説明

タイマー機能付水車及び自動給餌・給水装置

【課題】 定常的に回転する従来の水車を、ある種のゲートの開閉等、作動頻度は低いが瞬発力を必要とする装置の動力機として使用するのは効率的でないことがある。又、電気(又は電池)で駆動される自動給餌装置は、モーターやタイマー他の電気部品を必要とし、製造原価や維持費を押し上げるばかりでなく、故障や事故を起こしやすい。電力消費や電池の消耗は環境問題の点からも、出来るだけ回避したいものである。
【解決手段】回転軸線周りに環状に配置された回転桶が水の受け入れと排出を繰り返して回転運動する水車において、回転桶と、この回転桶に所定の時間間隔で水を供給する間欠給水手段とを備えることを特徴とするタイマー機能付水車、及び、このタイマー機能付水車が駆動することを特徴とする自動給餌・給水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の時間間隔で作動する水車、及びこの水車が駆動する自動給餌・給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、水車は連続的且つ定常的に供給される水によって、単調に連続回転し、回転数やトルクも略定常的に発現する。
【0003】
又、ペット等の自動給餌装置は殆どが電気(又は電池)によって駆動されている。特許文献1、特許文献2、特許文献3等はいずれも電動機とそれを制御するタイマーによって作動する。また、特許文献4はソレノイドとタイマーとによって作動するものもある。これらはいずれも電気、原動機、タイマーを必要とする。
【0004】
電気(又は電池)を必要としない給餌装置としては、特許文献5が提案されている。これは餌の重量を利用して餌供給口を開閉する仕組みであるが、給餌時間を設定できない。電気(又は電池)を使わずにタイマー機能を有する自動給餌装置としては、特許文献6が提案されている。水溶解性の部材をストッパーとし、このストッパーが滴下される水によって溶解されるのであるが、その溶解速さをもって計時する仕組みであるが、不正確さは免れなく、さらに一回の給餌毎にストッパーが消耗される。
【0005】
【特許文献1】特許公開9−103205号公報
【特許文献2】特許公開2000−116266号公報
【特許文献3】特許公開2004−065220号公報
【特許文献4】特許公開平9−98687号公報
【特許文献5】特許公開2003−9699号公報
【特許文献6】実用新案公開平6−50451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
定常的に回転する従来の水車を、ある種のゲートの開閉等、作動頻度は低いが瞬発力を必要とする装置の動力機として使用するのは効率的でないことがある。又電気(又は電池)で駆動される自動給餌装置は、モーターやタイマー他の電気部品を必要とし、製造原価や維持費を押し上げるばかりでなく、故障や事故を起こしやすい。又電力消費や電池の消耗は環境問題の点からも、出来るだけ回避したいものである。
【0007】
そこで、この発明は、所望する時に、瞬時に大きな力を出す水車と、この水車が駆動
する安価で、維持費の殆ど掛からず、安全安心で、しかも環境に優しい自動給餌・給水装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、回転軸線周りに環状に配置された回転桶が、水の受け入れと排出を繰り返して回転運動する水車において、前記回転桶と、前記回転桶に所定の時間間隔で水を供給する間欠給水手段とを備えることを特徴とするタイマー機能付水車である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記回転桶と、前記回転桶と共に回転運動する前記間欠給水手段との対を備えることを特徴とする請求項1記載の発明のタイマー機能付水車である。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記回転桶と前記間欠給水手段との2対と、前記回転桶と前記間欠給水手段の回転運動を、反転可能に停止する停止装置とを備えることを特徴とする請求項2記載の発明のタイマー機能付水車である。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記間欠給水手段が、斜傾可能に支持され、貯水量の増減で斜傾方向が正反転する斜傾桶を備える間欠給水手段である請求項1記載の発明のタイマー機能付水車である。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4記載の発明のタイマー機能付水車が駆動することを特徴とする自動給餌・給水装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明の水車は、回転桶に所定の時間間隔で水を供給可能の間欠給水手段を備えるので、タイマー機能がある。
【0014】
請求項2記載の発明の水車は、回転桶と、間欠給水手段とが共に回転すので、間欠給水手段が桶等の場合、回転するに連れて、桶からの排水勾配が加速度的に急になるので、回転桶への給水が瞬間的に行われ、瞬発力の大きい駆動力を取り出す事が出来る。
【0015】
請求項3記載の発明の水車は、回転桶と間欠給水手段との2対と、回転桶と間欠給水手段の回転運動を、逆転可能に停止する停止装置とを備えているので、正転と反転を繰り返す回転を取り出す事が出来、ゲートの開閉等の動力機として有効である。
【0016】
請求項4記載の発明は、間欠給水手段が、斜傾可能に支持され、貯水量の増減で
斜傾方向が正反転する斜傾桶を備えるので、傾斜桶が斜傾するタイミングを、傾斜桶への給水量(即ち給水時間)で設定できる。従って、時間設定が容易で、作動が確実で、構造簡単なタイマー機能の付いた水車を提供出来る。
【0017】
請求項5記載の発明の自動給餌・給水装置は、請求項1〜請求項4記載の発明のタイマー機能付水車が駆動することを特徴とする自動給餌・給水装置であるので、下記の示す効果がある。
電気(又は電池)を使わず、自動給餌・給水が出来る。
電気部品が不要のため、安価で電気の故障・事故がない。
電気(又は電池)不要のため維持費が安く、環境に優しい。
水車を駆動した水を動物に給水出来るので無駄がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。 図2、図3、図4で、円弧状の回転桶11bは、間欠給水手段13の斜傾桶13aから給水される水の受け入れ口である受け口Cと、水を排出する排水孔Dと、停止装置14に突き当たり、回転桶11bや間欠給水手段13等で構成する回転部11の回転を停止させる停止突起Pとを備えており、駆動軸11aと一体に回転するスポーク部11cに固着している。
【0019】
図3、図5で、間欠給水手段13は、縦断面が逆台形の斜傾桶13aと斜傾軸13bとで構成されていて、スポーク部11cに枢着されて、越流側端Eは回転桶11bの受け口Cに入り込んでいる。
【0020】
図2、図3で、水平の回転軸線を有する駆動軸11aと、スポーク部11Cと、駆動軸11aの回転軸線を含む平面である対称面Fに関して面対象をなす2つの回転桶11bと、この2つの回転桶11bの各々と対になり、同じく対称面Fに関して面対称である2つの間欠給水手段13とでなる回転部11と、駆動軸11aを回転可能に支持する支持台12と、この支持台12に固着し回転桶11bの停止突起Pが突き当り、回転部11の左右の回転を90°で反転可能に停止させる停止装置14とでタイマー機能付水車1を構成する。
【0021】
図6で、(1)左側の斜傾桶13a(l)(lは左を表す、以下同じ)が貯水可能に位置し、給水設備60から単位時間当り一定量の水が供給され、貯水を開始する。(2)この貯水が所定の水深を超えると、左側の斜傾桶13a(l)は左に斜傾し、水は左側の回転桶11b(l)に越流する。(3)越流が所定量に達すると回転部11全体が左に回転し、左側の斜傾桶13a(l)の傾きは更に大きくなり、全ての貯水を吐き出す。このようにして、回転部11全体が左回転するが、その回転が90°になると、回転桶11b(l)の停止突起P(l)が停止装置14に突き当り停止する。
【0022】
この時点で、(4)右側の斜傾桶13a(r)(rは右を表す、以下同じ)が貯水可能に位置し、給水設備60から時間当り一定量の水が供給され、貯水を開始する。(5)この貯水が所定の水深を超えると、右側の斜傾桶13a(r)は右に回転し、水は右側の回転桶11b(r)に越流する。(6)越流が所定量に達すると回転部11全体が右に回転し、右側の斜傾桶13a(r)の傾きは更に大きくなり、全ての貯水を吐き出す。
【0023】
このようにして、回転部11全体が右回転するが、その回転が90°になると、回転桶11b(r)の停止突起P(r)が停止装置14に突き当り停止する。こうして(1)の状態に戻り、(1)〜(6)を繰り返す。(1)〜(6)の間、回転桶11bの貯水は所定の量を超えると、排水孔Dから排水され、その排水能力は、次に斜傾桶13aが斜傾して回転桶11bに給水するまでに、排水を完了する程度である。
【0024】
図1、図7で、タイマー機能付水車1が駆動する給餌器2の一実施例を示す。タイマー機能付水車1の駆動軸11aに直結する羽根軸22cに、3枚の羽根22bが90°、135°、135°の角度間隔で取り付けられ、ケーシング22a内で回転する。ケーシング上部には餌を貯蔵する貯餌槽21が連絡口Hを介して、取り付けられ、下部には餌を排出する給餌口Qがある。
【0025】
図8で、(1)分量室Aに餌Mが入っている。これを羽根軸22cが90°左回転して、(2)の状態になり、分量室Aにあった餌Mを給餌口Qから排出し、同時に分量室Bに餌Mが入る。この後、羽根軸22cを右回転すると分量室Bの餌Mは排出され分量室Aに餌Mが入り、(1)の状態に戻る。所定の時間間隔で(1)(2)を繰り返す。
【0026】
図1はタイマー機能付水車1の駆動軸11aと給餌器2の羽根軸22cを直結した自動給餌・給水装置の一実施例の主要部分を示す。給水設備60からの水は、所定の時間間隔で水車1を左右に回転させた後に、利水器50に入り、飲用等に供される。タイマー機能付水車1の左右の回転に同期する給餌器2は所定の時間間隔で所定量の餌を食器70に供給する。
【0027】
給水設備からの給水量や、転倒桶の形状、容量、重量を変えることで、任意の時間間隔を設定できるので、多種多様な給餌パターンに対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】自動給餌・給水装置の一実施例の主要部分見取り図である。
【図2】タイマー機能付水車の一実施例の正面図および断面図である。
【図3】タイマー機能付水車の一実施例の回転部見取り図である。
【図4】タイマー機能付水車の一実施例の回転桶見取り図である。
【図5】タイマー機能付水車の一実施例の間欠給水手段見取り図である。
【図6】タイマー機能付水車の一実施例で作動の仕組みを示す模式図である。
【図7】給餌器の一実施例の見取り図である
【図8】給餌器の一実施例で給餌の仕組みを示す模式図である。
【符号の説明】
【0029】
1 タイマー機能付水車
11 回転部
11a 駆動軸
11b 回転桶
11b(l) 回転桶(左)
11b(r) 回転桶(右)
C 受け口
D 排水孔
P 停止突起
P(l) 停止突起(左)
P(r) 停止突起(右)
11c スポーク部
12 支持台
13 間欠給水手段
13a 斜傾桶
13a(l) 斜傾桶(左)
13a(r) 斜傾桶(右)
E 越流側端
13b 斜傾軸
F 対称面
14 停止装置
2 給餌器
21 貯餌槽
22a ケーシング
22b 羽根
22c 羽根軸
H 連絡口
Q 給餌口
A 分量室A
B 分量室B
50 利水器
60 給水設備
70 餌器
W 水
M 餌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線周りに環状に配置された回転桶が,水の受け入れと排出を繰り返して回転運動する水車において、前記回転桶と、前記回転桶に所定の時間間隔で水を供給する間欠給水手段とを備えることを特徴とするタイマー機能付水車。
【請求項2】
前記回転桶と、前記回転桶と共に回転運動する前記間欠給水手段との対を備えることを特徴とする請求項1記載のタイマー機能付水車。
【請求項3】
前記回転桶と前記間欠給水手段との2対と、前記回転桶と前記間欠給水手段の回転運動を、反転可能に停止する停止装置とを備えることを特徴とする請求項2記載のタイマー機能付水車。
【請求項4】
前記間欠給水手段が、斜傾可能に支持され、貯水量の増減で斜傾方向が正反転する斜傾桶を備える間欠給水手段である請求項1記載のタイマー機能付水車。
【請求項5】
請求項1〜請求項4記載のタイマー機能付水車が駆動することを特徴とする自動給餌・給水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−266148(P2006−266148A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84324(P2005−84324)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(502121649)
【Fターム(参考)】