センサーデバイス、モーションセンサー、電子機器
【課題】外部から加わる衝撃などの応力の緩和が可能な小型のセンサーデバイス、モーションセンサー、及び、これらを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】半導体装置としてのICチップ10は、第1の電極11と、突起電極12と、能動面10aと突起電極12との間に積層された絶縁膜14と、を有する。絶縁膜14上の、振動ジャイロ素子20の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起12aと、各樹脂突起12aの表面に設けられた導電膜としての金属膜17とにより構成された突起電極12が配設されている。金属膜17は、絶縁膜14の各開口部14a内の第1の電極11から絶縁膜14上に引き出された配線16に接続されている。突起電極12と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、導電性の接合部材98により接合されている。
【解決手段】半導体装置としてのICチップ10は、第1の電極11と、突起電極12と、能動面10aと突起電極12との間に積層された絶縁膜14と、を有する。絶縁膜14上の、振動ジャイロ素子20の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起12aと、各樹脂突起12aの表面に設けられた導電膜としての金属膜17とにより構成された突起電極12が配設されている。金属膜17は、絶縁膜14の各開口部14a内の第1の電極11から絶縁膜14上に引き出された配線16に接続されている。突起電極12と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、導電性の接合部材98により接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーデバイス、モーションセンサー、及び、それらを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度や角速度などをセンシングするモーションセンサーにおいては、センサー素子と、該センサー素子を駆動する機能を有する回路素子とを備えたセンサーデバイスを用いた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、センサー素子としての振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)と回路素子としての半導体装置(以下、半導体装置という)とを備えたセンサーデバイスがパッケージに収納されたモーションセンサーとしてのジャイロセンサー(圧電発振器)が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のジャイロセンサーの構成では、半導体装置が支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。また、センサー素子(振動ジャイロ素子)は、支持基板に固着されたリード線に接続されることによって、半導体装置と空隙を保ち該半導体装置と平面視で重なるように配置されている。このように、弾性を有するリード線によってセンサー素子を保持することにより、外部からセンサー素子に加わる衝撃をリード線の撓みによって緩和し、センサー素子に外力が加わることによる誤検出などの悪影響を抑制する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−292079号公報(図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のジャイロセンサーでは、外部から加わる衝撃によりリード線が撓んだ場合に、半導体装置と、センサー素子とが互いに干渉しないように、両者間にリード線の撓み量を超える空隙を設ける必要がある。この結果、上記ジャイロセンサーは、センサーデバイスの厚さが増加し、総厚が厚くなってしまうという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかるセンサーデバイスは、第1の面に第1の電極が位置する半導体装置と、基部と、前記基部から延伸された振動部と、を備えた振動片であって、前記振動片の前記半導体装置と対向する第2の面に第2の電極が位置する前記振動片と、を有し、前記半導体装置は、前記第1の面の前記第2の電極と平面視で重なる領域に位置する絶縁性樹脂からなる樹脂突起と、前記樹脂突起の表面に設けられ前記第1の電極と配線を介して電気的に接続された導電膜と、を含む突起電極を有し、前記振動片は、前記第2の電極と前記突起電極との接合によって、前記半導体装置に保持されるとともに電気的に接続されたことを特徴とする。
【0008】
上記構成のセンサーデバイスによれば、半導体装置と振動片とを、突起電極により確保される隙間を設けて接合することができるので、上述した支持基板を介した従来例のようにリード線の撓み量を考慮した空隙が不要となり、厚さが低減された薄型のセンサーデバイスを提供することができる。
しかも、突起電極の樹脂突起が有する弾性により、外部から加わる衝撃などが緩和されて振動片に伝達され難くなることから、振動片の安定した振動モードや周波数温度特性が保持され、感度の高いセンサーデバイスを提供することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記導電膜と前記配線とは同一材料を用いて形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、導電膜を配線形成工程で配線と同時に形成することが可能となり、製造効率を向上させることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記樹脂突起の少なくとも前記振動片との接合面側に開口部を有する溝が形成されていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、突起電極による半導体装置上での振動片の支持構造において、突起電極の弾性が増すことにより、突起電極を介して振動片に加わる衝撃を緩和する効果が向上する。
また、溝により表面積が増大することによって、少なくとも突起電極と振動片との接合面において、例えば導電性ペーストなどの接合部材が接触する面積が増えることにより、振動片の接合強度が向上する。さらに、溝の内壁に前記導電膜を形成した場合には、放熱性が向上して振動片の温度特性が向上し、センサーデバイスの高感度化を図ることができるという効果を奏する。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記溝が複数設けられたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、上記適用例で述べた溝による接合強度を向上させる効果や、放熱効果を向上させる効果をより顕著に得ることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記溝は、平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、前記溝の内壁、および前記内壁と対向する前記樹脂突起の外側面とが、前記半導体装置および前記振動片の熱収縮する方向と交差するように配置されていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、半導体装置および振動片の熱収縮する方向に対して突起電極が弾性変形しやすくなることにより、熱収縮による応力をより効率的に緩和することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記半導体装置と前記突起電極との間に絶縁性樹脂からなる応力緩和層が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、半導体装置と突起電極との間に設けられている応力緩和層によって外部から加わる衝撃などが吸収され緩和されることによって、振動モードや周波数温度特性がより安定した高感度のセンサーデバイスを提供することができる。
【0019】
[適用例7]本適用例にかかるモーションセンサーは、上記適用例のいずれかに記載のセンサーデバイスと、前記センサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、前記センサーデバイスが、前記パッケージに収納されていることを特徴とする。
【0020】
これによれば、モーションセンサーは、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏するセンサーデバイスを備えたモーションセンサーを提供できる。
加えて、モーションセンサーは、薄型化されるとともに耐衝撃性の高いセンサーデバイスを用いることから、薄型化及び耐衝撃性の向上を実現することが可能となる。
【0021】
[適用例8]本適用例にかかるモーションセンサーは、上記適用例のいずれかに記載の複数の前記センサーデバイスと、前記複数のセンサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、前記複数のセンサーデバイスは、前記各振動片の主面同士の成す角度が略直角となるように前記パッケージ内に配置され、収納されていることを特徴とする。
【0022】
これによれば、モーションセンサーは、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する複数のセンサーデバイスを備えたモーションセンサーを提供できる。
また、モーションセンサーは、各センサーデバイスが各センサー素子の主面同士の成す角度が略直角となるようにパッケージ内に配置され、収納されていることから、1つで、複数軸に対応したセンシングが可能となる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかるモーションセンサーにおいて、少なくとも1つの前記振動片の主面は、前記パッケージの外部部材に接続される被接続面と略平行であることを特徴とする。
【0024】
これによれば、モーションセンサーは、1つで、パッケージの被接続面と略直交する軸を含む複数軸に対応したセンシングが可能となる。
【0025】
[適用例10]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載のセンサーデバイス、または、モーションセンサーを備えていることを特徴とする。
【0026】
上記構成の電子機器は、上記適用例のセンサーデバイス、または、モーションセンサー、即ち、振動モードや周波数温度特性が安定して周波数ばらつきが抑制された高感度のセンサーデバイス、または、モーションセンサーを備えているので、高機能で安定した特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】センサーデバイスの第1の実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体装置としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図。
【図2】第1の実施形態のセンサーデバイスのICチップと振動片としての振動ジャイロ素子との接合部分を拡大して説明する模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図。
【図3】センサー素子としての振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図4】振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図5】センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体装置としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のB−B線断面図。
【図6】センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図。
【図7】第2の実施形態のセンサーデバイスにおける突起電極の形態のバリエーションを部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図。
【図8】センサーデバイスの変形例1の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図。
【図9】センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例2を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図。
【図10】センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例3を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図。
【図11】センサーデバイスを搭載したモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを示す模式図であり、(a)は、上側から俯瞰した平面図、(b)は、正断面図。
【図12】上記実施形態及び変形例のセンサーデバイス、または、ジャイロセンサー(モーションセンサー)を搭載した電子機器の例を示す模式図であり、(a)は、デジタルビデオカメラの斜視図、(b)は、携帯電話機の斜視図、(c)は、情報携帯端末(PDA)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
〔センサーデバイス〕
図1は、センサーデバイスの第1の実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体装置としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
また、図2は、センサーデバイスの第1の実施形態のICチップと振動片としての振動ジャイロ素子との接合部分を拡大して説明する模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、突起電極を介した接合部分の正断面図である。
【0030】
図1に示すように、センサーデバイス1は、半導体装置としてのICチップ10と、振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)20と、を備えている。振動ジャイロ素子20は、ICチップ10の能動面10a側に積層された絶縁膜(パッシベーション膜)14上に設けられた複数の突起電極12を介して電気的な接続をはかりながら保持されている。
【0031】
まず、センサーデバイス1におけるセンサー素子としての振動ジャイロ素子20について詳細に説明する。
振動ジャイロ素子20は、圧電材料である水晶を基材(主要部分を構成する材料)として形成されている。水晶は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸を有している。
そして、振動ジャイロ素子20は、水晶結晶軸において直交するX軸及びY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有している。なお、所定の厚みは、発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
【0032】
また、振動ジャイロ素子20を成す平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、X軸を中心に0度から2度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。Y軸及びZ軸についても同様である。
振動ジャイロ素子20は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウエットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。なお、振動ジャイロ素子20は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
【0033】
図1(a)に示すように、本実施形態の振動ジャイロ素子20は、ダブルT型と呼ばれる構成となっている。詳述すると、振動ジャイロ素子20は、中心部分に位置する基部21と、基部21からY軸に沿って延伸された振動部としての一対の検出用振動腕22a,22bと、検出用振動腕22a,22bと直交するように、基部21からX軸に沿って延伸された一対の連結腕23a,23bと、検出用振動腕22a,22bと平行になるように、各連結腕23a,23bの先端側からY軸に沿って延伸された振動部としての各一対の駆動用振動腕24a,24b,25a,25bと、を備えている。
【0034】
各検出用振動腕22a,22bの先端側には、他の部分より幅が大きい(X軸方向の長さが大きい)略矩形状の錘部26a,26bを有している。同様に、二対の駆動用振動腕24a,24b及び駆動用振動腕25a,25bそれぞれの先端側には、他の部分より幅が大きい略矩形状の錘部27a,27b及び錘部28a,28bを有している。これら錘部26a,26b,27a,27b,28a,28bによって、振動ジャイロ素子20は、小型化を図りながら角速度の検出感度を向上させることができる。
【0035】
また、振動ジャイロ素子20は、一対の支持部19a,19bを備えている。このうち一方の支持部19aは、一対の検出用振動腕22a,22bのうちの一方の検出用振動腕22aに対してY軸の正の方向に配置されている。また、他方の支持部19bは、一対の検出用振動腕22a,22bのうち他方の検出用振動腕22bに対してY軸の負の方向側に配置されている。各支持部19a,19bのX軸方向の長さは、各検出用振動腕22a,22bの錘部26a,26bのX軸方向の長さよりも大きく、例えば、一対の連結腕23a,23b及び基部21のX軸方向の長さの合計と同じ程度である。なお、図示の例では、各支持部19a,19bの平面形状は略矩形であるが、特に限定されるものではない。支持部19a,19bは、各検出用振動腕22a,22bと、各駆動用振動腕24a,24b,25a,25bとから離間して配置されている。各支持部19a,19bは、突起電極12を介してICチップ10に固定される部位となる。
【0036】
図1(a)に示すように、基部21から一方の支持部19aまでの間には、一対の梁9a,9cが設けられている。このうち一方の梁9aは、基部21から検出用振動腕22aと駆動用振動腕24aとの間を通って延出されて支持部19aに接続され、他方の梁9cは、基部21から検出用振動腕22aと駆動用振動腕25aとの間を通って延出されて支持部19aに接続されている。
同様に、基部21から他方の支持部19bまでの間には、一対の梁9b,9dが設けられている。このうち一方の梁9bは、基部21から検出用振動腕22bと駆動用振動腕24bとの間を通って延出されて支持部19bに接続され、他方の梁9dは、基部21から検出用振動腕22bと駆動用振動腕25bとの間を通って延出されて支持部19bに接続されている。各梁9a,9b,9c,9dは、図示するようなS字形状をそれぞれ有することができる。このように、細長く蛇行した形状を有する梁9a〜9dによって各支持部19a,19bと基部21が接続されることによって、振動ジャイロ素子20の要部がX軸方向及びY軸方向に弾性を得ることができる。
【0037】
基部21の中心は、振動ジャイロ素子20の重心位置としての重心Gであることができる。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交し、重心Gを通るものとする。振動ジャイロ素子20は、重心Gに関して点対称であることができる。即ち、振動ジャイロ素子20は、XZ平面に関して面対称であり、かつYZ平面に関して面対称であることができる。
【0038】
また、振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bに、図示しない検出電極が形成され、駆動用振動腕24a,24b,25a,25bに、図示しない駆動電極が形成されている。
振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bで、角速度を検出する検出振動系を構成し、連結腕23a,23bと駆動用振動腕24a,24b,25a,25bとで、振動ジャイロ素子20を駆動する駆動振動系を構成している。
【0039】
振動ジャイロ素子20は、平面視において、ICチップ10と重なるようにICチップ10の能動面10a側に配置されている。
なお、振動ジャイロ素子20は、基部21及び各振動腕の表裏面を主面とする。ここでは、基部21において外部と電気的に接続する面を一方の主面20aといい、一方の主面20aと対向する面を他方の主面20bという。
【0040】
振動ジャイロ素子20の各支持部19a,19bそれぞれの一方の主面20aには、上記各検出電極、各駆動電極から引き出された接続電極としての引き出し電極29が形成されている。各引き出し電極29は、後述するように、ICチップ10の対応する突起電極12と電気的及び機械的に接続されるものである。
【0041】
次に、半導体装置としてのICチップ10について図面に沿って説明する。
ICチップ10には、第1の面としての能動面10a側にトランジスターやメモリー素子などの半導体素子を含んで構成される集積回路(図示せず)が形成されている。この集積回路には、振動ジャイロ素子20を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに振動ジャイロ素子20に生じる検出振動を検出する検出回路とが備えられている。
ICチップ10は、図1及び図2に示すように、能動面10a側に設けられた複数の第1の電極(電極パッド)11と、各第1の電極11に電気的に接続されて能動面10a側に設けられた突起電極12と、能動面10aと突起電極12との間に積層された絶縁膜14と、能動面10a側に設けられた接続用端子13とを備えている。
【0042】
第1の電極11は、ICチップ10の集積回路に直接導通して形成されたものである。また、能動面10a上には、パッシベーション膜となる絶縁膜14が形成されており、この絶縁膜14には、第1の電極11上に開口部14aが形成されている。これにより、各第1の電極11は、絶縁膜14の開口部14a内にて外側に露出した状態となっている。
なお、絶縁膜14は、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)などの無機絶縁材料によって形成することができる。
また、絶縁膜14は、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などの樹脂を用いて形成することもできる。
【0043】
絶縁膜14上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起12aと、各樹脂突起12aの表面に設けられた導電膜としての金属膜17とにより構成された突起電極12が配設されている。
金属膜17は、絶縁膜14の各開口部14a内の第1の電極11から絶縁膜14上に引き出された配線16に接続され、これにより、突起電極12と第1の電極11とが電気的に接続されている。
これらの配線16、及び、突起電極12の金属膜17とにより、ICチップ10の集積回路の電極である第1の電極11の再配置を行うための再配置配線が構成されている。このような再配置配線は、ICチップ10の集積回路の微細設計によって位置の制約が大きい第1の電極11に対して、振動ジャイロ素子20との接続に供する突起電極12の位置を任意にずらして配置し、ICチップ10上における振動ジャイロ素子20との接続位置の自由度を高めるための重要な構成要素である。
【0044】
突起電極12の樹脂突起12aは、例えばポリイミド等の弾性樹脂材料により形成することができる。突起電極12のコア形状を決定する樹脂突起12aは、例えば、ICチップ10の絶縁膜14の表面に感光性のポリイミド材料をコーティングし、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行う方法などにより形成することができる。本実施形態の樹脂突起12aは、グレーマスクを用いたフォトリソグラフィーを行うことになどにより、高さ寸法などの形状を精度よく形成することができる。
なお、本実施形態の樹脂突起12aは角錐台形状のものを例示したが、これに限らず、円錐台形状、円柱状、角柱状などとしてもよい。
また、樹脂突起12aの材料は、上記したポリイミドに限定されず、弾性樹脂材料として既に公知となっているいずれかの材料を適用することができる。例えば、樹脂突起12aの材料として、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)等の樹脂を適用することができる。また、樹脂突起12aとして、弾性率が100MPaから5000MPaの間の樹脂を適用することができる。
【0045】
配線16は、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)などによって形成することができる。
また、突起電極12の金属膜17は、配線16と電気的接続な可能な導電体からなる導電膜であれば、例えば、樹脂突起12aの表面に導電性ペーストを塗布して固化させた導電膜などを用いることもできる。本実施形態では、樹脂突起12a上に、配線16と同一材料の金属からなる金属膜17を形成して突起電極12を構成している。これにより、配線16と金属膜17とを同一工程で形成することができるので製造効率がよいとともに、配線16と突起電極12との電気的な接続信頼性を高くすることができる。
なお、配線16、及び、突起電極12の導電膜としての金属膜17は、上記材料による単層構造のみならず、複数種類の上記材料を組み合わせた積層構造としてもよく、また、複数種類の金属材料の合金を用いて構成してもよい。
【0046】
また、ICチップ10に形成された集積回路には、第1の電極11以外にも、図示しない他の電極が形成されている。この他の電極は、第1の電極11の場合と同様に配線が接続され、絶縁膜14の開口部内にて外部に露出する接続用端子13と接続されている。接続用端子13は、電気的、あるいは機械的な接続を成すためのパッド状のものである。
【0047】
第1の電極11や接続用端子13、あるいはその他の電極は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、または、これらを含む合金などを用いて形成することができる。特に接続用端子13については、ワイヤーボンディングの際の接合性を高めるため、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)のメッキを施しておくのが好ましい。このようにすることで、特にさびによる接触性、接合性の低下を防止することができる。
また、第1の電極11や接続用端子13、あるいはその他の電極は、ハンダメッキ、ハンダプリコートなどの最表面処理を施したものとしてもよい。
【0048】
また、絶縁膜14は、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)などの無機絶縁材料によって形成することができる。
また、絶縁膜14は、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などの樹脂を用いて形成することもできる。
【0049】
上記のような構成のもとに、ICチップ10に形成された集積回路は、第1の電極11、配線16、及び、突起電極12を介して振動ジャイロ素子20と電気的に接続されるようになっている。これにより、振動ジャイロ素子20は、ICチップ10に保持されている。
詳述すると、図2に示すように、ICチップ10の集積回路は、絶縁膜14の開口部14aから露出する第1の電極11に一端が接続された配線により絶縁膜14上に引き出され、突起電極12の金属膜17と電気的に接続されている。この金属膜17が形成された突起電極12と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀(Ag)ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。これにより、ICチップ10において配線16によって引き出された集積回路が、突起電極12の金属膜17、及び、振動ジャイロ素子20の引き出し電極29を介して振動ジャイロ素子20と電気的に接続されるとともに、機械的に接続される。このとき、突起電極12によって、振動ジャイロ素子20とICチップ10との間に隙間が設けられている。
【0050】
ここで、センサーデバイス1の振動ジャイロ素子20の動作について説明する。
図3及び図4は、振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図である。図3は駆動振動状態を示し、図4(a)、図4(b)は、角速度が加わった状態における検出振動状態を示している。
なお、図3及び図4において、振動状態を簡易に表現するために、各振動腕は線で表してある。
【0051】
まず、振動ジャイロ素子20の駆動振動状態を説明する。
図3において、ICチップ10の集積回路(駆動回路)から駆動信号が印加されることにより、振動ジャイロ素子20は角速度が加わらない状態において、駆動用振動腕24a,24b,25a,25bが矢印Eで示す方向に屈曲振動を行う。この屈曲振動は、実線で示す振動姿態と2点鎖線で示す振動姿態とを所定の周波数で繰り返している。
【0052】
次に、この駆動振動を行っている状態で、振動ジャイロ素子20にZ軸回りの角速度ωが加わると、振動ジャイロ素子20は、図4に示すような振動を行う。
まず、図4(a)に示すように、駆動振動系を構成する駆動用振動腕24a,24b,25a,25b及び連結腕23a,23bには、矢印B方向のコリオリ力が働く。また同時に、検出用振動腕22a,22bは、矢印B方向のコリオリ力に呼応して、矢印C方向に変形する。
【0053】
その後、図4(b)に示すように、駆動用振動腕24a,24b,25a,25b及び連結腕23a,23bには、矢印B’方向に戻る力が働く。また同時に、検出用振動腕22a,22bは、矢印B’方向の力に呼応して、矢印C’方向に変形する。
振動ジャイロ素子20は、この一連の動作を交互に繰り返して新たな振動が励起される。
なお、矢印B,B’方向の振動は、重心Gに対して周方向の振動である。そして、振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bに形成された検出電極が、振動により発生した水晶の歪を検出することで角速度が求められる。
【0054】
上記第1の実施形態のセンサーデバイス1によれば、ICチップ10と振動ジャイロ素子20とを、弾性を有する樹脂突起12aを含む突起電極12により確保される隙間を設けて接合することができる。従って、従来の支持基板を介して接合した場合のように、リード線の撓み量を考慮した空隙が不要となることから、厚みの増大を抑えながら、突起電極12の樹脂突起12aが有する弾性によって外部から加わる衝撃などが緩和されて振動ジャイロ素子20に伝達され難くなる効果により、振動特性の劣化が抑えられた感度の高いセンサーデバイス1を提供することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、センサーデバイスの第2の実施形態について説明する。
図5は、センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図である。また、図6は、第2の実施形態のセンサーデバイスを部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。
なお、第2の実施形態のセンサーデバイスにおいて、上記第1の実施形態と同様な構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図5に示すように、第2の実施形態のセンサーデバイス61は、ICチップ60の能動面10a側に積層された絶縁膜14と、絶縁膜14上に積層された応力緩和層15と、応力緩和層15上に設けられた複数の突起電極32と、を備え、振動ジャイロ素子20が、ICチップ60上に、突起電極32を介して電気的な接続をはかりながら保持されている。
【0057】
ICチップ60の能動面10a上には、絶縁層(パッシベーション膜)14が形成され、その絶縁膜14上の、少なくとも振動ジャイロ素子20の引き出し電極29と平面視で重なる領域には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる応力緩和層15が形成されている。本実施形態では、ICチップ60の能動面10aの略全面に、絶縁膜14を介して応力緩和層15が積層されて形成されている。
また、応力緩和層15上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起32aと、各樹脂突起32aの表面に設けられた導電膜としての金属膜37とにより構成された突起電極32が配設されている。
【0058】
金属膜37は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線36の他端と電気的に接続されている。配線36の一端は、応力緩和層15上において第1の電極11の上方まで引き回されている。そして、配線36の一端と第1の電極11とが、絶縁膜14の開口部14aから応力緩和層15内を配線36の一端に向けて貫設された貫通孔、及び、その貫通孔と開口部14aとに埋設された導電体からなるビアホール(Via hole)35により電気的に接続されている。これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極32(金属膜37)とが電気的に接続されている。
【0059】
金属膜37が形成された突起電極32と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。これにより、ICチップ60において配線36によって引き出された集積回路が、突起電極32の金属膜37、及び、引き出し電極29を介して振動ジャイロ素子20と電気的に接続されるとともに、機械的に接続される。このとき、突起電極32によって、振動ジャイロ素子20とICチップ60との間に隙間が設けられている。
【0060】
上記構成のセンサーデバイス61によれば、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1と同様に、弾性を有する突起電極32を用いることよって、厚みの増大を抑えながらICチップ60と振動ジャイロ素子20とを隙間を設けて接合することができるとともに、突起電極32が有する弾性により、外部から加わる衝撃などの力が緩和されて振動ジャイロ素子20に伝達され難くなり、振動ジャイロ素子20の特性劣化を抑制することができる。しかも、ICチップ60の能動面10aにおいて、突起電極32の下に応力緩和層15が設けられているので、外部から加わる衝撃などの力を緩和して振動ジャイロ素子20に伝達され難くなる効果をより顕著に得ることができる。
したがって、薄型で、感度の高いセンサーデバイス61を提供することができる。
【0061】
なお、上記のセンサーデバイス61では、応力緩和層15上に樹脂突起32aを別個に形成し、その樹脂突起32aと金属膜37とにより突起電極32を構成する例を説明した。これに限らず、応力緩和層を形成する樹脂材料により、応力緩和層に樹脂突起を一体形成する構成としてもよい。
図7は、第2の実施形態のセンサーデバイスにおける突起電極の形態のバリエーションを部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図である。なお、図7に示すセンサーデバイス61´は、応力緩和層と樹脂突起とが一体形成されていること以外、上記センサーデバイス61(図5、図6を参照)と同じ構成であるため、共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
図7に示すセンサーデバイス61´において、ICチップ60´の能動面10a上には絶縁膜14が形成され、その絶縁膜14上には弾性を有する絶縁性樹脂からなる応力緩和層15´が形成されている。
応力緩和層15´上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、応力緩和層15´を形成する絶縁性樹脂材料により一体形成された樹脂突起32a´が形成されている。応力緩和層15´及び樹脂突起32a´は、ポリイミド等の弾性樹脂材料により形成することができる。例えば、ICチップ60´の絶縁膜14の表面に感光性のポリイミド材料をコーティングして応力緩和層15´のベース層を形成し、グレーマスクを用いたフォトリソグラフィーを行うことになどにより樹脂突起32a´を形成することができる。
このようにして形成された樹脂突起32a´と、樹脂突起32a´の表面に設けられた導電膜としての金属膜37とにより、突起電極32´が構成されている。
【0063】
上記構成のセンサーデバイス61´によれば、応力緩和層15´と突起電極32´の樹脂突起32a´とを同一材料にて効率的に製造することができるとともに、応力緩和層15´上における突起電極32´(樹脂突起32a´)の保持強度が強くなり、センサーデバイス61´の信頼性が向上する。
【0064】
上記実施形態で説明したセンサーデバイスは、以下の変形例として実施することも可能である。
【0065】
以下、センサーデバイスの突起電極の形態の変形例について図面を参照して説明する。
(変形例1)
図8は、センサーデバイスの変形例1の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。なお、上記実施形態との共通部分については同一符号を付して説明を省略し、上記実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0066】
図8に示す本変形例のセンサーデバイス71において、ICチップ70の能動面10a側に積層された絶縁膜14と、絶縁膜14上に設けられた突起電極72と、を備え、振動ジャイロ素子20が、ICチップ70上に、突起電極72を介して電気的な接続をはかりながら保持されている。
【0067】
ICチップ70の能動面10a上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起72aと、各樹脂突起72aの表面に設けられた導電膜としての金属膜77とにより構成された突起電極72が配設されている。
樹脂突起72aには、振動ジャイロ素子20との接合面側に開口部を有する溝75が形成されている。本変形例では、溝75が複数形成され、具体的には2つの溝75が形成され、さらに、本変形例では有底の溝75が形成されている。
また、溝75は、樹脂突起72aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、溝75の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起72aの外側面とが、図中矢印Sで示すICチップ70及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。
【0068】
金属膜77は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線76の他端と電気的に接続され、これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極72(金属膜77)とが電気的に接続されている。
金属膜77が形成された突起電極72と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。
【0069】
上記構成のセンサーデバイス71によれば、突起電極72によるICチップ70上での振動ジャイロ素子20の支持構造において、溝75が形成されたことによって突起電極72の弾性が増すので、突起電極72を介して振動ジャイロ素子20に加わる衝撃を緩和する効果が向上する。
特に、本変形例のセンサーデバイス71では、溝75が、樹脂突起72aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、溝75の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起72aの外側面とが、ICチップ70及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。これにより、ICチップ70と振動ジャイロ素子20との熱収縮率の差異によって生じる熱収縮応力が、樹脂突起72aの弾性変形によって吸収され易くなり、振動ジャイロ素子20に加わる応力を抑制することができる。
また、溝75が形成されることにより樹脂突起72aの表面積が増大することによって、突起電極72と振動ジャイロ素子20との接合面において、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98が接触する面積が増えることにより、振動ジャイロ素子20の接合強度が向上する。
さらに、溝75が形成されて表面積が増大した樹脂突起72a溝の表面に、金属膜77が形成されているので、突起電極72の放熱性が向上して振動ジャイロ素子20の温度特性が改善され、センサーデバイス71の高感度化を図ることができるという効果を奏する。
また、本変形例の突起電極72では、溝75を複数形成しているので、上記した衝撃や応力を緩和する効果、振動ジャイロ素子20の接合強度を向上させる効果、及び、放熱性を向上させる効果をより顕著に得ることができる。
したがって、小型(薄型)で、高感度を有する、信頼性の高いセンサーデバイスを提供することができる。
【0070】
(変形例2)
図9は、センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例2を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。なお、上記実施形態及び変形例1との共通部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
図9に示す変形例2のセンサーデバイス81は、上記変形例1のセンサーデバイス71の突起電極72(樹脂突起72a)に設けられた溝75が有底の溝75であることに対して(図8を参照)、本変形例の突起電極82(樹脂突起82a)に設けられた溝85が、振動ジャイロ素子20との接合面側からICチップ80の能動面10a側(絶縁膜14側)に貫通する溝85である点で異なっている。
換言すれば、本変形例のICチップ80の能動面10a上(絶縁膜14上)の振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる複数の樹脂突起82aが所定の間隔を空けて設けられ、これらの樹脂突起82aと、各樹脂突起82aの表面に設けられた導電膜としての金属膜87とにより突起電極82が構成されている。即ち、所定の間隔を空けて設けられた複数の樹脂突起82aの集合体を1つの樹脂突起82aとしたときに、各樹脂突起82aの間の間隙が上記溝85に相当する。
上記変形例1の樹脂突起72aの溝75(図8を参照)と同様に、本変形例2の樹脂突起82aにおいて、溝85は複数設けられ、具体的には2つの溝85が設けられている。また、溝85は、樹脂突起82aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、溝85の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起82aの外側面とが、図中矢印Sで示すICチップ80及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。
金属膜87は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線86の他端と電気的に接続され、これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極82(金属膜87)とが電気的に接続されている。
【0072】
本変形例2の構成のセンサーデバイス81によれば、突起電極82によるICチップ870上での振動ジャイロ素子20の支持構造において、突起電極82の弾性がさらに増すとともに、樹脂突起82aの表面積もさらに増大する。
これにより、突起電極82を介して振動ジャイロ素子20に加わる衝撃を緩和する効果、ICチップ80と振動ジャイロ素子20との熱収縮率の差異によって生じる熱収縮応力を抑制する効果、振動ジャイロ素子20の接合強度を向上させる効果、及び、突起電極82の放熱性を高める効果をより向上させることができる。
【0073】
(変形例3)
図10は、センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例3を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。
図10に示す本変形例のセンサーデバイス91において、ICチップ90の能動面10a上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる複数の樹脂突起92aと、樹脂突起92aの表面に設けられた導電膜としての金属膜97とにより構成された突起電極92が配設されている。
樹脂突起92aには、振動ジャイロ素子20との接合面側に開口部を有する溝95aと溝95bとが形成されている。
一方の溝95aは、樹脂突起92aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、他方の溝95bは、溝95aと平面視で直交する方向の対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられている。また、一方の溝95a及び他方の溝95bは、それぞれ並行させて複数設けられ、本変形例では2本ずつの溝95aと溝95bとが設けられている。これにより、本変形例の突起電極92(樹脂突起92a)には、振動ジャイロ素子20との接合面側に、平面視で縦横3つずつの突起が形成されている。
【0074】
また、溝95a,95bのうち、一方の溝(本変形例では溝95a)の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起92aの外側面とが、図中矢印Sで示すICチップ90及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。
【0075】
金属膜97は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線96の他端と電気的に接続され、これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極92(金属膜97)とが電気的に接続されている。
そして、金属膜97が形成された突起電極92と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。
【0076】
上記構成のセンサーデバイス91によれば、ICチップ90と振動ジャイロ素子20との熱収縮率の差異によって生じる熱収縮応力による悪影響を抑制する効果とともに、熱収縮応力がはたらく方向と直交する方向に加わる外力を緩和する効果も得られる。
また、樹脂突起92aの表面積がより増大するので、突起電極92と振動ジャイロ素子20との接合強度、および、突起電極92による放熱性をさらに向上させることができる。
【0077】
(第3の実施形態)
〔ジャイロセンサー〕
次に、上記のセンサーデバイスを搭載したモーションセンサーについて、図面を参照しながら説明する。
図11は、第3の実施形態のモーションセンサーとしてのジャイロセンサーの概略構成を示す模式図である。図11(a)は、ジャイロセンサーをパッケージ上面から俯瞰した平面図であり、図11(b)は、(a)の正断面図である。
なお、図11(a)では、リッドを(蓋体)便宜上省略してある。また、上記第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
図11に示すように、モーションセンサーとしてのジャイロセンサー200は、3つのセンサーデバイス(以下、センサーデバイス1A、センサーデバイス1B、センサーデバイス1Cと称すが、上記第1実施形態で説明したセンサーデバイス1と同一である)と、各センサーデバイスを内部に収納する略直方体形状のパッケージ180と、を有し、センサーデバイス1A、センサーデバイス1B、センサーデバイス1Cがパッケージ180の内部に配置され収納されている。
なお、各センサーデバイス1A,1B,1Cは、後述するように、互いの主面どうしが所定の角度を有してジャイロセンサー200内に収容させる必要がある。このため、各センサーデバイス1A,1B,1Cのベース基板185には、パッケージ180の凹部内で所定の角度でセンサーデバイスを載置できるように形成された保持基板185a,185b,185cがそれぞれ装着されている。
【0079】
パッケージ180は、底面183と壁面181,182とを含む内面を有する凹部が形成されている。この凹部は、センサーデバイス1A、センサーデバイス1B、センサーデバイス1Cの収納後、リッド(蓋体)184によって覆われる。
パッケージ180は、セラミックグリーンシートを成形して積層し、焼成した酸化アルミニウム質焼結体などが用いられている。また、リッド184には、コバールなどの金属、ガラス、セラミックなどが用いられている。
【0080】
センサーデバイス1Aは、振動ジャイロ素子201の一方の主面20a(図2参照、以下参照の記載は省略する)または他方の主面20b(図2参照、以下参照の記載は省略する)と、パッケージ180の凹部の底面183とが、略平行になるようにパッケージ180の底面183に固定、接続されている。そして、センサーデバイス1Aは、図示しないパッケージ内部電極と電気的に接続されている。
【0081】
他の2つのセンサーデバイス1B,1Cは、それぞれの振動ジャイロ素子202,203の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度が略直角となるように、パッケージ180の内部に配置され収納されている。
センサーデバイス1Bは、パッケージ180の壁面181に固定、接続され、センサーデバイス1Cは、パッケージ180の壁面182に固定、接続されている。2つのセンサーデバイス1B,1Cも、図示しないパッケージ内部電極と電気的に接続されている。
なお、パッケージ内部電極は、パッケージ180の外部に設けられた外部電極(図示せず)と電気的に接続されている。外部電極、内部電極は、タングステン(W)などのメタライズ層に、ニッケル(Ni)、金(Au)などの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
【0082】
ジャイロセンサー200は、各センサーデバイス1A,1B,1Cが、パッケージ180の内部に上記のように配置され収納された状態で、リッド184がシームリング、低融点ガラスなどの接合部材によってパッケージ180の上面に接合される。
これにより、パッケージ180の内部は、気密に封止される。なお、パッケージ180の内部は、各センサーデバイスの振動ジャイロ素子201,202,203の振動が阻害されないように、真空状態(真空度が高い状態)、または、不活性ガス雰囲気に保持されていることが好ましい。
【0083】
ここで、ジャイロセンサー200の動作について概略を説明する。
ここでは、パッケージ180の底面183が、互いに直交する3軸であるX’軸、Y’軸、Z’軸に対して、X’軸及びY’軸と平行で、Z’軸と直交しているものとする。
これにより、外力などによってジャイロセンサー200の姿勢が変化し、角速度が加わった場合、振動ジャイロ素子201の一方の主面20aまたは他方の主面20bとパッケージ180の底面183とが、略平行になるようにパッケージ180の内部に収納されているセンサーデバイス1Aは、振動ジャイロ素子201の一方の主面20aまたは他方の主面20bとZ’軸とが略直交していることから、Z’軸回りに対する角速度を検出する。
【0084】
一方、振動ジャイロ素子202,203の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度が略直角となるとともに、各振動ジャイロ素子202,203の一方の主面20aまたは他方の主面20bとセンサーデバイス1Aの振動ジャイロ素子201の一方の主面20aまたは他方の主面20bとの成す角度が略直角となるように、パッケージ180の内部に収納されている2つのセンサーデバイス1B,1Cは、一方が、振動ジャイロ素子202の一方の主面20aまたは他方の主面20bとX’軸とが略直交していることから、X’軸回りに対する角速度を検出し、他方が、振動ジャイロ素子203の一方の主面20aまたは他方の主面20bとY’軸とが略直交していることから、Y’軸回りに対する角速度を検出する。
【0085】
これらにより、ジャイロセンサー200は、互いに直交する3軸であるX’軸、Y’軸、Z’軸回りに対する角速度を、1つのジャイロセンサー200で検出することができる。
このことから、ジャイロセンサー200は、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビゲーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御などに好適に用いられる。
【0086】
また、ジャイロセンサー200は、上記第1実施形態に記載のセンサーデバイスを用いているため、上記第1実施形態に記載のセンサーデバイスと同等の効果を有している。すなわち、ジャイロセンサー200は、電気的特性の安定した小型、薄型化を実現することが可能となる。
【0087】
なお、本実施形態では、3つのセンサーデバイス1A,1B,1Cを用いたモーションセンサーとしてのジャイロセンサー200について説明したが、センサーデバイスの数はこれに限らず、1つ以上であればよい。例えば、センサーデバイスを、1つ用いれば、1軸方向の角速度の検出が可能であり、例えば、2つのセンサーデバイスを用いれば、異なる2軸方向の角速度の検出が可能となる。
【0088】
(第4の実施形態)
〔電子機器〕
上記実施形態および変形例に記載のセンサーデバイス、および、それらを備えた第3の実施形態のモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載した電子機器は、小型化および高性能化を図ることが可能である。
例えば、図12(a)は、デジタルビデオカメラへの適用例を示す。デジタルビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、及び表示ユニット1001を備えている。このようなデジタルビデオカメラ240に、上記実施形態のセンサーデバイス1やモーションセンサーとしてのジャイロセンサー200を搭載することにより、所謂手ぶれ補正機能を搭載することができる。
また、図12(b)は、電子機器としての携帯電話機、図12(c)は、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)への適用例をそれぞれ示すものである。
まず、図12(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットと1002を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示ユニット1002に表示される画面がスクロールされる。
また、図12(c)に示すPDA4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニット1003を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示ユニット1003に表示される。
このような携帯電話機3000やPDA4000に、上記実施形態のセンサーデバイスやモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載することにより、様々な機能を付与することができる。例えば、図12(b)の携帯電話機3000に、図示しないカメラ機能を付与した場合に、携帯電話機3000に搭載されたセンサーデバイスやジャイロセンサーにより手振れ補正を行うことができる。また、図12(b)の携帯電話機3000や、図12(c)のPDA4000にGPS(Global Positioning System)として広く知られる汎地球測位システムを具備した場合に、上記実施形態のセンサーデバイスやモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載することにより、GPSにおいて、携帯電話機3000やPDA4000の位置や姿勢を認識させることができる。
【0089】
なお、図12に示す電子機器に限らず、本発明のセンサーデバイスおよびモーションセンサーを適用可能な電子機器として、モバイルコンピューター、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ゲーム機などが挙げられる。
【0090】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0091】
例えば、上記実施形態および変形例では、振動素子としての振動ジャイロ素子形成材料として水晶を用いた例を説明したが、水晶以外の圧電体材料を用いることができる。例えば、窒化アルミニウム(AlN)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ほう酸リチウム(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)などの酸化物基板や、ガラス基板上に窒化アルミニウムや五酸化タンタル(Ta2O5)などの圧電体材料を積層させて構成された積層圧電基板、あるいはジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)などの圧電セラミックスを用いることができる。
また、圧電体材料以外の材料を用いて振動片を形成することができる。例えば、シリコン半導体材料などを用いて振動素子を形成することもできる。
また、振動素子の駆動振動の励振方式や検出振動の検出方式は、圧電効果によるものだけに限らない。静電気力(クーロン力)を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動片においても、本発明の構成およびその効果を発揮させることができる。
【0092】
また、振動素子としての振動ジャイロ素子の形状は、上記実施形態および変形例で説明した所謂WT型に限らない。音叉型、あるいは、MEMSジャイロのように櫛歯電極で静電検出する振動素子においても、本発明の半導体基板の能動領域の配置によれば、上述した実施形態および変形例に記載したものと同様な効果を得ることができる。
【0093】
また、上記各実施形態及び変形例では、各センサーデバイスに備わる振動片(センサー素子)として振動ジャイロ素子20を例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、加速度に反応する加速度感知素子、圧力に反応する圧力感知素子、重さに反応する重量感知素子などでもよい。
したがって、本発明のセンサーデバイスを利用したモーションセンサーは、上記第3の実施形態で説明した角速度を検出するジャイロセンサー200に限らず、角加速度、加速度、力、温度、磁気など、種々の物理量を検出するセンサー素子に利用することができる。
【0094】
また、本発明のセンサーデバイスやモーションセンサーに用いる振動素子は、上記実施形態および変形例で説明した振動ジャイロ素子20などのセンサー素子に限らず、例えば、発振器などに用いられる共振子であってもよい。
【0095】
また、上記第2の実施形態では、半導体装置としてのICチップ10上に一層の応力緩和層15を設けた構成を説明した。これに限らず、応力緩和層を複数層設けて、その複数の応力緩和層の層間に再配置配線を形成することができる。この構成によれば、複数の応力緩和層を介して電極や配線の直上に配線を設けることができ、再配置配線の引き回しの設計の自由度をより高くすることができる。
【符号の説明】
【0096】
1,61,61´,71,81,91,1A〜1C…センサーデバイス、9a〜9d…梁、10,60,60´,70,80,90…半導体装置としてのICチップ、10a…能動面、11…第1の電極、12,32,32´,72,82,92…突起電極、12a,32a,32a´,72a,82a,92a…樹脂突起、13…接続用端子、14…絶縁膜、14a…開口部、15,15´…応力緩和層、16,36,76,86,96…配線、17,37,67,77,87,97…導電膜としての金属膜、19a,19b…支持部、20,201,202,203…振動片としての振動ジャイロ素子、20a…一方の主面、20b…他方の主面、21…基部、22a,22b…検出用振動腕、23a,23b…連結腕、24a,24b,25a,25b…駆動用振動腕、26a,26b,27a,27b,28a,28b…錘部、29…引き出し電極、35…ビアホール、75,85,95a,95b…溝、98…接合部材、180…パッケージ、181,182…壁面、183…底面、184…リッド、185…ベース基板、185a…保持基板、200…モーションセンサーとしてのジャイロセンサー、240…電子機器としてのデジタルビデオカメラ、241…受像部、242…操作部、243…音声入力部、1001…及び表示ユニット、1002…表示ユニット、1003…表示ユニット、3000…電子機器としての携帯電話機、3001…複数の操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…電子機器としてのPDA、4001…複数の操作ボタン、4002…電源スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーデバイス、モーションセンサー、及び、それらを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度や角速度などをセンシングするモーションセンサーにおいては、センサー素子と、該センサー素子を駆動する機能を有する回路素子とを備えたセンサーデバイスを用いた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、センサー素子としての振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)と回路素子としての半導体装置(以下、半導体装置という)とを備えたセンサーデバイスがパッケージに収納されたモーションセンサーとしてのジャイロセンサー(圧電発振器)が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のジャイロセンサーの構成では、半導体装置が支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。また、センサー素子(振動ジャイロ素子)は、支持基板に固着されたリード線に接続されることによって、半導体装置と空隙を保ち該半導体装置と平面視で重なるように配置されている。このように、弾性を有するリード線によってセンサー素子を保持することにより、外部からセンサー素子に加わる衝撃をリード線の撓みによって緩和し、センサー素子に外力が加わることによる誤検出などの悪影響を抑制する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−292079号公報(図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のジャイロセンサーでは、外部から加わる衝撃によりリード線が撓んだ場合に、半導体装置と、センサー素子とが互いに干渉しないように、両者間にリード線の撓み量を超える空隙を設ける必要がある。この結果、上記ジャイロセンサーは、センサーデバイスの厚さが増加し、総厚が厚くなってしまうという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかるセンサーデバイスは、第1の面に第1の電極が位置する半導体装置と、基部と、前記基部から延伸された振動部と、を備えた振動片であって、前記振動片の前記半導体装置と対向する第2の面に第2の電極が位置する前記振動片と、を有し、前記半導体装置は、前記第1の面の前記第2の電極と平面視で重なる領域に位置する絶縁性樹脂からなる樹脂突起と、前記樹脂突起の表面に設けられ前記第1の電極と配線を介して電気的に接続された導電膜と、を含む突起電極を有し、前記振動片は、前記第2の電極と前記突起電極との接合によって、前記半導体装置に保持されるとともに電気的に接続されたことを特徴とする。
【0008】
上記構成のセンサーデバイスによれば、半導体装置と振動片とを、突起電極により確保される隙間を設けて接合することができるので、上述した支持基板を介した従来例のようにリード線の撓み量を考慮した空隙が不要となり、厚さが低減された薄型のセンサーデバイスを提供することができる。
しかも、突起電極の樹脂突起が有する弾性により、外部から加わる衝撃などが緩和されて振動片に伝達され難くなることから、振動片の安定した振動モードや周波数温度特性が保持され、感度の高いセンサーデバイスを提供することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記導電膜と前記配線とは同一材料を用いて形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、導電膜を配線形成工程で配線と同時に形成することが可能となり、製造効率を向上させることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記樹脂突起の少なくとも前記振動片との接合面側に開口部を有する溝が形成されていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、突起電極による半導体装置上での振動片の支持構造において、突起電極の弾性が増すことにより、突起電極を介して振動片に加わる衝撃を緩和する効果が向上する。
また、溝により表面積が増大することによって、少なくとも突起電極と振動片との接合面において、例えば導電性ペーストなどの接合部材が接触する面積が増えることにより、振動片の接合強度が向上する。さらに、溝の内壁に前記導電膜を形成した場合には、放熱性が向上して振動片の温度特性が向上し、センサーデバイスの高感度化を図ることができるという効果を奏する。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記溝が複数設けられたことを特徴とする。
【0014】
これによれば、上記適用例で述べた溝による接合強度を向上させる効果や、放熱効果を向上させる効果をより顕著に得ることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記溝は、平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、前記溝の内壁、および前記内壁と対向する前記樹脂突起の外側面とが、前記半導体装置および前記振動片の熱収縮する方向と交差するように配置されていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、半導体装置および振動片の熱収縮する方向に対して突起電極が弾性変形しやすくなることにより、熱収縮による応力をより効率的に緩和することができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記半導体装置と前記突起電極との間に絶縁性樹脂からなる応力緩和層が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、半導体装置と突起電極との間に設けられている応力緩和層によって外部から加わる衝撃などが吸収され緩和されることによって、振動モードや周波数温度特性がより安定した高感度のセンサーデバイスを提供することができる。
【0019】
[適用例7]本適用例にかかるモーションセンサーは、上記適用例のいずれかに記載のセンサーデバイスと、前記センサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、前記センサーデバイスが、前記パッケージに収納されていることを特徴とする。
【0020】
これによれば、モーションセンサーは、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏するセンサーデバイスを備えたモーションセンサーを提供できる。
加えて、モーションセンサーは、薄型化されるとともに耐衝撃性の高いセンサーデバイスを用いることから、薄型化及び耐衝撃性の向上を実現することが可能となる。
【0021】
[適用例8]本適用例にかかるモーションセンサーは、上記適用例のいずれかに記載の複数の前記センサーデバイスと、前記複数のセンサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、前記複数のセンサーデバイスは、前記各振動片の主面同士の成す角度が略直角となるように前記パッケージ内に配置され、収納されていることを特徴とする。
【0022】
これによれば、モーションセンサーは、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する複数のセンサーデバイスを備えたモーションセンサーを提供できる。
また、モーションセンサーは、各センサーデバイスが各センサー素子の主面同士の成す角度が略直角となるようにパッケージ内に配置され、収納されていることから、1つで、複数軸に対応したセンシングが可能となる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかるモーションセンサーにおいて、少なくとも1つの前記振動片の主面は、前記パッケージの外部部材に接続される被接続面と略平行であることを特徴とする。
【0024】
これによれば、モーションセンサーは、1つで、パッケージの被接続面と略直交する軸を含む複数軸に対応したセンシングが可能となる。
【0025】
[適用例10]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載のセンサーデバイス、または、モーションセンサーを備えていることを特徴とする。
【0026】
上記構成の電子機器は、上記適用例のセンサーデバイス、または、モーションセンサー、即ち、振動モードや周波数温度特性が安定して周波数ばらつきが抑制された高感度のセンサーデバイス、または、モーションセンサーを備えているので、高機能で安定した特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】センサーデバイスの第1の実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体装置としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図。
【図2】第1の実施形態のセンサーデバイスのICチップと振動片としての振動ジャイロ素子との接合部分を拡大して説明する模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図。
【図3】センサー素子としての振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図4】振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図5】センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体装置としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のB−B線断面図。
【図6】センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図。
【図7】第2の実施形態のセンサーデバイスにおける突起電極の形態のバリエーションを部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図。
【図8】センサーデバイスの変形例1の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図。
【図9】センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例2を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図。
【図10】センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例3を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図。
【図11】センサーデバイスを搭載したモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを示す模式図であり、(a)は、上側から俯瞰した平面図、(b)は、正断面図。
【図12】上記実施形態及び変形例のセンサーデバイス、または、ジャイロセンサー(モーションセンサー)を搭載した電子機器の例を示す模式図であり、(a)は、デジタルビデオカメラの斜視図、(b)は、携帯電話機の斜視図、(c)は、情報携帯端末(PDA)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
〔センサーデバイス〕
図1は、センサーデバイスの第1の実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体装置としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
また、図2は、センサーデバイスの第1の実施形態のICチップと振動片としての振動ジャイロ素子との接合部分を拡大して説明する模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、突起電極を介した接合部分の正断面図である。
【0030】
図1に示すように、センサーデバイス1は、半導体装置としてのICチップ10と、振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)20と、を備えている。振動ジャイロ素子20は、ICチップ10の能動面10a側に積層された絶縁膜(パッシベーション膜)14上に設けられた複数の突起電極12を介して電気的な接続をはかりながら保持されている。
【0031】
まず、センサーデバイス1におけるセンサー素子としての振動ジャイロ素子20について詳細に説明する。
振動ジャイロ素子20は、圧電材料である水晶を基材(主要部分を構成する材料)として形成されている。水晶は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸を有している。
そして、振動ジャイロ素子20は、水晶結晶軸において直交するX軸及びY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有している。なお、所定の厚みは、発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
【0032】
また、振動ジャイロ素子20を成す平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、X軸を中心に0度から2度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。Y軸及びZ軸についても同様である。
振動ジャイロ素子20は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウエットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。なお、振動ジャイロ素子20は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
【0033】
図1(a)に示すように、本実施形態の振動ジャイロ素子20は、ダブルT型と呼ばれる構成となっている。詳述すると、振動ジャイロ素子20は、中心部分に位置する基部21と、基部21からY軸に沿って延伸された振動部としての一対の検出用振動腕22a,22bと、検出用振動腕22a,22bと直交するように、基部21からX軸に沿って延伸された一対の連結腕23a,23bと、検出用振動腕22a,22bと平行になるように、各連結腕23a,23bの先端側からY軸に沿って延伸された振動部としての各一対の駆動用振動腕24a,24b,25a,25bと、を備えている。
【0034】
各検出用振動腕22a,22bの先端側には、他の部分より幅が大きい(X軸方向の長さが大きい)略矩形状の錘部26a,26bを有している。同様に、二対の駆動用振動腕24a,24b及び駆動用振動腕25a,25bそれぞれの先端側には、他の部分より幅が大きい略矩形状の錘部27a,27b及び錘部28a,28bを有している。これら錘部26a,26b,27a,27b,28a,28bによって、振動ジャイロ素子20は、小型化を図りながら角速度の検出感度を向上させることができる。
【0035】
また、振動ジャイロ素子20は、一対の支持部19a,19bを備えている。このうち一方の支持部19aは、一対の検出用振動腕22a,22bのうちの一方の検出用振動腕22aに対してY軸の正の方向に配置されている。また、他方の支持部19bは、一対の検出用振動腕22a,22bのうち他方の検出用振動腕22bに対してY軸の負の方向側に配置されている。各支持部19a,19bのX軸方向の長さは、各検出用振動腕22a,22bの錘部26a,26bのX軸方向の長さよりも大きく、例えば、一対の連結腕23a,23b及び基部21のX軸方向の長さの合計と同じ程度である。なお、図示の例では、各支持部19a,19bの平面形状は略矩形であるが、特に限定されるものではない。支持部19a,19bは、各検出用振動腕22a,22bと、各駆動用振動腕24a,24b,25a,25bとから離間して配置されている。各支持部19a,19bは、突起電極12を介してICチップ10に固定される部位となる。
【0036】
図1(a)に示すように、基部21から一方の支持部19aまでの間には、一対の梁9a,9cが設けられている。このうち一方の梁9aは、基部21から検出用振動腕22aと駆動用振動腕24aとの間を通って延出されて支持部19aに接続され、他方の梁9cは、基部21から検出用振動腕22aと駆動用振動腕25aとの間を通って延出されて支持部19aに接続されている。
同様に、基部21から他方の支持部19bまでの間には、一対の梁9b,9dが設けられている。このうち一方の梁9bは、基部21から検出用振動腕22bと駆動用振動腕24bとの間を通って延出されて支持部19bに接続され、他方の梁9dは、基部21から検出用振動腕22bと駆動用振動腕25bとの間を通って延出されて支持部19bに接続されている。各梁9a,9b,9c,9dは、図示するようなS字形状をそれぞれ有することができる。このように、細長く蛇行した形状を有する梁9a〜9dによって各支持部19a,19bと基部21が接続されることによって、振動ジャイロ素子20の要部がX軸方向及びY軸方向に弾性を得ることができる。
【0037】
基部21の中心は、振動ジャイロ素子20の重心位置としての重心Gであることができる。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交し、重心Gを通るものとする。振動ジャイロ素子20は、重心Gに関して点対称であることができる。即ち、振動ジャイロ素子20は、XZ平面に関して面対称であり、かつYZ平面に関して面対称であることができる。
【0038】
また、振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bに、図示しない検出電極が形成され、駆動用振動腕24a,24b,25a,25bに、図示しない駆動電極が形成されている。
振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bで、角速度を検出する検出振動系を構成し、連結腕23a,23bと駆動用振動腕24a,24b,25a,25bとで、振動ジャイロ素子20を駆動する駆動振動系を構成している。
【0039】
振動ジャイロ素子20は、平面視において、ICチップ10と重なるようにICチップ10の能動面10a側に配置されている。
なお、振動ジャイロ素子20は、基部21及び各振動腕の表裏面を主面とする。ここでは、基部21において外部と電気的に接続する面を一方の主面20aといい、一方の主面20aと対向する面を他方の主面20bという。
【0040】
振動ジャイロ素子20の各支持部19a,19bそれぞれの一方の主面20aには、上記各検出電極、各駆動電極から引き出された接続電極としての引き出し電極29が形成されている。各引き出し電極29は、後述するように、ICチップ10の対応する突起電極12と電気的及び機械的に接続されるものである。
【0041】
次に、半導体装置としてのICチップ10について図面に沿って説明する。
ICチップ10には、第1の面としての能動面10a側にトランジスターやメモリー素子などの半導体素子を含んで構成される集積回路(図示せず)が形成されている。この集積回路には、振動ジャイロ素子20を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに振動ジャイロ素子20に生じる検出振動を検出する検出回路とが備えられている。
ICチップ10は、図1及び図2に示すように、能動面10a側に設けられた複数の第1の電極(電極パッド)11と、各第1の電極11に電気的に接続されて能動面10a側に設けられた突起電極12と、能動面10aと突起電極12との間に積層された絶縁膜14と、能動面10a側に設けられた接続用端子13とを備えている。
【0042】
第1の電極11は、ICチップ10の集積回路に直接導通して形成されたものである。また、能動面10a上には、パッシベーション膜となる絶縁膜14が形成されており、この絶縁膜14には、第1の電極11上に開口部14aが形成されている。これにより、各第1の電極11は、絶縁膜14の開口部14a内にて外側に露出した状態となっている。
なお、絶縁膜14は、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)などの無機絶縁材料によって形成することができる。
また、絶縁膜14は、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などの樹脂を用いて形成することもできる。
【0043】
絶縁膜14上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起12aと、各樹脂突起12aの表面に設けられた導電膜としての金属膜17とにより構成された突起電極12が配設されている。
金属膜17は、絶縁膜14の各開口部14a内の第1の電極11から絶縁膜14上に引き出された配線16に接続され、これにより、突起電極12と第1の電極11とが電気的に接続されている。
これらの配線16、及び、突起電極12の金属膜17とにより、ICチップ10の集積回路の電極である第1の電極11の再配置を行うための再配置配線が構成されている。このような再配置配線は、ICチップ10の集積回路の微細設計によって位置の制約が大きい第1の電極11に対して、振動ジャイロ素子20との接続に供する突起電極12の位置を任意にずらして配置し、ICチップ10上における振動ジャイロ素子20との接続位置の自由度を高めるための重要な構成要素である。
【0044】
突起電極12の樹脂突起12aは、例えばポリイミド等の弾性樹脂材料により形成することができる。突起電極12のコア形状を決定する樹脂突起12aは、例えば、ICチップ10の絶縁膜14の表面に感光性のポリイミド材料をコーティングし、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行う方法などにより形成することができる。本実施形態の樹脂突起12aは、グレーマスクを用いたフォトリソグラフィーを行うことになどにより、高さ寸法などの形状を精度よく形成することができる。
なお、本実施形態の樹脂突起12aは角錐台形状のものを例示したが、これに限らず、円錐台形状、円柱状、角柱状などとしてもよい。
また、樹脂突起12aの材料は、上記したポリイミドに限定されず、弾性樹脂材料として既に公知となっているいずれかの材料を適用することができる。例えば、樹脂突起12aの材料として、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)等の樹脂を適用することができる。また、樹脂突起12aとして、弾性率が100MPaから5000MPaの間の樹脂を適用することができる。
【0045】
配線16は、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)などによって形成することができる。
また、突起電極12の金属膜17は、配線16と電気的接続な可能な導電体からなる導電膜であれば、例えば、樹脂突起12aの表面に導電性ペーストを塗布して固化させた導電膜などを用いることもできる。本実施形態では、樹脂突起12a上に、配線16と同一材料の金属からなる金属膜17を形成して突起電極12を構成している。これにより、配線16と金属膜17とを同一工程で形成することができるので製造効率がよいとともに、配線16と突起電極12との電気的な接続信頼性を高くすることができる。
なお、配線16、及び、突起電極12の導電膜としての金属膜17は、上記材料による単層構造のみならず、複数種類の上記材料を組み合わせた積層構造としてもよく、また、複数種類の金属材料の合金を用いて構成してもよい。
【0046】
また、ICチップ10に形成された集積回路には、第1の電極11以外にも、図示しない他の電極が形成されている。この他の電極は、第1の電極11の場合と同様に配線が接続され、絶縁膜14の開口部内にて外部に露出する接続用端子13と接続されている。接続用端子13は、電気的、あるいは機械的な接続を成すためのパッド状のものである。
【0047】
第1の電極11や接続用端子13、あるいはその他の電極は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、または、これらを含む合金などを用いて形成することができる。特に接続用端子13については、ワイヤーボンディングの際の接合性を高めるため、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)のメッキを施しておくのが好ましい。このようにすることで、特にさびによる接触性、接合性の低下を防止することができる。
また、第1の電極11や接続用端子13、あるいはその他の電極は、ハンダメッキ、ハンダプリコートなどの最表面処理を施したものとしてもよい。
【0048】
また、絶縁膜14は、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)などの無機絶縁材料によって形成することができる。
また、絶縁膜14は、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などの樹脂を用いて形成することもできる。
【0049】
上記のような構成のもとに、ICチップ10に形成された集積回路は、第1の電極11、配線16、及び、突起電極12を介して振動ジャイロ素子20と電気的に接続されるようになっている。これにより、振動ジャイロ素子20は、ICチップ10に保持されている。
詳述すると、図2に示すように、ICチップ10の集積回路は、絶縁膜14の開口部14aから露出する第1の電極11に一端が接続された配線により絶縁膜14上に引き出され、突起電極12の金属膜17と電気的に接続されている。この金属膜17が形成された突起電極12と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀(Ag)ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。これにより、ICチップ10において配線16によって引き出された集積回路が、突起電極12の金属膜17、及び、振動ジャイロ素子20の引き出し電極29を介して振動ジャイロ素子20と電気的に接続されるとともに、機械的に接続される。このとき、突起電極12によって、振動ジャイロ素子20とICチップ10との間に隙間が設けられている。
【0050】
ここで、センサーデバイス1の振動ジャイロ素子20の動作について説明する。
図3及び図4は、振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図である。図3は駆動振動状態を示し、図4(a)、図4(b)は、角速度が加わった状態における検出振動状態を示している。
なお、図3及び図4において、振動状態を簡易に表現するために、各振動腕は線で表してある。
【0051】
まず、振動ジャイロ素子20の駆動振動状態を説明する。
図3において、ICチップ10の集積回路(駆動回路)から駆動信号が印加されることにより、振動ジャイロ素子20は角速度が加わらない状態において、駆動用振動腕24a,24b,25a,25bが矢印Eで示す方向に屈曲振動を行う。この屈曲振動は、実線で示す振動姿態と2点鎖線で示す振動姿態とを所定の周波数で繰り返している。
【0052】
次に、この駆動振動を行っている状態で、振動ジャイロ素子20にZ軸回りの角速度ωが加わると、振動ジャイロ素子20は、図4に示すような振動を行う。
まず、図4(a)に示すように、駆動振動系を構成する駆動用振動腕24a,24b,25a,25b及び連結腕23a,23bには、矢印B方向のコリオリ力が働く。また同時に、検出用振動腕22a,22bは、矢印B方向のコリオリ力に呼応して、矢印C方向に変形する。
【0053】
その後、図4(b)に示すように、駆動用振動腕24a,24b,25a,25b及び連結腕23a,23bには、矢印B’方向に戻る力が働く。また同時に、検出用振動腕22a,22bは、矢印B’方向の力に呼応して、矢印C’方向に変形する。
振動ジャイロ素子20は、この一連の動作を交互に繰り返して新たな振動が励起される。
なお、矢印B,B’方向の振動は、重心Gに対して周方向の振動である。そして、振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bに形成された検出電極が、振動により発生した水晶の歪を検出することで角速度が求められる。
【0054】
上記第1の実施形態のセンサーデバイス1によれば、ICチップ10と振動ジャイロ素子20とを、弾性を有する樹脂突起12aを含む突起電極12により確保される隙間を設けて接合することができる。従って、従来の支持基板を介して接合した場合のように、リード線の撓み量を考慮した空隙が不要となることから、厚みの増大を抑えながら、突起電極12の樹脂突起12aが有する弾性によって外部から加わる衝撃などが緩和されて振動ジャイロ素子20に伝達され難くなる効果により、振動特性の劣化が抑えられた感度の高いセンサーデバイス1を提供することができる。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、センサーデバイスの第2の実施形態について説明する。
図5は、センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図である。また、図6は、第2の実施形態のセンサーデバイスを部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。
なお、第2の実施形態のセンサーデバイスにおいて、上記第1の実施形態と同様な構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図5に示すように、第2の実施形態のセンサーデバイス61は、ICチップ60の能動面10a側に積層された絶縁膜14と、絶縁膜14上に積層された応力緩和層15と、応力緩和層15上に設けられた複数の突起電極32と、を備え、振動ジャイロ素子20が、ICチップ60上に、突起電極32を介して電気的な接続をはかりながら保持されている。
【0057】
ICチップ60の能動面10a上には、絶縁層(パッシベーション膜)14が形成され、その絶縁膜14上の、少なくとも振動ジャイロ素子20の引き出し電極29と平面視で重なる領域には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる応力緩和層15が形成されている。本実施形態では、ICチップ60の能動面10aの略全面に、絶縁膜14を介して応力緩和層15が積層されて形成されている。
また、応力緩和層15上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起32aと、各樹脂突起32aの表面に設けられた導電膜としての金属膜37とにより構成された突起電極32が配設されている。
【0058】
金属膜37は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線36の他端と電気的に接続されている。配線36の一端は、応力緩和層15上において第1の電極11の上方まで引き回されている。そして、配線36の一端と第1の電極11とが、絶縁膜14の開口部14aから応力緩和層15内を配線36の一端に向けて貫設された貫通孔、及び、その貫通孔と開口部14aとに埋設された導電体からなるビアホール(Via hole)35により電気的に接続されている。これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極32(金属膜37)とが電気的に接続されている。
【0059】
金属膜37が形成された突起電極32と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。これにより、ICチップ60において配線36によって引き出された集積回路が、突起電極32の金属膜37、及び、引き出し電極29を介して振動ジャイロ素子20と電気的に接続されるとともに、機械的に接続される。このとき、突起電極32によって、振動ジャイロ素子20とICチップ60との間に隙間が設けられている。
【0060】
上記構成のセンサーデバイス61によれば、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1と同様に、弾性を有する突起電極32を用いることよって、厚みの増大を抑えながらICチップ60と振動ジャイロ素子20とを隙間を設けて接合することができるとともに、突起電極32が有する弾性により、外部から加わる衝撃などの力が緩和されて振動ジャイロ素子20に伝達され難くなり、振動ジャイロ素子20の特性劣化を抑制することができる。しかも、ICチップ60の能動面10aにおいて、突起電極32の下に応力緩和層15が設けられているので、外部から加わる衝撃などの力を緩和して振動ジャイロ素子20に伝達され難くなる効果をより顕著に得ることができる。
したがって、薄型で、感度の高いセンサーデバイス61を提供することができる。
【0061】
なお、上記のセンサーデバイス61では、応力緩和層15上に樹脂突起32aを別個に形成し、その樹脂突起32aと金属膜37とにより突起電極32を構成する例を説明した。これに限らず、応力緩和層を形成する樹脂材料により、応力緩和層に樹脂突起を一体形成する構成としてもよい。
図7は、第2の実施形態のセンサーデバイスにおける突起電極の形態のバリエーションを部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の正断面図である。なお、図7に示すセンサーデバイス61´は、応力緩和層と樹脂突起とが一体形成されていること以外、上記センサーデバイス61(図5、図6を参照)と同じ構成であるため、共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
図7に示すセンサーデバイス61´において、ICチップ60´の能動面10a上には絶縁膜14が形成され、その絶縁膜14上には弾性を有する絶縁性樹脂からなる応力緩和層15´が形成されている。
応力緩和層15´上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、応力緩和層15´を形成する絶縁性樹脂材料により一体形成された樹脂突起32a´が形成されている。応力緩和層15´及び樹脂突起32a´は、ポリイミド等の弾性樹脂材料により形成することができる。例えば、ICチップ60´の絶縁膜14の表面に感光性のポリイミド材料をコーティングして応力緩和層15´のベース層を形成し、グレーマスクを用いたフォトリソグラフィーを行うことになどにより樹脂突起32a´を形成することができる。
このようにして形成された樹脂突起32a´と、樹脂突起32a´の表面に設けられた導電膜としての金属膜37とにより、突起電極32´が構成されている。
【0063】
上記構成のセンサーデバイス61´によれば、応力緩和層15´と突起電極32´の樹脂突起32a´とを同一材料にて効率的に製造することができるとともに、応力緩和層15´上における突起電極32´(樹脂突起32a´)の保持強度が強くなり、センサーデバイス61´の信頼性が向上する。
【0064】
上記実施形態で説明したセンサーデバイスは、以下の変形例として実施することも可能である。
【0065】
以下、センサーデバイスの突起電極の形態の変形例について図面を参照して説明する。
(変形例1)
図8は、センサーデバイスの変形例1の概略構成を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。なお、上記実施形態との共通部分については同一符号を付して説明を省略し、上記実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0066】
図8に示す本変形例のセンサーデバイス71において、ICチップ70の能動面10a側に積層された絶縁膜14と、絶縁膜14上に設けられた突起電極72と、を備え、振動ジャイロ素子20が、ICチップ70上に、突起電極72を介して電気的な接続をはかりながら保持されている。
【0067】
ICチップ70の能動面10a上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる樹脂突起72aと、各樹脂突起72aの表面に設けられた導電膜としての金属膜77とにより構成された突起電極72が配設されている。
樹脂突起72aには、振動ジャイロ素子20との接合面側に開口部を有する溝75が形成されている。本変形例では、溝75が複数形成され、具体的には2つの溝75が形成され、さらに、本変形例では有底の溝75が形成されている。
また、溝75は、樹脂突起72aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、溝75の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起72aの外側面とが、図中矢印Sで示すICチップ70及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。
【0068】
金属膜77は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線76の他端と電気的に接続され、これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極72(金属膜77)とが電気的に接続されている。
金属膜77が形成された突起電極72と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。
【0069】
上記構成のセンサーデバイス71によれば、突起電極72によるICチップ70上での振動ジャイロ素子20の支持構造において、溝75が形成されたことによって突起電極72の弾性が増すので、突起電極72を介して振動ジャイロ素子20に加わる衝撃を緩和する効果が向上する。
特に、本変形例のセンサーデバイス71では、溝75が、樹脂突起72aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、溝75の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起72aの外側面とが、ICチップ70及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。これにより、ICチップ70と振動ジャイロ素子20との熱収縮率の差異によって生じる熱収縮応力が、樹脂突起72aの弾性変形によって吸収され易くなり、振動ジャイロ素子20に加わる応力を抑制することができる。
また、溝75が形成されることにより樹脂突起72aの表面積が増大することによって、突起電極72と振動ジャイロ素子20との接合面において、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98が接触する面積が増えることにより、振動ジャイロ素子20の接合強度が向上する。
さらに、溝75が形成されて表面積が増大した樹脂突起72a溝の表面に、金属膜77が形成されているので、突起電極72の放熱性が向上して振動ジャイロ素子20の温度特性が改善され、センサーデバイス71の高感度化を図ることができるという効果を奏する。
また、本変形例の突起電極72では、溝75を複数形成しているので、上記した衝撃や応力を緩和する効果、振動ジャイロ素子20の接合強度を向上させる効果、及び、放熱性を向上させる効果をより顕著に得ることができる。
したがって、小型(薄型)で、高感度を有する、信頼性の高いセンサーデバイスを提供することができる。
【0070】
(変形例2)
図9は、センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例2を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。なお、上記実施形態及び変形例1との共通部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
図9に示す変形例2のセンサーデバイス81は、上記変形例1のセンサーデバイス71の突起電極72(樹脂突起72a)に設けられた溝75が有底の溝75であることに対して(図8を参照)、本変形例の突起電極82(樹脂突起82a)に設けられた溝85が、振動ジャイロ素子20との接合面側からICチップ80の能動面10a側(絶縁膜14側)に貫通する溝85である点で異なっている。
換言すれば、本変形例のICチップ80の能動面10a上(絶縁膜14上)の振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる複数の樹脂突起82aが所定の間隔を空けて設けられ、これらの樹脂突起82aと、各樹脂突起82aの表面に設けられた導電膜としての金属膜87とにより突起電極82が構成されている。即ち、所定の間隔を空けて設けられた複数の樹脂突起82aの集合体を1つの樹脂突起82aとしたときに、各樹脂突起82aの間の間隙が上記溝85に相当する。
上記変形例1の樹脂突起72aの溝75(図8を参照)と同様に、本変形例2の樹脂突起82aにおいて、溝85は複数設けられ、具体的には2つの溝85が設けられている。また、溝85は、樹脂突起82aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、溝85の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起82aの外側面とが、図中矢印Sで示すICチップ80及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。
金属膜87は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線86の他端と電気的に接続され、これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極82(金属膜87)とが電気的に接続されている。
【0072】
本変形例2の構成のセンサーデバイス81によれば、突起電極82によるICチップ870上での振動ジャイロ素子20の支持構造において、突起電極82の弾性がさらに増すとともに、樹脂突起82aの表面積もさらに増大する。
これにより、突起電極82を介して振動ジャイロ素子20に加わる衝撃を緩和する効果、ICチップ80と振動ジャイロ素子20との熱収縮率の差異によって生じる熱収縮応力を抑制する効果、振動ジャイロ素子20の接合強度を向上させる効果、及び、突起電極82の放熱性を高める効果をより向上させることができる。
【0073】
(変形例3)
図10は、センサーデバイスにおける突起電極の形状の変形例3を部分的に拡大して示す模式図であり、(a)は、ICチップの突起電極形成領域を上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のICチップと同じ部分に振動ジャイロ素子が搭載された状態の正断面図である。
図10に示す本変形例のセンサーデバイス91において、ICチップ90の能動面10a上の、振動ジャイロ素子20の複数の引き出し電極29と対応する位置には、弾性を有する絶縁性樹脂からなる複数の樹脂突起92aと、樹脂突起92aの表面に設けられた導電膜としての金属膜97とにより構成された突起電極92が配設されている。
樹脂突起92aには、振動ジャイロ素子20との接合面側に開口部を有する溝95aと溝95bとが形成されている。
一方の溝95aは、樹脂突起92aの平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、他方の溝95bは、溝95aと平面視で直交する方向の対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられている。また、一方の溝95a及び他方の溝95bは、それぞれ並行させて複数設けられ、本変形例では2本ずつの溝95aと溝95bとが設けられている。これにより、本変形例の突起電極92(樹脂突起92a)には、振動ジャイロ素子20との接合面側に、平面視で縦横3つずつの突起が形成されている。
【0074】
また、溝95a,95bのうち、一方の溝(本変形例では溝95a)の内壁、及び、それらの内壁と対向する樹脂突起92aの外側面とが、図中矢印Sで示すICチップ90及び振動ジャイロ素子20の熱収縮する方向と交差するように配置されている。
【0075】
金属膜97は、一端が第1の電極11に電気的に接続された配線96の他端と電気的に接続され、これにより、第1の電極11と、それに対応する突起電極92(金属膜97)とが電気的に接続されている。
そして、金属膜97が形成された突起電極92と、振動ジャイロ素子20の対応する引き出し電極29とが位置合わせされ、例えば銀ペーストなどの導電性の接合部材98により接合されている。
【0076】
上記構成のセンサーデバイス91によれば、ICチップ90と振動ジャイロ素子20との熱収縮率の差異によって生じる熱収縮応力による悪影響を抑制する効果とともに、熱収縮応力がはたらく方向と直交する方向に加わる外力を緩和する効果も得られる。
また、樹脂突起92aの表面積がより増大するので、突起電極92と振動ジャイロ素子20との接合強度、および、突起電極92による放熱性をさらに向上させることができる。
【0077】
(第3の実施形態)
〔ジャイロセンサー〕
次に、上記のセンサーデバイスを搭載したモーションセンサーについて、図面を参照しながら説明する。
図11は、第3の実施形態のモーションセンサーとしてのジャイロセンサーの概略構成を示す模式図である。図11(a)は、ジャイロセンサーをパッケージ上面から俯瞰した平面図であり、図11(b)は、(a)の正断面図である。
なお、図11(a)では、リッドを(蓋体)便宜上省略してある。また、上記第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
図11に示すように、モーションセンサーとしてのジャイロセンサー200は、3つのセンサーデバイス(以下、センサーデバイス1A、センサーデバイス1B、センサーデバイス1Cと称すが、上記第1実施形態で説明したセンサーデバイス1と同一である)と、各センサーデバイスを内部に収納する略直方体形状のパッケージ180と、を有し、センサーデバイス1A、センサーデバイス1B、センサーデバイス1Cがパッケージ180の内部に配置され収納されている。
なお、各センサーデバイス1A,1B,1Cは、後述するように、互いの主面どうしが所定の角度を有してジャイロセンサー200内に収容させる必要がある。このため、各センサーデバイス1A,1B,1Cのベース基板185には、パッケージ180の凹部内で所定の角度でセンサーデバイスを載置できるように形成された保持基板185a,185b,185cがそれぞれ装着されている。
【0079】
パッケージ180は、底面183と壁面181,182とを含む内面を有する凹部が形成されている。この凹部は、センサーデバイス1A、センサーデバイス1B、センサーデバイス1Cの収納後、リッド(蓋体)184によって覆われる。
パッケージ180は、セラミックグリーンシートを成形して積層し、焼成した酸化アルミニウム質焼結体などが用いられている。また、リッド184には、コバールなどの金属、ガラス、セラミックなどが用いられている。
【0080】
センサーデバイス1Aは、振動ジャイロ素子201の一方の主面20a(図2参照、以下参照の記載は省略する)または他方の主面20b(図2参照、以下参照の記載は省略する)と、パッケージ180の凹部の底面183とが、略平行になるようにパッケージ180の底面183に固定、接続されている。そして、センサーデバイス1Aは、図示しないパッケージ内部電極と電気的に接続されている。
【0081】
他の2つのセンサーデバイス1B,1Cは、それぞれの振動ジャイロ素子202,203の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度が略直角となるように、パッケージ180の内部に配置され収納されている。
センサーデバイス1Bは、パッケージ180の壁面181に固定、接続され、センサーデバイス1Cは、パッケージ180の壁面182に固定、接続されている。2つのセンサーデバイス1B,1Cも、図示しないパッケージ内部電極と電気的に接続されている。
なお、パッケージ内部電極は、パッケージ180の外部に設けられた外部電極(図示せず)と電気的に接続されている。外部電極、内部電極は、タングステン(W)などのメタライズ層に、ニッケル(Ni)、金(Au)などの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
【0082】
ジャイロセンサー200は、各センサーデバイス1A,1B,1Cが、パッケージ180の内部に上記のように配置され収納された状態で、リッド184がシームリング、低融点ガラスなどの接合部材によってパッケージ180の上面に接合される。
これにより、パッケージ180の内部は、気密に封止される。なお、パッケージ180の内部は、各センサーデバイスの振動ジャイロ素子201,202,203の振動が阻害されないように、真空状態(真空度が高い状態)、または、不活性ガス雰囲気に保持されていることが好ましい。
【0083】
ここで、ジャイロセンサー200の動作について概略を説明する。
ここでは、パッケージ180の底面183が、互いに直交する3軸であるX’軸、Y’軸、Z’軸に対して、X’軸及びY’軸と平行で、Z’軸と直交しているものとする。
これにより、外力などによってジャイロセンサー200の姿勢が変化し、角速度が加わった場合、振動ジャイロ素子201の一方の主面20aまたは他方の主面20bとパッケージ180の底面183とが、略平行になるようにパッケージ180の内部に収納されているセンサーデバイス1Aは、振動ジャイロ素子201の一方の主面20aまたは他方の主面20bとZ’軸とが略直交していることから、Z’軸回りに対する角速度を検出する。
【0084】
一方、振動ジャイロ素子202,203の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度が略直角となるとともに、各振動ジャイロ素子202,203の一方の主面20aまたは他方の主面20bとセンサーデバイス1Aの振動ジャイロ素子201の一方の主面20aまたは他方の主面20bとの成す角度が略直角となるように、パッケージ180の内部に収納されている2つのセンサーデバイス1B,1Cは、一方が、振動ジャイロ素子202の一方の主面20aまたは他方の主面20bとX’軸とが略直交していることから、X’軸回りに対する角速度を検出し、他方が、振動ジャイロ素子203の一方の主面20aまたは他方の主面20bとY’軸とが略直交していることから、Y’軸回りに対する角速度を検出する。
【0085】
これらにより、ジャイロセンサー200は、互いに直交する3軸であるX’軸、Y’軸、Z’軸回りに対する角速度を、1つのジャイロセンサー200で検出することができる。
このことから、ジャイロセンサー200は、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビゲーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御などに好適に用いられる。
【0086】
また、ジャイロセンサー200は、上記第1実施形態に記載のセンサーデバイスを用いているため、上記第1実施形態に記載のセンサーデバイスと同等の効果を有している。すなわち、ジャイロセンサー200は、電気的特性の安定した小型、薄型化を実現することが可能となる。
【0087】
なお、本実施形態では、3つのセンサーデバイス1A,1B,1Cを用いたモーションセンサーとしてのジャイロセンサー200について説明したが、センサーデバイスの数はこれに限らず、1つ以上であればよい。例えば、センサーデバイスを、1つ用いれば、1軸方向の角速度の検出が可能であり、例えば、2つのセンサーデバイスを用いれば、異なる2軸方向の角速度の検出が可能となる。
【0088】
(第4の実施形態)
〔電子機器〕
上記実施形態および変形例に記載のセンサーデバイス、および、それらを備えた第3の実施形態のモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載した電子機器は、小型化および高性能化を図ることが可能である。
例えば、図12(a)は、デジタルビデオカメラへの適用例を示す。デジタルビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、及び表示ユニット1001を備えている。このようなデジタルビデオカメラ240に、上記実施形態のセンサーデバイス1やモーションセンサーとしてのジャイロセンサー200を搭載することにより、所謂手ぶれ補正機能を搭載することができる。
また、図12(b)は、電子機器としての携帯電話機、図12(c)は、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)への適用例をそれぞれ示すものである。
まず、図12(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットと1002を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示ユニット1002に表示される画面がスクロールされる。
また、図12(c)に示すPDA4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニット1003を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示ユニット1003に表示される。
このような携帯電話機3000やPDA4000に、上記実施形態のセンサーデバイスやモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載することにより、様々な機能を付与することができる。例えば、図12(b)の携帯電話機3000に、図示しないカメラ機能を付与した場合に、携帯電話機3000に搭載されたセンサーデバイスやジャイロセンサーにより手振れ補正を行うことができる。また、図12(b)の携帯電話機3000や、図12(c)のPDA4000にGPS(Global Positioning System)として広く知られる汎地球測位システムを具備した場合に、上記実施形態のセンサーデバイスやモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載することにより、GPSにおいて、携帯電話機3000やPDA4000の位置や姿勢を認識させることができる。
【0089】
なお、図12に示す電子機器に限らず、本発明のセンサーデバイスおよびモーションセンサーを適用可能な電子機器として、モバイルコンピューター、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ゲーム機などが挙げられる。
【0090】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0091】
例えば、上記実施形態および変形例では、振動素子としての振動ジャイロ素子形成材料として水晶を用いた例を説明したが、水晶以外の圧電体材料を用いることができる。例えば、窒化アルミニウム(AlN)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ほう酸リチウム(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)などの酸化物基板や、ガラス基板上に窒化アルミニウムや五酸化タンタル(Ta2O5)などの圧電体材料を積層させて構成された積層圧電基板、あるいはジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)などの圧電セラミックスを用いることができる。
また、圧電体材料以外の材料を用いて振動片を形成することができる。例えば、シリコン半導体材料などを用いて振動素子を形成することもできる。
また、振動素子の駆動振動の励振方式や検出振動の検出方式は、圧電効果によるものだけに限らない。静電気力(クーロン力)を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動片においても、本発明の構成およびその効果を発揮させることができる。
【0092】
また、振動素子としての振動ジャイロ素子の形状は、上記実施形態および変形例で説明した所謂WT型に限らない。音叉型、あるいは、MEMSジャイロのように櫛歯電極で静電検出する振動素子においても、本発明の半導体基板の能動領域の配置によれば、上述した実施形態および変形例に記載したものと同様な効果を得ることができる。
【0093】
また、上記各実施形態及び変形例では、各センサーデバイスに備わる振動片(センサー素子)として振動ジャイロ素子20を例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、加速度に反応する加速度感知素子、圧力に反応する圧力感知素子、重さに反応する重量感知素子などでもよい。
したがって、本発明のセンサーデバイスを利用したモーションセンサーは、上記第3の実施形態で説明した角速度を検出するジャイロセンサー200に限らず、角加速度、加速度、力、温度、磁気など、種々の物理量を検出するセンサー素子に利用することができる。
【0094】
また、本発明のセンサーデバイスやモーションセンサーに用いる振動素子は、上記実施形態および変形例で説明した振動ジャイロ素子20などのセンサー素子に限らず、例えば、発振器などに用いられる共振子であってもよい。
【0095】
また、上記第2の実施形態では、半導体装置としてのICチップ10上に一層の応力緩和層15を設けた構成を説明した。これに限らず、応力緩和層を複数層設けて、その複数の応力緩和層の層間に再配置配線を形成することができる。この構成によれば、複数の応力緩和層を介して電極や配線の直上に配線を設けることができ、再配置配線の引き回しの設計の自由度をより高くすることができる。
【符号の説明】
【0096】
1,61,61´,71,81,91,1A〜1C…センサーデバイス、9a〜9d…梁、10,60,60´,70,80,90…半導体装置としてのICチップ、10a…能動面、11…第1の電極、12,32,32´,72,82,92…突起電極、12a,32a,32a´,72a,82a,92a…樹脂突起、13…接続用端子、14…絶縁膜、14a…開口部、15,15´…応力緩和層、16,36,76,86,96…配線、17,37,67,77,87,97…導電膜としての金属膜、19a,19b…支持部、20,201,202,203…振動片としての振動ジャイロ素子、20a…一方の主面、20b…他方の主面、21…基部、22a,22b…検出用振動腕、23a,23b…連結腕、24a,24b,25a,25b…駆動用振動腕、26a,26b,27a,27b,28a,28b…錘部、29…引き出し電極、35…ビアホール、75,85,95a,95b…溝、98…接合部材、180…パッケージ、181,182…壁面、183…底面、184…リッド、185…ベース基板、185a…保持基板、200…モーションセンサーとしてのジャイロセンサー、240…電子機器としてのデジタルビデオカメラ、241…受像部、242…操作部、243…音声入力部、1001…及び表示ユニット、1002…表示ユニット、1003…表示ユニット、3000…電子機器としての携帯電話機、3001…複数の操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…電子機器としてのPDA、4001…複数の操作ボタン、4002…電源スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面に第1の電極が位置する半導体装置と、
基部と、前記基部から延伸された振動部と、を備えた振動片であって、前記振動片の前記半導体装置と対向する第2の面に第2の電極が位置する前記振動片と、
を有し、
前記半導体装置は、前記第1の面の前記第2の電極と平面視で重なる領域に位置する絶縁性樹脂からなる樹脂突起と、前記樹脂突起の表面に設けられ前記第1の電極と配線を介して電気的に接続された導電膜と、を含む突起電極を有し、
前記振動片は、前記第2の電極と前記突起電極との接合によって、前記半導体装置に保持されるとともに電気的に接続されたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記導電膜と前記配線とは同一材料を用いて形成されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記樹脂突起の少なくとも前記振動片との接合面側に開口部を有する溝が形成されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記溝が複数設けられたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項5】
請求項3または4に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記溝は、平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、
前記溝の内壁、および前記内壁と対向する前記樹脂突起の外側面とが、前記半導体装置および前記振動片の熱収縮する方向と交差するように配置されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記半導体装置と前記突起電極との間に絶縁性樹脂からなる応力緩和層が設けられていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサーデバイスと、
前記センサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、
前記センサーデバイスが、前記パッケージに収納されていることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の複数のセンサーデバイスと、
前記複数のセンサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、
前記複数のセンサーデバイスは、前記各振動片の主面同士の成す角度が略直角となるように前記パッケージ内に配置され、収納されていることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項9】
請求項7または8に記載のモーションセンサーにおいて、
少なくとも1つの前記振動片の主面は、前記パッケージの外部部材に接続される被接続面と略平行であることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサーデバイス、または、請求項7〜9のいずれか一項に記載のモーションセンサーを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
第1の面に第1の電極が位置する半導体装置と、
基部と、前記基部から延伸された振動部と、を備えた振動片であって、前記振動片の前記半導体装置と対向する第2の面に第2の電極が位置する前記振動片と、
を有し、
前記半導体装置は、前記第1の面の前記第2の電極と平面視で重なる領域に位置する絶縁性樹脂からなる樹脂突起と、前記樹脂突起の表面に設けられ前記第1の電極と配線を介して電気的に接続された導電膜と、を含む突起電極を有し、
前記振動片は、前記第2の電極と前記突起電極との接合によって、前記半導体装置に保持されるとともに電気的に接続されたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記導電膜と前記配線とは同一材料を用いて形成されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記樹脂突起の少なくとも前記振動片との接合面側に開口部を有する溝が形成されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記溝が複数設けられたことを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項5】
請求項3または4に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記溝は、平面視で対向する一方の側面から他方の側面に貫通させて設けられ、
前記溝の内壁、および前記内壁と対向する前記樹脂突起の外側面とが、前記半導体装置および前記振動片の熱収縮する方向と交差するように配置されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記半導体装置と前記突起電極との間に絶縁性樹脂からなる応力緩和層が設けられていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサーデバイスと、
前記センサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、
前記センサーデバイスが、前記パッケージに収納されていることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の複数のセンサーデバイスと、
前記複数のセンサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、
前記複数のセンサーデバイスは、前記各振動片の主面同士の成す角度が略直角となるように前記パッケージ内に配置され、収納されていることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項9】
請求項7または8に記載のモーションセンサーにおいて、
少なくとも1つの前記振動片の主面は、前記パッケージの外部部材に接続される被接続面と略平行であることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサーデバイス、または、請求項7〜9のいずれか一項に記載のモーションセンサーを備えていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−167941(P2012−167941A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26866(P2011−26866)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]