説明

ゼンマイ式エネルギ保存装置

【課題】走行中の車の運動エネルギを効率良く蓄え、それを又元の運動エネルギとして効率良く簡単に取り出す。
【解決手段】走行中の運動エネルギをゼンマイに蓄えることで効率を良くし、ゼンマイの内端と外端に爪車装置を設けるだけの簡単な構造で、内端の爪車から運動エネルギを入力して蓄え、外端の爪車の爪を外す事により外端の爪車からゼンマイに蓄えられたエネルギを取り出すことにより、入力した方向と同方向の運動エネルギを取り出す事ができる。又入力軸に定力伝達継ぎ手を設けてゼンマイ式エネルギ保存装置の安全を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
走行している車が停車する場合は、ほとんどの場合ブレーキをかける操作により、回転する円盤に摩擦力を加えて運動エネルギを捨てている。その運動エネルギを少しでも蓄える方法として発電機を回して電気エネルギとして蓄電池に蓄える方法も実施されているが、効率が悪い、はずみ車に蓄える方法も考えられているが、車両が重くなる欠点がある。本発明は、車が走行時の運動エネルギを弾性体に保存することにより、その欠点を改善した装置である。
【背景技術】
【0002】
一般的にゼンマイはエネルギ保存装置として利用されているが、利用方法としてはゼンマイの外径側を固定し、内形側から回転力を入力して、又内径側から取り出す方法である、この場合入力した回転力と反対方向のエネルギが取り出される、そのため入力した回転方向と同方向の回転が必要な場合は、歯車等を設けて回転方向を変えなければならなかった。
【0003】
しかし、車の走行エネルギを保存して取り出す場合、入力した方向と同方向の回転力を取り出せた方が便利である、そのための方法としてゼンマイの内径側からエネルギを入力して保存し、外形側からエネルギを取り出す事により可能になる、又、その逆にゼンマイの外形側からエネルギを入力して保存し、内径側からエネルギを取り出しても、入力した方向と同方向の回転力を取り出せる、この原理を応用したのが本発明である。
【0004】
ゼンマイを利用した車の走行エネルギ保存装置として下記に表示した様な特許文献があるが、いずれも入力方向と同一方向の回転エネルギを取り出す為に歯車等を設けて回転方向を変える様にしてある、これは構造も複雑になり、エネルギロスもある、これはエネルギを効率良く使う為の装置において大きな障害である。
【0005】
入力した方向と同方向のエネルギ(回転力)を取り出すには、ゼンマイの内外両端において、エネルギを入力する端と出力する端を同じにしない事で可能になる。具体的な動作を図1の原理図で説明すると、ゼンマイ5の内端に繋がった爪車2に右方向の回転を加えると、二つの爪3,爪4によりエネルギがゼンマイ5に蓄えられる、次にゼンマイ5の外端に繋がった爪車1から爪4を外すと右方向の回転エネルギが爪車1から取り出せる、この時の入出力の継ぎ手には一方向伝達継ぎ手を使用するとより滑らかな動作を実現できる。
【特許文献1】特開2007−112404号公報
【特許文献2】特開2000−229595号公報
【特許文献3】特開平11−105773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、ゼンマイを用いたエネルギ保存装置において、入力方向と同一方向のエネルギを簡単に取り出す方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ゼンマイの内外両端において、エネルギを入力する端と出力する端を同じにしない事で、入力した方向と同方向のエネルギ(回転力)を取り出すことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のゼンマイ式エネルギ保存装置は、ゼンマイ一つと爪車二つで成り立つという簡単な構造にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
爪車の形を、通常の様に外形を鋸刃状の形にせず、図2の回転板2の様に両側を鋸刃状の形にする事により、スプライン軸受16の両側も鋸刃状にしてあり、スプライン軸1上を滑らせてエネルギ(回転力)の出力を行うことにより、最小の部品点数で、運動エネルギの保存及び出力を実現した。
【実施例1】
【0010】
図2は、本発明装置の実施例の断面図で、運動エネルギを持った入出力板8の爪12を出すことにより運動エネルギをゼンマイの内径側に繋がった回転板2に伝えて逆転防止用爪3により蓄える、ゼンマイ5の能力まで蓄えたら爪12を入れる、次に蓄えたエネルギを出す場合は、ゼンマイの外形側に繋がったスプライン軸1と繋がったスプライン軸受16を滑らせて回転を止めていた爪4から外すと同時に入出力板8の爪13に繋げて、蓄えた運動エネルギを取り出す。
【0011】
図1の爪車1と爪車2をゼンマイの中心点6を中心に回転可能な様に支持している部材7と、爪3と爪4を支持している部材7は同一である、又、爪車装置には、無音爪車装置を用いても可能である。
【0012】
図2で装置の動きを説明すると、スライド材15を矢印21の方向に動かすと爪12が出て、運動エネルギ(回転力)を持った軸9から定力伝達板10を通じて入出力板8の回転がゼンマイバネ5の内側に繋がった回転板2からゼンマイバネ5に蓄えられる、ゼンマイバネ5の能力限界に達すると定力伝達板10により装置の安全を保つ、スライド材15を矢印20の方向に動かし、運動エネルギ(回転力)を持った軸9からの入力を断つ、次にスライド材17を矢印22の方向に動かすと、ゼンマイバネ5の外側に繋がったスプライン軸1の回転力を受け止めるスプライン軸受16が矢印22の方向に動き、爪4から外れると同時に爪13に繋がり爪13を通じて、入出力板8から定力伝達板10から入力軸9と伝わり、蓄えた運動エネルギ(回転力)を元の入力軸9に戻す、蓄えた運動エネルギ(回転力)を出し切ったら、スライド材17を矢印23の方向に動かし元の状態に戻って、運動エネルギ(回転力)を蓄える準備をする。
【0013】
本発明はゼンマイの性能が最も重要でそのために、ゼンマイに使用する板の断面を図3の様な三日月の形にすることで、ゼンマイを巻き込むトルクを一定に近づけられるのではないかと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
ゼンマイの性能しだいで、自転車や自動車から電車まで車輪で動く物ならすべてに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ゼンマイ式エネルギ保存装置の原理を示した説明図である。
【図2】ゼンマイ式エネルギ保存装置の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図3】ゼンマイ5の部材の断面図
【符号の説明】
【0016】
1 ゼンマイの外端に繋がった爪車(スプライン軸)
2 ゼンマイの内端に繋がった爪車
3 爪
4 爪
5 ゼンマイ
6 ゼンマイの中心
7 本体
8 入出力板(一方向伝達継ぎ手)
9 入力軸
10 定力伝達板
11 板バネ
12 爪
13 爪
14 爪の案内板
15 スライド材
16 スプライン軸受
17 スライド材
18 C形リング
19 バネ
20 矢印
21 矢印
22 矢印
23 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
うず巻状の弾性体(ゼンマイ)を、うず巻の中心を中心として回転可能な状態に支持し、内外両端に爪車を設け、爪車の爪を掛け外し可能な状態にした、ゼンマイ式エネルギ保存装置。
【請求項2】
請求項1の入力部に定力伝達装置を設け、出力部には一方向伝達継ぎ手を設けた、ゼンマイ式エネルギ保存装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−68162(P2011−68162A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218294(P2009−218294)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【出願人】(594178701)
【Fターム(参考)】