タイヤの磨耗閾値の明確な検知法
トレッドを含み、半径方向磨耗の少なくとも2つの所定の閾値S1を示すタイヤの磨耗を検知する方法の過程において、トレッドは、各閾値Siを越えると、閾値Siと関連するNEi群の音響空洞を含むようになっており、各閾値Siにおいては、kminは、kiの値の最低値であり、kiの値は、i ∈ [2、M]の値において、NEi/NEi-1 >1である場合は、ki=NEi/NEi-1、または、i ∈ [2、M]の値において、NE i-1/NEi >1である場合は、ki=NEi-1/NEiであって、各閾値において、この閾値と関連する音響空洞が発する音響フットプリントノイズを速度Vにおいて検知し、音響フットプリントノイズを検知する速度Vの値をVmax < kmin.Vmin.を満たす間隔l=]Vmin;Vmax]に制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの磨耗の検知方法に関する。本発明は、特に、任意のタイプの車両、乗用車または重量物運搬車用のタイヤに適用するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
タイヤが地面上を回転するとき、地面と接触するそのトレッドは、摩擦によって磨耗する。磨耗をモニターし、過度に著しい磨耗を検知するのを容易にするために、タイヤは、複数の磨耗ゲージ、特に、音響ゲージを備えていて、使用者が種々の磨耗レベルを検知するのを可能にしている。
【0003】
閾値毎に、各音響磨耗ゲージは、音響フットプリントノイズ(acoustic footprint noise)、または顕著な特性、特に、周波数特性を示す音響フットプリントを発生させる。これらの周波数特性は、とりわけ、磨耗ゲージ数、これらゲージの取付け形状、タイヤの回転速度またはタイヤの寸法を含むパラメーターに依存する。従って、これらのパラメーターのある種の値においては、幾つかの閾値と関連する各ゲージの特徴的ノイズの特性は同一であって、どの磨耗閾値に到達しているのかを判断するのは不可能である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、到達した磨耗閾値を明確な形で認識することを可能にする方法を提供することである。
この目的において、本発明の主題は、トレッドを含むタイヤの磨耗の検知、及び半径方向磨耗の少なくとも2つの所定の閾値を示す方法であって、
各閾値Siを越えると、トレッドは、NEi群の閾値Siと関連する少なくとも1つのいわゆる“音響(sonic)”空洞を含むようになっており、各群の各空洞は、その群の他の空洞と互いに実質的に軸方向に配列されており、
各閾値Siにおいては、 Mが放射状磨耗の所定の閾値の総数である場合に、kminは、i ∈ [2、M]におけるkiの値の最低値であり、kiは、
i ∈ [2、M]の値において、NEi/NEi-1 >1である場合は、ki=NEi/NEi-1、
i ∈ [2、M]の値において、NE i-1/NEi >1である場合は、ki=NEi-1/NEi、であり、
各閾値において、この閾値と関連する単数または複数の音響空洞が発する音響フットプリントノイズを速度Vにおいて検知し、
音響フットプリントノイズを検知する速度Vの値は、Vmax < kmin.Vmin.を満たす、間隔l=]Vmin;Vmax]に制限されている。
【0005】
本発明に従う方法によれば、上述したパラメーターのどのような値であろうとも、タイヤの使用者に警告し、到達した磨耗閾値を認識することを可能にする。
本出願においては、各群の音響フットプリントノイズは、各群の音響特徴である。また、このノイズは、各群の音響フットプリントであるとみなし得る。
【0006】
実際、各閾値と関連する単数または複数の音響空洞が発するノイズは、特に、空洞数が各閾値とさらにこれら空洞の分布と関連するため、この閾値の特性である。そのような方法においては、各閾値と関連する音響空洞の群数は、他の閾値と関連する音響空洞の群数と異なることが絶対的である。間隔Iにおいては、2つの異なる閾値のノイズの特性、特に、周波数特性は、同一ではないだろう。従って、1つの磨耗閾値は、ノイズの特性、特に、周波数特性の各値と関連している。例えば、Vminを決定し、kminを知った時点で、Vmaxを決定し、これにより、Iを明確な検知のために決定することができる。逆に、Vmaxを決定し、kminを知った時点で、Vminを決定し、これにより、Iを明確な検知のために決定することが可能である。従って、間隔I内にあるVのいずれの値においても、到達した磨耗閾値を明確な方法で認識することが可能である。従って、プロセッシングユニットによって、各磨耗閾値の到達を識別することが可能である。
【0007】
閾値と関連する各空洞は、これらの空洞に音響特性を付与する特定の形状を示す、即ち、これらの空洞は、磨耗タイヤの回転中に特徴的ノイズを生じる。
各閾値と関連する各空洞においては、この特徴的ノイズは、タイヤが相応する閾値を越えて磨耗したときにのみ発生する。従って、1つの閾値と関連する各空洞は、この閾値を越える磨耗の音響ゲージを形成する。
【0008】
従って、運転者は、タイヤの表面状態を目視によってまた定期的に点検しなかったとしても、回転中に特徴的ヒス音(hiss)を聞いたときに、各閾値の超過を知らされる。
好ましくは、プロセッシングユニットおよび1個以上のマイクロホンを回転ノイズの検知のために使用し、プロセッシングユニットと連結され、回転ノイズ中のヒス音を検知し、運転者にタイヤの磨耗を知らせることができる。
速度なる用語は、上記タイヤを装着した車両の速度に実質的に等しいタイヤの回転の直線速度を意味するものと理解されたい。
【0009】
有利には、音響フットプリントノイズは、好ましくはくし型関数(Dirac comb)の少なくとも1部を構成する、音響フットプリントの数種の基本周波数成分を含む。音響フットプリントノイズの基本周波数成分は、空洞が発するノイズの特性である。従って、タイヤの各磨耗閾値に達したとき、ゲージが発する音響フットプリントノイズは、周波数状に分布した数種の基本周波数成分を含む。さらにまた、そのような音響フットプリントノイズは、固有的であり、従って、検知するのが容易である基本周波数成分の顕著なくし状パターンを示す。
【0010】
この方法の他の任意選択的特徴によれば、以下のとおりである。
音響フットプリントノイズの各基本周波数成分は、音響フットプリントノイズの少なくとも1つの隣接基本周波数成分から、固有の閾値と関連する参照周波数間隔内にある周波数ギャップによって隔たっている。各閾値において、参照周波数間隔は、この閾値の特性である。従って、磨耗閾値に達したとき、この閾値と関連する空洞が発する音響フットプリントノイズは、所定のパターンに従って周波数状に分布した数種の基本周波数成分を含む。上記所定の参照周波数間隔は、各磨耗閾値と関連するノイズの基本周波数成分を隔て得る周波数ギャップの群に相当する。従って、この参照周波数間隔は、各異なる磨耗閾値と関連するノイズの2つの基本周波数成分を隔て得る全ての周波数ギャップを包含する。従って、この間隔Iにおいては、ノイズの2つの基本周波数成分を隔てている周波数ギャップは、1つの磨耗閾値と関連する。
【0011】
この所定の参照周波数間隔は、1Hzと300Hzの間にある。この周波数間隔は、空洞が発するノイズの基本周波数成分を隔てる性向を有する周波数ギャップを含む。この参照周波数間隔は、例えば、タイヤの寸法などの、入力または修正する必要が望まれないパラメーターの極値を考慮することによって決定する。従って、乗用車においては、速度が10km/時と130km/時の間で変化し、ゲージ数が1個と20個の間で変動し、かつ、円周が1.30mと3.0mの間で変動するのに対して、空洞が発するノイズの基本周波数成分の周波数ギャップは、1Hzと約300Hzの間にある間隔に属する。同様な周波数範囲は、90km/時未満の速度で走行し、最大で32個のゲージを有し且つ2.1mと3.7mの間で変動する円周を有するタイヤを装着した重量物運搬車においても有効である。
【0012】
1つの実施態様においては、各群は、1つの音響空洞からなる。
他の実施態様においては、各群は、互いに実質的に軸方向に配列された少なくとも2つの空洞を含む。
この実施態様においては、1つの閾値と関連する群の空洞は、同じ閾値と関連する群のもう1つの空洞の方位角(アジマス)と実質的に同じ方位角(アジマス)を示す。従って、これらの空洞は、同時音響性である。
他の実施態様においては、2つの軸方向に配列された空洞は、2つの異なる閾値と関連する。この場合、上記2つの空洞は、同じ群の1部を構成しない。
【0013】
必要に応じて、各閾値と関連する音響空洞の群は、各閾値を越えると、各閾値と関連する音響空洞の群がタイヤ上で円周方向に等分布するように配列される。
“円周方向に等分布”なる表現は、所定の閾値と関連する空洞の各群が、この群と隣接している空洞の2つの群から実質的に同じ空間距離に位置することを意味するものと理解されたい。単一の群を所定の閾値と関連させる場合、この単一群も円周方向に等分布させる。実際、この場合、各隣接する群は、この同じ群によって形成される。
【0014】
さらに、全ての場合において、空洞の群は閾値に達したとしても、タイヤのトレッドの周りに円周方向に等分布しているので、各閾値を超えて発出するノイズの特性は固有であり且つ顕著である。従って、タイヤが発するノイズは、タイヤの回転音、風、エンジン音、または関連する動力伝達装置音の中で容易に検知可能である。実際、各閾値を越えて発出されるノイズは、周波数領域においては、上述した全ての擬似音の中で容易に認識し得る特徴的くし型関数の形を示す。
空洞は、トレッドの周りで円周方向に等分布させながら、互いに対して軸方向にオフセットさせ得る。
【0015】
任意選択的方法においては、各閾値を越えると、各音響空洞は、タイヤの半径方向外側に現れ、各音響空洞がタイヤの地面との接触領域を通過するときに、地面によって実質的に密封状態で閉鎖されるようになっている。
実際、各空洞は地面によって実質的に密封状態で閉鎖されるようになっているので、各空洞は、タイヤの地面との接触領域を通過するときに、空気を一時的に閉じ込める。その時、接触領域でのタイヤの変形の作用下に、空洞内に閉じ込められたこの空気は、圧縮し、その後、トレッドがタイヤの後部において地面との接触を失くし、結果として空洞が開いたときに接触領域を抜けた時点で、激しく膨張する。
【0016】
空気のこの膨張は、数ミリ秒程度持続し、特に空洞の形状および体積に依存するヒスまたはポンピング音とも称する特定のノイズを発生させる。
このヒス現象は空気が空洞内で圧縮されその後空洞から抜け出ることによって膨張するときにのみ出現することを考慮すれば、この空洞が上記接触領域を通過するときに地面によって実質的に密封状態で閉鎖されることが重要である。実際、上部が地面によって覆われるが、さらに、外部空気と流体連結している横方向チャネルを含む空洞は、この空洞が含む空気が圧縮され得ないので、音響空洞を形成しない。これは、特に、個々の空洞が相互に且つ外部空気と連通しているチャネルのネットワークによって一般に形成されている従来技術のタイヤのトレッドの模様に関する場合に当たる。
【0017】
同様に、その寸法が上記接触領域を通過するときに地面によって全体的に覆われ得るには大き過ぎる空洞、例えば、その長さが接触領域の長さよりも大きい空洞は、本発明の意味の範囲内の音響空洞を形成し得ない。
【0018】
1つの実施態様においては、Kmin = 2である。
本発明の任意選択的特徴によれば、間隔Iは、km/h単位で、以下の速度間隔の中から選ばれる:]50;100]、]60;120]および]65;130]。
必要に応じて、タイヤは、
タイヤが新品であるとき、所定の深さを有する少なくとも1本の円周方向の溝と、
タイヤが新品であるとき、溝の所定の深さと所定の磨耗閾値の1つとの差に実質的に等しい所定の高さを有する溝の底に横方向に形成された少なくとも2つのリブと、を含み、
2つのリブを隔てている距離は、所定の距離よりも小さく、その結果、半径方向磨耗の所定の閾値の1つまたは各々を超えると、溝によって形成され、かつ、2つのリブによって定まる空洞は音響空洞である。
【0019】
空洞を溝内に配置することによって、空洞が発するノイズは、トレッド内の別の場所に配置されるソニック磨耗ゲージに対して増幅される。また、発されたノイズは、各空洞が接触領域を通過した時点のタイヤと地面によって形成される形状によっても増幅される。形状作用によるこの増幅は、各音響空洞を、好ましくは、タイヤの接触領域の中心部に軸方向に配置したときに最高となる。
接触領域の中心部分なる表現は、公称荷重および圧力条件下においてこの接触領域の幅の実質的に半分に亘って軸方向に延びており、タイヤの中心正中面に対して中心にある接触領域の区域を意味することを意図する。
【0020】
いわゆる“下行”ソニックパターンを有する1つの実施態様においては、i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi/NEi-1 >1である。
つまり、音響空洞の群の数NEiは、タイヤの磨耗とともに増大する。
この実施態様においては、群の数を、ひいては空洞数を増大させることによって、空洞の総体積を各閾値において増大させ得る。空洞が発するノイズの検知は、その場合、タイヤが磨耗したときに、より容易であることに注目されたい。
【0021】
この実施態様の変形においては、所定の閾値と関連する各空洞は、この所定の閾値よりも高い閾値とも関連する。これにより、各閾値において出現する空洞の数を最低限にすることができる。従って、タイヤの性能、特に、流体力学性能に対する空洞の影響は、最小限となる。従って、所定の閾値と関連する各空洞は、この所定の閾値よりも高い全ての閾値とも関連する。この特性は、最高の閾値の空洞には明らかに当てはまらない。
【0022】
この実施態様のもう1つの変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、この所定の閾値よりも低い閾値と関連する音響空洞を何ら含まない。従って、所定の閾値に達したとき、この所定の閾値よりも低い閾値と関連する空洞は、音響空洞であることを停止する。つまり、空洞の各群は、単一の磨耗閾値と厳密に関連する。
【0023】
他の変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、所定の閾値よりも低い閾値と関連する音響空洞の一部および所定の閾値を越えて出現する音響空洞を含む。従って、より低い閾値と関連するいくつかの音響空洞は、所定の閾値と関連する音響空洞でもある。
【0024】
いわゆる“上行”ソニックパターンを有するもう1つの実施態様においては、i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi-1/NEi >1である。
つまり、音響空洞の群の数NEiは、タイヤの磨耗とともに減少する。
【0025】
音響空洞は、これら空洞を溝内に配列させたとき、このような音響空洞の無いタイヤと比べて、タイヤの性能を、特に溝による水の分散に関して悪化させ得る。この水分散性能の悪化が大きいほど、なお一層タイヤの磨耗を進行させる。従って、音響空洞の群数を、ひいては音響空洞の数をタイヤの磨耗の進行とともに減じることによって、音響空洞によって発生する性能の潜在的喪失を抑制する。一方で、空洞の総体積を十分に大きいように、特に、空洞の総体積を所定の最小体積よりも大きいように、十分な数の空洞を設けることが好ましい。
【0026】
この実施態様の変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、もはや音響空洞ではなく、いいかえると、所定の閾値よりも高い閾値を越えると消失する。従って、所定の閾値よりも高い閾値と関連する音響空洞は、単に、所定の閾値よりも高い閾値を越えて現れる空洞である。つまり、各空洞は、単一の磨耗閾値と厳密に関連する。
この実施態様のもう1つの変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、所定の閾値よりも低い閾値と関連する音響空洞の一部を含む。
【0027】
また、本発明の主題は、コンピュータで実行するときに、上記で定義しているような方法の各工程の実効を制御するためのコードインストラクションを含むことを特徴とするコンピュータプログラムでもある。
さらにまた、本発明の主題は、記録した形で、上記で定義したようなプログラムを含むデータ記録用媒体でもある。
本発明のもう1つの主題は、上記で定義したようなプログラムの、そのダウンロードを目的とする電気通信網での利用可能化である。
【0028】
本発明は、非限定的な実施例として単に示す以下の説明を、添付図面を参照しながら読取ることでより良好に理解し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有する新品タイヤのトレッドの図である。
【図2】第1の磨耗閾値を越えて磨耗した、図1に示すタイヤのトレッドの図である。
【図3】第2の磨耗閾値を越えて磨耗した、図1に示すタイヤのトレッドの図である。
【図4】図3に示すタイヤのトレッドの半径方向断面に従う図である。
【図5】図3のタイヤの各空洞の音響フットプリントノイズの周波数スペクトルを示す。
【図6A】図1〜3のタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図6B】図1〜3のタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図7】図1〜3並びに6A及び6Bのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれ空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【図8】図1〜3並びに6A及び6Bのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれ空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【図9A】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9B】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9C】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9D】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9E】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9F】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【0030】
【図10】図9A〜9Fのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれの空洞が発するノイズの周波数帯域を示す。
【図11】図9A〜9Fのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれの空洞が発するノイズの周波数帯域を示す。
【図12A】第3の実施態様に従う“上行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図12B】第3の実施態様に従う“上行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図13】図12Aおよび12Bのタイヤの個々の閾値に関連する個々の空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【図14】図12Aおよび12Bのタイヤの個々の閾値に関連する個々の空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1においては、本発明の第1の実施態様に従う全体参照符号10で示すタイヤの1部を示している。タイヤ10は、乗用車のためのものである。タイヤ10は、軸を中心として実質的に軸対称である。
タイヤ10は、実質的に円筒形のトレッド12を含み、その外表面は模様14を備えている。特に、トレッド12は、タイヤの表面内で切り抜かれ、タイヤ10が新品であるときは所定の深さHを有する2本の円周方向の平行な溝16を含む。これらの溝16の深さHは8mm程度であり、その幅は10mm程度である。
タイヤ10は、タイヤにおける法定磨耗閾値SLを示す目視可能な磨耗ゲージ(図示せず)を含む。閾値SLに相当する各溝の深さは1.6mmに定められており、従って、閾値SL =6.4mmに相当する。
【0032】
タイヤのトレッド12は、溝16に対して横方向に、溝16の底部に形成された1群のリブ18を含む。1群のリブは2つのタイプのリブ18A、18Bを含み、各々、タイヤにおける少なくとも1つの所定の磨耗閾値S1、S2に相当する。各リブ18A、18Bは、それぞれ、タイヤが新品であるときは第1および第2の所定の高さh1、h2を示す。タイプ18Aの各リブは閾値S1およびS2と関連し、そして、タイプ18Bの各リブは固有閾値S2と関連するように、h1 > h2およびS2 > S1である。第1閾値S1は、閾値SLの実質的に90%に相当する、即ち、h1 = 2.5mmおよびS1 = 5.5mmである。第2の閾値S2は、上記閾値SLの実質的に100%に相当する、即ち、h2 = 1.6mmおよびS2 = 6.4mmである。閾値S1、S2は、図6A〜6Bに図式的に示している。図6Aは、第1磨耗閾値S1に達しているが第2磨耗閾値S2にはまだ達していないタイヤ10を示している。図6Bは、第2磨耗閾値S2に達しているタイヤ10を示している。
【0033】
従って、この実施態様においては、第1閾値S1は、この閾値を越えるとタイヤが降雨舗装道路上で劣化し得る可能性がある性能を示す磨耗に相当する。一方、第2閾値S2は、この閾値を越えるとタイヤがもはや法的必要条件に適合しない磨耗に相当する。
【0034】
同じタイプの2つのリブを隔てている距離は、20〜30mm程度である。溝16と2つの近隣リブ18A、18Bによって形成されている体積は、それぞれ、各円周方向溝16内に配列されたセル19A、19Bを形成する。各対のセル19A、19Bの各セル19A、19Bは、対の他のセルと横方向チャネル21A、21Bによって連結されている。セル19Aの各対とチャネル21Aは、タイヤ10の半径方向外側に出現する空洞20Aからなる1群を形成している。同様に、セル19Bの各対とチャネル21Bは、タイヤ10の半径方向外側に出現する空洞20Bからなる1群を形成している。図6A〜6Bにおいて、空洞20A、20Bは、点線によって概略的に示している。これらの点線は、概略的に示す半径方向部分を半径方向に延びており、それらの閾値間では、対応する空洞は音響空洞ある。
【0035】
タイヤが新品であるときは、図1に示しているように、リブ18A、18Bの高さは、各空洞20A、20Bが、リブ18A、18Bの上に、即ち、リブ18A、18Bの頂部に位置する流体連通通路を含むように、溝16の深さよりも低い。従って、トレッドが平らで平滑な地面11と接触している場合でさえも、地面11は、リブの上部が地面11と接触していないので、空洞20A、20Bを完全には閉塞しない。この場合、それぞれの空洞20A、20Bは、リブ頂部とこれらの空洞を覆う地面11によって定まる収縮チャネルによって流体連通している。
【0036】
図2には、閾値S1を越えて磨耗した図1のタイヤ10を示す。つまり、何キロメートルも回転し、そのトレッド12が何ミリメートルも喪失するまで次第に摩滅してしまったタイヤである。また、このタイヤ10は、図6Aにおいても概略的に示しており、閾値S1を越えると、タイヤ10は、各々が空洞20AからなるNE1 = 5群を含むことが分かる。従って、NE1 = N1 = 5が得られている。タイヤの回転中、各空洞20Aは、回転しているタイヤの視点からは、トレッド12上で円周方向に等分布して、各空洞20Aが、タイヤが実質的に一定速度で回転するときに、周期的に地面と接触するようにしている。
【0037】
この場合、図2に示すタイヤ10のトレッド12の磨耗は、6mm、即ち、閾値S1よりも大きい、つまり、タイヤ10が新品であるときに、リブ18Aの上部をトレッド12の表面から隔てている距離よりも大きい。S1よりも大きい磨耗を考慮すると、リブ18Aの上部は、トレッド12の表面と同じレベルにある。従って、各空洞20Aの開口はトレッド12上に形成された実質的に平らな輪郭によって形成され、空洞20Aは、他の空洞からは区別でき、離れている。
【0038】
このタイヤの磨耗は、閾値S2よりも小さい、つまり、タイヤ10が新品であるときに、リブ18Bの上部をトレッド12の表面から隔てている距離よりも小さい。リブ18Bの上部は、磨耗のこの岐路でのトレッドのレベルよりも低いレベルにある。
閾値S1を越えると、各空洞20Aは、高さh1よりも低い深さを示す。この場合、上記深さは、2.5mmよりも低く、6mmの磨耗においては2mmに等しい。その場合、各リブ18Aの高さは、各空洞18Aの深さに等しい。この高さまたは深さは、各溝16の深さとタイヤ10の磨耗との差に等しい。
【0039】
各空洞20Aの開口は実質的に平らな輪郭によって形成されているので、開口は、回転中に、平滑で平らな地面によって完全に且つ密封状に閉塞し得る。つまり、タイヤ10が閾値S1を越えて磨耗したときは、各空洞20Aは、タイヤ10の地面との接触領域を通過するとき、実質的に漏れ止めの形で地面によって閉塞されるように工夫されている。閾値S1とS2の間では、各空洞20Bは、各リブ18Bの上部と地面11によって定まる収縮チャネルのために、漏れ止めの形で地面によって閉塞されることはない。
【0040】
図3には、閾値S2を越えて磨耗した図1および2のタイヤ10を示している。また、このタイヤ10は、図6Bにおいても概略的に示されており、閾値S2を越えると、タイヤ10は各々が空洞20BからなるNE2 = 10群を含むことが分かる。従って、NE2 = N2 = 10が得られる。
【0041】
この場合、図3に示すように、タイヤ10のトレッド12の磨耗は、7mm、即ち、閾値S2よりも、さらに、閾値S1よりも大きい、つまり、タイヤ10が新品であるときに、リブ18Bの上部をトレッド12の表面から隔てている距離よりも大きい。S2よりも大きい磨耗を考慮すると、リブ18Bの上部、さらに、リブ18Aの上部は、トレッド12の表面と同じレベルにある。従って、各空洞20Bの開口はトレッド12上に形成された実質的に平らな輪郭によって形成され、空洞20Bは、他の空洞から、区別でき、離されている。各空洞20Aの開口は、閾値S1を越えているが閾値S2の前に得られた開口と比較して変化しないままである。
【0042】
閾値S2を越えると、各空洞20Bは、高さh2よりも低い深さを示す。この場合、上記深さは、1.6mmよりも低く、7mmの磨耗においては1mmに等しい。その場合、各リブ18A、18Bの高さは、各空洞18A、18Bの深さに等しい。この高さまたは深さは、各溝16の深さとタイヤ10の磨耗との差に等しい。
【0043】
各空洞20A、20Bの開口は実質的に平らな輪郭によって形成されているので、上記開口は、回転中に、平滑で平らな地面によって完全に且つ密封状に閉塞し得る。つまり、タイヤ10が閾値S2を越えて磨耗したときは、各空洞20A、20Bは、タイヤ10の地面との接触領域を通過するとき、実質的に漏れ止めの形で地面によって閉塞されるように工夫されている。
【0044】
各空洞20A、20Bは、相当する閾値S1、S2を越えると、1つの同じ空洞の2つの隣接リブ18A、18B間の円周方向の間隙に相当する20〜30ミリメートル程度の長さを示す。
【0045】
一方ではタイヤの半径方向外側に出現し、そして、他方では接触領域を通過するときに密閉状に閉鎖するようになっている、タイヤのトレッド10の表面上に形成されたそのような空洞20A、20Bは、“音響空洞”と称される。この実施態様においては、各空洞20Aは、各閾値S1、S2を越えると音響空洞であり、一方、各空洞20Bは、閾値S2を越えたときのみ音響空洞である。説明した例においては、それぞれ2つの連続閾値Si、Si-1に関連する空洞群の数NEi、NEi-1は、i ∈ [2、M]においてNEi-1<NEiを満たす、ここで、Mは放射状磨耗の所定の閾値の総数であり、閾値Siは閾値Si-1よりも多い。従って、i ∈ [2、M]の各値において、NEi/NEi-1 >1であるので、ki=NEi/NEi-1が得られている。従って、NE2>NE1であるタイヤは、“下行”ソニックパターンを有するタイヤと称する。この実施態様においては、k1=NE2/NE1 = N2/N1 = 2である。
【0046】
空洞20A、20Bは、各閾値S1、S2を越えると、音響空洞20A、20Bの各群がタイヤ10上で円周方向に等分布するように配列されている。各群は単一の空洞からなるので、従って、音響空洞20A、20Bは、タイヤ10上で円周方向に等分布される。さらに、トレッドは、各閾値S1、S2を越えると、全ての音響空洞20A、20Bが図6A〜6Bに示しているように同一であるようになっている。
【0047】
さらに、閾値S1に関連する各空洞20Aは、閾値S2にも関連する。タイヤ10においては、そのような音響空洞は、特にタイヤが新品である場合、閾値S1よりも下には存在しない。
【0048】
図4には、地面上で回転している図1〜3のタイヤと同様なタイヤの半径方向断面図を示している。寸法は、説明を明確にするために任意の形で変更している。このタイヤ10は、閾値S2を越えて磨耗している状態にあり、従って、音響空洞20A、20Bの群を含む。
地面上で回転しているタイヤ10の回転方向は、矢印22で示している。ある瞬間に、タイヤ10のトレッド12の一部は地面と接触する。この接触部分は、接触領域24と称する。トレッド12は、各音響空洞20A、20Bが、タイヤ10の地面11との接触領域24を通過するとき、タイヤ10の磨耗の関数としての定数である接触断面を示すようになっている。
【0049】
図4に示す例においては、接触領域24は、半径方向外側の開口が地面11によって覆われている音響空洞26を含む。従って、この音響空洞26は、密閉状に閉鎖されている。また、タイヤの接触領域12は、閉鎖空洞26の上流に位置する音響空洞28も含み、この空洞28は、その開口が接触領域内に入ってなく、従って、地面によって覆われていないので開いている。タイヤの矢印22で示す方向での回転中に、開放空洞28は、その開口が地面11によって閉塞されるまで接触領域24に向って進行する。
【0050】
最後に、タイヤ10のトレッド12は、タイヤ10の回転方向に対して閉鎖空洞26の下流に位置する空洞30も含む。図4に示す例においては、例示した下流空洞30は、地面11がその開口と接触していないので開いている。前の瞬間においては、この空洞30は、タイヤの地面11との接触領域24の区域内に位置していたので閉鎖されていた。
従って、タイヤの回転する過程において、所定の音響空洞は、その空洞が開いている上流位置28、その後の、その空洞が地面によって覆われているので閉いている接触領域24内にある位置26、最後に、その後の、その空洞が地面によってもはや覆われていない再度の開放位置30を連続して占める。
【0051】
つまり、タイヤの回転は、所定の空洞において、空洞内への空気の取込み、空洞が接触領域24内で地面によって閉鎖されているときの空洞内に含まれる空気の圧縮、およびその後のトレッドの地面からの分離による空洞の開放中の空洞内に含まれた空気の膨張を生じさせる。
この連続の取込み/圧縮/膨張過程は、空洞内に含まれた圧縮空気の膨張から得られるヒス音またはポンピング音とも称する特徴的ノイズをもたらす。このノイズの振幅および周波数特徴は、特に、使用する音響空洞の形状、体積および数に依存する。好ましくは、空洞を、このノイズが自動車の使用者により或いは電子機器により検知可能であるように工夫する。
【0052】
図5には、図3において見ることができる第2閾値S2と関連する空洞が発するノイズの周波数スペクトルSFTを示している。空洞20Bが発する音響フットプリントノイズのシグナルは、例えば、マイクロホンによって捕捉し得る。シグナルにフーリエ変換を適用して、生の周波数スペクトルを得るようにする。次に、この生周波数スペクトルの処理、特に、フィルター処理する工程の後、フィルター処理周波数スペクトルを得る。複数の基本周波数成分P1〜P8を含む図5に示すノイズの周波数スペクトルSFTは、このようにして得られる。スペクトルは、等分布基本周波数成分に特徴を有するくし型関数の形をとる。各基本周波数成分は、隣接の周波数成分から、実質的に一定の周波数ギャップFTUSによって隔たっている。この場合、FTUS = 120Hzである。
【0053】
磨耗ゲージ数、これらゲージの配置形状、タイヤの回転速度或いはタイヤの寸法のようなパラメーターは、周波数FTUSが属する傾向にある参照周波数間隔IRを特徴付ける。乗用車タイヤの範囲においては、その円周は1.3mと3mの間で変動し得、そのゲージ数は1乃至10の間で変動し得、車両の速度は10km/時と130km/時の間で変動し得、周波数FTUSは1Hz乃至278Hzの間にある間隔IR内で変動し得る。重量物運搬車タイプのタイヤにおいては、間隔IRは同様である。
【0054】
図7には、新品状態において1.93mの回転円周を示す図1〜3のタイヤ10において各閾値S1、S2とそれぞれ関連する空洞が発するノイズにおけるFTUSが位置する2つの周波数バンドB1 = [50Hz;79Hz]およびB2 = [101Hz;159Hz]を示している。上記算出したように、k1=NE2/NE1=N2/N1 = 2であり、結果として、i ∈ [2、M]における値kiの最低値kminは2に等しい。各閾値S1、S2において、空洞20Aおよび20Bが発した音響フットプリントノイズSFTを検知する。タイヤ10が発するノイズに関連する閾値S1を明確な方法で識別するには、ノイズを検知するための速度Vを、Vmax ≦ kmin.Vminを満たす、間隔 l=]Vmin、Vmax]=]70km/時、110km/時]に限定する。この場合、バンドB1、B2がばらばらになり、上記音響フットプリントノイズに基づいて判定したFTUSの値において、相当するノイズを発生させる空洞20Aまたは20Bを明確な方法で識別する。
【0055】
図8には、2つのバンドB1 = [36Hz;94Hz]およびB2 = [72Hz;187Hz]が示されている。この場合、ノイズを検知する速度間隔Vは、l=]Vmin;Vmax] = ]50km/時;130km/時]であり、Vmax ≦ kmin.Vminを満たさない。バンドB1、B2は重なり間隔[72 Hz;94 Hz]を示し、この重なり間隔の値FTUSにおいては、相当するノイズは空洞20Aまたは20Bによって発生するが、どの空洞がそのノイズを発生させているのかを識別することは可能ではない。
【0056】
第2の実施態様に従うタイヤは、図9A〜9Fに示している。タイヤ10は、重量物運搬タイプの車両を意図する。先の図面において示した要素と同様の要素は、同一の参照符号によって示している。
第1の実施態様とは対照的に、第2の実施態様に従うタイヤ10は、NE1=N1=2、NE2=N2=1、NE3=N3=4、NE4=N4=8、NE5=N5=16およびNE6=N6=32、従って、以下の比 ki:k1=k2=k3=k4=k5=k6= NE2/NE1= N2/N1= NE3/NE2 = N3/N2= NE4/NE3 = N4/N3 = NE5/NE4 = N5/N4 = NE6/NE5 = N6/N5 = 2を有する6つの所定の放射状磨耗閾値S1〜S6を含む。第1の実施態様におけるように、タイヤ10は、“下行”ソニックパターンタイヤである。
【0057】
溝16の深さは、14ミリメートル程度、この場合、14.3mmである。閾値SLに相当する各溝の深さは、2mmに固定されており、それによって閾値SL = 12.3mmに相当する。
【0058】
リブの群は、リブ18A、18Bに加えて、第3、第4、第5および第6のタイプのリブ18C〜18Fを含む。各リブ18C〜18Fは、それぞれ、タイヤが新品であるときに、所与の第3、第4、第5および第6の高さh3、h4、h5およびh6を示す。h1>h2>h3>h4>h5>h6、かつ、S6>S5>S4>S3>S2>S1であり、その結果、タイプ18Aの各リブは閾値S1〜S6と関連し、タイプ18Bの各リブは閾値S2〜S6と関連し、タイプ18Cの各リブは閾値S3〜S6と関連し、各リブ18Dは閾値S4〜S6と関連し、各リブ18Eは閾値S5とS6と関連し、各リブ18Fは閾値S6のみと関連する。
第1の閾値S1は、実質的に閾値SLの19%に相当する、即ち、h1 = 12mm、S1 = 2.3mmである。第2の閾値S2は、実質的に閾値SLの35%に相当する、即ち、h2 = 10mm、S2 = 4.3mmである。第3の閾値S3は、実質的に閾値SLの51%に相当する、即ち、h3 = 8mm、S3 = 6.3mmである。第4の閾値S4は、実質的に閾値SLの67%に相当する、即ち、h4 = 6mm、S4 = 8.3mmである。第5の閾値S5は、実質的に閾値SLの84%に相当する、即ち、h5 = 4mm、S5 = 10.3mmである。第6の閾値S6は、実質的に閾値SLの100%に相当する、即ち、h6 = 2mm、S1 = 12.3mmである。
【0059】
個々の閾値はタイヤ寿命の種々の段階に相当し、各段階において、磨耗をトレッド全体に亘って分布させ、ひいてはタイヤの寿命を増進させるように様々な作用に対処しなければならない。したがって、閾値S2は、同一の車軸のタイヤを交換することができる磨耗に相当する。閾値S4は、タイヤを返却することができる磨耗に相当する。閾値S5は、タイヤを再溝付け加工して、特に水分散に関してのタイヤ性能を再生させることができる磨耗に相当する。
【0060】
第1の実施態様と同様に、空洞20A〜20F、この場合、音響空洞20A〜20Fの群は、各閾値S1〜S6を越えると、音響空洞20A〜20F、この場合、音響空洞20A〜20Fの群(1以上)をタイヤ10上で円周方向に等分布するように配列する。
さらに、閾値S1と関連する各空洞20Aは閾値S2〜S6とも関連し、各空洞20Bは閾値S2〜S6と関連し、各空洞20Cは閾値S3〜S6とも関連し、各空洞20Dは閾値S4〜S6とも関連し、各空洞20Eは閾値S5〜S6とも関連し、各空洞20Fは閾値S6とのみ関連する。
【0061】
図10には、新品状態において3.03mの回転円周を示す第2の実施態様のタイヤ10において、各閾値S1〜S6とそれぞれ関連する空洞が発するノイズにおけるFTUSが位置する6つの周波数バンドB1 = [5Hz;8Hz]、B2 = [11Hz、16Hz]、B3 = [22Hz;33Hz]、B4 = [44Hz;66Hz]、B5 = [88Hz;132Hz]およびB6 = [176Hz;264 Hz]を示している。上記算出したように、k1=k2=k3=k4=k5=k6=2であり、結果として、最低値kminは2に等しい。各閾値S1〜S6に対して、空洞20A〜20Fが発した音響フットプリントノイズSFTが検知される。タイヤ10が発するノイズに関連する閾値S1を明確な方法で識別するには、ノイズを検知するための速度Vを、Vmax ≦ kmin.Vminを満たすように、間隔 l=]Vmin;Vmax]=]60km/h;90km/h]に限定する。この場合、バンドB1〜B6がばらばらになり、音響フットプリントノイズに基づいて判定したFTUSの値において、相当するノイズを発生させる空洞20A〜20Fが明確に識別される。
【0062】
6つの周波数バンドB1 = [3Hz;8Hz]、B2 = [5 Hz;16Hz]、B3 = [11Hz;33 Hz]、B4 = [22Hz;66Hz]、B5 = [44Hz;132Hz]およびB6 = [88Hz;264 Hz]を、図11に示している。この場合、ノイズを検知する速度間隔Vは、l=]Vmin;Vmax] = ]50km/時;130km/時]であり、Vmax ≦ kmin.Vminを満たさない。バンドB1〜B6は、相互重なり間隔[5Hz;8Hz]、[11Hz;16Hz]、[22Hz;33Hz]、[44Hz;66Hz]および[88Hz;132 Hz]を示し、これらの重なり間隔の値FTUSに対して対応するノイズは空洞によって発生するが、どの空洞がそのノイズを発生させているのかを識別することはできない。
【0063】
図12A〜12Bには、2つの磨耗閾値を含む本発明に従うタイヤの第3の実施態様が示されている。先の図面において示した要素と同様の要素は、同一の参照符号によって示している。
上記各実施態様とは対照的に、音響空洞20A、20Bの群数は、タイヤ10の磨耗によって減少している。2つの連続閾値Si、Si-1とそれぞれ関連する空洞の群数NEi、NEi-1は、i ∈ [2、M]においてNEi-1>NEiを満たす、ここでMは半径方向磨耗の所定の閾値の総数であり、閾値SiはSi-1よりも大きい。従って、i ∈ [2、M]の各値において、NEi-1/NEi >1であることから、ki=NEi-1/NEiが得られている。そのようなタイヤは、“下行”ソニックパターンを有するタイヤと称する。この実施態様においては、k1=NE1/NE2=N1/N2 =2である。
【0064】
第1の実施態様とは対照的に、第2閾値S2に関連する各音響空洞20Bは、第1閾値S1とも関連する。また、一部の第1閾値S1に関連する音響空洞20Aのみが、第2閾値S2とも関連する。
図13には、新品状態において1.93mの回転円周を示す第3の実施態様のタイヤ10において各閾値S1、S2とそれぞれ関連する空洞が発するノイズにおいてFTUSが位置する2つの周波数帯域B1 = [101Hz;159Hz]およびB2 = [50Hz;79Hz]を示している。上記で算出したように、k1=NE1/NE2=N1/N2 = 2であり、結果として、i ∈ [2、M]におけるkiの値の最低値kminは2に等しい。従って、間隔l=]Vmin;Vmax]=]70km/時、110km/時]は、Vmax ≦ kmin.Vminを満たす。帯域B1、B2はばらばらになり、音響フットプリントノイズに基づいて判定したFTUSの値において、相当するノイズを発生させる空洞20Aまたは20Bを明確に識別される。
【0065】
図14には、2つのバンドB1 = [72Hz;187Hz]およびB2 = [36Hz;94Hz]が示されている。この場合、ノイズを検知する速度間隔Vは、l=]Vmin;Vmax] = ]50km/h;130km/h]であり、Vmax ≦ kmin.Vminを満たさない。バンドB1、B2は、[72 Hz;94 Hz]によって特徴付けられる重なり間隔を示し、この重なり間隔の値FTUSにおいては、対応するノイズは空洞20Aまたは20Bによって発生するが、どの空洞がそのノイズを発生させているのかを識別することはできない。
【0066】
本発明は、上述した実施態様に限定されない。
さらに、トレッドは、2本よりも多い溝を、従って、実質的に軸方向に配列された、即ち、同じアジマスを示す2つよりも多い空洞を含む空洞群を含み得る。
また、上記トレッドは、1本の溝を含み得る。従って、各空洞は、セルで形成されている。
【0067】
トレッドが数本の溝を含み、かつ、各ソニックセルは単一の空洞を含むことができ、2つの円周方向に連続する空洞が2本の異なる溝内に位置させるようにすることができる。
トレッドは、各溝内に配列された空洞を含むことができ、これらの空洞は、実質的に軸方向に配列された対であるが、チャネルによって互いに連結されない。そのような空洞は、同じ磨耗閾値または2つの異なる磨耗閾値と関連させ得る。
これら全ての例において、空洞は、変化するまたは一定の接触断面を有し、“上行”または“下行”ソニックパターンを有するタイヤと同等に良好に使用し得る。
【0068】
下行ソニックパターンを有するタイヤのさらなる例としては、下記の特徴を示す3つまたは4つの閾値を有するタイヤを使用し得る。
・NE1 = 1、NE2=2、NE3=4、NE4=8
・NE1 = 1、NE2=3、NE3=6
・NE1 = 1、NE2=2、NE3=6
・NE1 = 2、NE2=4、NE3=8
・NE1 = 2、NE2=6、NE3=12
・NE1 = 3、NE2=6、NE3=12
【0069】
上行ソニックパターンを有するタイヤのさらなる例としては、下記の特徴を示す3つまたは4つの閾値を有するタイヤを使用し得る。
NE1 = 8、NE2=4、NE3=2、NE4=1
NE1 = 9、NE2=3、NE3=1
NE1 = 12、NE2=6、NE3=2
【符号の説明】
【0070】
10 タイヤ
11 地面
12 トレッド
14 彫刻
16 溝
SL 法定磨耗閾値
18、18A〜18F リブ
19A、19B セル
20A〜20F 空洞
21A、21B 横方向チャネル
22 回転方向
24 接触領域
26 閉鎖空洞
28 上流開放空洞
30 下流開放空洞
SFT 周波数スペクトル
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの磨耗の検知方法に関する。本発明は、特に、任意のタイプの車両、乗用車または重量物運搬車用のタイヤに適用するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
タイヤが地面上を回転するとき、地面と接触するそのトレッドは、摩擦によって磨耗する。磨耗をモニターし、過度に著しい磨耗を検知するのを容易にするために、タイヤは、複数の磨耗ゲージ、特に、音響ゲージを備えていて、使用者が種々の磨耗レベルを検知するのを可能にしている。
【0003】
閾値毎に、各音響磨耗ゲージは、音響フットプリントノイズ(acoustic footprint noise)、または顕著な特性、特に、周波数特性を示す音響フットプリントを発生させる。これらの周波数特性は、とりわけ、磨耗ゲージ数、これらゲージの取付け形状、タイヤの回転速度またはタイヤの寸法を含むパラメーターに依存する。従って、これらのパラメーターのある種の値においては、幾つかの閾値と関連する各ゲージの特徴的ノイズの特性は同一であって、どの磨耗閾値に到達しているのかを判断するのは不可能である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、到達した磨耗閾値を明確な形で認識することを可能にする方法を提供することである。
この目的において、本発明の主題は、トレッドを含むタイヤの磨耗の検知、及び半径方向磨耗の少なくとも2つの所定の閾値を示す方法であって、
各閾値Siを越えると、トレッドは、NEi群の閾値Siと関連する少なくとも1つのいわゆる“音響(sonic)”空洞を含むようになっており、各群の各空洞は、その群の他の空洞と互いに実質的に軸方向に配列されており、
各閾値Siにおいては、 Mが放射状磨耗の所定の閾値の総数である場合に、kminは、i ∈ [2、M]におけるkiの値の最低値であり、kiは、
i ∈ [2、M]の値において、NEi/NEi-1 >1である場合は、ki=NEi/NEi-1、
i ∈ [2、M]の値において、NE i-1/NEi >1である場合は、ki=NEi-1/NEi、であり、
各閾値において、この閾値と関連する単数または複数の音響空洞が発する音響フットプリントノイズを速度Vにおいて検知し、
音響フットプリントノイズを検知する速度Vの値は、Vmax < kmin.Vmin.を満たす、間隔l=]Vmin;Vmax]に制限されている。
【0005】
本発明に従う方法によれば、上述したパラメーターのどのような値であろうとも、タイヤの使用者に警告し、到達した磨耗閾値を認識することを可能にする。
本出願においては、各群の音響フットプリントノイズは、各群の音響特徴である。また、このノイズは、各群の音響フットプリントであるとみなし得る。
【0006】
実際、各閾値と関連する単数または複数の音響空洞が発するノイズは、特に、空洞数が各閾値とさらにこれら空洞の分布と関連するため、この閾値の特性である。そのような方法においては、各閾値と関連する音響空洞の群数は、他の閾値と関連する音響空洞の群数と異なることが絶対的である。間隔Iにおいては、2つの異なる閾値のノイズの特性、特に、周波数特性は、同一ではないだろう。従って、1つの磨耗閾値は、ノイズの特性、特に、周波数特性の各値と関連している。例えば、Vminを決定し、kminを知った時点で、Vmaxを決定し、これにより、Iを明確な検知のために決定することができる。逆に、Vmaxを決定し、kminを知った時点で、Vminを決定し、これにより、Iを明確な検知のために決定することが可能である。従って、間隔I内にあるVのいずれの値においても、到達した磨耗閾値を明確な方法で認識することが可能である。従って、プロセッシングユニットによって、各磨耗閾値の到達を識別することが可能である。
【0007】
閾値と関連する各空洞は、これらの空洞に音響特性を付与する特定の形状を示す、即ち、これらの空洞は、磨耗タイヤの回転中に特徴的ノイズを生じる。
各閾値と関連する各空洞においては、この特徴的ノイズは、タイヤが相応する閾値を越えて磨耗したときにのみ発生する。従って、1つの閾値と関連する各空洞は、この閾値を越える磨耗の音響ゲージを形成する。
【0008】
従って、運転者は、タイヤの表面状態を目視によってまた定期的に点検しなかったとしても、回転中に特徴的ヒス音(hiss)を聞いたときに、各閾値の超過を知らされる。
好ましくは、プロセッシングユニットおよび1個以上のマイクロホンを回転ノイズの検知のために使用し、プロセッシングユニットと連結され、回転ノイズ中のヒス音を検知し、運転者にタイヤの磨耗を知らせることができる。
速度なる用語は、上記タイヤを装着した車両の速度に実質的に等しいタイヤの回転の直線速度を意味するものと理解されたい。
【0009】
有利には、音響フットプリントノイズは、好ましくはくし型関数(Dirac comb)の少なくとも1部を構成する、音響フットプリントの数種の基本周波数成分を含む。音響フットプリントノイズの基本周波数成分は、空洞が発するノイズの特性である。従って、タイヤの各磨耗閾値に達したとき、ゲージが発する音響フットプリントノイズは、周波数状に分布した数種の基本周波数成分を含む。さらにまた、そのような音響フットプリントノイズは、固有的であり、従って、検知するのが容易である基本周波数成分の顕著なくし状パターンを示す。
【0010】
この方法の他の任意選択的特徴によれば、以下のとおりである。
音響フットプリントノイズの各基本周波数成分は、音響フットプリントノイズの少なくとも1つの隣接基本周波数成分から、固有の閾値と関連する参照周波数間隔内にある周波数ギャップによって隔たっている。各閾値において、参照周波数間隔は、この閾値の特性である。従って、磨耗閾値に達したとき、この閾値と関連する空洞が発する音響フットプリントノイズは、所定のパターンに従って周波数状に分布した数種の基本周波数成分を含む。上記所定の参照周波数間隔は、各磨耗閾値と関連するノイズの基本周波数成分を隔て得る周波数ギャップの群に相当する。従って、この参照周波数間隔は、各異なる磨耗閾値と関連するノイズの2つの基本周波数成分を隔て得る全ての周波数ギャップを包含する。従って、この間隔Iにおいては、ノイズの2つの基本周波数成分を隔てている周波数ギャップは、1つの磨耗閾値と関連する。
【0011】
この所定の参照周波数間隔は、1Hzと300Hzの間にある。この周波数間隔は、空洞が発するノイズの基本周波数成分を隔てる性向を有する周波数ギャップを含む。この参照周波数間隔は、例えば、タイヤの寸法などの、入力または修正する必要が望まれないパラメーターの極値を考慮することによって決定する。従って、乗用車においては、速度が10km/時と130km/時の間で変化し、ゲージ数が1個と20個の間で変動し、かつ、円周が1.30mと3.0mの間で変動するのに対して、空洞が発するノイズの基本周波数成分の周波数ギャップは、1Hzと約300Hzの間にある間隔に属する。同様な周波数範囲は、90km/時未満の速度で走行し、最大で32個のゲージを有し且つ2.1mと3.7mの間で変動する円周を有するタイヤを装着した重量物運搬車においても有効である。
【0012】
1つの実施態様においては、各群は、1つの音響空洞からなる。
他の実施態様においては、各群は、互いに実質的に軸方向に配列された少なくとも2つの空洞を含む。
この実施態様においては、1つの閾値と関連する群の空洞は、同じ閾値と関連する群のもう1つの空洞の方位角(アジマス)と実質的に同じ方位角(アジマス)を示す。従って、これらの空洞は、同時音響性である。
他の実施態様においては、2つの軸方向に配列された空洞は、2つの異なる閾値と関連する。この場合、上記2つの空洞は、同じ群の1部を構成しない。
【0013】
必要に応じて、各閾値と関連する音響空洞の群は、各閾値を越えると、各閾値と関連する音響空洞の群がタイヤ上で円周方向に等分布するように配列される。
“円周方向に等分布”なる表現は、所定の閾値と関連する空洞の各群が、この群と隣接している空洞の2つの群から実質的に同じ空間距離に位置することを意味するものと理解されたい。単一の群を所定の閾値と関連させる場合、この単一群も円周方向に等分布させる。実際、この場合、各隣接する群は、この同じ群によって形成される。
【0014】
さらに、全ての場合において、空洞の群は閾値に達したとしても、タイヤのトレッドの周りに円周方向に等分布しているので、各閾値を超えて発出するノイズの特性は固有であり且つ顕著である。従って、タイヤが発するノイズは、タイヤの回転音、風、エンジン音、または関連する動力伝達装置音の中で容易に検知可能である。実際、各閾値を越えて発出されるノイズは、周波数領域においては、上述した全ての擬似音の中で容易に認識し得る特徴的くし型関数の形を示す。
空洞は、トレッドの周りで円周方向に等分布させながら、互いに対して軸方向にオフセットさせ得る。
【0015】
任意選択的方法においては、各閾値を越えると、各音響空洞は、タイヤの半径方向外側に現れ、各音響空洞がタイヤの地面との接触領域を通過するときに、地面によって実質的に密封状態で閉鎖されるようになっている。
実際、各空洞は地面によって実質的に密封状態で閉鎖されるようになっているので、各空洞は、タイヤの地面との接触領域を通過するときに、空気を一時的に閉じ込める。その時、接触領域でのタイヤの変形の作用下に、空洞内に閉じ込められたこの空気は、圧縮し、その後、トレッドがタイヤの後部において地面との接触を失くし、結果として空洞が開いたときに接触領域を抜けた時点で、激しく膨張する。
【0016】
空気のこの膨張は、数ミリ秒程度持続し、特に空洞の形状および体積に依存するヒスまたはポンピング音とも称する特定のノイズを発生させる。
このヒス現象は空気が空洞内で圧縮されその後空洞から抜け出ることによって膨張するときにのみ出現することを考慮すれば、この空洞が上記接触領域を通過するときに地面によって実質的に密封状態で閉鎖されることが重要である。実際、上部が地面によって覆われるが、さらに、外部空気と流体連結している横方向チャネルを含む空洞は、この空洞が含む空気が圧縮され得ないので、音響空洞を形成しない。これは、特に、個々の空洞が相互に且つ外部空気と連通しているチャネルのネットワークによって一般に形成されている従来技術のタイヤのトレッドの模様に関する場合に当たる。
【0017】
同様に、その寸法が上記接触領域を通過するときに地面によって全体的に覆われ得るには大き過ぎる空洞、例えば、その長さが接触領域の長さよりも大きい空洞は、本発明の意味の範囲内の音響空洞を形成し得ない。
【0018】
1つの実施態様においては、Kmin = 2である。
本発明の任意選択的特徴によれば、間隔Iは、km/h単位で、以下の速度間隔の中から選ばれる:]50;100]、]60;120]および]65;130]。
必要に応じて、タイヤは、
タイヤが新品であるとき、所定の深さを有する少なくとも1本の円周方向の溝と、
タイヤが新品であるとき、溝の所定の深さと所定の磨耗閾値の1つとの差に実質的に等しい所定の高さを有する溝の底に横方向に形成された少なくとも2つのリブと、を含み、
2つのリブを隔てている距離は、所定の距離よりも小さく、その結果、半径方向磨耗の所定の閾値の1つまたは各々を超えると、溝によって形成され、かつ、2つのリブによって定まる空洞は音響空洞である。
【0019】
空洞を溝内に配置することによって、空洞が発するノイズは、トレッド内の別の場所に配置されるソニック磨耗ゲージに対して増幅される。また、発されたノイズは、各空洞が接触領域を通過した時点のタイヤと地面によって形成される形状によっても増幅される。形状作用によるこの増幅は、各音響空洞を、好ましくは、タイヤの接触領域の中心部に軸方向に配置したときに最高となる。
接触領域の中心部分なる表現は、公称荷重および圧力条件下においてこの接触領域の幅の実質的に半分に亘って軸方向に延びており、タイヤの中心正中面に対して中心にある接触領域の区域を意味することを意図する。
【0020】
いわゆる“下行”ソニックパターンを有する1つの実施態様においては、i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi/NEi-1 >1である。
つまり、音響空洞の群の数NEiは、タイヤの磨耗とともに増大する。
この実施態様においては、群の数を、ひいては空洞数を増大させることによって、空洞の総体積を各閾値において増大させ得る。空洞が発するノイズの検知は、その場合、タイヤが磨耗したときに、より容易であることに注目されたい。
【0021】
この実施態様の変形においては、所定の閾値と関連する各空洞は、この所定の閾値よりも高い閾値とも関連する。これにより、各閾値において出現する空洞の数を最低限にすることができる。従って、タイヤの性能、特に、流体力学性能に対する空洞の影響は、最小限となる。従って、所定の閾値と関連する各空洞は、この所定の閾値よりも高い全ての閾値とも関連する。この特性は、最高の閾値の空洞には明らかに当てはまらない。
【0022】
この実施態様のもう1つの変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、この所定の閾値よりも低い閾値と関連する音響空洞を何ら含まない。従って、所定の閾値に達したとき、この所定の閾値よりも低い閾値と関連する空洞は、音響空洞であることを停止する。つまり、空洞の各群は、単一の磨耗閾値と厳密に関連する。
【0023】
他の変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、所定の閾値よりも低い閾値と関連する音響空洞の一部および所定の閾値を越えて出現する音響空洞を含む。従って、より低い閾値と関連するいくつかの音響空洞は、所定の閾値と関連する音響空洞でもある。
【0024】
いわゆる“上行”ソニックパターンを有するもう1つの実施態様においては、i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi-1/NEi >1である。
つまり、音響空洞の群の数NEiは、タイヤの磨耗とともに減少する。
【0025】
音響空洞は、これら空洞を溝内に配列させたとき、このような音響空洞の無いタイヤと比べて、タイヤの性能を、特に溝による水の分散に関して悪化させ得る。この水分散性能の悪化が大きいほど、なお一層タイヤの磨耗を進行させる。従って、音響空洞の群数を、ひいては音響空洞の数をタイヤの磨耗の進行とともに減じることによって、音響空洞によって発生する性能の潜在的喪失を抑制する。一方で、空洞の総体積を十分に大きいように、特に、空洞の総体積を所定の最小体積よりも大きいように、十分な数の空洞を設けることが好ましい。
【0026】
この実施態様の変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、もはや音響空洞ではなく、いいかえると、所定の閾値よりも高い閾値を越えると消失する。従って、所定の閾値よりも高い閾値と関連する音響空洞は、単に、所定の閾値よりも高い閾値を越えて現れる空洞である。つまり、各空洞は、単一の磨耗閾値と厳密に関連する。
この実施態様のもう1つの変形においては、所定の閾値と関連する音響空洞は、所定の閾値よりも低い閾値と関連する音響空洞の一部を含む。
【0027】
また、本発明の主題は、コンピュータで実行するときに、上記で定義しているような方法の各工程の実効を制御するためのコードインストラクションを含むことを特徴とするコンピュータプログラムでもある。
さらにまた、本発明の主題は、記録した形で、上記で定義したようなプログラムを含むデータ記録用媒体でもある。
本発明のもう1つの主題は、上記で定義したようなプログラムの、そのダウンロードを目的とする電気通信網での利用可能化である。
【0028】
本発明は、非限定的な実施例として単に示す以下の説明を、添付図面を参照しながら読取ることでより良好に理解し得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有する新品タイヤのトレッドの図である。
【図2】第1の磨耗閾値を越えて磨耗した、図1に示すタイヤのトレッドの図である。
【図3】第2の磨耗閾値を越えて磨耗した、図1に示すタイヤのトレッドの図である。
【図4】図3に示すタイヤのトレッドの半径方向断面に従う図である。
【図5】図3のタイヤの各空洞の音響フットプリントノイズの周波数スペクトルを示す。
【図6A】図1〜3のタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図6B】図1〜3のタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図7】図1〜3並びに6A及び6Bのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれ空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【図8】図1〜3並びに6A及び6Bのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれ空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【図9A】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9B】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9C】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9D】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9E】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図9F】第2の実施態様に従う“下行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【0030】
【図10】図9A〜9Fのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれの空洞が発するノイズの周波数帯域を示す。
【図11】図9A〜9Fのタイヤのそれぞれの閾値に関連するそれぞれの空洞が発するノイズの周波数帯域を示す。
【図12A】第3の実施態様に従う“上行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図12B】第3の実施態様に従う“上行”ソニックパターンを有するタイヤの音響空洞群の分布を概略的に示す。
【図13】図12Aおよび12Bのタイヤの個々の閾値に関連する個々の空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【図14】図12Aおよび12Bのタイヤの個々の閾値に関連する個々の空洞が発するノイズの周波数バンドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1においては、本発明の第1の実施態様に従う全体参照符号10で示すタイヤの1部を示している。タイヤ10は、乗用車のためのものである。タイヤ10は、軸を中心として実質的に軸対称である。
タイヤ10は、実質的に円筒形のトレッド12を含み、その外表面は模様14を備えている。特に、トレッド12は、タイヤの表面内で切り抜かれ、タイヤ10が新品であるときは所定の深さHを有する2本の円周方向の平行な溝16を含む。これらの溝16の深さHは8mm程度であり、その幅は10mm程度である。
タイヤ10は、タイヤにおける法定磨耗閾値SLを示す目視可能な磨耗ゲージ(図示せず)を含む。閾値SLに相当する各溝の深さは1.6mmに定められており、従って、閾値SL =6.4mmに相当する。
【0032】
タイヤのトレッド12は、溝16に対して横方向に、溝16の底部に形成された1群のリブ18を含む。1群のリブは2つのタイプのリブ18A、18Bを含み、各々、タイヤにおける少なくとも1つの所定の磨耗閾値S1、S2に相当する。各リブ18A、18Bは、それぞれ、タイヤが新品であるときは第1および第2の所定の高さh1、h2を示す。タイプ18Aの各リブは閾値S1およびS2と関連し、そして、タイプ18Bの各リブは固有閾値S2と関連するように、h1 > h2およびS2 > S1である。第1閾値S1は、閾値SLの実質的に90%に相当する、即ち、h1 = 2.5mmおよびS1 = 5.5mmである。第2の閾値S2は、上記閾値SLの実質的に100%に相当する、即ち、h2 = 1.6mmおよびS2 = 6.4mmである。閾値S1、S2は、図6A〜6Bに図式的に示している。図6Aは、第1磨耗閾値S1に達しているが第2磨耗閾値S2にはまだ達していないタイヤ10を示している。図6Bは、第2磨耗閾値S2に達しているタイヤ10を示している。
【0033】
従って、この実施態様においては、第1閾値S1は、この閾値を越えるとタイヤが降雨舗装道路上で劣化し得る可能性がある性能を示す磨耗に相当する。一方、第2閾値S2は、この閾値を越えるとタイヤがもはや法的必要条件に適合しない磨耗に相当する。
【0034】
同じタイプの2つのリブを隔てている距離は、20〜30mm程度である。溝16と2つの近隣リブ18A、18Bによって形成されている体積は、それぞれ、各円周方向溝16内に配列されたセル19A、19Bを形成する。各対のセル19A、19Bの各セル19A、19Bは、対の他のセルと横方向チャネル21A、21Bによって連結されている。セル19Aの各対とチャネル21Aは、タイヤ10の半径方向外側に出現する空洞20Aからなる1群を形成している。同様に、セル19Bの各対とチャネル21Bは、タイヤ10の半径方向外側に出現する空洞20Bからなる1群を形成している。図6A〜6Bにおいて、空洞20A、20Bは、点線によって概略的に示している。これらの点線は、概略的に示す半径方向部分を半径方向に延びており、それらの閾値間では、対応する空洞は音響空洞ある。
【0035】
タイヤが新品であるときは、図1に示しているように、リブ18A、18Bの高さは、各空洞20A、20Bが、リブ18A、18Bの上に、即ち、リブ18A、18Bの頂部に位置する流体連通通路を含むように、溝16の深さよりも低い。従って、トレッドが平らで平滑な地面11と接触している場合でさえも、地面11は、リブの上部が地面11と接触していないので、空洞20A、20Bを完全には閉塞しない。この場合、それぞれの空洞20A、20Bは、リブ頂部とこれらの空洞を覆う地面11によって定まる収縮チャネルによって流体連通している。
【0036】
図2には、閾値S1を越えて磨耗した図1のタイヤ10を示す。つまり、何キロメートルも回転し、そのトレッド12が何ミリメートルも喪失するまで次第に摩滅してしまったタイヤである。また、このタイヤ10は、図6Aにおいても概略的に示しており、閾値S1を越えると、タイヤ10は、各々が空洞20AからなるNE1 = 5群を含むことが分かる。従って、NE1 = N1 = 5が得られている。タイヤの回転中、各空洞20Aは、回転しているタイヤの視点からは、トレッド12上で円周方向に等分布して、各空洞20Aが、タイヤが実質的に一定速度で回転するときに、周期的に地面と接触するようにしている。
【0037】
この場合、図2に示すタイヤ10のトレッド12の磨耗は、6mm、即ち、閾値S1よりも大きい、つまり、タイヤ10が新品であるときに、リブ18Aの上部をトレッド12の表面から隔てている距離よりも大きい。S1よりも大きい磨耗を考慮すると、リブ18Aの上部は、トレッド12の表面と同じレベルにある。従って、各空洞20Aの開口はトレッド12上に形成された実質的に平らな輪郭によって形成され、空洞20Aは、他の空洞からは区別でき、離れている。
【0038】
このタイヤの磨耗は、閾値S2よりも小さい、つまり、タイヤ10が新品であるときに、リブ18Bの上部をトレッド12の表面から隔てている距離よりも小さい。リブ18Bの上部は、磨耗のこの岐路でのトレッドのレベルよりも低いレベルにある。
閾値S1を越えると、各空洞20Aは、高さh1よりも低い深さを示す。この場合、上記深さは、2.5mmよりも低く、6mmの磨耗においては2mmに等しい。その場合、各リブ18Aの高さは、各空洞18Aの深さに等しい。この高さまたは深さは、各溝16の深さとタイヤ10の磨耗との差に等しい。
【0039】
各空洞20Aの開口は実質的に平らな輪郭によって形成されているので、開口は、回転中に、平滑で平らな地面によって完全に且つ密封状に閉塞し得る。つまり、タイヤ10が閾値S1を越えて磨耗したときは、各空洞20Aは、タイヤ10の地面との接触領域を通過するとき、実質的に漏れ止めの形で地面によって閉塞されるように工夫されている。閾値S1とS2の間では、各空洞20Bは、各リブ18Bの上部と地面11によって定まる収縮チャネルのために、漏れ止めの形で地面によって閉塞されることはない。
【0040】
図3には、閾値S2を越えて磨耗した図1および2のタイヤ10を示している。また、このタイヤ10は、図6Bにおいても概略的に示されており、閾値S2を越えると、タイヤ10は各々が空洞20BからなるNE2 = 10群を含むことが分かる。従って、NE2 = N2 = 10が得られる。
【0041】
この場合、図3に示すように、タイヤ10のトレッド12の磨耗は、7mm、即ち、閾値S2よりも、さらに、閾値S1よりも大きい、つまり、タイヤ10が新品であるときに、リブ18Bの上部をトレッド12の表面から隔てている距離よりも大きい。S2よりも大きい磨耗を考慮すると、リブ18Bの上部、さらに、リブ18Aの上部は、トレッド12の表面と同じレベルにある。従って、各空洞20Bの開口はトレッド12上に形成された実質的に平らな輪郭によって形成され、空洞20Bは、他の空洞から、区別でき、離されている。各空洞20Aの開口は、閾値S1を越えているが閾値S2の前に得られた開口と比較して変化しないままである。
【0042】
閾値S2を越えると、各空洞20Bは、高さh2よりも低い深さを示す。この場合、上記深さは、1.6mmよりも低く、7mmの磨耗においては1mmに等しい。その場合、各リブ18A、18Bの高さは、各空洞18A、18Bの深さに等しい。この高さまたは深さは、各溝16の深さとタイヤ10の磨耗との差に等しい。
【0043】
各空洞20A、20Bの開口は実質的に平らな輪郭によって形成されているので、上記開口は、回転中に、平滑で平らな地面によって完全に且つ密封状に閉塞し得る。つまり、タイヤ10が閾値S2を越えて磨耗したときは、各空洞20A、20Bは、タイヤ10の地面との接触領域を通過するとき、実質的に漏れ止めの形で地面によって閉塞されるように工夫されている。
【0044】
各空洞20A、20Bは、相当する閾値S1、S2を越えると、1つの同じ空洞の2つの隣接リブ18A、18B間の円周方向の間隙に相当する20〜30ミリメートル程度の長さを示す。
【0045】
一方ではタイヤの半径方向外側に出現し、そして、他方では接触領域を通過するときに密閉状に閉鎖するようになっている、タイヤのトレッド10の表面上に形成されたそのような空洞20A、20Bは、“音響空洞”と称される。この実施態様においては、各空洞20Aは、各閾値S1、S2を越えると音響空洞であり、一方、各空洞20Bは、閾値S2を越えたときのみ音響空洞である。説明した例においては、それぞれ2つの連続閾値Si、Si-1に関連する空洞群の数NEi、NEi-1は、i ∈ [2、M]においてNEi-1<NEiを満たす、ここで、Mは放射状磨耗の所定の閾値の総数であり、閾値Siは閾値Si-1よりも多い。従って、i ∈ [2、M]の各値において、NEi/NEi-1 >1であるので、ki=NEi/NEi-1が得られている。従って、NE2>NE1であるタイヤは、“下行”ソニックパターンを有するタイヤと称する。この実施態様においては、k1=NE2/NE1 = N2/N1 = 2である。
【0046】
空洞20A、20Bは、各閾値S1、S2を越えると、音響空洞20A、20Bの各群がタイヤ10上で円周方向に等分布するように配列されている。各群は単一の空洞からなるので、従って、音響空洞20A、20Bは、タイヤ10上で円周方向に等分布される。さらに、トレッドは、各閾値S1、S2を越えると、全ての音響空洞20A、20Bが図6A〜6Bに示しているように同一であるようになっている。
【0047】
さらに、閾値S1に関連する各空洞20Aは、閾値S2にも関連する。タイヤ10においては、そのような音響空洞は、特にタイヤが新品である場合、閾値S1よりも下には存在しない。
【0048】
図4には、地面上で回転している図1〜3のタイヤと同様なタイヤの半径方向断面図を示している。寸法は、説明を明確にするために任意の形で変更している。このタイヤ10は、閾値S2を越えて磨耗している状態にあり、従って、音響空洞20A、20Bの群を含む。
地面上で回転しているタイヤ10の回転方向は、矢印22で示している。ある瞬間に、タイヤ10のトレッド12の一部は地面と接触する。この接触部分は、接触領域24と称する。トレッド12は、各音響空洞20A、20Bが、タイヤ10の地面11との接触領域24を通過するとき、タイヤ10の磨耗の関数としての定数である接触断面を示すようになっている。
【0049】
図4に示す例においては、接触領域24は、半径方向外側の開口が地面11によって覆われている音響空洞26を含む。従って、この音響空洞26は、密閉状に閉鎖されている。また、タイヤの接触領域12は、閉鎖空洞26の上流に位置する音響空洞28も含み、この空洞28は、その開口が接触領域内に入ってなく、従って、地面によって覆われていないので開いている。タイヤの矢印22で示す方向での回転中に、開放空洞28は、その開口が地面11によって閉塞されるまで接触領域24に向って進行する。
【0050】
最後に、タイヤ10のトレッド12は、タイヤ10の回転方向に対して閉鎖空洞26の下流に位置する空洞30も含む。図4に示す例においては、例示した下流空洞30は、地面11がその開口と接触していないので開いている。前の瞬間においては、この空洞30は、タイヤの地面11との接触領域24の区域内に位置していたので閉鎖されていた。
従って、タイヤの回転する過程において、所定の音響空洞は、その空洞が開いている上流位置28、その後の、その空洞が地面によって覆われているので閉いている接触領域24内にある位置26、最後に、その後の、その空洞が地面によってもはや覆われていない再度の開放位置30を連続して占める。
【0051】
つまり、タイヤの回転は、所定の空洞において、空洞内への空気の取込み、空洞が接触領域24内で地面によって閉鎖されているときの空洞内に含まれる空気の圧縮、およびその後のトレッドの地面からの分離による空洞の開放中の空洞内に含まれた空気の膨張を生じさせる。
この連続の取込み/圧縮/膨張過程は、空洞内に含まれた圧縮空気の膨張から得られるヒス音またはポンピング音とも称する特徴的ノイズをもたらす。このノイズの振幅および周波数特徴は、特に、使用する音響空洞の形状、体積および数に依存する。好ましくは、空洞を、このノイズが自動車の使用者により或いは電子機器により検知可能であるように工夫する。
【0052】
図5には、図3において見ることができる第2閾値S2と関連する空洞が発するノイズの周波数スペクトルSFTを示している。空洞20Bが発する音響フットプリントノイズのシグナルは、例えば、マイクロホンによって捕捉し得る。シグナルにフーリエ変換を適用して、生の周波数スペクトルを得るようにする。次に、この生周波数スペクトルの処理、特に、フィルター処理する工程の後、フィルター処理周波数スペクトルを得る。複数の基本周波数成分P1〜P8を含む図5に示すノイズの周波数スペクトルSFTは、このようにして得られる。スペクトルは、等分布基本周波数成分に特徴を有するくし型関数の形をとる。各基本周波数成分は、隣接の周波数成分から、実質的に一定の周波数ギャップFTUSによって隔たっている。この場合、FTUS = 120Hzである。
【0053】
磨耗ゲージ数、これらゲージの配置形状、タイヤの回転速度或いはタイヤの寸法のようなパラメーターは、周波数FTUSが属する傾向にある参照周波数間隔IRを特徴付ける。乗用車タイヤの範囲においては、その円周は1.3mと3mの間で変動し得、そのゲージ数は1乃至10の間で変動し得、車両の速度は10km/時と130km/時の間で変動し得、周波数FTUSは1Hz乃至278Hzの間にある間隔IR内で変動し得る。重量物運搬車タイプのタイヤにおいては、間隔IRは同様である。
【0054】
図7には、新品状態において1.93mの回転円周を示す図1〜3のタイヤ10において各閾値S1、S2とそれぞれ関連する空洞が発するノイズにおけるFTUSが位置する2つの周波数バンドB1 = [50Hz;79Hz]およびB2 = [101Hz;159Hz]を示している。上記算出したように、k1=NE2/NE1=N2/N1 = 2であり、結果として、i ∈ [2、M]における値kiの最低値kminは2に等しい。各閾値S1、S2において、空洞20Aおよび20Bが発した音響フットプリントノイズSFTを検知する。タイヤ10が発するノイズに関連する閾値S1を明確な方法で識別するには、ノイズを検知するための速度Vを、Vmax ≦ kmin.Vminを満たす、間隔 l=]Vmin、Vmax]=]70km/時、110km/時]に限定する。この場合、バンドB1、B2がばらばらになり、上記音響フットプリントノイズに基づいて判定したFTUSの値において、相当するノイズを発生させる空洞20Aまたは20Bを明確な方法で識別する。
【0055】
図8には、2つのバンドB1 = [36Hz;94Hz]およびB2 = [72Hz;187Hz]が示されている。この場合、ノイズを検知する速度間隔Vは、l=]Vmin;Vmax] = ]50km/時;130km/時]であり、Vmax ≦ kmin.Vminを満たさない。バンドB1、B2は重なり間隔[72 Hz;94 Hz]を示し、この重なり間隔の値FTUSにおいては、相当するノイズは空洞20Aまたは20Bによって発生するが、どの空洞がそのノイズを発生させているのかを識別することは可能ではない。
【0056】
第2の実施態様に従うタイヤは、図9A〜9Fに示している。タイヤ10は、重量物運搬タイプの車両を意図する。先の図面において示した要素と同様の要素は、同一の参照符号によって示している。
第1の実施態様とは対照的に、第2の実施態様に従うタイヤ10は、NE1=N1=2、NE2=N2=1、NE3=N3=4、NE4=N4=8、NE5=N5=16およびNE6=N6=32、従って、以下の比 ki:k1=k2=k3=k4=k5=k6= NE2/NE1= N2/N1= NE3/NE2 = N3/N2= NE4/NE3 = N4/N3 = NE5/NE4 = N5/N4 = NE6/NE5 = N6/N5 = 2を有する6つの所定の放射状磨耗閾値S1〜S6を含む。第1の実施態様におけるように、タイヤ10は、“下行”ソニックパターンタイヤである。
【0057】
溝16の深さは、14ミリメートル程度、この場合、14.3mmである。閾値SLに相当する各溝の深さは、2mmに固定されており、それによって閾値SL = 12.3mmに相当する。
【0058】
リブの群は、リブ18A、18Bに加えて、第3、第4、第5および第6のタイプのリブ18C〜18Fを含む。各リブ18C〜18Fは、それぞれ、タイヤが新品であるときに、所与の第3、第4、第5および第6の高さh3、h4、h5およびh6を示す。h1>h2>h3>h4>h5>h6、かつ、S6>S5>S4>S3>S2>S1であり、その結果、タイプ18Aの各リブは閾値S1〜S6と関連し、タイプ18Bの各リブは閾値S2〜S6と関連し、タイプ18Cの各リブは閾値S3〜S6と関連し、各リブ18Dは閾値S4〜S6と関連し、各リブ18Eは閾値S5とS6と関連し、各リブ18Fは閾値S6のみと関連する。
第1の閾値S1は、実質的に閾値SLの19%に相当する、即ち、h1 = 12mm、S1 = 2.3mmである。第2の閾値S2は、実質的に閾値SLの35%に相当する、即ち、h2 = 10mm、S2 = 4.3mmである。第3の閾値S3は、実質的に閾値SLの51%に相当する、即ち、h3 = 8mm、S3 = 6.3mmである。第4の閾値S4は、実質的に閾値SLの67%に相当する、即ち、h4 = 6mm、S4 = 8.3mmである。第5の閾値S5は、実質的に閾値SLの84%に相当する、即ち、h5 = 4mm、S5 = 10.3mmである。第6の閾値S6は、実質的に閾値SLの100%に相当する、即ち、h6 = 2mm、S1 = 12.3mmである。
【0059】
個々の閾値はタイヤ寿命の種々の段階に相当し、各段階において、磨耗をトレッド全体に亘って分布させ、ひいてはタイヤの寿命を増進させるように様々な作用に対処しなければならない。したがって、閾値S2は、同一の車軸のタイヤを交換することができる磨耗に相当する。閾値S4は、タイヤを返却することができる磨耗に相当する。閾値S5は、タイヤを再溝付け加工して、特に水分散に関してのタイヤ性能を再生させることができる磨耗に相当する。
【0060】
第1の実施態様と同様に、空洞20A〜20F、この場合、音響空洞20A〜20Fの群は、各閾値S1〜S6を越えると、音響空洞20A〜20F、この場合、音響空洞20A〜20Fの群(1以上)をタイヤ10上で円周方向に等分布するように配列する。
さらに、閾値S1と関連する各空洞20Aは閾値S2〜S6とも関連し、各空洞20Bは閾値S2〜S6と関連し、各空洞20Cは閾値S3〜S6とも関連し、各空洞20Dは閾値S4〜S6とも関連し、各空洞20Eは閾値S5〜S6とも関連し、各空洞20Fは閾値S6とのみ関連する。
【0061】
図10には、新品状態において3.03mの回転円周を示す第2の実施態様のタイヤ10において、各閾値S1〜S6とそれぞれ関連する空洞が発するノイズにおけるFTUSが位置する6つの周波数バンドB1 = [5Hz;8Hz]、B2 = [11Hz、16Hz]、B3 = [22Hz;33Hz]、B4 = [44Hz;66Hz]、B5 = [88Hz;132Hz]およびB6 = [176Hz;264 Hz]を示している。上記算出したように、k1=k2=k3=k4=k5=k6=2であり、結果として、最低値kminは2に等しい。各閾値S1〜S6に対して、空洞20A〜20Fが発した音響フットプリントノイズSFTが検知される。タイヤ10が発するノイズに関連する閾値S1を明確な方法で識別するには、ノイズを検知するための速度Vを、Vmax ≦ kmin.Vminを満たすように、間隔 l=]Vmin;Vmax]=]60km/h;90km/h]に限定する。この場合、バンドB1〜B6がばらばらになり、音響フットプリントノイズに基づいて判定したFTUSの値において、相当するノイズを発生させる空洞20A〜20Fが明確に識別される。
【0062】
6つの周波数バンドB1 = [3Hz;8Hz]、B2 = [5 Hz;16Hz]、B3 = [11Hz;33 Hz]、B4 = [22Hz;66Hz]、B5 = [44Hz;132Hz]およびB6 = [88Hz;264 Hz]を、図11に示している。この場合、ノイズを検知する速度間隔Vは、l=]Vmin;Vmax] = ]50km/時;130km/時]であり、Vmax ≦ kmin.Vminを満たさない。バンドB1〜B6は、相互重なり間隔[5Hz;8Hz]、[11Hz;16Hz]、[22Hz;33Hz]、[44Hz;66Hz]および[88Hz;132 Hz]を示し、これらの重なり間隔の値FTUSに対して対応するノイズは空洞によって発生するが、どの空洞がそのノイズを発生させているのかを識別することはできない。
【0063】
図12A〜12Bには、2つの磨耗閾値を含む本発明に従うタイヤの第3の実施態様が示されている。先の図面において示した要素と同様の要素は、同一の参照符号によって示している。
上記各実施態様とは対照的に、音響空洞20A、20Bの群数は、タイヤ10の磨耗によって減少している。2つの連続閾値Si、Si-1とそれぞれ関連する空洞の群数NEi、NEi-1は、i ∈ [2、M]においてNEi-1>NEiを満たす、ここでMは半径方向磨耗の所定の閾値の総数であり、閾値SiはSi-1よりも大きい。従って、i ∈ [2、M]の各値において、NEi-1/NEi >1であることから、ki=NEi-1/NEiが得られている。そのようなタイヤは、“下行”ソニックパターンを有するタイヤと称する。この実施態様においては、k1=NE1/NE2=N1/N2 =2である。
【0064】
第1の実施態様とは対照的に、第2閾値S2に関連する各音響空洞20Bは、第1閾値S1とも関連する。また、一部の第1閾値S1に関連する音響空洞20Aのみが、第2閾値S2とも関連する。
図13には、新品状態において1.93mの回転円周を示す第3の実施態様のタイヤ10において各閾値S1、S2とそれぞれ関連する空洞が発するノイズにおいてFTUSが位置する2つの周波数帯域B1 = [101Hz;159Hz]およびB2 = [50Hz;79Hz]を示している。上記で算出したように、k1=NE1/NE2=N1/N2 = 2であり、結果として、i ∈ [2、M]におけるkiの値の最低値kminは2に等しい。従って、間隔l=]Vmin;Vmax]=]70km/時、110km/時]は、Vmax ≦ kmin.Vminを満たす。帯域B1、B2はばらばらになり、音響フットプリントノイズに基づいて判定したFTUSの値において、相当するノイズを発生させる空洞20Aまたは20Bを明確に識別される。
【0065】
図14には、2つのバンドB1 = [72Hz;187Hz]およびB2 = [36Hz;94Hz]が示されている。この場合、ノイズを検知する速度間隔Vは、l=]Vmin;Vmax] = ]50km/h;130km/h]であり、Vmax ≦ kmin.Vminを満たさない。バンドB1、B2は、[72 Hz;94 Hz]によって特徴付けられる重なり間隔を示し、この重なり間隔の値FTUSにおいては、対応するノイズは空洞20Aまたは20Bによって発生するが、どの空洞がそのノイズを発生させているのかを識別することはできない。
【0066】
本発明は、上述した実施態様に限定されない。
さらに、トレッドは、2本よりも多い溝を、従って、実質的に軸方向に配列された、即ち、同じアジマスを示す2つよりも多い空洞を含む空洞群を含み得る。
また、上記トレッドは、1本の溝を含み得る。従って、各空洞は、セルで形成されている。
【0067】
トレッドが数本の溝を含み、かつ、各ソニックセルは単一の空洞を含むことができ、2つの円周方向に連続する空洞が2本の異なる溝内に位置させるようにすることができる。
トレッドは、各溝内に配列された空洞を含むことができ、これらの空洞は、実質的に軸方向に配列された対であるが、チャネルによって互いに連結されない。そのような空洞は、同じ磨耗閾値または2つの異なる磨耗閾値と関連させ得る。
これら全ての例において、空洞は、変化するまたは一定の接触断面を有し、“上行”または“下行”ソニックパターンを有するタイヤと同等に良好に使用し得る。
【0068】
下行ソニックパターンを有するタイヤのさらなる例としては、下記の特徴を示す3つまたは4つの閾値を有するタイヤを使用し得る。
・NE1 = 1、NE2=2、NE3=4、NE4=8
・NE1 = 1、NE2=3、NE3=6
・NE1 = 1、NE2=2、NE3=6
・NE1 = 2、NE2=4、NE3=8
・NE1 = 2、NE2=6、NE3=12
・NE1 = 3、NE2=6、NE3=12
【0069】
上行ソニックパターンを有するタイヤのさらなる例としては、下記の特徴を示す3つまたは4つの閾値を有するタイヤを使用し得る。
NE1 = 8、NE2=4、NE3=2、NE4=1
NE1 = 9、NE2=3、NE3=1
NE1 = 12、NE2=6、NE3=2
【符号の説明】
【0070】
10 タイヤ
11 地面
12 トレッド
14 彫刻
16 溝
SL 法定磨耗閾値
18、18A〜18F リブ
19A、19B セル
20A〜20F 空洞
21A、21B 横方向チャネル
22 回転方向
24 接触領域
26 閉鎖空洞
28 上流開放空洞
30 下流開放空洞
SFT 周波数スペクトル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド(12)を含み、半径方向磨耗の少なくとも2つの所定の閾値(S1〜S6)を示すタイヤ(10)の磨耗の検知方法であって、
各閾値Siを越えると、前記トレッドは、NEi群の閾値Siと関連する少なくとも1つのいわゆる「ソニック」空洞(20A〜20F)を含むようになっており、各群の各空洞(20A〜20B)は、その群の他の空洞と互いに実質的に軸方向に配列されており、
各閾値Siに対して、kminは、Mは、放射状磨耗の所定の閾値の総数である場合に、i ∈ [2、M] におけるkiの値の最低値であり、
kiは、
i ∈ [2、M]の値に対してNEi/NEi-1 >1である場合は、ki=NEi/NEi-1
i ∈ [2、M]の値に対してNE i-1/NEi >1である場合は、ki=NEi-1/NEiであり、
各閾値に対して、この閾値と関連する前記音響空洞が発する音響フットプリントノイズを速度Vにおいて検知し、
前記音響フットプリントノイズを検知する速度Vの値をVmax < kmin.Vmin.を満たす間隔l=]Vmin;Vmax]に制限することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記音響フットプリントノイズが、好ましくは、くし型関数の少なくとも一部を構成する、音響フットプリントの数種の基本周波数成分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記音響フットプリントノイズの各基本周波数成分は、前記音響フットプリントノイズの少なくとも1つの隣接基本周波数成分から、1つの閾値(S1〜S6)と関連する参照周波数間隔(I)内にある周波数ギャップ(FTUS)によって隔たっている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
所定参照周波数間隔(I)が、1Hzと300Hzの間にある、請求項3記載の方法。
【請求項5】
各群が、単一の音響空洞(20A〜20F)からなる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
各群が、互いに実質的に軸方向に配列された少なくとも2つの空洞(20A〜20F)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
各閾値(S1〜S6)と関連する音響空洞の群は、各閾値(S1〜S6)を越えると、各閾値(S1〜S6)と関連する音響空洞(1つ以上)の前記群をタイヤ(10)上で円周方向に等分布となるように配列する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
各閾値(S1〜S6)を越えると、各音響空洞(20A〜20F)は、タイヤ(10)の半径方向外側に現れ、各音響空洞がタイヤ(10)の地面(11)との接触領域(24)を通過するとき、地面(11)によって実質的に密封状態で閉鎖されるようになっている、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記タイヤが、
当該タイヤ(10)が新品である時に、所定の深さを有する少なくとも1本の円周方向の溝(16)と、
前記タイヤ(10)が新品である時に、前記溝(16)の前記所定の深さと前記所定の磨耗閾値(S1〜S6)の1つとの差に実質的に等しい所定の高さを有する溝(16)の底に横方向に形成された少なくとも2つのリブ(18A〜18F)と、
を含み、
前記2つのリブ(18A〜18F)を隔てている距離は、所定の距離よりも小さく、これにより、半径方向磨耗の前記所定の閾値の1つまたは各々を超えると、前記溝(16)によって形成され且つ前記2つのリブ(18A〜18F)によって定まる空洞(20A〜20F)が音響空洞である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi/NEi-1 >1である、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
所定の閾値と関連する各空洞が、該所定の閾値よりも高い閾値とも関連する、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi-1/NEi >1である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の方法の各工程をコンピュータで実行するときに、各工程の実行を制御するコードインストラクションを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムが記録された、データ記録用媒体。
【請求項15】
請求項13記載のプログラムの、そのダウンロードを目的とする電気通信網での利用可能化。
【請求項1】
トレッド(12)を含み、半径方向磨耗の少なくとも2つの所定の閾値(S1〜S6)を示すタイヤ(10)の磨耗の検知方法であって、
各閾値Siを越えると、前記トレッドは、NEi群の閾値Siと関連する少なくとも1つのいわゆる「ソニック」空洞(20A〜20F)を含むようになっており、各群の各空洞(20A〜20B)は、その群の他の空洞と互いに実質的に軸方向に配列されており、
各閾値Siに対して、kminは、Mは、放射状磨耗の所定の閾値の総数である場合に、i ∈ [2、M] におけるkiの値の最低値であり、
kiは、
i ∈ [2、M]の値に対してNEi/NEi-1 >1である場合は、ki=NEi/NEi-1
i ∈ [2、M]の値に対してNE i-1/NEi >1である場合は、ki=NEi-1/NEiであり、
各閾値に対して、この閾値と関連する前記音響空洞が発する音響フットプリントノイズを速度Vにおいて検知し、
前記音響フットプリントノイズを検知する速度Vの値をVmax < kmin.Vmin.を満たす間隔l=]Vmin;Vmax]に制限することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記音響フットプリントノイズが、好ましくは、くし型関数の少なくとも一部を構成する、音響フットプリントの数種の基本周波数成分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記音響フットプリントノイズの各基本周波数成分は、前記音響フットプリントノイズの少なくとも1つの隣接基本周波数成分から、1つの閾値(S1〜S6)と関連する参照周波数間隔(I)内にある周波数ギャップ(FTUS)によって隔たっている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
所定参照周波数間隔(I)が、1Hzと300Hzの間にある、請求項3記載の方法。
【請求項5】
各群が、単一の音響空洞(20A〜20F)からなる、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
各群が、互いに実質的に軸方向に配列された少なくとも2つの空洞(20A〜20F)を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
各閾値(S1〜S6)と関連する音響空洞の群は、各閾値(S1〜S6)を越えると、各閾値(S1〜S6)と関連する音響空洞(1つ以上)の前記群をタイヤ(10)上で円周方向に等分布となるように配列する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
各閾値(S1〜S6)を越えると、各音響空洞(20A〜20F)は、タイヤ(10)の半径方向外側に現れ、各音響空洞がタイヤ(10)の地面(11)との接触領域(24)を通過するとき、地面(11)によって実質的に密封状態で閉鎖されるようになっている、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記タイヤが、
当該タイヤ(10)が新品である時に、所定の深さを有する少なくとも1本の円周方向の溝(16)と、
前記タイヤ(10)が新品である時に、前記溝(16)の前記所定の深さと前記所定の磨耗閾値(S1〜S6)の1つとの差に実質的に等しい所定の高さを有する溝(16)の底に横方向に形成された少なくとも2つのリブ(18A〜18F)と、
を含み、
前記2つのリブ(18A〜18F)を隔てている距離は、所定の距離よりも小さく、これにより、半径方向磨耗の前記所定の閾値の1つまたは各々を超えると、前記溝(16)によって形成され且つ前記2つのリブ(18A〜18F)によって定まる空洞(20A〜20F)が音響空洞である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi/NEi-1 >1である、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
所定の閾値と関連する各空洞が、該所定の閾値よりも高い閾値とも関連する、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
i ∈ [2、M]のいずれの値においても、ki=NEi-1/NEi >1である、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の方法の各工程をコンピュータで実行するときに、各工程の実行を制御するコードインストラクションを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムが記録された、データ記録用媒体。
【請求項15】
請求項13記載のプログラムの、そのダウンロードを目的とする電気通信網での利用可能化。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−514226(P2013−514226A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543876(P2012−543876)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052739
【国際公開番号】WO2011/077029
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052739
【国際公開番号】WO2011/077029
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
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