説明

ゼオライト組成物とその製造および使用

本発明は、結晶で金属およびケイ素の連続的空間分布で特徴付けられ、同一結晶の内側部分と比較してケイ素に富む結晶表面で特徴付けられる、ゼオライトまたは微孔質メタロシリケートの新規組成物に関する。本発明は、構成元素の空間分布を有したこれらのメタロシリケートを製造する合成法にも関する。これらの新規ゼオライト組成物は様々な炭化水素変換反応で用いられる。結晶メタロシリケートは、アルミノシリケート、ガロシリケート、フェロシリケート、チタノシリケートおよびボロシリケートからなる群より選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶メタロシリケートまたはゼオライト組成物とそれらの製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは様々なタイプの炭化水素変換で触媒性を有することが証明されてきた。加えて、ゼオライトは、様々なタイプの炭化水素変換プロセスと他の用途に、吸着剤および触媒キャリアとして用いられてきた。これらのゼオライトは、X線回折で調べると一定の結晶構造を有し、細孔で連結されている多数の小さな空洞を有した、規則的孔質結晶物質である。これらの溝または細孔の寸法は、ある寸法の分子の吸着を行えるが、それより大きな寸法のものは排除するような程度である。結晶性網状構造で形成される隙間空間または溝は、分離プロセスでモレキュラーシーブとして、様々な炭化水素変換プロセスで触媒および触媒担体として、ゼオライトを使用可能にしている。ゼオライトまたはメタロシリケートは、酸化ケイ素の格子と、場合により、アルカリまたはアルカリ土類金属イオンのような交換可能カチオンと場合により組み合わされた金属酸化物から構成されている。“ゼオライト”という用語はシリカと場合によりアルミナを含有した物質を含むが、シリカおよびアルミナ部分は他の酸化物で全部または一部置き換えられると認識されている。例えば、酸化ゲルマニウムがシリカ部分に置き換われる。メタロシリケートの酸化物骨組みでケイ素以外の金属カチオンとしては、鉄、アルミニウム、チタン、ガリウムおよびホウ素がある。したがって、“ゼオライト”という用語は、ここでは微孔質結晶メタロシリケート物質を意味している。メタロシリケートの触媒性は、ゼオライトの骨組みにおけるケイ素とは異なる元素の存在の結果である。酸化物骨組みにおいてケイ素に代わる金属カチオンの置き換えは、潜在的触媒活性部位を生み出す。最もよく知られたメタロシリケートは、結晶の細孔で酸性基を示すアルミノシリケートである。低原子価状態でアルミナのような元素によるケイ素の置き換えは正電荷不足を生じるが、これは水素イオンのようなカチオンで補われる。ゼオライトの酸部分はゼオライトの表面とゼオライトの溝内にも存在しうる。ゼオライトの細孔内では、炭化水素変換反応、例えばパラフィン異性化、オレフィン骨格または二重結合異性化、オリゴマー化、不均化、芳香族のアルキル化およびトランスアルキル化がモレキュラーシーブの溝サイズで強いられる制約により支配されることがある。
【0003】
細孔の内部に存在する酸性プロトンは、形状選択的制約に付される。“形状選択的”触媒作用の原理は、例えばN.Y.Chen,W.E.Garwood and F.G.Dwyer,”Shape selective catalysis in industrial applications”,36,Marcel Dekker,Inc.,1989で詳細に説明されている。しかしながら、酸性基はメタロシリケート結晶の外面にも存在しうる。これらの酸性基は結晶細孔構造で強いられる形状選択的制約に付されない。外面上の酸性基はここでは外面酸部分と称されている。外面酸部分は製品選択性を減少させる望ましくない反応を触媒することがある。結晶細孔構造で強いられる制約に付されない典型的な非選択性表面触媒反応は、(1)オレフィン類の伸長オリゴ/ポリマー化、(2)拘束細孔構造内で選択的に生じるアルキル芳香族の異性化、(3)多環式芳香族の形成、(4)芳香族のマルチアルキル化、(5)オレフィン類および/またはパラフィン類の多分岐化、および(6)望ましくない炭素配置に至るコークスの高分子型前駆体の形成である。外面酸部分の相対量は結晶サイズにより定まる:小さな結晶は大きな結晶より多くの外面酸部分を有している。ゼオライトまたはメタロシリケートの外面酸部分の存在を減少させることが、それらのプロセス性能を改善するためには、多くの場合に有利である。性能尺度には、製品選択性、品質および触媒安定性がある。
【0004】
部分的脱アルミナ化を行うことでその活性を変えようとするゼオライトの処理は周知である。ゼオライト脱アルミナ化に関する従来の技術には、熱水処理、HCl、HNOおよびHSOでの鉱酸処理と、SiClまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)での化学処理、またはそれらの組合せがある。しかしながら、該処理はゼオライト結晶表面に限定できない。それらはゼオライトの内孔も変えてしまう。このような方法は、例えば、US‐A‐3442795とKerr,G.T.,J.Phys.Chem.,71,4155(1967)およびScherzer,J.,J.Catalysis,54,285-288(1978)の論文で記載されている。これらのプロセスでは、アルミノシリケート骨組みからアルミニウムを除去するために、酸形のゼオライトが加水分解に付される。次いで、アルミノシリケートから容易に除去されうるアルミニウム錯体を形成するために、エチレンジアミン四酢酸またはカルボン酸のような錯化またはキレート化剤の使用により、アルミニウムはアルミノシリケートから物理的にある程度離しておける。従来の脱アルミナ化技術における主な欠点の1つは、それらがゼオライトの骨組み全体、即ちゼオライトの外面および内側細孔双方からアルミニウム原子を除去してしまうことである。外面からアルミニウム原子の除去はゼオライトの非形状選択的活性を和らげる上で望ましいが、細孔構造内からアルミニウム原子の除去は望ましくなく、その理由はゼオライト細孔において形状選択的制約で特徴付けられる触媒部位の減少をもたらすからである。細孔内の骨組みから内部アルミニウム原子の除去は、非晶質酸化アルミニウム種の存在のせいで、ゼオライト細孔構造の部分的破壊と部分的細孔閉塞も生じることがある。
【0005】
ゼオライト結晶の外面で触媒される望ましくない非選択的反応の発生を最少に抑えるために、嵩高い試薬での抽出または表面毒作用により表面酸部分を減少または除去する方法が用いられてきた。従来、外面非活性化ゼオライトを製造して、内部対外部触媒反応の相対比率を変えるために、様々な技術が用いられてきた。
【0006】
大きな結晶サイズの使用はこの比率を増せる。US‐A‐4100215は、トルエンのメチル化でp‐キシレンを増加させるために、1ミクロンより大きなゼオライト結晶の使用について記載している。しかしながら、拡散制限が重要であるとき、大きな結晶は全体的触媒活性を減少させることがある。
【0007】
US‐A‐4001346は、ゼオライトの表面にコークスのコーティングを施す前処理をうけたゼオライトを製造する方法について記載している。
【0008】
カチオン性窒素またはリン化合物のような大きなカチオンとポリアミン類のような大きな分岐化合物などでの処理によるゼオライト改質が、US‐A‐4101595で記載されている。嵩高いフェノール系およびシリケート化ゼオライト表面改質剤がUS‐A‐4100215およびUS‐A‐4002697で各々記載されている。ゼオライトの表面酸部分は、US‐A‐4520221および4568786で記載されているように、嵩高いジアルキルアミン試薬での処理により除去または減少されうる。US‐A‐4716135は、立体障害塩基有機リン化合物を同時供給することにより表面不活性化されうる、ゼオライト触媒について開示している。
【0009】
選択的脱アルミナ化技術がこれまでに記載されていた。US‐A‐5080878は、表面ゼオライトアルミニウムを抽出してケイ素で置き換えるために、フルオロシリケート塩で結晶アルミノシリケートゼオライトを改質することを開示している。US‐A‐5043307によると、様々な炭化水素変換、特に高粘度指数の潤滑油をもたらすオレフィンのオリゴマー化で、高い触媒選択性を有する改質ゼオライトを得るために、結晶アルミノシリケートゼオライト触媒の表面酸部分が減らされている。結晶アルミノシリケートを改質するために記載されたプロセスでは、合成ゼオライト含有有機鋳型物質としてスチーム処理し、次いでアルミニウムと水溶性錯体を形成する脱アルミナ剤とアンモニウム、アルカリ金属または水素形のゼオライトを接触させる。上記処理は、本質的に内部構造に影響を与えることなく、ゼオライトで酸部位の減少をもたらす。結果的に、未処理触媒の表面で生じやすく、製品収率の低下および/または製品特性の劣化を招く、望ましくない副反応の発生が、有意に減る。表面不活性化ゼオライトを製造する類似プロセスがUS‐A‐5234872、5284989、5308471および5242676で記載され、ゼオライト細孔内における有機物の存在が表面脱アルミナ化を促進しているが、その理由はそれがジカルボン酸を細孔へ入れないようにし、こうしてゼオライト結晶の表面の脱アルミナ化のみが可能となるからである。他の開示、US‐A‐5304695では、ゼオライト細孔のものより大きな平均断面径を有する脱アルミナ化剤が、ゼオライト表面を選択的に脱アルミナ化するために用いられている。芳香族化合物のアルキル化およびトランスアルキル化で用いられたときに、実質的に大きな安定性と大きな触媒寿命を示すゼオライトベータの新型が、US‐A‐5723710で開示されている。この表面改質ゼオライトベータは、ゼオライトベータの脱アルミナ化を生じることなく、表面アルミニウム原子の化学環境を変えるために十分な時間にわたりpH約0〜約2の酸および約125℃以下の温度で鋳型ゼオライトベータを処理することにより製造される。
【0010】
US‐A‐4677239およびUS‐A‐4533533は、異物、例えばコークスでゼオライトの細孔系を満たし、ゼオライトの外側部分から異物の一部を除去し、外側部分を脱アルミナ化し、次いで異物の残部を除去することにより行われる、アルミノシリケートゼオライトの選択的および制御的脱アルミナ化のためのプロセスについて記載し、トルエン不均化反応で触媒としてこのような部分的脱アルミナ化ゼオライトの使用はp‐キシレンに大きな選択性を呈する。これらのゼオライトは、未処理ゼオライトに実質上特有のシリカ対アルミナ比を有する内部コアと、該内部コアより高いシリカ対アルミナ比を有する外部スキンを含んでなることで特徴付けられる。他の選択的表面脱アルミナ化プロセスがUS‐A‐4654454および4654316で記載されている。ゼオライトは第一組のカチオンとイオン交換され、次いでゼオライトの細孔へ入れず熱処理で分解される第二組のカチオンとイオン交換される。その後の公知技術による脱アルミナ化で、選択的表面脱アルミナ化ゼオライトを得る。
【0011】
US‐A‐4088605、4148713および4203869は、所定期間にわたり結晶化媒体中で結晶化を行い、次いで結晶化媒体を変えてそこからアルミニウムを除去することにより製造された、無アルミニウム外殻を含有する結晶アルミノシリケートゼオライト粒子について開示している。これは、反応混合物の全体的入換えにより、あるいはグルコン酸、酒石酸、ニトリロ三酢酸またはEDTAのような試薬で原反応混合物から残留アルミニウムイオンの錯化により行える。しかしながら、これらの方法はプロセスの複雑さを増すことが多い。それは2段階プロセスである。このようなプロセスを制御できるためには、適時に結晶化プロセスを中断して反応媒体を変えられるほど結晶化反応が十分遅くなるような操作条件でなければならない。更に、有機錯化化合物は経済的に実施可能な時間でゼオライトを生産するために必要な高い反応温度に耐えられない。結晶ボロシリケート製のコアと結晶酸化ケイ素製の殻を含んでなる二重構造を有したゼオライト型触媒がUS‐A‐4503164で記載されている。US‐A‐4788374において、ガソリン、留出物および高粘度潤滑油のような液体炭化水素への低分子量オレフィン類の変換に有用な表面不活性形状選択的メタロシリケート触媒は、コアの表面にフッ化物イオンの存在下でシリカを結晶化させることにより、メタロシリケートコア上でシリカ殻を形成することからなるプロセスにより製造される。該発明のプロセスに従い製造される触媒は、内側部分と該内側部分周囲の孔質殻として配置された外側部分を含んでなり、内側部分は中度細孔メタロシリケートを含んでなり、外側部分は酸部位を実質的に含まない結晶シリカを含んでなり、該外側部分はフッ化物イオンを含有したアルカリシリケート溶液から結晶化されている。US‐A‐6013851では、コアおよび表面層を有し、オレフィンオリゴマー化で分岐の少ない触媒が記載されている。モレキュラーシーブの各粒子はコアの上に表面層を配置させてなり、該コアがケイ素およびアルミニウムを含有したゼオライトで、該表面層がケイ素およびアルミニウムを含有したゼオライトであって、表面層のゼオライトがコアと同様の結晶構造であり、コアのものより高いケイ素:アルミニウム比を有している。US‐A‐5994603は、p‐キシレンへのトルエンのメチル化で、ゼオライト結合ゼオライトの使用について開示している。商業的プロセスで用いる前に、ゼオライト触媒が通常結合される。このような結合ゼオライトがトルエンメチル化のような触媒変換プロセスで用いられる場合、結合剤はゼオライト内で生じている化学反応に影響を与えることがあり、望ましくない産物の形成を招く望ましくない反応を触媒するかもしれない。結合剤として第二ゼオライト結晶の使用は、第一ゼオライト結晶の表面でまたはその近くで生じる望ましくない反応を制御するための手段を提供する触媒をもたらし、その理由は第二ゼオライトの酸部分が慎重に制御でき、反応剤の物質移動性を改善できて、ゼオライトの細孔へのおよびそこからのアクセス性を高められるからである。記載された発明のプロセスで用いられるゼオライト結合ゼオライト触媒は、好ましくは3段階操作で製造される。第一段階は第一ゼオライト結晶の合成である。次いで、好ましくは、均質組成物が押出可能ペーストの形で生じるまで、アルミノシリケートゼオライト結晶、シリカゲルまたはゾル、水と、場合により押出助剤および場合により金属成分を含んでなる混合物を混ぜることにより、シリカ結合アルミノシリケートゼオライトが製造される。3段階触媒製造プロセスで最終段階は、第一ゼオライト結晶を一緒に結合させるように働く、第二ゼオライトへのシリカ結合触媒に存在するシリカの変換である。そのため、第一ゼオライト結晶は相当量の非ゼオライト結合剤の使用なしでつなぎ合わされている。ゼオライト結合ゼオライト触媒を製造するために、シリカ結合凝結体は最初に高温で適切な水溶液中において熟成される。次いで、溶液の内容と、凝結体が熟成される温度が、非晶質シリカ結合剤を第二ゼオライトへ変換させるように選択されるべきである。第二ゼオライトは第一ゼオライトと同タイプであることが好ましい。
【0012】
有機ケイ素化合物の蒸気相または液相付着技術による、シリカ層でのゼオライト結晶の外面コーティングに関するいくつかのプロセスが記載されていた(US特許No.4465886、4477583、4950835、5349113、5349114、5365004、5365003、5403800および5659098)。これらの製造方法は高価なケイ素化合物を用い、多くの場合に数段階を要し、そのことが該プロセスの再現を難しくしている。ケイ素コーティングの付着は必ずしも外面に限定されず、内面も不活性化されることがあり、触媒活性の有意な減少を招いている。
【0013】
表面活性が低下し、そのため製品選択性が向上したゼオライトを製造するための上記プロセスは、すべてが、なお有意な表面活性を有するゼオライトの初期合成後に後処理段階を要するマルチ段階プロセスである。そのため、表面活性が低下したより効率的なゼオライトを製造する改良法の必要性がある。後処理段階を要せずに、構成元素の空間配置と、ひいては強く低下した表面活性で直接的に特徴付けられるゼオライトまたはメタロシリケートを、制御しながら1段階プロセスでどのように製造するかは、全く知られていなかった。
【0014】
古典的ゼオライトまたはメタロシリケート合成は、熱水および自発的条件下において水性媒体中で行われる。水溶液は、金属前駆体化合物として栄養素、ケイ素前駆体、鉱化剤と、多くの場合に、結晶化プロセスに際して鋳型または細孔フィラーとして作用する有機化合物も含有している。典型的な製法では、結晶化が生じるまで、鉱化剤と鋳型または構造指向剤の存在下において、水中にシリカ源と場合により第二金属、例えばアルミニウム、鉄、ガリウム、ホウ素およびチタン源を含有した混合物を加熱する。ゼオライト合成の一般的原理は、例えば”Synthesis of High-silica Aluminosilicate Zeolites”,Study of Surface Science and Catalysis,vol.33,Elsevier,1987および”Synthesis of Aluminosilicate Zeolites and Related Silica-based Materials”,Catalysis and Zeolites:Fundamentals and Applications,Springer,1999のように、これまでに多く記載されている。通常アルカリまたはアルカリ土類水酸化物である鉱化剤はケイ素および第二金属源の溶解化剤の機能を発揮し、それらを反応溶液またはゲルから核形成部位または生長結晶へ運ぶ。鋳型はカチオン性または中性有機化合物であり、特定ゼオライト構造の形成に有利となりやすい。鋳型と鉱化剤は更に媒体のpHを制御して、メタロシリケートのアニオン性骨組みとの電荷均衡化を図れる。細孔フィラー効果とは異なる種類の機能を有する様々な有機分子が従来記載されていた。これらの追加有機分子は、他のものより特定のゼオライト構造の形成に有利に働く。
【0015】
US‐A‐5063038およびUS‐A‐5160500は、(a)アミンのような有機窒素含有化合物または四級アンモニウム化合物と(b)アルコールおよび/またはジオールの組合せである混合有機指向剤を含んでなる反応混合物から、ZSM‐5以外のゼオライトを製造するための方法を提供している。この方法で合成される具体的なゼオライトにはZSM‐22およびZSM‐23がある。アルコールまたはジオールの使用はZSM‐5の同時形成を阻止する。特にZSM‐23を製造するために用いられる場合、この方法は小さな結晶サイズでより触媒的に活性なZSM‐23の製造を可能とし、低い結晶化温度の使用も可能にしている。US‐A‐4199556は、実質的に有機アンモニウムカチオン不足の産物を得る上で、ZSM‐5結晶の種および水酸化アンモニウムと一緒に2〜5炭素のアルコール類の使用について開示している。US‐A‐3702886は、結晶の伸長に至る、グリセロールの存在下におけるZSM‐5の合成について記載している。EP‐A‐87017は、シリカ源、アルミナ源、アルカリまたはアルカリ土類源およびメタノールを含有した水性混合物を反応させることによる、新ゼオライト構造の生産プロセスについて開示している。EP‐A‐102497では、結晶シリケートの製造にエチレングリコールの使用が記載されている。エチレングリコールは結晶シリケートに残留しないが、望ましい結晶構造の形成に際して役割を果たす。上記開示において、追加の有機化合物は水溶性であり、構造指向剤の役割を果たしている。Jacobsらは、”Synthesis of High-Silica Aluminosilicate Zeolites”,Study of Surface Science and Catalysis,vol.33,Elsevier,1987で、アルコール類の存在下におけるZSM‐5の合成について考察していた。様々な水溶性アルコール類が、結晶化効率および結晶サイズで異なる効果を有している。
【0016】
Bibby et al.,Nature,317,p.157,1985は、エチレングリコールまたはプロパノールで例示される、非水性溶媒系中におけるソーダライトの製造について開示している。Erp et al.,Zeolites,7,p.286,1987およびQisheng et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,p.1486,1988は、グリコール類、グリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド、エタノール、ピリジンおよびC6‐C7アルコール類を含めた有機溶媒中における、4、5または6員環のゼオライトの合成について記載している。US‐A‐5320822では、サイズが0.3〜3mm程度の大結晶の合成のためのプロセスが記載されている。ゼオライトは、シリカ、アルミナおよび電荷均衡化イオン源、窒素含有有機塩基、フッ化水素と、場合により有機溶媒および水を、水対骨組み原子の比率が約6モル以下となり、水対窒素含有塩基の比率が0.3モル以下となるような量で含有した、生長媒体中で製造される。上記の例では、あるゼオライトが本質的に無水の有機溶媒媒体中で合成され、独特なゼオライト構造またはゼオライト結晶テキスチャーを生じることを示している。
【0017】
先行技術では、コアの組成が粒子の殻の組成と異なるゼオライト粒子を提供する目的で、第二段階において一次製造ゼオライトを二次製造ゼオライトの殻で被覆するか、あるいは第二段階において一次製造ゼオライトをシリカの層で被覆するために、一次製造ゼオライトが後処理されるプロセスを提供している。
【発明の開示】
【0018】
したがって、構成元素の連続的空間分布で特徴付けられ、同一結晶の内側部分と比較してケイ素に富む結晶外面で特徴付けられる、直接1段階合成により製造される新規ゼオライトまたはメタロシリケート組成物を提供することが、本発明の目的である。結果として、構成元素の空間分布で特徴付けられる新規組成のメタロシリケートは、形状選択的制約に付される内部細孔と比較して低い表面活性を有している。このような連続的空間分布によれば、連続的空間分布のない組成物で行われた一部の反応で観察される選択性の欠如の問題を避けられる。いかなる追加の後処理段階も要せずに、構成元素の連続的空間分布で特徴付けられるメタロシリケートを制御しながら1段階プロセスで製造するためのプロセスを提供することが、本発明の別な目的である。
【0019】
本発明は、結晶メタロシリケート組成物の製造方法を提供し、該方法は、
(a)水性液相および非水性液相を含んでなり、少なくとも1種のケイ素含有化合物と少なくとも1種の金属含有化合物を更に含んでなる二相液体媒体を用意し、
(b)二相液体媒体から結晶メタロシリケート組成物を結晶化させる
段階からなる。
【0020】
少なくとも1種のケイ素含有化合物は水性液相および非水性液相の双方に存在でき、少なくとも1種の金属含有化合物は実質的に水性液相に存在できる。
【0021】
好ましくは、少なくとも1種のケイ素含有化合物はアルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、沈降シリカ、発熱性シリカおよびシリカの水性コロイド懸濁物の少なくとも1種から選択される。
【0022】
好ましくは、少なくとも1種の金属含有化合物は金属酸化物、金属塩および金属アルコキシドの少なくとも1種から選択される。
【0023】
好ましくは、メタロシリケートはアルミノシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物はアルミニウム化合物を含んでなり、そのアルミニウム源はアルカリ溶液に溶解された水和アルミナ、アルミニウム金属、水溶性アルミニウム塩、例えば硫酸アルミニウムまたは塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムおよびアルコキシド、例えばアルミニウムイソプロポキシドの少なくとも1種から選択される。
【0024】
好ましくは、メタロシリケートはボロシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物はホウ素化合物を含んでなり、そのホウ素源はアルカリ溶液に溶解された水和酸化ホウ素、水溶性ホウ素塩、例えば塩化ホウ素およびアルコキシドの少なくとも1種から選択される。
【0025】
好ましくは、メタロシリケートはフェロシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物は鉄化合物を含んでなり、その鉄源は水溶性鉄塩である。
【0026】
好ましくは、メタロシリケートはガロシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物はガリウム化合物を含んでなり、そのガリウム源は水溶性ガリウム塩である。
【0027】
好ましくは、メタロシリケートはチタノシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物はチタン化合物を含んでなり、そのチタン源はハロゲン化チタン、オキシハロゲン化チタン、硫酸チタンおよびチタンアルコキシドの少なくとも1種から選択される。
【0028】
好ましくは、非水性液相は、実質的に非水溶性または非水混和性である有機溶媒を含んでなり。
【0029】
好ましくは、有機溶媒は、少なくとも5つの炭素原子を有するアルコールまたは少なくとも5つの炭素原子を有するメルカプタンのうち少なくとも1種を含んでなる。
【0030】
好ましくは、アルコールは18以下の炭素原子を有し、メルカプタンは18以下の炭素原子を有している。
【0031】
好ましくは、非水性液相の液体媒体対水性液相の液体媒体の質量比は0.01/1〜5/1である。
【0032】
好ましくは、非水性液相の液体媒体対二相液体媒体中ケイ素のモル比は100/1〜0.5/1である。
【0033】
好ましくは、本方法は、第一の水性媒体と第二の非水性媒体を用意し、二相液体媒体を形成させるために第一および第二媒体を一緒に混合することにより、二相液体媒体を形成させる段階を更に含んでなる。
【0034】
好ましくは、第一の水性媒体は少なくとも1種のケイ素含有化合物の第一部分を含んでなり、第二の非水性媒体は少なくとも1種のケイ素含有化合物の第二部分を含んでなる。
【0035】
好ましくは、第一の水性媒体は少なくとも1種のケイ素含有化合物の25〜100質量%未満を含んでなり、第二の非水性媒体は少なくとも1種のケイ素含有化合物の0超〜75質量%を含んでなる。
【0036】
好ましくは、第一の水性媒体は第一のケイ素含有化合物を含んでなり、第二の非水性媒体は第二のケイ素含有化合物を含んでなる。
【0037】
好ましくは、第二のケイ素含有化合物はケイ素アルコキシドを含んでなる。
【0038】
好ましくは、本方法では、更に、二相液体媒体に少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液を加える。
【0039】
本発明は、外面下約10nmの深さを有する結晶外面層と外面下約50nmの深さから内側に伸びる内側部分とを有する結晶を含んでなり、メタロシリケート組成物中におけるケイ素/金属の原子比が内側部分のものと比較して結晶外面層で少なくとも1.5倍高い、結晶メタロシリケート組成物も提供する。
【0040】
本発明で提供される結晶を含んでなる結晶メタロシリケート組成物は、ケイ素/金属の連続的空間分布により特徴付けられ、結晶の外面から内側部分にかけて連続的に減少するメタロシリケート組成物中ケイ素/金属の原子比を有している。
【0041】
好ましくは、内側部分は15〜1000、更に好ましくは20〜500のケイ素/金属原子比を有し、結晶表面は22.5〜15000、更に好ましくは45〜5000のケイ素/金属原子比を有している。
【0042】
好ましくは、内側部分は実質的に一定のケイ素/金属原子比を有している。
【0043】
好ましくは、メタロシリケートはアルミノシリケート、ボロシリケート、フェロシリケート、ガロシリケートまたはチタノシリケートである。
【0044】
本発明は、炭化水素変換プロセスにおける触媒成分として本発明の結晶メタロシリケート組成物の使用を追加的に提供する。
【0045】
本発明は結晶メタロシリケート組成物の製造方法を更に提供し、該方法は、
(a)少なくとも1種のケイ素含有化合物を溶解または分散させた水性液体を用意し、
(b)非水性液体を用意し、
(c)二相液体媒体を形成するために水性液体と非水性液体を混合し、
(d)(i)段階(a)で用意された水性液体に少なくとも1種の金属含有化合物を追加的に溶解または分散させるか、あるいは(ii)段階(c)の前に、段階(a)で用意された水性液体に、または段階(c)で形成された二相液体媒体に、少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液を加え、
(e)二相液体媒体から結晶メタロシリケート組成物を結晶化させる
段階からなる。
【0046】
好ましくは、少なくとも1種のケイ素含有化合物はアルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、沈降シリカ、発熱性シリカおよびシリカの水性コロイド懸濁物の少なくとも1種から選択される。
【0047】
好ましくは、少なくとも1種の金属含有化合物は金属酸化物、水溶性金属塩および金属アルコキシドの少なくとも1種から選択される。
【0048】
好ましくは、メタロシリケートはアルミノシリケート、ボロシリケート、フェロシリケート、ガロシリケートまたはチタノシリケートである。
【0049】
好ましくは、非水性液体は、実質的に非水溶性または非水混和性である有機溶媒を含んでなる。
【0050】
好ましくは、有機溶媒は、少なくとも5つの炭素原子を有するアルコールまたは少なくとも5つの炭素原子を有するメルカプタンのうち少なくとも1種を含んでなる。
【0051】
好ましくは、アルコールは18以下の炭素原子を有し、メルカプタンは18以下の炭素原子を有している。
【0052】
好ましくは、二相液体媒体における非水性液体対水の質量比は0.01/1〜5/1である。
【0053】
好ましくは、二相液体媒体における非水性液相対ケイ素のモル比は100/1〜0.5/1である。
【0054】
好ましくは、段階(a)で用意される水性液体が第一のケイ素含有化合物を含んでなり、段階(b)で用意される非水性液体がそこに溶解または分散された第二のケイ素含有化合物を含んでなる。
【0055】
好ましくは、二相液体媒体において、第一のケイ素含有化合物が少なくとも1種のケイ素含有化合物の25〜100質量%未満を含んでなり、第二のケイ素含有化合物が少なくとも1種のケイ素含有化合物の0超〜75質量%を含んでなる。
【0056】
好ましくは、第二のケイ素含有化合物はケイ素アルコキシドを含んでなる。
【0057】
好ましくは、段階(a)で用意される水性液体が少なくとも1種のケイ素含有化合物の全部を含んでなる。
【0058】
好ましくは、段階(d)で加えられる少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液が、少なくとも1種の金属含有化合物の全部を含んでなる。
【0059】
好ましくは、段階(d)で加えられる少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液が、窒素、酸素、硫黄またはリンを含有した少なくとも1種の有機または無機化合物を含んでなる、メタロシリケート用の構造指向剤を更に含んでなる。
【0060】
本発明者らの知るかぎりでは、1つが水性媒体および他が本質的に非水溶性の媒体である二相媒体の使用が構成元素の連続的空間分布をもたらし、同一結晶の内側部分と比較してケイ素に富むメタロシリケートの結晶表面をもたらすことは、以前に認識されていなかった。本発明は、二相結晶化媒体を用いることにより、構成元素の連続的空間分布で特徴付けられ、同一結晶の内側部分と比較してケイ素に富む表面組成で特徴付けられるメタロシリケート結晶を、1段階プロセスで製造するための方法を提供する。
【0061】
構成元素の連続的空間分布で特徴付けられ、ケイ素に富む表面で特徴付けられる、新規組成のメタロシリケートを製造するための本発明のプロセスは、好ましくは、下記操作からなる:
1.酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化ホウ素または酸化ガリウムのような三価金属酸化物源、シリカ、ゲルマニアおよびチタニアのような四価酸化物、アルカリ金属またはアンモニウムカチオンと、場合により構造指向剤を含有した水性反応混合物を調製し;
2.少なくとも1種のアルコールまたはメルカプタンを含有した有機溶媒混合物を水性混合物へ加え(有機混合物は本質的に水性混合物に可溶性または混和性でなく、有機ケイ素化合物、例えばテトラエチルオルトシリケートを場合により含有している);
3.望ましいメタロシリケートの結晶化を達成するために十分な温度で十分な時間にわたり、場合により攪拌下で、二相媒体混合物を加熱し;および
4.結晶化混合物を冷却し、非結晶化栄養素を除去するために結晶を濾過および洗浄することにより、結晶化プロセスを止める。
【0062】
本発明の態様は、添付図面を参考にして、例としてのみここでは記載されている。
【0063】
本発明の方法で製造される、構成元素の空間分布で特徴付けられ、ケイ素に富む表面で特徴付けられるメタロシリケートは、いかなる合成結晶ゼオライトでもよい。これらゼオライトの例としては、大孔径ゼオライト、中孔径ゼオライトおよび小孔径ゼオライトがある。これらのゼオライトとそれらのイソタイプは、参考のためここに組み込まれる”Atlas of Zeolite Structure Types”,eds.W.H.Meier,D.H.Olson and Ch.Baerlocher,Elsevier,Fourth Edition,1996で記載されている。構造タイプは”IUPAC Commission of Zeolite Nomenclature”により規定されている。大孔径ゼオライトは少なくとも約0.7nmの孔径を有し、例がカッコ内で示された下記構造タイプを含む:LTL(L)、MAZ(マッザイト、オメガ、ZSM‐4)、MEI(ZSM‐18)、FAU(ゼオライトY、ゼオライトX)、EMT(CSZ‐1、ECR‐30、ZSM‐3およびZSM‐20)、OFF(オフレタイト)、″BEA(ベータ)、MWW(MCM‐22、ITQ‐1、PSH‐3、SSZ‐25、ERB‐1)およびMOR(モルデナイト)。中孔径ゼオライトは通常約0.5nm〜約0.7nmの孔径を有し、例えばCON(CIT‐1、SSZ‐26、SSZ‐33)、IFR(ITQ‐4、MCM‐58およびSSZ‐42)、MFI(ZSM‐5、シリカライト、TS‐1)、MEL(ZSM‐11、シリカライト‐2、TS‐2)、MTW(ZSM‐12、CSH‐5、Nu‐13、シータ‐3)、EUO(ZSM‐50、TPZ‐3)、MTT(ZSM‐23、EU‐13、ISI‐4、KZ‐1)、MFS(ZSM‐57)、HEU(クリノプチロライト)、FER(ZSM‐35、フェリエライト、FU‐9、ISI‐6、NU‐23、Sr‐D)、NES(NU‐87)、SFF(SSZ‐44)、STF(SSZ‐35)およびTON(ZSM‐22、シータ‐1、ISI‐1、KZ‐2およびNU‐10)構造タイプを含む。小孔径ゼオライトは約0.3nm〜約0.5nmの孔径を有し、例えばCHA(チャバサイト)、ERI(エリオナイト)を含む。
【0064】
一般的に、モルに関して表現された無水結晶メタロシリケートの化学式は、下記式で表わされる:
(4−n)/mM.(TO).SiO
上記式中“M”は水素、アンモニウム、一価、二価および三価カチオンとそれらの混合物からなる群より選択され、“m”は電荷均衡化カチオン“M”の原子価であり、“x”は少なくとも2、好ましくは少なくとも10の数であり、該値はゼオライトの具体的タイプに依存し、“T”はアルミニウム、ガリウム、ホウ素、鉄またはチタンのようなメタロシリケートのアニオン性酸化物骨組み構造中の金属である。“n”は“T”原子価である。“2x”はシリカ対“T”金属酸化物のモル比である。“x”はメタロシリケートの骨組み中におけるケイ素対“T”金属の原子/原子比である。
【0065】
メタロシリケートの様々な元素の供給源は市販でみられるいかなるものでもよく、または目的に合わせて製造してもよい。例えば、ケイ素源はシリケート、例えばアルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、沈降または発熱性シリカでも、または好ましくはシリカの水性コロイド懸濁物でもよい。メタロシリケートがアルミノシリケートゼオライトである場合、アルミニウム源は、好ましくは、アルカリ溶液溶解された水和アルミナ、アルミニウム金属、水溶性アルミニウム塩、例えば硫酸アルミニウムまたは塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウムまたはアルコキシド、例えばアルミニウムイソプロポキシドである。メタロシリケートがボロシリケートゼオライトである場合、ホウ素源は、好ましくは、アルカリ溶液に溶解された水和酸化ホウ素、水溶性ホウ素塩、例えば塩化ホウ素およびアルコキシドである。メタロシリケートがフェロシリケートまたはガロシリケートである場合、鉄またはガリウム源は、水に易可溶性である、ほぼいかなる鉄またはガリウム塩でもよい。メタロシリケートがチタノシリケートである場合、チタン源としてはハロゲン化チタン、オキシハロゲン化チタン、硫酸チタンまたはチタンアルコキシドがある。ケイ素/金属“T”の原子/原子比は金属“T”とメタロシリケートの用途に依存し、少なくとも2/1〜約10000/1、好ましくは5/1〜約5000/1、最も好ましくは約10/1〜1000/1である。水性結晶化媒体中において、上記無水式に基づき存在しうるメタロシリケートの量は、約1〜約50質量%、好ましくは4〜25、最も好ましくは6〜15質量%である。場合により、窒素、酸素、硫黄またはリンを含有する有機または無機化合物のような1種以上の指向剤も合成混合物中へ導入してよい。指向剤がカチオンである場合、それは水酸化物および塩、例えばハロゲン化物の混合物の形で導入される。用いられる該剤は本方法で製造されるメタロシリケートに依存する。指向剤の量も本方法で製造されるメタロシリケートに依存する。“M”カチオン源にはアルカリまたはアルカリ土類水酸化物または塩がある。“M”は水酸化アンモニウムまたは塩でもよい。指向剤と一緒に、“M”カチオンが結晶化媒体のpHを決定する。pHは通常8〜13である。その出発値は、本方法で製造されるメタロシリケート、触媒の望ましいサイズおよび結晶化が進行すべき望ましい速度に依存する。
【0066】
有機溶媒媒体は、好ましくは、本質的に非水溶性または非水混和性である。有機溶媒媒体は、好ましくは、本質的に非水溶性である少なくとも1種のアルコールまたはメルカプタンを含有している。本質的に非水溶性であるアルコール類またはメルカプタン類の例は、少なくとも5から約18以下の炭素を有するアルコール類またはメルカプタン類である。有機溶媒媒体は、アルコールまたはメルカプタン官能基を有しない他の非水溶性有機化合物も場合により含有しうる。当業者であれば、具体的メタロシリケートの合成に必要とされる場合、有機媒体の疎水性をどのように変えればよいかを知っている。所要量の非水溶性アルコール類またはメルカプタン類と一緒に用いられる有機化合物には、ハロ炭化水素、パラフィン系、シクロパラフィン系、芳香族炭化水素またはそれらの混合物がある。有機媒体対水性媒体の質量比は約0.01/1〜約5/1、最も好ましくは0.1/1〜約2/1である。結晶化混合物中におけるアルコールまたはメルカプタン対ケイ素のモル比は約100/1〜約0.5/1、最も好ましくは約20/1〜約1/1である。合成混合物の調製に際して、ケイ素源は、それが可溶性であれば、全体的にまたは場合により部分的に水性媒体へ加えられる。ケイ素源は部分的に有機媒体へ直接加えてもよく、例えばケイ素のアルコキシドは本質的に非水溶性である様々なタイプの有機溶媒に可溶性である。結晶化混合物の調製に際しては、用いられるケイ素の全量の0〜75%、好ましくは0〜50%で、ケイ素源が有機媒体へ加えられる。
【0067】
メタロシリケート結晶の表面に“近い”という用語は、約10nm以内の深さにある結晶の外側領域をここでは意味する。本発明に従い製造される結晶の表面に近いケイ素/金属“M”の原子/原子比は、全体バルクケイ素対金属“M”比より少なくとも1.5倍高く、50nm以上の深さから内側に伸びるバルク組成物より、好ましくは1.5〜15、更に好ましくは2〜10、最も好ましくは3〜5倍高い。
【0068】
諸成分の混合順序はさほど重要でなく、製造されるゼオライトにかなり依存する。例えば、1種以上の構成元素を各々含有した、水性または有機の、2種以上の別々な混合物が調製される。最初、水性混合物が激しい攪拌下で制御しながら混合される。通常、均質ゲルまたはゾルが水性混合物の混合に際して調製される。この結晶化媒体前駆体は、結晶化が生じず、場合により核形成が始まる温度で熟成してもよい。次いで有機混合物が水性混合物、ゲルまたはゾルへ加えられる。場合により、調製された水溶液の1つが有機媒体へ加えられ、その後で他の水溶液が制御しながら加えられる。場合により、結晶化が生じず、場合により核形成が始まる温度で、結晶化二相媒体が熟成される。当業者であれば、本発明のゼオライト結晶を製造するために用いられる装置を知っている。通常、混合物の有効な核形成および結晶化温度に達するまで、昇温に際して結晶化混合物を均質化するために十分な攪拌を行えるオートクレーブを用いることにより、メタロシリケートが製造される。結晶化容器は結晶化の条件に耐える金属または金属合金製でもよく、あるいは場合によりTeflon(R)TMのようなフルオロカーボンで被覆してもよい。オートクレーブの一部から他へ合成混合物を送り出すような、当業者に公知の攪拌を行える他の手段も用いてよい。結晶化温度に達したら、攪拌は継続してもまたは停止してもよい。攪拌は、2媒体のうち一方のみが均質化されるようなものでもよい。場合により、水性媒体のみが均質化され、追加の攪拌装置が有機媒体に存在しない。通常、水性媒体の攪拌は適度な程度である;好ましくはブレード型攪拌機の回転速度は約250rpm以下である。
【0069】
メタロシリケートの結晶化の終了時に、生成結晶が例えば冷却および濾過により反応混合物から分離され、水洗され、典型的には約25℃〜約250℃、更に好ましくは80℃〜約120℃の温度で乾燥される。本発明により製造された結晶は様々な形に成形される。本発明により得られたメタロシリケートから結晶が製造される場合、結晶は工業反応器で適用可能な形状を有する必要がある。結晶は乾燥前に成形され、または部分的に乾燥されてから成形され、あるいは結晶は焼成して有機鋳型を除去してから、成形してもよい。多くの結晶の場合に、本発明のプロセスにより製造された結晶ゼオライトは、有機変換プロセスで用いられる温度および他の条件に耐えられる結合剤物質と配合されることが望ましい。構成元素の空間分布で特徴付けられ、ケイ素に富む表面で特徴付けられるメタロシリケートの骨組みへ配合されている金属元素“T”を、結合剤物質が含有していないことは、当業者であれば容易に理解されるであろう。加えて、メタロシリケートの構成元素の空間分布とメタロシリケートのケイ素に富む表面を壊す元素も結合剤物質は含有していない。結合剤物質の例は、シリカ、ジルコニア、マグネシア、チタニア、シリカ‐マグネシア、シリカ‐ジルコニア、シリカ‐トリアおよびシリカ‐チタニアのような孔質マトリックス物質で複合化しても、シリカ‐マグネシア‐ジルコニアのような三元組成物でもよい。メタロシリケート成分と結合剤物質の相対割合は、約1〜約99質量%範囲のメタロシリケート含有率、更に好ましくは約10〜約85質量%範囲のメタロシリケート成分、更に一層好ましくは約20〜約80質量%というように、広範囲で変わる。本発明のプロセスにより製造されるメタロシリケートは、メタロシリケートに存在する原電荷均衡化カチオンを異なるカチオン、例えば周期律表金属のIB〜VIII族、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、白金、カルシウムまたは希土類金属と少なくとも部分的に置き換えるために、あるいはアンモニウムカチオンとの原電荷均衡化カチオンの交換、次いで酸性水素形を得る上でアンモニウム形の焼成により、より酸性形のゼオライトを供給するために、当業界で知られているように、有機鋳型を除去する焼成後に、更にイオン交換してもよい。酸性形は、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムまたはプロトン性酸、例えばHCl、HNOおよびHPOのような適切な試薬を用いて、イオン交換により容易に製造される。次いで、メタロシリケートは、アンモニアを除去して水素形を作るために、400〜550℃の温度で焼成してもよい。特に好ましいカチオンはメタロシリケートの使用に依存し、水素、希土類金属および元素の周期律表のIIA、IIIA、IVA、IB、IIB、IIIB、IVBおよびVII族の金属がある。本発明のプロセスにより製造されるメタロシリケートは、公知の前処理後に触媒活性を有する金属の少なくとも1種の異なる前駆体、例えば周期律表金属のIIA、IIIA〜VIIA、IB、IIB、IIIB〜VIB族、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、銅、亜鉛、パラジウム、白金、ガリウム、スズおよび/またはテルル金属前駆体で更に担持させてもよい。
【0070】
構成元素の空間分布で特徴付けられ、ケイ素に富む表面で特徴付けられる、本発明のメタロシリケートは、主にメタロシリケート結晶の内側部分における触媒活性部位の存在と、多くが、望ましくない副反応を生じさせうるメタロシリケート結晶の外面に近い非選択的触媒活性部位の不在の結果である、制御された触媒活性を有していることから、本発明のメタロシリケートはそれ自体でまたは1種以上の触媒活性物質との組合せで、様々な炭化水素変換プロセスで触媒として用いられたときに、高い活性、高い選択性、高い安定性またはそれらの組合せを有せる。このようなプロセスの例には、非制限例として、以下がある:
1.短鎖アルキル芳香族化合物を生じる軽質オレフィン類による芳香族炭化水素のアルキル化、例えばクメンを生じるプロピレンによるベンゼンのアルキル化およびエチルベンゼンを生じるエチレンによるベンゼンのアルキル化。典型的な反応条件として、約100℃〜約450℃の温度、約5〜約80バールの圧力および1hr−1〜約100hr−1の芳香族炭化水素質量空間速度がある。
2.短鎖アルキル多環式芳香族化合物を生じる軽質オレフィン類による多環式芳香族炭化水素のアルキル化、例えばモノまたはジイソプロピルナフタレンを生じるプロピレンによるナフタレンのアルキル化。典型的な反応条件として、約100℃〜約400℃の温度、約2〜約80バールの圧力および1hr−1〜約100hr−1の芳香族炭化水素質量空間速度がある。
3.アルキル化剤、例えばハロゲン化アルキルおよび1〜約20の炭素原子を有するアルコール類の存在下における、芳香族炭化水素、例えばベンゼンおよびアルキルベンゼン類のアルキル化。典型的な反応条件として、約100℃〜約550℃の温度、ほぼ大気圧〜約50バールの圧力、約1hr−1〜約1000hr−1の質量空間速度および約1/1〜約20/1の芳香族炭化水素/アルキル化剤モル比がある。
4.長鎖オレフィン類、例えばC14オレフィンによる芳香族炭化水素、例えばベンゼンのアルキル化。典型的な反応条件として、約50℃〜約300℃の温度、ほぼ大気圧〜約200バールの圧力、約2hr−1〜約1000hr−1の質量空間速度および約1/1〜約20/1の芳香族炭化水素/オレフィンモル比がある。
5.長鎖アルキルフェノール類を生じるオレフィン類または相当アルコール類によるフェノール類のアルキル化。典型的な反応条件として、約100℃〜約250℃の温度、約1〜50バールの圧力および約2hr−1〜約10hr−1の全質量空間速度がある。
6.ポリアルキル芳香族炭化水素の存在下における芳香族炭化水素のトランスアルキル化。典型的な反応条件として、約150℃〜約550℃の温度、ほぼ大気圧〜約100バールの圧力、約1hr−1〜約500hr−1の質量空間速度および約1/1〜約20/1の芳香族炭化水素/ポリアルキル芳香族炭化水素モル比がある。
7.芳香族(例えば、キシレン)供給原料成分の異性化。このような典型的な反応条件として、約200℃〜約550℃の温度、約1バール〜約50バールの圧力、約0.1hr−1〜約200hr−1の質量空間速度および約0〜約100の水素/炭化水素モル比がある。
8.ベンゼンおよびp‐キシレンを生じるトルエンの不均化。典型的な反応条件として、約200℃〜約600℃の温度、ほぼ大気圧〜約60バールの圧力および約0.1hr−1〜約30hr−1の質量空間速度がある。
9.軽質オレフィン類を生じるナフサ供給原料の接触分解。典型的な反応条件として、約450℃〜約650℃、大気圧〜約8バールの圧力および約5hr−1〜50hr−1の質量空間速度がある。
10.軽質オレフィン類、例えばプロピレンを生じるブテン類供給原料の接触分解。典型的な反応条件として、約450℃〜約650℃、大気圧〜約8バールの圧力および約5hr−1〜50hr−1の質量空間速度がある。
11.低分子量炭化水素への高分子量炭化水素の接触分解。本発明のメタロシリケートは、流体接触分解ユニットに用いられる常用触媒と組み合わせて用いてもよい。接触分解で典型的な反応条件として、約450℃〜約650℃の温度、約0.1バール〜約10バールの圧力および約1hr−1〜約300hr−1の質量空間速度がある。
12.直鎖パラフィン類を選択的に除去することによる炭化水素の脱ロウ。典型的な反応条件として、約200℃〜450℃の温度、10〜100バールの圧力および0.1hr−1〜20hr−1の液空間速度がある。
13.重油供給原料の水素化分解。メタロシリケート触媒は、水素化分解触媒で用いられるタイプの少なくとも1種の水素化成分を有効量で含有している。
14.場合により2種以上のメタロシリケートまたはメタロシリケートと他のゼオライトまたはモレキュラーシーブとの組合せが用いられる、組合せ水素化分解/脱ロウプロセス。
15.軽質パラフィン類からオレフィン類および/または芳香族への変換。典型的な反応条件として、約425℃〜約750℃の温度および約1〜約60バールの圧力がある。
16.軽質オレフィン類からガソリン、留出物および潤滑油範囲の炭化水素への変換。典型的な反応条件として、約175℃〜約450℃の温度および約3〜約100バールの圧力がある。
17.約400℃〜600℃、好ましくは480℃〜550℃範囲の温度、大気圧〜40バール範囲の圧力および0.1hr−1〜35hr−1範囲の液空間速度で炭化水素供給原料を触媒と接触させることによる、実質的に高いオクタン芳香族分を有する産物へのナフサ(例えばC6〜C10)の変換。
18.混合エーテル類を生じるアルコール類とオレフィン類との反応、例えばメチル‐t‐ブチルエーテル(MTBE)またはエチル‐t‐ブチルエーテル(ETBE)および/またはt‐アミルメチルエーテル(TAME)またはt‐アミルエチルエーテル(TAEE)を生じるメタノールまたはエタノールとイソブテンおよび/またはイソペンテンとの反応。典型的な変換条件として、約20℃〜約250℃の温度、2〜約100バールの圧力、約0.1hr−1〜約200hr−1の液空間速度および約0.2/1〜約3/1のアルコール/オレフィン供給原料モル比がある。
19.イソブテン、イソペンテン類および対応アルコールへの、MTBE、ETBE、TAMEまたはTAEEのようなエーテル類の分解。典型的な変換条件として、約20℃〜約300℃の温度、0.5〜約10バールの圧力、約0.1hr−1〜約200hr−1の液空間速度がある。
20.約275℃〜約600℃の温度、約0.5〜約60バールの圧力および約0.1hr−1〜約100hr−1の液空間速度を含めた反応条件下における、オキシゲネート類、例えばメタノールのようなアルコール類、ジメチルエーテルのようなエーテル類またはそれらの混合物から、オレフィン類および芳香族を含めた炭化水素への変換。
21.約2〜約10の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖オレフィン類のオリゴマー化。本方法の産物であるオリゴマーは6〜約50の炭素を有し、溶媒として供給原料をブレンドする燃料、潤滑油、アルキル化剤および様々な種類の酸素含有化合物を製造するための反応剤として有用である。オリゴマー化プロセスは、約150℃〜約350℃範囲の温度、約0.2hr−1〜約70hr−1の液空間速度および約5〜約100バールの圧力で通常行われる。
【実施例】
【0071】
本発明は下記非制限例で例示される。
【0072】
下記例では、生産して得られる物質を特徴付けるために用いられる技術が示されている。
【0073】
X線回折が、回折パターンを得るために、望ましい結晶構造が確認されたことを保証するために、または外来結晶相の存在を検出するために、および対照ゼオライトと比較した結晶度を調べるために用いられた。回折計はPhillips PW1830(Co Kα)であった。ゼオライト結晶度の割合を調べるために、MFIゼオライトに典型的な7ピーク(15.5、16.25、17.2、18、18.5、27、28°θ)の強度が、対照ゼオライトのものに対して標準化された。
【0074】
構成元素の空間分布は、“二次イオンマススペクトロメトリー”、即ちSIMSにより調べた。用いられた装置はCAMECA TOF-SIMS IVであった。ゼオライトが不導体物質であり、電荷効果を避けるために、低エネルギー電子フラッドガンが用いられた。組成プロファイルを深く解析するために、スパッタリングガンが分析ガンと同時に用いられた。両ガンは一次イオンとしてアルゴンを用い、スパッタリングガンイオンビームのエネルギーは20nAの電流密度で3keVであり、分析ガンは1pAの電流で10keVのエネルギーを有していた。
【0075】
スパッタリングガンは200×200ミクロンの表面積を浸食し、表面分析ガンは約5×5ミクロンの表面積を走査した。プロファイルは非交錯方式で行われたが、これはサンプルの分析とスパッタリングが完全に分離されていたことを意味する。サイクル順序は次の通りであった:30秒間分析‐30秒間スパッタリング‐2秒間停止。ゼオライト粉末が圧縮されて、ウェーハにプレスされた。ウェーハが支持体に固定され、10‐6〜10‐7Torrの真空下におかれた。24時間にわたる脱気後、分析が行われた。アルミニウムおよびケイ素の単原子種のみが濃度プロファイルで考慮され、二価カチオン(Si2+/Al2+)のみが定量的測定で考慮されている。従来の検量法が周知Si/Al比のゼオライトで実施された。分析の環境下で、検量線は下記式に相当した:
SIMSによる骨組みのSi/Al=2.1008Si2+/Al2+
【0076】
プロファイロメーターによれば、浸食速度は測定すると0.17nm/秒に相当した。
【0077】
比較例1
溶液AおよびBを混合することにより、Si/Al比約89のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0078】
溶液A:蒸留水25mL中水酸化ナトリウム9.1gおよびAl(SO・18HO 1.875g
溶液B:蒸留水500mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド26.81gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40の商品名でDuPont Chemicalsから市販)108.18g
【0079】
溶液B200.26gを300mLオートクレーブで15分間混合し、溶液A12.11gをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。水溶液のpHは約12.2であった。室温で30分間攪拌後、オートクレーブを実験室オーブンの回転アークスに固定した。結晶化温度を約2時間で150℃に高め、これを約8rpmの回転速度で24時間維持した。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0080】
得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。結晶は約1.5〜3μmのサイズを有していた。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図1で示されている。
【0081】
例1
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約81のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0082】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム17.9gおよびAl(SO・18HO 3.7g
溶液B:蒸留水675mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)216.9g
溶液C:ヘキサン‐1‐オール325mL
【0083】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。水溶液のpHは約12.76であった。室温で30分間攪拌後、結晶化温度を約2時間で150℃に高め、これを約150rpmの攪拌速度で24時間維持した。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0084】
得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。結晶は約1〜3μmのサイズを有していた。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図2で示されている。
【0085】
例2
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約83のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0086】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.1gおよびAl(SO・18HO 3.75g
溶液B:蒸留水675mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)162.76g
溶液C:ヘキサン‐1‐オール325mLおよびテトラエチルオルトシリケート75.35g
【0087】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。水溶液のpHは約12.25であった。室温で30分間攪拌後、結晶化温度を約2時間で150℃に高め、これを約150rpmの攪拌速度で24時間維持した。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0088】
得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。結晶は約1〜5μmのサイズを有していた。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図2で示されている。
【0089】
例3
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約60のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0090】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.19gおよびAl(SO・18HO 5.85g
溶液B:蒸留水775mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)162.76g
溶液C:ヘキサン‐1‐オール325mLおよびテトラエチルオルトシリケート75.35g
【0091】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。室温で30分間攪拌後、結晶化反応をステンレススチールオートクレーブ中約150rpmの攪拌速度で24時間にわたり150℃で行った。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0092】
得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図3で示されている。
【0093】
例4
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約150のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0094】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.19gおよびAl(SO・16HO 2.81g
溶液B:蒸留水775mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)162.76g
溶液C:ヘキサン‐1‐オール325mLおよびテトラエチルオルトシリケート75.35g
【0095】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。室温で30分間攪拌後、結晶化反応をステンレススチールオートクレーブ中約150rpmの攪拌速度で24時間にわたり150℃で行った。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0096】
得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図3で示されている。
【0097】
例5
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約315のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0098】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.19gおよびAl(SO・16HO 0.91g
溶液B:蒸留水775mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)162.76g
溶液C:ヘキサン‐1‐オール325mLおよびテトラエチルオルトシリケート75.35g
【0099】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。室温で30分間攪拌後、結晶化反応をステンレススチールオートクレーブ中約150rpmの攪拌速度で24時間にわたり150℃で行った。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0100】
得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図3で示されている。
【0101】
比較例2
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約87のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0102】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.27gおよびAl(SO・16HO 3.76g
溶液B:蒸留水675mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)162.89g
溶液C:ブタン‐1‐オール325mLおよびテトラエチルオルトシリケート75.4g
【0103】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。室温で30分間攪拌後、結晶化反応をステンレススチールオートクレーブ中約150rpmの攪拌速度で24時間にわたり150℃で行った。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0104】
得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。結晶は約1〜2μmのサイズを有していた。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図4で示されている。
【0105】
ブタン‐1‐オールは水性合成混合物に可溶性であり、そのため単相液体媒体のみが形成された。したがってアルコール ブタン‐1‐オールの使用は、ゼオライト結晶でアルミニウムの空間分布をもたらさなかった。
【0106】
例6
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約90のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0107】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.21gおよびAl(SO・16HO 3.75g
溶液B:蒸留水675mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)162.77g
溶液C:オクタン‐1‐オール325mLおよびテトラエチルオルトシリケート75.4g
【0108】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。室温で30分間攪拌後、結晶化反応をステンレススチールオートクレーブ中約150rpmの攪拌速度で24時間にわたり150℃で行った。産物を冷却し、10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。得られたアルミノシリケートの結晶度は100%であり、MFIゼオライトの回折パターンに相当した。結晶は約0.5〜1.0μmのサイズを有していた。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図4で示されている。
【0109】
オクタン‐1‐オールは水性合成混合物に不溶性であり、そのため二相液体媒体が形成された。したがってアルコール オクタン‐1‐オールの使用は、ゼオライト結晶でアルミニウムの空間分布をもたらした。
【0110】
比較例3
溶液AおよびBを混合することによりSi/Al比約100のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0111】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.2gおよびAl(SO・16HO 3.75g
溶液B:蒸留水1100mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)222g
【0112】
溶液AおよびBを2Lオートクレーブで15分間混合した。30分間攪拌後、結晶化反応をステンレススチールオートクレーブ中150℃で24時間行い、150rpmで攪拌した。産物を10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0113】
ナトリウム分を減らすために、得られたメタロシリケートを0.5M塩化アンモニウム溶液(4.2mL/gアルミノシリケート)により約100℃で各々3、18および3時間にわたりイオン交換した。次いで物質を110℃で16時間乾燥させ、400℃で3時間焼成した。
【0114】
SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図5で示されている。
【0115】
例7
溶液A、BおよびCを混合することによりSi/Al比約106のMFIアルミノシリケートを製造した。
【0116】
溶液A:蒸留水50mL中水酸化ナトリウム18.19gおよびAl(SO・16HO 3.75g
溶液B:蒸留水775mL中テトラプロピルアンモニウムブロミド53.61gおよび40質量%SiO含有コロイドシリカ(Ludox HS-40)162.76g
溶液C:ヘキサン‐1‐オール325mLおよびテトラエチルオルトシリケート75.35g
【0117】
溶液BおよびCを2Lオートクレーブで15分間混合し、溶液Aをゆっくり加えることによりヒドロゲルを得た。30分間攪拌後、結晶化反応をステンレススチールオートクレーブ中150℃で24時間行い、150rpmで攪拌した。産物を10Lの蒸留水で洗浄し、110℃で16時間乾燥させ、次いで有機物質を除去するために600℃で10時間焼成した。
【0118】
ナトリウム分を減らすために、得られたメタロシリケートを0.5M塩化アンモニウム溶液(4.2mL/gアルミノシリケート)により約100℃で各々3、18および3時間にわたりイオン交換した。次いで物質を110℃で16時間乾燥させ、400℃で3時間焼成した。
【0119】
合成混合物の相対モル組成と得られた産物の化学的グローバル組成が表1で示されている。SIMSで得られたようなSi/Alプロファイルが図5で示されている。
【0120】
例8
この例では、比較例3および例7に従い製造されたゼオライトを連続固定層反応器でトルエンの不均化におけるそれらの活性について試験した。35〜45メッシュの粒子を得るために、各ゼオライトをプレスおよび粉砕した。これらを10mm内径のステンレススチール反応器へ入れた。触媒試験は下記の条件下で行った:
ゼオライト2.26g
窒素流下500℃でゼオライトの活性化
400〜550℃の温度
WHSVは4h−1であった
水素/トルエンは3モルであった
出口圧力は30バールであった
【0121】
触媒結果が図6で示されている。アルミニウムに富むゼオライト外面をなお示す比較例3のゼオライトは、低トルエン変換時のみ高いp‐キシレン選択性を有し、高変換時は熱力学的平衡の傾向にあった。アルミニウムに乏しいゼオライト外面を示す例7のゼオライトは、約50%の一定p‐キシレン選択性を全変換レベルで有していた。いかなる理論にも拘束されることなく、このp‐キシレン選択性増加がゼオライトのほとんど不活性な外面のおかげであり、そのため立体的制約が存在しないゼオライトの外面においてゼオライトの細孔系の強制的形状選択性が酸部位により乱されることはない、と本発明者らは考えている。
【0122】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】比較例1に従い製造された結晶メタロシリケートに関する、Si/Al原子比とスパッタリング深さとの関係を示したグラフである。
【図2】有機ケイ素源の量が変えられた、本発明の例1および2に従い製造された結晶メタロシリケートに関する、Si/Al原子比とスパッタリング深さとの関係を示したグラフである。
【図3】合成混合物中でアルミニウムの量が変えられた、本発明の例3、4および5に従い製造された結晶メタロシリケートに関する、Si/Al原子比とスパッタリング深さとの関係を示したグラフである。
【図4】アルコールのタイプが変えられた、比較例2および本発明の例6に従い製造された結晶メタロシリケートに関する、Si/Al原子比とスパッタリング深さとの関係を示したグラフである。
【図5】比較例3および本発明の例7に従い製造された結晶メタロシリケートに関する、Si/Al原子比とスパッタリング深さとの関係を示したグラフである。
【図6】比較例3および本発明の例7に従い製造された結晶メタロシリケートを配合している触媒を用いたトルエンの不均化プロセスにおいて、キシレン分布とトルエン変換との関係を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水性液相および非水性液相を含んでなり、少なくとも1種のケイ素含有化合物と少なくとも1種の金属含有化合物を更に含んでなる二相液体媒体を用意し、
(b)二相液体媒体から結晶メタロシリケート組成物を結晶化させる
段階からなる、結晶メタロシリケート組成物の製造方法。
【請求項2】
少なくとも1種のケイ素含有化合物が水性液相および非水性液相の双方に存在し、少なくとも1種の金属含有化合物が実質的に水性液相に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種のケイ素含有化合物が、アルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、沈降シリカ、発熱性シリカおよびシリカの水性コロイド懸濁物の少なくとも1種から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種の金属含有化合物が、金属酸化物、金属塩および金属アルコキシドの少なくとも1種から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
メタロシリケートがアルミノシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物がアルミニウム化合物を含んでなり、そのアルミニウム源が、アルカリ溶液に溶解された水和アルミナ、アルミニウム金属、硫酸アルミニウムまたは塩化アルミニウムのような水溶性アルミニウム塩、アルミン酸ナトリウム、およびアルミニウムイソプロポキシドのようなアルコキシドの少なくとも1種から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
メタロシリケートがボロシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物がホウ素化合物を含んでなり、そのホウ素源が、アルカリ溶液に溶解された水和酸化ホウ素、塩化ホウ素のような水溶性ホウ素塩、およびアルコキシドの少なくとも1種から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
メタロシリケートがフェロシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物が鉄化合物を含んでなり、その鉄源が水溶性鉄塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
メタロシリケートがガロシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物がガリウム化合物を含んでなり、そのガリウム源が水溶性ガリウム塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
メタロシリケートがチタノシリケートであり、少なくとも1種の金属含有化合物がチタン化合物を含んでなり、そのチタン源が、ハロゲン化チタン、オキシハロゲン化チタン、硫酸チタンおよびチタンアルコキシドの少なくとも1種から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
非水性液相が、実質的に非水溶性または非水混和性である有機溶媒を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
有機溶媒が、少なくとも5つの炭素原子を有するアルコールまたは少なくとも5つの炭素原子を有するメルカプタンのうち少なくとも1種を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アルコールが18以下の炭素原子を有し、メルカプタンが18以下の炭素原子を有している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
非水性液相の液体媒体対水性液相の液体媒体の質量比が0.01/1〜5/1である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
非水性液相の液体媒体対二相液体媒体中ケイ素のモル比が100/1〜0.5/1である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第一の水性媒体と第二の非水性媒体を用意し、二相液体媒体を形成させるために第一および第二媒体を一緒に混合することにより、二相液体媒体を形成させる段階を更に含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第一の水性媒体が少なくとも1種のケイ素含有化合物の第一部分を含んでなり、第二の非水性媒体が少なくとも1種のケイ素含有化合物の第二部分を含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第一の水性媒体が少なくとも1種のケイ素含有化合物の25以上100質量%未満を含んでなり、第二の非水性媒体が少なくとも1種のケイ素含有化合物の0超75質量%以下を含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第一の水性媒体が第一のケイ素含有化合物を含んでなり、第二の非水性媒体が第二のケイ素含有化合物を含んでなる、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第二のケイ素含有化合物がケイ素アルコキシドを含んでなる、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
更に、二相液体媒体に、少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液を加える、請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
外面下約10nmの深さを有する結晶外面層と外面下約50nmの深さから内側に伸びる内側部分とを有する結晶を含んでなり、メタロシリケート組成物中におけるケイ素対金属の原子比が内側部分のものと比較して結晶外面層で少なくとも1.5倍高い、結晶メタロシリケート組成物。
【請求項22】
内側部分が15〜1000のケイ素/金属原子比を有し、結晶外面層が22.5〜15000のケイ素/金属原子比を有している、請求項21に記載の結晶メタロシリケート組成物。
【請求項23】
内側部分が実質的に一定のケイ素/金属原子比を有している、請求項21または22に記載の結晶メタロシリケート組成物。
【請求項24】
内側部分において、結晶メタロシリケート組成物で細孔を構成する壁中のケイ素/金属原子比が、内側部分の平均ケイ素/金属原子比と実質的に同じである、請求項21〜23のいずれか一項に記載の結晶メタロシリケート組成物。
【請求項25】
メタロシリケートが、アルミノシリケート、ボロシリケート、フェロシリケート、ガロシリケートまたはチタノシリケートである、請求項21〜24のいずれか一項に記載の結晶メタロシリケート組成物。
【請求項26】
(a)少なくとも1種のケイ素含有化合物を溶解または分散させた水性液体を用意し、
(b)非水性液体を用意し、
(c)二相液体媒体を形成するために水性液体と非水性液体を混合し、
(d)(i)段階(a)で用意された水性液体に少なくとも1種の金属含有化合物を追加的に溶解または分散させるか、あるいは(ii)段階(c)の前に、段階(a)で用意された水性液体に、または段階(c)で形成された二相液体媒体に、少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液を加え、
(e)二相液体媒体から結晶メタロシリケート組成物を結晶化させる
段階からなる、結晶メタロシリケート組成物の製造方法。
【請求項27】
少なくとも1種のケイ素含有化合物が、アルカリ金属シリケート、テトラアルキルオルトシリケート、沈降シリカ、発熱性シリカおよびシリカの水性コロイド懸濁物の少なくとも1種から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1種の金属含有化合物が、金属酸化物、水溶性金属塩および金属アルコキシドの少なくとも1種から選択される、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
メタロシリケートが、アルミノシリケート、ボロシリケート、フェロシリケート、ガロシリケートまたはチタノシリケートである、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
非水性液体が、実質的に非水溶性または非水混和性である有機溶媒を含んでなる、請求項26〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
有機溶媒が、少なくとも5つの炭素原子を有するアルコールまたは少なくとも5つの炭素原子を有するメルカプタンのうち少なくとも1種を含んでなる、請求項31に記載の方法。
【請求項32】
アルコールが18以下の炭素原子を有し、メルカプタンが18以下の炭素原子を有している、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
二相液体媒体中における非水性液体対水の質量比が0.01/1〜5/1である、請求項26〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
非水性液相対二相液体媒体中ケイ素のモル比が100/1〜0.5/1である、請求項26〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
段階(a)で用意された水性液体が第一のケイ素含有化合物を含んでなり、段階(b)で用意された非水性液体がそこに溶解または分散された第二のケイ素含有化合物を含んでなる、請求項26〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
二相液体媒体において、第一のケイ素含有化合物が少なくとも1種のケイ素含有化合物の25以上100質量%未満を含んでなり、第二のケイ素含有化合物が少なくとも1種のケイ素含有化合物の0超75質量%以下を含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
第二のケイ素含有化合物がケイ素アルコキシドを含んでなる、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
段階(a)で用意された水性液体が、少なくとも1種のケイ素含有化合物の全部を含んでなる、請求項26〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
段階(d)で加えられる少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液が、少なくとも1種の金属含有化合物の全部を含んでなる、請求項26〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
段階(d)で加えられる少なくとも1種の金属含有化合物の水性溶液または分散液が、窒素、酸素、硫黄またはリンを含有した少なくとも1種の有機または無機化合物を含んでなる、メタロシリケート用の構造指向剤を更に含んでなる、請求項26〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項21〜25のいずれか一項に記載されたまたは請求項1〜20および26〜40のいずれか一項に従い製造された結晶メタロシリケート組成物の、炭化水素変換プロセスで触媒成分としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−521743(P2008−521743A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542354(P2007−542354)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003555
【国際公開番号】WO2006/056876
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(505036674)トータル・フランス (39)
【氏名又は名称原語表記】TOTAL FRANCE
【Fターム(参考)】