説明

タイミングコントローラ、画像表示装置及びリセット信号出力方法

【課題】信号線に接続されない余分な出力端子を有する信号線駆動ICを用いて画像表示装置を構成する場合でも、スキャン方向に関係なく正常に画像を表示することができるタイミングコントローラ等を提供する。
【解決手段】タイミングコントローラ12は、通常のリセット信号RSTと特定のリセット信号RSTとを含む複数のリセット信号RSTを記憶するリセット信号記憶部21と、リセット信号記憶部21に記憶された複数のリセット信号RSTのいずれかを、外部からの信号RLに応じてポートA〜Dごとに設定するリセット信号設定部22と、リセット信号設定部22によって設定されたリセット信号RSTと映像データDataとを合成して、それぞれポートA〜Dへ同時に出力するリセット信号合成部23と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイミングコントローラ、タイミングコントローラを備えた画像表示装置、及び、タイミングコントローラに用いられるリセット信号出力方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示装置の大型化やクロック及びデータの高速化に伴い、低EMI(Electro Magnetic Interference)化及び低消費電力化が求められている。これを図るために、画像表示装置で使用されるタイミングコントローラと信号線駆動回路との間のデジタル・インタフェースは、CMOS方式から差動方式である、RSDS(Reduced Swing Differential Signal)やmini−LVDS(Low-Voltage Differential Signaling)などに置き換わってきている。
【0003】
これらのRSDS及びmini−LVDSの規格は、それぞれNational Semiconductor Corporation及びTexas Instrumentsから発表されている。現在、多くの設計者が、タイミングコントローラと信号線駆動回路との間のデジタル・インタフェースに、これらの規格を使用している。Texas Instrumentsが発表したmini−LVDS規格としては、非特許文献1が知られている。
【0004】
図9は、非特許文献1の規格の一部を示すタイムチャートであり、横軸が時間であり、縦軸が各信号のレベルである。縦軸の各信号は、上から、クロック(LVCLKP)、映像データ線(LV0)の信号、映像データ線(LVi)の信号である。以下、図9に基づき説明する。
【0005】
タイミングコントローラと信号線駆動ICとのデジタル・インタフェース方式がmini−LVDS方式の場合、信号線駆動用のリセット信号(Reset)は、タイミングコントローラ出力の映像データに埋め込まれ、映像データ線(LV0)を伝送する。そして、映像データに埋め込まれたリセット信号のフォーマットは、1ライン分の最終データ(Last Data Bit)の後に“Low”となり、仕様を満足する“High”期間(TRST)の後、再び1クロック“Low”となる。このタイミングがリセット信号(Reset)の基準の生成位置となる。この“Low”の次のクロックの立ち上がりから、次のラインの最初のデータ(First Data Bit)が信号線駆動ICに取り込まれる。
【0006】
図10は、関連技術1の画像表示装置を示すブロック図である。図11は、関連技術1における信号線駆動ICを示すブロック図である。以下、図10及び図11に基づき説明する。
【0007】
この例の画像表示装置50は、表示パネル51と、タイミングコントローラ52と、信号線駆動回路53と、走査線駆動回路54とを備えている。表示パネル51は液晶表示パネルであり、画像表示装置50は液晶表示装置である。
【0008】
表示パネル51は、図示しないが、行方向に所定間隔で設けられた複数本の走査線と、列方向に所定間隔で設けられた複数本の信号線と、走査線と信号線とがそれぞれ交差する位置に設けられ等価的に容量性負荷である液晶セルと、共通電極と、対応する液晶セルを駆動するTFT(Thin Film Transistor)と、データ電荷を1垂直同期期間の間蓄積するコンデンサとを備えている。信号線駆動回路53は、複数個の信号線駆動IC55から成る。走査線駆動回路54は、複数個の走査線駆動IC56から成る。なお、信号線駆動IC55は、mini−LVDSインタフェース対応である。
【0009】
タイミングコントロー52は、非特許文献1に記載のタイミングでリセット信号RST(Reset)を生成するリセット信号生成部59と、図示しない映像データ処理部及びタイミング生成部とを備えている。映像データ処理部は、外部から供給される映像データDataを処理する。タイミング生成部は、信号線駆動IC55用としてデータラッチパルス信号DLP(Data Latch Pulse)及びクロック信号HCK(Horizontal Clock)を生成し、走査線駆動IC56用としてスタートパルス信号VSP(Vertical Start Pulse)、クロック信号VCK(Vertical Clock)及び出力イネーブル信号VOE(Vertical Output Enable)を生成し、液晶ディスプレイ51を交流駆動するための極性反転信号POL(Polarity Reverse)を生成する。以下、データラッチパルス信号DLP、クロック信号HCK、スタートパルス信号VSP、クロック信号VCK、出力イネーブル信号VOE及び極性反転信号POLを、それぞれ信号DLP、信号HCK、信号VSP、信号VCK、信号VOE及び信号POLと略称する。
【0010】
また、タイミングコントロー52は、FPC(Flexible Printed Circuit)61,62及びTCP(Tape Carrier Package)63を介して表示パネル51の一辺に接続され、FPC64及びTCP65を介して表示パネル51の他辺に接続されている。タイミングコントロー52には四個のポートA,B,C,Dが具備され、ポートA,B,C,DにはそれぞれFPC61,62が接続される。TCP63には信号線駆動IC55が実装され、TCP65には走査線駆動IC56が実装されている。前述の各信号は、ポートA,B,C,D、FPC61,62,64及びTCP63,65を伝わる。
【0011】
図10において、信号線駆動IC55、走査線駆動IC56、FPC61,62及びTCP63,65は、それぞれ複数あるが、一つにのみ符号を付す。また、映像データData及び各信号DLP,…は、図10では直接TCP63へ供給されるように描かれているが、実際にはリセット信号RSTと同様に各ポートA,…及びFPC61,62を介してTCP63へ供給される。
【0012】
各信号線駆動IC55は、タイミングコントローラ52から出力される信号DLP、信号POL及び信号HCKのタイミングで、タイミングコントローラ52から出力される映像データDataを取り込む。続いて、各信号線駆動IC55は、1ライン分の各画素毎に映像データDataをそれぞれ電圧値に変換し、その電圧を、1ラインの対応する表示パネル51の画素電極に、TFTのドレイン電極を介して供給する。ここで、TFT、画素電極等は、前述したように表示パネル51の構成要素である。
【0013】
また、信号線駆動IC55は、図11に示すように、シフトレジスタ部57及び信号線出力部58を備えている。信号線駆動IC55の出力数は720ch(チャネル)である。シフトレジスタ部57は、タイミングコントローラ52から供給されるリセット信号RST、信号HCK及び信号RLによって順次シフト動作をする。リセット信号RSTは、前述のように映像データDataに埋め込まれている。信号RLは、スキャン方向を決定するシフトレジスタ設定用である。信号SP1,SP2は、信号線駆動IC55の内部信号であり、スタートパルス信号である。
【0014】
各ポートA〜Dごとに複数の信号線駆動IC55が対応しており、複数の信号線駆動IC55は各ポートA〜Dごとに独立に動作する。例えば一つのポートに三つ以上の信号線駆動IC55があるとき、最初に動作する信号線駆動IC55は、リセット信号RSTを入力すると、映像データDataから所定数のデータを読み込んだ後、次の信号線駆動IC55へ信号SP2を出力する。次の信号線駆動IC55は、その信号SP2を信号SP1として入力し同様の動作を開始する。最後の信号線駆動IC55の動作が終了すると、各信号線駆動IC55は読み込んだデータを各信号線へ一斉に出力する。図10及び図11において信号線駆動IC55は、信号RLが“1”であれば左から右へ動作を進め(「左右順スキャン動作」という。)、信号RLが“0”であれば右から左へ動作を進める(「左右逆スキャン動作」という。)。
【0015】
走査線駆動IC56は、タイミングコントローラ52から出力される信号VSP、信号VOE及び信号VCKに基づき、信号VCKに同期して、1ライン単位で各TFTの走査線の全てを制御する。つまり、走査線駆動IC56は、図10中の上方の1ライン分の各TFTから順次導通させ、その導通時に、信号線駆動IC55から供給される階調電圧を画素電極に印加する。ここで、TFT、走査線、画素電極等は、前述したように表示パネル51の構成要素である。
【0016】
図10において、表示パネル51の表示解像度はWUXGA(Wide Ultra eXtended Graphics Array:1920×1200)であり、タイミングコントローラ52は4ポート10bit出力であり、信号線駆動IC55は出力数が720chであり8個使用されている。この場合の左右逆スキャン動作をした場合について説明する。1ラインの画素数が1920個(ただし1画素は3サブ画素から成る。)であり、かつ信号線駆動IC55の出力数が720chである場合、信号線駆動IC55を8個使えば信号線駆動IC55の出力数に余りは発生しない(∵1920=720×8÷3)。タイミングコントローラ52は4ポート出力のため、図10に示すように、信号線駆動IC55は2個ずつカスケード接続される構成となる。タイミングコントローラ52は、リセット信号生成部59にてリセット信号RSTを生成する。
【0017】
図12は、関連技術1における左右逆スキャン時の信号波形を示すタイムチャートであり、横軸が時間であり、縦軸が各信号のレベルである。縦軸の各信号は、上から、クロック信号(HCK)、ポートA〜Dの出力信号、説明用の出力信号である。以下、図10乃至図12に基づき説明する。
【0018】
信号線駆動IC55の出力数に余りが発生していないため、左右逆スキャン時でも、リセット信号RSTと映像データDataとのタイミングは、非特許文献1の規格を満足する。つまり、ポートA〜Dの出力信号は、リセット信号RSTの基準位置が揃っており、かつ、その基準位置から映像データDataの読み込みの開始までの時間も揃っている。これにより、画像表示装置50は問題なく正常表示する。
【0019】
次に、特許文献に開示された技術について説明する。
【0020】
特許文献1に開示された技術は、ソースドライバICへ入力するスタートパルスのタイミングを適当なデータ数の分だけ変更することによって、ソースドライバICがデータを読み込むタイミングをずらせて、ソースドライバICの前部の端子の出力を無効にする。これにより、ソースドライバICの余った端子を前後に振り分ける。
【0021】
特許文献2に開示された技術は、信号線駆動ICの出力を一部オフとすることにより、信号線駆動ICの出力数と表示パネルの入力数とを等しくする。これにより、信号線のスキャン方向を逆にした場合に、表示ズレが出ないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平11−311763号公報(段落0009等)
【特許文献2】特開2002−207452号公報(段落0035、0036等)
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】mini-LVDS Interface Specification (SLDA007A-August 2001 - Revised July 2003,TEXAS INSTRUMENTS)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、図10乃至図12で説明した画像表示装置50において、720chではなく414chの信号線駆動ICを使用する場合に、問題が発生する。そのような信号線駆動ICを使用する理由には、特定の電気特性を満たすには414chのものしかない場合や、414chを使用した方が安価になる場合などが挙げられる。以下に詳しく説明する。
【0025】
図13は、関連技術2の画像表示装置を示すブロック図である。図3は、関連技術2における信号線駆動ICを示すブロック図である(つまり、関連技術2における信号線駆動ICは、本発明の一実施形態における信号線駆動ICと同じ構成である。)。以下、図13及び図3に基づき説明する。なお、図13及び図3において図10及び図11と同一部分には同一符号を付す。
【0026】
画像表示装置70において、表示パネル51の表示解像度はWUXGAであり、タイミングコントローラ52は4ポート10bit出力であり、信号線駆動IC75は出力数が414chであり14個使用されている。つまり、信号線駆動回路73は、14個の信号線駆動IC75から成る。信号線駆動IC75は、図3に示すように、シフトレジスタ部77及び信号線出力部78を備えている。他の構成は、前述した関連技術1と同様である。
【0027】
WUXGA解像度の画素数が1920個であり、かつ信号線駆動IC75の出力数が414chである場合、信号線駆動IC75を14個使用すると、36ch分の出力数の余りが発生する。この信号線駆動IC75の出力の余りは、表示パネル51の信号線と接続されていないため、通常はオープン処理されダミー端子となる。そのため、信号線駆動IC75の14個のどれかでダミー端子処理する必要がある。図13は、信号線駆動回路73の左から4番目及び11番目の信号線駆動IC75に、ダミー処理を施した例である。このとき、左右順スキャン時では問題無いが、左右逆スキャン時は、この36出力の余りが問題となる。
【0028】
図14は、関連技術2における左右逆スキャン時の信号波形を示すタイムチャートであり、横軸が時間であり、縦軸が各信号のレベルである。縦軸の各信号は、上から、クロック信号(HCK)、ポートA〜Dの出力信号である。以下、図13、図3及び図14に基づき説明する。
【0029】
左右逆スキャン時、信号線駆動IC75の出力端子s414から出力端子s1へ順次シフト動作していく。このとき、左から4番目及び11番目の信号線駆動IC75の出力端子s397〜s414の18出力(6画素)分は、ダミー端子のため、表示パネル51と接続されていない。このときの信号波形を図14に示す。
【0030】
このため、タイミングコントローラ52のポートA,Cの最初の6画素分は、表示パネル51と接続されていないため、表示しない。ポートB,Dの出力は、全て表示パネル51と接続されているため、問題無く正常表示する。したがって、タイミングコントローラ52のポートA,Cの最初の6画素分が表示できないため、画像表示装置70は6画素分左右にずれた異常表示をすることになる。
【0031】
以上、説明したように、タイミングコントローラ52で構成された画像表示装置70は、表示解像度と信号線駆動IC75の出力数との組み合わせによって信号線駆動IC75の出力に余りが発生する場合、左右逆スキャン動作をすると正常に表示できなかった。つまり、左右逆スキャン動作が必須な仕様の製品に使用できる信号線駆動ICは、出力数に余りが発生しないものに限定されていた。そのため、電気特性のより良い信号線駆動ICを使用できないなど、設計の柔軟性に欠けていた。また、他の製品と信号線駆動部品を共用することもできないため、コストダウンの妨げとなっていた。
【0032】
また、特許文献1、2に開示された技術は、mini−LVDSインタフェース規格を用いていないため、この規格に対応した信号線駆動を実現できない。
【0033】
そこで、本発明の目的は、信号線に接続されない余分な出力端子を有する信号線駆動ICを用いて画像表示装置を構成する場合でも、スキャン方向に関係なく正常に画像を表示することができるタイミングコントローラ等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明に係るタイミングコントローラは、
信号線に接続された出力端子を有する複数の信号線駆動ICへ、映像データと当該映像データの読み込みを開始させるリセット信号とを、複数のポートを介して出力するタイミングコントローラであって、
前記複数の信号線駆動ICには、前記信号線に接続された通常の出力端子のみを有する通常の信号線駆動ICと、前記通常の出力端子の他に前記信号線に接続されない特定の出力端子を有する特定の信号線駆動ICとがあり、
前記複数のポートには、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含まないポートと、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含むポートとがあり、
前記リセット信号には、前記通常の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する通常のリセット信号と、前記特定の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する特定のリセット信号とがあり、
かつ、この特定のリセット信号は、前記通常のリセット信号よりも、前記特定の出力端子に対応する前記映像データの読み込みに相当する時間だけ早く当該読み込みを開始させる信号である場合に、
前記通常のリセット信号と前記特定のリセット信号とを含む複数のリセット信号を記憶するリセット信号記憶部と、
このリセット信号記憶部に記憶された前記複数のリセット信号のいずれかを、外部からの信号に応じて前記複数のポートごとに設定するリセット信号設定部と、
このリセット信号設定部によって設定された前記リセット信号と前記映像データとを合成して、それぞれ前記複数のポートへ同時に出力するリセット信号合成部と、
を備えたことを特徴とする。
【0035】
本発明に係る画像表示装置は、
複数の前記信号線、複数の走査線、及び当該複数の走査線と当該複数の信号線との交点にそれぞれ形成された画素を有する表示パネルと、
前記複数の信号線駆動ICから成る信号線駆動回路と、
前記走査線へ走査信号を出力する走査線駆動回路と、
本発明に係るタイミングコントローラと、
を備えたことを特徴とする。
【0036】
本発明に係るリセット信号出力方法は、
信号線に接続された出力端子を有する複数の信号線駆動ICへ、映像データと当該映像データの読み込みを開始させるリセット信号とを、複数のポートを介して出力するタイミングコントローラに用いられるリセット信号出力方法であって、
前記複数の信号線駆動ICには、前記信号線に接続された通常の出力端子のみを有する通常の信号線駆動ICと、前記通常の出力端子の他に前記信号線に接続されない特定の出力端子を有する特定の信号線駆動ICとがあり、
前記複数のポートには、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含まないポートと、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含むポートとがあり、
前記リセット信号には、前記通常の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する通常のリセット信号と、前記特定の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する特定のリセット信号とがあり、
かつ、この特定のリセット信号は、前記通常のリセット信号よりも、前記特定の出力端子に対応する前記映像データの読み込みに相当する時間だけ早く当該読み込みを開始させる信号である場合に、
前記通常のリセット信号と前記特定のリセット信号とを含む複数のリセット信号を記憶しておき、
これらの記憶された前記複数のリセット信号のいずれかを、外部からの信号に応じて前記複数のポートごとに設定し、
これらの設定された前記リセット信号と前記映像データとを合成して、それぞれ前記複数のポートへ同時に出力する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、特定の信号線駆動ICが、特定の出力端子に対応する映像データの読み込みに相当する時間だけ、通常の信号線駆動ICよりも早く当該読み込みを開始することにより、特定の信号線駆動ICが通常の出力端子に対応する映像データの読み込み始める時を、通常の信号線駆動ICが通常の出力端子に対応する映像データの読み込み始める時に一致させることができる。したがって、信号線に接続されない余分な出力端子を有する信号線駆動ICを使用して画像表示装置を構成する場合でも、スキャン方向に関係なく正常に画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における表示パネルの一部を示す回路図である。
【図3】本実施形態における信号線駆動ICを示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るリセット信号出力プログラムによる処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態におけるリセット信号記憶部が保持するテーブルを示す図表であり、図5[1]は左右順スキャン時のリセット信号を示し、図5[2]は左右逆スキャン時のリセット信号を示す。
【図6】本実施形態におけるmini−LVDSのデータフォーマットを示すタイムチャートである。
【図7】本実施形態におけるリセット信号の一例を示すタイムチャートである。
【図8】本実施形態における合成されたリセット信号及び映像データを示すタイムチャートである。
【図9】非特許文献1の規格の一部を示すタイムチャートである。
【図10】関連技術1の画像表示装置を示すブロック図である。
【図11】関連技術1における信号線駆動ICを示すブロック図である。
【図12】関連技術1における左右逆スキャン時の信号波形を示すタイムチャートである。
【図13】関連技術2の画像表示装置を示すブロック図である。
【図14】関連技術2における左右逆スキャン時の信号波形を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置を示すブロック図である。図2は、本実施形態における表示パネルの一部を示す回路図である。図3は、本実施形態における信号線駆動ICを示すブロック図である。以下、図1、図2及び図3に基づき説明する。ただし、図1において図10及び図13と同一部分には同一符号を付し、図3において図11と同一部分には同一符号を付す。
【0040】
本実施形態の画像表示装置10は、複数の信号線d1,…、複数の走査線g1,…、及び信号線d1,…と走査線g1…との交点にそれぞれ形成されたサブ画素30を有する表示パネル51と、複数の信号線駆動IC75から成る信号線駆動回路73と、走査線g1…へ走査信号を出力する走査線駆動回路54と、本実施形態のタイミングコントローラ12と、を備えたことを特徴とする。本実施形態では、画像表示装置10が液晶表示装置であり、表示パネル51が液晶表示パネルである。タイミングコントローラ12と信号線駆動IC75とのインタフェース規格は、mini−LVDSである。なお、特許請求の範囲における「画素」は、本実施形態における「サブ画素」に相当する。本実施形態における「画素」は三つの「サブ画素」から成る。
【0041】
本実施形態のタイミングコントローラ12は、信号線d1,…に接続された出力端子s1,…を有する複数の信号線駆動IC75へ、映像データDataと映像データDataの読み込みを開始させるリセット信号RSTとを、ポートA〜Dを介して出力するものである。複数の信号線駆動IC75には、信号線d1,…に接続された通常の出力端子s1,…のみを有する通常の信号線駆動IC75と、通常の出力端子s1,…の他に信号線d1,…に接続されない特定の出力端子s414,…を有する特定の信号線駆動IC75とがある。ポートA〜Dには、特定の信号線駆動IC75を出力先に含まないポートB,Dと、特定の信号線駆動IC75を出力先に含むポートA,Cとがある。リセット信号RSTには、通常の出力端子s1,…に対応する映像データDataから読み込みを開始させるときに使用する通常のリセット信号RSTと、特定の出力端子s414,…に対応する映像データDataから読み込みを開始させるときに使用する特定のリセット信号RSTとがある。かつ、この特定のリセット信号RSTは、通常のリセット信号RSTよりも、特定の出力端子s414,…に対応する映像データDataの読み込みに相当する時間だけ早く当該読み込みを開始させる信号である。
【0042】
この場合に、タイミングコントローラ12は、通常のリセット信号RSTと特定のリセット信号RSTとを含む複数のリセット信号RSTを記憶するリセット信号記憶部21と、リセット信号記憶部21に記憶された複数のリセット信号RSTのいずれかを、外部からの信号RLに応じてポートA〜Dごとに設定するリセット信号設定部22と、リセット信号設定部22によって設定されたリセット信号RSTと映像データDataとを合成して、それぞれポートA〜Dへ同時に出力するリセット信号合成部23と、を備えたことを特徴とする。
【0043】
信号線駆動IC75は、414本の出力端子s1〜s414を有する。ポートAに属する信号線駆動IC75のうち、左の三個が通常の信号線駆動IC75であり、右の一個が特定の信号線駆動IC75である。ポートCについても同様である。ポートB,Dに属する信号線駆動IC75は、それぞれ三個全部が通常の信号線駆動IC75である。特定の信号線駆動IC75の出力端子s1〜s414のうち、左の396本が通常の出力端子s1〜s396であり、右の18本が特定の出力端子s397〜s414である。通常の信号線駆動IC75では、出力端子s1〜s414のすべてが通常の出力端子s1〜s414である。ここでいう「左右」とは図面上での左右である。なお、図1では、信号線駆動IC75相互の信号の向きは、左右順スキャン動作の場合を示している。左右逆スキャン動作における信号線駆動IC75相互の信号の向きは、これと逆になる。
【0044】
タイミングコントローラ12は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)とすることができる。このとき、リセット信号記憶部21、リセット信号設定部22及びリセット信号合成部23を含む各種の機能がHDL(Hardware Description Language)によって設計される。
【0045】
画像表示装置10のその他の構成については、関連技術1、2(図10、図11及び図13)と同様である。
【0046】
次に、タイミングコントローラ12の動作を説明する。外部からの信号RLが、特定の信号線駆動IC75に対しては、特定の出力端子s414,…に対応する映像データDataから読み込みを開始させる信号であったとする。この外部からの信号RLは、通常の信号線駆動IC75に対しては、当然ながら通常の出力端子s1,…に対応する映像データDataから読み込みを開始させる信号である。このとき、リセット信号設定部22は、特定の信号線駆動IC75を出力先に含むポートA,Cに対して特定のリセット信号RSTを設定し、通常の信号線駆動IC75のみを出力先に含むポートB,Dに対して通常のリセット信号RSTを設定する。リセット信号合成部23は、特定のリセット信号RSTと映像データDataとを合成して特定の信号線駆動IC75を出力先に含むポートA,Cへ出力すると同時に、通常のリセット信号RSTと映像データDataとを合成して通常の信号線駆動IC75のみを出力先に含むポートB,Dへ出力する。ポートA,Cにおいて最初に読み込みを開始する特定の信号線駆動IC75は、ポートB,Dにおいて最初に読み込みを開始する通常の信号線駆動IC75よりも、特定の出力端子s414〜s397に対応する映像データDataの読み込みに相当する時間だけ早く当該読み込みを開始する。そのため、特定の信号線駆動IC75が通常の出力端子s396に対応する映像データDataの読み込み始める時は、通常の信号線駆動IC75が通常の出力端子s414に対応する映像データDataの読み込み始める時に一致する。このとき、例えばmini−LVDSインタフェース規格を用い、信号線d1,…に接続されない余分な出力端子s414〜s397を有する信号線駆動IC75を使用して画像表示装置10を構成した場合でも、左右逆スキャン動作時に正常に画像を表示することができる。
【0047】
また、リセット信号RSTは、次のようなものとしてもよい。リセット信号RSTは、トリガ部分を含み、このトリガ部分から一定時間経過後に映像データDataの読み込みを開始させる信号である。特定のリセット信号RSTのトリガ部分は、通常のリセット信号RSTのトリガ部分よりも、特定の出力端子s414〜s397に対応する映像データDataの読み込みに相当する時間だけ早く出力される。
【0048】
このとき、リセット信号RSTが複数の信号線駆動IC75へ同時に出力されても、特定の信号線駆動IC75にトリガ部分が到達する時は、特定の出力端子s414〜s397に対応する映像データDataの読み込みに相当する時間だけ、通常の信号線駆動IC75にトリガ部分が到達する時よりも早くなる。つまり、特定の信号線駆動IC75は、特定の出力端子s414〜s397に対応する映像データDataの読み込みに相当する時間だけ、通常の信号線駆動IC75よりも早く当該読み込みを開始する。そのため、特定の信号線駆動IC75が通常の出力端子s396に対応する映像データDataの読み込み始める時は、通常の信号線駆動IC75が通常の出力端子s414に対応する映像データDataの読み込み始める時に一致する。
【0049】
また、前述したタイミングコントローラ12の動作は、リセット信号出力方法として捉えることができる。すなわち、本実施形態に係るリセット信号出力方法は、タイミングコントローラ12に用いられるリセット信号出力方法であって、通常のリセット信号RSTと特定のリセット信号RSTとを含む複数のリセット信号RSTを記憶しておき、これらの記憶された複数のリセット信号RSTのいずれかを、外部からの信号RLに応じてポートA〜Dごとに設定し、これらの設定されたリセット信号RSTと映像データDataとを合成して、それぞれポートA〜Dへ同時に出力する、ことを基本的な特徴とする。本実施形態に係るリセット信号出力方法は、この基本的な特徴の他に、前述したタイミングコントローラ12の動作を工程として付加してもよい。
【0050】
更に、前述したタイミングコントローラ12の動作は、コンピュータ及びそのプログラムで実現することもできる。すなわち、本実施形態に係るリセット信号出力プログラムは、タイミングコントローラ12に用いられるリセット信号出力プログラムであって、タイミングコントローラ12の全部又は一部がコンピュータから成るとき、このコンピュータに、通常のリセット信号RSTと特定のリセット信号RSTとを含む複数のリセット信号RSTを記憶しておく手段(リセット信号記憶部21に相当)、これらの記憶された複数のリセット信号RSTのいずれかを、外部からの信号RLに応じてポートA〜Dごとに設定する手段(リセット信号設定部22に相当)、及び、これらの設定されたリセット信号RSTと映像データDataとを合成して、それぞれポートA〜Dへ同時に出力する手段(リセット信号合成部23に相当)、として機能させるためのものである。本実施形態に係るリセット信号出力プログラムは、これらの基本的な手段の他に、前述したタイミングコントローラ12の動作を手段として付加してもよい。
【0051】
このとき用いるコンピュータは、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等から成る一般的なものでよい。図4は、本実施形態のリセット信号出力プログラムによる処理を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、通常のリセット信号RSTと特定のリセット信号RSTとを含む複数のリセット信号RSTを記憶しておく(ステップ101)。続いて、これらの記憶された複数のリセット信号RSTのいずれかを、外部からの信号RLに応じてポートA〜Dごとに設定する(ステップ102)。最後に、これらの設定されたリセット信号RSTと映像データDataとを合成して、それぞれポートA〜Dへ同時に出力する(ステップ103)。
【0052】
次に、本実施形態について更に詳しく説明する。ただし、タイミングコントローラ12はASIC又はFPGAから成るものとする。
【0053】
図1に、本実施形態の画像表示装置10及びタイミングコントローラ12の構成を示す。画像表示装置10は、表示パネル51と、タイミングコントローラ12と、信号線駆動回路73と、走査線駆動回路54とで構成される。信号線駆動回路73は複数個の信号線駆動IC75から成り、走査線駆動回路54は複数個の走査線駆動IC56から成る。
【0054】
図2に示すように、表示パネル51は、行方向に所定間隔で設けられた複数本の走査線g1,…と、列方向に所定間隔で設けられた複数本の信号線d1,…と、走査線g1,…と信号線d1,…との交差位置に対応して設けられた等価的に容量性負荷である液晶セル31と、共通電極32と、対応する液晶セル31を駆動するTFT33と、映像データDataに相当する電荷を1垂直同期期間の間蓄積するコンデンサ34とを有する。図3に示すように、信号線駆動IC75はシフトレジスタ部77と信号線出力部78とを有する。
【0055】
タイミングコントローラ12は、複数のリセット信号RSTを記憶するレジスタから成るリセット信号記憶部21と、外部から設定される左右スキャン設定の信号RL、表示解像度、使用する信号線駆動IC75の出力数等のパラメータによってリセット信号RSTを設定するリセット信号設定部22と、リセット信号RSTを映像データDataと合成するリセット信号合成部23とを有する。また、タイミングコントローラ12は、映像データ処理部及びタイミング生成部を有するとしてもよい(図示せず)。このとき、映像データ処理部は、外部から供給される映像データDataを処理する。タイミング生成部は、信号線駆動IC75用の信号DLP及び信号HCK、走査線駆動IC56用の信号VSP、信号VCK及び信号VOE、並びに表示パネル51を交流駆動するための信号POLを生成する。
【0056】
信号線駆動回路73は、信号線駆動IC75を複数個使用した構成である。信号線駆動回路73では、タイミングコントローラ12から出力される映像データData、信号DLP、信号POL及び信号HCKのタイミングで、各信号線駆動IC75が映像データDataを取り込む。そして、各信号線駆動IC75は、走査線g1,…の1ライン分の各サブ画素30毎に映像データDataをそれぞれ電圧値(階調電圧)に変換して、TFT33のドレイン電極を介して画素電極35に供給する。
【0057】
走査線駆動回路54は、走査線駆動IC56を複数個使用した構成である。走査線駆動回路54では、走査線駆動IC56が、タイミングコントローラ12から出力される信号VSP、信号VOE及び信号VCKに基づき、信号VCKに同期して、走査線g1,…の1ライン単位で各TFT33の走査線g1,…の全てを制御する。そして、走査線駆動IC56は、上方の1ライン分の各TFT33から順次導通させることにより、その導通時点に信号線駆動IC75から供給される階調電圧を、画素電極35に印加する。
【0058】
次に、本実施形態のタイミングコントローラ12の動作について説明する。
【0059】
表示パネル51の表示解像度の画素数と各信号線駆動IC75の出力数との組み合わせにより、信号線駆動IC75の出力数に余りが出る場合がある。この場合における左右方向逆スキャン時に、タイミングコントローラ12は、各ポートA〜Dのリセット信号RSTを個別設定することで、正常表示を実現する。以下、図面を参照して具体的な動作について説明する。
【0060】
本実施形態では、図1に示すように、表示解像度はWUXGA、タイミングコントローラ12は4ポート10bit出力、信号線駆動IC75は414出力を14個使用、という構成になっている。このとき、左右逆スキャン動作をした場合について説明する。
【0061】
図5は、本実施形態におけるリセット信号記憶部が保持するテーブルを示す図表であり、図5[1]は左右順スキャン時のリセット信号を示し、図5[2]は左右逆スキャン時のリセット信号を示す。以下、図1及び図5に基づき説明する。
【0062】
リセット信号設定部22は、左右スキャン設定の信号RLの値に応じて、ポートA〜D毎にリセット信号RSTを、図5[1][2]に示す値のどちらかに一方に設定する。リセット信号RSTは、更に5個分のリセット信号RST0〜RST4から構成されている。信号RLが“0”であるときは、左右順スキャン動作を指示しているので、図5[1]に示すように設定する。信号RLが“1”であるときは、左右逆スキャン動作を指示しているので、図5[2]に示すように設定する。
【0063】
図5に示すリセット信号RSTは、解像度、信号線駆動IC75の出力数、タイミングコントローラ12のポート数などのパラメータの組み合わせに基づいて、タイミングコントローラ12内のレジスタ(すなわちリセット信号記憶部21)に、初期値として持たせてもよい。また、シリアル通信やI2C(Inter-Integrated Circuit)通信などによって、そのレジスタの値を変更してもよい。
【0064】
図6は、本実施形態におけるmini−LVDSのデータフォーマットを示すタイムチャートである。図7は、本実施形態におけるリセット信号の一例を示すタイムチャートである。図8は、本実施形態における合成されたリセット信号及び映像データを示すタイムチャートである。図6乃至図8において、横軸は時間であり、縦軸は各信号の波形又は値である。以下、図1乃至図8に基づき説明する。
【0065】
ここで、mini−LVDSのデータフォーマットについて説明する。10bitのmini−LVDSのデータフォーマットは、図6に示す通り、8ペアのデータ線D0〜D7を使って、RGB(Red Green Blue)各10bitのデータ2画素分を、信号HCKの4パルスで転送する。
【0066】
次に、リセット信号RSTの生成方法について説明する。例えば、図5[2]に示すように、信号RLが“0”であるとき、ポートAのリセット信号RSTを構成する各リセット信号RST4〜RST0は、それぞれF8h、1Fh、00h、00h、00hである。したがって、ポートAのリセット信号RSTのデータは、そのデータフォーマットから、次のようになる。
0001_1111、1111_1000、0000_0000、0000_0000、0000_0000
これを波形で表すと、図7に示すようになる。図7におけるデータ「1」の部分が、リセット信号RSTのトリガ部分である。
【0067】
このようにして、リセット信号合成部23は、図8に示すように、各ポートA〜Dにおける映像データDataの1stデータの前段に、それぞれ5個のリセット信号RST4〜RST0から成るリセット信号RSTを合成する。
【0068】
本実施形態では、図8に示すように、左右逆スキャン(RS=“0”)時におけるポートA,Cのリセット信号RSTのトリガ部分は、基準のトリガ部分の生成位置(以下「RST基準位置」という。)から6画素分(信号HCKの12パルス分)早く生成されて出力される。ポートB,Dのリセット信号RSTのトリガ部分は、RST基準位置の生成位置と同じ位置で生成されて出力される。
【0069】
信号線駆動回路73において、左から4番目及び11番目の信号線駆動IC75の出力端子s397〜s414は、信号線d1,…と接続されていない。そのため、これらの18本の余分な出力端子s397〜s414については、対応するポートA,Cのリセット信号RSTを6画素分ずらしてダミー駆動させる。その直後、信号線d1,…と接続されている出力端子s396,…について、順次シフトする。余分な出力端子の無い信号線駆動IC75に対応するポートB,Dのリセット信号RSTのトリガ部分は、RST基準位置からずらす必要が無い。このようにして、有効な1920画素の左右逆スキャン動作を問題なく実施し、正常表示が可能となる。
【0070】
また、左右順スキャン時は、信号線d1,…に接続された出力端子s1,…から順次駆動するので、信号線駆動IC75の出力端子s1,…の余りに影響を受けない。そのため、左右順スキャン時のリセット信号RSTのトリガ部分は、RST基準位置と同じ位置で生成することにより、正常表示となる。
【0071】
このように、タイミングコントローラ12は、表示パネル51の画素数と信号線駆動IC75の出力数との組み合わせにより、信号線駆動IC75の出力に余りが発生しても、タイミングコントローラ12で各ポートA〜Dのリセット信号RSTを個別に設定するため、左右逆スキャン時でも正常表示を簡単に行うことができる。
【0072】
次に、本実施形態に総括する。本実施形態のタイミングコントローラ12は、画像表示装置10の表示解像度とmini−LVDSインタフェース対応の信号線駆動IC75の出力数との組み合わせによって、信号線駆動IC75の出力端子S1,…に余りが発生する場合でも、左右逆スキャン時の正常表示を可能とすることを目的とする。この目的を達成する手段として、タイミングコントローラ12内部に、表示解像度の画素数と信号線駆動IC75の出力数とに応じてリセット信号RSTを設定するリセット信号設定部22と、リセット信号RSTを映像データDataと合成するリセット信号合成部23とを具備することを特徴とする。ここで、任意の表示解像度の画素数を持つ画像表示装置10は、表示パネル51と、タイミングコントローラ12と、任意の信号線出力数を持つ複数個の信号線駆動IC75から成る信号線駆動回路73と、走査線駆動回路54とから構成される。このため、タイミングコントローラ12は、内部で各ポートA〜Dのリセット信号RSTを個別設定し、リセット信号合成部23でリセット信号RSTを各ポートA〜Dごとに個別に生成するため、左右逆スキャン時でも正常表示を簡単に行うことが可能となる。換言すると、本実施形態のタイミングコントローラ12は、画像表示装置10において、mini−LVDSインタフェース対応の信号線駆動IC75の出力に余りが発生しても、左右逆スキャン時に正常表示を可能とするために、表示解像度の画素数と使用する信号線駆動IC75の出力数とによってリセット信号RSTを設定するリセット信号設定部22と、リセット信号RSTを映像データDataと合成するリセット信号合成部23とを具備することを特徴とする。
【0073】
次に、本実施形態の構成に基づく効果について、詳しく説明する。リセット信号RSTは、映像データDataと合成された結果、映像データDataに埋め込まれた状態になっている。関連技術2のタイミングコントローラ52(図13)の場合、リセット信号RSTと映像データDataとのタイミングは固定されていた。このため、表示パネル51の画素数と信号線駆動IC75の出力数との組み合わせにより、信号線駆動IC75の出力に余りが発生した場合、左右逆スキャン時は先のタイミングコントローラ52(図13)では正常表示できなかった。
【0074】
これに対し、本実施形態のタイミングコントローラ12によれば、表示パネル51の画素数と信号線駆動IC75の出力数との組み合わせにより、信号線駆動IC75の出力に余りが発生しても、リセット信号設定部22で、各ポートA〜Dのリセット信号RSTを個別に設定し、リセット信号合成部23でリセット信号RSTをポートA〜Dごとに個別に生成するため、左右逆スキャン時でも正常表示を簡単に行うことが可能となる。これにより、関連技術2では不可能であった左右逆スキャン動作が、本実施形態によって可能となるので、画像表示装置の設計時の部材レイアウトの自由度を向上できる。また、関連技術2ではWUXGA解像度において使用不可能であった出力特性のより良い、414出力の信号線駆動IC75を、本実施形態によって使用可能となるので、画像表示装置の表示品位を向上できる。また、関連技術2では使用不可能であった414出力の信号線駆動IC75が、本実施形態によって使用可能となることにより、信号線駆動IC75の部材共用が可能となるとともにコストダウンが可能となるので、安価な製品をエンドユーザに提供できる。
【0075】
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。例えば、mini−LVDSデータフォーマットは10bitに限らず、例えば8bitであってもよい。また、mini−LVDSに限らず、信号線に供給する映像データにリセット信号を合成するフォーマットのインタフェースであれば何でもよい。また、左右順スキャン動作時に異常表示となる場合にも、本発明を適用できる。つまり、信号線駆動ICの余分な出力端子が、左右順スキャン時に最初の対象となる場合である。更に、表示パネルは液晶表示パネルに限らず有機EL(Electro Luminescence)表示パネルやLED(Light Emitting Diode)表示パネルなどでもよく、すなわち画像表示装置は有機EL表示装置やLED表示装置などでもよい。
【0076】
本発明は次のように表現することもできる。
(1)画像表示装置の外部から供給される映像データを処理する映像データ処理部と、当該処理結果に基づいて各制御信号を生成するタイミング生成部とを有するタイミングコントローラにおいて、外部から設定される左右スキャン方向設定の信号RL、表示解像度及び使用する信号線駆動ICの出力数によって、各ポートのリセット信号RSTを個別生成し表示させるようにしたことを特徴とするタイミングコントローラ。
(2)画像表示装置を制御する方法において、各ポートのリセット信号RSTを個別生成し表示させるようにしたことを特徴とする画像表示装置制御方法。
(3)上記(1)のタイミングコントローラを有することを特徴とする画像表示装置。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、信号線へ供給する映像データにリセット信号を合成して信号線駆動ICへ出力するタイミングコントローラ、例えばmini−LVDSインタフェース対応の信号線駆動ICに用いられるタイミングコントローラ等、に利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 画像表示装置
12 タイミングコントローラ
21 リセット信号記憶部
22 リセット信号設定部
23 リセット信号合成部
30 サブ画素
51 表示パネル
54 走査線駆動回路
56 走査線駆動IC
73 信号線駆動回路
75 信号線駆動IC
g1,… 走査線
d1,… 信号線
s1,… 出力端子
Data 映像データ
RST リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線に接続された出力端子を有する複数の信号線駆動ICへ、映像データと当該映像データの読み込みを開始させるリセット信号とを、複数のポートを介して出力するタイミングコントローラであって、
前記複数の信号線駆動ICには、前記信号線に接続された通常の出力端子のみを有する通常の信号線駆動ICと、前記通常の出力端子の他に前記信号線に接続されない特定の出力端子を有する特定の信号線駆動ICとがあり、
前記複数のポートには、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含まないポートと、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含むポートとがあり、
前記リセット信号には、前記通常の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する通常のリセット信号と、前記特定の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する特定のリセット信号とがあり、
かつ、この特定のリセット信号は、前記通常のリセット信号よりも、前記特定の出力端子に対応する前記映像データの読み込みに相当する時間だけ早く当該読み込みを開始させる信号である場合に、
前記通常のリセット信号と前記特定のリセット信号とを含む複数のリセット信号を記憶するリセット信号記憶部と、
このリセット信号記憶部に記憶された前記複数のリセット信号のいずれかを、外部からの信号に応じて前記複数のポートごとに設定するリセット信号設定部と、
このリセット信号設定部によって設定された前記リセット信号と前記映像データとを合成して、それぞれ前記複数のポートへ同時に出力するリセット信号合成部と、
を備えたことを特徴とするタイミングコントローラ。
【請求項2】
請求項1記載のタイミングコントローラにおいて、
前記リセット信号は、トリガ部分を含み、このトリガ部分から一定時間経過後に前記読み込みを開始させる信号であり、
前記特定のリセット信号の前記トリガ部分は、前記通常のリセット信号の前記トリガ部分よりも、前記特定の出力端子に対応する前記映像データの読み込みに相当する時間だけ早く出力される、
ことを特徴とするタイミングコントローラ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のタイミングコントローラにおいて、
前記タイミングコントローラと前記信号線駆動ICとのインタフェース規格がmini−LVDSである、
ことを特徴とするタイミングコントローラ。
【請求項4】
複数の前記信号線、複数の走査線、及び当該複数の走査線と当該複数の信号線との交点にそれぞれ形成された画素を有する表示パネルと、
前記複数の信号線駆動ICから成る信号線駆動回路と、
前記走査線へ走査信号を出力する走査線駆動回路と、
請求項1乃至3のいずれか一項記載のタイミングコントローラと、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルが液晶表示パネルである、
請求項4記載の画像表示装置。
【請求項6】
信号線に接続された出力端子を有する複数の信号線駆動ICへ、映像データと当該映像データの読み込みを開始させるリセット信号とを、複数のポートを介して出力するタイミングコントローラに用いられるリセット信号出力方法であって、
前記複数の信号線駆動ICには、前記信号線に接続された通常の出力端子のみを有する通常の信号線駆動ICと、前記通常の出力端子の他に前記信号線に接続されない特定の出力端子を有する特定の信号線駆動ICとがあり、
前記複数のポートには、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含まないポートと、前記特定の信号線駆動ICを出力先に含むポートとがあり、
前記リセット信号には、前記通常の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する通常のリセット信号と、前記特定の出力端子に対応する前記映像データから読み込みを開始させるときに使用する特定のリセット信号とがあり、
かつ、この特定のリセット信号は、前記通常のリセット信号よりも、前記特定の出力端子に対応する前記映像データの読み込みに相当する時間だけ早く当該読み込みを開始させる信号である場合に、
前記通常のリセット信号と前記特定のリセット信号とを含む複数のリセット信号を記憶しておき、
これらの記憶された前記複数のリセット信号のいずれかを、外部からの信号に応じて前記複数のポートごとに設定し、
これらの設定された前記リセット信号と前記映像データとを合成して、それぞれ前記複数のポートへ同時に出力する、
ことを特徴とするリセット信号出力方法。
【請求項7】
請求項6記載のリセット信号出力方法において、
前記リセット信号は、トリガ部分を含み、このトリガ部分から一定時間経過後に前記読み込みを開始させる信号であり、
前記特定のリセット信号の前記トリガ部分は、前記通常のリセット信号の前記トリガ部分よりも、前記特定の出力端子に対応する前記映像データの読み込みに相当する時間だけ早く出力される、
ことを特徴とするリセット信号出力方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載のリセット信号出力方法において、
前記タイミングコントローラと前記信号線駆動ICとのインタフェース規格がmini−LVDSである、
ことを特徴とするリセット信号出力方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−39205(P2011−39205A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185270(P2009−185270)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】