説明

タイミングコントローラおよびそれを用いたディスプレイ装置ならびにドライバ制御信号の生成方法

【課題】ピクセルクロックの周波数の変動に起因する画像の乱れを抑制する。
【解決手段】第1OE発生器32は、ピクセルクロック信号CLKを所定の設定パラメータによって規定される回数カウントすることにより、第1OE信号OE1を発生する。パルス幅測定部34は、周波数が固定されたシステムクロック信号CLKOSCを用いて第1OE信号OE1のパルス幅を測定し、当該パルス幅を示すパルス幅データD1を保持する。第2OE発生器36は、システムクロック信号CLKOSCを用いてパルス幅データD1が示すパルス幅を有する第2OE信号OE2を再生する。タイミングコントローラ100は、ピクセルクロック信号CLKが第1周波数を有するとき第1OE信号OE1を、ピクセルクロック信号CLKが第2周波数を有するとき第2OE信号OE2を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネルの駆動技術に関し、特にスキャンドライバ(ゲートドライバ)とデータドライバ(ソースドライバ)に信号を供給するタイミングコントローラ(LCDコントローラ)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、一般的な液晶ディスプレイ(LCD)300の構成を示すブロック図である。LCD300は、LCDパネル302、ソースドライバ304、ゲートドライバ306、タイミングコントローラ200を備える。LCDパネル302は、複数のデータ線DLと、データ線DLと直交するように配置される複数の走査線SLと、データ線DLおよび走査線SLの交点にマトリクス状に配置された複数のTFT(Thin Film Transistor)を備える。ソースドライバ304は、各データ線DLに輝度に応じた電圧を印加する。ゲートドライバ306は、複数の走査線SLを順に選択する。
【0003】
タイミングコントローラ200は、画像ソース308からLCDパネル302に表示すべき画像データを受ける。そしてパネルの解像度に応じたドライバ制御信号(タイミングパルス)を発生し、画像データとともにソースドライバ304およびゲートドライバ306へと供給する。タイミングコントローラ200は、入力インタフェース部202、ロジック部204、タイミング信号発生器206、出力インタフェース部208、210を備える。
【0004】
入力インタフェース部202は、グラフィックスプロセッサなどの画像ソース308とシリアルバスBUS1を介して接続される。入力インタフェース部202は、画像ソース308からの信号を受け、各画素の差動形式のRGBデータRGBP/Nと、差動形式のピクセルクロック信号CLKP/N、データイネーブル信号DE、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsyncを取得して、それらをロジック部204へと出力する。ロジック部204は、画像データRGBP/Nに必要な信号処理を施し、出力インタフェース部208へと出力する。出力インタフェース部208は、ソースドライバ304とRSDS規格(Reduced Swing Differential Signaling)やLVDS規格(Low Voltage Differential Signaling)のバスを介して接続されており、画像データを出力する。
【0005】
タイミング信号発生器206は、ロジック部204が発生した基準信号REFを受ける。タイミング信号発生器206は、基準信号REFにもとづき、たとえば以下のドライバ制御信号を発生する。
・スタートパルス(STH)
・ラッチパルス(LOAD)
・交流化信号(POL)
・垂直シフト方向入出力信号(STV)
・垂直転送クロック(CPV)
・出力イネーブル(OE)
【0006】
これらのドライバ制御信号は、出力インタフェース部210を介して、ソースドライバ304およびゲートドライバ306へと供給される。
【0007】
タイミング信号発生器206が発生する各種ドライバ制御信号のパルス幅や発生タイミングは、パネルの解像度(SVGA、XGAなど)に応じて固有の値に定められる。従来のタイミングコントローラは、各パネルの解像度と、各ドライバ制御信号のパルス幅やエッジのタイミングの関係を規定するテーブルを、その内部あるいは外部のROM(Read Only Memory)212に保持していた。そしてタイミング信号発生器206は、LCDパネル302の解像度を示す信号(解像度設定信号)を受け、ROM212を参照することにより、パルス幅やエッジのタイミングを示すデータを読み出し、各ドライバ制御信号を発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−206231号公報
【特許文献2】特開2000−314868号公報
【特許文献3】特開2002−268612号公報
【特許文献4】特開2005−1222062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、省電力化を目的として、画像データの内容に応じて、リフレッシュレートを変化させるテクノロジーが導入され始めている。すなわち、動きが存在する通常の画像を表示する場合、60Hzのリフレッシュレートで、動きが小さな画像を表示する場合には、50Hz、あるいは40Hzといった低いリフレッシュレートで、タイミングコントローラ200に画像データが入力される。リフレッシュレートが変化すると、ピクセルクロック信号CLKP/Nの周波数がそれに応じて変化する。
【0010】
一方、各ドライバ制御信号のパルス幅やエッジのタイミングを規定する設定パラメータは、ピクセルクロック信号CLKP/Nの周期を単位として記述される。したがって、ピクセルクロック信号CLKP/Nの周波数がダイナミックに変化する場合には、同じ設定パラメータにもとづいて生成されるドライバ制御信号のパルス幅やタイミングがそれに追従してダイナミックに変化する。
【0011】
ところが、ドライバ制御信号には、そのパルス幅やタイミングが、周波数によって変動しないことが望ましいものがある。具体的には、出力イネーブル(OE)のパルス幅(アサートされる期間)が変動すると、ディスプレイパネルに表示される画像に乱れが生ずる場合がある。
【0012】
本発明は係る状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、ピクセルクロックの周波数の変動に起因する画像の乱れを抑制可能なタイミングコントローラの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様は、画像ソースからのデータ信号およびピクセルクロック信号を受け、ディスプレイパネルを駆動するデータドライバおよびスキャンドライバに供給すべきドライバ制御信号を発生するタイミングコントローラに関する。タイミングコントローラは、ピクセルクロック信号を所定の設定パラメータによって規定される回数カウントすることにより、第1ドライバ制御信号を発生する第1タイミング信号発生器と、周波数が固定されたシステムクロック信号を用いて第1ドライバ制御信号のパルス幅を測定し、当該パルス幅を示すパルス幅データを保持するパルス幅測定部と、システムクロック信号を用いてパルス幅データが示すパルス幅を有する第2ドライバ制御信号を再生する第2タイミング信号発生器と、を備える。ピクセルクロック信号が第1周波数を有するとき第1ドライバ制御信号を、ピクセルクロック信号が第1周波数と異なる第2周波数を有するとき第2ドライバ制御信号を出力する。
【0014】
この態様によると、ピクセルクロック信号の周波数が変化しても、ドライバ制御信号のパルス幅を保つことができる。その結果、ピクセルクロックの周波数の変動に起因する画像の乱れを防止できる。
【0015】
ある態様のタイミングコントローラは、第1、第2ドライバ制御信号を受け、ピクセルクロック信号が第1周波数を有するとき第1ドライバ制御信号を、ピクセルクロック信号が第2周波数を有するとき第2ドライバ制御信号を出力するセレクタをさらに備えてもよい。
【0016】
ある態様のタイミングコントローラは、設定パラメータを格納するメモリをさらに備えてもよい。
【0017】
ピクセルクロック信号は、データ信号に埋め込まれたクロック信号を、データ信号の中のタイミング情報にもとづいて調節することにより生成されてもよい。
【0018】
第1、第2ドライバ制御信号は、出力イネーブル(OE)信号であってもよい。
【0019】
本発明の別の態様は、ディスプレイ装置である。この装置は、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネルを駆動するデータドライバおよびスキャンドライバと、画像ソースからのデータを受け、複数のドライバ制御信号を生成して画像データとともにデータドライバおよびスキャンドライバに供給する上述のタイミングコントローラと、を備える。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、画像ソースからのデータ信号およびピクセルクロック信号にもとづき、ディスプレイパネルを駆動するデータドライバおよびスキャンドライバに供給すべきドライバ制御信号を発生する方法に関する。この方法は、システムクロック信号を生成するステップと、ピクセルクロック信号が第1周波数を有するとき、ピクセルクロック信号を所定の設定パラメータによって規定される回数カウントすることにより、第1ドライバ制御信号を発生するステップと、システムクロック信号を用いて第1ドライバ制御信号のパルス幅を測定し、当該パルス幅を示すパルス幅データを保持するステップと、ピクセルクロック信号が第1周波数と異なる第2周波数を有するとき、システムクロック信号を用いてパルス幅データが示すパルス幅を有する第2ドライバ制御信号を再生するステップと、を備える。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のある態様のタイミングコントローラによれば、ピクセルクロックの周波数の変動に起因する画像の乱れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一般的な液晶ディスプレイの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るタイミングコントローラを備えるディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)、(b)は、図2のタイミングコントローラの動作を示すタイムチャートである。
【図4】変形例に係るタイミングコントローラの入力インタフェース部の一部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0026】
図2は、実施の形態に係るタイミングコントローラ100を備えるディスプレイ装置1の構成を示すブロック図である。ディスプレイ装置1は、LCDパネル2、ソースドライバ4、ゲートドライバ6、タイミングコントローラ100を備える。
【0027】
LCDパネル2は、複数のデータ線DLと、データ線DLと直交するように配置される複数の走査線SLと、データ線DLおよび走査線SLの交点にマトリクス状に配置された複数のTFT(Thin Film Transistor)を備える。ソースドライバ4は、各データ線に輝度に応じた電圧を印加する。ゲートドライバ6は、複数の走査線を順に選択する。
【0028】
ディスプレイ装置1は、パーソナルコンピュータのグラフィックスプロセッサや、テレビ受像器のチューナユニットをはじめとする画像ソース8と、HDMI規格、DVI規格、DisplayPort規格などのデジタルインタフェースを介して接続されている。そしてクロックラインとデータラインを介した2線シリアル伝送によって、LCDパネル2に表示すべき画像データが画像ソース8からディスプレイ装置1へと伝送される。
【0029】
ディスプレイ装置1のタイミングコントローラ100は、画像ソース8からLCDパネル302に表示すべき画像データを受ける。タイミングコントローラ100は、LCDパネル2の解像度に応じたドライバ制御信号(タイミングパルス)を発生し、画像データとともにゲートドライバ6およびソースドライバ4へと供給する。
【0030】
タイミングコントローラ100は、ROM10、入力インタフェース部12、ロジック部14、画像用の出力インタフェース部16、オシレータ18、タイミング信号発生器30、出力インタフェース部24を備える。
【0031】
オシレータ18は、所定の周波数で発振し、システムクロック信号CLKOSCを生成する。
【0032】
入力インタフェース部12は、画像ソース8からの画像データを受け、RGBの画像データRGBP/Nと、ピクセルクロック信号CLKP/N(以下、単にCLKとも記す)、データイネーブル信号DE、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsyncを取得して、それらをロジック部14へと出力する。ロジック部14は、画像データRGBP/Nに必要な信号処理を施し、出力インタフェース部16へと出力する。
【0033】
ここで、画像ソース8からの画像データのリフレッシュレートは、通常の60Hzと、それより低い周波数(たとえば50Hz、もしくは40Hz)で変化する。
ピクセルクロック信号CLKの周波数は、リフレッシュレートに応じて変化する。具体的には、ピクセルクロック信号CLKの周波数は、リフレッシュレートが60Hzの通常時に対応する第1周波数fと、リフレッシュレートが低下したときに対応する第2周波数fのいずれかをとりうる。
【0034】
画像用の出力インタフェース部16は、ソースドライバ4とRSDS規格(Reduced Swing Differential Signaling)やLVDS規格(Low Voltage Differential Signaling)のバスを介して接続されており、画素ごとの画像データ(RGBデータ)を順に出力する。
【0035】
ロジック部14は入力された信号にもとづいて、各フレームの所定のタイミングにおいてアサートされる基準信号(スタートトリガ)REFを発生し、タイミング信号発生器30へと出力する。
【0036】
タイミング信号発生器30は、以下のドライバ制御信号を発生する。当業者には各ドライバ制御信号の名称および記号が、メーカ、ベンダーによって異なる場合があることが理解される。
【0037】
1.ソースドライバに対するドライバ制御信号
1.1 スタートパルス(STH)
ソースドライバ4およびゲートドライバ6はそれぞれ、LCDパネル2のパネルサイズ(解像度)に応じて、複数個がカスケード接続される。タイミングコントローラ100から出力された画像データおよびドライバ制御信号は、複数のソースドライバ4を順に経由していく。複数のソースドライバ4は、スタートパルスSTHをシフトレジスタのように順に先送りする。スタートパルスSTHが入力されているソースドライバ4が、画像データを取り込む。
【0038】
1.2 ラッチパルス(LOAD)
ラッチパルスLOADは、1走査ラインごとにアサートされる。ソースドライバ4は、ラッチパルスLOADがアサートされると、1走査線分の画像データを取り込む。
【0039】
1.3 交流化信号(POL)
ソースドライバ4は、極性を交互に反転しながらLCDパネル2を駆動する。交流化信号POLによってソースドライバ4の極性が決定される。
【0040】
2.ゲートドライバに対するドライバ制御信号
2.1 垂直シフト方向入出力信号(STV)
カスケード接続された複数のゲートドライバ6へと供給される。垂直シフト方向入出力信号STVは、複数のゲートドライバ6によって順にシフトされる。
【0041】
2.2 垂直転送クロック(CPV)
各ゲートドライバ6は、入力された上述の垂直シフト方向入出力信号STVを、この垂直転送クロックCPVのポジティブエッジのタイミングで取り込む。
【0042】
2.3 出力イネーブル(OE)
ゲートドライバ6の出力端子の状態を制御するデータである。出力イネーブルOEがアサートされると、走査線SLに駆動電圧が印加され、ネゲートされると走査線SLの電位が固定される。
【0043】
ドライバ制御信号のパルス幅や発生タイミングは、パネルの解像度に応じて固有の値に定められる。ドライバ制御信号は、出力インタフェース部24を介して、ソースドライバ4およびゲートドライバ6へと供給される。
【0044】
パネルの解像度は、外部からデータとして与えられてもよいし、タイミングコントローラ100が画像ソース8からのデータにもとづいて検出してもよい。
【0045】
ROM10には、各解像度ごと、各ドライバ制御信号の発生に必要な設定パラメータが格納される。この設定パラメータは、各ドライバ制御信号のパルス幅、ポジティブエッジのタイミング、ネガティブエッジのタイミング、ポジティブエッジの傾き、ネガティブエッジの傾きなどを、入力クロックの周期を単位として規定する。なお設定パラメータは、演算によって算出してもよい。
【0046】
ROM10からタイミング信号発生器30には、現在接続されるLCDパネル2の解像度に応じた設定パラメータが読み出される。
【0047】
タイミング信号発生器30は、ROM10からの設定パラメータPRMを用いて各ドライバ制御信号を発生する。タイミング信号発生器30は、ピクセルクロック信号CLKをカウントするカウンタ(タイマ)を備える。
【0048】
出力インタフェース部24は、タイミング信号発生器30が発生したドライバ制御信号をソースドライバ4およびゲートドライバ6へと出力する。
【0049】
続いてタイミング信号発生器30の構成を説明する。図2のタイミング信号発生器30は、出力イネーブル信号(以下、OE信号)を生成するブロックのみを示しており、その他のドライバ制御信号を生成するブロックは省略している。
【0050】
タイミング信号発生器30は、第1タイミング信号発生器(以下、第1OE発生器という)32、パルス幅測定部34、第2タイミング信号発生器(以下、第2OE発生器という)36、セレクタ38、周波数検出部40を備える。
【0051】
第1OE発生器32は、ROM10から、OE信号を生成するために必要な設定パラメータPRM1、PRM2を受ける。設定パラメータPRM1は、スタートトリガSTHからOE信号がアサートされるタイミング(ネガティブエッジ)までの時間τ1を、ピクセルクロック信号CLKの通常の周期TCLK1を単位として規定する。ピクセルクロック信号CLKの通常の周期TCLK1は、画像ソース8からのデータが、通常のリフレッシュレート、具体的には60Hzのリフレッシュレートで入力される場合の周期であり、TCLK1=1/fである。設定パラメータPRM1の値がYであるとき、
τ=TCLK1×Y
で与えられる。なお、リフレッシュレートが低下したときのピクセルクロック信号CLKの周期TCLK2は、TCLK2=1/fで与えられ、そのときのτは、
τ=TCLK2×Y
となる。
【0052】
設定パラメータPRM2は、OE信号がアサート(ローレベル)される期間τ、つまりOE信号のパルス幅を、ピクセルクロック信号CLKの通常の周期TCLK1を単位として規定する。設定パラメータPRM2の値がYであるとき、
τ=TCLK1×Y
で与えられる。
【0053】
第1OE発生器32は、ピクセルクロック信号CLKを、設定パラメータPRM1、PRM2によって規定される回数カウントすることにより、第1OE信号OE1を発生する。
【0054】
パルス幅測定部34は、周波数が固定されたシステムクロック信号CLKOSCを用いて、第1OE信号OE1のパルス幅を測定し、このパルス幅を示すパルス幅データD1を保持する。
【0055】
第2OE発生器36は、システムクロック信号CLKOSCを用いて、パルス幅データD1が示すパルス幅を有する第2OE信号OE2を再生する。なお、第2OE信号OE2がローレベルに遷移するタイミングは、パラメータPRM1およびピクセルクロック信号CLKを利用して生成される。
【0056】
周波数検出部40は、ピクセルクロック信号CLKを受け、その周波数を検出する。たとえば周波数検出部40は、ピクセルクロック信号CLKの周期を、システムクロック信号CLKOSCを利用してカウントするカウンタであってもよい。周波数検出部40は、ピクセルクロック信号CLKの周波数を示すデータD2を出力する。
【0057】
セレクタ38は、第1OE信号OE1、第2OE信号OE2を受ける。セレクタ38は、ピクセルクロック信号CLKが第1周波数fを有するとき、第1OE信号OE1を、ピクセルクロック信号CLKが第2周波数fを有するとき第2OE信号OE2を出力する。
【0058】
出力インタフェース部24によって選択されたOE信号は、出力インタフェース部24を介してゲートドライバ6へと出力される。
【0059】
以上がタイミングコントローラ100の構成である。続いてその動作を説明する。
図3(a)、(b)は、図2のタイミングコントローラ100の動作を示すタイムチャートである。図3(a)は、リフレッシュレートが通常の場合、図3(b)は、リフレッシュレートが低下した場合を示す。
【0060】
リフレッシュレートが通常の60Hzの場合、周波数検出部40によってクロック信号CLKの周波数がfであることが検出される。第1OE発生器32は、スタートパルスSTHがアサートされた後、τ=TCLK1×Y後に第1OE信号OE1をアサート(ローレベル)する。そして第1OE発生器32は、それからτ=TCLK1×Y経過後に第1OE信号OE1をネゲート(ハイレベル)する。セレクタ38は、このように生成される第1OE信号OE1を出力する。
【0061】
このときの第1OE信号OE1のパルス幅τは、パルス幅測定部34により、システムクロック信号CLKOSCを用いて測定される。パルス幅τを示すデータD1の値Yは、システムクロック信号CLKOSCの周期TOSC(=1/fOSC)を用いて、
=τ/TOSC
で与えられる。このデータD1は保持される。
【0062】
リフレッシュレートが低下したときの動作を図3(b)を参照して説明する。リフレッシュレートの低下は、周波数検出部40によって検出される。第2OE発生器36は、スタートパルスSTHがアサートされた後、τ=TCLK2×Y後に第2OE信号OE2をアサート(ローレベル)する。そして第2OE発生器36は、それからτ’=TOSC×Y経過後に第2OE信号OE2をネゲート(ハイレベル)する。
セレクタ38は、このように生成される第2OE信号OE2を出力する。
【0063】
以上がタイミングコントローラ100の動作である。
このように、実施の形態に係るタイミングコントローラ100によればリフレッシュレートが変化しても、OE信号のパルス幅τを一定に保つことができるため、画像の乱れを抑制することができる。
【0064】
リフレッシュレートによらずにパルス幅τを一定に保つためには、複数のリフレッシュレートに対応するピクセルクロック信号CLKの周波数ごとに、設定パラメータPRM2をROM10に格納しておくことも考えられる。しかしながら、プラットフォームの変更によって、低下時のリフレッシュレートが変更されると、そのROMの設定パラメータを書き換える必要が生ずる。またリフレッシュレートが連続的に変化するアプリケーションに対応することができない。
【0065】
これに対して、実施の形態に係るタイミングコントローラ100によれば、リフレッシュレートがどのように変化しても、設定パラメータを書き換える必要がなく、パルス幅τを一定に保つことができる。
【0066】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0067】
実施の形態では、画像データRGBP/Nとピクセルクロック信号CLKP/Nが別々に入力される場合を説明したが、本発明はそれに限定されない。たとえばDisplayPort規格のインタフェースのように、クロック信号が画像データに埋め込まれている場合にも本発明は有効である。
【0068】
図4は、変形例に係るタイミングコントローラの入力インタフェース部の一部の構成を示すブロック図である。図4の入力インタフェース部12aは、たとえばDisplayPortインタフェースに対応する。画像ソース(不図示)からの差動入力データDATAには、クロック信号CLKSYSが埋め込まれている。このクロック信号CLKSYSの周波数は、リフレッシュレートによらず固定されている。CDR(Clock Data Recovery)回路42は、クロック信号CLKSYSを抽出、再生する。再生されたクロック信号CLKSYSは、タイミングコントローラ100aのシステムクロックとして利用される。
【0069】
ラッチ回路44は、再生されたクロック信号CLKSYSを利用して、入力データDATAをラッチする。入力データDATAは、各種タイミング情報を含んでいる。パラメータ検出部46は、入力データDATAの中からタイミング情報を抽出する。
【0070】
タイミング情報は、周波数の設定値D3を含む。PLL(Phase Locked Loop)回路48は、クロック信号CLKSYSおよび設定値D3にもとづき、クロック信号CLKSYSの周波数を調節し、リフレッシュレートに応じた周波数fもしくはfを有するピクセルクロック信号CLKを生成する。設定値D3はクロック信号CLKSYSに応じて変化するため、パラメータ検出部46は、図2の周波数検出部40としても機能する。
【0071】
このように入力インタフェース部12の構成を変更することにより、実施の形態に係るタイミングコントローラ100は、さまざまなフォーマットで伝送される画像データを受けることができる。そして、画像データのリフレッシュレートが変更された場合においても、OE信号のパルス幅を固定することができるため、画像の乱れを防止できる。
【0072】
実施の形態では、リフレッシュレートの変更にかかわらずパルス幅を固定すべきドライバ制御信号としてOE信号を例に説明したが、OE信号の他にも、パルス幅を固定すべき信号が存在する場合には、その信号にも同様のアーキテクチャを適用することができる。
【0073】
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1…ディスプレイ装置、2…LCDパネル、4…ソースドライバ、6…ゲートドライバ、8…画像ソース、100…タイミングコントローラ、10…ROM、12…入力インタフェース部、14…ロジック部、16…出力インタフェース部、18…オシレータ、24…出力インタフェース部、30…タイミング信号発生器、32…第1OE発生器、34…パルス幅測定部、36…第2OE発生器、38…セレクタ、40…周波数検出部、42…CDR回路、44…PLL回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ソースからのデータ信号およびピクセルクロック信号を受け、ディスプレイパネルを駆動するデータドライバおよびスキャンドライバに供給すべきドライバ制御信号を発生するタイミングコントローラであって、
前記ピクセルクロック信号を所定の設定パラメータによって規定される回数カウントすることにより、第1ドライバ制御信号を発生する第1タイミング信号発生器と、
周波数が固定されたシステムクロック信号を用いて前記第1ドライバ制御信号のパルス幅を測定し、当該パルス幅を示すパルス幅データを保持するパルス幅測定部と、
前記システムクロック信号を用いて前記パルス幅データが示すパルス幅を有する第2ドライバ制御信号を再生する第2タイミング信号発生器と、
を備え、
前記ピクセルクロック信号が第1周波数を有するとき前記第1ドライバ制御信号を、前記ピクセルクロック信号が前記第1周波数と異なる第2周波数を有するとき前記第2ドライバ制御信号を出力することを特徴とするタイミングコントローラ。
【請求項2】
前記第1、第2ドライバ制御信号を受け、前記ピクセルクロック信号が前記第1周波数を有するとき前記第1ドライバ制御信号を、前記ピクセルクロック信号が前記第2周波数を有するとき前記第2ドライバ制御信号を出力するセレクタをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のタイミングコントローラ。
【請求項3】
前記設定パラメータを格納するメモリをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のタイミングコントローラ。
【請求項4】
前記ピクセルクロック信号は、前記データ信号に埋め込まれたクロック信号を、前記データ信号の中のタイミング情報にもとづいて調節することにより生成されることを特徴とする請求項1または2に記載のタイミングコントローラ。
【請求項5】
前記第1、第2ドライバ制御信号は、出力イネーブル信号であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のタイミングコントローラ。
【請求項6】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルを駆動するデータドライバおよびスキャンドライバと、
画像ソースからのデータを受け、複数のドライバ制御信号を生成して画像データとともに前記データドライバおよび前記スキャンドライバに供給する請求項1から4のいずれかに記載のタイミングコントローラと、
を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項7】
画像ソースからのデータ信号およびピクセルクロック信号にもとづき、ディスプレイパネルを駆動するデータドライバおよびスキャンドライバに供給すべきドライバ制御信号を発生する方法であって、
システムクロック信号を生成するステップと、
前記ピクセルクロック信号が第1周波数を有するとき、前記ピクセルクロック信号を所定の設定パラメータによって規定される回数カウントすることにより、第1ドライバ制御信号を発生するステップと、
前記システムクロック信号を用いて前記第1ドライバ制御信号のパルス幅を測定し、当該パルス幅を示すパルス幅データを保持するステップと、
前記ピクセルクロック信号が前記第1周波数と異なる第2周波数を有するとき、前記システムクロック信号を用いて前記パルス幅データが示すパルス幅を有する第2ドライバ制御信号を再生するステップと、
を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−3122(P2012−3122A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139319(P2010−139319)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】