説明

センサ制御装置

【課題】内燃機関から排出される粒子状物質(PM)の粒子数を正確に求める。
【解決手段】PMセンサ19は、被付着部に設けられた一対の対向電極からなる複数のPM検出部34〜36を有し、各PM検出部34〜36で一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する。複数のPM検出部34〜36は、付着するPMの大きさの範囲が各々異なるものである。マイコン45は、複数のPM検出部34〜36ごとに平均粒子質量を設定する。また、マイコン45は、複数のPM検出部34〜36ごとにPM付着量と平均粒子質量とに基づいてPM粒子数を算出するとともに、それらの各算出結果に基づいて、排気中のPM粒子数を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質検出センサの検出信号に基づいて粒子状物質(PM:Particulate Matter)の量を算出するセンサ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンから排出されるPMの量を検出するPMセンサ(粒子状物質検出センサ)が各種提案されている。例えば、特許文献1のPMセンサでは、絶縁基板上に一対の対向電極を設けておき、その一対の対向電極間にPMが付着すると電極間抵抗が変化することを利用し、電極間抵抗に応じた検出信号を出力する構成としている。そして、PMセンサの検出信号に基づいてPM量を算出することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−196453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PMセンサの検出信号に基づいてPM量が算出される場合、そのPM量は質量として算出されるが、エンジンから排出されるPM量を評価するには、質量による評価だけでなく、粒子数による評価が考えられている。かかる場合、PMセンサに付着する粒子状物質の平均粒子質量をあらかじめ定めておき、PM量(質量)を平均粒子質量によって除算演算することにより、PMの粒子数を算出することが考えられる。
【0005】
しかしながら、排気中に含まれるPMには、大きさ(質量や粒径)が大小異なるものが含まれており、また、エンジン運転状態等によって大きさの分布が異なるものになると考えられる。そのため、PM粒子数を算出する場合にその算出精度を確保することは困難であり、ゆえにPM粒子数を正確に把握できないという問題があると考えられる。
【0006】
本発明は、内燃機関から排出される粒子状物質(PM)の粒子数を正確に求めることができるセンサ制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
【0008】
本発明のセンサ制御装置は、内燃機関から排出される排気中に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に設けられた一対の対向電極からなる検出部とを有し、前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサに適用されるものである。そして、請求項1に記載の発明では、前記粒子状物質検出センサの検出信号に基づいて前記粒子状物質の付着量を算出する付着量算出手段と、前記被付着部に付着した粒子状物質の粒子1個当たりの平均粒子質量として各々異なる複数の平均粒子質量を設定可能であり、そのうちいずれかの平均粒子質量を設定する粒子質量設定手段と、前記付着量算出手段により算出した前記粒子状物質の付着量と、前記粒子質量設定手段により設定した平均粒子質量とに基づいて、前記粒子状物質の粒子数を算出する粒子数算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
要するに、粒子状物質の粒子数の算出に用いる平均粒子質量が1つでありかつそれが固定されている場合、粒子数の算出精度が低くなることが懸念される。つまり、粒子状物質の粒子の大きさにはばらつきがあり、さらに粒子状物質は内燃機関の運転状態等に応じて大小変化することを考えると、算出精度を確保するのが困難になる。この点、本発明によれば、被付着部に付着した粒子状物質の平均粒子質量について、複数の平均粒子質量からの設定が可能となるため、平均粒子質量の使い分けが可能となり、粒子数の算出精度を高めることができる。その結果、内燃機関から排出される粒子状物質の粒子数を正確に求めることが可能となる。
【0010】
なお、粒子状物質の粒子1個当たりの質量と粒径とはほぼ比例関係にあり、粒子状物質の大きさの指標として、質量に代えて粒径を採用することも可能である。つまり、粒子状物質の粒子1個当たりの平均の大きさとして、平均粒子質量と平均粒径とは同義に扱われてもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明では、複数の前記検出部における検出結果が各々検出信号として入力されるセンサ制御装置であって、前記複数の検出部は、付着する粒子状物質の大きさの範囲が各々異なるものであり、前記粒子質量設定手段は、前記複数の検出部ごとに前記平均粒子質量を設定し、前記粒子数算出手段は、前記複数の検出部ごとの前記粒子状物質の付着量と前記平均粒子質量とに基づいて、前記複数の検出部ごとに前記粒子状物質の粒子数を算出するとともに、それらの各算出結果に基づいて、排気中の粒子状物質の粒子数を算出する。
【0012】
上記構成によれば、複数の検出部において、付着する粒子の大きさが各々相違するため、粒子の大きさの範囲を各々限定することができる。したがって、個々の検出部における粒子数の算出精度を高めることができ、ひいては排気中に存在する粒子状物質の個数を精度良く算出することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、前記粒子数算出手段は、前記複数の検出部のいずれかの検出結果に基づいて、排気中に含まれる粒子状物質の大きさの全範囲のうち一部となる一部範囲の粒子状物質について粒子数を算出する。
【0014】
上記構成によれば、例えば粒子状物質の大きさの全範囲のうち軽小範囲の粒子状物質だけを対象に粒子数を算出したりすることができる。具体的には、複数の検出部の各検出結果のうち、粒子状物質の大きさの範囲が最小となる検出部の検出結果を用いることで、軽小範囲の粒子状物質だけを対象に粒子数を算出する。
【0015】
請求項4に記載の発明では、前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、前記粒子質量設定手段は、前記運転状態検出手段により検出した機関運転状態に基づいて前記粒子状物質の平均粒子質量を設定する。
【0016】
内燃機関の運転状態が変化すると、それに伴い排気中の粒子状物質の大きさの分布が変わると考えられる。上記構成によれば、機関運転状態の変化に伴い粒子状物質の大きさの分布が変化した場合に、それに合わせて平均粒子質量を可変に設定できる。そのため、粒子状物質の粒子数の算出精度を高めることができる。
【0017】
機関運転状態に基づいて粒子状物質の平均粒子質量を設定する構成として、以下の請求項5,6の構成が考えられる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、前記運転状態として、筒内噴射式内燃機関の燃料噴射手段から噴射される燃料粒径の決定要因となる機関運転状態を検出し、前記燃料粒径が大きくなる機関運転状態では前記燃料粒径が小さくなる機関運転状態に比べて前記平均粒子質量を大きい値に設定する。
【0019】
つまり、機関運転状態に応じて燃料粒径(燃料噴射手段から噴射される燃料の粒径)が変わり、その燃料粒径に応じて粒子状物質の大きさ(質量や粒径)が変わると考えられる。この点、請求項5の発明によれば、都度の機関運転状態を好適に反映しつつ、高精度に粒子状物質の粒子数を算出することができる。
【0020】
具体的には、燃料噴射手段に供給される燃料の圧力(燃圧)が高いほど、燃料粒径が小さくなり、逆に燃圧が低いほど、燃料粒径が大きくなる。それを考慮し、燃圧が低いほど、粒子状物質の平均粒子質量として大きい粒子質量を設定するとよい。また、内燃機関の水温が高いほど、燃料粒径が小さくなり、逆に水温が低いほど、燃料粒径が大きくなる。それを考慮し、水温が低いほど、粒子状物質の平均粒子質量として大きい粒子質量を設定するとよい。
【0021】
また、請求項6に記載の発明では、前記運転状態として前記内燃機関の回転速度を検出し、前記検出した内燃機関の回転速度が高いほど、前記平均粒子質量を大きい値に設定する。
【0022】
内燃機関の回転速度が高低相違すると内燃機関の燃焼サイクルにおいて燃料噴射終了から着火されて燃焼するまでの「霧化時間」が変わり、それによって粒子状物質の大きさに影響が及ぶと考えられる。例えば内燃機関の回転速度が高い状態ではこの霧化時間が短くなり、粒径の大きい粒子状物質が排気通路に排出される。この点、請求項6の発明によれば、都度の機関回転速度を好適に反映しつつ、高精度に粒子状物質の粒子数を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】発明の実施の形態におけるエンジン制御システムの概要を示す構成図。
【図2】PMセンサのセンサ素子の要部構成を分解して示す分解斜視図。
【図3】PMセンサに関する電気的構成図。
【図4】3つのPM検出部について付着PMの粒径分布を示す図。
【図5】PM粒子数の算出手順を示すフローチャート。
【図6】センサ素子と主要な電気的構成とを示す図。
【図7】PM粒子数の算出手順を示すフローチャート。
【図8】(a)は燃圧とPM粒径との関係を示す図、(b)は水温とPM粒径との関係を示す図、(c)はエンジン回転速度とPM粒径との関係を示す図。
【図9】センサ素子の別の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車載エンジンを備える車両エンジンシステムにおいて、同エンジンから排出される排気中のPM量(導電性粒子状物質の量)を監視するものである。特に、エンジン排気管にPMセンサを設け、そのPMセンサでのPM付着量に基づいて排気中のPM量を監視するものとしている。図1は、本システムの概略構成を示す構成図である。
【0025】
図1において、エンジン11は直噴式ガソリンエンジンであり、同エンジン11には、同エンジン11の運転に関わるアクチュエータとして燃料噴射弁12や点火装置13等が設けられている。燃料噴射弁12には燃料配管14を介して燃料供給部15が接続されており、燃料噴射弁12は燃料供給部15から供給される燃料をエンジン燃焼室内に直接噴射する。燃料供給部15は、燃料を高圧化して燃料噴射弁12に供給する周知の高圧燃料供給手段であり、燃料タンクから供給される燃料を高圧化する高圧ポンプや、この高圧ポンプから吐出される高圧燃料が導入される蓄圧部としてのデリバリパイプ等を備えている。
【0026】
エンジン11の排気管16には排気浄化装置としての三元触媒17が設けられており、その三元触媒17の上流側にはA/Fセンサ18が設けられ、下流側には粒子状物質検出センサとしてのPMセンサ19が設けられている。その他、本システムでは、エンジン回転速度を検出するための回転センサ21や、吸気管圧力を検出するための吸気圧センサ22、燃料供給部15における燃料圧力(デリバリパイプ内の燃圧)を検出するための燃圧センサ23、エンジン冷却水の温度(エンジン水温)を検出する水温センサ24等が設けられている。
【0027】
ECU25は、周知のCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(マイコン)を主体として構成されており、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン11及びその周辺装置の各種制御を実施する。すなわち、ECU25は、上記各種センサ等から各々信号を入力し、それらの各種信号に基づいて燃料噴射量や点火時期を演算して燃料噴射弁12や点火装置13の駆動を制御する。また、ECU25は、燃料供給部15における燃料圧力(デリバリパイプ内の燃圧)を制御する燃圧制御を実施する。具体的には、ECU25は、都度のエンジン運転状態(エンジン回転速度や吸気管圧力)に基づいて目標燃圧を設定するとともに、燃圧センサ23により検出した実燃圧が目標燃圧に一致するように燃圧フィードバック制御を実施する。
【0028】
さらに、ECU25は、PMセンサ19の検出信号に基づいてエンジン11の実際のPM排出量(実PM排出量)を算出し、その実PM排出量に基づいてエンジン11の燃焼状態を診断する。具体的には、実PM排出量が所定の異常判定値を超えていれば、PM排出過多の状態であり、エンジン異常であると判定する。
【0029】
その他、ECU25は、PMセンサ19の検出結果から算出される実PM排出量に基づいて、エンジン11の制御態様を可変に制御する構成であってもよい。例えば、実PM排出量に基づいて燃料噴射量を制御したり、燃料噴射時期を制御したり、点火時期を制御したりすることが可能である。
【0030】
次に、PMセンサ19の構成、及びそのPMセンサ19に関する電気的構成を図2及び図3を用いて説明する。図2は、PMセンサ19を構成するセンサ素子31の要部構成を分解して示す分解斜視図であり、図3は、PMセンサ19に関する電気的構成図である。
【0031】
図2に示すように、センサ素子31は、長尺板状をなす2枚の絶縁基板32,33を有しており、一方の絶縁基板32にはPM量を検出するための3つのPM検出部34,35,36が設けられ、他方の絶縁基板33にはセンサ素子31を加熱するためのヒータ部37が設けられている。センサ素子31は、絶縁基板32,33が二層に積層されることで構成されている。絶縁基板32が被付着部に相当する。なお本実施形態では、3つのPM検出部を設ける構成とするが、その個数は複数個であれば任意である。
【0032】
PM検出部34〜36はそれぞれ一対の検出電極を有するものであり、絶縁基板32には、PM検出部34として一対の検出電極34a,34bが設けられ、PM検出部35として一対の検出電極35a,35bが設けられ、PM検出部36として一対の検出電極36a,36bが設けられている。これらPM検出部34〜36の各検出電極は、他方の絶縁基板33(ヒータ用基板)とは反対側の基板表面において互いに離間して設けられており、直線状をなす1つ又は2つの直線電極同士が互い違いに所定間隔をあけて対向配置されて構成されている。各PM検出部34〜36における検出電極の対向間隔はいずれも同一である。また、ヒータ部37は例えば電熱線からなる発熱体により構成されている。
【0033】
ただし、各PM検出部34〜36の検出電極の形状は上記に限定されず、複数の櫛歯電極同士が互い違いに設けられるものや、曲線状をなす形状で設けられているもの、各1本の線からなる一対の電極部が所定距離を隔てて平行に対向配置されているものであってもよい。
【0034】
なお、図示は省略するが、PMセンサ19は、センサ素子31を保持するための保持部を有しており、センサ素子31はその一端側が保持部により保持された状態で排気管に固定されるようになっている。この場合、少なくともPM検出部34〜36及びヒータ部37を含む部位が排気管内に位置するように、かつセンサ素子31において絶縁基板32(PM被付着部)が排気上流側を向くようにして、PMセンサ19が排気管に取り付けられる構成となっている。これにより、PMを含む排気が排気管内を流れる際、そのPMが絶縁基板32において各PM検出部34〜36の検出電極及びその周辺に付着し堆積する。また、PMセンサ19は、センサ素子31の突出部分を覆う保護カバーを有している。
【0035】
上記構成のPMセンサ19は、排気中のPMがセンサ素子31の絶縁基板32に付着し堆積すると、それによりPM検出部34〜36の各抵抗値(すなわち各一対の検出電極間の抵抗値)が変化すること、及びその抵抗値の変化がPM付着量に対応していることから、その抵抗値の変化を利用してPM量を検出するものである。
【0036】
図3に示すように、PMセンサ19に関する電気的構成として、PMセンサ19のPM検出部34〜36の一端側には電源装置41が接続され、他端側にはそれぞれシャント抵抗42,43,44が接続されている。電源装置41は、車載バッテリの電圧を昇圧する昇圧回路により構成されており、例えば、PM検出部34,35,36に対してそれぞれ50V、40V、30Vの電圧を印加するものとなっている。各PM検出部34〜36では、印加電圧が相違することから各々に電極周囲の電界強度が異なり、その電界強度の違いに応じて、各PM検出部34〜36で捕集されるPM(付着PM)の最大粒径が各々異なるものとなる。つまり、排気中には粒径が大小異なる様々なPMが混在しているが、粒径が比較的大きいPMは質量が大きいため、電界強度が大きいPM検出部でないと捕集されない。これに対し、粒径が比較的小さいPMは質量が小さいため、電界強度が小さいPM検出部でも捕集される。
【0037】
なお、排気中に存在するPMが帯電していれば、各PM検出部34〜36への捕集効率が高められると考えられる。つまり、PMが帯電していることにより、PMが各PM検出部34〜36に引き寄せられる力が増し、PMが効率よく捕集される。排気管内に放電手段を有してなる荷電部を設け、その荷電部を稼働させることによりPMを帯電させる構成であってもよい。具体的には、荷電部においてコロナ放電によりイオンを生じさせ、そのイオンをPMに付着させることでPMを帯電させる。そして、その帯電PMを電界の作用によって各PM検出部34〜36の検出電極において分離補集する。
【0038】
また、図3に示す電気回路では、PM検出部34〜36とシャント抵抗42〜44とによりそれぞれ分圧回路が構成されており、それらの中間点電圧がPM検出電圧Vpm1,Vpm2,Vpm3としてECU25に入力されるようになっている。つまり、各PM検出部34〜36ではPM付着量に応じて抵抗値(電極間抵抗値)が変化し、その抵抗値の変化に応じてPM検出電圧Vpm1〜Vpm3が変化する。そして、そのPM検出電圧Vpm1〜Vpm3がA/D変換器(図示略)を介してマイコン45に入力される。マイコン45は、PM検出電圧Vpm1〜Vpm3に応じてPM付着量を算出する。
【0039】
また、PMセンサ19のヒータ部37には、ヒータ電源47が接続されている。ヒータ電源47は例えば車載バッテリであり、車載バッテリからの給電によりヒータ部37が加熱される。この場合、ヒータ部37のローサイドにはスイッチング素子としてのトランジスタ48が接続されており、マイコン45によりトランジスタ48がオン/オフされることでヒータ部37の加熱制御が行われる。
【0040】
絶縁基板32上にPMが付着した状態でヒータ部37の通電を開始すると、付着PMの温度が上昇し、それに伴い付着PMが強制的に燃焼される。こうした強制燃焼により、絶縁基板32に付着したPMが燃焼除去される。マイコン45は、例えば、エンジン始動時や運転終了時に、又はPM付着量が所定量になったと判定された時に、PMの強制燃焼要求が生じたとしてヒータ部37による加熱制御を実施する。なお、PMセンサ19のPM強制燃焼の処理は、PMセンサ19においてPM付着量の検出機能を再生するものであり、その意味からセンサ再生処理とも称される。
【0041】
上述したように各PM検出部34〜36における印加電圧が相違する構成では、PM検出部ごとにPM粒径の分布が異なり、その粒径分布を図4に示す。図4は、横軸をPM粒径[μm]、縦軸を粒子数[個]として、3つのPM検出部34〜36について捕集されるPM(付着PM)の粒径分布を示すものである。
【0042】
図4に示すように、各PM検出部34〜36では、その印加電圧が高いほど付着PMの粒径範囲が上限拡大側に拡がり、すなわち捕集可能な最大粒径が大きくなり、それに伴い付着PMの粒径の平均値(平均粒径)が、印加電圧が高いPM検出部であるほど大きくなっている。具体的には、印加電圧が50VのPM検出部34では、粒径が0〜0.5μmのPMが捕集され、その平均粒径は2.5μmである。また、印加電圧が40VのPM検出部35では、粒径が0〜0.4μmのPMが捕集され、その平均粒径は2μmである。印加電圧が30VのPM検出部36では、粒径が0〜0.3μmのPMが捕集され、その平均粒径は1.5μmである。本実施形態では、PM検出部34の粒径範囲(0〜0.5μm)が、PMの大きさの全範囲に相当する。
【0043】
本実施形態では、PM検出部34〜36ごとに、付着するPMの大きさ(粒径範囲)が異なることに着目し、PM検出部34〜36ごとにPM1個当たりの平均粒子質量を設定するとともに、それらの平均粒子質量を用いてPM粒子数を算出することとしている。なお、PMの粒子質量は、PMの粒径に概ね比例するものであり、上述のごとく各PM検出部34〜36でPMの平均粒径が異なることから、それと同様にPMの平均粒子質量も異なるものとなっている。
【0044】
具体的には、PM検出部34でのPM付着量をMass_A[mg]、平均粒子質量をMean_A[mg]とし、PM検出部35でのPM付着量をMass_B[mg]、平均粒子質量をMean_B[mg]とし、PM検出部36でのPM付着量をMass_C[mg]、平均粒子質量をMean_C[mg]とすると、PM検出部34〜36に付着したそれぞれのPM粒子数は、Mass_A/Mean_A、Mass_B/Mean_B、Mass_C/Mean_Cとして求められ、それらの総和により排気中のPM粒子数が算出される。
【0045】
なお、各PM検出部34〜36を比べると、電極長さが相違することによりPM付着面の面積が各々異なる(図2参照)。それゆえに、各PM検出部34〜36の面積比を加味して排気中のPM粒子数を算出するようにしてもよい。例えば、各PM検出部34〜36について同一面積で換算してPM粒子数を算出し、そのPM粒子数の総和により排気中のPM粒子数を算出する構成であってもよい。
【0046】
ちなみに、排気中のPM付着量の算出に関して補足すると、基本的には3つのPM検出部34〜36のうち1つのPM検出部の検出結果に基づいてPM付着量が算出される。この場合、3つのPM検出部34〜36のうち、PM検出部35,36は捕集されるPMの大きさが限定されるが、PM検出部34は、捕集されるPMの大きさが限定されず、どの大きさのPMも捕集可能となっている。したがって、排気中のPM量を算出するには、PM検出部34の検出結果に基づいて行われるのが望ましい。ただし、3つのPM検出部34〜36の検出結果に基づいてPM付着量を算出してもよい。
【0047】
図5は、PM粒子数の算出手順を示すフローチャートであり、本処理はECU25内のマイコン45により所定周期で繰り返し実行される。
【0048】
図5において、ステップS11では、粒子数算出の実行条件の成否を判定する。例えば、実行条件として、PMセンサ19に異常が生じていないか否かを判定し、異常無しの場合に実行条件が成立しているとする。ステップS11がYESの場合、ステップS12で、PM検出電圧Vpm1〜Vpm3に基づいて、各PM検出部34〜36におけるPM付着量を算出する。また、ステップS13では、各PM検出部34〜36における平均粒子質量を設定する。このとき、各PM検出部34〜36の平均粒子質量は、各PM検出部34〜36の印加電圧に対応させて、それぞれ大小異なるように設定される。
【0049】
その後、ステップS14では、各PM検出部34〜36におけるPM付着量と平均粒子質量とに基づいて、PM検出部34〜36ごとにPM粒子数を算出するとともに、それらPM検出部34〜36ごとのPM粒子数に基づいて、排気中のPM粒子数を算出する。
【0050】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0051】
PMセンサ19に、各々付着するPMの大きさの範囲(粒径範囲)が相違する3つのPM検出部34〜36を設け、PM検出部34〜36ごとにPM付着量を算出するとともに平均粒子質量を設定し、さらにそれらPM付着量と平均粒子質量とに基づいてPM検出部34〜36ごとのPM粒子数を算出する構成とした。そして、それらの各算出結果に基づいて、排気中のPM粒子数を算出するようにした。かかる構成によれば、複数のPM検出部34〜36において、付着するPM粒子の大きさが各々相違するため、PM粒子の大きさの範囲を各々限定することができる。したがって、個々のPM検出部34〜36におけるPM粒子数の算出精度を高めることができ、ひいては排気中に存在するPMの個数を精度良く算出することができる。
【0052】
ここで、PMセンサがPM検出部を1つしか有さず、しかも平均粒子質量が1つでありかつ固定されている場合、排気中に含まれるPMの大きさにはばらつきがあるため、粒子数の算出精度が低くなることが懸念される。この点、本実施形態の構成によれば、PM検出部34〜36ごとの複数の平均粒子質量が設定されるため、平均粒子質量の使い分けが可能となり、粒子数の算出精度を高めることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、PMセンサが1つのPM検出部を有する構成となっており、そのPM検出部の検出結果(PM検出電圧Vpm)に基づいてPMの粒子数を算出する。また、粒子数の算出に際し、PMの平均粒子質量を、エンジン運転状態に基づいて設定することを特徴とするものである。つまり、排気中に含まれるPMの大きさは都度のエンジン運転状態に応じて変わりうるものである。そこで本実施形態では、都度のエンジン運転状態に応じてPMの大きさが変わることを考慮して平均粒子質量を設定し、それによりPM粒子数の算出精度を高めることとしている。
【0054】
図6は、本実施形態におけるPMセンサ19を構成するセンサ素子51と、主要な電気的構成とを示す図である。
【0055】
図6に示すように、センサ素子51は、長尺板状をなす2枚の絶縁基板52,53を有しており、一方の絶縁基板52にはPM検出部54が設けられ、他方の絶縁基板53にはヒータ部55が設けられている。絶縁基板52が被付着部に相当する。絶縁基板52には、他方の絶縁基板53とは反対側の基板表面に、互いに離間して設けられる一対の検出電極54a,54bが設けられており、この一対の検出電極54a,54bによりPM検出部54が構成されている。検出電極54a,54bは、各々複数の櫛歯を有する櫛歯形状をなしており、各検出電極54a,54bの櫛歯同士が互い違いとなるようして所定間隔をあけて対向配置されている。
【0056】
PM検出部54の一方の検出電極54aには電源装置41が接続され、他方の検出電極54bにはシャント抵抗42が接続されている。これら電源装置41やシャント抵抗42については既述済みである(図2参照)。この場合、PM検出部54とシャント抵抗42との間の中間点電圧がPM検出電圧Vpm(センサ検出値)としてマイコン45に入力されるようになっている。
【0057】
図7は、本実施形態におけるPM粒子数の算出手順を示すフローチャートであり、本処理はマイコン45により所定周期で繰り返し実行される。
【0058】
図7において、ステップS21では、粒子数算出の実行条件の成否を判定する(図5のS11と同様)。その後、ステップS22では、PM検出電圧Vpmに基づいてPM検出部54におけるPM付着量を算出する。また、ステップS23では、エンジン運転状態を表す所定の運転状態パラメータを取得する。本実施形態では、運転状態パラメータとして、燃圧センサ23の検出結果から算出される燃圧と、水温センサ24の検出結果から算出される水温と、回転センサ21の検出結果から算出されるエンジン回転速度とを取得することとしている。
【0059】
その後、ステップS24では、PMの平均粒子質量を、今現在の運転状態パラメータに基づいて設定する。このとき、図8に示す関係に基づいてPMの平均粒子質量を設定する。より具体的には、図8において、(a)は燃圧とPM粒径(=1個当たりの粒子質量)との関係を示す図であり、(b)は水温とPM粒径(=1個当たりの粒子質量)との関係を示す図である。これら図8(a)、(b)では、燃圧が高いほどPM粒径が小さくなり、また、水温が高いほどPM粒径が小さくなるという関係が示されている。燃圧や水温が、燃料粒径の決定要因となる運転状態パラメータに相当する。
【0060】
要するに、燃圧が比較的高い場合、又は水温が比較的高い場合には、燃料噴射弁12から噴射される燃料粒径が小さくなり、逆に燃圧が比較的低い場合、又は水温が比較的低い場合には、燃料噴射弁12から噴射される燃料粒径が大きくなる。この場合、燃料粒径が小さいほど、排気中のPMが小さくなる傾向にあり、その関係に基づいて図8(a),(b)が規定されている。
【0061】
また、図8(c)はエンジン回転速度とPM粒径(=1個当たりの粒子質量)との関係を示す図である。この図8(c)では、エンジン回転速度が高いほどPM粒径が大きくなるという関係が示されている。エンジン回転速度が高低相違するとエンジン燃焼サイクルにおいて燃料噴射終了から着火されて燃焼するまでの「霧化時間」が変わり、それによってもPMの大きさに影響が及ぶと考えられる。例えばエンジン回転速度が高い状態では霧化時間が短くなり、PM粒径の比較的大きいPMが排気管に排出される。
【0062】
なお、上記3つの運転状態パラメータを全て用いてPMの平均粒子質量を設定する以外に、いずれか1つのパラメータを用いる構成や、2つのパラメータを用いる構成であってもよい。
【0063】
その後、ステップS25では、PM付着量と平均粒子質量とに基づいて、排気中のPM粒子数を算出する。
【0064】
以上詳述した第2の実施形態によれば、都度のエンジン運転状態に基づいてPMの平均粒子質量を設定する構成とした。そのため、エンジン運転状態の変化に伴いPMの大きさが変化した場合に、それに合わせて平均粒子質量を可変に設定でき、結果としてPM粒子数の算出精度を高めることができる。
【0065】
具体的には、燃圧や水温を燃料粒径の決定要因となる運転状態パラメータとして定めておき、燃料粒径が大きくなるエンジン運転状態では燃料粒径が小さくなるエンジン運転状態に比べて平均粒子質量を大きい値に設定する構成とした。これにより、エンジン燃焼室内での燃料粒径(燃料噴射弁12からの噴射燃料の粒径)が大小変化する場合に、その燃料粒径の変化に起因するPMの大きさ変化を加味しつつ、高精度にPM粒子数を算出することができる。また、エンジン回転速度が高いほど、平均粒子質量を大きい値に設定する構成とした。これにより、エンジン回転速度が高低変化する場合に、そのエンジン回転速度の変化に起因するPMの大きさ変化を加味しつつ、高精度にPM粒子数を算出することができる。
【0066】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0067】
・上記第1の実施形態において、各PM検出部34〜36における印加電圧を可変に設定できる構成としてもよい。つまり、電源装置41により印加される各PM検出部34〜36の電圧を可変とし、各PM検出部での印加電圧の差を変更できる構成とする。例えば、エンジン運転状態に基づいて、各PM検出部34〜36に印加する電圧を変更する。このとき、排気中に含まれるPMの大きさが増大する傾向にあれば、各PM検出部34〜36の印加電圧、又は電圧最大となるPM検出部34の印加電圧を高電圧側に変更するとよい。
【0068】
・上記第1の実施形態において、複数のPM検出部34〜36のいずれかの検出結果に基づいて、排気中に含まれるPMの大きさの全範囲のうち一部となる一部範囲のPMについて粒子数を算出する構成としてもよい。例えば、図5のステップS14では、PM検出部34〜36ごとに、PM付着量と平均粒子質量とに基づいてPM粒子数が算出される。このとき、各PM検出部34〜36のうちPM検出部36の検出結果から算出されるPM粒子数は、排気中のPMについて大きさの全範囲(0〜0.5μm)のうち軽小範囲(0〜0.3μm)のPMだけの粒子数となる。このように、各PM検出部34〜36の検出結果から算出されるPM粒子数を抽出することで、所望とする大きさの範囲のPM粒子数を求めることができる。
【0069】
なお、PM検出部34の検出結果に基づいて算出されるPM付着量から、PM検出部35の検出結果に基づいて算出されるPM付着量を減算する処理を行うことにより、PM検出部34での付着PMの粒径範囲(0〜0.5μm)内であり、かつPM検出部35での付着PMの粒径範囲(0〜0.4μm)内ではない粒径範囲、すなわち0.4〜0.5μmの粒径範囲のPMについてPM付着量を算出でき、その粒径範囲(0.4〜0.5μm)の大きさのPMを対象に粒子数を算出することができる。同様に、PM検出部35,36の両検出結果によれば、0.3〜0.4μmの粒径範囲のPMについてPM付着量を算出でき、その粒径範囲(0.3〜0.4μm)の大きさのPMを対象に粒子数を算出することができる。
【0070】
・上記第1の実施形態において、PM粒子数を算出する処理周期と、PM付着量を算出する処理周期とを個別に定め、前者の処理周期を後者の処理周期よりも長くする構成において、PM付着量を算出する場合には、3つのPM検出部34〜36のうち1つのみに電圧を印加し(他の2つは印加電圧=0)、PM粒子数を算出する場合にのみ、各PM検出部34〜36に対して各々異なる電圧を印加する構成であってもよい。
【0071】
・上記第1の実施形態では、1つのPMセンサ19を用い、その1つのPMセンサ19が有する複数のPM検出部34〜36から各々PM検出電圧をECU25に入力する構成としたが、これを変更し、複数のPMセンサを用い、それら複数のPMセンサから各々PM検出電圧をECU25に入力する構成としてもよい。この場合、PMセンサはそれぞれ1つずつのPM検出部を有するものであればよい(ただし、複数のPM検出部を有するものでもよい)。
【0072】
・上記第1の実施形態で用いるセンサ素子の構成を以下のように変更してもよい。図9は、センサ素子の別の構成を示す平面図である。なお図9では、説明の便宜上、図2に示すセンサ素子31と同様の構成については同じ符号を付すとともに、詳細な説明を割愛する。
【0073】
図9(a)に示すセンサ素子61では、各PM検出部34〜36において各々に検出電極間の間隔が相違しており、PM検出部34の検出電極間の間隔d1、PM検出部35の検出電極間の間隔d2、PM検出部36の検出電極間の間隔d3は、d1<d2<d3の関係となっている。
【0074】
上記構成によれば、各PM検出部34〜36で検出電極間の間隔が相違していることで、各PM検出部34〜36の検出電極間に生じる電界強度を相違させることができる。したがって、センサ素子61に付着するPMについて、各PM検出部34〜36での付着PMの大きさ(粒径や質量)をそれぞれ異ならせることができる。この場合、各PM検出部34〜36で印加電圧を同一した構成であってもよい。こうして印加電圧を同一にする構成では、電源装置として簡易な構成のものを適用できることとなる。
【0075】
また、図9(b)に示すセンサ素子62は、3つのPM検出部34〜36に対してヒータ部37を偏った位置に設けることで、各PM検出部34〜36で温度勾配(温度差)を付けたものである。より具体的には、3つのPM検出部34〜36のうち、絶縁基板32の最も先端側にあるPM検出部34に対応させてヒータ部37(発熱部)を配置している。そして、その温度勾配により、各PM検出部34〜36での付着PMの大きさ(粒径や質量)をそれぞれ異ならせるようにしている。
【0076】
上記構成によれば、PM検出部34〜36ごとにヒータ部37(発熱部)との距離が相違するため、ヒータ加熱状態において各PM検出部34〜36の温度が各々相違し、その温度の相違により各々異なる空気の対流が生じる。例えば、高温のPM検出部(本実施形態ではPM検出部34)ほど、空気流の流れが速くなり、大きな対流が生じることとなる。このとき、各PM検出部34〜36では、各自で発生する対流の違いにより、付着するPMの大きさが異なることとなる。例えば、対流が大きいPM検出部34では、比較的大きなPM(質量大となるPM)が捕集され、対流が小さいPM検出部36では、比較的小さいなPM(質量小となるPM)が捕集される。
【0077】
図9(c)に示すセンサ素子63は、3つのPM検出部34〜36にそれぞれ対応させて発熱部37a,37b,37cを設けるとともに、それらの各発熱部37a〜37cにおいて発熱量を相違させることで、各PM検出部34〜36で温度差(温度勾配)を付けたものである。この場合、発熱部37aによりPM検出部34及びその周辺が加熱され、発熱部37bによりPM検出部35及びその周辺が加熱され、発熱部37cによりPM検出部36及びその周辺が加熱される。例えば、発熱部37aの発熱量Q1、発熱部37bの発熱量Q2、発熱部37cの発熱量Q3は、Q1>Q2>Q3の関係となっている。
【0078】
上記構成によれば、ヒータ加熱状態において各PM検出部34〜36の温度が各々相違し、その温度の相違により各々異なる空気の対流が生じる。例えば、高温のPM検出部(本実施形態ではPM検出部34)ほど、空気流の流れが速くなり、大きな対流が生じることとなる。このとき、各PM検出部34〜36では、各自で発生する対流の違いにより、付着するPMの大きさが異なることとなる。例えば、対流が大きいPM検出部34では、比較的大きなPM(質量大となるPM)が捕集され、対流が小さいPM検出部36では、比較的小さいなPM(質量小となるPM)が捕集される。
【0079】
なお、図9(c)の構成では、同(b)の構成に比べて、各PM検出部34〜36で確実に温度差をつけることができ、各PM検出部34〜36において大きさの違いによる付着PMの振分をより適正に行うことができる。
【0080】
・上記各実施形態では、PM粒子の大きさの指標として平均粒子質量[mg]を用いたが、平均粒径[μm]を用いることも可能である。PM粒子の1個当たりの質量と粒径とはほぼ比例関係にあるため、平均粒子質量を用いることと、平均粒径を用いることとは同義であると言える。
【0081】
・エンジン排気管にPMを捕集するためのPMフィルタを設け、その下流側又は上流側の少なくともいずれかにPMセンサを設けた構成において、PMセンサの検出値に基づいてPMフィルタの再生タイミングを制御する構成としてもよい。また、PMセンサの検出値に基づいてPMフィルタの故障診断を実施する構成としてもよい。
【0082】
・上記実施形態では、直噴式ガソリンエンジンについての適用を例示したが、他の形式のエンジンにも適用できる。例えば、ディーゼルエンジン(特に、直噴式ディーゼルエンジン)に適用することとし、ディーゼルエンジンの排気管に設けられたPMセンサについて本発明を用いることも可能である。また、エンジンの排気以外のガスを対象としてPM量を検出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
11…エンジン(内燃機関)、12…燃料噴射弁(燃料噴射手段)、19…PMセンサ(粒子状物質検出センサ)、21…回転センサ、23…燃圧センサ、24…水温センサ、25…ECU、32…絶縁基板(被付着部)、34〜36…PM検出部、34a,34b,35a,35b,36a,36b…検出電極(対向電極)、37…ヒータ部、45…マイコン(付着量算出手段、粒子質量設定手段、粒子数算出手段)、52…絶縁基板(被付着部)、54…PM検出部、54a,54b…検出電極(対向電極)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気中に含まれる導電性の粒子状物質を付着させる被付着部と、前記被付着部に設けられた一対の対向電極からなる検出部とを有し、前記一対の対向電極間の抵抗値に応じた検出信号を出力する粒子状物質検出センサに適用されるセンサ制御装置であり、
前記粒子状物質検出センサの検出信号に基づいて前記粒子状物質の付着量を算出する付着量算出手段と、
前記被付着部に付着した粒子状物質の粒子1個当たりの平均粒子質量として各々異なる複数の平均粒子質量を設定可能であり、そのうちいずれかの平均粒子質量を設定する粒子質量設定手段と、
前記付着量算出手段により算出した前記粒子状物質の付着量と、前記粒子質量設定手段により設定した平均粒子質量とに基づいて、前記粒子状物質の粒子数を算出する粒子数算出手段と、
を備えることを特徴とするセンサ制御装置。
【請求項2】
複数の前記検出部における検出結果が各々検出信号として入力されるセンサ制御装置であって、
前記複数の検出部は、付着する粒子状物質の大きさの範囲が各々異なるものであり、
前記粒子質量設定手段は、前記複数の検出部ごとに前記平均粒子質量を設定し、
前記粒子数算出手段は、前記複数の検出部ごとの前記粒子状物質の付着量と前記平均粒子質量とに基づいて、前記複数の検出部ごとに前記粒子状物質の粒子数を算出するとともに、それらの各算出結果に基づいて、排気中の粒子状物質の粒子数を算出する請求項1に記載のセンサ制御装置。
【請求項3】
前記粒子数算出手段は、前記複数の検出部のいずれかの検出結果に基づいて、排気中に含まれる粒子状物質の大きさの全範囲のうち一部となる一部範囲の粒子状物質について粒子数を算出する請求項2に記載のセンサ制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段を備え、
前記粒子質量設定手段は、前記運転状態検出手段により検出した機関運転状態に基づいて前記粒子状物質の平均粒子質量を設定する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサ制御装置。
【請求項5】
前記内燃機関は、燃料噴射手段により燃焼室内に燃料が直接噴射される筒内噴射式内燃機関であり、
前記運転状態検出手段は、前記運転状態として、前記燃料噴射手段から噴射される燃料粒径の決定要因となる機関運転状態を検出し、
前記粒子質量設定手段は、前記燃料粒径が大きくなる機関運転状態では前記燃料粒径が小さくなる機関運転状態に比べて前記平均粒子質量を大きい値に設定する請求項4に記載のセンサ制御装置。
【請求項6】
前記運転状態検出手段は、前記運転状態として前記内燃機関の回転速度を検出し、
前記粒子質量設定手段は、前記検出した内燃機関の回転速度が高いほど、前記平均粒子質量を大きい値に設定する請求項4又は5に記載のセンサ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−52811(P2012−52811A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193100(P2010−193100)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】