説明

センサ装置

【課題】十分な省電力化を図ることができると共に、簡易な構成で生産コストを低減することができるセンサ装置を提供すること。
【解決手段】発振用トランジスタT2を有し、所定の発振周波数の信号を出力するRF発振回路3と、RF発振回路3を間欠的に駆動する間欠動作制御回路2と、RF発振回路3から出力された信号を対象物Oに送信すると共に、対象物Oに反射された信号を受信するアンテナA1、A2と、RF発振回路から出力された信号と対象物Oに反射された信号とを混合する混合回路5a、5bとを備え、混合回路5a、5bから出力された信号に基づいて対象物Oの動きの有無を検出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物からの反射波に含まれるドップラー周波成分から対象物の動きや対象物までの距離等を検出するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、対象物の動きや対象物までの距離等を検出するセンサ装置として、UWB(Ultra-Wideband)方式を採用したものが知られている。このセンサ装置は、ベースバンドのUWB信号を対象物に放射し、対象物からの反射波に含まれるドップラー周波成分の変動量に基づいて対象物の動き等を検出している。しかしながら、ベースバンドのUWB信号は、相対周波数帯域が広く、放射特性のよいアンテナ設計が困難であると共に、放射し難い低周波成分にあるため省電力化に不利となっていた。
【0003】
一方、上記した問題を解決したセンサ装置として、UWB信号よりも高い周波数を使用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図6に示すように、このセンサ装置41は、2周波CW方式を採用しており、制御回路42の制御により発振回路43の発振周波数が2つの周波数に連続的に切り替えられる。発振回路43で生成された発振信号は、スイッチ制御回路45に制御されたスイッチ44のON・OFFにより、所定の時間間隔で所定の時間長だけ後段に出力される。
【0004】
スイッチ44を通過した発振信号は、送信側と受信側に分配され、送信側の信号は送信アンテナA21を介して対象物Oに放射され、受信側の信号は局部信号として利用される。対象物Oにより反射された受信信号は、受信アンテナA22を介して受信され、混合回路46において局部信号と混合される。そして、混合回路46において、受信信号に含まれるドップラー周波数成分に相当する低周波信号が検出され、後段のローパスフィルタ47で低周波信号が取り出されて対象物Oまでの距離等が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−345218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のセンサ装置41においては、発振回路43において連続的に信号が出力されるため、十分な省電力化を図ることができないという問題があった。また、スイッチ44のON・OFFにより送信タイミングが制御されるため、スイッチ44と共にスイッチ44を制御するスイッチ制御回路45を設けなければならず、部品点数が増加して構成が複雑になると共に、生産コストが高くなるという問題があった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、十分な省電力化を図ることができると共に、簡易な構成で生産コストを低減することができるセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のセンサ装置は、発振用素子を有し、所定の発振周波数の信号を出力する信号発生回路と、前記信号発生回路を間欠的に駆動する制御回路と、前記信号発生回路から出力された信号を対象物に送信すると共に、前記対象物に反射された信号を受信する送受信部と、前記信号発生回路から出力された信号と前記対象物に反射された信号とを混合する混合回路とを備え、前記混合回路から出力された信号に基づいて前記対象物の動き、距離、速度の少なくとも1つを検出することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、信号発生回路が間欠的に駆動されるため、信号を出力し続ける構成と比較して省電力化を図ることができる。また、制御回路により直接的に信号発生回路の出力タイミングが制御されるため、スイッチやスイッチ制御回路が不要となり、部品点数を低減して簡易な構成とすることができると共に、生産コストを低くすることができる。さらに、UWB信号よりも高い周波数の信号を放射することにより、放射性のよいアンテナ設計ができると共に、放射し易い周波数に設定できるため、より省電力化を図ることができる。
【0010】
本発明は、上記センサ装置において、前記制御回路を、間欠的にパルス信号を発生させ、前記発振用素子の制御端子に前記パルス信号を印加する構成とすることができる。
【0011】
本発明は、上記センサ装置において、前記制御回路は、前記パルス信号のパルス幅とパルス間隔との比を可変することによって検出間隔を設定したことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、簡易な構成により検出間隔を設定することができ、例えば、検出間隔を狭めることにより対象物の動きに対する検出感度を高めることができる。
【0013】
本発明は、上記センサ装置において、前記信号発生回路と前記送受信部との間に前記信号発生回路から出力された信号の所定の周波数帯域を取り出すバンドパスフィルタが接続されたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記センサ装置において、前記送受信部は、前記信号発生回路から出力された信号のうち所定の周波数帯域を放射する周波数特性を有する送信アンテナを備えたことを特徴とする。
【0015】
これらの構成によれば、信号発生回路から出力された信号を狭帯域化することができる。例えば、電波法で規定された周波数を中心とする所定の領域を取り出すことができる。
【0016】
本発明は、上記センサ装置において、前記送受信部を、前記信号発生回路から出力される信号を送信する送信アンテナと、前記対象物によって反射された信号を受信する受信アンテナとを有する構成とすることができる。
【0017】
本発明は、上記センサ装置において、前記送受信部を、前記信号発生回路から出力される信号を送信すると共に、前記対象物によって反射された信号を受信する送受信アンテナを有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、十分な省電力化を図ることができると共に、簡易な構成で生産コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るセンサ装置の第1の実施の形態を示す図であり、差動方式のセンサ装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明に係るセンサ装置の第1の実施の形態を示す図であり、差動方式のセンサ装置の回路構成図である。
【図3】本発明に係るセンサ装置の第1の実施の形態を示す図であり、バンドパスフィルタの通過前と通過後の拡散高周波信号の一例を示す図である。
【図4】本発明に係るセンサ装置の第2の実施の形態を示す図であり、非差動方式のセンサ装置の回路構成図である。
【図5】本発明に係るセンサ装置の変形例を示す図である。
【図6】センサ装置の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明を対象物の動きを検出するセンサ装置に適用した構成を例示して説明するが、対象物の動きを検出するセンサ装置だけでなく、対象物からの距離や対象物の速度を検出するセンサ装置に適用することも可能である。最初に、図1を参照して、センサ装置の機能構成について簡単に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る差動方式のセンサ装置の機能ブロック図である。
【0021】
図1に示すように、センサ装置1は、2つのアンテナA1、A2を有し、各アンテナA1、A2から拡散高周波信号を対象物Oに放射して、対象物Oからの反射波に含まれるドップラー周波成分としての低周波成分の差動出力に基づいて対象物Oの動きの有無を検出するものである。また、このセンサ装置1は、拡散高周波信号を発信するRF発振回路3と、RF発振回路3の駆動を間欠的に制御する間欠動作制御回路2とを有し、間欠動作制御回路2に制御されてRF発振回路3から拡散高周波信号が間欠的に出力されるように構成されている。
【0022】
RF発振回路3から出力された拡散高周波信号は、バンドパスフィルタ4において狭帯域化されてアンテナA1側とアンテナA2側に出力される。バンドパスフィルタ4を通過した拡散高周波信号は、アンテナA1、A2から対象物Oに放射される他、局部信号として混合回路5a、5bに入力される。対象物Oにより反射された拡散高周波信号は、アンテナA1、A2を介して受信され、局部信号と共に混合回路5a、5bに入力される。
【0023】
このとき、対象物Oの動きは反射波に含まれる低周波信号として現れ、混合回路5a、5bにおいて受信信号と局部信号とが混合されることにより低周波信号が抽出される。混合回路5a、5bのそれぞれから出力された出力信号は、差動増幅回路6に入力されて差動出力が増幅され、ローパスフィルタ7において差動信号が取り出される。ローパスフィルタ7を通過した差動信号は、図示しないD/A変換回路を介してアナログ信号として出力される。センサ装置1から出力された差動信号は、信号処理回路8に入力され、この信号処理回路8において対象物Oの動きの有無が検出される。
【0024】
次に、図2を参照して、差動方式のセンサ装置の回路構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る差動方式のセンサ装置の回路構成図である。
【0025】
図2に示すように、間欠動作制御回路2は、タイマー回路11と、SW信号発生回路12とを有している。タイマー回路11は、一定時間間隔でhighレベル信号とLowレベル信号とを交互に繰り返すパルス信号を生成し、SW信号発生回路12に出力する。SW信号発生回路12は、フリップフロップ回路13で構成されており、反転出力端子が抵抗R1を介してリセット端子に接続され、出力端子が抵抗R2を介してSW用トランジスタT1のベースに接続される。SW信号発生回路12は、タイマー回路11から出力されたパルス信号の立ち上がりに同期して、RF発振回路3の駆動タイミングを制御する短パルス(SW信号)を生成する。生成されたSW信号は、SW用トランジスタT1のベースに出力される。
【0026】
この場合、タイマー回路11においてパルス信号のパルス幅とパルス間隔との比が可変されることにより、SW信号の周期が可変されてRF発振回路3の駆動タイミングが制御される。これにより、RF発振回路3の駆動タイミングが短くなるように制御されると、センサ装置1による検出間隔を狭めて対象物Oの動きに対する検出感度が向上される。
【0027】
SW用トランジスタT1のコレクタは、電源Vccに接続され、電源Vccは抵抗R3を介してSW用トランジスタT1のベースに接続される。SW用トランジスタT1のエミッタは、抵抗R4を介してRF発振回路3の発振用トランジスタT2のベースに接続される。SW用トランジスタT1は、SW信号発生回路12から出力されたSW信号のhighレベル時にONとなり、RF発振回路3の発振用トランジスタT2のベースに駆動電圧を印加する。
【0028】
発振用トランジスタT2のエミッタは、帰還コンデンサC1を介して発振用トランジスタT2のベースに接続されると共に、インダクタL1および抵抗R5を介してグランドに接地される。発振用トランジスタT2のコレクタは、インダクタL2を介して電源Vccに接続されると共に、コンデンサC2を介してバンドパスフィルタ4に接続される。また、発振用トランジスタT2のベースは、グランドとの間に複数の素子群が接続され、この複数の素子群によりRF発振回路3の発振周波数が規定される。RF発振回路3は、SW用トランジスタT1からの駆動電圧に制御されて、拡散高周波信号を生成する。生成された拡散高周波信号は、バンドパスフィルタ4に入力される。
【0029】
このとき、SW用トランジスタT1のベースに印加される駆動電圧は、SW信号に合わせて所定の周期で印加されるため、RF発振回路3において間欠的に拡散高周波信号が生成される。したがって、RF発振回路3において常に拡散高周波信号が生成される構成と比較して省電力化を図ることが可能となる。また、SW信号発生回路12およびSW用トランジスタT1によりRF発振回路3が直接的に制御されるため、部品点数を低減して簡易な構成とし、生産コストを低くすることが可能となる。
【0030】
バンドパスフィルタ4は、RF発振回路3から出力された拡散高周波信号を狭帯域化する。具体的には、RF発振回路3から出力された拡散高周波信号は、バンドパスフィルタ4の通過前においては図3(a)に示すように広帯域を有し、バンドパスフィルタ4の通過後においては図3(b)に示すように狭帯域化される。この場合、バンドパスフィルタ4は、電波法上で規定された周波数を中心とした所定の帯域を取り出すように設定されている。
【0031】
バンドパスフィルタ4の後段側は、アンテナA1側とアンテナA2側とに分けられ、アンテナA1側がコンデンサC3を介して増幅用トランジスタT3のベースに接続され、アンテナA2側がコンデンサC4を介して増幅用トランジスタT4のベースに接続される。アンテナA1側の増幅用トランジスタT3のコレクタは電源Vccに接続され、増幅用トランジスタT3のエミッタは抵抗R6を介してグランドに接地されると共に、アンテナA1および混合回路5aに接続される。アンテナA1側の増幅用トランジスタT3のエミッタから出力された拡散高周波信号は、アンテナA1から対象物Oに対して放射されると共に、局部信号として混合回路5aに入力される。
【0032】
アンテナA2側の増幅用トランジスタT4もアンテナA1側の増幅用トランジスタT3と同様な接続構成を有し、増幅用トランジスタT4のエミッタから出力された拡散高周波信号は、アンテナA2から対象物Oに対して放射されると共に、局部信号として混合回路5bに入力される。
【0033】
アンテナA1側の混合回路5aは、ショットキーダイオードD1を有し、ショットキーダイオードD1のカソードはアンテナA1の給電点に接続され、アノードは直流カットのコンデンサC5および抵抗R8を介して差動増幅回路6のオペアンプOP1の非反転入力端子に接続される。ショットキーダイオードD1のカソードとアンテナA1の給電点との間は、インダクタL3を介してグランドに接地される。また、ショットキーダイオードD1のアノードとコンデンサC5との間は、抵抗R9を介してグランドに接地されると共に、コンデンサC6を介してグランドに接地される。混合回路5aは、アンテナA1から受信した受信信号と増幅用トランジスタT3から入力された局部信号とを混合して、対象物Oの動きを反映した低周波信号を抽出する。
【0034】
アンテナA2側の混合回路5bもアンテナA1側の混合回路5aと同様な接続構成を有し、アンテナA2から受信した受信信号と増幅用トランジスタT4から入力された局部信号とを混合して、対象物Oの動きを反映した低周波信号を抽出する。
【0035】
差動増幅回路6は、いわゆるインスツルメンテーションアンプであり、オペアンプOP1〜OP3と、抵抗R12〜R18とから構成されている。オペアンプOP1の非反転入力端子は、混合回路5aに接続され、オペアンプOP1の出力端子は抵抗R12を介して反転入力端子に接続される。オペアンプOP2の非反転入力端子は、混合回路5bに接続され、オペアンプOP2の出力端子は抵抗R13を介して反転入力端子に接続される。オペアンプOP1の反転入力端子およびオペアンプOP2の反転入力端子は、抵抗R14を介して接続される。
【0036】
また、オペアンプOP1の出力端子は、抵抗R15を介してオペアンプOP3の反転入力端子に接続され、オペアンプOP2の出力端子は、抵抗R16を介してオペアンプOP3の非反転入力端子に接続される。さらに、オペアンプOP3の出力端子は、抵抗R17を介して反転入力端子に接続され、オペアンプOP3の非反転入力端子は、抵抗R18を介してグランドに接地される。差動増幅回路6は、混合回路5a、5bのそれぞれから入力された出力信号の差動出力を増幅する。
【0037】
また、オペアンプOP3の出力端子は、ボルテージフォロア回路を構成するオペアンプOP4の非反転入力端子に接続される。オペアンプOP4の出力端子から出力された差動信号は、図示しないローパスフィルタ、D/A変換回路を介してアナログ信号として取り出される。
【0038】
センサ装置1から取り出された差動信号は、図示しない信号処理回路に入力され、信号処理回路内のコンパレータの閾値と比較される。そして、差動信号が閾値より小さい場合に対象物Oの動きが無いと判定され、差動信号が閾値以上の場合に対象物Oの動きが有ると判定される。
【0039】
以上のように、本実施の形態に係るセンサ装置1によれば、RF発振回路3が間欠的に駆動されるため省電力化を図ることができる。また、間欠動作制御回路2により直接的にRF発振回路3の出力タイミングが制御されるため、スイッチやスイッチ制御回路が不要となり、部品点数を低減して簡易な構成とすると共に、生産コストを低くすることができる。さらに、拡散高周波信号を放射することにより、放射性のよいアンテナ設計ができると共に、放射し易い周波数に設定できるため、より省電力化を図ることができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態に係るセンサ装置は、上記した第1の実施の形態に係るセンサ装置と、非差動方式である点についてのみ相違する。したがって、同一構成については極力説明を省略し、相違点についてのみ詳細に説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る非差動方式のセンサ装置の回路構成図である。
【0041】
図4に示すように、センサ装置21においては、タイマー回路31およびSW信号発生回路32により間欠動作制御回路22が構成され、間欠動作制御回路22においてRF発振回路23の駆動タイミングを制御するSW信号が生成される。間欠動作制御回路22で生成されたSW信号は、SW用トランジスタT11のベースに入力される。そして、SW信号のhighレベル時にSW用トランジスタT11がONとなり、RF発振回路23に駆動電圧が印加される。
【0042】
RF発振回路23は、SW用トランジスタT11を介して入力される駆動電圧に合わせて間欠的に拡散高周波信号を生成し、生成された拡散高周波信号はバンドパスフィルタ24に出力される。バンドパスフィルタ24を通過した拡散高周波信号は、電波法に規定された周波数を中心とした所定の帯域に狭帯域化され、増幅用トランジスタT13のベースに入力される。増幅用トランジスタT13のエミッタから出力された拡散高周波信号は、アンテナA11から対象物Oに対して放射されると共に、局部信号として混合回路25に出力される。アンテナA11から受信された受信信号は、増幅用トランジスタT13から入力された局部信号と混合され、対象物Oの動きを反映した低周波信号が抽出される。
【0043】
増幅回路26は、オペアンプOP11、OP12と、抵抗R21〜R28とから構成されている。オペアンプOP11の反転入力端子は、抵抗R21およびコンデンサC21を介して混合回路25に接続され、非反転入力端子は抵抗R23、R24からなる分圧回路に接続される。オペアンプOP11の出力端子は、抵抗R22を介して反転入力端子に接続されると共に、コンデンサC22および抵抗R25を介して後段のオペアンプOP12の反転入力端子に接続される。
【0044】
オペアンプOP12は、前段のオペアンプOP11と同様に、非反転入力端子が抵抗R27、R28からなる分圧回路に接続され、出力端子が抵抗R26を介して反転入力端子に接続される。そして、増幅回路26において、混合回路25から入力された出力信号が増幅され、ボルテージフォロア回路を構成するオペアンプOP13の非反転入力端子に出力される。オペアンプOP13の出力端子から出力された出力信号は、図示しないローパスフィルタ、D/A変換回路を介してアナログ信号として取り出される。
【0045】
ローパスフィルタおよびD/A変換回路を通過した出力信号は、図示しない信号処理回路に入力され、信号処理回路内のコンパレータの閾値と比較される。そして、出力信号が閾値より小さい場合に対象物の動きが無いと判定され、出力信号が閾値以上の場合に対象物の動きが有ると判定される。
【0046】
以上のように、本実施の形態に係るセンサ装置21においては、第1の実施の形態の差動方式のセンサ装置1と同様に、省電力化を図ることができると共に、簡易な構成で生産コストを低減することができる。また、拡散高周波信号を放射することにより、放射性のよいアンテナ設計ができると共に、放射し易い周波数に設定できるため、より省電力化を図ることが可能となる。さらに、差動方式のセンサ装置と比較して部品点数を低減することが可能となる。
【0047】
なお、上記した各実施の形態においては、送受信部として一つのアンテナで信号を送受信する構成としたが、図5に示す変形例のように、送信専用アンテナと受信専用アンテナとを備える構成としてもよい。このような構成にしても、上記した各実施の形態と同様に、省電力化を図ることができると共に、簡易な構成で生産コストを低減することができる。
【0048】
また、上記した各実施の形態においては、バンドパスフィルタにより拡散高周波信号を狭帯域化する構成としたが、この構成に限定されるものではない。拡散高周波信号を狭帯域化可能な構成であればどのような構成であってもよく、例えば、所定の周波数帯域を放射する周波数特性を有するアンテナにより拡散高周波信号を狭帯域化する構成としてもよい。
【0049】
また、上記した各実施の形態においては、バンドパスフィルタは発振トランジスタとバーファーアンプトランジスタの間に置く構成になっているが、この構成に限定されるものではない。アンテナとバーファーアンプトランジスタと間におく構成でもよい。又、拡散高周波信号を放射される前に狭帯域化可能な構成であればどのような構成であってもよい。
【0050】
また、上記した各実施の形態においては、アンテナから対象物に拡散高周波信号を放射する構成としたが、この構成に限定されるものではない。対象物からの反射波に含まれるドップラー周波成分を検出可能であれば拡散高周波信号に限定されるものではなく、狭帯域信号又はUWB信号を放射する構成としてもよい。
【0051】
また、上記した各実施の形態においては、発振用素子としてトランジスタを有する構成としたが、この構成に限定されるものではない。発振可能な発振用素子を有する構成であればよく、例えば、発振用素子としてFETを有する構成としてもよい。
【0052】
また、上記した各実施の形態においては、タイマー回路とSW信号発生回路とで間欠動作制御回路を構成したが、この構成に限定されるものではない。RF発振回路から間欠的に信号を出力させる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0053】
また、上記した各実施の形態においては、RF発振回路から間欠的に信号を出力する構成を対象物の動きを検出するセンサ装置に適用して説明したが、この構成に限定されるものではなく、対象物のセンサ装置からの距離、対象物のセンサ装置に対する相対速度などを検出可能な構成に適用してもよい。
【0054】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、十分な省電力化を図ることができると共に、簡易な構成で生産コストを低減することができるという効果を有し、特に、対象物からの反射波に含まれるドップラー周波成分から対象物の動きや対象物までの距離等を検出するセンサ装置に有用である。
【符号の説明】
【0056】
1、21 センサ装置
2、22 間欠動作制御回路(制御回路)
3、23 RF発振回路(信号発生回路)
4、24 バンドパスフィルタ
5a、5b、25 混合回路
6 差動増幅回路
7 ローパスフィルタ
8 信号処理回路
11、31 タイマー回路
12、32 SW信号発生回路
26 増幅回路
T2、T12 発振用トランジスタ(発信用素子)
A1、A2、A11 アンテナ(送受信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振用素子を有し、所定の発振周波数の信号を出力する信号発生回路と、
前記信号発生回路を間欠的に駆動する制御回路と、
前記信号発生回路から出力された信号を対象物に送信すると共に、前記対象物に反射された信号を受信する送受信部と、
前記信号発生回路から出力された信号と前記対象物に反射された信号とを混合する混合回路とを備え、
前記混合回路から出力された信号に基づいて前記対象物の動き、距離、速度の少なくとも1つを検出することを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記制御回路は、間欠的にパルス信号を発生させる回路であり、
前記発振用素子の制御端子に前記パルス信号を印加するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記パルス信号のパルス幅とパルス間隔との比を可変することによって検出間隔を設定したことを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記信号発生回路と前記送受信部との間に前記信号発生回路から出力された信号の所定の周波数帯域を取り出すバンドパスフィルタが接続されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記送受信部は、前記信号発生回路から出力された信号のうち所定の周波数帯域を放射する周波数特性を有する送信アンテナを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記送受信部は、前記信号発生回路から出力される信号を送信する送信アンテナと、前記対象物によって反射された信号を受信する受信アンテナとを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記送受信部は、前記信号発生回路から出力される信号を送信すると共に、前記対象物によって反射された信号を受信する送受信共用アンテナを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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