説明

タイミング補正プログラム、携帯端末及び処理タイミング同期方法

【課題】複数の装置間において同期をとることができる処理タイミングの同期をとるためのタイミング補正プログラム、携帯端末及び処理タイミング同期方法を提供する。
【解決手段】タイミング補正プログラム32が、コンピュータを、指示入力を受け付ける指示入力手段12と、所定の処理を開始する処理タイミングに対応する報知を、コンピュータのタイマに基づいて一定の時間間隔で繰り返す報知手段22と、指示入力手段12により受け付けた指示入力に応じて、指示入力の入力タイミングに対応し報知手段22による報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、所定の処理を開始する処理実行手段26として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理のタイミングを補正するタイミング補正プログラム、そのプログラムを実行する携帯端末及び複数の携帯端末を用いた処理タイミング同期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理タイミングを合わせる同期調整装置が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の同期調整装置は、複数種類の再生データを受信する受信手段と、再生データを種類ごとに再生する再生手段と、再生データの同期をとるための情報を取得する取得手段と、取得された情報に基づいて、再生データの同期を調整する調整手段とを有する。この同期調整装置は、例えば、当該装置内で再生される動画と音との同期をとる。
【特許文献1】特開2003−271156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の同期調整装置は、単一の装置内における複数の再生データの同期をとるものであり、複数の再生データが各々複数の装置に分散されている場合には、用いることができない。
【0004】
そこで、本発明は、複数の装置間において同期をとることができるタイミング補正プログラム、携帯端末及び処理タイミング同期方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1の発明は、コンピュータ(1,201,301)を、指示入力を受け付ける指示入力手段(12)と、所定の処理を開始する処理タイミングに対応する報知を、前記コンピュータのタイマに基づいて一定の時間間隔で繰り返す報知手段(22)と、前記指示入力手段により受け付けた前記指示入力に応じて、前記指示入力の入力タイミングに対応し前記報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、前記所定の処理を開始する処理実行手段(26)と、して機能させるためのタイミング補正プログラム(32)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のタイミング補正プログラム(32)において、前記報知手段(22)を、一定の時間間隔で繰り返される前記処理タイミングのほぼ中間の範囲で報知するように機能させること、を特徴とするタイミング補正プログラムである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のタイミング補正プログラム(32)において、前記コンピュータ(1,201,301)を、前記タイマの変更入力を受け付けるタイマ変更入力手段(14)と、前記タイマ変更入力手段により受け付けた前記変更入力の入力タイミングを報知するタイミングとして、前記報知手段の前記報知をずらして前記一定の時間間隔で報知するタイマ変更手段(24)と、して機能させること、を特徴とするタイミング補正プログラムである。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラム(32)において、前記コンピュータ(201,301)を、このコンピュータと基準タイマを有する端末(210,301)との間を通信して前記基準タイマに同期させて、前記一定の時間間隔で報知するタイマ変更手段(24)として機能させること、を特徴とするタイミング補正プログラムである。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラム(32)において、前記報知手段(22)を、音、光、視覚的手段による表示のうち少なくともいずれかにより報知するように機能させること、を特徴とするタイミング補正プログラムである。
請求項6の発明は、請求項5に記載のタイミング補正プログラム(32)において、前記報知手段(22)を、報知するタイミングを最大値とするグラフを用いた図形表示により報知するように機能させること、を特徴とするタイミング補正プログラムである。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラム(32)において、前記処理実行手段(26)を、楽曲のプログラム(34)又はゲームプログラムを開始するように機能させること、を特徴とするタイミング補正プログラムである。
【0007】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラム(32)を記憶する記憶部(3)と、前記記憶部に記憶された前記タイミング補正プログラムを実行する制御部(2)と、を備える携帯端末(1,201,301)である。
【0008】
請求項9の発明は、タイマ(5)と、指示入力手段(12)と、制御部(2)とを備えた複数の携帯端末(1,201,301)が、所定の処理を開始するタイミングの同期をとる処理タイミング同期方法であって、前記複数の携帯端末の前記制御部の各々が、前記複数の携帯端末の前記タイマの各々に対して同期をとるステップと、前記指示入力手段により指示入力を受け付けるステップと、所定の処理を開始する処理タイミングに対応する報知を、前記タイマに基づいて一定の時間間隔で繰り返すステップと、受け付けた前記指示入力に応じて、前記指示入力の入力タイミングに対応し前記報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、前記所定の処理を開始するステップと、を含む処理タイミング同期方法である。
請求項10の発明は、請求項9に記載の処理タイミング同期方法において、前記複数の携帯端末(201)が、無線(230)により通信網(220)との間で通信し、前記通信網を介して基準タイマを有するタイマサーバ(210)との間で通信する受信部(209)を備え、前記同期をとるステップは、前記複数の携帯端末の各々の前記受信部が前記タイマサーバから受信した前記基準タイマのタイマデータに基づいて、各々の前記タイマ(5)を同期させること、を特徴とする処理タイミング同期方法である。
請求項11の発明は、請求項9に記載の処理タイミング同期方法において、前記複数の携帯端末(301)が、無線(330)による送受信部(309)を備え、前記同期をとるステップは、前記複数の携帯端末の間で各々の前記送受信部を介して前記無線による通信をすることにより、前記複数の携帯端末のうち一の携帯端末の前記タイマ(5)に、前記複数の携帯端末のうち前記一の携帯端末を除く他の携帯端末の前記タイマを同期させること、を特徴とする処理タイミング同期方法である。
請求項12の発明は、請求項9に記載の処理タイミング同期方法において、前記複数の端末(1,201,301)が、前記タイマ(5)の変更入力を受け付けるタイマ変更入力手段(14)を備え、前記同期をとるステップは、前記複数の携帯端末において各々の前記タイマ変更入力手段により受け付けた前記変更入力の入力タイミングを前記報知のタイミングとして、前記報知をずらして前記一定の時間間隔で報知して、各々の前記タイマを同期させること、を特徴とする処理タイミング同期方法である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、コンピュータのタイマに基づいて一定の時間間隔で繰り返して報知して、ユーザからの指示入力を受け付けた入力タイミングに対応し報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、所定の処理を開始する。よって、ユーザの入力タイミングを補正した、入力タイミングにより特定の時間遅延したタイミングで、所定の処理を開始することができるので、ユーザの操作による入力タイミングのずれを勘案して、所定の処理を開始することができる。
【0010】
(2)本発明は、一定の時間間隔で繰り返される処理タイミングのほぼ中間の範囲で報知を行う。よって、ユーザが報知を認識して入力を行った場合において、その入力が次に報知されるまでの時間間隔のほぼ中間の範囲以内であれば、ユーザの入力が報知とは多少前後しても、ある処理タイミングで所定の処理を開始することができる。
【0011】
(3)本発明は、ユーザからのタイマの変更入力を受け付けたタイミングを報知するタイミングとして報知をずらして、一定の時間間隔で報知する。よって、例えば、複数のコンピュータの各々のタイマに関して、1つのコンピュータの報知するタイミングに、他のコンピュータの報知するタイミングを一致させることができるので、複数のコンピュータ間でタイマの同期をとるシステムを構築することができる。
【0012】
(4)本発明は、基準タイマを有する端末との間で通信して、その基準タイマに同期させて一定の時間間隔で報知する。よって、端末に対して通信した複数のコンピュータの報知するタイミングを基準タイマに一致させることで、同期をとることができる。
【0013】
(5)本発明は、音、光、視覚的手段による表示のうち少なくともいずれかにより報知するので、ユーザの聴覚や視覚に訴える報知手段を提供することができる。また、報知するタイミングを最大値によるグラフを用いた図形表示により報知するので、ユーザに、最大値になったときに、入力操作を行うように促して、より指示入力の操作を行いやすい報知手段を提供することができる。
【0014】
(6)本発明は、所定の処理として、楽曲のプログラム又はゲームプログラムを開始する。よって、楽曲のプログラムの場合には、例えば、複数のコンピュータを用いて、楽曲の各パートの演奏の開始タイミングを一致させることで、コンピュータを用いた合奏を行うことができる。また、ゲームプログラムの場合には、ユーザによる多少のプレイ開始入力の操作のずれを解消し、プレイの開始タイミングを一致させたゲームを実行することができる。
【0015】
(7)本発明は、タイミング補正プログラムを携帯端末に記憶することで、携帯端末で実現することができる。また、複数の携帯端末を用いて、タイマの同期をとり、各々の携帯端末の入力タイミングに対応し報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで処理を実行することで、入力タイミングの多少のずれを吸収するので、複数の携帯端末での処理の開始タイミングを合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、複数の装置間において同期をとることができるタイミング補正プログラム、携帯端末及び処理タイミング同期方法を提供するという目的を、タイミング補正プログラムが、コンピュータを、指示入力を受け付ける指示入力手段と、所定の処理を開始する処理タイミングに対応する報知を、コンピュータのタイマに基づいて一定の時間間隔で繰り返す報知手段と、受け付けた指示入力に応じて、指示入力の入力タイミングに対応し報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、所定の処理を開始する処理実行手段として機能させることによって実現した。
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
図1は、第1実施形態に係る携帯電話機1の機能ブロックを示す図である。携帯電話機1は、電話や電子メールの機能の他、プレインストールされ又はダウンロードしたゲームプログラム等を用いて各種処理を実行できる携帯型の端末である。例えば、同一の楽曲プログラムをダウンロードした複数の携帯電話機1を用いて、同期をとって楽曲プログラムの開始処理を実行することで、複数の携帯電話機1による楽曲演奏をすることができる。携帯電話機1は、主な構成として、制御部2、記憶部3、入力部4、タイマ部5、発光部6、表示部7、音声出力部8、通信インタフェース部9及びブレ検出部10を備える。
【0018】
携帯電話機1の制御部2は、報知手段22、タイマ変更手段24及び処理実行手段26を有する。
報知手段22は、表示部7や音声出力部8を用いて、ユーザに対して所定の時間間隔を報知する。所定の時間間隔とは、例えば0.5秒から2秒といった比較的短い時間の間隔であり、ユーザ同士での入力タイミングを合わせやすい時間間隔をいう。
タイマ変更手段24は、一定の時間間隔で繰り返して報知するタイミングを、入力部4の入力タイミングにずらして報知する。
処理実行手段26は、指示入力の入力タイミングに対応し報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、所定の処理を開始する。所定の処理とは、例えば、ゲームプログラムや楽曲プログラムを実行する処理をいう。以降、所定の処理を、楽曲プログラムを実行する処理として説明する。
【0019】
制御部2は、情報の演算、及び処理を行う情報演算処理装置(CPU)であり、当該携帯電話機1全体を制御するものである。制御部2は、次に説明する記憶部3に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、携帯電話機1のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0020】
記憶部3は、タイミング補正プログラム32及び楽曲プログラム34を有する。
タイミング補正プログラム32は、入力タイミングに対応し、報知手段22による報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、楽曲プログラム34を実行するためのプログラムである。
楽曲プログラム34は、楽曲データを再生して楽曲を演奏するためのプログラムであって、複数の楽曲データをパートごとに記憶している。楽曲のパートデータは、記憶部3の楽曲プログラム34とは別の場所に記憶してもよい。携帯電話機1において、楽曲プログラム34を実行し、楽曲のパートデータを再生することで、携帯電話機1のユーザは、指定した楽曲のパートデータを聴くことができる。
【0021】
記憶部3は、上述のタイミング補正プログラム32及び楽曲プログラム34の他、制御部2と組み合わせてプログラムの実行に使用するメモリを含んでよい。記憶部3を実現するものとして、電気的、磁気的、光学的、電磁的に実現するものを含んでよい。より具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)等が含まれる。メモリカード等の補助記憶装置も含む概念である。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御部等を備えた情報処理装置をいい、携帯電話機1は、記憶部3、制御部2等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0022】
入力部4は、指示入力手段12及びタイマ変更入力手段14を有する。指示入力手段12は、ユーザから楽曲プログラム34の実行を開始するタイミング(指示入力)を受け付ける。タイマ変更入力手段14は、報知するタイミングを、ユーザからの操作を受け付けたタイミングにずらすために、変更入力を受け付ける。入力部4は、上述のようなユーザによる入力の受け付けを行うものであり、各種キーやボタン等を含んでよい。
【0023】
タイマ部5は、一定の時間間隔を刻むタイマである。
発光部6は、例えば、携帯電話機1に有するLED(Light Emitting Diode)が、制御部2からの命令に応じて発光するものである。
表示部7は、ユーザからの入力操作により、電話や電子メールに関する表示や、ゲーム画面の表示を行うものであり、携帯電話機1に直接組み込まれている。主に、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0024】
音声出力部8は、制御部2からの命令に応じて音声を出力するものである。例えば、記憶部3に記憶された楽曲のパートデータを、スピーカにより再生させるための役割を果たす。
通信インタフェース部9は、電話や電子メールの送受信を行うためのインタフェースであり、アンテナに接続されている。
ブレ検出部10は、例えば、加速度センサであり、ユーザによる携帯電話機1を振る等の操作により、携帯電話機1の位置の変位を検出する。
【0025】
次に、携帯電話機1での報知について説明する。
図2は、第1実施形態に係る報知例を示す図である。
この携帯電話機1は、1秒の時間間隔でユーザに報知するために、報知手段として表示部7と音声出力部8とを用いたものである。図2では、0秒から1秒までの間を図2(a)から(e)で示している。この0秒から1秒の間の状態を、1秒経過後も繰り返すことで、1秒ごとの時間間隔をユーザに報知する。
【0026】
図2(a)は、0秒のタイミングでの表示部7と音声出力部8との様子を示す。表示部7には、ユーザによる入力操作のタイミングの注意書きがされたメッセージ部40と、ユーザに入力タイミングをより分かりやすく示すためのステータス42をグラフ(バー)で表したバー部41とが表示されている。バー部41に表示されたステータス42は、「0」に近い値を示している。また、音声出力部8からは、音声が出力されていない。
図2(b)は、0.25秒のタイミングでの表示部7と音声出力部8との様子を示す。バー部41のステータス42は、図2(a)と比較してグラフが右方向に延びて表示されており、値が大きくなっている。また、音声出力部8からは、少量の音声が出力されている。
【0027】
図2(c)は、0.5秒のタイミングでの表示部7と音声出力部8との様子を示す。バー部41のステータス42は、図2(b)と比較してさらに値が大きくなっており、MAX値を指している。また音声出力部8からは、大音量の音声が出力されている。
図2(d)は、0.75秒のタイミングでの表示部7と音声出力部8との様子を示す。表示部7、音声出力部8共に上述の図2(b)と同じであるが、バー部41のステータス42は、図(c)と比較してグラフが左方向に縮んで表示されており、値が小さくなっている。
図2(e)は、1秒のタイミングでの表示部7と音声出力部8との様子を示しており、これは、図2(a)と同じ状態である。
【0028】
このように、携帯電話機1は、図2(a)から(e)までを繰り返すことで、音声出力部8は、1秒ごとに大音量を出力し、表示部7は、1秒ごとにバー部41のステータス42をMAX値に表示する。このように、携帯電話機1は、表示部7と音声出力部8とにより、一定の時間間隔でユーザに繰り返して報知することができる。
また、携帯電話機1は、報知するタイミングをMAX値とするグラフを用いた図形表示を表示部7に表示することで報知し、さらに音声出力部8を用いて音による報知をするので、ユーザは、報知に従うことで、最適なタイミングで指示入力の操作を行うことができる。
【0029】
次に、複数の携帯電話機1を用いた同期をとる方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係る2つの携帯電話機1による同期方法の例を示す図である。ユーザAが、携帯電話機1Aを用い、ユーザBが、携帯電話機1Bを用いて、携帯電話機1Aと携帯電話機1Bとの間で同期をとる様子を示す。
携帯電話機1Aは、0.5秒を報知開始位置として、その後1秒間隔で報知している。以降の説明において、図中の「●」は、報知するタイミングを示す。また、携帯電話機1Bは、0.7秒を報知開始位置として、その後1秒間隔で報知している(図中T1)。よって、携帯電話機1Aと携帯電話機1Bとは図中Z1(0.2秒間)の時間のずれが生じており、同期がとれていない。
【0030】
ここで、報知するタイミングを携帯電話機1Aに同期させるために、ユーザBが携帯電話機1Bを操作して、タイマの変更入力を行う(図中(#1))。このタイマの変更入力は、例えば、ユーザBが、上述の図2で説明した報知をしている携帯電話機1Aを覗き込んで、又は携帯電話機1Aの音を聞きながら、携帯電話機1Aの報知のタイミングで携帯電話機1Bの入力部4Bを操作することで、行うことができる。図3に示すタイマの変更入力を行ったタイミングである2.55秒を報知開始位置として、携帯電話機1Bは、その後1秒間隔で報知する(図中T2)。しかしながら、まだ、携帯電話機1Aと携帯電話機1Bとは図中Z2(0.15秒)の時間のずれが生じており、同期がとれていない。
【0031】
さらに、報知するタイミングを携帯電話機1Aに同期させるため、ユーザBが携帯電話機1Bを操作して、タイマの変更入力を再度行う(図中(#2))。すると、入力を行ったタイミングである5.5秒を報知開始位置として、携帯電話機1Bは、その後1秒間隔で報知する(図中T3)。この場合には、携帯電話機1Aと携帯電話機1Bとは、報知するタイミングが一致するので、同期がとれている。
【0032】
このように、携帯電話機1Aのタイマと同期がとれるように、ユーザBが、例えば、上述の方法でタイマの変更入力を行うことで、携帯電話機1Bがタイマの変更入力を受け付けたタイミングで報知する。よって、ユーザBは、視覚や聴覚を用いて、携帯電話機1Bと他の携帯電話機1Aとの間で同期をとることができる。
なお、ここでは、図2に示す報知を用いて同期をとる方法を説明したが、タイマ部5の刻む時間間隔を、例えば、メトロノームのような音を出力させることで、音に合わせてユーザが入力部4を操作して、複数の携帯電話機1の間の同期をとってもよい。
【0033】
次に、同期のとれた複数の携帯電話機1を用いた処理の実行について説明する。
図4は、第1実施形態に係る2つの携帯電話機1による処理実行方法の例を示す図である。
前提として、図3で示したような方法により、ユーザAの携帯電話機1Aと、ユーザBの携帯電話機1Bとのタイマの同期がとれているものとする。
【0034】
ここで、ユーザAとユーザBとが、報知するタイミングに合わせて「いっせ〜の〜せっ!」とかけ声をかけながら、「せっ!」のタイミングで両ユーザが処理の開始の指示入力を行う。人間の操作において、視覚や聴覚により報知を認識して、ボタンを押す等(指示入力手段12)による入力を行うまでの間には、多少の時間のずれが発生する。ユーザAは、「せっ!」のタイミングより少し遅く指示入力を行っている(図中(#11))。他方、ユーザBは、「せっ!」のタイミングより少し早く指示入力を行っている。
【0035】
そして、この例では、3つの連続した報知のタイミング(図4の例では、2.5秒、3.5秒、4.5秒のタイミング)が存在する場合に、制御部2は、最初の2つの連続した報知のタイミング(2.5秒、3.5秒)の時間の中間(3秒)と、後の2つの連続した報知のタイミング(3.5秒、4.5秒)の時間の中間(4秒)とを、処理タイミングとする。そして、制御部2は、前の処理タイミング(3秒)と次の処理タイミング(4秒)との間に受け付けた入力を、同時に処理を開始するものとして、次の処理タイミング(4秒)から処理を開始する。
【0036】
すなわち、図中(#11)でのタイミング及び図中(#12)でのタイミングは、報知するタイミング(3.5秒)とは合っておらず、多少のずれが生じている。しかし、報知の前後の入力に対して、報知よりも特定時間遅延した処理タイミングであり、前の報知と後の報知との中間のタイミング(4秒)で処理を開始するようにすることで、多少のユーザによる操作のタイミングのずれを考慮して、処理の開始タイミングを合わせることができる。
【0037】
図5は、第1実施形態に係る発明を利用して、4人のユーザAからユーザDが、同一の楽曲Xのパートデータを各々携帯電話機1Aから携帯電話機1Dに記憶することで、楽曲演奏を行う例である。
前提として、楽曲Xのプログラムは、携帯電話機1Aから携帯電話機1Dの各々に対して通信可能なサーバ(図示せず)からダウンロードされた状態となっている。また、楽曲Xは、メロディX1、ギターX2、ドラムX3、ベースX4の各パートデータから構成されている。各携帯電話機1は、任意のパートが選択できるように構成されている。ここでは、携帯電話機1Aは、メロディX1が、携帯電話機1Bは、ギターX2が、携帯電話機1Cは、ドラムX3が、携帯電話機1Dは、ベースX4が各々選択されている。さらに、各携帯電話機1Aから携帯電話機1Dは、タイマの同期がとれた状態になっている。また、携帯電話機1Aから携帯電話機1Dは、ブレ検出部10の出力に応じて、音声出力するものである。つまり、携帯電話機1Aから携帯電話機1Dは、その携帯電話機1Aから携帯電話機1Dが振られている間は、音声出力部から音声を出力する。
【0038】
4人のユーザAからユーザDは、4人で「いっせ〜の〜せっ!」とかけ声を合わせて、同じタイミングで各々の携帯電話機1を振ることで指示入力をする。この指示入力のタイミングが多少ずれていた場合であっても、上述の図4で説明した処理により、処理タイミングを合わせることで、各パートの演奏を同時に開始することができ、携帯電話機1を振って合奏を行うことができる。よって、あたかも各々のユーザが楽器を演奏したかのような爽快感、充実感を、各ユーザは味わうことができる。
【0039】
次に、上述の処理についてフローチャートに基づき説明する。
図6は、第1実施形態に係る携帯電話機1のフローチャートである。
まず、ステップS1において、制御部2は、タイマ部5のタイマを起動して、一定の時間間隔を検出する。
次に、ステップS2では、制御部2(報知手段22)は、タイマに基づいて一定の時間間隔で報知する。
【0040】
ステップS3では、制御部2は、タイマの変更入力をタイマ変更入力手段14により受け付けたか否かを判断する。タイマの変更入力を受け付けた場合(ステップS3:YES)には、制御部2は、処理をステップS4に移す。他方、タイマの変更入力を受け付けていない場合(ステップS3:NO)には、制御部2は、処理をステップS5に移す。
ステップS4では、制御部2(タイマ変更手段24)は、変更入力を受け付けたタイミングを報知するタイミングとする。その後、制御部2は、処理をステップS5に移す。
【0041】
ステップS5では、制御部2は、指示入力手段12により処理開始の指示入力を受け付けたか否かを判断する。処理開始の指示入力を受け付けた場合(ステップS5:YES)には、制御部2は、処理をステップS6に移す。他方、処理開始の指示入力を受け付けていない場合(ステップS5:NO)には、制御部2は、処理をステップS3に移す。
ステップS6では、制御部2(処理実行手段26)は、処理開始の指示入力を受け付けたタイミングに対応し、報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングを求め、求めた処理タイミングで処理を開始する。その後、制御部2は、本処理を終了する。
【0042】
このように、携帯電話機1は、処理を開始するタイミングを変更することができる。よって、本処理を複数の携帯電話機1に適用することで、複数の携帯電話機1同士で処理タイミングの同期をとることができる。よって、複数の携帯電話機1で処理タイミングの同期をとるシステムを構築することができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、複数の携帯電話機の同期をとる他の方法を示したものである。
なお、以下の説明及び図面において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0044】
図7は、第2実施形態に係る同期方法の例を示す図である。
図7(a)は、複数の携帯電話機201が、タイマサーバ210からタイマデータを受信することで、同期をとる方法を示す。このシステムでは、複数の携帯電話機201が通信インタフェース部209を備え、この通信インタフェース部209を介して無線230により通信ネットワーク220との間で通信可能に接続されている。また、通信ネットワーク220には、タイマサーバ210が通信可能に接続されている。タイマサーバ210は、複数の携帯電話機201の内部時計を、通信ネットワーク220を介して正しく調整するNTP(Network Time Protocol)サーバであり、このタイマサーバ210のタイマを基準タイマとして、タイマデータを携帯電話機201に送信する。このシステムは、携帯電話機201が無線230を介してタイマサーバ210のタイマデータを受信し、タイマ部のタイマを基準タイマに合わせることで、全ての携帯電話機201のタイマを同期のとれたものとすることができる。
【0045】
図7(b)は、2つの携帯電話機301同士で赤外線通信等の無線通信を行うことで、同期をとる方法を示す。2つの携帯電話機301は、通信インタフェース部309を介して無線330により通信可能な状態で接続されている。この場合に、一方の携帯電話機301が、タイマ部のタイマのデータを他方の携帯電話機301に送信する。他方の携帯電話機201は、タイマデータを受信し、タイマ部のタイマをタイマデータに合わせる。そうすることで、2つの携帯電話機301のタイマを同期のとれたものとすることができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した第1及び第2実施形態並びに後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0047】
(変形形態)
(1)第1及び第2実施形態では、携帯電話機を用いて実現するものとして説明した。しかし、これに限らず、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末でもよい。また、複数のゲームが可能な携帯用のゲーム機でもよいし、専用のゲームプログラムを記憶した携帯用のゲーム機でもよい。特に第1実施形態の場合には、通信機能を有さない携帯端末であっても実現できる。
(2)第1実施形態では、楽曲プログラムの処理タイミングを同期させる例で説明した。しかし、これに限らず、同期を合わせて行う、例えば、ドライブゲームや対戦ゲーム等のゲームプログラムについて用いてもよい。
(3)第1実施形態では、表示部及び音声出力部を用いた報知について説明した。しかし、これに限らず、表示部又は音声出力部を用いた報知であってもよいし、発光部を用いた報知であってもよい。さらに、それらを組み合せて報知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1実施形態に係る携帯電話機の機能ブロックを示す図である。
【図2】第1実施形態に係る報知例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る2つの携帯電話機による同期方法の例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る2つの携帯電話機による処理実行方法の例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る楽曲演奏を行う例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る携帯電話機のフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る同期方法の例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1,201,301 携帯電話機
2 制御部
3 記憶部
4 入力部
5 タイマ部
7 表示部
8 音声出力部
12 指示入力手段
14 タイマ変更入力手段
22 報知手段
24 タイマ変更手段
26 処理実行手段
32 タイミング補正プログラム
34 楽曲プログラム
209,309 通信インタフェース部
210 タイマサーバ
220 通信ネットワーク
230,330 無線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
指示入力を受け付ける指示入力手段と、
所定の処理を開始する処理タイミングに対応する報知を、前記コンピュータのタイマに基づいて一定の時間間隔で繰り返す報知手段と、
前記指示入力手段により受け付けた前記指示入力に応じて、前記指示入力の入力タイミングに対応し前記報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、前記所定の処理を開始する処理実行手段と、
して機能させるためのタイミング補正プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のタイミング補正プログラムにおいて、
前記報知手段を、一定の時間間隔で繰り返される前記処理タイミングのほぼ中間の範囲で報知するように機能させること、
を特徴とするタイミング補正プログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のタイミング補正プログラムにおいて、
前記コンピュータを、
前記タイマの変更入力を受け付けるタイマ変更入力手段と、
前記タイマ変更入力手段により受け付けた前記変更入力の入力タイミングを報知するタイミングとして、前記報知手段の前記報知をずらして前記一定の時間間隔で報知するタイマ変更手段と、
して機能させること、
を特徴とするタイミング補正プログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラムにおいて、
前記コンピュータを、このコンピュータと基準タイマを有する端末との間を通信して前記基準タイマに同期させて、前記一定の時間間隔で報知するタイマ変更手段として機能させること、
を特徴とするタイミング補正プログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラムにおいて、
前記報知手段を、音、光、視覚的手段による表示のうち少なくともいずれかにより報知するように機能させること、
を特徴とするタイミング補正プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のタイミング補正プログラムにおいて、
前記報知手段を、報知するタイミングを最大値とするグラフを用いた図形表示により報知するように機能させること、
を特徴とするタイミング補正プログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラムにおいて、
前記処理実行手段を、楽曲のプログラム又はゲームプログラムを開始するように機能させること、
を特徴とするタイミング補正プログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のタイミング補正プログラムを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記タイミング補正プログラムを実行する制御部と、
を備える携帯端末。
【請求項9】
タイマと、指示入力手段と、制御部とを備えた複数の携帯端末が、所定の処理を開始するタイミングの同期をとる処理タイミング同期方法であって、
前記複数の携帯端末の前記制御部の各々が、
前記複数の携帯端末の前記タイマの各々に対して同期をとるステップと、
前記指示入力手段により指示入力を受け付けるステップと、
所定の処理を開始する処理タイミングに対応する報知を、前記タイマに基づいて一定の時間間隔で繰り返すステップと、
受け付けた前記指示入力に応じて、前記指示入力の入力タイミングに対応し前記報知よりも特定の時間遅延した処理タイミングで、前記所定の処理を開始するステップと、
を含む処理タイミング同期方法。
【請求項10】
請求項9に記載の処理タイミング同期方法において、
前記複数の携帯端末が、無線により通信網との間で通信し、前記通信網を介して基準タイマを有するタイマサーバとの間で通信する受信部を備え、
前記同期をとるステップは、前記複数の携帯端末の各々の前記受信部が前記タイマサーバから受信した前記基準タイマのタイマデータに基づいて、各々の前記タイマを同期させること、
を特徴とする処理タイミング同期方法。
【請求項11】
請求項9に記載の処理タイミング同期方法において、
前記複数の携帯端末が、無線による送受信部を備え、
前記同期をとるステップは、前記複数の携帯端末の間で各々の前記送受信部を介して前記無線による通信をすることにより、前記複数の携帯端末のうち一の携帯端末の前記タイマに、前記複数の携帯端末のうち前記一の携帯端末を除く他の携帯端末の前記タイマを同期させること、
を特徴とする処理タイミング同期方法。
【請求項12】
請求項9に記載の処理タイミング同期方法において、
前記複数の端末が、前記タイマの変更入力を受け付けるタイマ変更入力手段を備え、
前記同期をとるステップは、前記複数の携帯端末において各々の前記タイマ変更入力手段により受け付けた前記変更入力の入力タイミングを前記報知のタイミングとして、前記報知をずらして前記一定の時間間隔で報知して、各々の前記タイマを同期させること、
を特徴とする処理タイミング同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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