説明

ソレノイド駆動ポンプの制御回路

【課題】ユーザーが電源電圧の選択を必要としないソレノイド駆動ポンプの制御回路を提供する。
【解決手段】ソレノイド駆動ポンプのソレノイド8を駆動する駆動回路7を具備するソレノイド駆動ポンプの制御回路において、駆動回路7に電圧を提供する電源1の電圧を検出する検出手段5と、該検出手段5で検出した電圧をソレノイド8に供給する所望の電圧と比較し、且つ検出した電圧を所望の電圧にすべくソレノイドの駆動回路7に制御信号を供給する演算処理部6とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイド駆動ポンプの制御回路に関する。さらに詳しくは、ソレノイドに供給する電気エネルギを一定化することが可能なソレノイド駆動ポンプの制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソレノイド駆動ポンプとしては種々のものが存在するが、その制御回路の基本的構成としては、例えば図5に示す如く、ソレノイド8の一端側の端子8aに直流電源を接続し、又その他端側には、パルスのオン時間が一定で且つオンの周期(周波数)が可変なパルス発生回路11に接続されたスイッチ12を設けて、該スイッチ12のパルス信号に応じた切換えによりソレノイド8に電流を断続的に供給させるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記従来のようなソレノイド駆動ポンプの制御回路において、ソレノイド8の一端側の端子8aに接続する直流電源と、パルス発生回路11の適用される電圧の範囲がスイッチ12によって決定されている。
即ち、電源電圧に対応するスイッチ12を有する制御回路が使用されるため、電源電圧が異なればそれに対応する駆動回路及びソレノイドを必要とする。
従って制御回路の種類が複数となり、在庫管理が困難であるという問題がある。
【0004】
また、上述のように制御回路及びソレノイドは電源電圧に対応するため、ユーザーが使用する電源電圧を間違えると、制御回路が動作不良を起こしたり、焼損するという問題もある。
【0005】
更に、ユーザーは電源電圧に応じてポンプと制御回路を複数種類扱うこととなり、管理が困難であるばかりでなく、管理コストが大きくなるという問題もある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、ユーザーが電源電圧の選択を必要としないソレノイド駆動ポンプの制御回路を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明の他の課題は、種類が低減され、従って管理が容易なソレノイド駆動ポンプの制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明は、ソレノイド駆動ポンプのソレノイド8を駆動させる駆動手段を具備したソレノイド駆動ポンプの制御回路において、前記駆動手段に電気エネルギを供給する電源1の前記電気エネルギを検出する検出手段と、該検出手段で検出した前記電気エネルギの値をソレノイド8に供給する所望の値と比較し、且つ検出した前記電気エネルギの値を所望の値にすべくソレノイドの駆動手段に制御信号を供給する演算処理部とが設けられてなる構成であることを特徴としている。
【0009】
本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路は、以上のように、検出手段を用いて駆動手段に電気エネルギを供給する電源1の前記電気エネルギの値を検出し、該検出した値を演算処理部において所望の値と比較し、ソレノイドの駆動手段が所望する値をソレノイド8に供給すべく、前記駆動手段に制御信号を供給する。したがって、電源1がソレノイド8を駆動するために適していない電圧である場合においても、駆動手段に供給される電気エネルギを所望の値に変換してソレノイド8に供給することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路においては、前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記検出手段が、基準電圧が与えられた電圧比較器を用いて構成されており、前記電圧が前記電圧比較器に供給される構成であることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路においては、前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記検出手段が、基準電圧が与えられた電圧比較器と分圧回路とを用いて構成されており、前記電圧が前記分圧回路を介して前記電圧比較器に供給される構成であることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路においては、前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記検出手段が、基準電圧が与えられた演算回路を用いて構成されており、前記電圧が前記演算回路に供給される構成であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路においては、前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記演算処理部が、基準電圧が与えられた電圧比較器と半波全波切替回路とを用いて構成されており、前記電圧が前記電圧比較器に供給され、前記電圧比較器内で前記基準電圧と前記電圧とを比較した結果に基づいて前記半波全波切替回路を制御して、前記半波全波切替回路からの制御信号に基づいて前記電気エネルギの値たる前記電圧値を所望の値とする構成であることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路においては、前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記演算処理部が、基準電圧が与えられた電圧比較器と分圧回路とNOR回路とパルス発生器とを用いて構成されており、前記電圧が前記分圧回路を介して前記電圧比較器に供給され、前記電圧比較器内で前記基準電圧と前記電圧とを比較した結果に基づいて前記NOR回路に信号を供給し、パルス発生器からの信号と前記電圧比較器からの信号とを用いて前記NOR回路を制御して、前記NOR回路からの制御信号に基づいて前記電気エネルギの値たる前記電圧値を所望の値とする構成であることが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路においては、前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記演算処理部が、基準電圧が与えられた演算回路とデューティ可変発信器とAND回路とパルス発生器とを用いて構成されており、前記電圧が前記演算回路に供給され、前記演算回路内で前記基準電圧と前記電圧とを比較した結果に基づいて前記デューティ可変発信器が制御され、該デューティ可変発信器から前記AND回路に信号が供給され、前記デューティ可変発信器からの信号と前記パルス発生器からの信号とを用いて前記AND回路を制御して、前記AND回路からの制御信号に基づいて前記電気エネルギの値たる前記電圧値を所望の値とする構成である事が好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路においては、前記駆動手段が、駆動回路を用いて構成されていることが好ましく、また、前記駆動手段が、コンデンサと放電制御スイッチとを用いて構成されていることも好ましい。
【0017】
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路は、ソレノイド駆動ポンプのソレノイド8を駆動する駆動回路7を具備するソレノイド駆動ポンプの制御回路において、駆動回路7に電圧を提供する電源1の電圧を検出する検出手段5と、該検出手段5で検出した電圧をソレノイド8に供給する所望の電圧と比較し、且つ検出した電圧を所望の電圧にすべくソレノイドの駆動回路7に制御信号を供給する演算処理部6とが設けられてなる構成であることを特徴としている。
【0018】
このように、検出手段5により駆動回路7に電圧を供給する電源1の電圧を検出し、該検出した電圧を演算処理部6において所望の電圧と比較し、ソレノイドの駆動回路7が所望の電圧をソレノイド8に供給すべく駆動回路7に制御信号を供給するので、電源1がソレノイド8を駆動するために適していない電圧である場合においても、駆動回路7に供給される電圧を所望の電圧に変換してソレノイド8に供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る制御回路によれば、検出手段により駆動回路に電圧を供給する電源の電圧を検出し、該検出した電圧を演算処理部において所望の電圧と比較し、ソレノイドの駆動回路が所望の電圧をソレノイドに供給すべく駆動回路に制御信号を供給するので、電源がソレノイドを駆動するために適していない電圧である場合においても、一種の制御回路で駆動回路に供給される電圧を所望の電圧に変換してソレノイドに供給することができ、従って、ユーザーが電源電圧を一定にする等の選択を行う必要がない。
【0020】
更に、一種の制御回路で電圧の異なる電源に対応することができるので、制御回路の種類が低減され、管理が非常に容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図である。
図1において、1は交流電圧の電源を示す。電源1が供給可能な電圧は、例えば90〜264Vとされる。
2は電源1の電圧を後述の演算処理部に提供するため、電源1の電圧の10分の1程度、例えば24V程度の交流の低圧へと変換する変圧器を示し、3は例えばダイオード等から構成され、変圧器2からの電圧を直流電圧に整流すると同時に安定化を行う整流回路を示す。
【0023】
また、4はソレノイド8を駆動する直流電圧を生成する例えばダイオード等から構成される整流回路を示す。また、5は検出手段であり、この検出手段5は、整流回路4からの電圧を分圧し、例えば0〜5V程度に変換し、その変換した電圧を検出する役割を果たす検出部と、該検出された電圧をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器とから構成されている。以下、本実施形態においては、検出手段5をアナログ/デジタル変換部(以下、単にA/D変換部という)5という。
ここで、A/D変換部5においては、検出部において整流回路4からの電圧を分圧し、0〜5V程度の低圧に変圧するので、高圧では扱えないA/D変換器においても扱うことができる。
【0024】
6は、上述の整流回路3からの直流電圧で駆動され、且つA/D変換部5からのデジタル信号、即ち電源電圧のデジタル化された値が入力される演算処理部を示す。本実施形態において、演算処理部6は、例えばCPUで構成される。また、演算処理部6は、ポンプの運転を制御可能な制御部9に電気的に接続されていると共に、駆動電圧等の予め記憶されている設定値を供給可能な、ROM等のデータ供給部11に接続されている。
【0025】
前記演算処理部6及び整流回路4は、更に本実施形態の駆動手段たる駆動回路7に電気的に接続されており、該駆動回路7はポンプを駆動するソレノイド8に接続され、電圧を供給してソレノイド8を駆動している。
【0026】
上述の変圧器2、整流回路3、整流回路4、A/D変換部(検出手段)5、演算処理部6、駆動回路(駆動手段)7、ソレノイド8及び制御部9から本発明のソレノイド駆動ポンプの制御回路10が構成されており、該制御回路10の動作を以下に説明する。
【0027】
まず、電源1からの交流電圧は変圧器2と整流回路4に分岐される。変圧器2においては演算処理部6を駆動するため、電源1の電圧を低圧に変換し、低圧に変換された電圧を整流回路3へ送る。整流回路3においては、電源1の電圧を直流電圧とした後、演算処理部6へと送る。
【0028】
一方、整流回路4からの直流電圧は、A/D変換部5へ送られてデジタル信号(以下、入力値という)に変換された後、演算処理部6に入力される。
【0029】
更に、演算処理部6には、ROM等のデータ供給部11から、予め設定された駆動電圧(以下、設定値という)が入力される。
【0030】
尚、演算処理部6には更に、第2の制御部12からポンプの運転・停止に関する信号(例えば、作業者によるオン・オフのスイッチング動作)や、予め設定されているストローク数等を示す信号が入力され、その信号に基づいて演算処理部6が制御部9に制御信号を送る。
【0031】
演算処理部6は、演算処理部6に入力される上記直流電圧を示す信号(例えば直流電圧に比例する信号)をモニターすべく、直流電圧を示す信号を上記第2の制御部12に入力する。第2の制御部12においては、上述の現在の直流電圧に基づき、ソレノイド8に断線等の異常がないかどうかを検出し、異常があることが検出されると、ポンプを停止させるよう、信号を演算処理部6に送る。
演算処理部6においては、前記信号に基づいて、ポンプを停止させるよう、ソレノイド8にかける電圧を調整すべく制御信号を制御部9に入力する。
【0032】
また、第2の制御部12において異常がないと検出された場合には、ポンプを運転させ、オン・オフの周期の調整を行うべく制御信号を演算処理部6へ送る。
前記演算処理部6においては、A/D変換部5からの入力値が調整され、ソレノイド8を駆動する駆動電圧を前記設定値とすべく、オン・オフのデューティを調整する制御信号が制御部9に送られる。
【0033】
このように、演算処理部6においては、上述の制御信号(ポンプを運転・停止させる、又はオン・オフの周期の調整を行う制御信号)に基づいて、駆動回路7を制御する制御部9に供給するための、制御部用信号が生成される。
換言すると、制御部9を介して、演算処理部6からの制御信号をソレノイド8の駆動回路7に供給することができる。
【0034】
前記制御部用信号は、制御部9からソレノイド8を駆動する駆動回路7に送られる一方、整流回路4からは電源1の直流電圧が駆動回路7に付加される。即ち、駆動回路7には、電源1の直流電圧が供給されるが、同時に制御部9から制御部用信号が供給されることとなる。
従って、駆動回路7においては制御部9で生成された制御部用信号を増幅し、ソレノイド8を駆動する駆動電圧を制御することによってソレノイド8に適切な電圧を加えて駆動することができる、或いは、ポンプを停止させる制御信号であれば、ソレノイドに電圧が加わらないように制御できるのである。
【0035】
ここで、制御部9から駆動回路7に供給される制御部用信号について説明する。該制御部用信号は、ソレノイド8に供給される、整流回路4からの直流電圧をスイッチングし、オン・オフのデューティを制御する信号である。制御の具体的な方法としては、パルス幅制御方式、位相制御方式等が用いられる。
【0036】
このように、電源1からの電圧を演算処理部6において所望の電圧と比較し、ソレノイドの駆動回路7が所望の電圧をソレノイド8に供給すべく、制御部9から駆動回路7に制御部用信号を供給するので、電源1がソレノイド8を駆動するために適していない電圧である場合においても、駆動回路7に供給される電圧を所望の電圧に変換してソレノイド8に供給することができる。
【0037】
即ち、電源1が異なる場合にも、駆動回路7を含む制御回路10を異ならしめることなく、一種の制御回路で電圧の異なる電源に対応することができる。
【0038】
従って、ユーザーが電源電圧を一定にする等の調整を行う必要がなく、電源電圧を調整する手間が省けるという効果が得られる。
【0039】
更に、一種の制御回路で電圧の異なる電源に対応することができるので、制御回路の種類が低減され、電源が異なる際に対応する制御回路を選択する必要がない。従って、対応する制御回路の選択を誤り、制御回路及びソレノイドの動作不良を引き起こしたり、焼損する等の問題が無く、管理が非常に容易となる。
【0040】
また、本実施形態に係る制御回路は、ソレノイドの駆動電圧のデューティを制御することにより駆動電圧を一定にできるため、直流ソレノイドの駆動回路で、ソレノイドを駆動する電源に電圧を安定化する機能が備わっていないもの全般に適用することが可能である。
【0041】
上述の実施の形態においては、演算処理部としてCPUを用いたが、A/D変換部で検出した電圧をソレノイド8に供給する所望の電圧と比較し、検出した電圧を所望の電圧にすべく制御信号を駆動回路7に供給する、即ち駆動回路7の直流電圧をスイッチングすることができるものであれば、適宜変更可能である。
【0042】
また、上述の実施の形態においては、駆動電圧の設定値が演算処理部内に記憶されている場合について説明したが、設定値が記憶される場所は、演算処理部内に限定されず、例えばROM等の外部記憶素子であってもよい。
このように、ROM等の外部記憶素子に設定値を記憶させれば、外部記憶素子を交換するのみで容易に設定値を変更することができる効果が得られる。なお、これは、以下に説明する第二〜第四の実施形態についても同様である。
【0043】
<第二の実施形態>
図2は、本発明の第二の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図である。
図2において、1は交流電圧の電源を示す。電源1が供給可能な電圧は、例えば90〜264Vとされる。
【0044】
21は電源1の電圧を後述の比較手段たる電圧比較器に提供するため、電源1の電圧を整流する整流回路を示している。
ここでは、整流回路21を介して電源1からの電圧を電圧比較器に提供する構成を示しているが、場合によっては、整流回路21の上流側に降圧回路を配し、また、整流回路21の下流側に平滑回路を配してもよい。このような構成であれば、降圧回路、整流回路、および平滑回路を介して、電源1からの電圧が電圧比較器へ提供されることとなる。
【0045】
22はソレノイド8を駆動させる直流電圧を生成する、例えばダイオード等から構成される整流回路を示している。
【0046】
23は整流回路21から提供される電源1の電圧と基準電圧23aとを比較する電圧比較器を示している。基準電圧23aとしては、例えばDC5Vが与えられる。
【0047】
25は半波全波切替回路であり、この半波全波切替回路25においては、電圧比較器23の結果に基づいて、整流回路22の切替が行われる。具体的には、電圧比較器23に基準電圧23aが与えられた状態で、電源1の電圧が100V程度(例えば90V〜165V程度)である場合には全波、200V程度(例えば165Vから264V程度)である場合には半波となるように、ソレノイド8に供給するための電源を整流する整流回路22の切替が行われる。
なお、ここでは、供給される電圧を2つの領域(90V〜165Vの領域と165V〜264Vの領域)に区分けして、それぞれの領域に応じて半波・全波の切替を行う場合について示したが、本実施形態はこの構成に限定されるものではない。したがって、例えば、供給される電圧を、90V〜144V、144V〜180V、180V〜264Vの3つの領域に区分けして、半波全波回路25の制御を行ってもよい。具体的には、90V〜144Vの領域については全波に切り替え、180V〜264Vの領域については半波に切り替え、そして、144V〜180Vの領域については半波全波切替回路25からの出力を停止するように制御することも好ましい。実際の供給電源は、100V近傍(90V〜144V)の領域、あるいは200V近傍(180V〜264V)の領域に存在することが多いため、かかる構成も実施態様の一つとしては好適であり、この構成によれば、比較的低容量の安定化電源回路26を用いてもソレノイド駆動ポンプの制御回路を構成することが可能となる。また、このように3つの領域に区分けする構成においては、新たに電圧比較器等を設ける必要がある。
【0048】
26は安定化電源回路であり、電源1の電圧に応じて全波・半波に切り替えられた脈流電力が、この安定化電源回路26に供給されることとなる。この安定化電源回路26の出力電圧は、基準電圧26aにより安定化されている。この安定化電源回路26においては、余分なエネルギを熱等に変換して放出すること等によって、電源1からのエネルギの安定化を図っている。基準電圧26aとしては、例えばDC5Vが与えられる。
なお、本実施形態においては、整流回路22からの脈流電力を直接に安定化電源回路26に供給する場合を示したが、場合によっては、整流回路22と安定化電源回路26との間に平滑回路を配し、平滑回路を介して脈流電力を安定化電源回路26に供給するように構成してもよい。
【0049】
28はソレノイド8を駆動させる駆動手段たる駆動回路であり、この駆動回路28にはパルス発生回路29が電気的に接続されている。パルス発生回路29からは、ON時間一定、OFF時間可変の駆動パルスが出力されており、この駆動パルスを用いて駆動回路28のスイッチングが行われる。
【0050】
図2に示された本実施形態においては、電圧の検出を行う検出手段は、基準電圧23aが与えられている電圧比較器23を用いて構成されている。なお、場合によっては、整流回路22およびその周辺の機器(例えば、降圧回路、平滑回路等)をも合わせて、検出手段として機能する場合もある。
また、演算処理部は、基準電圧23aが与えられている電圧比較器23および半波全波切替回路25を用いて構成されている。
【0051】
以上のように、本実施形態においては、電源1からの電圧と、基準電圧23aとを電圧比較器23で比較して、その結果に基づいて、全波・半波の切替を行って、駆動回路28に供給される電圧の制御が行われる。
すなわち、図2に示した制御回路20を用いることにより、ソレノイド8(を駆動させる駆動回路28)に供給する電源電圧を一定化することが可能となる。
【0052】
したがって、本実施形態によれば、電源1からの電圧を電圧比較器23において所望の電圧(基準電圧23aに基づく電圧)と比較し、駆動回路28が所望の電圧をソレノイド8に供給すべく、半波全波切替回路25からの信号に基づいて、整流回路22が制御される。本実施形態によれば、このように、半波全波切替回路25からの信号に基づいて整流回路22が制御されるので、駆動回路28に供給される電圧を所望の電圧に変換してソレノイド8に供給することが可能となる。
【0053】
すなわち、本実施形態においても、第一の実施形態と同様に、電源1が異なる場合にも、一種の制御回路20で電圧の異なる電源に対応することができる。したがって、ユーザーが電源電圧を一定にする等の調整を行う必要がなく、電源電圧を調整する手間が省けるという効果が得られる。
さらに、一種の制御回路20で電圧の異なる電源に対応することができるので、制御回路の種類が低減され、電源が異なる際に対応する制御回路を選択する必要がない。したがって、対応する制御回路の選択を誤り、制御回路及びソレノイドの動作不良を引き起こしたり、焼損する等の問題が無く、管理が非常に容易となる。
【0054】
<第三の実施形態>
図3は、本発明の第三の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図である。
図3において、1は交流電圧の電源を示す。電源1が供給可能な電圧は、例えば90〜264Vとされる。
【0055】
31はソレノイド8を駆動させる直流電圧を生成する、例えばダイオード等から構成される整流回路を示している。
【0056】
本実施形態においては、電源1から、整流回路31、充電制御スイッチ32、および電流制限回路33を介して、コンデンサ34に直流電力が充電される。
【0057】
また、このコンデンサ34には、分圧回路36が接続されており、コンデンサ34両端の電圧を電圧比較器37に導くように構成されている。さらに、電圧比較器37には、基準電圧37aが与えられている。すなわち、この電圧比較器37においては、コンデンサ34の電圧と基準電圧37aとが比較され、コンデンサ34の電圧が監視されている。基準電圧37aとしては、例えばDC5Vが与えられる。
また、コンデンサ34には、放電制御スイッチ35が接続されている。この放電制御スイッチ35は、パルス発生器38の信号で開閉し、コンデンサ34に充電された直流電力をソレノイド8に供給するように構成されている。
【0058】
さらに、図3に示された本実施形態においては、電圧比較器37の出力およびパルス発生器38の出力がNOR回路39に導かれる。NOR回路39においては、このNOR回路39に供給された電圧比較器37の比較値とパルス発生器38からの値とに基づいて、充電制御スイッチ32の制御が行われる。NOR回路39による充電制御スイッチ32の制御によって、コンデンサ34の充電量が一定に保たれる。
【0059】
図3に示された本実施形態においては、電圧の検出を行う検出手段は、基準電圧37aが与えられている電圧比較器37と分圧回路36とを用いて構成されている。なお、場合によっては、電流制限回路33およびその周辺の機器をも合わせて、検出手段として機能する場合もある。
また、演算処理部は、基準電圧37aが与えられている電圧比較器37、分圧回路36およびNOR回路39を用いて構成されている。
さらに、駆動手段は、コンデンサ34および放電制御スイッチ35を用いて構成されている。
【0060】
以上のように、本実施形態においては、コンデンサ34に充電された電圧と、基準電圧37aとを電圧比較器37で比較して、その結果をNOR回路39に供給する。そして、電圧比較器37からの値と、パルス発生器38からの値とをNOR回路39に供給し、これらの値に基づいて、コンデンサ34の充電量を調整する充電制御スイッチ32の制御を行っている。
すなわち、図3に示した制御回路30を用いることにより、ソレノイド8に供給するエネルギを一定化することが可能となる。
【0061】
したがって、本実施形態においても、第一および第二の実施形態と同様に、電源1が異なる場合にも、一種の制御回路30で電圧の異なる電源に対応することができる。したがって、ユーザーが電源電圧を一定にする等の調整を行う必要がなく、電源電圧を調整する手間が省けるという効果が得られる。
さらに、一種の制御回路30で電圧の異なる電源に対応することができるので、制御回路の種類が低減され、電源が異なる際に対応する制御回路を選択する必要がない。したがって、対応する制御回路の選択を誤り、制御回路及びソレノイドの動作不良を引き起こしたり、焼損する等の問題が無く、管理が非常に容易となる。
【0062】
<第四の実施形態>
図4は、本発明の第四の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図である。
図4において、1は交流電圧の電源を示す。電源1が供給可能な電圧は、例えば90〜264Vとされる。
【0063】
41は電源1の電圧を後述の演算回路に提供するため、電源1の電圧を整流する整流回路を示している。
ここでは、整流回路41を介して電源1からの電圧を演算回路に提供する構成を示しているが、場合によっては、整流回路41の上流側に降圧回路を配し、また、整流回路41の下流側に平滑回路を配してもよい。このような構成であれば、降圧回路、整流回路、および平滑回路を介して、電源1からの電圧が演算回路へ提供されることとなる。
【0064】
42は演算回路であり、この演算回路42には基準電圧42aが与えられており、この演算回路42によって、後述するデューティ可変発信器が制御される。基準電圧26aとしては、例えばDC5Vが与えられる。
【0065】
43はソレノイド8を駆動する直流電圧を生成する、例えばダイオード等から構成される整流回路を示している。
【0066】
44はソレノイド8を駆動させる駆動手段たる駆動回路である。この駆動回路44には、整流回路43が接続されており、整流回路43から駆動回路44に対して、ソレノイド8を駆動させるための直流電力が供給される。また、駆動回路44には、後述するAND回路からの制御信号も供給される。
【0067】
図4に示された本実施形態においては、電圧の検出を行う検出手段は、基準電圧42aが与えられている演算回路42を用いて構成されている。なお、場合によっては、整流回路41およびその周辺の機器をも合わせて、検出手段として機能する場合もある。
また、演算処理部は、基準電圧42aが与えられている演算回路42、デューティ可変発信器45およびAND回路46を用いて構成されている。ここで、デューティ可変発信器45としては、例えば、PWM(パルス幅制御方式)、FM(周波数制御方式)、PM(位相制御方式)等の方式を用いて構成される機器があげられる。
【0068】
本実施形態においては、演算回路42に対して、整流回路41からの電圧(電源部1の電圧)と、基準電圧42aとが供給され、演算回路42からの出力によってデューティ可変発信器45のデューティが調節される。また、デューティ可変発信器45の出力とパルス発生器47の出力とは、AND回路46で形成されるゲート回路に導かれる。そして、AND回路46で形成されるゲート回路の出力によって駆動回路44のスイッチングが行われ、ソレノイド8の駆動制御が行われる。
【0069】
すなわち、本実施形態によれば、基準電圧42aが与えられている演算回路42に整流回路41(電源部1)からの電圧が供給され、その電圧に応じて、演算処理分42からデューティ可変発信器45に対して、制御信号が供給される。そして、電源部1の電圧に応じた演算回路42からの制御信号によって、デューティ可変発信器45のデューティが調節され、このデューティとパルス発生器47の出力とがAND回路46に供給される。つまり、本実施形態によれば、このAND回路46から駆動回路44に対して出力される制御信号は、電源部1の電圧に応じて可変であるように構成されているので、ソレノイド8(を駆動させる駆動回路44)に供給する平均電圧を一定化することが可能となる。
【0070】
したがって、本実施形態においても、第一、第二および第三の実施形態と同様に、電源1が異なる場合にも、一種の制御回路40で電圧の異なる電源に対応することができる。したがって、ユーザーが電源電圧を一定にする等の調整を行う必要がなく、電源電圧を調整する手間が省けるという効果が得られる。
さらに、一種の制御回路40で電圧の異なる電源に対応することができるので、制御回路の種類が低減され、電源が異なる際に対応する制御回路を選択する必要がない。したがって、対応する制御回路の選択を誤り、制御回路及びソレノイドの動作不良を引き起こしたり、焼損する等の問題が無く、管理が非常に容易となる。
【0071】
なお、以上の各実施形態においては、ソレノイドに与える電気的エネルギである電圧を一定化する場合、あるいはコンデンサの充電量を一定化する場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えば、電流を一定化するように構成してもよい。また、実用範囲(各機器が連続して使用可能な温度範囲、ソレノイドが正常に作動する範囲等)において、コイル発熱あるいは、ソレノイドに対する吸引力が電圧により多少ばらついてもよい。さらに、段階的にソレノイドに供給するエネルギ(一定化するエネルギの種類)を切り替えるような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図。
【図2】本発明の第二の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図。
【図3】本発明の第三の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図。
【図4】本発明の第四の実施形態に係るソレノイド駆動ポンプの制御回路を示すブロック図。
【図5】従来のソレノイド駆動ポンプの制御回路の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0073】
1…電源 5…A/D変換部分 6…演算処理部
7,28,44…駆動回路 8…ソレノイド
21,22,31,41,43…整流回路 23,37…電圧比較器
23a,26a,37a,42a…基準電圧 25…半波全波切替回路
26…安定化電源回路 29,38,47…パルス発生器
34…コンデンサ 35…放電制御スイッチ 36…分圧回路
39…NOR回路 42…演算回路 45…デューティ可変発信器
46…AND回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソレノイド駆動ポンプのソレノイド(8)を駆動させる駆動手段を具備したソレノイド駆動ポンプの制御回路において、
前記駆動手段に電気エネルギを供給する電源(1)の前記電気エネルギを検出する検出手段と、該検出手段で検出した前記電気エネルギの値をソレノイド(8)に供給する所望の値と比較し、且つ検出した前記電気エネルギの値を所望の値にすべくソレノイドの駆動手段に制御信号を供給する演算処理部とが設けられてなることを特徴とするソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項2】
前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記検出手段が、基準電圧が与えられた電圧比較器を用いて構成されており、前記電圧が前記電圧比較器に供給される請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項3】
前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記検出手段が、基準電圧が与えられた電圧比較器と分圧回路とを用いて構成されており、前記電圧が前記分圧回路を介して前記電圧比較器に供給される請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項4】
前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記検出手段が、基準電圧が与えられた演算回路を用いて構成されており、前記電圧が前記演算回路に供給される請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項5】
前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記演算処理部が、基準電圧が与えられた電圧比較器と半波全波切替回路とを用いて構成されており、前記電圧が前記電圧比較器に供給され、前記電圧比較器内で前記基準電圧と前記電圧とを比較した結果に基づいて前記半波全波切替回路を制御して、前記半波全波切替回路からの制御信号に基づいて前記電気エネルギの値たる前記電圧値を所望の値とする請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項6】
前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記演算処理部が、基準電圧が与えられた電圧比較器と分圧回路とNOR回路とパルス発生器とを用いて構成されており、前記電圧が前記分圧回路を介して前記電圧比較器に供給され、前記電圧比較器内で前記基準電圧と前記電圧とを比較した結果に基づいて前記NOR回路に信号を供給し、パルス発生器からの信号と前記電圧比較器からの信号とを用いて前記NOR回路を制御して、前記NOR回路からの制御信号に基づいて前記電気エネルギの値たる前記電圧値を所望の値とする請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項7】
前記電気エネルギの検出対象が電圧である場合において、前記演算処理部が、基準電圧が与えられた演算回路とデューティ可変発信器とAND回路とパルス発生器とを用いて構成されており、前記電圧が前記演算回路に供給され、前記演算回路内で前記基準電圧と前記電圧とを比較した結果に基づいて前記デューティ可変発信器が制御され、該デューティ可変発信器から前記AND回路に信号が供給され、前記デューティ可変発信器からの信号と前記パルス発生器からの信号とを用いて前記AND回路を制御して、前記AND回路からの制御信号に基づいて前記電気エネルギの値たる前記電圧値を所望の値とする請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項8】
前記駆動手段が、駆動回路を用いて構成された請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項9】
前記駆動手段が、コンデンサと放電制御スイッチとを用いて構成された請求項1に記載のソレノイド駆動ポンプの制御回路。
【請求項10】
ソレノイド駆動ポンプのソレノイド(8)を駆動する駆動回路(7)を具備するソレノイド駆動ポンプの制御回路において、駆動回路(7)に電圧を提供する電源(1)の電圧を検出する検出手段(5)と、該検出手段(5)で検出した電圧をソレノイド(8)に供給する所望の電圧と比較し、且つ検出した電圧を所望の電圧にすべくソレノイドの駆動回路(7)に制御信号を供給する演算処理部(6)とが設けられてなることを特徴とするソレノイド駆動ポンプの制御回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−298042(P2007−298042A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181014(P2007−181014)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【分割の表示】特願2000−312221(P2000−312221)の分割
【原出願日】平成10年9月22日(1998.9.22)
【出願人】(000229760)株式会社タクミナ (25)
【Fターム(参考)】