説明

タイヤ空気圧監視システムの受信機

【課題】タイヤ空気圧監視システムの受信機において、自動で初期化を行うことにある。
【解決手段】急減圧検出閾値Th1は、イグニッションのオフ状態において一定時間(冷却時間T1)を経過したときに自動で初期化される。これにより、急減圧検出閾値Th1を温度変化に応じた値とすることができる。ここで、冷却時間T1は、走行に伴って上昇したタイヤの温度が、停車された状態で放熱することで外気温とほぼ同温度となるのに要する時間に設定されている。従って、冷却時間T1の経過を待つことで、タイヤの温度及び空気圧が高い状態で急減圧検出閾値Th1が初期化されることが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤ空気圧監視システムの受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの空気圧を監視するタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が知られている。TPMSが搭載される車両の各タイヤには、タイヤ空気圧を検出するセンサユニットが設けられている。各センサユニットは、タイヤ空気圧の検出結果を含む情報信号を車載機に送信する。車載機は受信した情報信号に基づきタイヤの空気圧が閾値以下となったとき、インジケータを通じてユーザにその旨を警告する。
【0003】
例えば特許文献1においては、タイヤの空気圧がメーカの推奨空気圧に調整されたときに初期化スイッチが操作される。これにより、車載機は初期化モードに移行する。車載機は、初期化モードにおいて各センサユニットから情報信号を受信すると、同信号に含まれるタイヤ空気圧の一定割合(例えば20%)だけ減少させた値を閾値として設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−211925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の構成においては、ユーザによる初期化スイッチの操作により閾値が設定される。ここで、タイヤの空気圧は温度上昇に伴い高くなることが知られている(ボイルシャルルの法則)。従って、季節の変化に伴う外気温の変化に応じてタイヤの空気圧は変動する。例えば、外気温が高い時期に初期化スイッチの操作を通じて閾値が設定されたとする。その後、外気温が低くなると、たとえタイヤ空気圧の漏れが全くなくても、上記法則に従ってタイヤの空気圧が低下する。この場合にはタイヤの空気圧が一定割合減少する前に空気圧が閾値以下となって空気圧低下の警告が行われるおそれがある。
【0006】
また、逆に外気温が上昇した場合には、タイヤの空気圧が一定割合を超えて減少しても空気圧低下の警告が行われないおそれがある。上記のような問題は、ユーザが一定周期毎に初期化スイッチを操作することで解決するものの、ユーザに定期的にそのような操作を強いるのは好ましくない。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動で初期化が行われるタイヤ空気圧監視システムの受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、各タイヤに装着されるセンサユニットからの情報信号に含まれるタイヤの空気圧が第1の閾値以下となったとき警告を行うタイヤ空気圧監視システムの受信機において、車両が停車状態となったときから一定時間を経過したときに前記第1の閾値を、空気圧の変動に応じて更新された値から初期値とする、若しくは受信した前記情報信号に含まれる空気圧に基づき設定することで初期化を行うことをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、第1の閾値は一定時間を経過したときに自動で初期化される。これにより、第1の閾値を外気温に伴って変化する空気圧に応じた値とすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムの受信機において、前記一定時間は、走行に伴って上昇したタイヤの温度が外気温となると予想される冷却時間に設定されることをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、タイヤの温度が放熱によって外気温とほぼ同じ温度になった後に第1の閾値が初期化される。ここで、タイヤの温度の上昇に伴いタイヤの空気圧が高くなる。冷却時間の経過を待つことで空気圧が高い状態で第1の閾値が初期化されることが防止される。特に、第1の閾値を現在の空気圧に基づき設定する場合には、第1の閾値が最初から高く設定されることが防止される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システムの受信機において、前記第1の閾値に加えて、前記初期値と同一値の第2の閾値が固定値として設定され、空気圧が急減圧した場合に、その空気圧が前記第1の閾値以下となったとき警告を行い、前記急減圧したとき以外においてタイヤ空気圧が前記第2の閾値以下となったときにも警告を行うことをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、2つの閾値が必要に応じて使い分けられる。例えばタイヤがパンクした場合においてタイヤの空気圧が急減圧することで第1の閾値以下となったとき警告が行われる。従って、タイヤのパンクに係る警告を迅速に行うことができる。
【0013】
また、第2の閾値は固定値である。従って、従来のように空気圧を適正値に調整した後に初期化スイッチの操作を通じて第2の閾値を設定する必要がない。よって、利便性が向上する。また、第2の閾値は、ユーザによって調整された空気圧に依存することがないため、ユーザが適切でない空気圧に調整することで第2の閾値が適正範囲外に設定されることが防止される。これにより、タイヤの空気圧が自然に漏れた場合に、適切なタイミングで警告を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タイヤ空気圧監視システムの受信機において、自動で初期化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態におけるタイヤ空気圧監視システムの構成図。
【図2】第1の実施形態における空気圧の変動を示すグラフ。
【図3】第1の実施形態における車両のCPUにおける(a)は急減圧検出閾値の更新に係る処理手順、(b)は急減圧検出閾値の初期化に係る処理手順を示すフローチャート。
【図4】第2の実施形態における空気圧の変動を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)の受信機を具体化した第1の実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、車両1の各タイヤのバルブ部分にはセンサユニット30が設けられている。センサユニット30は、図1の下側に拡大して示すように、圧力センサ33と、CPU(Central Processing Unit)31と、送信回路32と、送信アンテナ32aとを備える。
【0018】
圧力センサ33はタイヤの空気圧を検出するとともに、その検出結果をCPU31に出力する。CPU31は、圧力センサ33からの検出結果に基づき、タイヤの空気圧を認識する。そして、CPU31は、一定周期毎にタイヤの空気圧情報を含む情報信号を生成し、その情報信号を送信回路32に出力する。送信回路32は、情報信号を変調し、その信号を送信アンテナ32aを介して無線信号として送信する。
【0019】
また、CPU31は、圧力センサ33からの検出結果に基づき、一定時間に一定圧力以上の減少があったとき、上記情報信号に急減圧ビットを付加して、この情報信号を送信回路32及び送信アンテナ32aを介して無線送信する。この一定時間及び一定圧力は、タイヤのパンク時における空気圧減少の態様に基づき決定される。
【0020】
車両1に搭載される受信機10は、CPU11と、受信回路12と、受信アンテナ12aと、メモリ13と、タイマ14と、を備える。CPU11には、インジケータ15と、イグニッションスイッチ16とが電気的に接続されている。
【0021】
CPU11は、イグニッションスイッチ16を通じて車両のイグニッションがオン状態であるか否かを判断する。イグニッションがオフ状態にあれば、エンジン停止状態にあるため車両の走行は不可である。また、CPU11は、タイマ14を通じて車両のイグニッションがオフ状態となっている時間を後述する冷却時間T1まで計測する。
【0022】
受信回路12は、受信アンテナ12aを介して情報信号を受信する。そして、受信回路12は、受信した情報信号を復調し、その復調した情報信号をCPU11に出力する。CPU11は、復調された情報信号に基づき、タイヤの空気圧を認識する。
【0023】
メモリ13には、タイヤの空気圧低下の警告に係る閾値と、初期化後のタイヤ空気圧の最大値とが記憶されている。本例では、図2に示すように、閾値として急減圧検出閾値Th1と、低空気圧検出閾値Th2とが設定されている。低空気圧検出閾値Th2は、固定値としてメーカの推奨空気圧を基準に設定されている。例えば、低空気圧検出閾値Th2は、メーカの推奨空気圧を一定割合(20%)だけ減少させた値に設定される。この低空気圧検出閾値Th2は、パンクではなく、タイヤから自然に空気が漏れたときの低空気圧警報に利用される。すなわち、CPU11は、タイヤの空気圧がメモリ13に記憶される低空気圧検出閾値Th2以下となったとき、インジケータ15を通じて空気圧が低下した旨をユーザに警告する。
【0024】
また、急減圧検出閾値Th1は、その初期値が低空気圧検出閾値Th2と同一値で設定される。そして、タイヤ空気圧の上昇に伴って急減圧検出閾値Th1は更新される。
詳しくは、ボイルシャルルの法則により、タイヤの空気圧はタイヤの温度に応じて上昇する。このため、車両の走行時にタイヤの空気圧は、道路との摩擦熱によるタイヤの温度上昇を通じて高くなる。従って、車両が走行を開始すると徐徐にタイヤの空気圧が上昇し、停車した後にはタイヤから放熱されることで上昇分の空気圧が減少していく。
【0025】
CPU11は、情報信号を受けると、同信号に含まれるタイヤ空気圧がメモリ13に記憶されるタイヤ空気圧の最大値を超えるか否かを判断する。上記のような状況から、車両の走行中にタイヤの空気圧が最大値を越えると考えられる。CPU11は、情報信号に含まれるタイヤ空気圧が最大値を超える旨判断したとき、その空気圧に対して一定割合(例えば20%)だけ減少させた値に急減圧検出閾値Th1を更新する。このとき、CPU11は、メモリ13に記憶される最大値を今回受信した情報信号に含まれるタイヤの空気圧の値に更新する。
【0026】
従って、図2の三角印で示すように、車両の走行に応じてタイヤの空気圧が最大値となったとき急減圧検出閾値Th1が更新される。この急減圧検出閾値Th1は、タイヤがパンクしたときの警報に利用される。すなわち、CPU11は、情報信号に急減圧ビットが付加されている旨認識するとともに、同信号に含まれるタイヤの空気圧が急減圧検出閾値Th1以下であるとき、インジケータ15を通じてタイヤがパンクした旨を警告する。一方、CPU11は、情報信号に含まれるタイヤの空気圧が急減圧検出閾値Th1以下となっても、同信号に急減圧ビットが付加されていなければ低空気圧検出閾値Th2以下とならない限り警告を行わない。なお、本例では、急減圧検出閾値Th1はタイヤ毎に設定される。
【0027】
ここで、上記「発明が解決しようとする課題」において説明したように、外気温の変化により閾値が適切な値とならなくなるおそれがある。そこで、急減圧検出閾値Th1はイグニッションがオフとされて一定期間が経過したときに初期化される。
【0028】
詳しくは、図2に示すように、CPU11は、イグニッションがオフ状態に切り替わった旨認識したとき、タイマ14を通じてイグニッションがオフ状態となっている時間の計測を開始する。CPU11は、この時間が冷却時間T1に達したとき、急減圧検出閾値Th1を低空気圧検出閾値Th2と同一値である初期値とする。そして、メモリ13に記憶される空気圧の最大値はリセット(正確にはゼロ)される。従って、初期化後に最初に受けた情報信号に基づき、急減圧検出閾値Th1が更新される。
【0029】
ここで、冷却時間T1は、走行に伴って上昇したタイヤの温度が、停車された状態で放熱することで外気温とほぼ同一の温度となるのに要する時間に設定されている。冷却時間T1は例えば1〜2時間程度に設定される。毎日1〜2時間程度は停車されることから、上記初期化処理は毎日実施されることになる。よって、上記「発明が解決しようとする課題」において説明したように外気温が変化した場合であっても、その外気温に応じた急減圧検出閾値Th1を設定することができる。これにより、警告に係る精度を向上させることができる。さらに、自動で急減圧検出閾値Th1が初期化されるため、利便性が向上する。
【0030】
上記初期化処理は、停車後に冷却時間T1の経過を待って行われる。従って、上記初期化処理時に、タイヤの冷却が十分でなくタイヤの空気圧が高い状態であることが抑制される。これにより、走行開始後にすぐに高い急減圧検出閾値Th1が設定されることが抑制される。また、冷却時間T1の経過を待って上記初期化処理を行うことで、その処理回数を必要最小限とすることができる。
【0031】
また、低空気圧検出閾値Th2はユーザによって調整された空気圧に依存しない固定値とされる。従って、低空気圧検出閾値Th2が適正範囲外に設定されることが防止されて、タイヤの空気圧が一定水準以下となったとき確実に警告を行うことができる。なお、本例では、急減圧検出閾値Th1が第1の閾値に相当し、低空気圧検出閾値Th2が第2の閾値に相当する。
【0032】
以下、急減圧検出閾値Th1の更新時におけるCPU11の処理手順について図3(a)のフローチャートを参照しつつ説明する。当該フローチャートは、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0033】
まず、情報信号が受信されて(S101)、同信号に含まれるタイヤの空気圧が認識される(S102)。そして、その空気圧がメモリ13に記憶されるタイヤ空気圧の最大値を超えるか否かが判断される(S103)。最大値を超えない旨判断されたとき(S103でNO)、処理が終了される。すなわち、タイヤの空気圧が最大値を超えない限り、急減圧検出閾値Th1が更新されることはない。
【0034】
一方、タイヤの空気圧が最大値を超える旨判断されたとき(S103でYES)、その空気圧に基づき急減圧検出閾値Th1が更新される(S104)。また、メモリ13に記憶される最大値が今回受信した情報信号の空気圧の値に更新される(S105)。以上で処理が終了される。
【0035】
次に、CPU11における急減圧検出閾値Th1の初期化処理の手順について図3(b)を参照しつつ説明する。当該フローチャートは、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0036】
まず、イグニッションスイッチ16を通じてイグニッションがオフ状態であるか否かが判断される(S201)。イグニッションがオフ状態でない旨判断されたとき(S201でNO)、処理が終了される。すなわち、所定の制御周期毎にイグニッションがオフ状態であるか否か、すなわち停車中であるか否かが監視される。
【0037】
イグニッションがオフ状態である旨判断されたとき(S201でYES)、タイマ14を通じて冷却時間T1を経過したか否かが判断される(S202)。冷却時間T1を経過しないときには(S202でNO)、再びイグニッションがオフ状態であるか否かが判断される(S201)。冷却時間T1を経過したとき(S202でYES)、急減圧検出閾値Th1が初期値とされるとともに、メモリ13に記憶される最大値がリセットされる(S203)。以上でCPU11の処理が終了する。また、冷却時間T1を経過するまえに(S202でNO)、イグニッションがオン状態に切り替えられたときには(S201でNO)、初期化されることなく、処理が終了される。
【0038】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)急減圧検出閾値Th1は、イグニッションのオフ状態において一定時間(冷却時間T1)を経過したときに自動で初期化される。これにより、急減圧検出閾値Th1を温度変化に応じた値とすることができる。
【0039】
(2)冷却時間T1は、走行に伴って上昇したタイヤの温度が、停車された状態で放熱することで外気温とほぼ同一の温度となるのに要する時間に設定されている。よって、イグニッションがオフ状態とされた後に冷却時間T1の経過を待つことで、タイヤの温度及び空気圧が高い状態で急減圧検出閾値Th1が初期化されることが防止される。
【0040】
(3)2つの閾値が必要に応じて使い分けられる。例えばタイヤがパンクした場合においてタイヤの空気圧が急減圧することで急減圧検出閾値Th1以下となったとき警告が行われる。従って、タイヤのパンクに係る警告を迅速に行うことができる。
【0041】
また、低空気圧検出閾値Th2は固定値である。従って、従来のように空気圧を適正値に調整した後に初期化スイッチの操作を通じて低空気圧検出閾値Th2を設定する必要がない。よって、利便性が向上する。また、初期化スイッチを省略できるため、TPMSをより簡易に構成することができる。
【0042】
さらに、低空気圧検出閾値Th2は、ユーザによって調整された空気圧に依存することがないため、低空気圧検出閾値Th2が適正範囲外に設定されることが防止される。これにより、タイヤの空気圧が自然に漏れた場合に、適切なタイミングで警告を行うことができる。
【0043】
(4)タイヤの空気圧がメモリ13に記憶される最大値を超えたときに、その空気圧に対して一定割合だけ減少させた値に急減圧検出閾値Th1が更新される。これにより、タイヤの温度上昇により空気圧が上昇した場合であっても、タイヤの空気圧が一定割合だけ減少したときに確実に警告を行うことができる。
【0044】
特に、欧州法規においては、車両を20分間走行させることでタイヤの空気圧を上昇させた後にその空気圧を20%減少させたときに警告が行われることが要求されている。上記構成によれば、この欧州法規に適したシステムを構築することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかるTPMSの受信機を具体化した第2の実施形態について説明する。この実施形態のTPMSは、閾値が1つである点及びその閾値が走行中には変化しない点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態のタイヤ空気圧監視システムは、図1に示す第1の実施形態のタイヤ空気圧監視システムとほぼ同様の構成を備えている。
【0046】
本例では急減圧検出閾値Th1が省略されるとともに、低空気圧検出閾値Th2が初期化処理によって設定される。すなわち、第1の実施形態と異なって低空気圧検出閾値Th2は固定値ではない。また、本例では、低空気圧検出閾値Th2が第1の閾値に相当する。
【0047】
詳しくは、図4に示すように、CPU11は、イグニッションがオフ状態となっている時間が冷却時間T1に達したとき、初期化処理を予約する。CPU11は、初期化処理を予約したとき、次にイグニッションがオン状態となると、その後に最初に受けた情報信号に含まれるタイヤの空気圧に基づき低空気圧検出閾値Th2を設定する。具体的には、低空気圧検出閾値Th2を情報信号に含まれるタイヤの空気圧に対して一定割合(例えば20%)だけ減少させた値とする。そして、CPU11は、情報信号に含まれるタイヤの空気圧が低空気圧検出閾値Th2以下となったとき、インジケータ15を通じて警告を行う。
【0048】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(5)温度変化に応じた低空気圧検出閾値Th2が自動で設定される。
(6)初期化処理は、停車後に冷却時間T1の経過を待って行われる。従って、走行に伴う空気圧上昇がないときの空気圧に基づき低空気圧検出閾値Th2を設定することができる。よって、より適切な低空気圧検出閾値Th2を設定することができる。
【0049】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第1の実施形態における低空気圧検出閾値Th2を省略してもよい。この場合であっても、急減圧検出閾値Th1を通じて急減圧したときには警告が行われる。
【0050】
・上記両実施形態においては、情報信号に急減圧ビットが付加されている旨認識された場合、その信号に含まれるタイヤの空気圧が急減圧検出閾値Th1以下であるとき、急減圧が生じているとして警告が行われる。しかし、車両1のCPU11は、急減圧ビットに頼ることなく、情報信号に含まれるタイヤの空気圧に基づき急減圧が生じたか否かを判断してもよい。この場合、CPU11は、連続的に受信した情報信号に含まれるタイヤ空気圧に基づき一定時間に一定圧力の減少があったとき急減圧が生じた旨判断する。これにより、センサユニット30は急減圧ビットが付加された情報信号を送信しない構成であっても、上記実施形態を適用することができる。
【0051】
・上記両実施形態においては、車両の走行の有無に関わらず、一定周期毎にセンサユニット30から情報信号が送信されていた。しかし、センサユニット30は、車両の走行時にのみ情報信号を受信機10に送信してもよい。この場合、例えば、センサユニット30は、タイヤの回転の有無を加速度として検出する加速度センサを備える。CPU31は、加速度センサの検出結果に基づき、タイヤが回転しているときに限り、送信回路32等を通じて一定周期毎に情報信号を送信する。さらに、センサユニット30は、車両から送信される要求信号に応じて情報信号を送信してもよい。
【0052】
・第1の実施形態においては、情報信号に含まれるタイヤ空気圧がメモリ13に記憶される最大値を超えたとき急減圧検出閾値Th1が更新されていた。しかし、急減圧検出閾値Th1の更新タイミングはこれに限らず、例えば過去の一定期間の平均空気圧が最大となったときに更新されてもよい。
【0053】
・上記両実施形態においては、冷却時間T1は一定であったが、可変であってもよい。例えば、車両に外気温センサを設け、同センサを通じて取得した外気温が高くなるにつれて冷却時間T1を短く設定する。これは、外気温が高ければタイヤの温度が外気温と同じ温度になるのに時間がかからないからである。また、センサユニット30に温度センサを設け、同センサの検出結果が情報信号に付加される構成においては、タイヤの温度と、外気温との差が大きくなるにつれて冷却時間T1を長く設定してもよい。これにより、冷却時間T1をより正確な時間に設定することができる。
【0054】
・上記実施形態においては、急減圧検出閾値Th1は、イグニッションがオフ状態となっている期間が冷却時間T1を経過したときに自動で初期化されていた。しかし、車両が停車状態であることが認識可能であれば、イグニッションがオフ状態となっている期間に限らず、例えば、シフトレバーがパーキング位置にある期間や、車速がゼロに維持されている期間であってもよい。
【0055】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項3に記載のタイヤ空気圧監視システムの受信機において、前記情報信号に含まれるタイヤの空気圧が、最後に前記第1の閾値が前記初期値とされたときから現在までの期間における最大値であるときに、その空気圧に対して一定割合だけ減少させた値に前記第1の閾値を更新するタイヤ空気圧監視システムの受信機。
【0056】
同構成によれば、タイヤの空気圧が最大値となったときに、その空気圧に対して一定割合だけ減少させた値に第1の閾値が更新される。これにより、タイヤの温度上昇により空気圧が上昇した場合であっても、タイヤの空気圧が一定割合だけ減少したときに確実に警告を行うことができる。
【0057】
(ロ)請求項3、上記(イ)項に記載のタイヤ空気圧監視システムの受信機において、
前記初期値及び前記第2の閾値はメーカ推奨圧を基準に設定されるタイヤ空気圧監視システムの受信機。
【0058】
同構成によれば、初期値及び第2の閾値がメーカ推奨圧を基準に設定されることで、初期値及び第2の閾値を適切な値とすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1…車両、10…受信機、30…センサユニット、33…圧力センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各タイヤに装着されるセンサユニットからの情報信号に含まれるタイヤの空気圧が第1の閾値以下となったとき警告を行うタイヤ空気圧監視システムの受信機において、
車両が停車状態となったときから一定時間を経過したときに前記第1の閾値を、空気圧の変動に応じて更新された値から初期値とする、若しくは受信した前記情報信号に含まれる空気圧に基づき設定することで初期化を行うタイヤ空気圧監視システムの受信機。
【請求項2】
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムの受信機において、
前記一定時間は、走行に伴って上昇したタイヤの温度が外気温となると予想される冷却時間に設定されるタイヤ空気圧監視システムの受信機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システムの受信機において、
前記第1の閾値に加えて、前記初期値と同一値の第2の閾値が固定値として設定され、
空気圧が急減圧した場合に、その空気圧が前記第1の閾値以下となったとき警告を行い、
前記急減圧したとき以外においてタイヤ空気圧が前記第2の閾値以下となったときにも警告を行うタイヤ空気圧監視システムの受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−206680(P2012−206680A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75524(P2011−75524)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】