係に応じて、以下の2つの場合が有る。第1の場合は、基地局と直接送受信する場合であり、第2の場合は、センサノード間のマルチホップ通信により他のセンサノードを経由して送受信する場合である。第2の場合には、他のセンサノードで取得されたセンシング情報を、中継するセンサノードを「中継センサノード」、中継しない末端のセンサノードを「非中継センサノード」と呼ぶ。
【0076】
次に、端末1がセンシングルールを生成する方法について図6と図7とを用いて、詳細に説明する。まず、端末1がセンシングルールを生成する動作について図6を用いて詳細に説明する。
【0077】
まず、代表区域の基地局2から、端末1のセンシング情報受信部131が代表区域のセンシング情報を受信する(ステップS710)。
次に、ステップS710で受信した代表区域のセンシング情報、及び、予めコンテクスト算出ルール記憶部DB1に登録されているコンテクスト算出ルールに基づいて、コンテクスト算出部132が、代表区域で発生したコンテクストを算出する(ステップS720)。
【0078】
次に、センシングルール決定部133は、まず、ステップ720で算出されたコンテクスト、及び、詳細情報取得ルール記憶部DB2と区域情報記憶部DB3とに予め記憶されている詳細情報取得ルールと区域情報とに基づいて、当該コンテクストの更に詳細な情報の取得のために必要となる、どのような事象をセンシングするかというセンシング対象を決定するための情報である「代表区域と関連する区域の情報(関連区域情報とする)」と「代表区域及びその関連区域で取得するセンシング対象の情報(センシング対象情報とする)」とを算出する(ステップS730)。
【0079】
次に、センシングルール決定部133は、ステップS730で算出した関連区域情報とセンシング対象情報、及び、センサ種別情報記憶部DB4とセンサノード情報記憶部DB5とに予め記憶されているセンサ種別情報とセンサノード情報とに基づいて、各区域で使用するセンサノード、及び、当該各センサノードで使用するセンサ種別及びセンシングに関する属性値を算出する。当該算出結果がセンシングルールである。
【0080】
次に、図7を用いて、端末1のコンテクスト算出部132とセンシングルール決定部133とが、センシング情報テーブルのレコードに登録されたセンシング情報からセンシングルールを生成し、生成したセンシングルールをセンシングルールテーブルに登録する方法を詳細に説明する。
ここで、図7の説明において、図3から図5のテーブルの情報を用いて、火災検出の場合について具体的に説明する。図7は、図3から図5の各テーブルのテーブル名と各テーブルの属性(データ項目)との関係を示した図である。図7においては、各テーブルにおいて、テーブル名を四角の枠の上に書き、そのテーブルの属性を四角の枠の中に書いて説明している。
【0081】
まず、コンテクスト算出部132が、センシング情報テーブルT10のセンサ種別属性と測定結果属性とが、コンテクスト算出ルールテーブルT1の判定条件属性を満たす意味情報をコンテクスト算出ルールテーブルT1から検索して取得する(ステップS801)。
【0082】
次に、コンテクスト算出部132が、センシング情報テーブルT10の区域名属性と、ステップS801で検索して取得した意味情報とを組み合わせて、コンテクストテーブルT11のレコードを作成して、当該テーブルへ区域名と意味情報とを登録する(ステップS802、ステップS803)。
例えば、コンテクスト算出部132が、図5(2)に示すように、区域名属性が幕張ビル15階厨房であり意味情報属性が火災であるコンテクストをコンテクストテーブルT11に登録する。
【0083】
次に、コンテクスト算出部132は、ステップS802およびステップS803において、今回のセンシング情報テーブルT10の区域名及びセンサ種別に、区域名及びセンサ種別がそれぞれ等しい、以前のセンシング情報テーブルのレコードにより、コンテクストテーブルに登録されたレコードを全て削除する。
なお、ステップS801での検索結果である意味情報が、コンテクストテーブルT11の意味情報属性に相当する。
【0084】
次に、センシングルール決定部133が、コンテクストテーブルT11の区域名属性と一致する区域名属性を、区域情報テーブルT3から検索することにより、該当する関連区域の関連区域名と関連種別と値との組みである情報を区域情報テーブルT3から検索して取得する(ステップS811)。
例えば、コンテクストテーブルT11の区域名属性が幕張ビル15階厨房であることから、関連区域の区域名情報と関連種別と値とが、それぞれ、幕張ビル15階厨房と位置と同位置、幕張ビル15階食堂と位置と隣接(同階)、幕張ビル16階居室と位置と高(高階)、および、幕張ビル14階居室と位置と低(低階)、を区域情報テーブルT3から検索する(ステップS811)。
【0085】
次に、センシングルール決定部133が、コンテクストテーブルT11の意味情報属性と一致する意味情報を、詳細情報取得ルールテーブルT2から検索することにより、該当する関連区域の関連種別と値とセンシング対象との組みである情報を詳細情報取得ルールテーブルT2から検索して取得する(ステップS812)。
例えば、コンテクストテーブルT11の意味情報属性が火災であることから、詳細情報取得ルールテーブルT2から、関連種別と値とセンシング対象とが、それぞれ、位置と同位置と火気、位置と隣接(同階)と火気、および、位置と隣接(高階)と火気を検索結果として取得する(ステップS812)。
【0086】
次に、センシングルール決定部133が、ステップS811で区域情報テーブルT3から検索して取得した関連区域の関連区域名と関連種別と値との組みである情報から、ステップS812で詳細情報取得ルールテーブルT2から検索して取得した関連区域の関連種別と値とセンシング対象との組みである情報で、関連種別と値とが一致する関連区域名を抽出する(ステップS813)
【0087】
例えば、ステップS811で区域情報テーブルT3から検索して取得した関連区域の区域名情報と関連種別と値とが、それぞれ、幕張ビル15階厨房と位置と同位置、幕張ビル15階食堂と位置と隣接(同階)、幕張ビル16階居室と位置と高(高階)、および、幕張ビル14階居室と位置と低(低階)から、ステップS812で詳細情報取得ルールテーブルT2から検索した関連種別と値とセンシング対象とが、それぞれ、位置と同位置と火気、位置と隣接(同階)と火気、および、位置と隣接(高階)と火気とで、関連種別と値とが一致する関連区域名として、幕張ビル15階厨房と幕張ビル15階食堂と幕張ビル16階居室とを抽出する(ステップS813)。
【0088】
一方、センシングルール決定部133が、ステップS812で詳細情報取得ルールテーブルT2から検索して取得した関連区域のセンシング対象の情報と一致するセンサ種別属性と属性値とをセンサ種別情報テーブルT4から検索して取得する(ステップS821)。
【0089】
例えば、ステップS812で詳細情報取得ルールテーブルT2から検索して取得した関連区域のセンシング対象の情報が火気であるため、センサ種別情報テーブルT4から火気と一致するセンサ種別属性と属性値として、それぞれ、温度センサとサンプリング周期10回/秒、および、超高感度炎センサとサンプリング周期5回/秒、とを検索して取得する(ステップS821)。
【0090】
次に、センシングルール決定部133が、センサノード情報テーブルT5の区域名が、ステップS813で詳細情報取得ルールテーブルT2と区域情報テーブルT3とに基づいて抽出した関連区域名と一致し、かつ、センサノード情報テーブルT5のセンサ種別がステップ821でセンサ種別情報テーブルT4から検索して取得したセンサ種別属性と一致する、区域名とセンサノードとセンサ種別とをセンサノード情報テーブルT5から検索し取得する(ステップS823)。
【0091】
例えば、ステップS813で詳細情報取得ルールテーブルT2と区域情報テーブルT3とに基づいて抽出した関連区域名が幕張ビル15階厨房と幕張ビル15階食堂と幕張ビル16階居室とであり、また、ステップ821でセンサ種別情報テーブルT4から検索して取得したセンサ種別属性が温度センサと超高感度炎センサとであり、これらと区域名とセンサ種別との両方が一致する区域名とセンサノードとセンサ種別として、それぞれ、幕張ビル15階厨房とセンサノードBと温度センサ、幕張ビル15階厨房とセンサノードCと超高感度炎センサ、幕張ビル15階食堂とセンサノードBと温度センサ、幕張ビル15階食堂とセンサノードCと超高感度炎センサ、幕張ビル16階居室とセンサノードBと温度センサ、幕張ビル16階居室とセンサノードCと超高感度炎センサ、をセンサノード情報テーブルT5から検索し取得する(ステップS823)。
【0092】
次に、センシングルール決定部133が、ステップS823でセンサノード情報テーブルT5から検索し取得した区域名とセンサノードとセンサ種別のセンサ種別に、ステップS821でセンサ種別情報テーブルT4から検索し取得したセンサ種別属性と属性値のセンサ種別に基づいて結合し、区域名とセンサノードとセンサ種別と属性値とを生成し、生成した域名とセンサノードとセンサ種別と属性値をセンシングルールテーブルT12に登録する(ステップS824)。
【0093】
ステップS824の結果は、例えば、図5(3)に示すセンシングルールテーブルT12となる。
【0094】
次に、図8を用いて、センサノードシステムの動作を説明する。同図において図2の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
ここでは、火災が発生した直後のセンサノードシステムの動作について説明する。
【0095】
まず、予め決められた特定区域の代表センサノード3のセンシング情報送信部304が、センシング情報を基地局2へ送信する(ステップS601)。
例えば、図1の代表区域で代表センサノードである区域1のセンサノード3(1−1)がセンシング情報を送信する。例えば、幕張ビル15階厨房のセンサノードBが、センシング情報として、区域名とセンサ種別と測定結果とが、幕張ビル15階厨房と温度センサと70℃である情報を送信する。
なお、この段階では、センサノードシステムは火災を検出していないので、区域1の他のセンサノード、および他の区域のセンサノードは、センシング情報を、送信しないものとして説明する。
【0096】
図8の説明に戻り、次に、基地局2のセンシング情報中継部202が、センサノード3から受信したセンシング情報を端末1へ送信する(ステップS602)。
【0097】
次に、端末1のセンシング情報受信部131が、基地局2からセンシング情報を受信し、受信したセンシング情報をコンテクスト算出部132にセンシング情報記憶部DB10を介して送信する(ステップS610)。
次に、端末1のコンテクスト算出部132が、センシング情報受信部131から受信したセンシング情報と、コンテクスト算出ルール記憶部DB1に予め記憶されている情報とに基づいて、コンテクストを算出し、算出したコンテクストをセンシングルール決定部133にコンテクスト記憶部DB11を介して送信する(ステップS611)。
【0098】
例えば、センサノードシステムは、端末1のコンテクスト算出部132がコンテクストを算出することにより、図1の代表区域で代表センサノードである区域1のセンサノード3(1−1)、または、幕張ビル15階厨房のセンサノードBで、火災が発生したことを検出する。
【0099】
次に、端末1のセンシングルール決定部133が、コンテクスト算出部132から受信したコンテクストと、詳細情報取得ルール記憶部DB2と区域情報記憶部DB3とセンサ種別情報記憶部DB4とセンサノード情報記憶部DB5とに予め記憶されている情報とに基づいて、センシングルールを決定し、決定したセンシングルールをセンシングルール送信部134へセンシングルール記憶部DB12を介して送信する(ステップS612)。
【0100】
次に、端末1のセンシングルール送信部134は、センシングルール決定部133から受信したセンシングルールを基地局2へ送信する(ステップS613)。
ここで、端末1のセンシングルール送信部134が基地局2へ送信するセンシングルールは、例えば、図5(3)に示すように、複数の区域名とセンサノード、また、センサノードのサンプリング周期などの属性値を含む。また、センシングルールは、例えば、図1の区域2のセンサノード3(2−2)など、代表区域の代表センサノード以外の区域とセンサノードを火災のために動作させる情報である。
【0101】
図8の説明に戻り、端末1からセンシングルールを受信した基地局2のセンシングルール受信部201は、受信したセンシングルールをビーコン信号送信部205へ送信する(ステップS625、S626)。
【0102】
一方、ステップS602で、基地局2のセンシング情報中継部202がセンサノード3から受信するセンシング情報に基づいて、トラフィック測定部203がトラフィックを測定し、測定したトラフィックをセンシング情報送信ルール決定部204へ送信する(ステップS621、ステップS622)。
トラフィック測定部203からトラフィックを受信したセンシング情報送信ルール決定部204は、受信したトラフィックに基づいてセンシング情報送信ルールを決定し、決定したセンシング情報送信ルールをビーコン信号送信部205へ送信する(ステップS623、S624)。
【0103】
センシングルール受信部201から送信されたセンシングルールと、トラフィック測定部203から送信されたセンシング情報送信ルールと、を受信した基地局2のビーコン信号送信部205は、受信したセンシングルールとセンシング情報送信ルールとを含めたビーコン信号をセンサノード3へ送信する(ステップS631)。
【0104】
基地局2からビーコン信号を受信したセンサノード3のビーコン信号受信部301は、受信したビーコン信号をセンシング設定部302に送信する(ステップS641)。
ビーコン信号受信部301からビーコン信号を受信したセンシング設定部302は、受信したビーコン信号からセンシングルールとセンシング情報送信ルールとを抽出し、抽出したセンシングルールをセンシング情報処理部303に設定し(ステップS651)、また、抽出したセンシング情報送信ルールをセンシング情報送信部304に設定する(ステップS652)。
【0105】
その後、センシング情報処理部303は、設定されたセンシングルールに基づいてセンサにより測定し、測定した情報をセンシング情報送信部304へ送信する(ステップS661)。
センシング情報処理部303から測定した情報を受信したセンシング情報送信部304は、設定されたセンシング情報送信ルールに基づいて測定した情報をセンシング情報として基地局2へ送信する(ステップS601)。
【0106】
例えば、それぞれのセンサノード3は、図5(3)に示すような、複数の区域名とセンサノード、また、センサノードのサンプリング周期などの属性値を含むセンシングルールを受信し、受信したセンシングルールに、自身の区域名とセンサノードがある場合には、センサにより測定し、測定した測定結果を端末1へ基地局2を介して送信する。
例えば、図1の代表区域だけでなく、区域2のセンサノード3(2−2)もセンサで測定し、測定結果をセンシング情報として送信する。
【0107】
以降、センサノードシステムの端末1と基地局2とセンサノード3は、ステップ601からステップ661を繰り返す。
ただし、これ以降、例えば、代表区域の代表センサノードだけでなく、センシングルールの区域名とセンサノードで指定されるセンサノードも、センシング情報を端末1へ基地局2を介して送信する。
【0108】
その後、火が消え、端末1が受信するセンシング情報の全てが、意味情報が火災となる判定条件を満たさなくなることを検出した場合、端末1が、代表区域の代表センサのみで測定するセンシングルールを、センサノード3へ基地局2を介して送信する。これにより、それ以降は、代表区域の代表センサのみがセンサにより測定し、測定した情報をセンシング情報として端末1へ送信する。つまり、火災の発生前と同じ状態となる。
【0109】
このように、通常時には図1の代表区域の代表センサノードだけが動作し、代表区域の代表センサノードの測定によりセンサノードシステムが火災を発生した場合には、代表区域の代表センサノードと関連する代表区域または他の区域のセンサノードも動作さえることにより、より詳細な火災の情報を検出することが可能となる。
【0110】
以上のように、代表区域の代表センサノードのセンシング情報により算出されたコンテクストに応じて、全区域を対象として、以下の事項を行なうことができる。
不必要なセンシング情報の取得及び送受信を省くことができるので、各区域の基地局・センサノードの消費電力、及び、センシング情報の不必要なトラフィックを、それぞれ低減できる。
また、代表区域で発生したコンテクストに応じて、代表区域に関連する区域、及び、代表区域及びその関連区域で取得するセンシング対象を決定して、この決定事項に応じてセンシングを行なうことにより、当該コンテクストに関する更に詳細な情報を取得できる。
【0111】
上記においては、本発明によるセンサノードシステムを火災検出の場合について説明したが、本発明によるセンサノードシステムは火災検出に限られるものではなく、他の方途に用いることも可能である。
次に、本発明によるセンサノードシステムの応用例について説明する。
なお、応用例の説明において、応用例の最初の行の末尾の括弧内は、各応用例と対応する区域間の相関性の種別を表す。
【0112】
(応用例1)広範囲に波及しやすい災害(例えば火災など)の状況調査(区域間の隣接性)
災害が発生しやすい区域を代表区域とする(火災であれば火災が発生しやすい場所など)。代表区域の代表センサノードでセンシングを行う。このセンシング結果により、災害発生のコンテクストが算出された場合、同区域の他のセンサノードを併用し、また、災害の影響を受けやすい区域も調査対象とすることにより、さらに詳細な情報を取得する。(上記に説明した例である。)
【0113】
(応用例2)人が複数の区域を巡回する場合の、各区域の調査(区域間の隣接性)
最初に人が滞在する区域を代表区域とする。代表区域の人感センサにより、人の存在が検出された場合、代表区域からの移動により今後滞在する可能性が高い区域を算出する。代表区域及びこれらの関連区域で、詳細な情報を取得する。この方法は、例えば、次の調査に有効である。
滞在者の快適性の向上を目的とする、区域ごとの環境情報(温度・湿度・騒音など)の調査。銀行などでセキュリティ・防犯の向上を目的とする、侵入者を追跡する調査。
【0114】
(応用例3)自然災害による各区域の被害発生予測の調査 (区域間の環境特性の類似性)
A地区で天候不順により災害(例えば土砂崩れなど)が発生すると、B地区・C地区でも同様の災害が発生すると想定する。これは各区域間の環境特性(例えば山間部で地盤が弱いことや河の流量の多さなど)の類似性からの想定であり、A,B,Cの各地区は地理的に隣接していなくても良い。
この場合、A地区を代表区域とする。代表区域の代表センサノードでセンシングを行う。このセンシング結果により、災害発生のコンテクストが算出された場合、同区域の他のセンサノードを使用したり、B,C地区も調査対象とすることにより、さらに詳細な情報を取得する。
【0115】
(応用例4)交通集中状況の調査 (区域間の、人間の行動特性の、類似性)
A地区で交通集中が発生すると、同様に(または、これに影響されて)、B地区・C地区でも交通集中が発生すると想定する。これは各区域間の人間の行動特性(例えば市街中心地・ビジネス街など)からの想定であり、A,B,Cの各地区は地理的に隣接していなくても良い。
この場合、A地区を代表区域とする。代表区域の代表センサノードでセンシングを行う。このセンシング結果により、交通集中のコンテクストが算出された場合、B,C地区も調査対象とすることにより、さらに詳細な情報を取得する。
【0116】
以上説明したように、区域情報記憶部DB3には、区域と、該区域に関連する区域である関連区域と、該区域と該関連区域との間の位置の関係を示す関連性情報とが予め関連付けて記憶されている。
詳細情報取得ルール記憶部DB2には、センサノード3が測定した値と予め決められた条件とを比較することにより検出される意味情報と、該意味情報が検出された場合に測定する関連性情報とが予め関連付けて記憶されている。
【0117】
センシング情報受信部131は、区域とセンサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とを含むセンシング情報をセンサノード3から受信する。
コンテクスト算出部132は、受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たす意味情報を検出する。
【0118】
センシングルール決定部133は、コンテクスト算出部132が検出した意味情報に基づいて前記詳細情報取得ルール記憶部DB2から関連性情報を抽出し、該抽出した関連性情報と前記受信したセンシング情報の区域とに基づいて関連区域を前記区域情報記憶部DB3から抽出する。
センシングルール送信部134は、前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノード3へ送信する。
【0119】
センサ種別情報記憶部DB4には、意味情報と、該意味情報が検出された場合にセンサを制御するための情報である属性値とがセンサ毎に予め関連付けて記憶されている。
また、センシングルール決定部133は、前記検出された意味情報に基づいて前記センサ種別情報記憶部DB4からセンサ毎の属性値を抽出する。
また、センシングルール送信部134は、前記抽出された属性値を前記センシングルールに含めて前記センサノードへ送信する。
【0120】
コンテクスト算出ルール記憶部DB1には、意味情報と、センサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とに基づいて予め定められた該意味情報を検出するための判定条件とが、予め関連付けて記憶されている。
コンテクスト算出部132は、受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが、コンテクスト算出ルール記憶部DB1の判定条件を満たす意味情報を前記コンテクスト算出ルール記憶部DB1から抽出することにより意味情報を検出する。
【0121】
トラフィック測定部203は、センサノード3から受信するセンシング情報のトラフィックを計測する。
センシング情報送信ルール決定部204は、計測したトラフィックに基づいてセンサノード3が送信する通信量を制限するためのセンシング情報送信ルールを選択する。
また、センシング情報送信手段304は、受信したセンシングルールに含まれるセンシング情報送信ルールに基づいて、センシング情報を送信する。
なお、トラフィック測定部203とセンシング情報送信ルール決定部204とは、基地局2が有するようにしてもよいし、端末1が有するようにしてもよい。
【0122】
このように、本発明は、多数のセンサノードにより構成されるセンサネットワークにおいて、代表区域の代表センサノードでのセンシング情報により算出されたコンテクストに基づいて、さらに詳細な情報を取得するために、代表センサノードが存在する区域、及び、当該区域に関連する区域でのセンシング方法を決定して、センサノードの挙動を制御する方法である。この方法により、各センサノードの電力の消費量を低減することができる。
本発明は、例えば、広範囲に波及しやすい災害(例えば火災など)の状況調査などに効果的である。まず、災害が発生しやすい区域を代表区域として、当該区域の代表センサノードでセンシングを行う。
このセンシング結果により、災害発生のコンテクストが算出された場合、同区域の他のセンサノードを併用し、また、当該区域で発生した災害の影響を受けやすい区域もセンシングの対象とすることにより、さらに詳細な情報を取得することができる。
【0123】
なお、コンテクスト算出ルール記憶部DB1、詳細情報取得ルール記憶部DB2、区域情報記憶部DB3、センサ種別情報記憶部DB4、センサノード情報記憶部DB5、センシング情報記憶部DB10、コンテクスト記憶部DB11およびセンシングルール記憶部DB12のそれぞれの記憶部は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CR−ROM等の読み出しのみが可能な記憶媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。
【0124】
なお、図1における端末1、基地局2またはセンサノード3は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
なお、この端末1、基地局2またはセンサノード3は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この端末1および基地局2はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、端末1、基地局2またはセンサノード3の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0125】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、センサノードシステムに用いて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】この発明の一実施形態によるセンサノードシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】センサノードシステムの詳細な構成を説明するブロック図である。
【図3】一例としてのデータベースに登録される情報を示す第1のテーブル図である。
【図4】一例としてのデータベースに登録される情報を示す第2のテーブル図である。
【図5】一例としてのデータベースに登録される情報を示す第3のテーブル図である。
【図6】センシングルールを生成するための動作を説明するための説明図である。
【図7】センシングルールを生成する手順を用いて説明するための説明図である。
【図8】この発明の一実施形態によるセンサノードシステムの動作を説明するための動作図である。
【符号の説明】
【0128】
1 端末
2 基地局
3 センサノード
4 ネットワーク
5 ネットワーク
101 コンテクスト算出ルール登録部
102 詳細情報取得ルール登録部
103 区域情報登録部
104 センサ種別情報登録部
105 センサノード情報登録部
131 センシング情報受信部
132 コンテクスト算出部
133 センシングルール決定部
134 センシングルール送信部
DB1 コンテクスト算出ルール記憶部
DB2 詳細情報取得ルール記憶部
DB3 区域情報記憶部
DB4 センサ種別情報記憶部
DB5 センサノード情報記憶部
DB10 センシング情報記憶部
DB11 コンテクスト記憶部
DB12 センシングルール記憶部
T1 コンテクスト算出ルールテーブル
T2 詳細情報取得ルールテーブル
T3 区域情報テーブル
T4 センサ種別情報テーブル
T5 センサノード情報テーブル
T10 センシング情報テーブル
T11 コンテクストテーブル
T12 センシングルールテーブル
201 センシングルール受信部
202 センシング情報中継部
203 トラフィック測定部
204 センシング情報送信ルール決定部
205 ビーコン信号送信部
301 ビーコン信号受信部
302 センシング設定部
303 センシング情報処理部
304 センシング情報送信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
区域に関連付けられたセンサノードと端末とがネットワークを介して接続されるセンサノードシステムであり、
前記端末が、
区域と、該区域に関連する区域である関連区域とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、
区域とセンサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、
前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たす意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、
前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、
前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、
を有し、
前記センサノードが、
前記センシングルールを前記端末から受信する受信手段と、
前記受信したセンシングルールに基づいて測定するセンシング情報処理手段と、
を有することを特徴とするセンサノードシステム。
【請求項2】
区域に関連付けられたセンサノードと端末とがネットワークを介して接続されるセンサノードシステムであり、
前記端末が、
区域と、該区域に関連する区域である関連区域と、該区域と該関連区域との間の位置の関係を示す関連性情報とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、
前記センサノードが測定した値と予め決められた条件とを比較することにより検出される意味情報と、該意味情報が検出された場合に測定する関連性情報とが予め関連付けて記憶されている詳細情報取得ルール記憶手段と、
区域とセンサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、
前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たす意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、
前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて前記詳細情報取得ルール記憶手段から関連性情報を抽出し、該抽出した関連性情報と前記受信したセンシング情報の区域とに基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、
前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、
を有し、
前記センサノードが、
前記センシングルールを前記端末から受信する受信手段と、
前記受信したセンシングルールに基づいて測定するセンシング情報処理手段と、
を有することを特徴とするセンサノードシステム。
【請求項3】
前記端末が、
意味情報と、該意味情報が検出された場合にセンサを制御するための情報である属性値とがセンサ種別毎に予め関連付けて記憶されているセンサ種別情報記憶手段、
を有し、
前記コンテクスト算出手段が、前記検出された意味情報に基づいて前記センサ種別情報記憶手段からセンサ種別毎の属性値を抽出し、
前記センシングルール送信手段が、前記抽出されたセンサ種別毎の属性値を前記センシングルールに含めて前記センサノードへ送信し、
前記センシング情報処理手段が、前記受信したセンシングルールの属性値に基づいて測定する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサノードシステム。
【請求項4】
前記端末が、
意味情報と、センサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とに基づいて予め定められた該意味情報を検出するための判定条件とが、予め関連付けて記憶されているコンテクスト算出ルール記憶手段、
を有しており、
コンテクスト算出手段が、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが、前記コンテクスト算出ルール記憶手段の判定条件を満たす意味情報を前記コンテクスト算出ルール記憶手段から抽出することにより意味情報を検出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のセンサノードシステム。
【請求項5】
前記端末が、
前記センサノードから受信するセンシング情報のトラフィックを計測するトラフィック測定手段と、
前記計測したトラフィックに基づいて前記センサノードが送信する通信量を制限するためのセンシング情報送信ルールを選択するセンシング情報送信ルール決定手段と、
を有しており、
前記センシングルール送信手段が、前記センシング情報送信ルールを前記センシングルールに含めて前記センサノードへ送信し、
前記センサノードが、
前記受信したセンシングルールに含まれるセンシング情報送信ルールに基づいて、前記センシング情報を送信するセンシング情報送信手段、
を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載のセンサノードシステム。
【請求項6】
前記端末と前記センサノードとが基地局を中継して接続されており、
前記基地局が、
前記センサノードから受信するセンシング情報のトラフィックを計測するトラフィック測定手段と、
前記計測したトラフィックに基づいて前記センサノードが送信する通信量を制限するためのセンシング情報送信ルールを選択するセンシング情報送信ルール決定部と、
前記生成したセンシング情報送信ルールを前記センシングルールに含めて前記センサノードへ送信するビーコン信号送信手段と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項5に記載のセンサノードシステム。
【請求項7】
区域に関連付けられたセンサノードと端末とがネットワークを介して接続されるセンサノードシステムで用いられる方法であり、
前記端末が、
区域情報記憶方法が、区域と、該区域に関連する区域である関連区域とを予め関連付けて記憶される過程と、
センシング情報受信方法が、区域とセンサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信過程と、

コンテクスト算出方法が、前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たす意味情報を検出するコンテクスト算出過程と、
センシングルール決定方法が、前記コンテクスト算出方法が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶方法から抽出するセンシングルール決定過程と、
センシングルール送信方法が、前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信過程と、
を有し、
前記センサノードが、
受信方法が、前記センシングルールを前記端末から受信する受信過程と、
センシング情報処理方法が、前記受信したセンシングルールに基づいて測定するセンシング情報処理過程と、
を有することを特徴とするセンサノードシステム方法。
【請求項8】
区域に関連付けられたセンサノードとネットワークを介して接続される端末であり、
区域と、該区域に関連する区域である関連区域とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、
区域とセンサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、
前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たす意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、
前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、
前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、
を有することを特徴とする端末。
【請求項9】
区域に関連付けられたセンサノードとネットワークを介して接続されるコンピュータに、
区域と、該区域に関連する区域である関連区域とが予め関連付けて記憶されている区域情報記憶手段と、
区域とセンサ種別と該センサ種別のセンサにより測定された測定結果とを含むセンシング情報を前記センサノードから受信するセンシング情報受信手段と、
前記受信したセンシング情報のセンサ種別と測定結果とが判定条件を満たす意味情報を検出するコンテクスト算出手段と、
前記コンテクスト算出手段が検出した意味情報に基づいて関連区域を前記区域情報記憶手段から抽出するセンシングルール決定手段と、
前記抽出した関連区域を含むセンシングルールを前記センサノードへ送信するセンシングルール送信手段と、
の機能をさせることを特徴とするセンサノードシステムプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−59160(P2008−59160A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233871(P2006−233871)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】