センサ用発熱装置、センサ及び加速度センサ
【課題】ブリッジ回路を用いて、ヒータの発熱温度が、周囲温度に対して常に一定温度だけ高くなるように制御するヒータ制御回路において、周囲温度の変化による発熱温度の誤差がより小さくなるよう、高精度化を図る。
【解決手段】不純物をドーピングされた測温抵抗体52と固定抵抗63とを含む第1の枝、および不純物をドーピングされた発熱体36と前記固定抵抗とは別な固定抵抗64とを含む第2の枝を並列に接続してブリッジ回路が構成されている。センサ用発熱装置は、前記ブリッジ回路と、第1の枝の中点と第2の枝の中点との電位差に基づいて前記ブリッジ回路に印加する電圧又は前記ブリッジ回路に供給する電流を調整することにより、測温抵抗体と発熱体の温度差を制御する手段とを備えており、前記測温抵抗体のドーピング量は、前記発熱体のドーピング量よりも大きくなっている。
【解決手段】不純物をドーピングされた測温抵抗体52と固定抵抗63とを含む第1の枝、および不純物をドーピングされた発熱体36と前記固定抵抗とは別な固定抵抗64とを含む第2の枝を並列に接続してブリッジ回路が構成されている。センサ用発熱装置は、前記ブリッジ回路と、第1の枝の中点と第2の枝の中点との電位差に基づいて前記ブリッジ回路に印加する電圧又は前記ブリッジ回路に供給する電流を調整することにより、測温抵抗体と発熱体の温度差を制御する手段とを備えており、前記測温抵抗体のドーピング量は、前記発熱体のドーピング量よりも大きくなっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ用発熱装置、センサ及び加速度センサに関する。具体的には、発熱体から発生する熱により、物質の熱伝導性の違いを利用して物性値や物理量を計測するセンサ及び加速度を計測する加速度センサと、当該センサにおいて、測温抵抗体の温度と発熱体の発熱温度との温度差を一定に保つためのセンサ用発熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、従来の流量センサとしては、発熱体であるヒータを熱源とし、その上流側と下流側の温度差で流速を検出する方式がある。このような流量センサ1を図1及び図2に示す。ここで、図2は図1のA−A線断面を表している。ただし、図1ではヒータやサーモパイル等を露出させた状態で表しており、図2ではその上を保護膜10等で覆った状態で表している。この流量センサ1にあっては、シリコン基板2の上面に凹状の空隙部3を形成し、この空隙部3を覆うようにしてシリコン基板2の上面に絶縁薄膜4を設け、この絶縁薄膜4の一部によって空隙部3の上に薄膜状のブリッジ部5を形成している。このブリッジ部5は空隙部3内の空間(空気)によってシリコン基板2と断熱されている。ブリッジ部5の表面においては、その中央部にヒータ6を設け、ヒータ6を挟んで対称な位置(上流側と下流側)にそれぞれ測温体としてサーモパイル7、8を設けている。また、ヒータ6及びサーモパイル7、8を覆うようにしてシリコン基板2の上を保護膜10で被覆している。
【0003】
上記サーモパイル7、8はBiSb/Sbからなる熱電対によって構成されており、ブリッジ部5の縁を横切るようにしてBiSbからなる第1の細線11とSbからなる第2の細線12が交互に配線され、ブリッジ部5内における第1の細線11と第2の細線12の接続点によって温接点13の群が構成され、ブリッジ部5外における第1の細線11と第2の細線12の接続点によって冷接点14の群が構成されている。
【0004】
サーモパイル7、8の温接点13及び冷接点14の数をそれぞれn個、温接点13の温度をTw、冷接点14の温度をTcとすると、サーモパイル7、8の出力電圧(両端間電圧)Vは、次の(1)式で表される。
V=n・α(Tw−Tc) …(1)
ただし、αはゼーベック係数である。
【0005】
符号9及び15は、それぞれヒータ6、サーモパイル7、8にワイヤボンディングするためのワイヤパッド、符号17は絶縁薄膜である。
【0006】
この流量センサ1は気体の流れが生じる箇所に置かれ、ヒータ6に電流を流して発熱させながら上流側及び下流側のサーモパイル7、8の出力が監視される。気体の流れていない無風時においては、図3(a)に示すように配置の対称性より上流側サーモパイル7の温接点温度と下流側サーモパイル8の温接点温度とは等しいから、サーモパイル7の出力電圧とサーモパイル8の出力電圧とは等しくなる。これに対し、図1に矢印で示すように、上流側から下流側に向けて気体が移動していると、図3(b)に示すように、上流側のサーモパイル7の温接点13は気体の流れで冷却されて降温し、その出力電圧は小さくなる。一方、気体によってヒータ6の熱が下流側へ輸送されて下流側のサーモパイル8の温接点13は温度が上昇し、その出力電圧は大きくなる。しかも、両サーモパイル7、8の温接点温度の差は、気体の流量が大きくなるにつれて拡大するから、それに伴う両サーモパイル7、8の出力電圧値の差により気体の流量を測定することができる。
【0007】
また、図1及び図2に示したようなセンサ構造は、流量センサ以外にも、湿度センサやガスセンサなどとしても用いられる。図4(a)(b)は、このようなセンサ構造により湿度やガス種を検出する原理を示している。図1及び図2の符号を用いて説明すると、流量センサの場合には、ガス等の気体の流れによって図3(b)のように温度分布が非対称になったが、湿度センサやガス圧センサの場合には、湿度の変化やガス種の変化によって図4(a)(b)に示すように、ヒータ6を中心とする温度分布密度が変化するので、両サーモパイル7、8で検知する温度が変化する。従って、ヒータ6を一定温度で発熱させ、そのときサーモパイル7、8で検知している温度から湿度やガス種を検知することができる。
【0008】
【特許文献1】特開昭57−163822号公報
【特許文献2】特開昭57−153218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようなセンサにおいては、サーモパイル7、8の冷接点14の温度はシリコン基板2の温度に等しく、熱平衡状態ではシリコン基板2の温度は周囲温度に等しいから、冷接点14の温度はほぼ周囲温度に等しい。また、ヒータ6によって加熱されている温接点13の温度は、ヒータ6の発熱温度が一定で、かつガス流量や湿度、ガス種などが同じであれば、ほぼ一定温度となる。このため、前記(1)式から分かるように、ヒータ6の発熱温度を一定温度に保っていたのでは、ガス流量や湿度、ガス圧等の被検知量が等しくても周囲温度によって出力電圧Vが変化し、検知誤差となる問題がある。よって、ヒータ6の発熱温度は、周囲温度に対して常に一定温度だけ高くなるようにすることが要求される。
【0010】
このような周囲温度の変化に伴う出力変動を補正するためには、例えば特開2000−131094号公報に開示されている温度補償回路を利用することが考えられる。しかし、上記公報に開示されている温度補償回路では、複数の演算増幅器や増幅回路等を必要とし、構成が複雑でコストが高くつくことになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、抵抗等からなるブリッジ回路を用いることで簡単な構成により、周囲温度等の環境変数の変化に伴う出力の変動を防止し、さらにその補正精度を向上させることにある。
【0012】
本発明に係るセンサ用発熱装置にあっては、不純物をドーピングされた測温抵抗体と固定抵抗とを含んで第1の枝が構成され、不純物をドーピングされた発熱体と前記固定抵抗とは別な固定抵抗とを含んで第2の枝が構成され、第1の枝と第2の枝を並列に接続してブリッジ回路が構成され、第1の枝の中点と第2の枝の中点との電位差に基づいて前記ブリッジ回路に印加する電圧又は前記ブリッジ回路に供給する電流を調整することにより、測温抵抗体と発熱体の温度差を制御する手段が構成されている。そして、前記ブリッジ回路と前記制御手段とを備えたセンサ用発熱装置において、前記測温抵抗体のドーピング量を前記発熱体のドーピング量よりも大きくしたことを特徴としている。
【0013】
このセンサ用発熱装置では、第1の枝に含まれる固定抵抗と第2の固定抵抗に含まれる固定抵抗は、いずれも1個である必要はなく、複数個の固定抵抗が含まれていてもよい。また、ブリッジ回路に交流電圧を印加する場合には、ブリッジ回路には抵抗以外のキャパシタやインダクタなどが含まれていてもよい。
【0014】
このセンサ用発熱装置によれば、温度変化に伴って測温抵抗体の抵抗値が変化すると、ブリッジ回路とその制御手段を通して発熱体の抵抗値も自動調整され、その結果発熱体の発熱温度が制御される。しかも、測温抵抗体のドーピング量を発熱体のドーピング量よりも大きくしているので、測温抵抗体のドーピング量と発熱体のドーピング量とを等しくする場合と比較して、ブリッジ回路の平衡条件に拘束されることなく、測温抵抗体の温度変化に対する発熱体の発熱温度の制御形態の自由度を高めることができる。しかも、発熱体と測温抵抗体とで同一材料を用いてドーピング量を異ならせるだけでよいので、工程数の増加も必要最小限に抑えることができ、センサ用発熱装置の回路構成を複雑にすることもない。
【0015】
特に、このセンサ用発熱装置の実施態様としては、
βb=βh/(1+βh・ΔTh)
ただし、βb: 記測温抵抗体の抵抗温度係数
βh: 発熱体の抵抗温度係数
ΔTh: 測温抵抗体と発熱体の温度差
とすることができる。この実施形態によれば、測温抵抗体の温度が変化したときの発熱体の発熱温度の変化を高い精度で測温抵抗体の温度変化と等しくすることができる。従って、測温抵抗体の温度と発熱体の発熱温度との温度差を常に高い精度で一定に保つことが可能になる。
【0016】
特に、測温抵抗体と発熱体の温度差ΔTは、通常5℃〜100℃程度であり、ポリシリコンの抵抗温度係数は、約0.001/℃であるから、測温抵抗体及び発熱体がポリシリコンによって形成されている場合には、測温抵抗体の抵抗温度係数に対する発熱体の抵抗温度係数の比は、1.005以上1.1以下であればよい。
【0017】
本発明のセンサは、上記のようなセンサ用発熱装置と、センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを備えている。
【0018】
このようなセンサは、流量センサ(ガスフローセンサ)や湿度センサ、ガス(種)センサなどとして用いることができるものであり、本発明のセンサ用発熱装置を用いれば測温抵抗体の温度(すなわち、周囲温度)に対して発熱体の発熱温度を一定温度だけ高い温度に保つことができるので、周囲温度の変化に対する温度補正を高精度に行うことができ、センサの検出精度を向上させることができる。
【0019】
本発明の加速度センサは、上記のようなセンサ用発熱装置と、前記センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを密閉空間内に納め、当該温度測定手段の出力により加速度を計測するようにしたことを特徴としている。
【0020】
このような加速度センサによれば、加速度によって密閉空間の内部に生じるガス(密閉空間内に封入したガスや空気など)の流れが温度分布の変化として温度測定手段によって検知されるので、この温度測定手段からの出力信号により加速度センサに働く加速度を検出することができる。しかも、この加速度センサは、本発明のセンサ用発熱装置を用いているので、測温抵抗体の温度(すなわち、周囲温度)に対して発熱体の発熱温度を一定温度だけ高い温度に保つことができ、周囲温度の変化に対する温度補正を高精度に行うことができ、センサの検出精度を向上させることができる。
【0021】
また、このような加速度センサにおいて、前記センサ用発熱装置に用いられている発熱体を間欠駆動する手段を設けてもよい。発熱体を間欠駆動することで周囲の温度上昇を小さくできるので、加速度センサの出力を安定させることができると共に加速度センサの消費電力を抑えることができる。
【0022】
また、上記のような加速度センサにおいては、前記温度測定手段からの出力信号がローパスフィルタを通過させるようにしてもよい。温度測定手段からの出力信号をローパスフィルタに通すようにすれば、出力信号から高周波ノイズを除去することができると共に加速度センサを取り付けられている機器の振動や、当該機器が手持ち操作されるものである場合には手ぶれなどによる不要な信号を除去することができる。
【0023】
なお、この発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
本発明の一実施形態による流量センサ(ガスフローセンサ)31の構造を図5及び図6に示す。図6は図5のB−B線断面を表し、図5は保護膜40等を除去してサーモパイル37、38を露出させた状態の平面を表している。この流量センサ31にあっては、シリコン基板32の上面に上方で広くなった凹状の空隙部33を形成し、この空隙部33を覆うようにしてシリコン基板32の上面に絶縁薄膜34を設け、この絶縁薄膜34の一部によって空隙部33の上に薄膜状のブリッジ部35を形成している。このブリッジ部35は空隙部33によってシリコン基板32と断熱されている。ブリッジ部35の表面においては、その中央部にポリシリコンからなるヒータ36を設け、ヒータ36を挟んで上流側と下流側の対称な位置にそれぞれ測温体としてサーモパイル37、38を設けている。また、ブリッジ部35の外側において、絶縁薄膜34の上に周囲温度感知用の測温抵抗体52を設けてあり、ヒータ36、サーモパイル37、38及び測温抵抗体52を覆うようにしてシリコン基板32の上を保護膜40で覆っている。
【0025】
上記サーモパイル37、38はポリシリコン/アルミニウムからなる熱電対によって構成されており、ブリッジ部35の縁を横切るようにしてポリシリコンからなる第1の細線41とアルミニウムからなる第2の細線42が交互に、かつ平行に配線され、ブリッジ部35内における第1の細線41と第2の細線42の接続点によって温接点43の群が構成され、ブリッジ部35外における第1の細線41と第2の細線42の接続点によって冷接点44の群を構成している。
【0026】
冷接点44は、ヒートシンクの役目をするシリコン基板32の上に位置しているので、気体に接触しても温度は変化しにくく、常に周囲温度とほぼ等しい温度に保たれている。温接点43は、シリコン基板32から浮いたブリッジ部35の上に形成されているので、熱容量が小さく、気体に触れると敏感に温度が変化する。
【0027】
この流量センサ31においても、サーモパイル37、38の温接点43及び冷接点44の数をそれぞれn個、温接点43の温度をTw、冷接点44の温度をTcとすると、サーモパイル37、38の出力電圧(両端間電圧)Vは、次の(2)式で表される。
V=n・α(Tw−Tc) …(2)
ただし、αはゼーベック係数である。
【0028】
ブリッジ部35の外側(シリコン基板32の上面)で、絶縁薄膜34の上面に設けられた測温抵抗体52は、ポリシリコンによって形成されている。この測温抵抗体52は、シリコン基板32の温度、すなわち周囲温度と等しい温度に保たれている。
【0029】
この流量センサ31においては、測温抵抗体52、ヒータ36、サーモパイル37、38の第1の細線41はそれぞれ同一材料(ポリシリコン)によって形成され、P(燐)等の不純物をドーピングされている。
【0030】
符号39、45及び53は、それぞれヒータ36、サーモパイル37、38及び測温抵抗体52にワイヤボンディングするためのワイヤパッドである。
【0031】
なお、図示しないが、サーモパイルは、ヒータの片側にだけ設けてもよい。上記実施形態のようにヒータの両側にサーモパイルを配置した構造の場合には、図5の矢印方向と反対向きに気体が流れた場合にも流体流量(ガス流量)を検出することができる。一方、ヒータの片側にのみサーモパイルを設けた構造では、両側にサーモパイルを設けた構造と比較して、より高流速域で測定可能になる。
【0032】
次に、上記流量センサ31の製造プロセスを図7(a)(b)(c)(d)、図8(e)(f)(g)(h)(i)及び図9(j)(k)(l)(m)により説明する。これらの製造プロセスを説明する図はいずれも、図5(a)のC−C線に沿った断面を表している。以下、これらの図に従って当該製造プロセスを説明する。
【0033】
まず、熱酸化法等によりシリコン基板32の表裏両面に例えばSiO2からなる絶縁薄膜34を形成し[図7(a)]、CVD法等を用いて上面側の絶縁薄膜34の上にポリシリコンを膜厚500nmとなるように堆積させてポリシリコン膜46を形成する[図7(b)]。ついで、イオン注入法等によりポリシリコン膜46の全体にP等の不純物原子をイオン注入法等でドーズ量1×1020個/cm3だけドープする[図7(c)]。さらに、ポリシリコン膜46の表面全体をレジスト膜54で覆った後、ポリシリコン膜46のヒータ形成領域56a及び測温体形成領域56bでレジスト膜54に窓55を開口させる[図7(d)]。
【0034】
この窓55を通してさらにP等の不純物原子をイオン注入法等により3×1020個/cm3よりも少ないドーズ量で追加注入させる[図8(e)]。ついで、レジスト膜54にあけた窓55のうち、測温体形成領域56bの窓55をレジストによって塞いだ後、ヒータ形成領域56aで開口している窓55を通してP等の不純物原子をイオン注入法等により追加注入し、全注入量が4×1020個/cm3となるようにする。
【0035】
この後、レジスト膜54を除去すると、ヒータ形成領域56aでは4×1020個/cm3の不純物濃度となり、ヒータ形成領域56a及び測温体形成領域56b以外の領域(特に、サーモパイル形成領域)では不純物濃度が1×1020個/cm3となる[図8(f)]。測温体形成領域56bでは不純物濃度が4×1020個/cm3よりも少なくなっているが、この不純物濃度は、ヒータ36の抵抗温度係数と測温抵抗体52の抵抗温度係数とが後述のような比になるよう制御される。
【0036】
この後、フォトリソグラフィによりポリシリコン膜46をエッチングし、ポリシリコン膜46によってヒータ36、周囲温度測定用の測温抵抗体52、サーモパイル37、38の各第1の細線41のパターンを形成し、さらにパターニングされたポリシリコン膜46の不純物を熱拡散させる。このとき、ポリシリコン膜46の表面には酸化膜47が形成される[図8(g)]。
【0037】
この結果、同時にパターニングされたヒータ36、測温抵抗体52、サーモパイル37、38の各第1の細線41のうち、ヒータ36の不純物濃度がもっとも高く、つぎに測温抵抗体52の不純物濃度が高くなる。
【0038】
ついで、温接点43及び冷接点44となる箇所で第1の細線41を覆う酸化膜47の一部をエッチングして開口48を設け[図8(h)]、酸化膜47の上からアルミニウムをスパッタ等で堆積させ、さらにフォトリソグラフィによってアルミニウム膜をパターニングしてサーモパイル37、38の第2の細線42を形成する[図8(i)]。このとき、第2の細線42は、酸化膜47の開口48を通して各端を第1の細線41の各端に接続され、酸化膜47の下に形成された第1の細線41と第2の細線42とによってサーモパイル37、38が形成される。
【0039】
次に、サーモパイル37、38の両端、ヒータ36の両端および測温抵抗体52の両端において、酸化膜47の一部をエッチングして開口49を設け、サーモパイル37、38の両端、ヒータ36の両端及び測温抵抗体52の両端に金属材料を堆積させてそれぞれのワイヤパッド45、39、53を設ける[図9(j)]。ついで、CVD法等により基板全体に例えばSiO2を堆積させ、配線保護のための保護膜40を形成する[図9(k)]。
【0040】
この後、保護膜40を部分的にエッチングして各ワイヤパッド45、39、53の上面を露出させる。同時にヒータ36とサーモパイル37、38の中間において、保護膜40をエッチング除去し、さらにエッチングにより絶縁薄膜34も部分的に除去して開口51を形成し、開口51からシリコン基板32を露出させる[図9(l)]。ついで、この開口51からシリコン基板32の上面をエッチングすることによりシリコン基板32の上面に空隙部33を凹設すると共に絶縁薄膜34によってブリッジ部35を形成する[図9(m)]。
【0041】
このようにしてヒータ形成領域56aと測温体形成領域56bで不純物を追加ドーピングすることによって流量センサ31を製造すれば、無駄なドーピング処理時間を減らすことができ、効率よく感度の良好な流量センサを製造することができる。
【0042】
この流量センサ31にあっても、ヒータ36に電流を流して発熱させながら上流側及び下流側のサーモパイル37、38の出力が監視される。気体の流れていない無風時には、サーモパイル37の出力電圧とサーモパイル38の出力電圧とは等しいが、図5に矢印で示す方向に、上流側から下流側に向けて気体が移動していると、上流側のサーモパイル37の温接点43は冷却されて降温し、出力電圧が小さくなる。一方、気体によって運ばれる熱で下流側のサーモパイル38の温接点43は温度が上昇し、出力電圧が大きくなる。従って、両サーモパイル37、38の出力電圧値の差により空気の流量を測定することができる。
【0043】
また、この流量センサ31では、ヒータ36の不純物ドーピング量は第1の細線41の不純物ドーピング量よりも大きくなっている。例えば、上記のようにヒータ36と第1の細線41が膜厚500nmのポリシリコンからなる場合、第1の細線41には1×1020個/cm3程度の密度でPがドーピングされるのに対し、ヒータ36には4×1020個/cm3程度の密度でPがドーピングされる。このように、第1の細線41よりもヒータ36の不純物ドーピング量を大きくしているので、ヒータ36の抵抗を下げることができ、ヒータ36の発熱温度を高くすることができる。一方、第1の細線41の不純物ドーピング量はヒータ36よりも小さくなっているので、ゼーベック係数を高くすることができる。よって、ゼーベック係数の高いサーモパイル37、38を用いながらヒータ36の発熱温度を高くすることができ、流量センサ31の感度を向上させることができる。
【0044】
図10はヒータ制御回路61の構成を示す図である。このヒータ制御回路61は、ヒータ36の発熱温度が測温抵抗体52で検出されている周囲温度よりも一定温度だけ高い温度に自動調整する働きをする。このヒータ制御回路61は、固定抵抗63、64、ヒータ36、測温抵抗体52、オペアンプ(差動増幅回路)62及びトランジスタ65によって構成されている。固定抵抗63、64はヒータ36及び測温抵抗体52と共にブリッジ回路を構成されており、固定抵抗63と測温抵抗体52の中点がオペアンプ62の反転入力端子に接続され、固定抵抗64とヒータ36の中点がオペアンプ62の非反転入力端子に接続されている。トランジスタ65は、定電圧回路66と固定抵抗63及び64との間に挿入されており、オペアンプ62の出力はトランジスタ65のベースに接続されている。
【0045】
このヒータ制御回路61は、ヒータ36を周囲温度に対して一定温度ΔThだけ高い温度で熱平衡状態を保とうとするものであり、例えば無風状態の熱平衡状態から気体の流れのある状態に変化してヒータ36の温度が下がると、オペアンプ62の非反転入力端子の電位が下がり、トランジスタ65を駆動し、電流が供給されて再び熱平衡状態になるという動作を繰り返す。周囲温度が変化した場合も同様である。詳しくいうと、このヒータ制御回路61にあっては、ヒータ36の発熱温度が平衡時の温度よりも上昇すると、オペアンプ62から出力される電位が高くなるので、トランジスタ65のベース電流が減少し、ブリッジ回路に流れる電流も減少する。この結果、ヒータ36に流れる電流が減少してヒータ36の発熱温度が下がる。逆に、ヒータ36の発熱温度が平衡時の温度よりも低下すると、オペアンプ62の出力電位が低下するので、トランジスタ65のベース電流が増加し、ブリッジ回路に流れる電流も増加する。この結果、ヒータ36に流れる電流が増加してヒータ36の発熱温度が上がる。
【0046】
また、周囲温度を検出している測温抵抗体52の温度が平衡時の温度よりも上昇すると、オペアンプ62から出力される電位が低下するので、トランジスタ65のベース電流が増加し、ブリッジ回路に流れる電流も増加する。この結果、ヒータ36に流れる電流が増加してヒータ36の発熱温度が上がる。逆に、測温抵抗体52の発熱温度が平衡時の温度よりも低下すると、オペアンプ62から出力される電位が高くなるので、トランジスタ65のベース電流が減少し、ブリッジ回路に流れる電流も減少する。この結果、ヒータ36に流れる電流が減少してヒータ36の発熱温度が下がる。
【0047】
ヒータ制御回路61は、上記のような動作により、ヒータ36の発熱温度が測温抵抗体52に対して一定に保たれるように自動調整すると共に、測温抵抗体52の検知温度が下がったらヒータ36の温度も下げ、測温抵抗体52の検知温度が上がったらヒータ36の温度も上昇させる。ただし、ヒータ36には、通電による温度上昇が無視できない電流値が流れるようにし、測温抵抗体52には通電による温度上昇が無視できる程度の電流しか流れないよう、ヒータ36及び測温抵抗体52の抵抗値が設定されるものとする。
【0048】
しかし、このようなブリッジ回路を用いたヒータ制御回路61で、ヒータ36と測温抵抗体52とを同一材質で形成した場合には、以下に説明するように、ヒータ36は周囲温度(測温抵抗体52の温度)に対して厳密には一定温度上昇とならず、この温度上昇値の温度特性が流速センサの特性誤差を生むことになる。
【0049】
ヒータ36と測温抵抗体52とが同じ材質で、不純物のドーピング量が等しいとすると、ヒータ36の抵抗温度係数と測温抵抗体52の抵抗温度係数とは等しくなる。いま、横軸に温度をとり、縦軸に抵抗値をとって、ヒータ36及び測温抵抗体52の抵抗値温度特性を考える。ヒータ36と測温抵抗体52とでは、抵抗値の温度特性は一致しない(抵抗率の温度特性は一致する。)が、説明の便宜上ヒータ36と測温抵抗体52の抵抗値温度特性が一致するとして説明する。
【0050】
はじめに周囲温度がT1で、そのときの測温抵抗体52の抵抗値がRbであって、ヒータ36の温度が周囲温度よりもΔThだけ大きな温度T2(=T1+ΔTh)で、そのときのヒータ36の抵抗値がRhであったとすると、ブリッジ回路の平衡条件より、
R1・Rh=R2・Rb …(3)
が成り立つ。ただし、R1は固定抵抗63の抵抗値、R2は固定抵抗64の抵抗値である。
【0051】
いま、周囲温度がT1からΔTだけ上昇してT1´となり、測温抵抗体52の抵抗値がRb´となったとする。ブリッジ回路においては、測温抵抗体52の抵抗値がRbからRb´に増加したとすると、ブリッジ回路の平衡条件を満たすところで安定し、その結果ヒータ36に流れる電流が大きくなってヒータ36の発熱温度も高くなる。この時のヒータ36の抵抗値をRh´とすると、ブリッジ回路の平衡条件より、
R1・Rh´=R2・Rb´ …(4)
となる。よって、上記(3)式と(4)式とから、
Rh´/Rh=Rb´/Rb …(5)
が得られる。ここで、測温抵抗体52の抵抗値Rbに比べてヒータ36の抵抗値Rhは大きいので、(5)式又は図11から分かるように、測温抵抗体52の温度がT1からT1´へとΔTだけ上昇したとしても、ヒータ36の温度上昇ΔT´は周囲温度の上昇ΔTよりも大きくなる。
【0052】
この結果、温度上昇後におけるヒータ36の温度T2´と測温抵抗体52の温度T1´との温度差ΔTh´=T2´−T1´は、はじめの温度差ΔTよりも大きくなってしまう。
【0053】
そこで、上記のようなヒータ制御回路61において、ヒータ36の発熱温度を測温抵抗体52の温度よりも一定温度だけ高い温度に保つための条件を以下で明らかにする。いま、ヒータ36の抵抗温度係数をβh、測温抵抗体52の抵抗温度係数をβbとする。ただし、抵抗温度係数βh及びβbは、いずれもを同一温度(以下、基準温度という。)を基準とする係数であるとする。従って、基準温度における測温抵抗体52の抵抗値をrb、基準温度よりもΔTだけ温度が上昇したときの測温抵抗体52の抵抗値をRb(ΔT)とすれば、
Rb(ΔT)=rb(1+βb・ΔT) …(6)
となる。同様に、基準温度におけるヒータ36の抵抗値をrh、基準温度よりもΔTだけ温度が上昇したときのヒータ36の抵抗値をRh(ΔT)とすれば、
Rh(ΔT)=rh(1+βh・ΔT) …(7)
と表される。
【0054】
いま、周囲温度が基準温度に等しく、ヒータ36が周囲温度よりもΔThだけ高い温度に保たれていて、ブリッジ回路が平衡状態にあるとすると、次の(8)式が成り立つ。ただし、R 1、R2は2つの固定抵抗63、64の抵抗値である。
R1・Rh(ΔTh)=R2・Rb(0)
すなわち、(6)式、(7)式を用いると、
R1・rh(1+βh・ΔTh)=R2・rb …(8)
【0055】
この平衡状態から、周囲温度がΔTだけ上昇した場合を考えると、測温抵抗体52の温度は、
Rb(ΔT)=rb(1+βb・ΔT) …(9)
となる。このとき、ヒータ36の温度も同じだけ上昇していると、
Rh(ΔTh+ΔT)=rh(1+βh・ΔTh+βh・ΔT)
…(10)
となる。この状態でブリッジ回路が平衡すればよいから、次の(11)式が成立すればよい。
R1・Rh(ΔTh+ΔT)=R2・Rb(ΔT) …(11)
この(11)式に(9)式及び(10)式を代入すると、
R1・rh(1+βh・ΔTh+βh・ΔT)
=R2・rb(1+βb・ΔT) …(12)
となる。この(12)式に上記(8)式を適用すると、
R1・rh(βh・ΔT)=R2・rb(βb・ΔT) …(13)
が得られる。
【0056】
よって、
βh={(R2・rb)/(R1・rh)}βb …(14)
であれば、任意の上昇温度ΔTについて条件を満たすことになる。ここで、この(14)式に(8)式を代入すると、
βh=(1+βh・ΔTh)・βb …(15)
となる。
【0057】
(15)式においては、
(1+βh・ΔTh)>1
であるから、周囲温度が変動してもヒータ36の発熱温度が周囲温度よりもΔThだけ高くなるようにするためには、上記(15)式を満たす必要があり、ヒータ36の抵抗温度係数βhが測温抵抗体52の抵抗温度係数βbよりも大きくなっていなければならない。
【0058】
言い換えると、この実施形態では、測温抵抗体52の抵抗温度係数βbがヒータ36の抵抗温度係数βhよりも小さくなっていて、上記(15)式を満たすようにしているので、ヒータ36の発熱温度が常に周囲温度よりもΔThだけ高くなるよう、より高精度に制御することができる。
【0059】
抵抗温度係数の数値で言えば、ポリシリコンを使用した測温抵抗体52における抵抗温度係数βbは約0.1%/℃程度であり、ヒータ36の温度上昇ΔThは5℃〜100℃程度であるので、上記(15)式によれば、ヒータ36の抵抗温度係数βhは測温抵抗体52の抵抗温度係数βbの1.005倍〜1.1倍に設定すればよいことが分かる。
【0060】
(第2の実施形態)
図12は本発明の別な実施形態によるヒータ制御回路71の構成を示す回路図である。第1の実施形態では、ヒータ36の抵抗温度係数βhと測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとが異なるので、ヒータ36と測温抵抗体52を別工程で形成するか、別工程でドーピングするか、いずれにしても工程が増加するが、この実施形態では、ヒータ36の抵抗温度係数βhと測温抵抗体52の抵抗温度係数βbは同じであってもよいので、工程数を少なくできる。
【0061】
以下、この実施形態を図12に従って説明する。このヒータ制御回路71は、図10に示したヒータ制御回路61に対して、定電圧回路66の電圧Vccを分圧抵抗72、73で分圧し、その電圧Vaを抵抗74を介して測温抵抗体52に印加し、測温抵抗体52に電流を流し込むことができるようにしたものである。すなわち、固定抵抗63、64、ヒータ36及び測温抵抗体52によってブリッジ回路が構成されており、固定抵抗63と測温抵抗体52の中点がオペアンプ62の反転入力端子に接続され、固定抵抗64とヒータ36の中点がオペアンプ62の非反転入力端子に接続されている。トランジスタ65は、定電圧回路66と固定抵抗63及び64との間に挿入されており、オペアンプ62の出力は、トランジスタ65のベースに接続されている。また、定電圧回路66の出力とグランドとの間には、直列に接続された分圧抵抗72、73が接続されており、分圧抵抗72、73の中点と、固定抵抗63及び測温抵抗体52の中点との間には抵抗74が接続されており、定電圧回路66の出力電圧Vccを分圧抵抗72、73で分圧し、抵抗74を介して測温抵抗体52に印加できるようにしている。
【0062】
このような構成のヒータ制御回路71において、分圧抵抗72、73の中点の電圧をVa、固定抵抗63と測温抵抗体52の中点の電圧をVb、定電圧回路66の出力電圧をVccとすれば、電圧VaとVbとの間には、次のような関係がある。ただし、R3、R4は分圧抵抗72、73の抵抗値、R5は抵抗74の抵抗値である。
【0063】
【数1】
【0064】
従って、抵抗74の両端間の電圧差ΔVは、次の(17)式のように表される。
【0065】
【数2】
【0066】
図10に示したようなヒータ制御回路61(以下においては、図10のヒータ制御回路とは、ヒータ36の抵抗温度係数βhと測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとが等しいものをさす。以下、同じ)では、固定抵抗63と測温抵抗体52に流れる電流は常に等しくなるため、周囲温度の上昇に伴って測温抵抗体52の抵抗値Rbが大きくなると、ヒータ36の発熱温度は周囲温度の変化以上に大きく変化する。
【0067】
これに対し、この実施形態によるヒータ制御回路71では、周囲温度が上昇して測温抵抗体52の抵抗値Rbが大きくなると、測温抵抗体52の上側の電圧Vbが大きくなるので、抵抗74の両端間の電圧差ΔVは、測温抵抗体52の上側の電圧Vbが上昇するにつれて小さくなり、抵抗74から測温抵抗体52に流れ込む電流も減少する。その結果、測温抵抗体52の上側の電圧Vbの上昇が抑制されることになり、測温抵抗体52の上側に加わる電圧Vbは図10のヒータ制御回路61ほどは上昇しないことになる。すなわち、図11を参照して説明すれば、周囲温度がT1からT1´に上昇し、測温抵抗体52の抵抗値がRbからRb´に変化したとしても、測温抵抗体52の上側の電圧Vbは、抵抗74からの流入電流の減少により図10のヒータ制御回路61の場合ほど上昇せず、結果としてヒータ36の抵抗Rh´も図10のヒータ制御回路61の場合ほどには上昇し得ないことになり、ヒータ36の発熱温度の上昇ΔT´も図10のヒータ制御回路61の場合より小さくなる。
【0068】
このような構成のヒータ制御回路71によれば、定電圧回路66の出力電圧Vccに対して分圧抵抗72、73及び抵抗74の抵抗値R3、R4、R5を適当に選択することにより、抵抗74を通って測温抵抗体52に流れ込む電流を自由に設定することができるから、結局は抵抗74を通ってブリッジ回路に流れ込む電流を自由に設定できることを意味する。従って、このような構成のヒータ制御回路71によれば、温度特性を自由に設定できることになり、測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとヒータ36の抵抗温度係数βhとが等しい場合でも周囲温度の変化に伴うヒータ36の発熱温度の変化を図10のヒータ制御回路61よりも小さくすることができ、好ましくはヒータ36の発熱温度の変化ΔT´を周囲温度の変化ΔTにほぼ等しくすることができる。
【0069】
よって、図12に示すような構成のヒータ制御回路71によれば、図10のようなヒータ制御回路61(βh=βbのもの)と比較して、ヒータ36の発熱温度と測温抵抗体52の温度(周囲温度)との差ΔThをより精度よく一定に保つことができる。しかも、測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとヒータ36の抵抗温度係数βhとが等しくてもよいので、測温抵抗体52とヒータ36とを同一材料によって形成し、P等の不純物の注入量も同じでよく、測温抵抗体52及びヒータ36を同一工程で製作することができ、製作工程の簡略化によってコストを安価にできる。
【0070】
つぎに、図13に示したヒータ制御回路81を説明する。これは図12のヒータ制御回路71の変形例でもある。ヒータ制御回路71では、固定抵抗63及び測温抵抗体52の中点と分圧抵抗72、73の中点とを抵抗74によって接続していたのに対し、このヒータ制御回路81では、固定抵抗64及びヒータ36の中点と分圧抵抗72、73の中点とを抵抗82によって接続している。
【0071】
このようなヒータ制御回路81によれば、周囲温度の上昇によって測温抵抗体52の抵抗Rbが大きくなると、ヒータ36に流れる電流が増加してヒータ36の発熱温度が高くなると共にヒータ36の抵抗値Rhも大きくなる。ヒータ36の抵抗値Rhが大きくなると、ヒータ36の上側の電圧Vcが高くなり、抵抗82の両端間の電圧差ΔV=Vc−Vaはヒータ36の上側の電圧Vcが上昇するにつれて大きくなり、抵抗82から外部へ流れ出す電流が増加する。その結果、ヒータ36に流れる電流が減少し、ヒータ36の発熱温度の上昇が抑制されることになる。
【0072】
よって、図13に示すような構成のヒータ制御回路81によっても、図10のようなヒータ制御回路61(βh=βbのもの)と比較して、ヒータ36の発熱温度と測温抵抗体52の温度(周囲温度)との差ΔThをより精度よく一定に保つことができる。
【0073】
この実施形態は、図12のような構成や図13のような構成以外にも種々設計変更することができるが、その場合でも固定抵抗63(又は、固定抵抗64)に流れる電流と抵抗74(又は、抵抗82)に流れる電流との比が一定でないことが重要である。
【0074】
この実施形態の変形例としては、測温抵抗体52及びヒータ36を固定抵抗63、64よりも高電圧側に配置したブリッジ回路を用いてもよい。その場合には、図14に示すように、測温抵抗体52と固定抵抗63との中点に、電流をブリッジ回路へ流入させるための抵抗74を介して電圧Vaを印加し、周囲温度の上昇によって測温抵抗体52の抵抗値が大きくなり、その枝の中点電圧が低くなったときに抵抗74を介して固定抵抗63に流れる電流が増大し、当該中点の電圧低下が抑制されるようにしてもよい。同様に、図15に示すように、ヒータ36と固定抵抗64との中点に、ブリッジ回路から電流を流出させるための抵抗82を介して電圧Vaを印加するようにしてもよい。
【0075】
また、ブリッジ回路も測温抵抗体、ヒータ及び3個以上の固定抵抗によって構成されている必要はなく、例えば固定抵抗63又は64に代えて複数の抵抗からなる抵抗ネットワークを用いてもよい。また、ブリッジ回路に交流電圧を加えてヒータを発熱させる場合には、ブリッジ回路にキャパシタやインダクタが含まれていてもよい。
【0076】
なお、本発明のセンサは、上記のような流量センサに限らず、湿気センサやガスセンサとして用いる場合にも適用することができる。さらには、特にセンサの種類を限定することなく、ブリッジ回路によって温度補償を行いたい場合には有用である。
【0077】
(第3の実施形態)
図16は上記のような流量センサ31を用いた給湯器91の構造を示す図である。この給湯器91にあっては、缶体92内にガスバーナ93が設けられており、その上方には内部を流れる水とガスバーナ93の燃焼ガスとを熱交換させて水を加熱するための熱交換器94が配設されている。また、缶体92の底面には、ガスバーナ93に燃焼空気を供給するための送風ファン95が設けられており、缶体92の上部には燃焼ガスを排出するための排気口96が開口されている。缶体92には、ガスバーナ93の上面側と下面側を連通させるように空気バイパス路97が設けられており、空気バイパス路97には流量センサ31が設けられている。
【0078】
空気バイパス路97に設けられた流量センサ31で空気の流量(送風量)を計測することによって空気バイパス路97の入口と出口との圧力差を測ることができ、それによってガスバーナ93を通過する空気の流量を知ることができるので、ガス流量に対して最適な空燃比(空気とガスの混合比)となるように送風ファン95の回転数をフィードバック制御し、煤や一酸化炭素ガスなどの発生を抑制することができる。
【0079】
(第4の実施形態)
図17は上記のような流量センサを用いた2次元加速度センサ101の構造を示す断面図である。この加速度センサ101は、密閉ケース102の上面に回路基板103を取付け、回路基板103の下面に取付けられた本発明の流量センサ(フローセンサ)104を回路基板103と密閉ケース102によって構成されたセンサ収納室105内に密封し、さらにセンサ収納室105内にガス106を封入したものである。また、密閉ケース102の底面のうち、流量センサ104と対向する部分107を上方へ膨らませることにより、流量センサ104と対向する部分では流量センサ104と密閉ケース102の底面との間の距離を小さくし、ガス106の流路108を狭くしている。このように流量センサ104を密閉した密閉型の加速度センサ101では、104からは、加速度センサ101に働いている加速度を示す信号が出力される。
【0080】
1方向の加速度を検知する場合には、流量センサ104として例えば図5に示したような構造の流量センサを1つ用いれば良いが、この実施形態のように2次元加速度センサとして用いる場合には、例えば図5のような構造の流量センサを流量検知方向を互いに直交させるようにして回路基板103に実装すればよい。あるいは、ヒータ36と2つのサーモパイル37、38からなる図5のような電極構造を2組み互いに直交させるようにして1枚のシリコン基板2上に形成したものでもよい。もちろん、3組の流量センサを用いれば3次元加速度センサとすることもできる。
【0081】
次に、流量センサ104を用いた加速度センサ101と加速度との関係について説明する。流量センサ104を用いた加速度センサ101を動かしたときの流量センサ104からの出力信号には、加速度センサ101を操作したときの移動方向の速度に応じた信号成分と、移動方向の加速度に応じた信号成分と、重力加速度による信号成分とが含まれている。
【0082】
この重力加速度による信号成分とは、流量センサ104がヒータ36を備えていることによるものである。流量センサ104は、例えばX軸方向で考えると、図18(a)に示すように、ヒータ36の両側にサーモパイル37、38を配置した構造を有しており、加速度センサ101が水平に移動すると、図18(b)に示すように、サーモパイル37側とサーモパイル38側とで温度分布が異なることによってサーモパイル37、38の差信号が変化するものである(図3の説明を参照)。ところが、このような流量センサ104では、ヒータ36で気体が温められているため、加速度センサ101が傾くと、図18(c)に示すように温められた気体が上昇し、対流によって図18(b)と同様な温度分布となる。このため、加速度センサ101を移動させていない場合でも、加速度センサ101が傾いているとサーモパイル37、38から差信号が出力され、加速度センサ101から信号が出力されてしまう。これが重力加速度による信号成分である。
【0083】
流量センサを用いたセンサが開放型である場合には、そのセンサを移動させたときの移動方向の加速度に応じた信号成分と重力加速度による信号成分とは、移動方向の速度に応じた信号成分と比較して非常に小さいので、移動方向の加速度に応じた信号成分と重力加速度による信号成分とは無視することができる。しかし、密閉型の加速度センサ101の場合には、移動加速度と比較して移動速度に対する感度が低いので、流量センサ37、38から出力される差信号は、加速度センサ101が感知している加速度を表しているものとして扱われる。従って、流量センサ104を密閉した加速度センサ101では、移動速度に対する感度は無視することができ、また水平に設置されている場合には重力加速度による信号成分も無視することができるので、この加速度センサ101からは感知している加速度を示す加速度信号を出力させることができ、加速度計測用のセンサとして用いることができる。
【0084】
図19は上記2次元加速度センサ101に用いられている信号処理回路111を示す回路ブロック図である。流量センサ104は、2つの流量センサ104A及び104Bで表されており、流量センサ104AはX軸方向の加速度を検知するように設置されており、流量センサ104BはY軸方向の加速度を検知するように設置されている。また、センサ駆動回路112及び115は、それぞれ流量センサ104A、104Bのヒータ36の発熱量を制御する回路であって、ヒータ36を間欠駆動する。センサ駆動回路112及び115で、流量センサ104A及び104Bのヒータ36を間欠駆動することで流量センサ104A、104Bの周辺の温度上昇を防止し、出力を安定化させるとともに消費電力を抑えることができる。X軸方向の流量センサ104Aから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路113により増幅され、ローパスフィルタ114で高周波成分をカットされた後、X方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。ここで、ローパスフィルタ114(ローパスフィルタ117も同じ。)を用いるのは、高周波ノイズをカットするとともに加速度センサ101を取り付けた機器の振動(あるいは、加速度センサ101を取り付けた機器が手持ち機器の場合には、手振れ)による不要な信号成分を除去するためである。同様に、Y軸方向の流量センサ104Bから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路116により増幅され、ローパスフィルタ117で高周波成分をカットされた後、Y方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。演算処理回路(マイコン)118においては、X軸方向の加速度とY軸方向の加速度の合成など、必要な処理が実行される。なお、ローパスフィルタ114、117の後段に、電圧−周波数(VF)変換回路を設け、カウンタを通してパルス出力を演算処理回路118へ送るようにしてもよい。
【0085】
このような流量センサ104を利用した加速度センサ101では、構造が単純であるため、安価に加速度センサ101を製作することができる。また、半導体プロセスを用いて流量センサ104を製造できるので、加速度センサ101を小型化できる。さらに、可動部分を持たないので、衝撃に強くて破損しにくという特徴がある。また、このような加速度センサ101は、出力感度が高いので、高精度の出力を得ることができる。さらに、周辺回路も安価な部品で構成することが可能である。
【0086】
(第5の実施形態)
図20(a)(b)は別な実施形態による加速度センサ121を示している。この加速度センサ121では、回路基板103と密閉ケース102とで構成されたセンサ収納室105内に比較的比重の重いガス122と比較的比重の軽いガス123との2種のガスを封入している。しかして、センサ収納室105内では、図20(a)に示すように重いガス122と軽いガス123とが分離して2層となっている。この状態では、図20(b)に示すように、加速度センサ104を+X方向に移動させると、重いガス122が慣性等によって相対的に−X方向へ移動するので、軽いガス123は+X方向へ押し出される。このとき軽いガス123の流れ(加速度)が流量センサ104により検出される。この実施形態では、重いガス122と軽いガス123を封入することにより軽いガス123の流れを構造的に増幅させることにより、加速度センサ121の感度を高めている。
【0087】
(第6の実施形態)
2次元加速度センサが傾けて設置される場合には、重力加速度による信号成分を無視することができず、これを補正する必要がある。この重力加速度の補正方法としては、図21のような信号処理回路を用いる方法がある。
【0088】
図21の信号処理回路131では、X軸方向の流量センサ104Aから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路113により増幅された後、ハイパスフィルタ132で低周波成分をカットされた後、X方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。同様に、Y軸方向の流量センサ104Bから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路116により増幅され、ハイパスフィルタ133で低周波成分をカットされた後、Y方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。
【0089】
重力加速度による加速度センサからの出力は、ほぼ直流成分(あるいは、非常に低い周波数成分)であるから、X軸流量センサ104A及びY軸流量センサ104Bの出力に接続するハイパスフィルタ132、133の周波数特性を、図22に示すように、カットオフ周波数Fcが重力加速度による出力成分の周波数域よりも高く、加速度センサの計測範囲下限値よりも低くなるように設定すれば、重力加速度による影響のみをカットすることができ、加速度センサの精度を向上させることができる。
【0090】
なお、重力加速度の影響をカットすると共に、図19の信号処理回路111のように高周波ノイズもカットする必要がある場合には、このハイパスフィルタ132、133に代えてバンドパスフィルタを用いてもよい。
【0091】
(第7の実施形態)
図23は別な実施形態による加速度センサ141を示す斜視図である。この加速度センサ141にあっては、ケース142内に、密閉式のセンサユニット143が納められている。加速度センサ141は、図23に示すように、中空のケース142内に支持梁144を掛け渡し、フック145でセンサユニット143を支持梁144の屈曲箇所に揺動自在に吊り下げたものである。センサユニット143は、流量センサ104を実装した回路基板146をユニットケース147内に固定したものであり、ユニットケース147の上面に設けられたフック145で揺動自在に吊り下げた時、安定した状態では、流量センサ104の垂直方向が重力加速度方向と平行となるように重心位置を調整してある。また、ケース142内に適当な粘度のオイル148を貯めてオイルダンパーとしてあり、センサユニット143はオイル148内に浸けられている。さらに、加速度センサ141のケース142には、内外に貫通するようにして電極端子149が埋め込まれており、流量センサ104又は回路基板14と電極端子149とは柔軟なリード線150によって結ばれているので、流量センサ104の出力は電極端子149に取り出されるようになっている。
【0092】
しかして、この加速度センサ141によれば、傾けて設置されていても、加速度センサ141内のセンサユニット143はオイル148の抵抗に抗しながら動いて水平姿勢に保持されるので、流量センサ104は常に重力加速度の影響を受けない状態に維持される。よって、重力加速度による出力成分は常にゼロとなり、加速度センサ141の精度が向上させられる。
【0093】
(第8の実施形態)
図24は、別な実施形態による3次元加速度センサ151を示す概略斜視図である。この加速度センサ151にあっては、X軸方向の移動を検知する流量センサ152A、Y軸方向の移動を検知する流量センサ152B、Z軸方向の移動を検知する流量センサ152Cをそれぞれれ立方体状をしたブロック153の各面に貼り付けたものが密閉ケース154内に密封されている。よって、各流量センサ152A、152B、152CによりX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度、Z軸方向の加速度を計測することができ、3次元加速度センサとして用いることができる。
【0094】
(第9の実施形態)
図25は本発明にかかる加速度センサを用いたゲームコントローラ161であって、ゲームコントローラ161内の回路基板162に上記のような密閉型の3次元加速度センサ163を実装している。そして、このゲームコントローラ161の空中における操作状態が加速度センサ163によって検出され、その計測信号がゲームコントローラ161からパーソナルコンピュータやゲームマシンなどに出力される。
【0095】
(図10の実施形態)
図26は異なるゲームコントローラ161の形態を表している。このゲームコントローラ161では、内部の回路基板162の上に本発明にかかる流体センサ164がCBO(チップ・オン・ボード)で実装されており、この流体センサ164を覆うようにして回路基板162にキャップ165を取り付け、回路基板162とキャップ165によって内部に流体センサ164を封止して密閉型の加速度センサを構成している。キャップ165と回路基板162の間を密閉構造とするためには、キャップ165の爪167を回路基板162の孔168に係合させてキャップ165を回路基板162の表面に取り付けると共にキャップ165と回路基板162の間に気密用のゴムパッキンなどを挟み込んでおいてもよい。あるいは、キャップ165の下面を回路基板162の表面に接着剤で接着することにより、気密構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】従来の流量センサの構造を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】(a)は上記流量センサに流体が流れていないときの温度分布を示す図、(b)は同上の流量センサに流体が流れているときの温度分布を示す図である。
【図4】(a)(b)は、図1に示したような構造のセンサを湿気やガス圧を検出するためのセンサとして用いる場合の検出原理を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態による流量センサの構造を示す平面図である。
【図6】図6のB−B線断面図である。
【図7】(a)(b)(c)(d)は同上の流量センサの製造プロセスを説明する断面図である。
【図8】(e)(f)(g)(h)(i)は図8の続図である。
【図9】(j)(k)(l)(m)は図9の続図である。
【図10】同上の流量センサに用いられているヒータ制御回路を示す図である。
【図11】測温抵抗体及びヒータの温度と各抵抗値との関係を説明するための図である。
【図12】本発明の別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図13】本発明のさらに別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図14】本発明のさらに別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図15】本発明のさらに別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図16】本発明にかかるガス圧センサを用いた給湯器の構造を示す概略図である。
【図17】本発明にかかる流量センサを用いた加速度センサの概略断面図である。
【図18】加速度センサにおけるおける重力加速度の影響を説明する図である。
【図19】同上の加速度センサに用いられている信号処理回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図20】(a)(b)は本発明にかかる流量センサを用いた別な構造の加速度センサを示す概略断面図である。
【図21】本発明にかかる加速度センサにおいて、重力加速度の影響を除去するための信号処理回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図22】同上の信号処理回路の原理を説明する図である。
【図23】重力加速度の影響を除去した別な加速度センサの構造を示す概略断面図である。
【図24】本発明にかかる3次元加速度センサの概略図である。
【図25】本発明にかかる加速度センサを利用したゲームコントローラを示す斜視図である。
【図26】本発明にかかる加速度センサを利用した別なゲームコントローラを示す一部分解した斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
61 ヒータ制御回路
62 オペアンプ
63、64 固定抵抗
65 トランジスタ
66 定電圧回路
71 ヒータ制御回路
72、73 分圧抵抗
74 抵抗
81 ヒータ制御回路
82 抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ用発熱装置、センサ及び加速度センサに関する。具体的には、発熱体から発生する熱により、物質の熱伝導性の違いを利用して物性値や物理量を計測するセンサ及び加速度を計測する加速度センサと、当該センサにおいて、測温抵抗体の温度と発熱体の発熱温度との温度差を一定に保つためのセンサ用発熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、従来の流量センサとしては、発熱体であるヒータを熱源とし、その上流側と下流側の温度差で流速を検出する方式がある。このような流量センサ1を図1及び図2に示す。ここで、図2は図1のA−A線断面を表している。ただし、図1ではヒータやサーモパイル等を露出させた状態で表しており、図2ではその上を保護膜10等で覆った状態で表している。この流量センサ1にあっては、シリコン基板2の上面に凹状の空隙部3を形成し、この空隙部3を覆うようにしてシリコン基板2の上面に絶縁薄膜4を設け、この絶縁薄膜4の一部によって空隙部3の上に薄膜状のブリッジ部5を形成している。このブリッジ部5は空隙部3内の空間(空気)によってシリコン基板2と断熱されている。ブリッジ部5の表面においては、その中央部にヒータ6を設け、ヒータ6を挟んで対称な位置(上流側と下流側)にそれぞれ測温体としてサーモパイル7、8を設けている。また、ヒータ6及びサーモパイル7、8を覆うようにしてシリコン基板2の上を保護膜10で被覆している。
【0003】
上記サーモパイル7、8はBiSb/Sbからなる熱電対によって構成されており、ブリッジ部5の縁を横切るようにしてBiSbからなる第1の細線11とSbからなる第2の細線12が交互に配線され、ブリッジ部5内における第1の細線11と第2の細線12の接続点によって温接点13の群が構成され、ブリッジ部5外における第1の細線11と第2の細線12の接続点によって冷接点14の群が構成されている。
【0004】
サーモパイル7、8の温接点13及び冷接点14の数をそれぞれn個、温接点13の温度をTw、冷接点14の温度をTcとすると、サーモパイル7、8の出力電圧(両端間電圧)Vは、次の(1)式で表される。
V=n・α(Tw−Tc) …(1)
ただし、αはゼーベック係数である。
【0005】
符号9及び15は、それぞれヒータ6、サーモパイル7、8にワイヤボンディングするためのワイヤパッド、符号17は絶縁薄膜である。
【0006】
この流量センサ1は気体の流れが生じる箇所に置かれ、ヒータ6に電流を流して発熱させながら上流側及び下流側のサーモパイル7、8の出力が監視される。気体の流れていない無風時においては、図3(a)に示すように配置の対称性より上流側サーモパイル7の温接点温度と下流側サーモパイル8の温接点温度とは等しいから、サーモパイル7の出力電圧とサーモパイル8の出力電圧とは等しくなる。これに対し、図1に矢印で示すように、上流側から下流側に向けて気体が移動していると、図3(b)に示すように、上流側のサーモパイル7の温接点13は気体の流れで冷却されて降温し、その出力電圧は小さくなる。一方、気体によってヒータ6の熱が下流側へ輸送されて下流側のサーモパイル8の温接点13は温度が上昇し、その出力電圧は大きくなる。しかも、両サーモパイル7、8の温接点温度の差は、気体の流量が大きくなるにつれて拡大するから、それに伴う両サーモパイル7、8の出力電圧値の差により気体の流量を測定することができる。
【0007】
また、図1及び図2に示したようなセンサ構造は、流量センサ以外にも、湿度センサやガスセンサなどとしても用いられる。図4(a)(b)は、このようなセンサ構造により湿度やガス種を検出する原理を示している。図1及び図2の符号を用いて説明すると、流量センサの場合には、ガス等の気体の流れによって図3(b)のように温度分布が非対称になったが、湿度センサやガス圧センサの場合には、湿度の変化やガス種の変化によって図4(a)(b)に示すように、ヒータ6を中心とする温度分布密度が変化するので、両サーモパイル7、8で検知する温度が変化する。従って、ヒータ6を一定温度で発熱させ、そのときサーモパイル7、8で検知している温度から湿度やガス種を検知することができる。
【0008】
【特許文献1】特開昭57−163822号公報
【特許文献2】特開昭57−153218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようなセンサにおいては、サーモパイル7、8の冷接点14の温度はシリコン基板2の温度に等しく、熱平衡状態ではシリコン基板2の温度は周囲温度に等しいから、冷接点14の温度はほぼ周囲温度に等しい。また、ヒータ6によって加熱されている温接点13の温度は、ヒータ6の発熱温度が一定で、かつガス流量や湿度、ガス種などが同じであれば、ほぼ一定温度となる。このため、前記(1)式から分かるように、ヒータ6の発熱温度を一定温度に保っていたのでは、ガス流量や湿度、ガス圧等の被検知量が等しくても周囲温度によって出力電圧Vが変化し、検知誤差となる問題がある。よって、ヒータ6の発熱温度は、周囲温度に対して常に一定温度だけ高くなるようにすることが要求される。
【0010】
このような周囲温度の変化に伴う出力変動を補正するためには、例えば特開2000−131094号公報に開示されている温度補償回路を利用することが考えられる。しかし、上記公報に開示されている温度補償回路では、複数の演算増幅器や増幅回路等を必要とし、構成が複雑でコストが高くつくことになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、抵抗等からなるブリッジ回路を用いることで簡単な構成により、周囲温度等の環境変数の変化に伴う出力の変動を防止し、さらにその補正精度を向上させることにある。
【0012】
本発明に係るセンサ用発熱装置にあっては、不純物をドーピングされた測温抵抗体と固定抵抗とを含んで第1の枝が構成され、不純物をドーピングされた発熱体と前記固定抵抗とは別な固定抵抗とを含んで第2の枝が構成され、第1の枝と第2の枝を並列に接続してブリッジ回路が構成され、第1の枝の中点と第2の枝の中点との電位差に基づいて前記ブリッジ回路に印加する電圧又は前記ブリッジ回路に供給する電流を調整することにより、測温抵抗体と発熱体の温度差を制御する手段が構成されている。そして、前記ブリッジ回路と前記制御手段とを備えたセンサ用発熱装置において、前記測温抵抗体のドーピング量を前記発熱体のドーピング量よりも大きくしたことを特徴としている。
【0013】
このセンサ用発熱装置では、第1の枝に含まれる固定抵抗と第2の固定抵抗に含まれる固定抵抗は、いずれも1個である必要はなく、複数個の固定抵抗が含まれていてもよい。また、ブリッジ回路に交流電圧を印加する場合には、ブリッジ回路には抵抗以外のキャパシタやインダクタなどが含まれていてもよい。
【0014】
このセンサ用発熱装置によれば、温度変化に伴って測温抵抗体の抵抗値が変化すると、ブリッジ回路とその制御手段を通して発熱体の抵抗値も自動調整され、その結果発熱体の発熱温度が制御される。しかも、測温抵抗体のドーピング量を発熱体のドーピング量よりも大きくしているので、測温抵抗体のドーピング量と発熱体のドーピング量とを等しくする場合と比較して、ブリッジ回路の平衡条件に拘束されることなく、測温抵抗体の温度変化に対する発熱体の発熱温度の制御形態の自由度を高めることができる。しかも、発熱体と測温抵抗体とで同一材料を用いてドーピング量を異ならせるだけでよいので、工程数の増加も必要最小限に抑えることができ、センサ用発熱装置の回路構成を複雑にすることもない。
【0015】
特に、このセンサ用発熱装置の実施態様としては、
βb=βh/(1+βh・ΔTh)
ただし、βb: 記測温抵抗体の抵抗温度係数
βh: 発熱体の抵抗温度係数
ΔTh: 測温抵抗体と発熱体の温度差
とすることができる。この実施形態によれば、測温抵抗体の温度が変化したときの発熱体の発熱温度の変化を高い精度で測温抵抗体の温度変化と等しくすることができる。従って、測温抵抗体の温度と発熱体の発熱温度との温度差を常に高い精度で一定に保つことが可能になる。
【0016】
特に、測温抵抗体と発熱体の温度差ΔTは、通常5℃〜100℃程度であり、ポリシリコンの抵抗温度係数は、約0.001/℃であるから、測温抵抗体及び発熱体がポリシリコンによって形成されている場合には、測温抵抗体の抵抗温度係数に対する発熱体の抵抗温度係数の比は、1.005以上1.1以下であればよい。
【0017】
本発明のセンサは、上記のようなセンサ用発熱装置と、センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを備えている。
【0018】
このようなセンサは、流量センサ(ガスフローセンサ)や湿度センサ、ガス(種)センサなどとして用いることができるものであり、本発明のセンサ用発熱装置を用いれば測温抵抗体の温度(すなわち、周囲温度)に対して発熱体の発熱温度を一定温度だけ高い温度に保つことができるので、周囲温度の変化に対する温度補正を高精度に行うことができ、センサの検出精度を向上させることができる。
【0019】
本発明の加速度センサは、上記のようなセンサ用発熱装置と、前記センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを密閉空間内に納め、当該温度測定手段の出力により加速度を計測するようにしたことを特徴としている。
【0020】
このような加速度センサによれば、加速度によって密閉空間の内部に生じるガス(密閉空間内に封入したガスや空気など)の流れが温度分布の変化として温度測定手段によって検知されるので、この温度測定手段からの出力信号により加速度センサに働く加速度を検出することができる。しかも、この加速度センサは、本発明のセンサ用発熱装置を用いているので、測温抵抗体の温度(すなわち、周囲温度)に対して発熱体の発熱温度を一定温度だけ高い温度に保つことができ、周囲温度の変化に対する温度補正を高精度に行うことができ、センサの検出精度を向上させることができる。
【0021】
また、このような加速度センサにおいて、前記センサ用発熱装置に用いられている発熱体を間欠駆動する手段を設けてもよい。発熱体を間欠駆動することで周囲の温度上昇を小さくできるので、加速度センサの出力を安定させることができると共に加速度センサの消費電力を抑えることができる。
【0022】
また、上記のような加速度センサにおいては、前記温度測定手段からの出力信号がローパスフィルタを通過させるようにしてもよい。温度測定手段からの出力信号をローパスフィルタに通すようにすれば、出力信号から高周波ノイズを除去することができると共に加速度センサを取り付けられている機器の振動や、当該機器が手持ち操作されるものである場合には手ぶれなどによる不要な信号を除去することができる。
【0023】
なお、この発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
本発明の一実施形態による流量センサ(ガスフローセンサ)31の構造を図5及び図6に示す。図6は図5のB−B線断面を表し、図5は保護膜40等を除去してサーモパイル37、38を露出させた状態の平面を表している。この流量センサ31にあっては、シリコン基板32の上面に上方で広くなった凹状の空隙部33を形成し、この空隙部33を覆うようにしてシリコン基板32の上面に絶縁薄膜34を設け、この絶縁薄膜34の一部によって空隙部33の上に薄膜状のブリッジ部35を形成している。このブリッジ部35は空隙部33によってシリコン基板32と断熱されている。ブリッジ部35の表面においては、その中央部にポリシリコンからなるヒータ36を設け、ヒータ36を挟んで上流側と下流側の対称な位置にそれぞれ測温体としてサーモパイル37、38を設けている。また、ブリッジ部35の外側において、絶縁薄膜34の上に周囲温度感知用の測温抵抗体52を設けてあり、ヒータ36、サーモパイル37、38及び測温抵抗体52を覆うようにしてシリコン基板32の上を保護膜40で覆っている。
【0025】
上記サーモパイル37、38はポリシリコン/アルミニウムからなる熱電対によって構成されており、ブリッジ部35の縁を横切るようにしてポリシリコンからなる第1の細線41とアルミニウムからなる第2の細線42が交互に、かつ平行に配線され、ブリッジ部35内における第1の細線41と第2の細線42の接続点によって温接点43の群が構成され、ブリッジ部35外における第1の細線41と第2の細線42の接続点によって冷接点44の群を構成している。
【0026】
冷接点44は、ヒートシンクの役目をするシリコン基板32の上に位置しているので、気体に接触しても温度は変化しにくく、常に周囲温度とほぼ等しい温度に保たれている。温接点43は、シリコン基板32から浮いたブリッジ部35の上に形成されているので、熱容量が小さく、気体に触れると敏感に温度が変化する。
【0027】
この流量センサ31においても、サーモパイル37、38の温接点43及び冷接点44の数をそれぞれn個、温接点43の温度をTw、冷接点44の温度をTcとすると、サーモパイル37、38の出力電圧(両端間電圧)Vは、次の(2)式で表される。
V=n・α(Tw−Tc) …(2)
ただし、αはゼーベック係数である。
【0028】
ブリッジ部35の外側(シリコン基板32の上面)で、絶縁薄膜34の上面に設けられた測温抵抗体52は、ポリシリコンによって形成されている。この測温抵抗体52は、シリコン基板32の温度、すなわち周囲温度と等しい温度に保たれている。
【0029】
この流量センサ31においては、測温抵抗体52、ヒータ36、サーモパイル37、38の第1の細線41はそれぞれ同一材料(ポリシリコン)によって形成され、P(燐)等の不純物をドーピングされている。
【0030】
符号39、45及び53は、それぞれヒータ36、サーモパイル37、38及び測温抵抗体52にワイヤボンディングするためのワイヤパッドである。
【0031】
なお、図示しないが、サーモパイルは、ヒータの片側にだけ設けてもよい。上記実施形態のようにヒータの両側にサーモパイルを配置した構造の場合には、図5の矢印方向と反対向きに気体が流れた場合にも流体流量(ガス流量)を検出することができる。一方、ヒータの片側にのみサーモパイルを設けた構造では、両側にサーモパイルを設けた構造と比較して、より高流速域で測定可能になる。
【0032】
次に、上記流量センサ31の製造プロセスを図7(a)(b)(c)(d)、図8(e)(f)(g)(h)(i)及び図9(j)(k)(l)(m)により説明する。これらの製造プロセスを説明する図はいずれも、図5(a)のC−C線に沿った断面を表している。以下、これらの図に従って当該製造プロセスを説明する。
【0033】
まず、熱酸化法等によりシリコン基板32の表裏両面に例えばSiO2からなる絶縁薄膜34を形成し[図7(a)]、CVD法等を用いて上面側の絶縁薄膜34の上にポリシリコンを膜厚500nmとなるように堆積させてポリシリコン膜46を形成する[図7(b)]。ついで、イオン注入法等によりポリシリコン膜46の全体にP等の不純物原子をイオン注入法等でドーズ量1×1020個/cm3だけドープする[図7(c)]。さらに、ポリシリコン膜46の表面全体をレジスト膜54で覆った後、ポリシリコン膜46のヒータ形成領域56a及び測温体形成領域56bでレジスト膜54に窓55を開口させる[図7(d)]。
【0034】
この窓55を通してさらにP等の不純物原子をイオン注入法等により3×1020個/cm3よりも少ないドーズ量で追加注入させる[図8(e)]。ついで、レジスト膜54にあけた窓55のうち、測温体形成領域56bの窓55をレジストによって塞いだ後、ヒータ形成領域56aで開口している窓55を通してP等の不純物原子をイオン注入法等により追加注入し、全注入量が4×1020個/cm3となるようにする。
【0035】
この後、レジスト膜54を除去すると、ヒータ形成領域56aでは4×1020個/cm3の不純物濃度となり、ヒータ形成領域56a及び測温体形成領域56b以外の領域(特に、サーモパイル形成領域)では不純物濃度が1×1020個/cm3となる[図8(f)]。測温体形成領域56bでは不純物濃度が4×1020個/cm3よりも少なくなっているが、この不純物濃度は、ヒータ36の抵抗温度係数と測温抵抗体52の抵抗温度係数とが後述のような比になるよう制御される。
【0036】
この後、フォトリソグラフィによりポリシリコン膜46をエッチングし、ポリシリコン膜46によってヒータ36、周囲温度測定用の測温抵抗体52、サーモパイル37、38の各第1の細線41のパターンを形成し、さらにパターニングされたポリシリコン膜46の不純物を熱拡散させる。このとき、ポリシリコン膜46の表面には酸化膜47が形成される[図8(g)]。
【0037】
この結果、同時にパターニングされたヒータ36、測温抵抗体52、サーモパイル37、38の各第1の細線41のうち、ヒータ36の不純物濃度がもっとも高く、つぎに測温抵抗体52の不純物濃度が高くなる。
【0038】
ついで、温接点43及び冷接点44となる箇所で第1の細線41を覆う酸化膜47の一部をエッチングして開口48を設け[図8(h)]、酸化膜47の上からアルミニウムをスパッタ等で堆積させ、さらにフォトリソグラフィによってアルミニウム膜をパターニングしてサーモパイル37、38の第2の細線42を形成する[図8(i)]。このとき、第2の細線42は、酸化膜47の開口48を通して各端を第1の細線41の各端に接続され、酸化膜47の下に形成された第1の細線41と第2の細線42とによってサーモパイル37、38が形成される。
【0039】
次に、サーモパイル37、38の両端、ヒータ36の両端および測温抵抗体52の両端において、酸化膜47の一部をエッチングして開口49を設け、サーモパイル37、38の両端、ヒータ36の両端及び測温抵抗体52の両端に金属材料を堆積させてそれぞれのワイヤパッド45、39、53を設ける[図9(j)]。ついで、CVD法等により基板全体に例えばSiO2を堆積させ、配線保護のための保護膜40を形成する[図9(k)]。
【0040】
この後、保護膜40を部分的にエッチングして各ワイヤパッド45、39、53の上面を露出させる。同時にヒータ36とサーモパイル37、38の中間において、保護膜40をエッチング除去し、さらにエッチングにより絶縁薄膜34も部分的に除去して開口51を形成し、開口51からシリコン基板32を露出させる[図9(l)]。ついで、この開口51からシリコン基板32の上面をエッチングすることによりシリコン基板32の上面に空隙部33を凹設すると共に絶縁薄膜34によってブリッジ部35を形成する[図9(m)]。
【0041】
このようにしてヒータ形成領域56aと測温体形成領域56bで不純物を追加ドーピングすることによって流量センサ31を製造すれば、無駄なドーピング処理時間を減らすことができ、効率よく感度の良好な流量センサを製造することができる。
【0042】
この流量センサ31にあっても、ヒータ36に電流を流して発熱させながら上流側及び下流側のサーモパイル37、38の出力が監視される。気体の流れていない無風時には、サーモパイル37の出力電圧とサーモパイル38の出力電圧とは等しいが、図5に矢印で示す方向に、上流側から下流側に向けて気体が移動していると、上流側のサーモパイル37の温接点43は冷却されて降温し、出力電圧が小さくなる。一方、気体によって運ばれる熱で下流側のサーモパイル38の温接点43は温度が上昇し、出力電圧が大きくなる。従って、両サーモパイル37、38の出力電圧値の差により空気の流量を測定することができる。
【0043】
また、この流量センサ31では、ヒータ36の不純物ドーピング量は第1の細線41の不純物ドーピング量よりも大きくなっている。例えば、上記のようにヒータ36と第1の細線41が膜厚500nmのポリシリコンからなる場合、第1の細線41には1×1020個/cm3程度の密度でPがドーピングされるのに対し、ヒータ36には4×1020個/cm3程度の密度でPがドーピングされる。このように、第1の細線41よりもヒータ36の不純物ドーピング量を大きくしているので、ヒータ36の抵抗を下げることができ、ヒータ36の発熱温度を高くすることができる。一方、第1の細線41の不純物ドーピング量はヒータ36よりも小さくなっているので、ゼーベック係数を高くすることができる。よって、ゼーベック係数の高いサーモパイル37、38を用いながらヒータ36の発熱温度を高くすることができ、流量センサ31の感度を向上させることができる。
【0044】
図10はヒータ制御回路61の構成を示す図である。このヒータ制御回路61は、ヒータ36の発熱温度が測温抵抗体52で検出されている周囲温度よりも一定温度だけ高い温度に自動調整する働きをする。このヒータ制御回路61は、固定抵抗63、64、ヒータ36、測温抵抗体52、オペアンプ(差動増幅回路)62及びトランジスタ65によって構成されている。固定抵抗63、64はヒータ36及び測温抵抗体52と共にブリッジ回路を構成されており、固定抵抗63と測温抵抗体52の中点がオペアンプ62の反転入力端子に接続され、固定抵抗64とヒータ36の中点がオペアンプ62の非反転入力端子に接続されている。トランジスタ65は、定電圧回路66と固定抵抗63及び64との間に挿入されており、オペアンプ62の出力はトランジスタ65のベースに接続されている。
【0045】
このヒータ制御回路61は、ヒータ36を周囲温度に対して一定温度ΔThだけ高い温度で熱平衡状態を保とうとするものであり、例えば無風状態の熱平衡状態から気体の流れのある状態に変化してヒータ36の温度が下がると、オペアンプ62の非反転入力端子の電位が下がり、トランジスタ65を駆動し、電流が供給されて再び熱平衡状態になるという動作を繰り返す。周囲温度が変化した場合も同様である。詳しくいうと、このヒータ制御回路61にあっては、ヒータ36の発熱温度が平衡時の温度よりも上昇すると、オペアンプ62から出力される電位が高くなるので、トランジスタ65のベース電流が減少し、ブリッジ回路に流れる電流も減少する。この結果、ヒータ36に流れる電流が減少してヒータ36の発熱温度が下がる。逆に、ヒータ36の発熱温度が平衡時の温度よりも低下すると、オペアンプ62の出力電位が低下するので、トランジスタ65のベース電流が増加し、ブリッジ回路に流れる電流も増加する。この結果、ヒータ36に流れる電流が増加してヒータ36の発熱温度が上がる。
【0046】
また、周囲温度を検出している測温抵抗体52の温度が平衡時の温度よりも上昇すると、オペアンプ62から出力される電位が低下するので、トランジスタ65のベース電流が増加し、ブリッジ回路に流れる電流も増加する。この結果、ヒータ36に流れる電流が増加してヒータ36の発熱温度が上がる。逆に、測温抵抗体52の発熱温度が平衡時の温度よりも低下すると、オペアンプ62から出力される電位が高くなるので、トランジスタ65のベース電流が減少し、ブリッジ回路に流れる電流も減少する。この結果、ヒータ36に流れる電流が減少してヒータ36の発熱温度が下がる。
【0047】
ヒータ制御回路61は、上記のような動作により、ヒータ36の発熱温度が測温抵抗体52に対して一定に保たれるように自動調整すると共に、測温抵抗体52の検知温度が下がったらヒータ36の温度も下げ、測温抵抗体52の検知温度が上がったらヒータ36の温度も上昇させる。ただし、ヒータ36には、通電による温度上昇が無視できない電流値が流れるようにし、測温抵抗体52には通電による温度上昇が無視できる程度の電流しか流れないよう、ヒータ36及び測温抵抗体52の抵抗値が設定されるものとする。
【0048】
しかし、このようなブリッジ回路を用いたヒータ制御回路61で、ヒータ36と測温抵抗体52とを同一材質で形成した場合には、以下に説明するように、ヒータ36は周囲温度(測温抵抗体52の温度)に対して厳密には一定温度上昇とならず、この温度上昇値の温度特性が流速センサの特性誤差を生むことになる。
【0049】
ヒータ36と測温抵抗体52とが同じ材質で、不純物のドーピング量が等しいとすると、ヒータ36の抵抗温度係数と測温抵抗体52の抵抗温度係数とは等しくなる。いま、横軸に温度をとり、縦軸に抵抗値をとって、ヒータ36及び測温抵抗体52の抵抗値温度特性を考える。ヒータ36と測温抵抗体52とでは、抵抗値の温度特性は一致しない(抵抗率の温度特性は一致する。)が、説明の便宜上ヒータ36と測温抵抗体52の抵抗値温度特性が一致するとして説明する。
【0050】
はじめに周囲温度がT1で、そのときの測温抵抗体52の抵抗値がRbであって、ヒータ36の温度が周囲温度よりもΔThだけ大きな温度T2(=T1+ΔTh)で、そのときのヒータ36の抵抗値がRhであったとすると、ブリッジ回路の平衡条件より、
R1・Rh=R2・Rb …(3)
が成り立つ。ただし、R1は固定抵抗63の抵抗値、R2は固定抵抗64の抵抗値である。
【0051】
いま、周囲温度がT1からΔTだけ上昇してT1´となり、測温抵抗体52の抵抗値がRb´となったとする。ブリッジ回路においては、測温抵抗体52の抵抗値がRbからRb´に増加したとすると、ブリッジ回路の平衡条件を満たすところで安定し、その結果ヒータ36に流れる電流が大きくなってヒータ36の発熱温度も高くなる。この時のヒータ36の抵抗値をRh´とすると、ブリッジ回路の平衡条件より、
R1・Rh´=R2・Rb´ …(4)
となる。よって、上記(3)式と(4)式とから、
Rh´/Rh=Rb´/Rb …(5)
が得られる。ここで、測温抵抗体52の抵抗値Rbに比べてヒータ36の抵抗値Rhは大きいので、(5)式又は図11から分かるように、測温抵抗体52の温度がT1からT1´へとΔTだけ上昇したとしても、ヒータ36の温度上昇ΔT´は周囲温度の上昇ΔTよりも大きくなる。
【0052】
この結果、温度上昇後におけるヒータ36の温度T2´と測温抵抗体52の温度T1´との温度差ΔTh´=T2´−T1´は、はじめの温度差ΔTよりも大きくなってしまう。
【0053】
そこで、上記のようなヒータ制御回路61において、ヒータ36の発熱温度を測温抵抗体52の温度よりも一定温度だけ高い温度に保つための条件を以下で明らかにする。いま、ヒータ36の抵抗温度係数をβh、測温抵抗体52の抵抗温度係数をβbとする。ただし、抵抗温度係数βh及びβbは、いずれもを同一温度(以下、基準温度という。)を基準とする係数であるとする。従って、基準温度における測温抵抗体52の抵抗値をrb、基準温度よりもΔTだけ温度が上昇したときの測温抵抗体52の抵抗値をRb(ΔT)とすれば、
Rb(ΔT)=rb(1+βb・ΔT) …(6)
となる。同様に、基準温度におけるヒータ36の抵抗値をrh、基準温度よりもΔTだけ温度が上昇したときのヒータ36の抵抗値をRh(ΔT)とすれば、
Rh(ΔT)=rh(1+βh・ΔT) …(7)
と表される。
【0054】
いま、周囲温度が基準温度に等しく、ヒータ36が周囲温度よりもΔThだけ高い温度に保たれていて、ブリッジ回路が平衡状態にあるとすると、次の(8)式が成り立つ。ただし、R 1、R2は2つの固定抵抗63、64の抵抗値である。
R1・Rh(ΔTh)=R2・Rb(0)
すなわち、(6)式、(7)式を用いると、
R1・rh(1+βh・ΔTh)=R2・rb …(8)
【0055】
この平衡状態から、周囲温度がΔTだけ上昇した場合を考えると、測温抵抗体52の温度は、
Rb(ΔT)=rb(1+βb・ΔT) …(9)
となる。このとき、ヒータ36の温度も同じだけ上昇していると、
Rh(ΔTh+ΔT)=rh(1+βh・ΔTh+βh・ΔT)
…(10)
となる。この状態でブリッジ回路が平衡すればよいから、次の(11)式が成立すればよい。
R1・Rh(ΔTh+ΔT)=R2・Rb(ΔT) …(11)
この(11)式に(9)式及び(10)式を代入すると、
R1・rh(1+βh・ΔTh+βh・ΔT)
=R2・rb(1+βb・ΔT) …(12)
となる。この(12)式に上記(8)式を適用すると、
R1・rh(βh・ΔT)=R2・rb(βb・ΔT) …(13)
が得られる。
【0056】
よって、
βh={(R2・rb)/(R1・rh)}βb …(14)
であれば、任意の上昇温度ΔTについて条件を満たすことになる。ここで、この(14)式に(8)式を代入すると、
βh=(1+βh・ΔTh)・βb …(15)
となる。
【0057】
(15)式においては、
(1+βh・ΔTh)>1
であるから、周囲温度が変動してもヒータ36の発熱温度が周囲温度よりもΔThだけ高くなるようにするためには、上記(15)式を満たす必要があり、ヒータ36の抵抗温度係数βhが測温抵抗体52の抵抗温度係数βbよりも大きくなっていなければならない。
【0058】
言い換えると、この実施形態では、測温抵抗体52の抵抗温度係数βbがヒータ36の抵抗温度係数βhよりも小さくなっていて、上記(15)式を満たすようにしているので、ヒータ36の発熱温度が常に周囲温度よりもΔThだけ高くなるよう、より高精度に制御することができる。
【0059】
抵抗温度係数の数値で言えば、ポリシリコンを使用した測温抵抗体52における抵抗温度係数βbは約0.1%/℃程度であり、ヒータ36の温度上昇ΔThは5℃〜100℃程度であるので、上記(15)式によれば、ヒータ36の抵抗温度係数βhは測温抵抗体52の抵抗温度係数βbの1.005倍〜1.1倍に設定すればよいことが分かる。
【0060】
(第2の実施形態)
図12は本発明の別な実施形態によるヒータ制御回路71の構成を示す回路図である。第1の実施形態では、ヒータ36の抵抗温度係数βhと測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとが異なるので、ヒータ36と測温抵抗体52を別工程で形成するか、別工程でドーピングするか、いずれにしても工程が増加するが、この実施形態では、ヒータ36の抵抗温度係数βhと測温抵抗体52の抵抗温度係数βbは同じであってもよいので、工程数を少なくできる。
【0061】
以下、この実施形態を図12に従って説明する。このヒータ制御回路71は、図10に示したヒータ制御回路61に対して、定電圧回路66の電圧Vccを分圧抵抗72、73で分圧し、その電圧Vaを抵抗74を介して測温抵抗体52に印加し、測温抵抗体52に電流を流し込むことができるようにしたものである。すなわち、固定抵抗63、64、ヒータ36及び測温抵抗体52によってブリッジ回路が構成されており、固定抵抗63と測温抵抗体52の中点がオペアンプ62の反転入力端子に接続され、固定抵抗64とヒータ36の中点がオペアンプ62の非反転入力端子に接続されている。トランジスタ65は、定電圧回路66と固定抵抗63及び64との間に挿入されており、オペアンプ62の出力は、トランジスタ65のベースに接続されている。また、定電圧回路66の出力とグランドとの間には、直列に接続された分圧抵抗72、73が接続されており、分圧抵抗72、73の中点と、固定抵抗63及び測温抵抗体52の中点との間には抵抗74が接続されており、定電圧回路66の出力電圧Vccを分圧抵抗72、73で分圧し、抵抗74を介して測温抵抗体52に印加できるようにしている。
【0062】
このような構成のヒータ制御回路71において、分圧抵抗72、73の中点の電圧をVa、固定抵抗63と測温抵抗体52の中点の電圧をVb、定電圧回路66の出力電圧をVccとすれば、電圧VaとVbとの間には、次のような関係がある。ただし、R3、R4は分圧抵抗72、73の抵抗値、R5は抵抗74の抵抗値である。
【0063】
【数1】
【0064】
従って、抵抗74の両端間の電圧差ΔVは、次の(17)式のように表される。
【0065】
【数2】
【0066】
図10に示したようなヒータ制御回路61(以下においては、図10のヒータ制御回路とは、ヒータ36の抵抗温度係数βhと測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとが等しいものをさす。以下、同じ)では、固定抵抗63と測温抵抗体52に流れる電流は常に等しくなるため、周囲温度の上昇に伴って測温抵抗体52の抵抗値Rbが大きくなると、ヒータ36の発熱温度は周囲温度の変化以上に大きく変化する。
【0067】
これに対し、この実施形態によるヒータ制御回路71では、周囲温度が上昇して測温抵抗体52の抵抗値Rbが大きくなると、測温抵抗体52の上側の電圧Vbが大きくなるので、抵抗74の両端間の電圧差ΔVは、測温抵抗体52の上側の電圧Vbが上昇するにつれて小さくなり、抵抗74から測温抵抗体52に流れ込む電流も減少する。その結果、測温抵抗体52の上側の電圧Vbの上昇が抑制されることになり、測温抵抗体52の上側に加わる電圧Vbは図10のヒータ制御回路61ほどは上昇しないことになる。すなわち、図11を参照して説明すれば、周囲温度がT1からT1´に上昇し、測温抵抗体52の抵抗値がRbからRb´に変化したとしても、測温抵抗体52の上側の電圧Vbは、抵抗74からの流入電流の減少により図10のヒータ制御回路61の場合ほど上昇せず、結果としてヒータ36の抵抗Rh´も図10のヒータ制御回路61の場合ほどには上昇し得ないことになり、ヒータ36の発熱温度の上昇ΔT´も図10のヒータ制御回路61の場合より小さくなる。
【0068】
このような構成のヒータ制御回路71によれば、定電圧回路66の出力電圧Vccに対して分圧抵抗72、73及び抵抗74の抵抗値R3、R4、R5を適当に選択することにより、抵抗74を通って測温抵抗体52に流れ込む電流を自由に設定することができるから、結局は抵抗74を通ってブリッジ回路に流れ込む電流を自由に設定できることを意味する。従って、このような構成のヒータ制御回路71によれば、温度特性を自由に設定できることになり、測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとヒータ36の抵抗温度係数βhとが等しい場合でも周囲温度の変化に伴うヒータ36の発熱温度の変化を図10のヒータ制御回路61よりも小さくすることができ、好ましくはヒータ36の発熱温度の変化ΔT´を周囲温度の変化ΔTにほぼ等しくすることができる。
【0069】
よって、図12に示すような構成のヒータ制御回路71によれば、図10のようなヒータ制御回路61(βh=βbのもの)と比較して、ヒータ36の発熱温度と測温抵抗体52の温度(周囲温度)との差ΔThをより精度よく一定に保つことができる。しかも、測温抵抗体52の抵抗温度係数βbとヒータ36の抵抗温度係数βhとが等しくてもよいので、測温抵抗体52とヒータ36とを同一材料によって形成し、P等の不純物の注入量も同じでよく、測温抵抗体52及びヒータ36を同一工程で製作することができ、製作工程の簡略化によってコストを安価にできる。
【0070】
つぎに、図13に示したヒータ制御回路81を説明する。これは図12のヒータ制御回路71の変形例でもある。ヒータ制御回路71では、固定抵抗63及び測温抵抗体52の中点と分圧抵抗72、73の中点とを抵抗74によって接続していたのに対し、このヒータ制御回路81では、固定抵抗64及びヒータ36の中点と分圧抵抗72、73の中点とを抵抗82によって接続している。
【0071】
このようなヒータ制御回路81によれば、周囲温度の上昇によって測温抵抗体52の抵抗Rbが大きくなると、ヒータ36に流れる電流が増加してヒータ36の発熱温度が高くなると共にヒータ36の抵抗値Rhも大きくなる。ヒータ36の抵抗値Rhが大きくなると、ヒータ36の上側の電圧Vcが高くなり、抵抗82の両端間の電圧差ΔV=Vc−Vaはヒータ36の上側の電圧Vcが上昇するにつれて大きくなり、抵抗82から外部へ流れ出す電流が増加する。その結果、ヒータ36に流れる電流が減少し、ヒータ36の発熱温度の上昇が抑制されることになる。
【0072】
よって、図13に示すような構成のヒータ制御回路81によっても、図10のようなヒータ制御回路61(βh=βbのもの)と比較して、ヒータ36の発熱温度と測温抵抗体52の温度(周囲温度)との差ΔThをより精度よく一定に保つことができる。
【0073】
この実施形態は、図12のような構成や図13のような構成以外にも種々設計変更することができるが、その場合でも固定抵抗63(又は、固定抵抗64)に流れる電流と抵抗74(又は、抵抗82)に流れる電流との比が一定でないことが重要である。
【0074】
この実施形態の変形例としては、測温抵抗体52及びヒータ36を固定抵抗63、64よりも高電圧側に配置したブリッジ回路を用いてもよい。その場合には、図14に示すように、測温抵抗体52と固定抵抗63との中点に、電流をブリッジ回路へ流入させるための抵抗74を介して電圧Vaを印加し、周囲温度の上昇によって測温抵抗体52の抵抗値が大きくなり、その枝の中点電圧が低くなったときに抵抗74を介して固定抵抗63に流れる電流が増大し、当該中点の電圧低下が抑制されるようにしてもよい。同様に、図15に示すように、ヒータ36と固定抵抗64との中点に、ブリッジ回路から電流を流出させるための抵抗82を介して電圧Vaを印加するようにしてもよい。
【0075】
また、ブリッジ回路も測温抵抗体、ヒータ及び3個以上の固定抵抗によって構成されている必要はなく、例えば固定抵抗63又は64に代えて複数の抵抗からなる抵抗ネットワークを用いてもよい。また、ブリッジ回路に交流電圧を加えてヒータを発熱させる場合には、ブリッジ回路にキャパシタやインダクタが含まれていてもよい。
【0076】
なお、本発明のセンサは、上記のような流量センサに限らず、湿気センサやガスセンサとして用いる場合にも適用することができる。さらには、特にセンサの種類を限定することなく、ブリッジ回路によって温度補償を行いたい場合には有用である。
【0077】
(第3の実施形態)
図16は上記のような流量センサ31を用いた給湯器91の構造を示す図である。この給湯器91にあっては、缶体92内にガスバーナ93が設けられており、その上方には内部を流れる水とガスバーナ93の燃焼ガスとを熱交換させて水を加熱するための熱交換器94が配設されている。また、缶体92の底面には、ガスバーナ93に燃焼空気を供給するための送風ファン95が設けられており、缶体92の上部には燃焼ガスを排出するための排気口96が開口されている。缶体92には、ガスバーナ93の上面側と下面側を連通させるように空気バイパス路97が設けられており、空気バイパス路97には流量センサ31が設けられている。
【0078】
空気バイパス路97に設けられた流量センサ31で空気の流量(送風量)を計測することによって空気バイパス路97の入口と出口との圧力差を測ることができ、それによってガスバーナ93を通過する空気の流量を知ることができるので、ガス流量に対して最適な空燃比(空気とガスの混合比)となるように送風ファン95の回転数をフィードバック制御し、煤や一酸化炭素ガスなどの発生を抑制することができる。
【0079】
(第4の実施形態)
図17は上記のような流量センサを用いた2次元加速度センサ101の構造を示す断面図である。この加速度センサ101は、密閉ケース102の上面に回路基板103を取付け、回路基板103の下面に取付けられた本発明の流量センサ(フローセンサ)104を回路基板103と密閉ケース102によって構成されたセンサ収納室105内に密封し、さらにセンサ収納室105内にガス106を封入したものである。また、密閉ケース102の底面のうち、流量センサ104と対向する部分107を上方へ膨らませることにより、流量センサ104と対向する部分では流量センサ104と密閉ケース102の底面との間の距離を小さくし、ガス106の流路108を狭くしている。このように流量センサ104を密閉した密閉型の加速度センサ101では、104からは、加速度センサ101に働いている加速度を示す信号が出力される。
【0080】
1方向の加速度を検知する場合には、流量センサ104として例えば図5に示したような構造の流量センサを1つ用いれば良いが、この実施形態のように2次元加速度センサとして用いる場合には、例えば図5のような構造の流量センサを流量検知方向を互いに直交させるようにして回路基板103に実装すればよい。あるいは、ヒータ36と2つのサーモパイル37、38からなる図5のような電極構造を2組み互いに直交させるようにして1枚のシリコン基板2上に形成したものでもよい。もちろん、3組の流量センサを用いれば3次元加速度センサとすることもできる。
【0081】
次に、流量センサ104を用いた加速度センサ101と加速度との関係について説明する。流量センサ104を用いた加速度センサ101を動かしたときの流量センサ104からの出力信号には、加速度センサ101を操作したときの移動方向の速度に応じた信号成分と、移動方向の加速度に応じた信号成分と、重力加速度による信号成分とが含まれている。
【0082】
この重力加速度による信号成分とは、流量センサ104がヒータ36を備えていることによるものである。流量センサ104は、例えばX軸方向で考えると、図18(a)に示すように、ヒータ36の両側にサーモパイル37、38を配置した構造を有しており、加速度センサ101が水平に移動すると、図18(b)に示すように、サーモパイル37側とサーモパイル38側とで温度分布が異なることによってサーモパイル37、38の差信号が変化するものである(図3の説明を参照)。ところが、このような流量センサ104では、ヒータ36で気体が温められているため、加速度センサ101が傾くと、図18(c)に示すように温められた気体が上昇し、対流によって図18(b)と同様な温度分布となる。このため、加速度センサ101を移動させていない場合でも、加速度センサ101が傾いているとサーモパイル37、38から差信号が出力され、加速度センサ101から信号が出力されてしまう。これが重力加速度による信号成分である。
【0083】
流量センサを用いたセンサが開放型である場合には、そのセンサを移動させたときの移動方向の加速度に応じた信号成分と重力加速度による信号成分とは、移動方向の速度に応じた信号成分と比較して非常に小さいので、移動方向の加速度に応じた信号成分と重力加速度による信号成分とは無視することができる。しかし、密閉型の加速度センサ101の場合には、移動加速度と比較して移動速度に対する感度が低いので、流量センサ37、38から出力される差信号は、加速度センサ101が感知している加速度を表しているものとして扱われる。従って、流量センサ104を密閉した加速度センサ101では、移動速度に対する感度は無視することができ、また水平に設置されている場合には重力加速度による信号成分も無視することができるので、この加速度センサ101からは感知している加速度を示す加速度信号を出力させることができ、加速度計測用のセンサとして用いることができる。
【0084】
図19は上記2次元加速度センサ101に用いられている信号処理回路111を示す回路ブロック図である。流量センサ104は、2つの流量センサ104A及び104Bで表されており、流量センサ104AはX軸方向の加速度を検知するように設置されており、流量センサ104BはY軸方向の加速度を検知するように設置されている。また、センサ駆動回路112及び115は、それぞれ流量センサ104A、104Bのヒータ36の発熱量を制御する回路であって、ヒータ36を間欠駆動する。センサ駆動回路112及び115で、流量センサ104A及び104Bのヒータ36を間欠駆動することで流量センサ104A、104Bの周辺の温度上昇を防止し、出力を安定化させるとともに消費電力を抑えることができる。X軸方向の流量センサ104Aから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路113により増幅され、ローパスフィルタ114で高周波成分をカットされた後、X方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。ここで、ローパスフィルタ114(ローパスフィルタ117も同じ。)を用いるのは、高周波ノイズをカットするとともに加速度センサ101を取り付けた機器の振動(あるいは、加速度センサ101を取り付けた機器が手持ち機器の場合には、手振れ)による不要な信号成分を除去するためである。同様に、Y軸方向の流量センサ104Bから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路116により増幅され、ローパスフィルタ117で高周波成分をカットされた後、Y方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。演算処理回路(マイコン)118においては、X軸方向の加速度とY軸方向の加速度の合成など、必要な処理が実行される。なお、ローパスフィルタ114、117の後段に、電圧−周波数(VF)変換回路を設け、カウンタを通してパルス出力を演算処理回路118へ送るようにしてもよい。
【0085】
このような流量センサ104を利用した加速度センサ101では、構造が単純であるため、安価に加速度センサ101を製作することができる。また、半導体プロセスを用いて流量センサ104を製造できるので、加速度センサ101を小型化できる。さらに、可動部分を持たないので、衝撃に強くて破損しにくという特徴がある。また、このような加速度センサ101は、出力感度が高いので、高精度の出力を得ることができる。さらに、周辺回路も安価な部品で構成することが可能である。
【0086】
(第5の実施形態)
図20(a)(b)は別な実施形態による加速度センサ121を示している。この加速度センサ121では、回路基板103と密閉ケース102とで構成されたセンサ収納室105内に比較的比重の重いガス122と比較的比重の軽いガス123との2種のガスを封入している。しかして、センサ収納室105内では、図20(a)に示すように重いガス122と軽いガス123とが分離して2層となっている。この状態では、図20(b)に示すように、加速度センサ104を+X方向に移動させると、重いガス122が慣性等によって相対的に−X方向へ移動するので、軽いガス123は+X方向へ押し出される。このとき軽いガス123の流れ(加速度)が流量センサ104により検出される。この実施形態では、重いガス122と軽いガス123を封入することにより軽いガス123の流れを構造的に増幅させることにより、加速度センサ121の感度を高めている。
【0087】
(第6の実施形態)
2次元加速度センサが傾けて設置される場合には、重力加速度による信号成分を無視することができず、これを補正する必要がある。この重力加速度の補正方法としては、図21のような信号処理回路を用いる方法がある。
【0088】
図21の信号処理回路131では、X軸方向の流量センサ104Aから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路113により増幅された後、ハイパスフィルタ132で低周波成分をカットされた後、X方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。同様に、Y軸方向の流量センサ104Bから出力された信号(加速度信号)は、増幅回路116により増幅され、ハイパスフィルタ133で低周波成分をカットされた後、Y方向の加速度を示す信号として演算処理回路(マイコン)118のA/Dポートへ入力される。
【0089】
重力加速度による加速度センサからの出力は、ほぼ直流成分(あるいは、非常に低い周波数成分)であるから、X軸流量センサ104A及びY軸流量センサ104Bの出力に接続するハイパスフィルタ132、133の周波数特性を、図22に示すように、カットオフ周波数Fcが重力加速度による出力成分の周波数域よりも高く、加速度センサの計測範囲下限値よりも低くなるように設定すれば、重力加速度による影響のみをカットすることができ、加速度センサの精度を向上させることができる。
【0090】
なお、重力加速度の影響をカットすると共に、図19の信号処理回路111のように高周波ノイズもカットする必要がある場合には、このハイパスフィルタ132、133に代えてバンドパスフィルタを用いてもよい。
【0091】
(第7の実施形態)
図23は別な実施形態による加速度センサ141を示す斜視図である。この加速度センサ141にあっては、ケース142内に、密閉式のセンサユニット143が納められている。加速度センサ141は、図23に示すように、中空のケース142内に支持梁144を掛け渡し、フック145でセンサユニット143を支持梁144の屈曲箇所に揺動自在に吊り下げたものである。センサユニット143は、流量センサ104を実装した回路基板146をユニットケース147内に固定したものであり、ユニットケース147の上面に設けられたフック145で揺動自在に吊り下げた時、安定した状態では、流量センサ104の垂直方向が重力加速度方向と平行となるように重心位置を調整してある。また、ケース142内に適当な粘度のオイル148を貯めてオイルダンパーとしてあり、センサユニット143はオイル148内に浸けられている。さらに、加速度センサ141のケース142には、内外に貫通するようにして電極端子149が埋め込まれており、流量センサ104又は回路基板14と電極端子149とは柔軟なリード線150によって結ばれているので、流量センサ104の出力は電極端子149に取り出されるようになっている。
【0092】
しかして、この加速度センサ141によれば、傾けて設置されていても、加速度センサ141内のセンサユニット143はオイル148の抵抗に抗しながら動いて水平姿勢に保持されるので、流量センサ104は常に重力加速度の影響を受けない状態に維持される。よって、重力加速度による出力成分は常にゼロとなり、加速度センサ141の精度が向上させられる。
【0093】
(第8の実施形態)
図24は、別な実施形態による3次元加速度センサ151を示す概略斜視図である。この加速度センサ151にあっては、X軸方向の移動を検知する流量センサ152A、Y軸方向の移動を検知する流量センサ152B、Z軸方向の移動を検知する流量センサ152Cをそれぞれれ立方体状をしたブロック153の各面に貼り付けたものが密閉ケース154内に密封されている。よって、各流量センサ152A、152B、152CによりX軸方向の加速度、Y軸方向の加速度、Z軸方向の加速度を計測することができ、3次元加速度センサとして用いることができる。
【0094】
(第9の実施形態)
図25は本発明にかかる加速度センサを用いたゲームコントローラ161であって、ゲームコントローラ161内の回路基板162に上記のような密閉型の3次元加速度センサ163を実装している。そして、このゲームコントローラ161の空中における操作状態が加速度センサ163によって検出され、その計測信号がゲームコントローラ161からパーソナルコンピュータやゲームマシンなどに出力される。
【0095】
(図10の実施形態)
図26は異なるゲームコントローラ161の形態を表している。このゲームコントローラ161では、内部の回路基板162の上に本発明にかかる流体センサ164がCBO(チップ・オン・ボード)で実装されており、この流体センサ164を覆うようにして回路基板162にキャップ165を取り付け、回路基板162とキャップ165によって内部に流体センサ164を封止して密閉型の加速度センサを構成している。キャップ165と回路基板162の間を密閉構造とするためには、キャップ165の爪167を回路基板162の孔168に係合させてキャップ165を回路基板162の表面に取り付けると共にキャップ165と回路基板162の間に気密用のゴムパッキンなどを挟み込んでおいてもよい。あるいは、キャップ165の下面を回路基板162の表面に接着剤で接着することにより、気密構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】従来の流量センサの構造を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】(a)は上記流量センサに流体が流れていないときの温度分布を示す図、(b)は同上の流量センサに流体が流れているときの温度分布を示す図である。
【図4】(a)(b)は、図1に示したような構造のセンサを湿気やガス圧を検出するためのセンサとして用いる場合の検出原理を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態による流量センサの構造を示す平面図である。
【図6】図6のB−B線断面図である。
【図7】(a)(b)(c)(d)は同上の流量センサの製造プロセスを説明する断面図である。
【図8】(e)(f)(g)(h)(i)は図8の続図である。
【図9】(j)(k)(l)(m)は図9の続図である。
【図10】同上の流量センサに用いられているヒータ制御回路を示す図である。
【図11】測温抵抗体及びヒータの温度と各抵抗値との関係を説明するための図である。
【図12】本発明の別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図13】本発明のさらに別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図14】本発明のさらに別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図15】本発明のさらに別な実施形態におけるヒータ制御回路を示す図である。
【図16】本発明にかかるガス圧センサを用いた給湯器の構造を示す概略図である。
【図17】本発明にかかる流量センサを用いた加速度センサの概略断面図である。
【図18】加速度センサにおけるおける重力加速度の影響を説明する図である。
【図19】同上の加速度センサに用いられている信号処理回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図20】(a)(b)は本発明にかかる流量センサを用いた別な構造の加速度センサを示す概略断面図である。
【図21】本発明にかかる加速度センサにおいて、重力加速度の影響を除去するための信号処理回路の構成を示す回路ブロック図である。
【図22】同上の信号処理回路の原理を説明する図である。
【図23】重力加速度の影響を除去した別な加速度センサの構造を示す概略断面図である。
【図24】本発明にかかる3次元加速度センサの概略図である。
【図25】本発明にかかる加速度センサを利用したゲームコントローラを示す斜視図である。
【図26】本発明にかかる加速度センサを利用した別なゲームコントローラを示す一部分解した斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
61 ヒータ制御回路
62 オペアンプ
63、64 固定抵抗
65 トランジスタ
66 定電圧回路
71 ヒータ制御回路
72、73 分圧抵抗
74 抵抗
81 ヒータ制御回路
82 抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物をドーピングされた測温抵抗体と固定抵抗とを含む第1の枝、および不純物をドーピングされた発熱体と前記固定抵抗とは別な固定抵抗とを含む第2の枝を並列に接続したブリッジ回路と、
第1の枝の中点と第2の枝の中点との電位差に基づいて前記ブリッジ回路に印加する電圧又は前記ブリッジ回路に供給する電流を調整することにより、測温抵抗体と発熱体の温度差を制御する手段とを備えたセンサ用発熱装置において、
前記測温抵抗体のドーピング量を前記発熱体のドーピング量よりも大きくしたことを特徴とするセンサ用発熱装置。
【請求項2】
前記測温抵抗体の抵抗温度係数をβb、前記発熱体の抵抗温度係数をβh、測温抵抗体と発熱体の温度差をΔThとするとき、
βb=βh/(1+βh・ΔTh)
となるように前記測温抵抗体の不純物ドーピング量と前記発熱体の不純物ドーピング量を設定されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ用発熱装置。
【請求項3】
前記測温抵抗体及び前記発熱体がポリシリコンによって形成され、前記測温抵抗体の抵抗温度係数に対する前記発熱体の抵抗温度係数の比が、1.005以上1.1以下であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ用発熱装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3のいずれかに記載したセンサ用発熱装置と、
前記センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを備えたセンサ。
【請求項5】
請求項1、2又は3のいずれかに記載したセンサ用発熱装置と、前記センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを密閉空間内に納め、当該温度測定手段の出力により加速度を計測するようにしたことを特徴とする加速度センサ。
【請求項6】
前記センサ用発熱装置に用いられている発熱体を間欠駆動する手段を備えた、請求項5に記載の加速度センサ。
【請求項7】
前記温度測定手段からの出力信号がローパスフィルタを通過するようにした、請求項5に記載の加速度センサ。
【請求項1】
不純物をドーピングされた測温抵抗体と固定抵抗とを含む第1の枝、および不純物をドーピングされた発熱体と前記固定抵抗とは別な固定抵抗とを含む第2の枝を並列に接続したブリッジ回路と、
第1の枝の中点と第2の枝の中点との電位差に基づいて前記ブリッジ回路に印加する電圧又は前記ブリッジ回路に供給する電流を調整することにより、測温抵抗体と発熱体の温度差を制御する手段とを備えたセンサ用発熱装置において、
前記測温抵抗体のドーピング量を前記発熱体のドーピング量よりも大きくしたことを特徴とするセンサ用発熱装置。
【請求項2】
前記測温抵抗体の抵抗温度係数をβb、前記発熱体の抵抗温度係数をβh、測温抵抗体と発熱体の温度差をΔThとするとき、
βb=βh/(1+βh・ΔTh)
となるように前記測温抵抗体の不純物ドーピング量と前記発熱体の不純物ドーピング量を設定されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ用発熱装置。
【請求項3】
前記測温抵抗体及び前記発熱体がポリシリコンによって形成され、前記測温抵抗体の抵抗温度係数に対する前記発熱体の抵抗温度係数の比が、1.005以上1.1以下であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ用発熱装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3のいずれかに記載したセンサ用発熱装置と、
前記センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを備えたセンサ。
【請求項5】
請求項1、2又は3のいずれかに記載したセンサ用発熱装置と、前記センサ用発熱装置の近傍に配置され、該センサ用発熱装置の発熱部から発生した熱による温度変化を検出する温度測定手段とを密閉空間内に納め、当該温度測定手段の出力により加速度を計測するようにしたことを特徴とする加速度センサ。
【請求項6】
前記センサ用発熱装置に用いられている発熱体を間欠駆動する手段を備えた、請求項5に記載の加速度センサ。
【請求項7】
前記温度測定手段からの出力信号がローパスフィルタを通過するようにした、請求項5に記載の加速度センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2008−96453(P2008−96453A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323927(P2007−323927)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【分割の表示】特願2000−347282(P2000−347282)の分割
【原出願日】平成12年11月14日(2000.11.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【分割の表示】特願2000−347282(P2000−347282)の分割
【原出願日】平成12年11月14日(2000.11.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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