説明

タイヤ水圧試験装置およびタイヤ水圧試験方法

【課題】作業性の向上を図りつつ精度の高い試験を実施する上で有利なタイヤ水圧試験装置およびタイヤ水圧試験方法を提供する。
【解決手段】上側タイヤ保持部16を退避位置に位置させた状態で、タイヤ2を水槽12内に入れてタイヤ2を水没させ、タイヤ2の内側の空気を排出させる。タイヤ回転軸を上下に向けた状態で移動させ、タイヤ2の下側のビード部202を下部タイヤ装着部14に当接させる。移動手段18により上側タイヤ保持部16を装着位置に降下させ、タイヤ2の上側のビード部202を上側タイヤ装着部16に当接させる。ポンプ装置22を動作させ、注入用管路20を介して、タイヤ2の内面46と、下側タイヤ保持部14と、上側タイヤ保持部16とによって囲まれた空間に水を注入し、タイヤ2の内圧を上昇させ、タイヤ2が破壊された時点でのタイヤ2の内圧が水圧検出器24によって検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの静的強度を試験するタイヤ水圧試験装置およびタイヤ水圧試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤの静的強度を試験する方法としてタイヤ水圧試験方法が知られている(特許文献1参照)。
すなわち、タイヤ水圧試験方法では以下の手順で行う。
まず、高い内圧に耐え得る強度を有する専用のホイールを用意する。専用のホイールには水注入用のバルブと、空気排出用のバルブとが設けられている。
専用のホイールに試験対象となるタイヤを装着し、水注入用のバルブからタイヤに水を注入すると共に、タイヤの内部に残存している空気を空気排出用のバルブから抜く。
タイヤ内に水が充填されたならば、各バルブとポンプ装置とをホースで接続し、専用のホイールが装着されたタイヤを水槽に収容された水中に投入する。
次いで、ポンプ装置によってタイヤに水を注入してタイヤの内圧を上昇させ、タイヤが破壊されたときのタイヤの内圧を検出することでタイヤの静的強度を測定する。
乗用車用のタイヤの場合、破壊されるときのタイヤの内圧は例えば2MPaであり、通常の使用時における空気圧である200kPaの10倍程度の高い圧力である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−241304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、専用のホイールは、高い内圧に耐えるために構造が大掛かりなものとなり重量が例えば数十kgとなることから、タイヤのホイールへの着脱作業や、ホイールにタイヤが装着されたタイヤ組み立て体を水槽に入れたり、あるいは、水槽から取り出したりする際の作業性が悪いものとなっている。
また、水注入用のバルブからからタイヤに水を注入することで空気排出用のバルブからタイヤに残存している空気を排出させているものの、タイヤの内部から完全に空気を排出させることは困難であり、タイヤ破壊時に検出されるタイヤの内圧の値に影響を与えることが懸念される。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、作業性の向上を図りつつ精度の高い試験を実施する上で有利なタイヤ水圧試験装置およびタイヤ水圧試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明のタイヤ水圧試験装置は、底壁と前記底壁の周囲から起立する側壁からなり内部に水が収容される水槽と、前記底壁に配置され、前記収容された水中において、タイヤ回転軸を上下に向けたタイヤの2つのビード部のうち下側に位置するビード部に水密に装着可能な下側タイヤ保持部と、前記下側タイヤ保持部の上方に配置され、前記収容された水中において、前記タイヤの2つのビード部のうち上側に位置するビード部に水密に装着可能な上側タイヤ保持部と、前記水中において前記下側タイヤ保持部に前記下側のビード部が装着され、かつ、前記水中において前記上側タイヤ保持部に前記下側のビード部が装着される装着位置と、前記上側タイヤ保持部が前記上側のビード部から離間した退避位置との間で前記上側タイヤ保持部を昇降させる移動手段と、前記上側タイヤ保持部が前記装着位置に位置した状態で、前記タイヤの内面と、前記下側タイヤ保持部と、前記上側タイヤ保持部とによって囲まれた空間に水を注入することでタイヤの内圧を上昇させる水注入手段と、前記タイヤが破壊されたときの前記タイヤの内圧を検出する内圧検出手段とを備えることを特徴とする。
また本発明のタイヤ水圧試験方法は、タイヤ回転軸を上下に向けたタイヤの2つのビード部のうち下側に位置するビード部に水密に装着可能な下側タイヤ保持部と、前記下側タイヤ保持部の上方に配置され、前記タイヤの2つのビード部のうち上側に位置するビード部に水密に装着可能な上側タイヤ保持部とを水中に設け、前記水中において前記下側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着し、かつ、前記上側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着し、このような状態で、前記タイヤの内面と、前記下側タイヤ保持部と、前記上側タイヤ保持部とによって囲まれた空間に水を注入することでタイヤの内圧を上昇させ、前記タイヤが破壊されたときの前記タイヤの内圧を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水圧試験装置および水圧試験方法によれば、水中において下側タイヤ保持部と上側タイヤ保持部とによってタイヤの上下のビード部を水密に装着させ、その状態で、タイヤの内圧を上昇させて、タイヤが破壊されたときのタイヤの内圧を検出するようにした。
したがって、タイヤ水圧試験に際しては、重量の重い専用のタイヤホイールをタイヤに装着することなく、タイヤ単体を水槽に出し入れすればよいため、作業の軽減化が図れ、作業性の向上を図る上で有利となる。
また、タイヤ単体を水中に入れる際に、タイヤの内部の空気を容易にかつ確実に排出させることができるため、水圧試験の精度を高める上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係るタイヤ水圧試験装置10の構成を示す説明図である。
【図2】上側タイヤ保持部16が装着位置に位置した状態を示す説明図である。
【図3】上側タイヤ保持部16が退避位置に位置した状態を示す説明図である。
【図4】(A)1つのノズル2002が設けられている場合の水流48Aを説明する説明図、(B)複数のノズル2002が設けられている場合の水流48Bを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態に係るタイヤ水圧試験装置10をタイヤ水圧試験方法と共に図面を参照して説明する。
図1に示すように、タイヤ水圧試験装置10は、水槽12と、下側タイヤ保持部14と、上側タイヤ保持部16と、移動手段18と、注入用管路20と、ポンプ装置22と、水圧検出器24などを含んで構成されている。
【0009】
水槽12は、底壁1202と底壁1202の周囲から起立する側壁1204からなり内部に水が収容されるものである。
側壁1204には、水槽12の外部に設けられた水供給源26から水槽12内に水を供給する給水用管路28が接続されている。
【0010】
下側タイヤ保持部14は、底壁1202に配置され、水槽12に収容された水中において、タイヤ回転軸を上下に向けたタイヤ2の2つのビード部202のうち下側に位置するビード部202に水密に装着可能に構成されている。
下側タイヤ保持部14は、下側タイヤ装着部30と、底壁1202から起立し上部で下側装着部30を支持する下部フレーム32とを含んで構成されている。
図2に示すように、下側タイヤ装着部30は、タイヤ2のビード部202のビードベース部204の全周が当接される下側円筒面3002と、下側円筒面3002の周囲で下側円筒面3002と交差する方向に延在しビード部202のクリンチ部206の全周が当接される下側環状面3004とを有し、下側円筒面3002が下側環状面3004の中央から上方に突出している。
【0011】
本実施の形態では、下側タイヤ保持部14は、サイズの異なる複数種類のタイヤ2のビード部202に装着される複数種類の下側タイヤ装着部30を有している。
複数種類の下側タイヤ装着部30は、直径の異なる複数の第1、第2、第3、第4下側円筒面3002A、3002B、3002C、3002Dが、直径が小さくなるにつれて上方に位置するように同軸上で上下に並べられて構成されている。
直径の異なる下側円筒面3002の境の箇所は、直径の小さい下側円筒面3002を構成要素とする下側タイヤ装着部30の第2、第3、第4下側環状面3004B、3004C、3004Dとして構成されている。
本実施の形態では、第1下側円筒面3002Aの下部に、この第1下側円筒面3002Aよりも大きな直径の第1下側環状面3004Aが設けられている。
すなわち、本実施の形態では、下側タイヤ保持部14は、第1乃至第4下側円筒面3002A、3002B、3002C、3002Dと、第1乃至第4下側環状面3004A、3004B、3004C、3004Dとからなる第1乃至第4下側タイヤ装着部30A、30B、30C、30Dが下方から上方に向かって並べられて構成されている。
【0012】
上側タイヤ保持部16は、下側タイヤ保持部14の上方に配置され、収容された水中において、タイヤ2の2つのビード部202のうち上側に位置するビード部202に水密に装着可能に構成されている。
上側タイヤ保持部16は、上側タイヤ装着部34と、上側装着部34に設けられ後述するピストンロッド42に取り付けられる取り付け部36とを含んで構成されている。
上側側タイヤ装着部34は、下側円筒面3002と同軸上でタイヤ2のビード部202のビードベース部204の全周が当接される上側円筒面3402と、上側円筒面3402の周囲で上側円筒面3402と交差する方向に延在しビード部202のクリンチ部206の全周が当接される上側環状面3404とを有し、上側円筒面3402が上側環状面3404の中央から下方に突出している。
【0013】
本実施の形態では、上側タイヤ保持部16は、直径の異なる複数の第1、第2、第3、第4上側円筒面3402A、3402B、3402C、3402Dが、直径が小さくなるにつれて下方に位置するように同軸上で上下に並べられて構成されている。
直径の異なる上側円筒面3402の境の箇所は、直径の小さい上側円筒面3402を構成要素とする上側タイヤ装着部34の第2、第3、第4上側環状面3404B、3404C、3404Dとして構成されている。
本実施の形態では、第1上側円筒面3402Aの上部に、この第1上側円筒面3402Aよりも大きな直径の第1上側環状面3404Aが設けられている。
この第1上側環状面3404Aを構成する部材に上記の取り付け部36が連結されている。
すなわち、本実施の形態では、上側タイヤ保持部16は、第1乃至第4上側円筒面3402A、3402B、3402C、3402Dと、第1乃至第4上側環状面3404A、3404B、3404C、3404Dとからなる第1乃至第4上側タイヤ装着部34A、34B、34C、34Dが上方から下方に向かって並べられて構成されている。
【0014】
移動手段18は、上側タイヤ保持部16を、図2に示す装着位置と、図3に示す退避位置との間で昇降させるものである。
図2に示すように、装着位置は、水中において下側タイヤ保持部14に下側のビード部202が装着され、かつ、水中において上側タイヤ保持部16に上側のビード部202が装着される位置である。
図3に示すように、退避位置は、上側タイヤ保持部16が上側のビード部202から離間した位置である。
本実施の形態では、図1に示すように、移動手段18は、水槽12の側壁1204上部に設けられたフレーム38と、このフレーム38に取着された昇降機構40とを含んで構成されている。
昇降機構40は、例えば、ピストンロッド42を鉛直下方に向けて設けられた油圧シリンダ44で構成され、ピストンロッド42の下端が前記の取り付け部36を介して上側タイヤ保持部16に連結されている。
そして、油圧シリンダ44に対して図示しない油圧源から油圧を供給することでピストンロッド42が昇降する。
【0015】
注入用管路20は、図1に示すように、後述するポンプ装置22に連結され、ポンプ装置22の吐出口から水槽12内部を通り、下部フレーム32の内側を通って下側タイヤ保持部14の上方まで設けられており、注入用管路20の先端のノズル2002は、下側タイヤ保持部14に装着されたタイヤ2の内面46に向けられている。
【0016】
ポンプ装置22は、図1に示すように、水供給源26から供給される水を加圧して注入用管路20に供給するものである。
すなわち、本実施の形態では、注入用管路20およびポンプ装置22によって、タイヤ2の内面46と、下側タイヤ保持部14と、上側タイヤ保持部16とによって囲まれた空間に水を注入することでタイヤ2の内圧を上昇させる注入手段が構成されている。
【0017】
水圧検出器24は、タイヤ2が破壊されたときのタイヤ2の内圧を検出する内圧検出手段を構成するものであり、本実施の形態では、図1に示すように、ポンプ装置22に設けられている。
具体的には、水圧検出器24は、ポンプ装置22によって加圧される水の水圧をタイヤ2の内圧として検出するものであり、タイヤ2の内圧のピーク値を保持(ホールド)する、いわゆるピークホールド機能を備えている。
すなわち、水圧検出器24によって保持された水圧のピーク値が、タイヤ2破壊時のタイヤ2の内圧として検出される。
なお、水圧検出器24は、タイヤ2の内面46と、下側タイヤ保持部14と、上側タイヤ保持部16とによって囲まれた空間に設置してもよいが、本実施の形態のようにすると、水圧検出器24を前記の空間に設置する作業が不要となり、作業効率を高める上で有利となる。
【0018】
次に、タイヤ水圧試験装置10を用いたタイヤ水圧試験方法について説明する。
まず、上側タイヤ保持部16を図3に示す退避位置に位置させた状態で、給水用管路28を介して水槽12内に水を供給し、図1に示すように、水槽12内を水で満たす。
次いで、作業者は、水圧試験の対象となるタイヤ2を把持し、タイヤ2を水槽12内に入れてタイヤ2を水没させ、タイヤ2の内側の空気を排出させる。
そして、作業者は、タイヤ回転軸を上下に向けた状態でタイヤ2を下側タイヤ保持部14の上方から、例えば、第2下側タイヤ装着部30Bに移動させ、タイヤ2の下側のビード部202のビードベース部204の内側に第2下側円筒面3002Bを挿入すると共に、タイヤ2の下側のビード部202のクリンチ部206を第2下側環状面3004Bに当て付ける。
これにより、下側のビード部202のビードベース部204の全周が第2下側円筒面3002Bに当接すると共に、下側のビード部202のクリンチ部206の全周が第2下側環状面3004Bに当接する。
【0019】
次に、移動手段18により上側タイヤ保持部16を図2に示す装着位置に降下させ、タイヤ2の上側のビード部202を上側タイヤ装着部16に当接させる。
すなわち、タイヤ2の上側のビード部202のビードベース部204の内側に第2上側装着部34Bの第2上側円筒面3402Bを挿入すると共に、タイヤ2の下側のビード部202のクリンチ部206を第2上側環状面3404Bに当て付ける。
これにより、上側のビード部202のビードベース部204の全周が第2上側円筒面3402Bに当接すると共に、上側のビード部202のクリンチ部206の全周が第2上側環状面3404Bに当接する。
【0020】
次に、ポンプ装置22を動作させ、注入用管路20を介して、タイヤ2の内面46と、下側タイヤ保持部14と、上側タイヤ保持部16とによって囲まれた空間に水を注入し、タイヤ2の内圧を上昇させる。
これにより、タイヤ2の下側のビード部202のビードベース部204およびクリンチ部206が第2下側円筒面3002Bおよび第2下側環状面3004Bに押し付けられることで、下側のビード部202が第2下側タイヤ装着部30Bに水密に装着された状態となる。
また、タイヤ2の上側のビード部202のビードベース部204およびクリンチ部206が第2上側円筒面3402Bおよび第2上側環状面3404Bに押し付けられることで、上側のビード部202が第2上側タイヤ装着部34Bに水密に装着された状態となる。
【0021】
引き続きポンプ装置22によって水が注入されることにより、タイヤ2の内圧が次第に上昇していき、やがて、タイヤ2が破壊されると、その時点でのタイヤ2の内圧が水圧検出器24によって検出される。
この検出値がタイヤ2の水圧試験の試験結果を示すデータとして取得される。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態の水圧試験装置および方法によれば、水槽12に収容された水にタイヤ2を入れ、水中において下側タイヤ保持部14と上側タイヤ保持部16とによってタイヤ2の上下のビード部202を水密に装着させ、その状態で、タイヤ2の内圧を上昇させて、タイヤ2が破壊されたときのタイヤ2の内圧を検出するようにした。
したがって、従来のように、重量が重い専用のホイールへのタイヤの着脱作業や、専用のホイールに装着されたタイヤ2を水槽12に出し入れする必要が無く、タイヤ2単体を水槽12に出し入れすればよいため、作業の軽減化が図れ、作業性の向上を図る上で有利となる。
また、タイヤ2単体を水中に入れる際に、タイヤ2の内部の空気を容易にかつ確実に排出させることができるため、タイヤ2内に残存する空気が、水圧検出器24によって検出されるタイヤ2の内圧に与える影響を取り除くことができ、水圧試験の精度を高める上で有利となる。
【0023】
また、本実施の形態では、下側タイヤ保持部14は、サイズの異なる複数種類のタイヤ2のビード部202に装着される複数種類の下側タイヤ装着部30を有し、上側タイヤ保持部16は、サイズの異なる複数種類のタイヤ2のビード部202に装着される複数種類の上側タイヤ装着部34を有している。
そのため、サイズの異なる複数種類のタイヤ2の水圧試験を、特別な部材や作業を要することなく単一の試験装置で行え、コスト低減を図る上で有利となる。
【0024】
なお、図3、図4(A)に示すように、水中においてタイヤ2の下側のビード部202が下側タイヤ装着部30に装着され、かつ、上側タイヤ保持部16が退避位置に位置した状態で、短時間ポンプ装置22を動作させ、注入用管路20の先端のノズル2002から、下側タイヤ保持部14に装着されたタイヤ2のトレッド部の内側に位置する内周面46Aに斜めに向けて水を吐出させ、この水によりタイヤ2の内周面46Aに沿って流れる水流48Aを発生させ、タイヤ2の内部に残存する空気をタイヤ2の外部に排出するようにしてもよい。
このようにすると、仮にタイヤ2の内部に空気が残存していたとしても、その残存する空気をタイヤ2の外方に排出させる上で有利となり、水圧試験の精度を高める上で有利となる。
【0025】
また、図3、図4(A)では、注入用管路20の先端のノズル2002が1つ設けられている場合を示したが、図4(B)に示すように、注入用管路20に接続する複数のノズル2002を設け、それら複数のノズル2002をタイヤ2の回転軸を中心として放射状に配置し、各ノズル2002から水を吐出させ、それらの水によりタイヤ2の内周面46Aに沿って流れる水流48Bを発生させ、タイヤ2の内部に残存する空気をタイヤの外部に排出するようにしてもよい。
この場合は、各ノズル2002から、タイヤ2の内周面46Aの全周にわたって満遍なく水流(乱流)48Bが発生するため、タイヤ2の内部に残存する空気をより迅速かつ確実に排出させる上で有利となる。
【符号の説明】
【0026】
2……タイヤ、202……ビード部、204……ビードベース部、206……クリンチ部、10……タイヤ水圧試験装置、12……水槽、1202……底壁、1204……側壁、14……下側タイヤ保持部、16……上側タイヤ保持部、18……移動手段、20……注水用管路(水注入手段)、22……ポンプ手段(水注入手段)、24……水圧検出器(内圧検出手段)、30……下側タイヤ装着部、3002……下側円筒面、3004……下側環状面、34……上側タイヤ装着部、3402……上側円筒面、3404……上側環状面、46……タイヤの内面、46A……タイヤの内周面、48A,48B……水流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と前記底壁の周囲から起立する側壁からなり内部に水が収容される水槽と、
前記底壁に配置され、前記収容された水中において、タイヤ回転軸を上下に向けたタイヤの2つのビード部のうち下側に位置するビード部に水密に装着可能な下側タイヤ保持部と、
前記下側タイヤ保持部の上方に配置され、前記収容された水中において、前記タイヤの2つのビード部のうち上側に位置するビード部に水密に装着可能な上側タイヤ保持部と、
前記水中において前記下側タイヤ保持部に前記下側のビード部が装着され、かつ、前記水中において前記上側タイヤ保持部に前記下側のビード部が装着される装着位置と、前記上側タイヤ保持部が前記上側のビード部から離間した退避位置との間で前記上側タイヤ保持部を昇降させる移動手段と、
前記上側タイヤ保持部が前記装着位置に位置した状態で、前記タイヤの内面と、前記下側タイヤ保持部と、前記上側タイヤ保持部とによって囲まれた空間に水を注入することでタイヤの内圧を上昇させる水注入手段と、
前記タイヤが破壊されたときの前記タイヤの内圧を検出する内圧検出手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ水圧試験装置。
【請求項2】
前記下側タイヤ保持部は、タイヤのビード部のビードベース部の全周が当接される下側円筒面と、前記下側円筒面の周囲で前記下側円筒面と交差する方向に延在しビード部のクリンチ部の全周が当接される下側環状面とを有し、前記下側円筒面が前記下側環状面の中央から上方に突出する下側タイヤ装着部を含んで構成され、
前記上側タイヤ保持部は、前記下側円筒面と同軸上でタイヤのビード部のビードベース部の全周が当接される上側円筒面と、前記上側円筒面の周囲で前記上側円筒面と交差する方向に延在しビード部のクリンチ部の全周が当接される上側環状面とを有し、前記上側円筒面が前記上側環状面の中央から下方に突出する上側タイヤ装着部を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤ水圧試験装置。
【請求項3】
前記下側タイヤ保持部は、サイズの異なる複数種類のタイヤのビード部に装着される複数種類の下側タイヤ装着部を有し、
前記複数種類の下側タイヤ装着部は、直径の異なる複数の前記下側円筒面が、直径が小さくなるにつれて上方に位置するように同軸上で上下に並べられて構成され、
前記直径の異なる前記下側円筒面の境の箇所は、直径の小さい前記下側円筒面を構成要素とする前記下側タイヤ装着部の前記下側環状面として構成され、
前記上側タイヤ保持部は、サイズの異なる複数種類のタイヤのビード部に装着される複数種類の上側タイヤ装着部を有し、
前記複数種類の上側タイヤ装着部は、直径の異なる複数の前記上側円筒面が、直径が小さくなるにつれて下方に位置するように同軸上で上下に並べられて構成され、
前記直径の異なる前記上側円筒面の境の箇所は、直径の小さい前記上側円筒面を構成要素とする前記上側タイヤ装着部の前記上側環状面として構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のタイヤ水圧試験装置。
【請求項4】
タイヤ回転軸を上下に向けたタイヤの2つのビード部のうち下側に位置するビード部に水密に装着可能な下側タイヤ保持部と、
前記下側タイヤ保持部の上方に配置され、前記タイヤの2つのビード部のうち上側に位置するビード部に水密に装着可能な上側タイヤ保持部とを水中に設け、
前記水中において前記下側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着し、かつ、前記上側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着し、
このような状態で、前記タイヤの内面と、前記下側タイヤ保持部と、前記上側タイヤ保持部とによって囲まれた空間に水を注入することでタイヤの内圧を上昇させ、
前記タイヤが破壊されたときの前記タイヤの内圧を検出する、
ことを特徴とするタイヤ水圧試験方法。
【請求項5】
前記水の注入を管路により行い、
前記水中において前記下側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着し、かつ、前記上側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着する前に、前記管路の先端から水を吐出させ、この水により前記タイヤの内周面に沿って流れる水流を発生させ、前記タイヤの内部に残存する空気を前記タイヤの外部に排出するようにした、
ことを特徴とする請求項4記載のタイヤ水圧試験方法。
【請求項6】
前記水の注入を、放射状に配置された複数のノズルにより行い、
前記水中において前記下側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着し、かつ、前記上側タイヤ保持部に前記下側のビード部を装着する前に、前記複数のノズルから水を吐出させ、それらの水により前記タイヤの内周面に沿って流れる水流を発生させ、前記タイヤの内部に残存する空気を前記タイヤの外部に排出するようにした、
ことを特徴とする請求項4記載のタイヤ水圧試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−18109(P2012−18109A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156402(P2010−156402)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】