説明

タイムレコーダ装置

【課題】
タイムレコーダ自体のコストの上昇を招来することなく、且つ、人件費をかけることなく、現在時刻を容易に修正することのできるタイムレコーダ装置及び管理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
時計情報を出力する時計手段33と、現在時刻を表示する表示手段35と、出退勤時
刻をタイムカードに印字する印字手段37と、標準時刻情報配信装置10と通信を行うことが可能な通信手段45を有し、通信手段45は所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで標準時刻情報配信装置10と通信を行い標準時刻情報を取り込む。この取り込んだ標準時刻情報に基づいて、時計手段の時計情報が修正され、修正された現在時刻が表示手段35に表示されると共に、修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻がタイムカード9に印字されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はタイムレコーダ装置およびその関連技術に関し、特に時計情報を修正するようにしたタイムレコーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在一般的に普及して使用されているタイムレコーダは、スタンドアローン型(非オンライン型)のカード打刻式タイムレコーダであって、光学式手段によって識別される複数のタイムカード(以下単に「カード」という。)を使用するものである。このような従来のタイムレコーダの有している主な機能は、カードに対して出退勤時刻を打刻(カードに印字、タイムレコーダに記憶させる行為)するとともに、そのカード毎の出退勤時刻を記憶して通算勤務時間、残業時間等を計算して印字するものである。また、カード(そのカードを使用する勤務者の等級等)に応じた時給等を記憶させておき、当該時給と勤務時間帯、休日(特日)出勤の状況によって給与を自動計算してカードに印字し、従業者等にしらせることができるようになっている。当該タイムレコーダは、カードに出退勤時刻を印字して、使用者のみならず従業者が毎日自己の勤務状況を確認できるところに特徴があり、これによって広く一般に普及しているものである。
【0003】
また、従来、特許文献1に開示されている「電子式タイムレコーダシステム」が知られている。当該公報に開示されている技術は、一台の親機と当該親機に接続された複数の子機とから構成され、各子機によって打刻された出退勤時刻に関するデータを親機に送信する。親機は複数の子機から送信された出退勤データを、別途設けられた出退勤データ集計用の電子計算機入力用穿孔テープ又は磁気テープとして出力し、電子計算機によってデータ処理をすることで出退勤の管理を効率化するというものである。さらに他の従来例として、大企業等においては、複数箇所の事業所に設置されているタイムレコーダをオンラインで結び、中央の管理用コンピュータで出退勤を管理するシステムが知られている。この場合、タイムレコーダに対する打刻は紙によるカードに印字させる方式ではなく、IDカード(社員カード)等の磁気カードやICカード等を使用して処理するものである。
【0004】
このような従来システムに用いられるタイムレコーダは時計回路を有し、この時計回路には所定周期で発振する発振器からの出力を分周して基準クロックパルスを生成するクロック生成回路が設けられ、この生成されたクロックパルスを計数することにより時計情報を出力している。そして、従来のタイムレコーダは、時計情報に基づいて現在時刻を表示部に表示すると共に、タイムカードが挿入されたときには、前記時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻をタイムカードに印字するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭51−135716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のタイムレコーダで用いられる時計回路がそれほど高精度なものではない場合には、時間が経過するに応じて、時計回路から出力される時計情報に狂いを生じる場合があった。このように、時計回路から出力される時計情報に狂いを生じると、表示部に表示される現在時刻が不正確な時刻を示すのみならず、タイムカードに印字される出勤時刻及び退勤時刻も不正確な時刻になってしまうので、現在時刻を修正する必要があった。
【0007】
このため、担当者が定期的に巡回して各タイムレコーダの現在時刻を修正するように作業工程を組むと、これに要する人件費がかさんでしまうという問題点を有していた。また、これを回避するために、時計回路から出力される時計情報を高精度なものに改良しようとすると、高精度で高価な基準発振器を用いなければならず、タイムレコーダのコストが上昇してしまうという問題点を有していた。
【0008】
本願発明は、上記に鑑みて案出されたもので、タイムレコーダ自体ののコストの上昇を招来することなく、且つ、人件費をかけることなく、現在時刻を容易に修正することのできるタイムレコーダ装置及び管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が提供する請求項1に係る発明は、上記目的を達成するために、下記の要件を備えたことを特徴とする。すなわち、タイムレコーダ装置であって
(イ)時計情報を出力する時計手段を有すること。
(ロ)前記時計手段からの時計情報に基づいて現在時刻を表示する表示手段を有すること。
(ハ)タイムカードが挿入されたときに、前記時計手段からの時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻を当該タイムカードに印字する印字手段を有すること。
(ニ)別途設けられた標準時刻情報配信装置とインターネットを介して通信を行うことが可能な通信手段を有すること。
(ホ)前記通信手段は、インターネットを介して管理用コンピュータと接続可能であること。
(ヘ)前記通信手段は、所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置から配信される標準時刻情報を取り込むこと。
(ト)前記取り込んだ標準時刻情報に基づいて、前記時計手段の時計情報を修正するための修正手段を有すること。
(チ)前記修正した時計情報に基づいて現在時刻が前記表示手段に表示されること。
(リ)前記修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻が前記タイムカードに印字されること。
【0010】
また請求項2に係る発明は、請求項1に記載のタイムレコーダ装置であって、
前記タイムレコーダ装置は、インターネットを介して、前記勤務情報および当該タイムレコーダを特定する固有の識別情報である機種情報を管理用コンピュータに送信することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、下記の要件を備えてなることを特徴とする。すなわち、タイムレコーダ装置であって、
(イ)タイムレコーダー装置と当該タイムレコーダー装置にインターネットを介して接続される管理用コンピュータを有すること。
(ロ)前記タイムレコーダ装置は、時計情報を出力する時計手段を有すること。
(ハ)前記タイムレコーダ装置は、前記時計手段からの時計情報に基づいて現在時刻を表示する表示手段を有すること。
(ニ)前記タイムレコーダ装置は、タイムカードが挿入されたときに、前記時計手段からの時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻を当該タイムカードに印字する印字手段を有すること。
(ホ)前記管理用コンピュータは、インターネットを介して前記タイムレコーダ装置及び別途設けられた標準時刻情報配信装置と通信を行うことが可能な通信手段を有すること。(ヘ)前記通信手段は、所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置から配信される標準時刻情報を取り
込むこと。
(ト)前記通信手段は、前記標準時刻情報を取り込んだ後に、前記タイムレコーダ装置と通信し、当該標準時刻情報に基づいて前記時計手段の時計情報を修正するための情報を送信すること。
(チ)前記タイムレコーダ装置は、前記管理用コンピュータから受信した情報に基づいて前記時計手段の時計情報を修正するための修正手段を有すること。
(リ)前記修正した時計情報に基づいて現在時刻が前記表示手段に表示されること。
(ヌ)前記修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻が前記タイムカードに印字されること。
【0012】
また請求項4に係る発明は、請求項3に記載のタイムレコーダ装置であって、
前記タイムレコーダ装置は、インターネットを介して、前記勤務情報および当該タイムレコーダを特定する固有の識別情報である機種情報を管理用コンピュータに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は、時計情報を出力する時計手段と、前記時計手段からの時計情報に基づいて現在時刻を表示する表示手段と、タイムカードが挿入されたときに時計手段からの時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻を当該タイムカードに印字する印字手段と、標準時刻情報配信装置と通信を行うことが可能な通信手段を有し、通信手段は所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置と通信を行い、標準時刻情報配信装置から配信される標準時刻情報を取り込む。この取り込んだ標準時刻情報に基づいて時計手段の時計情報を修正するための修正手段を有し、修正した時計情報に基づいて現在時刻が前記表示手段に表示されると共に、修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻がタイムカードに印字されるように構成したので、タイムレコーダ自体ののコストの上昇を招来することなく、且つ、人件費をかけることなく、現在時刻を容易に修正することができるという効果を有する。
【0014】
また、本願発明は、タイムレコーダ装置と、標準時刻情報配信装置とが接続される通信媒体は、インターネットを用いて構成したので、全体的な通信費コストを軽減することができるという効果を有する。
【0015】
また、本願発明は、タイムレコーダ装置と、タイムレコーダ装置に通信媒体を介して接続される管理用コンピュータとを有し、タイムレコーダ装置は時計情報を出力する時計手段と、前記時計手段からの時計情報に基づいて現在時刻を表示する表示手段と、タイムカードが挿入されたときに時計手段からの時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻を当該タイムカードに印字する印字手段を有し、管理用コンピュータはタイムレコーダ装置及び別途設けられた標準時刻情報配信装置と通信を行うことが可能な通信手段を有し、所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置と通信を行い、標準時刻情報配信装置から配信される標準時刻情報を取り込むと共に、タイムレコーダ装置と通信し標準時刻情報に基づいて時計手段の時計情報を修正するための情報を送信するように構成したので、タイムレコーダ装置では、管理用コンピュータから受信した情報に基づいて、時計手段の時計情報を修正することができ、修正した時計情報に基づいて現在時刻が前記表示手段に表示し、修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻をタイムカードに印字することができるという効果を有する。また、管理用コンピュータから時計手段の時計情報を修正するための情報を送信するように構成したので、タイムレコーダ自体のコストの上昇を招来することなく、且つ、人件費をかけることなく、現在時刻を容易に修正することのできる管理装置を提供することができるという効果を有する。
【0016】
また、本願発明は、タイムレコーダ装置と、管理用コンピュータとが接続される通信媒
体は、インターネットを用いて構成したので、全体的な通信費コストを軽減することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明に係る出退勤管理システムの基本構成の一つを示した構成概念図である。
【図2】本願発明に係る出退勤管理システムの構成を表したブロック図である。
【図3】図3は、カードの一例を表した説明図である。
【図4】本願発明に用いられるタイムレコーダ及び管理用コンピュータのブロック図である。
【図5】管理用コンピュータにおいて管理・記憶されている、機種別カード情報の概念を示すための説明図である。
【図6】管理用コンピュータにおいて管理・記憶されている、従業者毎の出退勤データの概念を説明するための説明図である。
【図7】本願発明に係る作用を示したフローチャートである。
【図8】管理用コンピュータにおいて管理・記憶されている、従業者全員の勤務情報の概念を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本願発明に係るタイムレコーダ、管理用コンピュータ等からなる出退勤情報の管理システムの基本構成の一つを示した構成概念図である。図1において、1は出退勤管理システム(勤務情報の管理装置)、3はタイムレコーダ、5は通信回線やインターネット等のネットワークから成る通信媒体、7は管理用コンピュータ、9はタイムレコーダ3で使用されるカードを示している。図1は、さらに通信媒体5に対して標準時刻情報配信装置10と、複数のタイムレコーダ3,11,17が接続されている例を示している。標準時刻情報配信装置10は、インターネット等のネットワーク上に配置されるもので、標準となる絶対的な時刻情報を順次配信するものである。なお、本実施の形態では説明の都合上通信媒体5に対して3台のタイムレコーダ3,11,17が接続されている例を用いているが、当然ながらタイムレコーダの台数および接続方式は本実施の形態に限定されるものではなく、更に多くのタイムレコーダを適宜の通信媒体によって管理用コンピュータ7と接続することができる。
【0019】
図2は、前記図1で示した出退勤管理システムの構成概念を説明するためのブロック図である。図2を用いてタイムレコーダ3の構成を説明する。タイムレコーダ3は同図に示すように、制御手段31、時計手段33、表示手段35、印字手段37、入力手段39、記憶手段41、カード認識手段43及び通信手段45とから構成されている。制御手段31はCPU、ROM、RAM等から構成されており、タイムレコーダ3の機能全体を制御するものである。また、制御手段31は、標準時刻情報配信装置10から標準時刻情報を取り込むための制御及び取り込まれた標準時刻情報に基づいて時計手段33の時計情報を修正するための制御を行う。
【0020】
時計手段33は、制御手段31から出力される基準クロックを計数して年月日等のカレンダー情報および時刻情報(以下「時計情報」という。)を生成するものである。時計手段33で生成された時計情報は表示手段35に表示され、使用する従業員等に視覚情報として認識させるとともに、勤務情報の一部として使用される。以下「勤務情報」とは、従業者の出勤、退勤の時刻および当該時刻によって生成される種々の情報を総称する意味として用いる。印字手段37はカード9がタイムレコーダ3に挿入された際、出勤時刻、退勤時刻等をカード9の所定の位置に印字するようになっているドットインパクトプリンタその他の印字手段である。
【0021】
入力手段39は、タイムレコーダ3に対する種々の設定をするために使用するものであり、「時刻設定」「締日(集計日)設定」「始業時刻設定」「終業時刻設定」「残業開始時刻設定」「日付変更時刻設定」「計算モード設定」等を行うための手段である。また、入力手段39は、時計手段33から出力される時計情報に狂いが生じた場合に、これを修正するために用いられる。また、入力手段39は、ある従業員が他人のカードを使用して打刻してしまった場合、又は打刻するのを忘れた場合などの打刻ミスをした場合に、これを修正するために用いられる。記憶手段41には、制御手段31を駆動させるためのプログラムデータ、入力手段39からの入力に伴う各種情報、個々のカードの勤務情報等が記憶されるようになっている。すなわち、記憶手段41は、印字された出勤時刻あるいは退勤時刻の勤務情報を、識別されたタイムカードの識別情報に対応して記憶する。また、記憶手段41は、標準時刻情報配信装置10から標準時刻情報を取り込むためのプログラム、標準時刻情報配信装置10から取り込まれた標準時刻情報に基づいて時計手段33の時計情報を修正するためのプログラムを記憶している。この記憶手段41は、具体的にはROM及びRAM等の半導体デバイスが用いられ、必要に応じて着脱自在なメモリカード等の記憶手段を使用することができる。また、タイムレコーダ3の動作を規定するプログラムは、予め記憶手段41に記憶されているものの他、メモリカードあるいは後述する通信手段45を介して外部から提供することができ、バージョンアップ、仕様変更等のプログラムデータを容易に提供することができる。
【0022】
カード認識手段43は、カード9に形成された穿孔や、印刷されたバーコード等を認識するための手段であり、フォトインタラプタ、バーコードリーダ等が用いられる。通信手段45は管理用コンピュータ7と通信するためのインターフェイス、または通信モデムを有し、タイムレコーダ3は通信媒体5を介して管理用コンピュータ7又は標準時刻情報配信装置10と接続される。通信手段45は、所定時間が経過したとき又は入力手段39から命令を入力した任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置10と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置10から配信される標準時刻情報を取り込む。タイムレコーダ3は、前記取り込んだ標準時刻情報に基づいて、時計手段33の時計情報を修正するための修正手段を有し、この修正した時計情報に基づいて現在時刻が表示手段35に表示される。また、前記修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻が前記タイムカード9に印字される。また、通信手段45は、記憶した勤務情報が所定量以上記憶されて蓄積した場合、又は所定時間が経過したときに、当該勤務情報をその識別情報と共に管理用コンピュータ7に送信する。なお、通信手段45は、従来型のタイムレコーダ機器に対しオプションとして後付けし、本実施形態の機能を付加させるようにしてもよい。
【0023】
次に、他のタイムレコーダ11,17について説明すると、タイムレコーダ11,17の主な構成及び機能は、前述のタイムレコーダ3と同一である。タイムレコーダ11は、コンピュータ端末13を介して通信媒体5に接続されるようになっている。タイムレコーダ11に対してはカード15が使用されるようになっている。コンピュータ端末13は、一般的に「パソコン」と称されている装置であり、キーボードを有し、インターネットに接続可能な通信機能を備えている。コンピュータ端末13は、タイムレコーダ11を管轄するもので、このタイムレコーダ11とコンピュータ端末13とでタイムレコーダ装置を構成する。コンピュータ端末13は、標準時刻情報配信装置10と通信を行うことが可能な通信手段を有する。また、コンピュータ端末13が有する通信手段は、所定時間が経過したとき又はキーボードから命令を入力した任意のタイミングで標準時刻情報配信装置10と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置10から配信される標準時刻情報を取り込む。その後、コンピュータ端末13は、取り込んだ標準時刻情報に基づいて、タイムレコーダ11の時計手段の時計情報を修正するための情報を送信する。これによって、タイムレコーダ11では、時刻情報が修正され、修正された時計情報に基づいて現在時刻が表示手段に表示されると共に、修正された時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻がタイムカード15に印字される。
【0024】
コンピュータ端末13とタイムレコーダ11は、RS232C、USB、LANその他の通信手段によって接続されている。コンピュータ端末13は、タイムレコーダ11からの勤務情報を記憶し蓄積するための記憶手段と、管理用コンピュータ7と通信を行うことが可能な通信手段とを有し、この通信手段は、勤務情報が所定量以上記憶された場合、又は所定時間が経過したときに、当該勤務情報をその識別情報と共に管理用コンピュータ7に送信するようになっている。
【0025】
タイムレコーダ17は、TA/DSU装置19を介して通信媒体5に接続されている。このタイムレコーダ17とTA/DSU装置19とでタイムレコーダ装置を構成する。TA/DSU装置19は、デジタル電話回線であるISDNに接続するために必要な機器であり、管理用コンピュータ7と通信を行うための通信手段を構成する。また、TA/DSU装置19は、必要に応じてLAN機能を有した装置を用いて構成することができ、TA/DSU装置19に対して複数のタイムレコーダを接続する方式としてもよい。タイムレコーダ17に対してはカード21が使用されるようになっている。
【0026】
次に、管理用コンピュータ7について説明する。管理用コンピュータ7は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等のコンピュータ装置が用いられ、管理するデータの規模等によって所定の能力を有したものが選択される。管理用コンピュータ7の構成は図2に示す通りであり、制御手段51、通信手段53、入力手段55、記憶手段57を有している。また、外部機器として表示手段59および印字・出力手段61が接続されている。
【0027】
制御手段51は、CPU、ROM、RAM等を有し、記憶手段57に記憶された各種プログラムに基づいて各種制御処理を実行する。例えば、制御手段51は勤務情報を処理し、各従業員の給料計算等の演算処理を行う。また、制御手段51は、標準時刻情報配信装置10から標準時刻情報を取り込むための制御及び取り込まれた標準時刻情報に基づいてタイムレコーダ3,11,17の各時計手段の時計情報を修正するための制御を行う。通信手段53は、各タイムレコーダ3,11,17から送信される勤務情報とその識別情報を受信する。また、通信手段53は、標準時刻情報配信装置10と通信を行うことが可能な通信手段であり、所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置10と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置10から配信される標準時刻情報を取り込む。そして、通信手段53は、前記標準時刻情報を取り込んだ後に、制御手段51の制御に基づいてタイムレコーダ3,11,17と通信し、当該標準時刻情報に基づいてタイムレコーダ3,11,17の各時計手段の時計情報を修正するための情報を送信する。これによって、各タイムレコーダ3,11、17では、修正された時計情報に基づいて現在時刻が表示手段に表示されると共に、修正された時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻がタイムカードに印字される。
【0028】
入力手段55は、キーボードなどで構成される。このキーボードから必要な命令や情報を入力することにより、強制的に標準時刻情報配信装置10から標準時刻情報を取り込むと共に、通信手段53を動作させてタイムレコーダ3,11,17と通信し、取り込んだ標準時刻情報に基づいてタイムレコーダ3,11,17の時計情報を修正することができる。記憶手段57はROM及びRAM等の適宜の記憶媒体を有し、前記通信手段53によって受信された勤務情報とその識別情報を記憶する。また、記憶手段57は、標準時刻情報配信装置10から標準時刻情報を取り込むためのプログラム、標準時刻情報配信装置10から取り込まれた標準時刻情報に基づいてタイムレコーダ3,11,17の各時計手段の時計情報を修正するためのプログラムを記憶している。さらに、記憶手段57には勤務情報を処理するためのプログラム、各従業員の給料計算等の演算処理プログラム等の各種プログラムが記憶されている。もちろん、記憶手段57の記憶媒体を着脱自在に構成する
ことができる。このように構成することにより、各種制御プログラムを交換可能な記録媒体等を介して提供することができ、より付加価値を高くしたものに更新し、発展的にシステムを構築することができる。
【0029】
図3は、カード9、15、21の一例を表したものであり、図3(a)はカード9の外観を示した外観図、図3(b)はカード9に対する記録(打刻印字)部71を拡大したものである。当該カード9、15、21は、それぞれタイムレコーダ3、11、17の所定部位に挿入された場合に、従業者の出勤時刻、退勤時刻および残業、遅刻、早退等の勤務に関する種々の情報および各タイムレコーダ3、11、17で演算された勤務時間等が記録部71の所定欄に打刻印字されるものである。また、カード9(15、21)の長手方向下部の両側縁には、複数の穿孔10が穿設されている。この穿孔10の数および位置は、各タイムレコーダ毎に使用されるそれぞれのカードについて全て異なっており、この穿孔10の数および位置の組み合わせによって、各カードを識別するようになっている。すなわち、この穿孔10は各カードを識別するための識別情報である。
【0030】
次に、タイムレコーダ3、11、17と管理用コンピュータ7の有しているデータ管理に関する手段および機能について説明する。以下、タイムレコーダについては第1のタイムレコーダ3のみについて説明するが、他のタイムレコーダ11,17も同様の機能を有している。第1のタイムレコーダ3は、記憶手段41を有し、この記憶手段41には図4に示すように、機種情報71、カード情報73、修正情報75、勤務情報77、印字情報79が記憶されるようになっている。機種情報71は、タイムレコーダを特定するための固有の識別情報であり、通信媒体5を介して管理用コンピュータ7に送信される種々のデータが、どのタイムレコーダからの情報であるかを識別するためのものである。同時に管理用コンピュータ7側からタイムレコーダに対してデータを送信する際の、送信先を特定する場合に使用される情報である。カード情報73は、タイムレコーダ3で使用可能な複数のカード9のそれぞれに固有に割り当てられる識別情報に対応しており、各カード9がタイムレコーダに挿入された場合に、タイムレコーダがどのカードが挿入されたのかを認識するためのものである。すなわち、カード情報73は、各従業者の勤務情報に対応してそれぞれの従業者の勤務情報を管理するために用いられる情報である。なお、本実施の形態においては、タイムレコーダ自体は従業者の氏名等のデータを直接的には管理しておらず、カード9についての打刻情報を管理することで、間接的に各従業者の出退勤を管理していることになる。
【0031】
修正情報75は、ある従業員が他人のカードを使用して打刻してしまった場合、又は打刻するのを忘れた場合などの打刻ミスをした場合に、これを修正するために入力手段39から入力されるもので、修正された出勤時刻、退勤時刻などの情報が電子データとして記憶、蓄積されるものである。勤務情報77は、従業者(カード)毎の出退勤に関するデータであり、具体的には図3に示すカードに記載される出勤および退勤時刻、その他遅刻、早退等の情報が電子データとして記憶、蓄積されるものである。印字情報79は、カード9に対して最後に印字された情報が何かを示す情報である。すなわち、基本的にタイムレコーダ3に対して使用するカードはカード9のみであり、第2のタイムレコーダ11用の第2のカード15、第3のタイムレコーダ17用の第3のカード21を使用することはできない。これは、タイムレコーダはカード固有の識別情報を認識して、そのカード毎に時刻の記録をする構成となっているからであり、そのタイムレコーダ用以外のカードを他のタイムレコーダに使用することは、他のタイムレコーダにとっては異なる別のカードが使用されたと認識することになるからである。
【0032】
また、タイムレコーダ3は、修正スイッチ81、出勤スイッチ83、退勤スイッチ85を有する。これらの修正スイッチ81、出勤スイッチ83、退勤スイッチ85及び入力手段39は、勤務情報を修正するために使用される。すなわち、ある従業員が他人のカード
を使用して打刻してしまった場合、又は打刻するのを忘れた場合などの打刻ミスをした場合は、これを修正する必要があり、このような打刻ミスを修正するために用いられる。
【0033】
次に図4に示す管理用コンピュータ7が記憶している情報について説明する。管理用コンピュータ7の記憶手段57には、機種別カード情報91、修正情報93、勤務情報95等が記憶されるようになっている。機種別カード情報91は、図5に示すように、複数のタイムレコーダー(第1、第2、第3・・)毎に登録されているカードの識別情報を、従業者と関連づけて記憶したものである。すなわち、特定の従業者について使用されているタイムレコーダとカード(識別情報)の組み合わせを記憶し、管理用コンピュータ7が各タイムレコーダから出退勤に関するデータを受領したときに、その出退勤に関するデータがどの従業者のものであるかを判断し、その従業者毎に出退勤の管理をするために使用するものである。このようにして管理用コンピュータ7が取得した出退勤に関するデータは図6に示すような状態で勤務情報95として記憶される。また、管理用コンピュータ7が記憶する修正情報93は、各タイムレコーダ3、11、17から修正された勤務情報を受信すると、その修正された勤務情報が記憶されるものである。
【0034】
以上説明した出退勤管理システム1は、一の従業者が複数のタイムレコーダを使用して出退勤の打刻を行う場合でも、管理用コンピュータ7において出退勤のデータを集計管理することができ、管理用コンピュータ7から各タイムレコーダに対して各従業者の出退勤データを提供し、カードの所定位置に対して出退勤時刻の印字を行わせることができる。以上説明したように、複数のタイムレコーダ3、タイムレコーダ11、タイムレコーダ17から、各従業員の勤務情報が管理用コンピュータ7に送信されるので、管理用コンピュータ7では図8に示すような従業者全員の勤務情報の集計管理を容易に行うことが可能となる。
【0035】
次に図7を参照してタイムレコーダ3の作用を説明する。ステップS1では、予め設定された時刻補正、すなわち時刻情報を修正するためのタイミングであるか否かを判断しており、前回の時刻修正から所定時間が経過した場合、若しくは入力手段39から時刻修正のための命令を入力したときは、現在時刻を修正すべきタイミングであると判断してステップS1からステップS3へ進む。ステップS3では、通信手段45を起動して標準時刻情報配信装置10と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置10から配信される標準時刻情報を取り込む。続いてステップ5では、取り込んだ標準時刻情報に基づいて、時計手段33の時計情報を修正する。これにより、修正した時計情報に基づいて現在時刻が表示手段35に表示されると共に、修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻がタイムカード9に印字される。以上説明した作用は他のタイムレコーダ11、17でも同様であり、詳細な説明を省略する。
【0036】
次に、タイムレコーダ11及びコンピュータ端末13とで構成されるタイムレコーダ装置の作用を説明する。タイムレコーダ11は、コンピュータ端末13と接続され、このコンピュータ端末13は、タイムレコーダ11を管轄するもので、コンピュータ端末13のキーボードから必要な命令や情報を入力することにより、強制的に標準時刻情報配信装置10から標準時刻情報を取り込むと共に、タイムレコーダ11と通信し、取り込んだ標準時刻情報に基づいてタイムレコーダ11の時計情報を修正することができる。これにより、修正した時計情報に基づいて現在時刻がタイムレコーダ11の表示手段に表示されると共に、修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻がタイムカード15に印字される。
【0037】
次に、管理用コンピュータ7の作用を説明する。管理用コンピュータ7は、入力手段55を有し、入力手段55のキーボードから必要な命令や情報を入力することにより、強制的に標準時刻情報配信装置10から標準時刻情報を取り込むと共に、通信手段53を動作
させてタイムレコーダ3,11,17と通信し、取り込んだ標準時刻情報に基づいてタイムレコーダ3,11,17の時計情報を修正することができる。すなわち、管理用コンピュータ7は、標準時刻情報配信装置10と通信を行うことが可能な通信手段53を有し、所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで標準時刻情報配信装置10と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置10から配信される標準時刻情報を取り込む。そして、通信手段53は、標準時刻情報を取り込んだ後に、制御手段51の制御に基づいてタイムレコーダ3,11,17と通信し、当該標準時刻情報に基づいてタイムレコーダ3,11,17の各時計手段の時計情報を修正するための情報を送信する。これによって、各タイムレコーダ3,11、17では、修正された時計情報に基づいて現在時刻が表示手段に表示されると共に、修正された時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻がタイムカードに印字される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、タイムレコーダ装置および出退勤の管理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 出退勤管理システム
3 第1のタイムレコーダ
5 ネットワーク
7 管理用コンピュータ
9 第1のカード
11 第2のタイムレコーダ
13 コンピュータ端末
15 第2のカード
17 第3のタイムレコーダ
19 TA/DSU装置
21 第3のカード
31 制御手段
33 時計手段
35 表示手段
37 印字手段
39 入力手段
41 記憶手段
43 カード認識手段
45 通信手段
51 制御手段
53 通信手段
55 入力手段
57 記憶手段
59 表示手段
61 印字・出力手段
71 機種情報
73 カード情報
75 修正情報
77 勤務情報
79 印字情報
81 修正スイッチ
83 出勤スイッチ
85 退勤スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の要件を備えてなることを特徴とするタイムレコーダ装置。
(イ)時計情報を出力する時計手段を有すること。
(ロ)前記時計手段からの時計情報に基づいて現在時刻を表示する表示手段を有すること。
(ハ)タイムカードが挿入されたときに、前記時計手段からの時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻を当該タイムカードに印字する印字手段を有すること。
(ニ)別途設けられた標準時刻情報配信装置とインターネットを介して通信を行うことが可能な通信手段を有すること。
(ホ)前記通信手段は、インターネットを介して管理用コンピュータと接続可能であること。
(ヘ)前記通信手段は、所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置から配信される標準時刻情報を取り込むこと。
(ト)前記取り込んだ標準時刻情報に基づいて、前記時計手段の時計情報を修正するための修正手段を有すること。
(チ)前記修正した時計情報に基づいて現在時刻が前記表示手段に表示されること。
(リ)前記修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻が前記タイムカードに印字されること。
【請求項2】
前記タイムレコーダ装置は、インターネットを介して、前記勤務情報および当該タイムレコーダを特定する固有の識別情報である機種情報を管理用コンピュータに送信することを特徴とする請求項1記載のタイムレコーダ装置。
【請求項3】
下記の要件を備えてなることを特徴とするタイムレコーダ装置。
(イ)タイムレコーダー装置と当該タイムレコーダー装置にインターネットを介して接続される管理用コンピュータを有すること。
(ロ)前記タイムレコーダ装置は、時計情報を出力する時計手段を有すること。
(ハ)前記タイムレコーダ装置は、前記時計手段からの時計情報に基づいて現在時刻を表示する表示手段を有すること。
(ニ)前記タイムレコーダ装置は、タイムカードが挿入されたときに、前記時計手段からの時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻を当該タイムカードに印字する印字手段を有すること。
(ホ)前記管理用コンピュータは、インターネットを介して前記タイムレコーダ装置及び別途設けられた標準時刻情報配信装置と通信を行うことが可能な通信手段を有すること。(ヘ)前記通信手段は、所定時間が経過したとき又は任意のタイミングで前記標準時刻情報配信装置と通信を行い、当該標準時刻情報配信装置から配信される標準時刻情報を取り込むこと。
(ト)前記通信手段は、前記標準時刻情報を取り込んだ後に、前記タイムレコーダ装置と通信し、当該標準時刻情報に基づいて前記時計手段の時計情報を修正するための情報を送信すること。
(チ)前記タイムレコーダ装置は、前記管理用コンピュータから受信した情報に基づいて前記時計手段の時計情報を修正するための修正手段を有すること。
(リ)前記修正した時計情報に基づいて現在時刻が前記表示手段に表示されること。
(ヌ)前記修正した時計情報に基づいて出勤時刻又は退勤時刻が前記タイムカードに印字されること。
【請求項4】
前記タイムレコーダ装置は、インターネットを介して、前記勤務情報および当該タイムレコーダを特定する固有の識別情報である機種情報を管理用コンピュータに送信すること
を特徴とする請求項3記載のタイムレコーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−40105(P2011−40105A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254144(P2010−254144)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【分割の表示】特願2001−39132(P2001−39132)の分割
【原出願日】平成13年2月15日(2001.2.15)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】