センサ装置、携帯電話およびデジタルカメラ
【課題】広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る照度/近接センサ1は、発光ダイオードLED1と、フォトダイオードPD1・PD2と、LED駆動回路4および光電流Iin1・Iin2を処理する光電流処理回路3を備える制御回路2と、を備える。光電流処理回路3は、光電流Iin2からパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路32と、光電流Iin1から低域通過フィルタ回路32からの出力電流Iin2_filを減算する減算回路33と、減算回路33からの出力電流Iin1−Iin2_filをデジタル信号DOUTに変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路31と、照度/近接センサ1の検知モードを切り替える検知モード切替回路34と、を備える。
【解決手段】本発明に係る照度/近接センサ1は、発光ダイオードLED1と、フォトダイオードPD1・PD2と、LED駆動回路4および光電流Iin1・Iin2を処理する光電流処理回路3を備える制御回路2と、を備える。光電流処理回路3は、光電流Iin2からパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路32と、光電流Iin1から低域通過フィルタ回路32からの出力電流Iin2_filを減算する減算回路33と、減算回路33からの出力電流Iin1−Iin2_filをデジタル信号DOUTに変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路31と、照度/近接センサ1の検知モードを切り替える検知モード切替回路34と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関し、特に、周囲光の照度および近接物体の有無の両方を検知可能なセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを有する携帯電話やデジタルカメラ等では、液晶パネルのバックライトの発光量を外乱の照度に応じて制御できるように、外乱の照度を検知する照度センサを搭載させる要望がある。照度センサは、太陽光や蛍光灯などの光をフォトダイオードによって電流に変換し、積分型のアナログ−デジタル変換回路でデジタル出力する方式が一般的である。その理由は、積分型のアナログ−デジタル変換回路は、簡単な構成で高精度な分解能を実現できる特徴があり、照度センサのように、低速であるが高い分解能(16bit程度)を要求されるデバイスに適しているためである。
【0003】
アナログ−デジタル変換回路に関する従来技術として、特許文献1に記載されている方式が提案されている。
【0004】
図10は、特許文献1に記載のアナログ−デジタル変換回路100の構成を示す回路図である。アナログ−デジタル変換回路100は、被測定電圧Vinをインピーダンス変換するボルテージフォロワ101と、ボルテージフォロワ101の出力電圧により充電される容量102と、容量102に充電された電荷を負電源103へ放電する定電流回路104と、容量102の端子電圧を入力電圧とするコンパレータ105と、クロックパルスを出力するクロック回路106と、このクロックパルスをカウントするカウンタ107と、充電スイッチ108と放電スイッチ109の開閉を制御する制御回路110と、から構成されている。これにより、アナログ−デジタル変換回路100は、簡単な構成で入力電圧値のアナログ−デジタル変換が可能である。
【0005】
また、アナログ−デジタル変換回路を用いた照度センサに関する従来技術として、特許文献2に記載されている方式が提案されている。
【0006】
図11は、特許文献2に記載の照度センサ200の構成を示す回路図である。照度センサ200は、測定対象となる光を電流に変換するフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDの出力を入力電流とするアナログ−デジタル変換回路(充放電部210及び制御計算部220)と、を有しており、照度に応じたデジタル出力を行う構成である。充放電部210は、充電回路211と、第1放電回路212と、第2放電回路213と、比較回路214と、を有している。
【0007】
充電回路211は、所定の充電期間中、入力電流(フォトダイオードPDの検出電流)に応じた電荷を蓄える手段であり、オペアンプAMPと、一端がオペアンプAMP201の反転入力端(−)に接続され、他端がオペアンプAMP201の出力端に接続された充電用キャパシタC201と、オペアンプAMP201の非反転入力端(+)に所定の第1基準電圧V201を印加する第1定電圧源E201と、制御信号S201に基づいて、入力電流の入力端(すなわちフォトダイオードPDのアノード)と充電用キャパシタC201の一端との間を開閉する第1スイッチSW201と、制御信号S202に基づいて、充電用キャパシタC1の両端間を短絡する第2スイッチSW202と、を有している。
【0008】
第1放電回路212は、上記の充電期間中、充電回路211の充電量が所定の閾値に達する毎に、充電回路211に蓄えられた電荷を放電する手段であり、第1放電用キャパシタC202(充電用キャパシタC1の1/m(m>1))と、制御信号S203に基づいて、第1放電用キャパシタC202の一端と接地端との間、並びに、第1放電用キャパシタC202の他端とオペアンプAMP201の反転入力端(−)との間を各々開閉する第3スイッチSW203a〜SW203bと、制御信号S204に基づいて、第1放電用キャパシタC202の両端と第1基準電圧V201の印加端との間を各々開閉する第4スイッチSW204a〜SW204bと、を有している。
【0009】
第2放電回路213は、上記の充電期間の満了後、第1放電回路212よりも小さい放電能力をもって、充電回路211に残存する電荷が所定値になるまで、これを所定量ずつ段階的に放電する手段であり、第2放電用キャパシタC203(充電用キャパシタC201の1/n(n>m))と、第2基準電圧V202(第1基準電圧V201の1/k(k>1))を生成する第2定電圧源E202と、制御信号S205に基づいて、第2放電用キャパシタC203の一端と第2定電圧源E202の正極端との間、並びに、第2放電用キャパシタC203の他端とオペアンプAMP201の反転入力端(−)との間を各々開閉する第5スイッチSW205a〜SW205bと、制御信号S206に基づいて、第2放電用キャパシタC203の両端と第1基準電圧Vrefの印加端との間を各々開閉する第6スイッチSW206a〜SW206bと、を有している。
【0010】
比較回路214は、オペアンプAMP201の出力電圧Vaと第3基準電圧V203(Vref)及び第4基準電圧V204(Vref/2)とを各々比較する手段であり、第3基準電圧V203を生成する第3定電圧源E203と、第4基準電圧V204を生成する第4定電圧源E204と、非反転入力端(+)がオペアンプAMP201の出力端に接続され、反転入力端(−)が第3定電圧源E203の正極端に接続された第1コンパレータCMP201と、反転入力端(−)がオペアンプAMP201の出力端に接続され、非反転入力端(+)が第4定電圧源E204の正極端に接続された第2コンパレータCMP202と、を有している。
【0011】
制御計算部220は、所定のクロック信号CLKと比較回路CMP201〜CMP202の各出力信号CO201〜CO202に基づいて制御信号S201〜S206を生成し、充電回路211と放電回路212〜213の充放電制御を行うと共に、放電回路212〜213の総放電回数から充電回路211の総充電量を算出し、その結果に応じたデジタル出力(DOUT)を行う手段である。
【0012】
充放電部210及び制御計算部220からなるアナログ−デジタル変換回路では、定められた充電時間の間、容量C201を充電するとともに、容量C201が所定の充電量になる毎に第1放電回路212により放電を行う。続いて、アナログ−デジタル変換回路は、充電時間終了後の電荷を第2放電回路213によって放電することにより、第1放電回路212の放電回数と第2放電回路213の放電時間に基づいて、容量C201の充電量に応じたデジタル値を出力する。これにより、特許文献2の構成は、入力ダイナミックレンジの拡大、最小分解能の向上、および測定時間の短縮が可能である。
【0013】
また、液晶パネルを有する携帯電話やデジタルカメラ等では、液晶パネルの消費電力を低減させるために、顔が機器に近づいた時に液晶パネルへの電力供給をOFFさせるように、近接センサを搭載する要望が増えている。
【0014】
図12は、一般的な近接センサ300の概略構成を示す図である。近接センサ300は、発光ダイオード(LED)310、フォトダイオード320、および制御回路330を備えている。制御回路330は、発光ダイオード310にパルス電流を供給して、発光ダイオード310を駆動させる。近接センサ300の近傍に物体400が存在する場合、発光ダイオード310からのパルス光は、実線矢印のように、物体400によって反射され、フォトダイオード320によって受光される。一方、物体400が存在しない場合、発光ダイオード310からのパルス光は、破線矢印のように、物体400によって反射されないので、フォトダイオード320には、発光ダイオード310からのパルス光はほとんど到達しない。
【0015】
フォトダイオード320は、受光したパルス光をパルス電流に変換して、制御回路330に出力する。制御回路330は、フォトダイオード320からのパルス電流の大きさに基づいて、近接センサ300の近傍に物体400が存在するか否かを判定する。
【0016】
図13は、近接センサ300の具体的な構成を示す回路図である。近接センサ300の制御回路330は、LED駆動回路340と、光電流処理回路350とを備えている。
【0017】
LED駆動回路340は、PチャネルMOSトランジスタPM341と、PチャネルMOSトランジスタPM342とを備えている。トランジスタPM341は、ドレインが電源Vddに接続され、ソースがトランジスタPM342のドレインに接続され、ゲートに図示しないバイアス電圧発生回路からバイアス電圧Vbiasが印加される構成である。トランジスタPM342のソースは、発光ダイオード310に接続され、トランジスタPM342のゲートには図示しないパルス発生回路からパルス電圧Vpulseが印加される。これにより、発光ダイオード310には、パルス電流Idrvが流される。
【0018】
近接センサ300の光電流処理回路350は、電流電圧変換回路351、高域通過フィルタ回路(High−path−filter)352、電圧オペアンプ353および比較回路354を備えている。電流電圧変換回路351は、フォトダイオード320からのパルス電流をパルス電圧に変換する。高域通過フィルタ回路352は、高周波信号であるパルス電圧のみを通過させ、太陽光(直流)や蛍光灯(100kHz以下)などの光から変換された低周波信号を、外乱ノイズとして除去する。電圧オペアンプ353は、高域通過フィルタ回路352を通過したパルス電圧を増幅して、パルス電圧Vsigを比較回路354の非反転入力端(+)に出力する。比較回路354は、パルス電圧Vsigを、反転入力端(−)に入力される閾値電圧Vthと比較して、デジタル信号DOUTを出力する。
【0019】
図14は、トランジスタPM342のゲートに印加されるパルス電圧Vpulse、比較回路354の非反転入力端(+)に入力されるパルス電圧Vsig、および比較回路354が出力するデジタル信号DOUTの波形を示す図であり、(a)は、近接センサ300の近傍に物体400が存在する場合の波形を示しており、(b)は、近接センサ300の近傍に物体400が存在しない場合の波形を示している。
【0020】
近接センサ300の近傍に物体400が存在する場合は、物体400からの反射光が強いため、フォトダイオード320が発生するパルス電流は大きくなる。したがって、パルス電圧Vsigが閾値電圧Vthを超えるため、光電流処理回路350は、物体400が近接センサ300の近傍に存在することを示すデジタル信号DOUTを出力する。
【0021】
一方、近接センサ300の近傍に物体400が存在しない場合は、物体400からの反射光が弱いため、フォトダイオード320が発生するパルス電流は小さくなる。したがって、パルス電圧Vsigは閾値電圧Vthを超えないため、光電流処理回路350は、物体400が近接センサ300の近傍に存在しないことを示すデジタル信号DOUTを出力する。
【0022】
以上のように、液晶パネルを有する携帯電話やデジタルカメラ等に、照度センサや近接センサを搭載することにより、消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2001−160756号公報(2001年6月12日公開)
【特許文献2】特開2008−42886号公報(2008年2月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
ここで、携帯電話やデジタルカメラ等に、照度センサおよび近接センサの両方を搭載すると、機器のサイズが大きくなってしまう。そのため、1つのセンサデバイスで、照度および近接の両方を検知できる方法が求められている。
【0025】
図10に示すアナログ−デジタル変換回路100や、図11に示す照度センサ200に用いられているアナログ−デジタル変換回路を、照度および近接の両方を検知するセンサに利用する場合、アナログ−デジタル変換回路には、太陽光や蛍光灯などの外光から変換された電流と、近接物体から反射されたパルス光から変換されたパルス電流との両方が入力される。しかしながら、近接物体から反射されたパルス光は、外光よりもはるかに弱いため、アナログ−デジタル変換回路からは、パルス電流の有無を検知することができない。そのため、これらの従来のアナログ−デジタル変換回路は、パルス光の検知が必要な近接センサに利用することができないという問題がある。
【0026】
また、図13に示す近接センサ300は、外光に対応する電圧信号が、外乱ノイズとして高域通過フィルタ回路352で除去されるため、照度を検知することができない。そのため、近接センサ300は、照度センサに利用することができないという問題がある。
【0027】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数以下のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記出力電流の上記減算回路への入力の可否および上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動の可否を制御可能であり、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しているときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させ、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しないときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、検知モード切替部が、減算回路への出力電流の入力を遮断せず、光源駆動部の光源のパルス駆動を継続させている場合、センサ装置は、近接物体の有無を検知する近接センサとして機能する。センサ装置の近傍に物体が存在している場合、光源から出射された光が物体に反射して2つのフォトダイオードに入射する。これにより、2つのフォトダイオードは、物体からの反射光と周囲光とを光電流に変換するので、光電流には、反射光から変換されたパルス電流の成分と周囲光から変換された低周波電流の成分とが含まれている。ここで、低域通過フィルタ回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第2の光電流からパルス電流を除去するので、低周波電流を通過させる。よって、減算回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第1の光電流から低周波電流を減算して、パルス電流のみをアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、パルス電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、近接物体の有無を検知することができる。
【0030】
一方、検知モード切替部が、減算回路への低域通過フィルタ回路からの出力電流の入力を遮断し、光源駆動部の光源のパルス駆動を停止させている場合、センサ装置は、周囲光の照度を検知する照度センサとして機能する。このとき、光源駆動部が光源のパルス駆動を停止しているので、光源は外部に光を出射しない。このため、2つのフォトダイオードには、周囲光のみが入射する。さらに、検知モード切替部によって、低域通過フィルタ回路からの出力電流は減算回路に入力されないので、減算回路は、周囲光から変換された低周波電流のみを含む第1の光電流を、そのままアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、低周波電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、周囲光の照度を検知することができる。また、アナログ−デジタル変換回路が積分型であることにより、センサ装置は、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知することができる。
【0031】
以上のように、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現できるという効果を奏する。
【0032】
本発明に係るセンサ装置では、上記2つのフォトダイオードは、同一の集積回路基板上に形成されることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、2つのフォトダイオードが近接して配置されるので、2つのフォトダイオードの各受光面への入射光がほぼ等しくなり、第1の光電流の値と第2の光電流の値とをさらに精度良く同一とすることができる。これにより、センサ装置が近接センサとして機能する場合に、減算回路は、第1電流から低周波電流の成分をさらに正確に除去することができる。したがって、センサ装置は、近接物体をより正確に検知することが可能となる。
【0034】
本発明に係るセンサ装置では、上記第1の光電流の値と上記第2の光電流の値との比が、n:1(n>1)であり、上記減算回路は、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流をn倍に増幅した電流を、上記第1の光電流から減算することが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、センサ装置が近接センサとして機能している場合に、減算回路は、パルス電流をn倍にして出力する。したがって、センサ装置は、近接物体をより正確に検知することが可能となる。
【0036】
本発明に係るセンサ装置では、上記フォトダイオードの一方の受光面の面積は、上記フォトダイオードの他方の受光面の面積のn倍であることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、簡単な構成で、第1の光電流の値と第2の光電流の値との比をn:1とすることができる。
【0038】
本発明に係るセンサ装置では、上記検知モード切替部は、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させる場合、上記光源の発光と、上記減算回路からの出力電流の上記アナログ−デジタル変換回路への入力とを同期させることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、センサ装置が近接センサとして機能している場合に、光源が発光していない期間は、アナログ−デジタル変換回路に電流が入力されない。これにより、アナログ−デジタル変換回路に入力されるノイズ成分を減らすことができるため、センサ装置は、近接物体をより正確に検知することが可能となる。
【0040】
本発明に係るセンサ装置では、上記検知モード切替部が上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させている場合、上記アナログ−デジタル変換回路のアナログ−デジタル変換時間が、上記センサ装置の周囲の照明装置を駆動する電源の周期の倍数に等しいことが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、各アナログ−デジタル変換時間における照度の測定値の変動を低減することができる。したがって、センサ装置は、より正確に周囲光の照度を検知することが可能となる。
【0042】
本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数よりも高い周波数のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第2の光電流から、上記所定の周波数以下のパルス電流を除去する高域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路または上記高域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記減算回路と上記低域通過フィルタ回路とを接続するか、上記減算回路と上記高域通過フィルタ回路とを接続するかを切り替えることを特徴としている。
【0043】
上記の構成によれば、検知モード切替部が、減算回路と低域通過フィルタ回路とを接続している場合、センサ装置は、近接物体の有無を検知する近接センサとして機能する。センサ装置の近傍に物体が存在している場合、光源から出射された光が物体に反射して2つのフォトダイオードに入射する。これにより、2つのフォトダイオードは、物体からの反射光と周囲光とを光電流に変換するので、光電流には、反射光から変換されたパルス電流の成分と周囲光から変換された低周波電流の成分とが含まれている。ここで、低域通過フィルタ回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第2の光電流からパルス電流を除去するので、低周波電流を通過させる。よって、減算回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第1の光電流から低周波電流を減算して、パルス電流のみをアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、パルス電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、近接物体の有無を検知することができる。
【0044】
一方、検知モード切替部が、減算回路と高域通過フィルタ回路とを接続している場合、センサ装置は、周囲光の照度を検知する照度センサとして機能する。仮に、光源が外部に光を出射しており、センサ装置の近傍に物体が存在している場合、2つのフォトダイオードが発生する光電流には、反射光から変換されたパルス電流の成分と周囲光から変換された低周波電流の成分とが含まれる。ここで、高域通過フィルタ回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第2の光電流から低周波電流を除去するので、パルス電流を通過させる。よって、減算回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第1の光電流からパルス電流を減算して、低周波電流のみをアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、低周波電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、周囲光の照度を検知することができる。また、アナログ−デジタル変換回路が積分型であることにより、センサ装置は、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知することができる。
【0045】
以上のように、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現できるという効果を奏する。
【0046】
本発明に係る携帯電話およびデジタルカメラは、画面を表示する液晶パネルと、上記液晶パネルを背面から照射するバックライトと、上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部と、上記いずれかのセンサ装置とを備え、上記バックライト制御部は、上記センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、上記バックライトの輝度を制御することを特徴としている。
【0047】
上記の構成によれば、バックライト制御部は、センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、例えば、周囲光の照度が大きい場合、バックライトの輝度を上げ、周囲光の照度が小さい場合、バックライトの輝度を下げるように制御するとともに、液晶パネルにユーザの顔が近接すると、バックライトを消灯させる制御が可能となる。これにより、バックライトの消費電力を抑えることが可能となる。また、センサ装置が、周囲光の照度の検知と、物体の近接・非近接の検知との2つの検知機能を有しているため、機器を容易に小型化することできる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように、本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数以下のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記出力電流の上記減算回路への入力の可否および上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動の可否を制御可能であり、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しているときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させ、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しないときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させる構成である。
【0049】
また、本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数よりも高い周波数のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第2の光電流から、上記所定の周波数以下のパルス電流を除去する高域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路または上記高域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記減算回路と上記低域通過フィルタ回路とを接続するか、上記減算回路と上記高域通過フィルタ回路とを接続するかを切り替える構成である。
【0050】
したがって、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照度/近接センサの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す照度/近接センサのアナログ−デジタル変換回路の構成を示す回路図である。
【図3】上記アナログ−デジタル変換回路におけるクロック信号、制御信号、コンパレータの正相入力端子の電位およびコンパレータの出力信号の波形を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の変形例に係るアナログ−デジタル変換回路の概略構成を示すブロック図である。
【図5】2つのフォトダイオードを1つの集積回路基板上に配置した状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例に係る光電流処理回路の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の変形例に係る照度/近接センサの概略構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の変形例に係る光電流処理回路の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図10】従来のアナログ−デジタル変換回路の構成を示す回路図である。
【図11】従来の照度センサの構成を示す回路図である。
【図12】一般的な近接センサの概略構成を示す図である。
【図13】図12に示す近接センサの具体的な構成を示す回路図である。
【図14】図12に示す近接センサの発光ダイオードを駆動するためのパルス電圧等のの波形を示す図であり、(a)は、近接センサの近傍に物体が存在する場合の波形を示しており、(b)は、近接センサの近傍に物体が存在しない場合の波形を示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について図1〜図8に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態では、周囲光の照度の検知と物体の近接・非近接の検知との両方の機能を有する照度/近接センサについて説明する。
【0053】
図1は、本実施形態に係る照度/近接センサ1の概略構成を示すブロック図である。照度/近接センサ1は、発光ダイオードLED1と、2つのフォトダイオードPD1・PD2と、制御回路2とを備えている。発光ダイオードLED1は、照度/近接センサ1の外部に向けて光を出射する光源である。フォトダイオードPD1・PD2は、照度/近接センサ1の外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流Iin1・Iin2をそれぞれ発生する。フォトダイオードPD1からの光電流Iin1とフォトダイオードPD2からの光電流Iin2とは、略同一である必要があるため、フォトダイオードPD1・PD2は、受光面の面積が同一であり、互いに近接して配置されている。これにより、光電流Iin1および光電流Iin2の値は、ほぼ同一となっている。
【0054】
制御回路2は、フォトダイオードPD1・PD2からの光電流Iin1・Iin2を処理する光電流処理回路(光電流処理部)3と、発光ダイオードLED1を高周波パルスによってパルス駆動するLED駆動回路(光源駆動部)4とを備えている。
【0055】
LED駆動回路4は、パルス発生回路41と、PチャネルMOSトランジスタPM1と、PチャネルMOSトランジスタPM2とを備えている。トランジスタPM1は、ドレインが電源Vddに接続され、ソースがトランジスタPM2のドレインに接続され、ゲートに図示しないバイアス電圧発生回路からバイアス電圧Vbiasが印加される構成である。トランジスタPM2のソースは、発光ダイオードLED1に接続され、トランジスタPM2のゲートにはパルス発生回路41から高周波のパルス電圧Vpulseが印加される。これにより、発光ダイオードLED1には、パルス電流Idrvが流され、発光ダイオードLED1は、パルス駆動される。
【0056】
なお、本明細書において、「高周波のパルス」とは、太陽光や蛍光灯の光などの周囲光の周波数(およそ100kHz)の最大値よりも高い周波数を有するパルスを意味し、パルス電圧Vpulseの周波数は、例えば、300kHzに設定される。
【0057】
光電流処理回路3は、積分型のアナログ−デジタル変換回路31と、低域通過フィルタ回路(Low−path−filter)32と、減算回路33と、検知モード切替回路(検知モード切替部)34と、スイッチSW1とを備えている。アナログ−デジタル変換回路31は、入力される電流信号をデジタル信号に変換する回路であり、図11に示す特許文献2に記載の照度センサ200に備えられるアナログ−デジタル変換回路と同様、積分型であるので、広いダイナミックレンジ、高精度な分解能、および短時間での測定機能を有している。アナログ−デジタル変換回路31の詳細な構成は、後述する。
【0058】
低域通過フィルタ回路32は、太陽光や蛍光灯の光などの周囲光から変換された低周波数の光電流のみ通過させ、高周波数の光電流を除去する回路である。低域通過フィルタ回路32には、フォトダイオードPD2からの光電流Iin2が入力される。
【0059】
低域通過フィルタ回路32が通過させる電流の周波数は、周囲光から変換された低周波電流を通過させ、発光ダイオードLED1を駆動するためのパルス電圧Vpulseの周波数と同一周波数の電流を除去する範囲で設定される。具体的には、周囲光から変換された低周波電流の周波数の最大値は、約100kHzであるので、低域通過フィルタ回路32が通過させる電流の周波数の上限は、100kHzから300kHzの範囲内(例えば、200kHz)に設定される。
【0060】
減算回路33は、+端子に入力される電流から、−端子に入力される電流を減算して、アナログ−デジタル変換回路31に出力する回路である。減算回路33の+端子には、フォトダイオードPD1からの光電流Iin1が入力される。また、減算回路33の−端子は、スイッチSW1を介して、低域通過フィルタ回路32と接続されている。スイッチSW1は、低域通過フィルタ回路32の出力電流の減算回路33の−端子への入力を遮断する回路である。
【0061】
検知モード切替回路34は、照度/近接センサ1の検知モード、すなわち、周囲光の照度の検知モードと物体の近接・非近接の検知モードとを切り替える回路である。検知モード切替回路34は、スイッチSW1およびパルス発生回路41に接続されており、スイッチSW1による低域通過フィルタ回路32の出力電流の減算回路33の−端子への入力の可否、およびパルス発生回路41によるパルス電圧Vpulseの出力の可否を制御することができる。
【0062】
周囲光の照度の検知モードの場合、検知モード切替回路34は、スイッチSW1をOFFにして低域通過フィルタ回路32の出力電流の減算回路33の−端子への入力を遮断するとともに、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseの出力を停止させる。一方、物体の近接・非近接の検知モードの場合、検知モード切替回路34は、スイッチSW1をONにして低域通過フィルタ回路32の出力電流を減算回路33の−端子に入力させるとともに、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseの出力を継続させる。それぞれの検知モードにおける光電流処理回路3の処理内容について、具体的に説明する。
【0063】
まず、物体の近接・非近接の検知モードの場合は、検知モード切替回路34によって、スイッチSW1がONとなり、パルス発生回路41は、パルス電圧Vpulseを出力する。これにより、発光ダイオードLED1はパルス駆動されて、光を外部に向けて出射する。照度/近接センサ1の近くに物体が存在する場合、発光ダイオードLED1からの出射光が物体によって反射され、近接物体からの反射光がフォトダイオードPD1・PD2の受光面に入射する。このとき、フォトダイオードPD1・PD2の受光面には、照度/近接センサ1の周囲光(太陽光や蛍光灯の光)も入射するので、フォトダイオードPD1・PD2は、近接物体からの反射光と周囲光とを光電流に変換する。
【0064】
ここで、光電流の成分のうち、周囲光から変換された光電流成分(以下「低周波電流」)をIdc、近接物体からの反射光から変換された光電流成分(以下「パルス電流」)をIpulseとすると、
Iin1=Iin2=Idc+Ipulse …式(1)
となる。パルス電流Ipulseの周波数は、パルス発生回路41が発生するパルス電圧Vpulseの周波数と同一であるため、照度/近接センサ1の周囲光の周波数の最大値よりも高い。したがって、低域通過フィルタ回路32は、入力された光電流Iin2のうち、低周波電流Idcのみ通過させ、パルス電流Ipulseを除去する。このとき、スイッチSW1はONであるので、減算回路33の−端子に入力される電流をIin2_filとすると、
Iin2_fil=Idc …式(2)
となる。
【0065】
減算回路33の+端子には、光電流Iin1が入力されるので、減算回路33の出力電流は、式(1)および式(2)から、
Iin1−Iin2_fil=(Idc+Ipulse)−Idc=Ipulse
となる。すなわち、アナログ−デジタル変換回路31には、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流のみが入力される。これにより、アナログ−デジタル変換回路31は、パルス電流のみをデジタル信号DOUTに変換して出力することができる。したがって、照度/近接センサ1は、デジタル信号DOUTの値に基づいて、物体の近接/非近接を検知することができる。
【0066】
続いて、周囲光の照度の検知モードの場合は、検知モード切替回路34によって、スイッチSW1がOFFとなり、パルス発生回路41は、パルス電圧Vpulseの出力を停止する。これにより、発光ダイオードLED1は発光しないため、近接物体の有無に関わらず、フォトダイオードPD1・PD2は、照度/近接センサ1の周囲光のみを受光する。したがって、
Iin1=Iin2=Idc
となる。
【0067】
ここで、低域通過フィルタ回路32は、低周波電流Idcを出力するが、スイッチSW1がOFFであるため、減算回路33の−端子への入力電流値は0となる。したがって、減算回路33は、+端子へ入力されるIin1=Idcを減算することなくアナログ−デジタル変換回路31に出力する。すなわち、アナログ−デジタル変換回路31には、照度/近接センサ1の周囲光から変換された光電流のみが入力される。これにより、アナログ−デジタル変換回路31は、周囲光から変換された光電流のみをデジタル信号DOUTに変換して出力することができる。したがって、照度/近接センサ1は、デジタル信号DOUTの値に基づいて、周囲光の照度を検知することができる。
【0068】
なお、図1において、スイッチSW1を低域通過フィルタ回路32とフォトダイオードFD2との間に設けてもよい。
【0069】
また、周囲光の照度の検知モードにおいて、検知モード切替回路34は、パルス発生回路41がパルス電圧Vpulseの出力を停止させることにより、発光ダイオードLED1の駆動を停止させていたが、発光ダイオードLED1の駆動を停止させる構成はこれに限定されない。例えば、トランジスタPM2と発光ダイオードLED1との間にスイッチを設け、検知モード切替回路34が当該スイッチのON/OFFを制御することによって、発光ダイオードLED1の駆動/停止を制御する構成としてもよい。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る照度/近接センサ1は、検知モード切替回路34によって検知モードを切り替えることにより、照度センサとしての機能および近接センサとしての機能の両方を備えている。また、アナログ−デジタル変換回路31が積分型のアナログ−デジタル変換回路であることにより、広いダイナミックレンジと高い分解能のアナログ−デジタル変換が可能となっている。
【0071】
続いて、アナログ−デジタル変換回路31の具体的な構成について説明する。
【0072】
図2は、アナログ−デジタル変換回路31の構成を示す回路図である。アナログ−デジタル変換回路31は、放電回路31aと、充電回路31bと、比較回路31cと、制御回路31dとを備えている。
【0073】
充電回路31bは、オペアンプAMP1および充電用キャパシタC1を備えている。オペアンプAMP1の逆相入力端子は、スイッチSW2を介してアナログ−デジタル変換回路31の入力端子に接続されている。スイッチSW2の制御電極には、制御信号S2が入力され、これにより、スイッチSW2は制御信号S2によってON/OFF制御される。オペアンプAMP1の正相入力端子は、接地されている。充電用キャパシタC1は、オペアンプAMP1の負帰還回路に設けられている。
【0074】
放電回路31aは、放電用キャパシタC2および4つのスイッチSW4a・SW4b・Sw5a・SW5bを備えている。スイッチSW4a・SW4bは、制御信号S4によってON/OFF制御され、スイッチSW4a・SW4bは、制御信号S4によってON/OFF制御され、スイッチSW5a・SW5bは、制御信号S5によってON/OFF制御される。放電用キャパシタC2の一端は、スイッチSW2およびスイッチSW4bを介してアナログ−デジタル変換回路31の入力端子に接続されている。放電用キャパシタC2の一端とスイッチSW4bとの接続点は、スイッチSW5bを介して接地されている。放電用キャパシタC2の他端は、スイッチSW5aを介して基準電源Vrefに接続されている。放電用キャパシタC2の他端とスイッチSW5aとの間の接続点は、スイッチSW4aを介して接地されている。
【0075】
比較回路31cは、コンパレータCMP1と基準電源E3とを備えている。電源E3の電位は、基準電源Vrefの電位と同一である。コンパレータCMP1の正相入力端子は、オペアンプAMP1の出力端子に接続されている。コンパレータCMP1の逆相入力端子は、スイッチSW3を介してオペアンプAMP1の出力端子に接続されている。スイッチSW3は、制御信号S3によってON/OFF制御される。コンパレータCMP1の逆相入力端子とスイッチSW3との間の接続点は、電源E3を介して接地されている。
【0076】
以上の構成により、充電回路31bの充電用キャパシタC1が、入力電流Iin(=Iin1−Iin2_fil)に応じた電荷を蓄え、放電回路31aが充電用キャパシタC1に蓄えられた電荷を放電し、比較回路31cが、充電回路31bの出力電圧と電源E3の基準電圧Vrefとを比較する。制御回路31dは、制御信号S2〜S5を出力して、スイッチSW2・SW3・SW4a・SW4b・SW5a・SW5bを制御するとともに、コンパレータCMP1からの出力信号CO1に基づき、デジタル信号DOUTを出力する。
【0077】
図3は、アナログ−デジタル変換回路31におけるクロック信号CLK、制御信号S2〜S5、コンパレータCMP1の正相入力端子の電位VsigおよびコンパレータCMP1の出力信号CO1の波形を示す図である。同図では、アナログ−デジタル変換回路31の分解能が4ビットである場合の、16クロック期間における波形が示されている。データ変換が開始されると、データ変換時間t_convにおいて、制御信号S2がHIレベルになる一方、制御信号S3はLOレベルとなる。まず、放電回路31aにより、一定の電荷(C2*Vref)を放電させる(プリチャージ動作)。この後、充電回路31bは入力電流Iinにより充電され、充電用キャパシタC1の電位が基準電位Vrefを超えると、コンパレータCMP1の出力信号CO1がHIレベルになる。このとき、放電回路31aにより、一定の電荷(C2*Vref)が放電される。制御回路31dは、出力信号CO1に基づいて、データ変換時間t_convにおける放電回数を数えることで、入力された電荷量に応じた値をデジタル信号DOUTとして出力する。
【0078】
具体的には、充電回路31bが入力電流Iinにより充電された電荷量と、放電回路31aにより放電された電荷量(C2*Vref)とが等しくなるので、クロック信号CLKの周期をt_clk、アナログ−デジタル変換回路31の分解能をmビット、放電回数のカウント値をcountとすると、
Iin*t_clk*2m=C2*Vref*count
が成り立つので、
count=(Iin*t_clk)/(C2*Vref)*2m
となる。したがって、放電用キャパシタC2の容量値を調整することにより、放電回路31aによる放電電荷量を調整することができる。例えば、アナログ−デジタル変換回路31の分解能が16ビットである場合、制御回路31dは、放電回路31aの放電回数に基づき、入力電流Iinに応じたデジタル値を、0〜65535の範囲で出力する。
【0079】
続いて、アナログ−デジタル変換回路の変形例について説明する。
【0080】
図4は、本実施形態の変形例に係るアナログ−デジタル変換回路131の構成を示す回路図である。アナログ−デジタル変換回路131は、図2に示すアナログ−デジタル変換回路31において、放電回路31aおよび制御回路31dを、放電回路131aおよび制御回路131dにそれぞれ置き換えた構成であり、アナログ−デジタル変換回路31と比較して、放電回路131aが定電流回路で構成されている点で異なっている。なお、充電回路31bおよび比較回路31cの構成については、図2に示すアナログ−デジタル変換回路31におけるものと同一であるので、説明を省略する。
【0081】
放電回路131aは、定電流回路Iref1およびスイッチSW4を備えている。スイッチSW4は、制御信号S4によってON/OFF制御される。制御回路31dは、制御信号S2〜S4を出力して、スイッチSW2・SW3・SW4を制御するとともに、コンパレータCMP1からの出力信号CO1に基づき、デジタル信号DOUTを出力する。
【0082】
なお、上記では、アナログ−デジタル変換回路の例として、図2に示すアナログ−デジタル変換回路31および図4に示すアナログ−デジタル変換回路131について説明したが、これらに限定されず、積分型のアナログ−デジタル変換回路であれば適用可能である。例えば、減算回路33からの出力電流をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路として、図11に示す照度センサ200のアナログ−デジタル変換回路を用いてもよい。
【0083】
続いて、アナログ−デジタル変換回路131の動作について説明する。なお、クロック信号CLK、制御信号S2〜S4、コンパレータCMP1の正相入力端子の電位VsigおよびコンパレータCMP1の出力信号CO1の波形は、図3に示すものと同一である。
【0084】
データ変換が開始されると、データ変換時間t_convにおいて、制御信号S2がHIレベルになる一方、制御信号S3はLOレベルとなる。まず、放電回路131aにより、一定の電荷(Iref*t_clk)を放電させる(プリチャージ動作)。この後、充電回路31bは入力電流Iinにより充電され、充電用キャパシタC1の電位が基準電位Vrefを超えると、コンパレータCMP1の出力信号CO1がHIレベルになる。このとき、放電回路131aにより、一定の電荷(Iref*t_clk)が放電される。制御回路131dは、データ変換時間t_convにおける放電回数を数えることで、入力された電荷量に応じた値をデジタル信号DOUTとして出力する。
【0085】
具体的には、充電回路31bが入力電流Iinにより充電された電荷量と、放電回路131aにより放電された電荷量(Iref*t_clk)とが等しくなるので、基準電流値をIref、アナログ−デジタル変換回路131の分解能をmビット、放電回数のカウント値をcountとすると、
Iin*t_clk*2m=Iref*t_clk*count
が成り立つので、
count=Iin/Iref*2m
となる。したがって、基準電流値Irefを調整することにより、放電回路31aによる放電電荷量を調整することができる。例えば、アナログ−デジタル変換回路131の分解能が16ビットである場合、制御回路131dは、放電回路131aの放電回数に基づき、入力電流Iinに応じたデジタル値を、0〜65535の範囲で出力する。
【0086】
続いて、フォトダイオードの配置について説明する。フォトダイオードPD1からの光電流Iin1とフォトダイオードPD2からの光電流Iin2とは、略同一である必要があるため、本実施形態では、フォトダイオードPD1・PD2は、受光面の面積が同一であり、互いに近接して配置されている。
【0087】
さらに、図5に示すように、フォトダイオードPD1・PD2を、1つの集積回路基板PWB1上に配置することが望ましい。これにより、フォトダイオードPD1・PD2の各受光面への入射光がほぼ等しくなるので、光電流Iin1の値と光電流Iin2の値とをさらに精度良く同一とすることができる。これにより、物体の近接・非近接の検知モードにおいて、減算回路33は、周囲光から変換された低周波電流Idcをさらに正確に除去することができる。
【0088】
上記では、フォトダイオードPD1・PD2からの光電流Iin1・Iin2とが略同一である例について説明したが、光電流Iin1・Iin2の各値が互いに異なるように設定してもよい。
【0089】
図6は、本実施形態の変形例に係る光電流処理回路3aの構成を示す回路図である。光電流処理回路3aは、アナログ−デジタル変換回路31と、低域通過フィルタ回路32と、減算回路33aとを備えている。アナログ−デジタル変換回路31および低域通過フィルタ回路32の構成は、図1に示す光電流処理回路3におけるものと略同一である。光電流処理回路3aでは、減算回路33aの−端子に入力される光電流Iin1と低域通過フィルタ回路32に入力される光電流Iin2との比が、n:1(n>1)となっている。
【0090】
また、図6では、低域通過フィルタ回路32の構成がさらに詳細に示されており、低域通過フィルタ回路32は、オペアンプAMP2、PチャネルMOSトランジスタPM3、フィルタ用抵抗R_filおよびフィルタ用キャパシタC_filを備えている。オペアンプAMP2の非反転入力端子は、低域通過フィルタ回路32の入力端子およびトランジスタPM3のドレインに接続されている。オペアンプAMP2の反転入力端子は、接地されている。トランジスタPM3は、ソースが電源Vddに接続されており、ゲートがオペアンプAMP2の出力端子およびフィルタ用抵抗R_filの一端に接続される構成である。フィルタ用抵抗R_filの他端は、フィルタ用キャパシタC_filの一端および低域通過フィルタ回路32の出力端子に接続されている。フィルタ用キャパシタC_filの他端は、設置されている。
【0091】
また、減算回路33aは、PチャネルMOSトランジスタPM4を備えている。トランジスタPM4は、ソースが電源Vddに接続され、ゲートが低域通過フィルタ回路32の出力端子に接続され、ドレインがスイッチSW1に接続される構成である。これにより、トランジスタPM4は、ゲートへの入力信号をn倍に増幅してドレインから出力する。
【0092】
以上の構成により、低域通過フィルタ回路32は、低周波数の光電流のみ通過させて減算回路33aに出力する。減算回路33aは、低域通過フィルタ回路32からの出力電流Iin2_filをn倍に増幅して、光電流Iin1から電流n*(Iin2_fil)を減算した電流(n*Iin1−n*Iin2_fil)をアナログ−デジタル変換回路31に出力する。
【0093】
具体的には、周囲光から変換された低周波電流をIdc、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流をIpulseとすると、
Iin1=n*(Idc+Ipulse)
Iin2=Idc+Ipulse
であるので、低域通過フィルタ回路32の出力電流は、
Iin2_fil=n*Idc
となる。ここで、物体の近接・非近接の検知モードでは、スイッチSW1はONとなるので、減算回路33aの出力電流は、
Iin1−Iin2_fil=n*(Idc+Ipulse)−n*Idc
=n*Ipulse
となる。これにより、物体の近接・非近接の検知モードにおいて、アナログ−デジタル変換回路31に入力されるパルス電流Ipulseをn倍とすることができるので、物体の近接・非近接を精度良く検知することができる。
【0094】
光電流Iin1・Iin2の比をn:1とするための構成として、フォトダイオードPD1・PD2の受光面を互いに等しく形成し、フォトダイオードPD1と減算回路33aとの間に、光電流Iin1をn倍に増幅するオペアンプを設ける構成や、フォトダイオードPD1の受光面の面積をフォトダイオードPD2の受光面の面積のn倍に形成する構成が挙げられる。フォトダイオードPD1の受光面の面積をフォトダイオードPD2の受光面の面積のn倍に形成する構成のほうが、フォトダイオードPD1と減算回路33aとの間にオペアンプを設ける構成よりも、より簡単に光電流Iin1・Iin2の比をn:1とすることができる。
【0095】
続いて、物体の近接・非近接の検知モードにおいて、照度/近接センサのLEDの発光と、減算回路からの出力電流のアナログ−デジタル変換回路への入力とを同期させる構成について説明する。
【0096】
図7は、本実施形態の変形例に係る照度/近接センサ11の構成を示すブロック図である。照度/近接センサ11は、発光ダイオードLED1と、2つのフォトダイオードPD1・PD2と、制御回路12とを備えている。制御回路12は、光電流処理回路13とLED駆動回路4とを備えている。
【0097】
光電流処理回路13は、図1に示す光電流処理回路3において、スイッチSW6とインバータINV1とをさらに備え、検知モード切替回路34を検知モード切替回路134に置き換えた構成である。なお、発光ダイオードLED1、フォトダイオードPD1・PD2、およびLED駆動回路4の構成は、図1に示す照度/近接センサ1におけるものと同一であるので、説明を省略する。
【0098】
スイッチSW6は、3つのノードn1〜n3を備えており、検知モード切替回路134からの制御信号に基づき、ノードn1とノードn2との接続、およびノードn1とノードn3との接続を切り替える構成である。ノードn1は、アナログ−デジタル変換回路31のスイッチSW2の制御電極に接続されている(図2参照)。ノードn2は、インバータINV1を介してパルス発生回路41に接続されている。ノードn3には、アナログ−デジタル変換回路31の制御回路31dからの制御信号S2が入力される。
【0099】
検知モード切替回路134は、図1に示す検知モード切替回路34と同様、スイッチSW1による低域通過フィルタ回路32の出力電流の遮断のON/OFF、およびパルス発生回路41によるパルス電圧Vpulseの出力のON/OFFを制御する。さらに、検知モード切替回路134は、スイッチSW6に対し制御信号を出力することにより、ノードn1とノードn2との接続、およびノードn1とノードn3との接続を切り替える機能を有している。
【0100】
具体的には、物体の近接・非近接の検知モードの場合、検知モード切替回路134は、スイッチSW1をONに制御して、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseを出力させるとともに、ノードn1とノードn2とが接続されるようにスイッチSW6を制御する。ノードn1とノードn2とが接続されることにより、LED駆動回路4のトランジスタPM2のON/OFFと、アナログ−デジタル変換回路31のスイッチSW2のON/OFFとが同期する。これにより、検知モード切替回路134は、物体の近接・非近接の検知モードの場合、発光ダイオードLED1の発光と、減算回路33からの出力電流(Iin1−Iin2_fil)のアナログ−デジタル変換回路31への入力とを同期させる。すなわち、発光ダイオードLED1が発光している期間のみ、アナログ−デジタル変換回路31に減算回路33からの出力電流が入力され、発光ダイオードLED1が発光していない期間は、アナログ−デジタル変換回路31に電流は入力されない。
【0101】
物体の近接・非近接の検知モードの場合、理論上は、アナログ−デジタル変換回路31には、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流のみが入力される。しかしながら、実際には、アナログ−デジタル変換回路31への入力電流には、ノイズ成分が含まれているため、検知精度の誤差が生じる。
【0102】
そこで、上記のように、発光ダイオードLED1が発光していない期間は、アナログ−デジタル変換回路31に電流を入力しないようにすることで、アナログ−デジタル変換回路31に入力されるノイズ成分を減らすことができる。これにより、照度/近接センサ11は、物体の近接・非近接をより高い精度で検知することができる。
【0103】
なお、周囲光の照度の検知モードの場合、検知モード切替回路134は、スイッチSW1をOFFに制御して、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseの出力を停止させるとともに、ノードn1とノードn3とが接続されるようにスイッチSW6を制御する。これにより、照度/近接センサ11の制御回路12は、図1に示す照度/近接センサ1の制御回路2と同様の動作を行なう。
【0104】
ここで、蛍光灯など、照度/近接センサ11の周囲の照明装置の光度は、照明装置を駆動する商用電源の周波数(50Hzまたは60Hz)と同一の周波数で揺らいでいる。そのため、周囲光の照度の検知モードの場合、アナログ−デジタル変換回路31のアナログ−デジタル変換時間(図5に示すデータ変換時間t_conv)が商用電源の周期(20msecまたは16.66msec)よりも短く設定されると、各アナログ−デジタル変換時間における照度の測定値が安定しないという問題がある。
【0105】
そこで、照度/近接センサ11では、周囲光の照度の検知モードの場合に、アナログ−デジタル変換回路31のアナログ−デジタル変換時間、すなわち、制御信号S2のHIレベル期間および制御信号S3のLOレベル期間(=データ変換時間t_conv)が、商用電源の周期の倍数に等しくなるように設定されている。これにより、各データ変換時間t_convにおける、照度の測定値の変動を低減することができる。したがって、照度/近接センサ11は、より正確に周囲光の照度を検知することが可能となる。
【0106】
続いて、照度/近接センサの検知モードを切り替える他の例について説明する。
【0107】
図8は、本実施形態の変形例に係る光電流処理回路23の構成を示すブロック図である。光電流処理回路23は、アナログ−デジタル変換回路31と、低域通過フィルタ回路32と、高域通過フィルタ回路232と、減算回路33と、検知モード切替回路234と、2つのスイッチSW7・SW8とを備えている。アナログ−デジタル変換回路31、低域通過フィルタ回路32および減算回路33の構成は、図1に示す照度/近接センサ1におけるものと同一であるので、説明を省略する。また、光電流処理回路23に入力される光電流Iin1・Iin2の値は、ほぼ同一である。
【0108】
高域通過フィルタ回路232は、高周波数の光電流のみ通過させ、太陽光や蛍光灯の光などから変換された低周波数の光電流を除去する回路である。低域通過フィルタ回路32および高域通過フィルタ回路232は、スイッチSW7とスイッチSW8との間に並列接続されている。
【0109】
高域通過フィルタ回路232が通過させる電流の周波数は、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流を通過させ、周囲光から変換された低周波電流を除去する範囲で設定される。具体的には、周囲光から変換された低周波電流の周波数の最大値は、約100kHzであるので、パルス電流の周波数が300kHzである場合、高域通過フィルタ回路232が通過させる電流の周波数の下限は、100kHzから300kHzの範囲内(例えば、200kHz)に設定される。
【0110】
検知モード切替回路234は、スイッチSW7・SW8を制御することにより、周囲光の照度の検知モードと物体の近接・非近接の検知モードとを切り替える。
【0111】
物体の近接・非近接の検知モードの場合、検知モード切替回路234は、スイッチSW7・SW8をそれぞれ低域通過フィルタ回路32側に切り替える。これにより、光電流Iin2は、低域通過フィルタ回路32を経由して減算回路33の−端子に入力される。このとき、低域通過フィルタ回路32は、光電流Iin2の成分のうち、周囲光から変換された低周波電流Idcのみを通過させ、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流Ipulseを除去するので、減算回路33の−端子には、周囲光から変換された低周波電流Idcが入力される。したがって、減算回路33は、周囲光から変換された低周波電流Idcを光電流Iin1から減算するので、アナログ−デジタル変換回路31には、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流Ipulseが入力される。
【0112】
一方、周囲光の照度の検知モードの場合は、検知モード切替回路234は、スイッチSW7・SW8をそれぞれ高域通過フィルタ回路232側に切り替える。これにより、光電流Iin2は、高域通過フィルタ回路232を経由して減算回路33の−端子に入力される。このとき、高域通過フィルタ回路232は、光電流Iin2の成分のうち、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流Ipulseのみを通過させ、周囲光から変換された低周波電流Idcを除去するので、減算回路33の−端子には、パルス電流Ipulseが入力される。したがって、減算回路33は、パルス電流Ipulseを光電流Iin1から減算するので、アナログ−デジタル変換回路31には、周囲光から変換された低周波電流Idcが入力される。
【0113】
以上のように、図8に示す光電流処理回路23では、検知モード切替回路234が、スイッチSW7・SW8を制御して、減算回路33と低域通過フィルタ回路32とを接続するか、減算回路33と高域通過フィルタ回路232とを接続するかを切り替えることにより、検知モードの切り替えを行っている。なお、図1に示す構成では、周囲光の照度の検知モードの場合、検知モード切替回路34は、発光ダイオードLED1の駆動を停止させていた。一方、図8に示す構成では、周囲光の照度の検知モードにおいて、発光ダイオードLED1の駆動を停止させなくてもよい。
【0114】
なお、本実施形態では、検知モード切替回路は、図示しないマイコンからの制御指示によって検知モードを切り替える。例えば、照度/近接センサが携帯電話に内蔵される場合、携帯電話のマイコンから、検知モードを切り替える制御指示が検知モード切替回路に入力される。検知モードを切り替える具体例については、実施形態2において後述する。
【0115】
なお、本実施形態では、照度/近接センサから外部に向けて光を出射する光源として発光ダイオードを用いていたが、パルス駆動可能な光源であれば、蛍光灯など他の光源であってもよい。
【0116】
また、本実施形態では、2つの光電流を、2つのフォトダイオードによって発生させていたが、1つのフォトダイオードが発生した光電流を分岐させることにより、2つの光電流を発生させてもよい。
【0117】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について図9に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態では、第1の実施形態において説明した照度/近接センサを備える携帯電話について説明する。
【0118】
図9は、本実施形態に係る携帯電話5の構成を示すブロック図である。携帯電話5は、液晶パネル51と、バックライト52と、バックライト制御部53と、照度/近接センサ54とを備えている。液晶パネル51は、携帯電話5を操作するための画面を表示する。バックライト52は、液晶パネル51を背面から照射するための光源であり、LEDまたは冷陰極管(不図示)を有している。バックライト制御部53は、照度/近接センサ54からのデジタル信号DOUTに基づき、バックライト52の光源の駆動を制御する。
【0119】
携帯電話5は、照度/近接センサ54として、第1の実施形態に記載の照度/近接センサを備えている。照度/近接センサ54は、周囲光の照度の検知と、物体の近接・非近接の検知との2つの検知機能を有している。したがって、携帯電話5に当該2つの検知機能を持たせるために、2つのセンサ装置を内蔵させる場合に比べ、携帯電話5を容易に小型化することできる。
【0120】
バックライト制御部53は、例えば、以下のように動作する。携帯電話5のユーザが通話していない通常の状態においては、照度/近接センサ54は、照度センサとして機能する。このとき、照度/近接センサ54からは、携帯電話5の周囲光の照度を示すデジタル信号DOUTが出力され、バックライト制御部53は、デジタル信号DOUTに基づいて、バックライト52の輝度を制御する。具体的には、周囲光の照度が大きい場合、バックライト制御部53はバックライト52の輝度を上げるように制御し、周囲光の照度が小さい場合、バックライト制御部53はバックライト52の輝度を下げるように制御する。これにより、バックライト52の消費電力を抑えることができる。
【0121】
また、携帯電話5に着信があり、ユーザが通話開始のボタンを押下すると、照度/近接センサ54は、近接センサとして機能する。これにより、ユーザの顔が液晶パネル51に近づくにつれて、照度/近接センサ54から出力されるデジタル信号DOUTが大きくなる。デジタル信号DOUTの値が所定値を超えると、バックライト制御部53は、バックライト52を消灯させる。これにより、バックライト52の消費電力を抑えることができる。
【0122】
〔実施形態の総括〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の照度/近接センサは、携帯電話やデジタルカメラなど、機器の周囲光の照度と機器に近接する物体の有無とに合わせて駆動状態を変化させる必要のある電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 照度/近接センサ(センサ装置)
2 制御回路(制御部)
3 光電流処理回路(光電流処理部)
3a 光電流処理回路(光電流処理部)
4 LED駆動回路(光源駆動部)
5 携帯電話(電子機器)
11 照度/近接センサ(センサ装置)
12 制御回路(制御部)
13 光電流処理回路(光電流処理部)
23 光電流処理回路(光電流処理部)
31 アナログ−デジタル変換回路
32 低域通過フィルタ回路
33 減算回路
33a 減算回路
34 検知モード切替回路(検知モード切替部)
51 液晶パネル
52 バックライト
53 バックライト制御部
54 照度/近接センサ(センサ装置)
131 アナログ−デジタル変換回路
134 検知モード切替回路(検知モード切替部)
232 高域通過フィルタ回路
234 検知モード切替回路(検知モード切替部)
DOUT デジタル信号(出力信号)
Iin1 光電流(第1の光電流)
Iin2 光電流(第2の光電流)
Ipulse パルス電流
LED1 発光ダイオード(光源)
PD1 フォトダイオード(フォトダイオードの一方)
PD2 フォトダイオード(フォトダイオードの他方)
PWB1 集積回路基板
Vpulse パルス電圧(パルス)
t_conv データ変換時間(アナログ−デジタル変換時間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関し、特に、周囲光の照度および近接物体の有無の両方を検知可能なセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを有する携帯電話やデジタルカメラ等では、液晶パネルのバックライトの発光量を外乱の照度に応じて制御できるように、外乱の照度を検知する照度センサを搭載させる要望がある。照度センサは、太陽光や蛍光灯などの光をフォトダイオードによって電流に変換し、積分型のアナログ−デジタル変換回路でデジタル出力する方式が一般的である。その理由は、積分型のアナログ−デジタル変換回路は、簡単な構成で高精度な分解能を実現できる特徴があり、照度センサのように、低速であるが高い分解能(16bit程度)を要求されるデバイスに適しているためである。
【0003】
アナログ−デジタル変換回路に関する従来技術として、特許文献1に記載されている方式が提案されている。
【0004】
図10は、特許文献1に記載のアナログ−デジタル変換回路100の構成を示す回路図である。アナログ−デジタル変換回路100は、被測定電圧Vinをインピーダンス変換するボルテージフォロワ101と、ボルテージフォロワ101の出力電圧により充電される容量102と、容量102に充電された電荷を負電源103へ放電する定電流回路104と、容量102の端子電圧を入力電圧とするコンパレータ105と、クロックパルスを出力するクロック回路106と、このクロックパルスをカウントするカウンタ107と、充電スイッチ108と放電スイッチ109の開閉を制御する制御回路110と、から構成されている。これにより、アナログ−デジタル変換回路100は、簡単な構成で入力電圧値のアナログ−デジタル変換が可能である。
【0005】
また、アナログ−デジタル変換回路を用いた照度センサに関する従来技術として、特許文献2に記載されている方式が提案されている。
【0006】
図11は、特許文献2に記載の照度センサ200の構成を示す回路図である。照度センサ200は、測定対象となる光を電流に変換するフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDの出力を入力電流とするアナログ−デジタル変換回路(充放電部210及び制御計算部220)と、を有しており、照度に応じたデジタル出力を行う構成である。充放電部210は、充電回路211と、第1放電回路212と、第2放電回路213と、比較回路214と、を有している。
【0007】
充電回路211は、所定の充電期間中、入力電流(フォトダイオードPDの検出電流)に応じた電荷を蓄える手段であり、オペアンプAMPと、一端がオペアンプAMP201の反転入力端(−)に接続され、他端がオペアンプAMP201の出力端に接続された充電用キャパシタC201と、オペアンプAMP201の非反転入力端(+)に所定の第1基準電圧V201を印加する第1定電圧源E201と、制御信号S201に基づいて、入力電流の入力端(すなわちフォトダイオードPDのアノード)と充電用キャパシタC201の一端との間を開閉する第1スイッチSW201と、制御信号S202に基づいて、充電用キャパシタC1の両端間を短絡する第2スイッチSW202と、を有している。
【0008】
第1放電回路212は、上記の充電期間中、充電回路211の充電量が所定の閾値に達する毎に、充電回路211に蓄えられた電荷を放電する手段であり、第1放電用キャパシタC202(充電用キャパシタC1の1/m(m>1))と、制御信号S203に基づいて、第1放電用キャパシタC202の一端と接地端との間、並びに、第1放電用キャパシタC202の他端とオペアンプAMP201の反転入力端(−)との間を各々開閉する第3スイッチSW203a〜SW203bと、制御信号S204に基づいて、第1放電用キャパシタC202の両端と第1基準電圧V201の印加端との間を各々開閉する第4スイッチSW204a〜SW204bと、を有している。
【0009】
第2放電回路213は、上記の充電期間の満了後、第1放電回路212よりも小さい放電能力をもって、充電回路211に残存する電荷が所定値になるまで、これを所定量ずつ段階的に放電する手段であり、第2放電用キャパシタC203(充電用キャパシタC201の1/n(n>m))と、第2基準電圧V202(第1基準電圧V201の1/k(k>1))を生成する第2定電圧源E202と、制御信号S205に基づいて、第2放電用キャパシタC203の一端と第2定電圧源E202の正極端との間、並びに、第2放電用キャパシタC203の他端とオペアンプAMP201の反転入力端(−)との間を各々開閉する第5スイッチSW205a〜SW205bと、制御信号S206に基づいて、第2放電用キャパシタC203の両端と第1基準電圧Vrefの印加端との間を各々開閉する第6スイッチSW206a〜SW206bと、を有している。
【0010】
比較回路214は、オペアンプAMP201の出力電圧Vaと第3基準電圧V203(Vref)及び第4基準電圧V204(Vref/2)とを各々比較する手段であり、第3基準電圧V203を生成する第3定電圧源E203と、第4基準電圧V204を生成する第4定電圧源E204と、非反転入力端(+)がオペアンプAMP201の出力端に接続され、反転入力端(−)が第3定電圧源E203の正極端に接続された第1コンパレータCMP201と、反転入力端(−)がオペアンプAMP201の出力端に接続され、非反転入力端(+)が第4定電圧源E204の正極端に接続された第2コンパレータCMP202と、を有している。
【0011】
制御計算部220は、所定のクロック信号CLKと比較回路CMP201〜CMP202の各出力信号CO201〜CO202に基づいて制御信号S201〜S206を生成し、充電回路211と放電回路212〜213の充放電制御を行うと共に、放電回路212〜213の総放電回数から充電回路211の総充電量を算出し、その結果に応じたデジタル出力(DOUT)を行う手段である。
【0012】
充放電部210及び制御計算部220からなるアナログ−デジタル変換回路では、定められた充電時間の間、容量C201を充電するとともに、容量C201が所定の充電量になる毎に第1放電回路212により放電を行う。続いて、アナログ−デジタル変換回路は、充電時間終了後の電荷を第2放電回路213によって放電することにより、第1放電回路212の放電回数と第2放電回路213の放電時間に基づいて、容量C201の充電量に応じたデジタル値を出力する。これにより、特許文献2の構成は、入力ダイナミックレンジの拡大、最小分解能の向上、および測定時間の短縮が可能である。
【0013】
また、液晶パネルを有する携帯電話やデジタルカメラ等では、液晶パネルの消費電力を低減させるために、顔が機器に近づいた時に液晶パネルへの電力供給をOFFさせるように、近接センサを搭載する要望が増えている。
【0014】
図12は、一般的な近接センサ300の概略構成を示す図である。近接センサ300は、発光ダイオード(LED)310、フォトダイオード320、および制御回路330を備えている。制御回路330は、発光ダイオード310にパルス電流を供給して、発光ダイオード310を駆動させる。近接センサ300の近傍に物体400が存在する場合、発光ダイオード310からのパルス光は、実線矢印のように、物体400によって反射され、フォトダイオード320によって受光される。一方、物体400が存在しない場合、発光ダイオード310からのパルス光は、破線矢印のように、物体400によって反射されないので、フォトダイオード320には、発光ダイオード310からのパルス光はほとんど到達しない。
【0015】
フォトダイオード320は、受光したパルス光をパルス電流に変換して、制御回路330に出力する。制御回路330は、フォトダイオード320からのパルス電流の大きさに基づいて、近接センサ300の近傍に物体400が存在するか否かを判定する。
【0016】
図13は、近接センサ300の具体的な構成を示す回路図である。近接センサ300の制御回路330は、LED駆動回路340と、光電流処理回路350とを備えている。
【0017】
LED駆動回路340は、PチャネルMOSトランジスタPM341と、PチャネルMOSトランジスタPM342とを備えている。トランジスタPM341は、ドレインが電源Vddに接続され、ソースがトランジスタPM342のドレインに接続され、ゲートに図示しないバイアス電圧発生回路からバイアス電圧Vbiasが印加される構成である。トランジスタPM342のソースは、発光ダイオード310に接続され、トランジスタPM342のゲートには図示しないパルス発生回路からパルス電圧Vpulseが印加される。これにより、発光ダイオード310には、パルス電流Idrvが流される。
【0018】
近接センサ300の光電流処理回路350は、電流電圧変換回路351、高域通過フィルタ回路(High−path−filter)352、電圧オペアンプ353および比較回路354を備えている。電流電圧変換回路351は、フォトダイオード320からのパルス電流をパルス電圧に変換する。高域通過フィルタ回路352は、高周波信号であるパルス電圧のみを通過させ、太陽光(直流)や蛍光灯(100kHz以下)などの光から変換された低周波信号を、外乱ノイズとして除去する。電圧オペアンプ353は、高域通過フィルタ回路352を通過したパルス電圧を増幅して、パルス電圧Vsigを比較回路354の非反転入力端(+)に出力する。比較回路354は、パルス電圧Vsigを、反転入力端(−)に入力される閾値電圧Vthと比較して、デジタル信号DOUTを出力する。
【0019】
図14は、トランジスタPM342のゲートに印加されるパルス電圧Vpulse、比較回路354の非反転入力端(+)に入力されるパルス電圧Vsig、および比較回路354が出力するデジタル信号DOUTの波形を示す図であり、(a)は、近接センサ300の近傍に物体400が存在する場合の波形を示しており、(b)は、近接センサ300の近傍に物体400が存在しない場合の波形を示している。
【0020】
近接センサ300の近傍に物体400が存在する場合は、物体400からの反射光が強いため、フォトダイオード320が発生するパルス電流は大きくなる。したがって、パルス電圧Vsigが閾値電圧Vthを超えるため、光電流処理回路350は、物体400が近接センサ300の近傍に存在することを示すデジタル信号DOUTを出力する。
【0021】
一方、近接センサ300の近傍に物体400が存在しない場合は、物体400からの反射光が弱いため、フォトダイオード320が発生するパルス電流は小さくなる。したがって、パルス電圧Vsigは閾値電圧Vthを超えないため、光電流処理回路350は、物体400が近接センサ300の近傍に存在しないことを示すデジタル信号DOUTを出力する。
【0022】
以上のように、液晶パネルを有する携帯電話やデジタルカメラ等に、照度センサや近接センサを搭載することにより、消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2001−160756号公報(2001年6月12日公開)
【特許文献2】特開2008−42886号公報(2008年2月21日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
ここで、携帯電話やデジタルカメラ等に、照度センサおよび近接センサの両方を搭載すると、機器のサイズが大きくなってしまう。そのため、1つのセンサデバイスで、照度および近接の両方を検知できる方法が求められている。
【0025】
図10に示すアナログ−デジタル変換回路100や、図11に示す照度センサ200に用いられているアナログ−デジタル変換回路を、照度および近接の両方を検知するセンサに利用する場合、アナログ−デジタル変換回路には、太陽光や蛍光灯などの外光から変換された電流と、近接物体から反射されたパルス光から変換されたパルス電流との両方が入力される。しかしながら、近接物体から反射されたパルス光は、外光よりもはるかに弱いため、アナログ−デジタル変換回路からは、パルス電流の有無を検知することができない。そのため、これらの従来のアナログ−デジタル変換回路は、パルス光の検知が必要な近接センサに利用することができないという問題がある。
【0026】
また、図13に示す近接センサ300は、外光に対応する電圧信号が、外乱ノイズとして高域通過フィルタ回路352で除去されるため、照度を検知することができない。そのため、近接センサ300は、照度センサに利用することができないという問題がある。
【0027】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数以下のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記出力電流の上記減算回路への入力の可否および上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動の可否を制御可能であり、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しているときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させ、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しないときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、検知モード切替部が、減算回路への出力電流の入力を遮断せず、光源駆動部の光源のパルス駆動を継続させている場合、センサ装置は、近接物体の有無を検知する近接センサとして機能する。センサ装置の近傍に物体が存在している場合、光源から出射された光が物体に反射して2つのフォトダイオードに入射する。これにより、2つのフォトダイオードは、物体からの反射光と周囲光とを光電流に変換するので、光電流には、反射光から変換されたパルス電流の成分と周囲光から変換された低周波電流の成分とが含まれている。ここで、低域通過フィルタ回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第2の光電流からパルス電流を除去するので、低周波電流を通過させる。よって、減算回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第1の光電流から低周波電流を減算して、パルス電流のみをアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、パルス電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、近接物体の有無を検知することができる。
【0030】
一方、検知モード切替部が、減算回路への低域通過フィルタ回路からの出力電流の入力を遮断し、光源駆動部の光源のパルス駆動を停止させている場合、センサ装置は、周囲光の照度を検知する照度センサとして機能する。このとき、光源駆動部が光源のパルス駆動を停止しているので、光源は外部に光を出射しない。このため、2つのフォトダイオードには、周囲光のみが入射する。さらに、検知モード切替部によって、低域通過フィルタ回路からの出力電流は減算回路に入力されないので、減算回路は、周囲光から変換された低周波電流のみを含む第1の光電流を、そのままアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、低周波電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、周囲光の照度を検知することができる。また、アナログ−デジタル変換回路が積分型であることにより、センサ装置は、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知することができる。
【0031】
以上のように、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現できるという効果を奏する。
【0032】
本発明に係るセンサ装置では、上記2つのフォトダイオードは、同一の集積回路基板上に形成されることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、2つのフォトダイオードが近接して配置されるので、2つのフォトダイオードの各受光面への入射光がほぼ等しくなり、第1の光電流の値と第2の光電流の値とをさらに精度良く同一とすることができる。これにより、センサ装置が近接センサとして機能する場合に、減算回路は、第1電流から低周波電流の成分をさらに正確に除去することができる。したがって、センサ装置は、近接物体をより正確に検知することが可能となる。
【0034】
本発明に係るセンサ装置では、上記第1の光電流の値と上記第2の光電流の値との比が、n:1(n>1)であり、上記減算回路は、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流をn倍に増幅した電流を、上記第1の光電流から減算することが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、センサ装置が近接センサとして機能している場合に、減算回路は、パルス電流をn倍にして出力する。したがって、センサ装置は、近接物体をより正確に検知することが可能となる。
【0036】
本発明に係るセンサ装置では、上記フォトダイオードの一方の受光面の面積は、上記フォトダイオードの他方の受光面の面積のn倍であることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、簡単な構成で、第1の光電流の値と第2の光電流の値との比をn:1とすることができる。
【0038】
本発明に係るセンサ装置では、上記検知モード切替部は、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させる場合、上記光源の発光と、上記減算回路からの出力電流の上記アナログ−デジタル変換回路への入力とを同期させることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、センサ装置が近接センサとして機能している場合に、光源が発光していない期間は、アナログ−デジタル変換回路に電流が入力されない。これにより、アナログ−デジタル変換回路に入力されるノイズ成分を減らすことができるため、センサ装置は、近接物体をより正確に検知することが可能となる。
【0040】
本発明に係るセンサ装置では、上記検知モード切替部が上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させている場合、上記アナログ−デジタル変換回路のアナログ−デジタル変換時間が、上記センサ装置の周囲の照明装置を駆動する電源の周期の倍数に等しいことが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、各アナログ−デジタル変換時間における照度の測定値の変動を低減することができる。したがって、センサ装置は、より正確に周囲光の照度を検知することが可能となる。
【0042】
本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数よりも高い周波数のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第2の光電流から、上記所定の周波数以下のパルス電流を除去する高域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路または上記高域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記減算回路と上記低域通過フィルタ回路とを接続するか、上記減算回路と上記高域通過フィルタ回路とを接続するかを切り替えることを特徴としている。
【0043】
上記の構成によれば、検知モード切替部が、減算回路と低域通過フィルタ回路とを接続している場合、センサ装置は、近接物体の有無を検知する近接センサとして機能する。センサ装置の近傍に物体が存在している場合、光源から出射された光が物体に反射して2つのフォトダイオードに入射する。これにより、2つのフォトダイオードは、物体からの反射光と周囲光とを光電流に変換するので、光電流には、反射光から変換されたパルス電流の成分と周囲光から変換された低周波電流の成分とが含まれている。ここで、低域通過フィルタ回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第2の光電流からパルス電流を除去するので、低周波電流を通過させる。よって、減算回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第1の光電流から低周波電流を減算して、パルス電流のみをアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、パルス電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、近接物体の有無を検知することができる。
【0044】
一方、検知モード切替部が、減算回路と高域通過フィルタ回路とを接続している場合、センサ装置は、周囲光の照度を検知する照度センサとして機能する。仮に、光源が外部に光を出射しており、センサ装置の近傍に物体が存在している場合、2つのフォトダイオードが発生する光電流には、反射光から変換されたパルス電流の成分と周囲光から変換された低周波電流の成分とが含まれる。ここで、高域通過フィルタ回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第2の光電流から低周波電流を除去するので、パルス電流を通過させる。よって、減算回路は、パルス電流と低周波電流とを含む第1の光電流からパルス電流を減算して、低周波電流のみをアナログ−デジタル変換回路に出力する。これにより、アナログ−デジタル変換回路は、低周波電流のみをデジタル信号に変換するので、デジタル信号に基づいて、センサ装置は、周囲光の照度を検知することができる。また、アナログ−デジタル変換回路が積分型であることにより、センサ装置は、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知することができる。
【0045】
以上のように、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現できるという効果を奏する。
【0046】
本発明に係る携帯電話およびデジタルカメラは、画面を表示する液晶パネルと、上記液晶パネルを背面から照射するバックライトと、上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部と、上記いずれかのセンサ装置とを備え、上記バックライト制御部は、上記センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、上記バックライトの輝度を制御することを特徴としている。
【0047】
上記の構成によれば、バックライト制御部は、センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、例えば、周囲光の照度が大きい場合、バックライトの輝度を上げ、周囲光の照度が小さい場合、バックライトの輝度を下げるように制御するとともに、液晶パネルにユーザの顔が近接すると、バックライトを消灯させる制御が可能となる。これにより、バックライトの消費電力を抑えることが可能となる。また、センサ装置が、周囲光の照度の検知と、物体の近接・非近接の検知との2つの検知機能を有しているため、機器を容易に小型化することできる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように、本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数以下のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記出力電流の上記減算回路への入力の可否および上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動の可否を制御可能であり、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しているときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させ、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しないときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させる構成である。
【0049】
また、本発明に係るセンサ装置は、外部に向けて光を出射する光源と、外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、上記フォトダイオードを2つ備え、上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、上記光電流処理部は、上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数よりも高い周波数のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、上記第2の光電流から、上記所定の周波数以下のパルス電流を除去する高域通過フィルタ回路と、上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路または上記高域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、上記検知モード切替部は、上記減算回路と上記低域通過フィルタ回路とを接続するか、上記減算回路と上記高域通過フィルタ回路とを接続するかを切り替える構成である。
【0050】
したがって、広いダイナミックレンジおよび高い分解能で周囲光の照度を検知できるとともに、近接物体の有無を検知可能なセンサ装置を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照度/近接センサの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す照度/近接センサのアナログ−デジタル変換回路の構成を示す回路図である。
【図3】上記アナログ−デジタル変換回路におけるクロック信号、制御信号、コンパレータの正相入力端子の電位およびコンパレータの出力信号の波形を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の変形例に係るアナログ−デジタル変換回路の概略構成を示すブロック図である。
【図5】2つのフォトダイオードを1つの集積回路基板上に配置した状態を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例に係る光電流処理回路の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の変形例に係る照度/近接センサの概略構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の変形例に係る光電流処理回路の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図10】従来のアナログ−デジタル変換回路の構成を示す回路図である。
【図11】従来の照度センサの構成を示す回路図である。
【図12】一般的な近接センサの概略構成を示す図である。
【図13】図12に示す近接センサの具体的な構成を示す回路図である。
【図14】図12に示す近接センサの発光ダイオードを駆動するためのパルス電圧等のの波形を示す図であり、(a)は、近接センサの近傍に物体が存在する場合の波形を示しており、(b)は、近接センサの近傍に物体が存在しない場合の波形を示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について図1〜図8に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態では、周囲光の照度の検知と物体の近接・非近接の検知との両方の機能を有する照度/近接センサについて説明する。
【0053】
図1は、本実施形態に係る照度/近接センサ1の概略構成を示すブロック図である。照度/近接センサ1は、発光ダイオードLED1と、2つのフォトダイオードPD1・PD2と、制御回路2とを備えている。発光ダイオードLED1は、照度/近接センサ1の外部に向けて光を出射する光源である。フォトダイオードPD1・PD2は、照度/近接センサ1の外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流Iin1・Iin2をそれぞれ発生する。フォトダイオードPD1からの光電流Iin1とフォトダイオードPD2からの光電流Iin2とは、略同一である必要があるため、フォトダイオードPD1・PD2は、受光面の面積が同一であり、互いに近接して配置されている。これにより、光電流Iin1および光電流Iin2の値は、ほぼ同一となっている。
【0054】
制御回路2は、フォトダイオードPD1・PD2からの光電流Iin1・Iin2を処理する光電流処理回路(光電流処理部)3と、発光ダイオードLED1を高周波パルスによってパルス駆動するLED駆動回路(光源駆動部)4とを備えている。
【0055】
LED駆動回路4は、パルス発生回路41と、PチャネルMOSトランジスタPM1と、PチャネルMOSトランジスタPM2とを備えている。トランジスタPM1は、ドレインが電源Vddに接続され、ソースがトランジスタPM2のドレインに接続され、ゲートに図示しないバイアス電圧発生回路からバイアス電圧Vbiasが印加される構成である。トランジスタPM2のソースは、発光ダイオードLED1に接続され、トランジスタPM2のゲートにはパルス発生回路41から高周波のパルス電圧Vpulseが印加される。これにより、発光ダイオードLED1には、パルス電流Idrvが流され、発光ダイオードLED1は、パルス駆動される。
【0056】
なお、本明細書において、「高周波のパルス」とは、太陽光や蛍光灯の光などの周囲光の周波数(およそ100kHz)の最大値よりも高い周波数を有するパルスを意味し、パルス電圧Vpulseの周波数は、例えば、300kHzに設定される。
【0057】
光電流処理回路3は、積分型のアナログ−デジタル変換回路31と、低域通過フィルタ回路(Low−path−filter)32と、減算回路33と、検知モード切替回路(検知モード切替部)34と、スイッチSW1とを備えている。アナログ−デジタル変換回路31は、入力される電流信号をデジタル信号に変換する回路であり、図11に示す特許文献2に記載の照度センサ200に備えられるアナログ−デジタル変換回路と同様、積分型であるので、広いダイナミックレンジ、高精度な分解能、および短時間での測定機能を有している。アナログ−デジタル変換回路31の詳細な構成は、後述する。
【0058】
低域通過フィルタ回路32は、太陽光や蛍光灯の光などの周囲光から変換された低周波数の光電流のみ通過させ、高周波数の光電流を除去する回路である。低域通過フィルタ回路32には、フォトダイオードPD2からの光電流Iin2が入力される。
【0059】
低域通過フィルタ回路32が通過させる電流の周波数は、周囲光から変換された低周波電流を通過させ、発光ダイオードLED1を駆動するためのパルス電圧Vpulseの周波数と同一周波数の電流を除去する範囲で設定される。具体的には、周囲光から変換された低周波電流の周波数の最大値は、約100kHzであるので、低域通過フィルタ回路32が通過させる電流の周波数の上限は、100kHzから300kHzの範囲内(例えば、200kHz)に設定される。
【0060】
減算回路33は、+端子に入力される電流から、−端子に入力される電流を減算して、アナログ−デジタル変換回路31に出力する回路である。減算回路33の+端子には、フォトダイオードPD1からの光電流Iin1が入力される。また、減算回路33の−端子は、スイッチSW1を介して、低域通過フィルタ回路32と接続されている。スイッチSW1は、低域通過フィルタ回路32の出力電流の減算回路33の−端子への入力を遮断する回路である。
【0061】
検知モード切替回路34は、照度/近接センサ1の検知モード、すなわち、周囲光の照度の検知モードと物体の近接・非近接の検知モードとを切り替える回路である。検知モード切替回路34は、スイッチSW1およびパルス発生回路41に接続されており、スイッチSW1による低域通過フィルタ回路32の出力電流の減算回路33の−端子への入力の可否、およびパルス発生回路41によるパルス電圧Vpulseの出力の可否を制御することができる。
【0062】
周囲光の照度の検知モードの場合、検知モード切替回路34は、スイッチSW1をOFFにして低域通過フィルタ回路32の出力電流の減算回路33の−端子への入力を遮断するとともに、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseの出力を停止させる。一方、物体の近接・非近接の検知モードの場合、検知モード切替回路34は、スイッチSW1をONにして低域通過フィルタ回路32の出力電流を減算回路33の−端子に入力させるとともに、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseの出力を継続させる。それぞれの検知モードにおける光電流処理回路3の処理内容について、具体的に説明する。
【0063】
まず、物体の近接・非近接の検知モードの場合は、検知モード切替回路34によって、スイッチSW1がONとなり、パルス発生回路41は、パルス電圧Vpulseを出力する。これにより、発光ダイオードLED1はパルス駆動されて、光を外部に向けて出射する。照度/近接センサ1の近くに物体が存在する場合、発光ダイオードLED1からの出射光が物体によって反射され、近接物体からの反射光がフォトダイオードPD1・PD2の受光面に入射する。このとき、フォトダイオードPD1・PD2の受光面には、照度/近接センサ1の周囲光(太陽光や蛍光灯の光)も入射するので、フォトダイオードPD1・PD2は、近接物体からの反射光と周囲光とを光電流に変換する。
【0064】
ここで、光電流の成分のうち、周囲光から変換された光電流成分(以下「低周波電流」)をIdc、近接物体からの反射光から変換された光電流成分(以下「パルス電流」)をIpulseとすると、
Iin1=Iin2=Idc+Ipulse …式(1)
となる。パルス電流Ipulseの周波数は、パルス発生回路41が発生するパルス電圧Vpulseの周波数と同一であるため、照度/近接センサ1の周囲光の周波数の最大値よりも高い。したがって、低域通過フィルタ回路32は、入力された光電流Iin2のうち、低周波電流Idcのみ通過させ、パルス電流Ipulseを除去する。このとき、スイッチSW1はONであるので、減算回路33の−端子に入力される電流をIin2_filとすると、
Iin2_fil=Idc …式(2)
となる。
【0065】
減算回路33の+端子には、光電流Iin1が入力されるので、減算回路33の出力電流は、式(1)および式(2)から、
Iin1−Iin2_fil=(Idc+Ipulse)−Idc=Ipulse
となる。すなわち、アナログ−デジタル変換回路31には、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流のみが入力される。これにより、アナログ−デジタル変換回路31は、パルス電流のみをデジタル信号DOUTに変換して出力することができる。したがって、照度/近接センサ1は、デジタル信号DOUTの値に基づいて、物体の近接/非近接を検知することができる。
【0066】
続いて、周囲光の照度の検知モードの場合は、検知モード切替回路34によって、スイッチSW1がOFFとなり、パルス発生回路41は、パルス電圧Vpulseの出力を停止する。これにより、発光ダイオードLED1は発光しないため、近接物体の有無に関わらず、フォトダイオードPD1・PD2は、照度/近接センサ1の周囲光のみを受光する。したがって、
Iin1=Iin2=Idc
となる。
【0067】
ここで、低域通過フィルタ回路32は、低周波電流Idcを出力するが、スイッチSW1がOFFであるため、減算回路33の−端子への入力電流値は0となる。したがって、減算回路33は、+端子へ入力されるIin1=Idcを減算することなくアナログ−デジタル変換回路31に出力する。すなわち、アナログ−デジタル変換回路31には、照度/近接センサ1の周囲光から変換された光電流のみが入力される。これにより、アナログ−デジタル変換回路31は、周囲光から変換された光電流のみをデジタル信号DOUTに変換して出力することができる。したがって、照度/近接センサ1は、デジタル信号DOUTの値に基づいて、周囲光の照度を検知することができる。
【0068】
なお、図1において、スイッチSW1を低域通過フィルタ回路32とフォトダイオードFD2との間に設けてもよい。
【0069】
また、周囲光の照度の検知モードにおいて、検知モード切替回路34は、パルス発生回路41がパルス電圧Vpulseの出力を停止させることにより、発光ダイオードLED1の駆動を停止させていたが、発光ダイオードLED1の駆動を停止させる構成はこれに限定されない。例えば、トランジスタPM2と発光ダイオードLED1との間にスイッチを設け、検知モード切替回路34が当該スイッチのON/OFFを制御することによって、発光ダイオードLED1の駆動/停止を制御する構成としてもよい。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る照度/近接センサ1は、検知モード切替回路34によって検知モードを切り替えることにより、照度センサとしての機能および近接センサとしての機能の両方を備えている。また、アナログ−デジタル変換回路31が積分型のアナログ−デジタル変換回路であることにより、広いダイナミックレンジと高い分解能のアナログ−デジタル変換が可能となっている。
【0071】
続いて、アナログ−デジタル変換回路31の具体的な構成について説明する。
【0072】
図2は、アナログ−デジタル変換回路31の構成を示す回路図である。アナログ−デジタル変換回路31は、放電回路31aと、充電回路31bと、比較回路31cと、制御回路31dとを備えている。
【0073】
充電回路31bは、オペアンプAMP1および充電用キャパシタC1を備えている。オペアンプAMP1の逆相入力端子は、スイッチSW2を介してアナログ−デジタル変換回路31の入力端子に接続されている。スイッチSW2の制御電極には、制御信号S2が入力され、これにより、スイッチSW2は制御信号S2によってON/OFF制御される。オペアンプAMP1の正相入力端子は、接地されている。充電用キャパシタC1は、オペアンプAMP1の負帰還回路に設けられている。
【0074】
放電回路31aは、放電用キャパシタC2および4つのスイッチSW4a・SW4b・Sw5a・SW5bを備えている。スイッチSW4a・SW4bは、制御信号S4によってON/OFF制御され、スイッチSW4a・SW4bは、制御信号S4によってON/OFF制御され、スイッチSW5a・SW5bは、制御信号S5によってON/OFF制御される。放電用キャパシタC2の一端は、スイッチSW2およびスイッチSW4bを介してアナログ−デジタル変換回路31の入力端子に接続されている。放電用キャパシタC2の一端とスイッチSW4bとの接続点は、スイッチSW5bを介して接地されている。放電用キャパシタC2の他端は、スイッチSW5aを介して基準電源Vrefに接続されている。放電用キャパシタC2の他端とスイッチSW5aとの間の接続点は、スイッチSW4aを介して接地されている。
【0075】
比較回路31cは、コンパレータCMP1と基準電源E3とを備えている。電源E3の電位は、基準電源Vrefの電位と同一である。コンパレータCMP1の正相入力端子は、オペアンプAMP1の出力端子に接続されている。コンパレータCMP1の逆相入力端子は、スイッチSW3を介してオペアンプAMP1の出力端子に接続されている。スイッチSW3は、制御信号S3によってON/OFF制御される。コンパレータCMP1の逆相入力端子とスイッチSW3との間の接続点は、電源E3を介して接地されている。
【0076】
以上の構成により、充電回路31bの充電用キャパシタC1が、入力電流Iin(=Iin1−Iin2_fil)に応じた電荷を蓄え、放電回路31aが充電用キャパシタC1に蓄えられた電荷を放電し、比較回路31cが、充電回路31bの出力電圧と電源E3の基準電圧Vrefとを比較する。制御回路31dは、制御信号S2〜S5を出力して、スイッチSW2・SW3・SW4a・SW4b・SW5a・SW5bを制御するとともに、コンパレータCMP1からの出力信号CO1に基づき、デジタル信号DOUTを出力する。
【0077】
図3は、アナログ−デジタル変換回路31におけるクロック信号CLK、制御信号S2〜S5、コンパレータCMP1の正相入力端子の電位VsigおよびコンパレータCMP1の出力信号CO1の波形を示す図である。同図では、アナログ−デジタル変換回路31の分解能が4ビットである場合の、16クロック期間における波形が示されている。データ変換が開始されると、データ変換時間t_convにおいて、制御信号S2がHIレベルになる一方、制御信号S3はLOレベルとなる。まず、放電回路31aにより、一定の電荷(C2*Vref)を放電させる(プリチャージ動作)。この後、充電回路31bは入力電流Iinにより充電され、充電用キャパシタC1の電位が基準電位Vrefを超えると、コンパレータCMP1の出力信号CO1がHIレベルになる。このとき、放電回路31aにより、一定の電荷(C2*Vref)が放電される。制御回路31dは、出力信号CO1に基づいて、データ変換時間t_convにおける放電回数を数えることで、入力された電荷量に応じた値をデジタル信号DOUTとして出力する。
【0078】
具体的には、充電回路31bが入力電流Iinにより充電された電荷量と、放電回路31aにより放電された電荷量(C2*Vref)とが等しくなるので、クロック信号CLKの周期をt_clk、アナログ−デジタル変換回路31の分解能をmビット、放電回数のカウント値をcountとすると、
Iin*t_clk*2m=C2*Vref*count
が成り立つので、
count=(Iin*t_clk)/(C2*Vref)*2m
となる。したがって、放電用キャパシタC2の容量値を調整することにより、放電回路31aによる放電電荷量を調整することができる。例えば、アナログ−デジタル変換回路31の分解能が16ビットである場合、制御回路31dは、放電回路31aの放電回数に基づき、入力電流Iinに応じたデジタル値を、0〜65535の範囲で出力する。
【0079】
続いて、アナログ−デジタル変換回路の変形例について説明する。
【0080】
図4は、本実施形態の変形例に係るアナログ−デジタル変換回路131の構成を示す回路図である。アナログ−デジタル変換回路131は、図2に示すアナログ−デジタル変換回路31において、放電回路31aおよび制御回路31dを、放電回路131aおよび制御回路131dにそれぞれ置き換えた構成であり、アナログ−デジタル変換回路31と比較して、放電回路131aが定電流回路で構成されている点で異なっている。なお、充電回路31bおよび比較回路31cの構成については、図2に示すアナログ−デジタル変換回路31におけるものと同一であるので、説明を省略する。
【0081】
放電回路131aは、定電流回路Iref1およびスイッチSW4を備えている。スイッチSW4は、制御信号S4によってON/OFF制御される。制御回路31dは、制御信号S2〜S4を出力して、スイッチSW2・SW3・SW4を制御するとともに、コンパレータCMP1からの出力信号CO1に基づき、デジタル信号DOUTを出力する。
【0082】
なお、上記では、アナログ−デジタル変換回路の例として、図2に示すアナログ−デジタル変換回路31および図4に示すアナログ−デジタル変換回路131について説明したが、これらに限定されず、積分型のアナログ−デジタル変換回路であれば適用可能である。例えば、減算回路33からの出力電流をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路として、図11に示す照度センサ200のアナログ−デジタル変換回路を用いてもよい。
【0083】
続いて、アナログ−デジタル変換回路131の動作について説明する。なお、クロック信号CLK、制御信号S2〜S4、コンパレータCMP1の正相入力端子の電位VsigおよびコンパレータCMP1の出力信号CO1の波形は、図3に示すものと同一である。
【0084】
データ変換が開始されると、データ変換時間t_convにおいて、制御信号S2がHIレベルになる一方、制御信号S3はLOレベルとなる。まず、放電回路131aにより、一定の電荷(Iref*t_clk)を放電させる(プリチャージ動作)。この後、充電回路31bは入力電流Iinにより充電され、充電用キャパシタC1の電位が基準電位Vrefを超えると、コンパレータCMP1の出力信号CO1がHIレベルになる。このとき、放電回路131aにより、一定の電荷(Iref*t_clk)が放電される。制御回路131dは、データ変換時間t_convにおける放電回数を数えることで、入力された電荷量に応じた値をデジタル信号DOUTとして出力する。
【0085】
具体的には、充電回路31bが入力電流Iinにより充電された電荷量と、放電回路131aにより放電された電荷量(Iref*t_clk)とが等しくなるので、基準電流値をIref、アナログ−デジタル変換回路131の分解能をmビット、放電回数のカウント値をcountとすると、
Iin*t_clk*2m=Iref*t_clk*count
が成り立つので、
count=Iin/Iref*2m
となる。したがって、基準電流値Irefを調整することにより、放電回路31aによる放電電荷量を調整することができる。例えば、アナログ−デジタル変換回路131の分解能が16ビットである場合、制御回路131dは、放電回路131aの放電回数に基づき、入力電流Iinに応じたデジタル値を、0〜65535の範囲で出力する。
【0086】
続いて、フォトダイオードの配置について説明する。フォトダイオードPD1からの光電流Iin1とフォトダイオードPD2からの光電流Iin2とは、略同一である必要があるため、本実施形態では、フォトダイオードPD1・PD2は、受光面の面積が同一であり、互いに近接して配置されている。
【0087】
さらに、図5に示すように、フォトダイオードPD1・PD2を、1つの集積回路基板PWB1上に配置することが望ましい。これにより、フォトダイオードPD1・PD2の各受光面への入射光がほぼ等しくなるので、光電流Iin1の値と光電流Iin2の値とをさらに精度良く同一とすることができる。これにより、物体の近接・非近接の検知モードにおいて、減算回路33は、周囲光から変換された低周波電流Idcをさらに正確に除去することができる。
【0088】
上記では、フォトダイオードPD1・PD2からの光電流Iin1・Iin2とが略同一である例について説明したが、光電流Iin1・Iin2の各値が互いに異なるように設定してもよい。
【0089】
図6は、本実施形態の変形例に係る光電流処理回路3aの構成を示す回路図である。光電流処理回路3aは、アナログ−デジタル変換回路31と、低域通過フィルタ回路32と、減算回路33aとを備えている。アナログ−デジタル変換回路31および低域通過フィルタ回路32の構成は、図1に示す光電流処理回路3におけるものと略同一である。光電流処理回路3aでは、減算回路33aの−端子に入力される光電流Iin1と低域通過フィルタ回路32に入力される光電流Iin2との比が、n:1(n>1)となっている。
【0090】
また、図6では、低域通過フィルタ回路32の構成がさらに詳細に示されており、低域通過フィルタ回路32は、オペアンプAMP2、PチャネルMOSトランジスタPM3、フィルタ用抵抗R_filおよびフィルタ用キャパシタC_filを備えている。オペアンプAMP2の非反転入力端子は、低域通過フィルタ回路32の入力端子およびトランジスタPM3のドレインに接続されている。オペアンプAMP2の反転入力端子は、接地されている。トランジスタPM3は、ソースが電源Vddに接続されており、ゲートがオペアンプAMP2の出力端子およびフィルタ用抵抗R_filの一端に接続される構成である。フィルタ用抵抗R_filの他端は、フィルタ用キャパシタC_filの一端および低域通過フィルタ回路32の出力端子に接続されている。フィルタ用キャパシタC_filの他端は、設置されている。
【0091】
また、減算回路33aは、PチャネルMOSトランジスタPM4を備えている。トランジスタPM4は、ソースが電源Vddに接続され、ゲートが低域通過フィルタ回路32の出力端子に接続され、ドレインがスイッチSW1に接続される構成である。これにより、トランジスタPM4は、ゲートへの入力信号をn倍に増幅してドレインから出力する。
【0092】
以上の構成により、低域通過フィルタ回路32は、低周波数の光電流のみ通過させて減算回路33aに出力する。減算回路33aは、低域通過フィルタ回路32からの出力電流Iin2_filをn倍に増幅して、光電流Iin1から電流n*(Iin2_fil)を減算した電流(n*Iin1−n*Iin2_fil)をアナログ−デジタル変換回路31に出力する。
【0093】
具体的には、周囲光から変換された低周波電流をIdc、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流をIpulseとすると、
Iin1=n*(Idc+Ipulse)
Iin2=Idc+Ipulse
であるので、低域通過フィルタ回路32の出力電流は、
Iin2_fil=n*Idc
となる。ここで、物体の近接・非近接の検知モードでは、スイッチSW1はONとなるので、減算回路33aの出力電流は、
Iin1−Iin2_fil=n*(Idc+Ipulse)−n*Idc
=n*Ipulse
となる。これにより、物体の近接・非近接の検知モードにおいて、アナログ−デジタル変換回路31に入力されるパルス電流Ipulseをn倍とすることができるので、物体の近接・非近接を精度良く検知することができる。
【0094】
光電流Iin1・Iin2の比をn:1とするための構成として、フォトダイオードPD1・PD2の受光面を互いに等しく形成し、フォトダイオードPD1と減算回路33aとの間に、光電流Iin1をn倍に増幅するオペアンプを設ける構成や、フォトダイオードPD1の受光面の面積をフォトダイオードPD2の受光面の面積のn倍に形成する構成が挙げられる。フォトダイオードPD1の受光面の面積をフォトダイオードPD2の受光面の面積のn倍に形成する構成のほうが、フォトダイオードPD1と減算回路33aとの間にオペアンプを設ける構成よりも、より簡単に光電流Iin1・Iin2の比をn:1とすることができる。
【0095】
続いて、物体の近接・非近接の検知モードにおいて、照度/近接センサのLEDの発光と、減算回路からの出力電流のアナログ−デジタル変換回路への入力とを同期させる構成について説明する。
【0096】
図7は、本実施形態の変形例に係る照度/近接センサ11の構成を示すブロック図である。照度/近接センサ11は、発光ダイオードLED1と、2つのフォトダイオードPD1・PD2と、制御回路12とを備えている。制御回路12は、光電流処理回路13とLED駆動回路4とを備えている。
【0097】
光電流処理回路13は、図1に示す光電流処理回路3において、スイッチSW6とインバータINV1とをさらに備え、検知モード切替回路34を検知モード切替回路134に置き換えた構成である。なお、発光ダイオードLED1、フォトダイオードPD1・PD2、およびLED駆動回路4の構成は、図1に示す照度/近接センサ1におけるものと同一であるので、説明を省略する。
【0098】
スイッチSW6は、3つのノードn1〜n3を備えており、検知モード切替回路134からの制御信号に基づき、ノードn1とノードn2との接続、およびノードn1とノードn3との接続を切り替える構成である。ノードn1は、アナログ−デジタル変換回路31のスイッチSW2の制御電極に接続されている(図2参照)。ノードn2は、インバータINV1を介してパルス発生回路41に接続されている。ノードn3には、アナログ−デジタル変換回路31の制御回路31dからの制御信号S2が入力される。
【0099】
検知モード切替回路134は、図1に示す検知モード切替回路34と同様、スイッチSW1による低域通過フィルタ回路32の出力電流の遮断のON/OFF、およびパルス発生回路41によるパルス電圧Vpulseの出力のON/OFFを制御する。さらに、検知モード切替回路134は、スイッチSW6に対し制御信号を出力することにより、ノードn1とノードn2との接続、およびノードn1とノードn3との接続を切り替える機能を有している。
【0100】
具体的には、物体の近接・非近接の検知モードの場合、検知モード切替回路134は、スイッチSW1をONに制御して、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseを出力させるとともに、ノードn1とノードn2とが接続されるようにスイッチSW6を制御する。ノードn1とノードn2とが接続されることにより、LED駆動回路4のトランジスタPM2のON/OFFと、アナログ−デジタル変換回路31のスイッチSW2のON/OFFとが同期する。これにより、検知モード切替回路134は、物体の近接・非近接の検知モードの場合、発光ダイオードLED1の発光と、減算回路33からの出力電流(Iin1−Iin2_fil)のアナログ−デジタル変換回路31への入力とを同期させる。すなわち、発光ダイオードLED1が発光している期間のみ、アナログ−デジタル変換回路31に減算回路33からの出力電流が入力され、発光ダイオードLED1が発光していない期間は、アナログ−デジタル変換回路31に電流は入力されない。
【0101】
物体の近接・非近接の検知モードの場合、理論上は、アナログ−デジタル変換回路31には、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流のみが入力される。しかしながら、実際には、アナログ−デジタル変換回路31への入力電流には、ノイズ成分が含まれているため、検知精度の誤差が生じる。
【0102】
そこで、上記のように、発光ダイオードLED1が発光していない期間は、アナログ−デジタル変換回路31に電流を入力しないようにすることで、アナログ−デジタル変換回路31に入力されるノイズ成分を減らすことができる。これにより、照度/近接センサ11は、物体の近接・非近接をより高い精度で検知することができる。
【0103】
なお、周囲光の照度の検知モードの場合、検知モード切替回路134は、スイッチSW1をOFFに制御して、パルス発生回路41に対してパルス電圧Vpulseの出力を停止させるとともに、ノードn1とノードn3とが接続されるようにスイッチSW6を制御する。これにより、照度/近接センサ11の制御回路12は、図1に示す照度/近接センサ1の制御回路2と同様の動作を行なう。
【0104】
ここで、蛍光灯など、照度/近接センサ11の周囲の照明装置の光度は、照明装置を駆動する商用電源の周波数(50Hzまたは60Hz)と同一の周波数で揺らいでいる。そのため、周囲光の照度の検知モードの場合、アナログ−デジタル変換回路31のアナログ−デジタル変換時間(図5に示すデータ変換時間t_conv)が商用電源の周期(20msecまたは16.66msec)よりも短く設定されると、各アナログ−デジタル変換時間における照度の測定値が安定しないという問題がある。
【0105】
そこで、照度/近接センサ11では、周囲光の照度の検知モードの場合に、アナログ−デジタル変換回路31のアナログ−デジタル変換時間、すなわち、制御信号S2のHIレベル期間および制御信号S3のLOレベル期間(=データ変換時間t_conv)が、商用電源の周期の倍数に等しくなるように設定されている。これにより、各データ変換時間t_convにおける、照度の測定値の変動を低減することができる。したがって、照度/近接センサ11は、より正確に周囲光の照度を検知することが可能となる。
【0106】
続いて、照度/近接センサの検知モードを切り替える他の例について説明する。
【0107】
図8は、本実施形態の変形例に係る光電流処理回路23の構成を示すブロック図である。光電流処理回路23は、アナログ−デジタル変換回路31と、低域通過フィルタ回路32と、高域通過フィルタ回路232と、減算回路33と、検知モード切替回路234と、2つのスイッチSW7・SW8とを備えている。アナログ−デジタル変換回路31、低域通過フィルタ回路32および減算回路33の構成は、図1に示す照度/近接センサ1におけるものと同一であるので、説明を省略する。また、光電流処理回路23に入力される光電流Iin1・Iin2の値は、ほぼ同一である。
【0108】
高域通過フィルタ回路232は、高周波数の光電流のみ通過させ、太陽光や蛍光灯の光などから変換された低周波数の光電流を除去する回路である。低域通過フィルタ回路32および高域通過フィルタ回路232は、スイッチSW7とスイッチSW8との間に並列接続されている。
【0109】
高域通過フィルタ回路232が通過させる電流の周波数は、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流を通過させ、周囲光から変換された低周波電流を除去する範囲で設定される。具体的には、周囲光から変換された低周波電流の周波数の最大値は、約100kHzであるので、パルス電流の周波数が300kHzである場合、高域通過フィルタ回路232が通過させる電流の周波数の下限は、100kHzから300kHzの範囲内(例えば、200kHz)に設定される。
【0110】
検知モード切替回路234は、スイッチSW7・SW8を制御することにより、周囲光の照度の検知モードと物体の近接・非近接の検知モードとを切り替える。
【0111】
物体の近接・非近接の検知モードの場合、検知モード切替回路234は、スイッチSW7・SW8をそれぞれ低域通過フィルタ回路32側に切り替える。これにより、光電流Iin2は、低域通過フィルタ回路32を経由して減算回路33の−端子に入力される。このとき、低域通過フィルタ回路32は、光電流Iin2の成分のうち、周囲光から変換された低周波電流Idcのみを通過させ、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流Ipulseを除去するので、減算回路33の−端子には、周囲光から変換された低周波電流Idcが入力される。したがって、減算回路33は、周囲光から変換された低周波電流Idcを光電流Iin1から減算するので、アナログ−デジタル変換回路31には、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流Ipulseが入力される。
【0112】
一方、周囲光の照度の検知モードの場合は、検知モード切替回路234は、スイッチSW7・SW8をそれぞれ高域通過フィルタ回路232側に切り替える。これにより、光電流Iin2は、高域通過フィルタ回路232を経由して減算回路33の−端子に入力される。このとき、高域通過フィルタ回路232は、光電流Iin2の成分のうち、近接物体からの反射光から変換されたパルス電流Ipulseのみを通過させ、周囲光から変換された低周波電流Idcを除去するので、減算回路33の−端子には、パルス電流Ipulseが入力される。したがって、減算回路33は、パルス電流Ipulseを光電流Iin1から減算するので、アナログ−デジタル変換回路31には、周囲光から変換された低周波電流Idcが入力される。
【0113】
以上のように、図8に示す光電流処理回路23では、検知モード切替回路234が、スイッチSW7・SW8を制御して、減算回路33と低域通過フィルタ回路32とを接続するか、減算回路33と高域通過フィルタ回路232とを接続するかを切り替えることにより、検知モードの切り替えを行っている。なお、図1に示す構成では、周囲光の照度の検知モードの場合、検知モード切替回路34は、発光ダイオードLED1の駆動を停止させていた。一方、図8に示す構成では、周囲光の照度の検知モードにおいて、発光ダイオードLED1の駆動を停止させなくてもよい。
【0114】
なお、本実施形態では、検知モード切替回路は、図示しないマイコンからの制御指示によって検知モードを切り替える。例えば、照度/近接センサが携帯電話に内蔵される場合、携帯電話のマイコンから、検知モードを切り替える制御指示が検知モード切替回路に入力される。検知モードを切り替える具体例については、実施形態2において後述する。
【0115】
なお、本実施形態では、照度/近接センサから外部に向けて光を出射する光源として発光ダイオードを用いていたが、パルス駆動可能な光源であれば、蛍光灯など他の光源であってもよい。
【0116】
また、本実施形態では、2つの光電流を、2つのフォトダイオードによって発生させていたが、1つのフォトダイオードが発生した光電流を分岐させることにより、2つの光電流を発生させてもよい。
【0117】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について図9に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態では、第1の実施形態において説明した照度/近接センサを備える携帯電話について説明する。
【0118】
図9は、本実施形態に係る携帯電話5の構成を示すブロック図である。携帯電話5は、液晶パネル51と、バックライト52と、バックライト制御部53と、照度/近接センサ54とを備えている。液晶パネル51は、携帯電話5を操作するための画面を表示する。バックライト52は、液晶パネル51を背面から照射するための光源であり、LEDまたは冷陰極管(不図示)を有している。バックライト制御部53は、照度/近接センサ54からのデジタル信号DOUTに基づき、バックライト52の光源の駆動を制御する。
【0119】
携帯電話5は、照度/近接センサ54として、第1の実施形態に記載の照度/近接センサを備えている。照度/近接センサ54は、周囲光の照度の検知と、物体の近接・非近接の検知との2つの検知機能を有している。したがって、携帯電話5に当該2つの検知機能を持たせるために、2つのセンサ装置を内蔵させる場合に比べ、携帯電話5を容易に小型化することできる。
【0120】
バックライト制御部53は、例えば、以下のように動作する。携帯電話5のユーザが通話していない通常の状態においては、照度/近接センサ54は、照度センサとして機能する。このとき、照度/近接センサ54からは、携帯電話5の周囲光の照度を示すデジタル信号DOUTが出力され、バックライト制御部53は、デジタル信号DOUTに基づいて、バックライト52の輝度を制御する。具体的には、周囲光の照度が大きい場合、バックライト制御部53はバックライト52の輝度を上げるように制御し、周囲光の照度が小さい場合、バックライト制御部53はバックライト52の輝度を下げるように制御する。これにより、バックライト52の消費電力を抑えることができる。
【0121】
また、携帯電話5に着信があり、ユーザが通話開始のボタンを押下すると、照度/近接センサ54は、近接センサとして機能する。これにより、ユーザの顔が液晶パネル51に近づくにつれて、照度/近接センサ54から出力されるデジタル信号DOUTが大きくなる。デジタル信号DOUTの値が所定値を超えると、バックライト制御部53は、バックライト52を消灯させる。これにより、バックライト52の消費電力を抑えることができる。
【0122】
〔実施形態の総括〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の照度/近接センサは、携帯電話やデジタルカメラなど、機器の周囲光の照度と機器に近接する物体の有無とに合わせて駆動状態を変化させる必要のある電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 照度/近接センサ(センサ装置)
2 制御回路(制御部)
3 光電流処理回路(光電流処理部)
3a 光電流処理回路(光電流処理部)
4 LED駆動回路(光源駆動部)
5 携帯電話(電子機器)
11 照度/近接センサ(センサ装置)
12 制御回路(制御部)
13 光電流処理回路(光電流処理部)
23 光電流処理回路(光電流処理部)
31 アナログ−デジタル変換回路
32 低域通過フィルタ回路
33 減算回路
33a 減算回路
34 検知モード切替回路(検知モード切替部)
51 液晶パネル
52 バックライト
53 バックライト制御部
54 照度/近接センサ(センサ装置)
131 アナログ−デジタル変換回路
134 検知モード切替回路(検知モード切替部)
232 高域通過フィルタ回路
234 検知モード切替回路(検知モード切替部)
DOUT デジタル信号(出力信号)
Iin1 光電流(第1の光電流)
Iin2 光電流(第2の光電流)
Ipulse パルス電流
LED1 発光ダイオード(光源)
PD1 フォトダイオード(フォトダイオードの一方)
PD2 フォトダイオード(フォトダイオードの他方)
PWB1 集積回路基板
Vpulse パルス電圧(パルス)
t_conv データ変換時間(アナログ−デジタル変換時間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に向けて光を出射する光源と、
外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、
高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、
上記フォトダイオードを2つ備え、
上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、
上記光電流処理部は、
上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数以下のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、
上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、
上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、
上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、
上記検知モード切替部は、上記出力電流の上記減算回路への入力の可否および上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動の可否を制御可能であり、
上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しているときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させ、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しないときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
上記2つのフォトダイオードは、同一の集積回路基板上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
上記第1の光電流の値と上記第2の光電流の値との比が、n:1(n>1)であり、
上記減算回路は、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流をn倍に増幅した電流を、上記第1の光電流から減算することを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
上記フォトダイオードの一方の受光面の面積は、上記フォトダイオードの他方の受光面の面積のn倍であることを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
上記検知モード切替部は、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させる場合、上記光源の発光と、上記減算回路からの出力電流の上記アナログ−デジタル変換回路への入力とを同期させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
上記検知モード切替部が上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させている場合、上記アナログ−デジタル変換回路のアナログ−デジタル変換時間が、上記センサ装置の周囲の照明装置を駆動する電源の周期の倍数に等しいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
外部に向けて光を出射する光源と、
外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、
高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、
上記フォトダイオードを2つ備え、
上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、
上記光電流処理部は、
上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数よりも高い周波数のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、
上記第2の光電流から、上記所定の周波数以下のパルス電流を除去する高域通過フィルタ回路と、
上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路または上記高域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、
上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、
上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、
上記検知モード切替部は、上記減算回路と上記低域通過フィルタ回路とを接続するか、上記減算回路と上記高域通過フィルタ回路とを接続するかを切り替えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項8】
画面を表示する液晶パネルと、
上記液晶パネルを背面から照射するバックライトと、
上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部と、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ装置とを備え、
上記バックライト制御部は、上記センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、上記バックライトの輝度を制御することを特徴とする携帯電話。
【請求項9】
画面を表示する液晶パネルと、
上記液晶パネルを背面から照射するバックライトと、
上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部と、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ装置とを備え、
上記バックライト制御部は、上記センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、上記バックライトの輝度を制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項1】
外部に向けて光を出射する光源と、
外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、
高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、
上記フォトダイオードを2つ備え、
上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、
上記光電流処理部は、
上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数以下のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、
上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、
上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、
上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、
上記検知モード切替部は、上記出力電流の上記減算回路への入力の可否および上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動の可否を制御可能であり、
上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しているときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させ、上記減算回路への上記出力電流の入力を遮断しないときは、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
上記2つのフォトダイオードは、同一の集積回路基板上に形成されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
上記第1の光電流の値と上記第2の光電流の値との比が、n:1(n>1)であり、
上記減算回路は、上記低域通過フィルタ回路からの出力電流をn倍に増幅した電流を、上記第1の光電流から減算することを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
上記フォトダイオードの一方の受光面の面積は、上記フォトダイオードの他方の受光面の面積のn倍であることを特徴とする請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
上記検知モード切替部は、上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を継続させる場合、上記光源の発光と、上記減算回路からの出力電流の上記アナログ−デジタル変換回路への入力とを同期させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
上記検知モード切替部が上記光源駆動部の上記光源のパルス駆動を停止させている場合、上記アナログ−デジタル変換回路のアナログ−デジタル変換時間が、上記センサ装置の周囲の照明装置を駆動する電源の周期の倍数に等しいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
外部に向けて光を出射する光源と、
外部からの光を受けて、受けた光の強さに比例する大きさの光電流を発生するフォトダイオードと、
高周波のパルスによって上記光源をパルス駆動する光源駆動部および上記フォトダイオードからの光電流を処理する光電流処理部を備える制御部と、を備えるセンサ装置であって、
上記フォトダイオードを2つ備え、
上記光電流処理部には、上記フォトダイオードの一方からの第1の光電流と、上記フォトダイオードの他方からの第2の光電流とが入力され、
上記光電流処理部は、
上記第2の光電流から、上記高周波よりも低い所定の周波数よりも高い周波数のパルス電流を除去する低域通過フィルタ回路と、
上記第2の光電流から、上記所定の周波数以下のパルス電流を除去する高域通過フィルタ回路と、
上記第1の光電流から、上記低域通過フィルタ回路または上記高域通過フィルタ回路からの出力電流を減算する減算回路と、
上記減算回路からの出力電流をデジタル信号に変換する積分型のアナログ−デジタル変換回路と、
上記センサ装置の検知モードを切り替える検知モード切替部と、を備え、
上記検知モード切替部は、上記減算回路と上記低域通過フィルタ回路とを接続するか、上記減算回路と上記高域通過フィルタ回路とを接続するかを切り替えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項8】
画面を表示する液晶パネルと、
上記液晶パネルを背面から照射するバックライトと、
上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部と、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ装置とを備え、
上記バックライト制御部は、上記センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、上記バックライトの輝度を制御することを特徴とする携帯電話。
【請求項9】
画面を表示する液晶パネルと、
上記液晶パネルを背面から照射するバックライトと、
上記バックライトの輝度を制御するバックライト制御部と、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサ装置とを備え、
上記バックライト制御部は、上記センサ装置のアナログ−デジタル変換回路の出力信号に基づき、上記バックライトの輝度を制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−7622(P2011−7622A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151260(P2009−151260)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]