説明

タイヤ試験機

【課題】タイヤTの回転中の均一性を検査するタイヤ試験機において、タイヤ自体のユニフォミティを高精度で得ることができるようにする。
【解決手段】タイヤTをその両側のビードで挟む上リム16及び下リム15と、これらを保持する上下スピンドル14,13と、そのうち一方を昇降させるスピンドル昇降装置20と、上下スピンドル14,13を上下動不能にロックするロック機構25とを有し、上スピンドル14の上方で且つ同軸位置にロック機構25用のロック駆動部45が設けられ、このロック駆動部45が、タイヤTの回転中には上方待避可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ試験機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤの回転中の均一性(ユニフォミティ)を試験し測定するタイヤ試験機(例えば、特許文献1等参照)は、タイヤをその両側のビードで挟む上リム及び下リムと、これら上下のリムを上下方向の軸心回りでそれぞれ回転自在に保持する上リム用上スピンドル及び下リム用下スピンドルと、これら上下のスピンドルの少なくとも一方を昇降させることによって上リムと下リムとの間でタイヤの着脱を可能にさせるスピンドル昇降装置とを有している。
またこの種のタイヤ試験機では、上リムと下リムとの間でタイヤを挟持した状態のときに回転軸心に交差する方向で上スピンドルと下スピンドルとの両者間にわたる凹凸係合を起こして、これら上下のスピンドルが上下方向で反発移動するのをロックするためのロック機構が設けられているのが一般的である。
【0003】
このロック機構の一例(特許文献1では図3)を挙げると、下リムを保持する中空のスピンドルに対し、上リムから下方突出状に設けられたロックシャフトが挿通され、ロックシャフトの外周面には雄ねじ状のロック溝が設けられている。そして、このロック溝に対応する位置付けでスピンドルに横貫通孔が設けられ、この横貫通孔に、ロック溝に対して噛合状に当接するロック部材が設けられている。このロック部材は、スピンドルの側方に突出して設けられたシリンダにより横移動可能とされることで、必要に応じてロック溝に噛合したり離反したりする。
【0004】
このシリンダは1台で1個のロック部材を駆動させるようになっており、これらロック部材及びシリンダは、ロックシャフトを中心としてその回りに90°おきに計4組、設けられている。
なお、この種のタイヤ試験機では、試験するタイヤの交換時に上リムと下リムとの上下間を遮るものを無くす必要があるため、スピンドルに対して挿通状態としたロックシャフトは、スピンドルの上方へ完全に引き抜くようにしている。そのため、上リム及びロックシャフトを昇降させるためのシリンダとして、十分に長い昇降ストロークを有したものが用いられていた。
【特許文献1】特開2002−267561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、ロック機構は上下のスピンドルが上下方向で反発移動するのをロックするためのものであって、このロックにより、試験中にタイヤを挟持した上下のリム相互間が開かないようにする。そのためこのロック機構(4組のロック部材とシリンダ)は、試験中にタイヤを回転させるときにはこれと一体回転することになり、結果、タイヤを除いて回転する質量がいたずらに大きくなっているということがあった。
そのため試験結果として得られるデータには、これらロック機構をはじめとして装置側の影響が無視できないほどに含まれていることになり、タイヤ自体の(純粋な)ユニフォミティを高精度で得ようとするには不都合であった。
【0006】
特に、近年においてタイヤユニフォミティ試験には、自動車の実走行速度下での試験結果が求められる傾向にあり、これに伴って試験中のタイヤ回転数を高速化させる要請があるが、上記従来のタイヤ試験機において高速試験を実施すると、ロックシャフトの側方へロック部材やシリンダが突出していることを原因として大きな遠心力が発生することになる。そのため慣性モーメントが増大して固有振動数が小さくなり、装置側で起こる共振等の外乱が大きくなってしまうため、結果、タイヤユニフォミティについて高精度の試験結果を得ることは益々困難になるということがあった。
【0007】
また、4組ものロック部材及びシリンダが回りに突出する構造のロックシャフトを、試験するタイヤの交換のたびにスピンドルの上方へ完全に引き抜くようにする構造は、装置の大型化を招来するものとなっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、タイヤ自体のユニフォミティを高精度で得ることができるタイヤ試験機を提供することを目的とする。また本発明は、装置の大型化を抑制できるタイヤ試験機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るタイヤ試験機は、タイヤを挟持可能な上リム及び下リムと、これら上下のリムを上下方向の軸心回りでそれぞれ回転自在に保持する上リム用上スピンドル及び下リム用下スピンドルと、これら上下スピンドルの少なくとも一方を昇降させて上下リム間でのタイヤの着脱を可能にさせるスピンドル昇降装置とを有し、上下リム間で挟持したタイヤの回転中の均一性(ユニフォミティ)を検査するものである。
また本発明に係るタイヤ試験機は、上下リム間でタイヤを挟持したときに上下スピンドルの相互間で回転軸心に交差する凹凸係合を行わせて、これら上下スピンドルの両者を上下動不能にロックするロック機構を有している。
【0009】
そして、上記上スピンドルの上方であって、且つ上下スピンドルの回転軸心と同軸となる位置に、上記ロック機構に対して上下スピンドル間での凹凸係合動作を駆動伝達するロック駆動部が設けられており、このロック駆動部は、上下リム間で挟持したタイヤの回転中にはロック機構に対する駆動伝達部分を上方へ待避させて非回転状態に保持可能とされている。
このようにロック機構のロック駆動部は、タイヤの回転時にはロック機構へ駆動を伝達する部分を上方へ待避させ、縁切り状態にすることができるので、タイヤの回転にロック駆動部の質量が外乱として負荷されることがない。そのため、タイヤ自体の均一性を高精度で得ることができる。
【0010】
また、ロック駆動部を上スピンドルの上方へ設け、且つ上下スピンドルの回転軸心と同軸となるように配置しているので、装置として回転中心に集約されたかたちとなって側方への突出を抑えることができ、もって装置の大型化抑制に繋がっている。
スピンドル昇降装置は、上スピンドルの上方に設けられる昇降駆動部と、この昇降駆動部によって上スピンドルの上方域で昇降自在に設けられるフックフレームと、このフックフレームの下降時に当該フックフレームと上スピンドルとの連結及び解放を切り替え可能にするフック機構とを有したものとすることができる。
【0011】
この場合、昇降駆動部は短ストローク駆動部と長ストローク駆動部とを有したものとする。短ストローク駆動部は、フック機構がフックフレームと上スピンドルとを連結可能にするフックレベルと、この連結を解放させた後にフックフレームを少しだけ上昇させるアンフックレベルとの上下間を昇降ストロークとする。
これに対し、長ストローク駆動部は、フックフレームと上スピンドルとの連結レベルと、上下リム間でタイヤの着脱が可能となる上スピンドルの上方待避レベルとの上下間を昇降ストロークとする。
【0012】
このようにすることで、試験対象タイヤの交換時などには長ストローク駆動部だけ又は長ストローク駆動部と短ストローク駆動部との双方を用い、ロック機構のロック駆動部においてロック機構へ駆動を伝達する部分を上方へ待避させるときには、短ストローク駆動部だけを用いるといった使いかたができる。
すなわち、ロック機構のロック駆動部においてロック機構へ駆動を伝達する部分を上方へ待避させるときに、わざわざ長ストローク駆動部を用いなくてよい。そのためサイクルタイム短縮が可能になる。
【0013】
上スピンドルは、上リムの下方へ突出する雄側嵌合部を有し、下スピンドルは下リムの下方へ向けて上記上スピンドルの雄側嵌合部を嵌め入れる雌側嵌合部を有したものとすることができる。
これであれば、ロック機構のロック駆動部においてロック機構へ駆動を伝達する部分を上方へ待避させることにより、上スピンドルの上部に接続するもの(タイヤの回転時に一緒に回転する機械構造類)を殆ど無い状態にできる。すなわち、上スピンドルにおける上方の質量を小さくできるので、それだけタイヤ回転時の外乱発生要因を排除できる。
【0014】
ロック機構は、下スピンドル内で上下動自在に保持されたロックシャフトと、このロックシャフトを上方へ向けて付勢するバネと、ロックシャフトが1回下降及び上方復帰動作をするたびに当該ロックシャフトを上部停止位置と下部停止位置とに切り替えるノック機構と、ロックシャフトが停止位置を上下に切り替えるのに伴って上下スピンドル間での凹凸係合状態とこの係合状態の解除とを切り替える出力変換機構とを有し、上記ロックシャフトの上端部で前記ロック駆動部からの押下駆動を受ける構造とすることができる。
また、ノック機構は、以下の構造を採用することができる。すなわち、下スピンドル内で上下動不動で且つ回転自在に保持され中心部にロックシャフトを上下動自在に貫通させるシャフト孔が設けられた下カム部材と、この下カム部材より上位置でロックシャフトに対して串刺し状に固定されて当該ロックシャフトの上下動に伴って上記下カム部材に近接離反する上カム部材と、ロックシャフトの側面から突出して下カム部材の下端に当接可能とされることでロックシャフトの上昇位置を制限するカムピンとを有している。
【0015】
下カム部材の上端面には片側傾斜面となった鋸歯状の回動制限カムが周方向で連続して設けられ、上カム部材の下端面には下カム部材の回動制限カムと同一ピッチ且つ同一傾斜向きで片側斜面となった鋸歯状の回動制限カムが周方向で連続して設けられて、これら下カム部材と上カム部材とが互いの回動制限カムを傾斜面同士で当接させつつ噛合するようになっている。
下カム部材の下端面には当該下カム部材の回動制限カムと同一ピッチであるが傾斜向きが逆となる片側斜面となった鋸歯状の高さ制限カムがこの回動制限カムと周方向にズレを生じつつ周方向に連続して設けられ、この高さ制限カムは周方向に隣接するもの同士間でカムピンとの係合位置を高位規制レベルと低位規制レベルを交互に繰り返す配置とされて設けられている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタイヤ試験機は、タイヤ自体のユニフォミティを高精度で得ることができる。また装置の大型化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図6は、本発明に係るタイヤ試験機1の第1実施形態を示している。図2に例示するように、このタイヤ試験機1は、搬入ステーション2と搬出ステーション3とに挟まれて設置されたセンタフレーム4内等に配置されており、搬入ステーション2から搬出ステーション3へ向けて搬送される途中のタイヤTを一旦、横倒姿勢のまま支持状態にして、このタイヤTへ回転ドラム(図示略)を押しつけて回転させ、この回転中の均一性(ユニフォミティ)を試験し測定する。
【0018】
搬入ステーション2には、タイヤTのビード部へ離ケイ剤を塗布するビードルブリケータ5が設けられていると共に、離ケイ剤塗布後のタイヤTを立体箱形搬送動作(上昇−水平前進−下降)によってステーション上から試験位置に送り渡すタイヤ搬入装置6が設けられている。また搬出ステーション3には、試験後のタイヤTを立体箱形搬送動作によって試験位置からステーション上へ取り出すタイヤ搬出装置8が設けられていると共に、試験により得られた結果を加熱押圧、刻印、印刷、塗料塗布、シール貼付等の適宜方法でタイヤTの側面へ表示するマーキング装置7が設けられている。
【0019】
図例では、搬入ステーション2から搬出ステーション3にわたるタイヤ搬送レベルに対し、タイヤ試験機1においてタイヤTを支持して試験するレベルが下方に設定されているため、センタフレーム4にはこれらのレベル差間でタイヤTを昇降させるためのタイヤリフト装置9が設けられたものとしてある。またセンタフレーム4には、タイヤ試験機1の上方域に昇降フレーム10が設けられている。
タイヤリフト装置9と昇降フレーム10とは図示しない連結棒で同時に昇降可能となっており、上昇時はタイヤリフト装置9は搬入ステーション2,搬出ステーション3の搬送レベルまでタイヤTを持ち上げる。図2では、タイヤリフト装置9,昇降フレーム10が下降状態を示している。
【0020】
なお、前記昇降フレーム10を、タイヤリフト装置9とは別個独立して昇降動作可能としてもよい。
図1において、このタイヤ試験機1は、スピンドルベース11内で円錐コロ軸受け等のベアリング12を介して上下方向の軸心回りに回転自在に保持された下スピンドル13と、この下スピンドル13の上方に同軸で設けられた上スピンドル14とを有している。スピンドルベース11に対し、下スピンドル13の上部寄りを支持しているベアリング12と略同じ位置の外周側に、プリロードボルト17によってセンサ24が固定されている。このセンサ24には水晶式荷重検出器などが採用され、下スピンドル13を取り囲むように周方向に均等配置で4個程度、配されている。
【0021】
下スピンドル13にはタイヤTの下向きとされたビード部を支持する下リム15が設けられ、上スピンドル14にはタイヤTの上向きとされたビード部を押下する上リム16が設けられており、これら下リム15と上リム16との間でタイヤTを挟持できるようになっている。
上スピンドル14は上リム16の下方へ円柱状に突出する雄側嵌合部18を有し、これに対して下スピンドル13は、下リム15の下方へ向けて、上スピンドル14の雄側嵌合部18をガタツキなく嵌合可能な円筒形状をした雌側嵌合部19を有している。下リム15と上リム16との上下間では、試験対象のタイヤTを横出し入れして交換する必要があるため、雌側嵌合部19に対し、雄側嵌合部18は上方へ抜き差しできるように上下動自在となっている。
【0022】
雄側嵌合部18を含めた上スピンドル14の上下動は、この上スピンドル14の上方に設けられたスピンドル昇降装置20により行われる。このスピンドル昇降装置20は、センタフレーム4の上記昇降フレーム10(図2参照)を取付用のベースとして設けられた昇降駆動部21により、上スピンドル14を吊り下げる構造となっている。
またこのスピンドル昇降装置20は、上スピンドル14の吊り下げ状態を必要に応じて解除し、上スピンドル14を離脱させたり、再び上スピンドル14を連結して元の吊り下げ状態に戻したりできるように、昇降駆動部21と上スピンドル14との上下間にフックフレーム22が設けられ、このフックフレーム22にフック機構23が設けられたものとなっている。フック機構23及び昇降駆動部21の詳細については後述する。
【0023】
上記のような上スピンドル14の雄側嵌合部18と下スピンドル13の雌側嵌合部19とが互いに嵌合する部分には、ロック機構25が設けられている。このロック機構25は、下リム15と上リム16との間でタイヤTを挟持したときに、上スピンドル14と下スピンドル13との相互間でそれらの回転軸心に交差する凹凸係合を行わせて、これら上下スピンドル14,13が相対的に上下動することがないように両スピンドル間をロックするためのものである。
図例のロック機構25は、図4及び図5に示すように、雄側嵌合部18の外周面に設けられたロックピース27を、出力変換機構28の動作を介して径方向に動作させ、雌側嵌合部19の内周面に押しつけたり離反させたりする構造としてある。ロックピース27の外面とこの外面が当接する雌側嵌合部19の内周面との双方には互い違いに噛み合う凹凸が設けられており、これら凹凸の噛み合いによって上記の凹凸係合が生じるようになっている。
【0024】
雄側嵌合部18の外周面にはその周方向に均等配置で4カ所の凹部30が設けられており、上記のロックピース27はこれらの各凹部30に対して1個ずつ(即ち、計4個)嵌め込まれている。各ロックピース27には下方へ突出するアーム31が接続されており、これらアーム31の下端部には平面視でT字状を呈するスライダ突起32が設けられている。
また雄側嵌合部18にはその回転軸心に沿って軸孔33が設けられており、この軸孔33に対して、雄側嵌合部18の上方から回転軸心に沿ってロックシャフト34が串刺し状に挿入されている。また、この軸孔33の下端側は内径が径大化された空洞部35とされており、この空洞部35には円錐台状をしたロックウエッジ36が収納され、このロックウエッジ36の中心部に対して上記ロックシャフト34が突き刺し状に連結固定されている。軸孔33に対してロックシャフト34は上下動自在とされており、このロックシャフト34の上下動に伴い、空洞部35内ではロックウエッジ36が同じように上下動する。
【0025】
雄側嵌合部18の下端部には空洞部35の下部開口を塞ぐようになるバネ受け38が連結されており、このバネ受け38上にはコイルバネ等のバネ39が支持されている。このバネ39が上記ロックウエッジ36の下面に当接してこのロックウエッジ36を上方へ押し上げる方向に付勢するようになっている。
ロックウエッジ36のテーパ面には、周方向において各ロックピース27に対応する位置付けで上下方向に貫通するT溝40が形成されている。これら各T溝40は、ロックウエッジ36の(円錐台形の)テーパ付き外周面に沿って末広がり方向の傾きを有しており、各ロックピース27からアーム31を介して設けられたスライダ突起32が嵌められている。
【0026】
これらのことから、ロックシャフト34を下降させると空洞部35内でロックウエッジ36が下降し、T溝40に各スライダ突起32が係合した部位でT溝40の傾きが径小側に移行するのに伴って、このスライダ突起32は雄側嵌合部18の回転軸心寄りに引き寄せられることになる。そのため各ロックピース27も回転軸心寄り、即ち凹部30内へ引き込まれるように径方向内方へ移動し、ロックピース27の外面が雌側嵌合部19の内周面から離れて凹凸係合が解除されることになる。
一方、ロックシャフト34を下降させる力を解除させると、バネ39による押し上げ付勢力を受けてロックウエッジ36が空洞部35内で押し上げられるので、T溝40に各スライダ突起32が係合した部位でT溝40の傾きが径大側に移行するのに伴って、このスライダ突起32は雄側嵌合部18の回転軸心から遠ざけられることになる。そのため各ロックピース27も凹部30から押し出されるように径方向外方へ移動し、ロックピース27の外面が雌側嵌合部19の内周面に当接して凹凸係合を生じることになる。
【0027】
このようなロック機構25を駆動させるためのロック駆動部45は、上スピンドル14の上方のフックフレーム22に対して設けられている。このロック駆動部45は、例えば流体圧シリンダ等であって、伸縮動作するロッド端でロックシャフト34の上端部を下方へ押し込むようになっている。なお、このロック駆動部45は、流体圧シリンダに限定されず、モータ駆動のカム機構やソレノイドなどに置換することも可能である。
このロック駆動部45は、ロックシャフト34を押し込む部分(ロック駆動部45が流体圧シリンダであればロッド端に相当するものであり要はロック機構25に対する駆動伝達部分である)が上下スピンドル14,13の回転軸心と同軸となる位置に設けられている。
【0028】
図6に示すように、このロック駆動部45はロックシャフト34とは連結されておらず、必要時にロックシャフト34の上端部へ下方への押し込み力(駆動力)を伝えるだけとなっている。そのためこのロック駆動部45は、上記したフックフレーム22に設けられたフック機構23が上スピンドル14の吊り下げを解除しているときであって、且つスピンドル昇降装置20がフックフレーム22を上昇させる場合には、ロックシャフト34から離反してフックフレーム22と共に上昇する。
即ち、上リム16と下リム15の上下間でタイヤTを挟持し、このタイヤTを回転させる際には、ロック駆動部45がロックシャフト34を押し込む部分(上記したロック機構25に対する駆動伝達部分)は、上スピンドル14の上方へ待避させることができ、このロック駆動部45を非回転状態に保持できる。
【0029】
フックフレーム22と上スピンドル14との連結部分にはテーパ結合構造47が採用され、両者が連結されるときに自動的に芯合わせがなされる。図例ではフックフレーム22の下端部に雄テーパ面47aが設けられ、上スピンドル14の上端部にはロックシャフト34のまわりで冠状に突出する環状壁48の内面に、上記雄テーパ面47aと面対偶する雌テーパ面47bが設けられたものを示している。
上スピンドル14において、雌テーパ面47bが設けられた環状壁48の上端部外周には、外向きの鉤型に突設されたフック受49が設けられている。このフック受49が上記したフック機構23によって係合される。
【0030】
このフック機構23(図3も併せて参照)は、上スピンドル14の上記フック受49に係合離脱可能とされたフック52と、このフック52に係合離脱動作を行わせるフック駆動部53とを有している。フック駆動部53には例えば流体圧シリンダ等を採用可能であって、伸縮動作するロッド端で直接的又は平行リンク機構等の伝動機構55を介して間接的にフック52の係合離脱動作(揺動)を取り出すようになっている。
スピンドル昇降装置20の昇降駆動部21(図2参照)は、短ストローク駆動部57と長ストローク駆動部58とを有している。短ストローク駆動部57や長ストローク駆動部58には、空気圧又は油圧の流体圧シリンダやモータ駆動によるねじジャッキ等を採用することができる。
【0031】
図2では、昇降フレーム10の上部に長ストローク駆動部58が設けられ、この長ストローク駆動部58によって昇降されるロッド端側に短ストローク駆動部57が設けられ、この短ストローク駆動部57の下部にフックフレーム22が設けられたものとなっている。なお、これら短ストローク駆動部57と長ストローク駆動部58との上下関係などは特に限定されるものではない。
短ストローク駆動部57は、フック機構23がフックフレーム22と上スピンドル14とを連結可能にするフックレベルと、この連結を解放させた後にフックフレーム22を少しだけ上昇させるアンフックレベルとの上下間を昇降ストロークとしている。
【0032】
長ストローク駆動部58は、フックフレーム22と上スピンドル14との連結レベルと、上リム16と下リム15との上下間でタイヤTの着脱が可能となる上スピンドル14の上方待避レベルとの上下間を昇降ストロークとしている。
次に、上記構成を具備する本発明のタイヤ試験機1の動作状況を説明する。
いまフック機構23がフック状態(フックフレーム22と上スピンドル14とを連結させた状態)にあり、またロック駆動部45が駆動伝達部分(ロッド端)を下降させてロック機構25をアンロック状態(ロックピース27の外面が雌側嵌合部19の内周面から離反した状態)にさせている。また、スピンドル昇降装置20の短ストローク駆動部57及び長ストローク駆動部58の双方が上昇動作を行って、フックフレーム22と共に上スピンドル14が上昇され、上スピンドル14の雄側嵌合部18が下スピンドル13の雌側嵌合部19から完全に引き抜かれた状態にあるとする。
【0033】
またセンタフレーム4内で昇降フレーム10が上昇してしているものとして、搬入ステーション2のタイヤ搬入装置6及びタイヤリフト装置9の動作で試験対象のタイヤTが下リム15上へ移載されたとする。
下リム15上にタイヤTが移載された段階で昇降フレーム10が下降すると、まずスピンドル昇降装置20の短ストローク駆動部57及び長ストローク駆動部58の双方が下降動作を行い、フックフレーム22と共に上スピンドル14が下降する。これにより、上スピンドル14の雄側嵌合部18が下スピンドル13の雌側嵌合部19に嵌め入れられる。
【0034】
これによってタイヤTは、下向きのビード部が下リム15上に支持され上向きのビード部が上リム16で押圧されたかたちで下リム15と上リム16との上下間に挟持される。このときロック駆動部45は駆動伝達部分を当初の下降位置から上昇待避させ、ロック機構25のロックシャフト34を押し込み状態から解放する。
従ってロック機構25は、バネ39による押し上げ方向の付勢作用に支配され、ロック動作を行う(ロックピース27の外面が雌側嵌合部19の内周面に当接し凹凸係合を生じさせる)。そこでタイヤT内へエアを供給して所定内圧に膨らませる。
【0035】
次にフック機構23がアンフック動作して、フックフレーム22と上スピンドル14との連結を解除させる。そしてスピンドル昇降装置20は短ストローク駆動部57だけを上昇動作させ、ロック駆動部45を含めてフックフレーム22を全体的に上昇させる(図6に示す状態)。
この状況下でタイヤTの外周面(トレッド面)に回転ドラム(図示略)を押しつけて、回転ドラムからの回転駆動でタイヤTを回転させる。このようにしてタイヤTの回転中における均一性(ユニフォミティ)を試験しセンサ24にて測定する。
【0036】
このときロック機構25に対するロック駆動部45による駆動伝達部分は、未だ上スピンドル14の上方へ待避しているので、このロック駆動部45はタイヤTの回転とは縁切り状態にある。
すなわち、上スピンドル14の上部には機械構造類が何も接続されていない状態にあるから、上スピンドル14における上方の質量は小さく、それだけタイヤ回転時の外乱発生要因を排除できる。従って高精度の測定が可能である。またタイヤTを高速回転域(例えば1000rpm以上、或いはタイヤ周速度に換算したときの実走速度200km/h相当)で回転させて試験を行い、正確な測定データを得ることも可能になる。
【0037】
試験後は、スピンドル昇降装置20が短ストローク駆動部57だけを下降動作させ、これに伴ってフックフレーム22が上スピンドル14と連結可能な高さまで下降したときに、フック機構23がフック52をフック受49へ係合させるフック動作を行い、フックフレーム22と上スピンドル14とが連結される。
また、ロック駆動部45がロック機構25のロックシャフト34を下方へ押し込み、ロック機構25にアンロック動作を行わせる(ロックピース27の外面を雌側嵌合部19の内周面から離反させ凹凸係合を解除させる)。
【0038】
次にスピンドル昇降装置20が短ストローク駆動部57及び長ストローク駆動部58の双方に上昇動作を行わせ、フックフレーム22と共に上スピンドル14を上昇させる。上スピンドル14の雄側嵌合部18が下スピンドル13の雌側嵌合部19から完全に引き抜かれたところで、タイヤリフト装置9及び搬出ステーション3のタイヤ搬出装置8の動作で試験済みのタイヤTが装置外へ取り出される。これにて1サイクル動作が完了する。
また搬入ステーション2のタイヤ搬入装置6及びタイヤリフト装置9の動作で試験対象のタイヤTが下リム15上へ新たに移載され、上記したサイクル動作が繰り返される。
【0039】
図7乃至図10は、本発明に係るタイヤ試験機1の第2実施形態を示している。この第2実施形態のタイヤ試験機1が上記した第1実施形態と最も異なるところは、下スピンドル13が下リム15の下方へ突出する下部主軸60と下リム15の上方へ突出する上部主軸61とを有していると共に、上スピンドル14が下スピンドル13の上部主軸61を同心で外嵌する筒軸62を上リム16の上方へ突出させるかたちで有している点にある。
そして、下スピンドル13における上部主軸61の外周面と上スピンドル14における筒軸62の内周面との周間に、コレットチャック方式のチャッキング機構65が設けられることで、下スピンドル13と上スピンドル14との一体結合化を図り、もって固有振動数を高められるものとして高速試験に適用できるようにしてある。
【0040】
なお、下スピンドル13の下部主軸60がスピンドルベース11内で円錐コロ軸受け等のベアリング12を介して上下方向の軸心回りに回転自在に保持されている。またスピンドルベース11の上端部に、下スピンドル13の上部寄りを支持しているベアリング12を取り囲むようにセンサ24が固定されている。
言うまでもなく、下リム15と上リム16との上下間では試験対象のタイヤTを横出し入れして交換する必要があるため、下スピンドル13の上部主軸61に対し、上スピンドル14の筒軸62は上方へ抜き差しできるように上下動自在となっている。
【0041】
この筒軸62を含め、上スピンドル14を昇降させるために、センタフレーム4に対してスピンドル昇降装置20が設けられ、このスピンドル昇降装置20の昇降駆動部21が短ストローク駆動部57と長ストローク駆動部58とを有している点や、上スピンドル14の吊り下げ状態を必要に応じて解除できるようにするために昇降駆動部21と上スピンドル14との上下間にフックフレーム22が設けられ、このフックフレーム22にフック機構23が設けられている点などは、第1実施形態と略同様である。更にフック機構23自体の構造も第1実施形態のそれと略同様である。
【0042】
この第2実施形態のタイヤ試験機1において採用されたロック機構25も、基本的には、ロックシャフト34の下方への押し込み動作で出力変換機構28はロックウエッジ36を下降させ、下スピンドル13における上部主軸61の外周面に設けられたロックピース27を径方向に引き込ませて、上スピンドル14における筒軸62の内周面から離反させたり、反対に、ロックシャフト34の押し込みを解除することによってロックウエッジ36がバネ(外バネ92及び内バネ93)の押し上げ付勢力で上昇され、ロックピース27が径方向に押し出されて、上スピンドル14における筒軸62の内周面へ当接させる(ロックピース27の外面とこの外面が当接する筒軸62の内周面との双方には互い違いに噛み合う凹凸が設けられており、これら凹凸の噛み合いによって凹凸係合が生じる)構造である。
【0043】
ただ、この第2実施形態で採用されたロック機構25では、ロックシャフト34が1回下降及び上方復帰動作をするたびに、このロックシャフト34を上部停止位置と下部停止位置とに切り替えるためのノック機構70が設けられており、この点で第1実施形態と相違する。
図9及び図10に示すように、このノック機構70は、下カム部材71と上カム部材72とカムピン73とを有している。
下カム部材71は円筒形に形成され、その中心部に上下貫通して設けられたシャフト孔75にロックシャフト34が上下動自在に挿通されている。この下カム部材71は、円筒形をしたバネケース76に対し、その下半部に収納されている。バネケース76内にはベアリング77が嵌め込まれており、下カム部材71はこのベアリング77によって回転自在とされている。ベアリング77がバネケース76の内周面及び下カム部材71の外周面との双方に対して軸移動しないように係合固定されていることから、下カム部材71もバネケース76内でその上下動(ロックシャフト34に沿った軸移動)が不能とされている。
【0044】
バネケース76自体も下スピンドル13内に設けられた段部80と止め輪81とに挟まれて固定されているので、結果、下カム部材71は、下スピンドル13(上部主軸61)内で上下動不動で、且つ回転自在となっている。
この下カム部材71の上端面には、片側傾斜面となった鋸歯状の回動制限カム83が周方向で連続して設けられている。またこの下カム部材71の下端面には、回動制限カム83と同一ピッチであるが傾斜向きが逆の片側斜面となった鋸歯状の高さ制限カム84が周方向に連続して設けられている。回動制限カム83と高さ制限カム84とは、周方向に半ピッチのズレを生じている。
【0045】
この高さ制限カム84は、周方向に隣接するもの同士間で、上方への(下カム部材71に対する)食い込み深さの異なるものが交互に並んでいる。食い込み深さの深いものは高位規制レベルを生じさせるものとされ、食い込み深さの浅いものは低位規制レベルを生じさせるものとされている(作用の詳細は後述する)。
上カム部材72も円筒形に形成され、その中心部に上下貫通して設けられたシャフト孔87にロックシャフト34が串刺し状に挿通され、このロックシャフト34との間にノックピン88が打ち込まれて両者は固定されている。この上カム部材72は、下カム部材71を収納するバネケース76に対し、その上半側に仕切筒90を介して収納されている。
【0046】
この仕切筒90は、上カム部材72の外周面とバネケース76の内周面との間にできる周間を、その中間位置で同心円状に仕切るようになっており、バネケース76の上方へ延長する部分でロックウエッジ36と連結されている。即ち、この仕切筒90の上下動がロックウエッジ36の上下動(要するにロック機構25のロック−アンロック切り替え動作)を支配する。
なお、上カム部材72と仕切筒90とは機械的に固定されてはいないが、バネケース76に仕切筒90を引き込ませるように作用する外バネ92と、上カム部材72と下カム部材71とを離反させるように作用する内バネ93とが設けられていることで、これら外バネ92及び内バネ93の釣り合いとして、結果的に上カム部材72と仕切筒90とは一体的に随伴動作する関係にある。
【0047】
上カム部材72の下端面には、片側傾斜面となった鋸歯状の回動制限カム95が周方向で連続して設けられている。この回動制限カム95は、下カム部材71の回動制限カム83と同一ピッチであり、しかも同一傾斜向きとなっている。そのため、この上カム部材72は、下カム部材71と互いの回動制限カム95,83の傾斜面同士を当接させつつ、噛合するようになっている。
カムピン73は、下カム部材71の下端に当接可能となる高さで、ロックシャフト34の側面から突出されている。これにより、下カム部材71の高さ制限カム84に係合可能になっている。
【0048】
次に、図10(A)〜(E)に基づいて上記構造を有するロック機構25の動作状況を説明する。
図10(A)はロック状態を示してあり、ロックウエッジ36がロックピース27を径方向外方へ押し出している。このときロックシャフト34に設けられたカムピン73は、下カム部材71の高さ制限カム84のうち切れ込みの深い部分に係合しており、従ってロックシャフト34は高位規制レベルまで上昇して停止し、これに伴って上カム部材72も下カム部材71の上方へ離れた上昇状態にある。これによって仕切筒90も当然に上昇されているために、ロックウエッジ36がロックピース27を径方向外方へ押し出す状況が保持されている。
【0049】
フックフレーム22に設けられたロック駆動部45がロックシャフト34の上端部を下方へ1回押し込むと、上カム部材72及び仕切筒90が下降し、ロックウエッジ36も下降するので、ロックピース27は径方向内方へ引き込まれ、アンロック状態になる。このとき図10(B)〜(C)に示すように、上カム部材72の下降でその回動制限カム95が下カム部材71の回動制限カム83と傾斜面同士を当接し、同時にロックシャフト34と共にカムピン73が下降することで、このカムピン73が下カム部材71の高さ制限カム84から外れる。
【0050】
回動制限カム95,83同士の当接で、下カム部材71は傾斜面の有効長分(回動制限カム95,83の半ピッチ分)だけ部分回動する。下カム部材71の回転角度で言えばおおよそ45°程度である。これにより、高さ制限カム84のうち食い込み深さの浅い部分がカムピン73に対向するようになる。
ロック駆動部45が、ロックシャフト34への押し込み力を伝える駆動伝達部を上方へ待避させると、ロックシャフト34はバネ(外バネ92及び内バネ93)が上カム部材72を押し上げる作用を受けて上昇する。
【0051】
そのため図10(D)〜(E)に示すように、カムピン73が下カム部材71の高さ制限カム84のうち切れ込みの浅い部分に当接して、その傾斜に沿った回動作用が下カム部材71に伝えられるようになる。カムピン73は、高さ制限カム84のうち切れ込みの浅い部分によって低位規制レベルで停止するので、これに伴って上カム部材72が下カム部材71の上方へ離れる距離は制限され、仕切筒90の上昇程度も制限される。
結果、ロックウエッジ36はロックピース27を径方向外方へ押し出すことがなく、上記したアンロック状態は維持される。
【0052】
このような動作状況が、ロック駆動部45によるロックシャフト34の押し込みのたびに繰り替えされ、ロックシャフト34が高位規制レベルと低位規制レベルとを交互に繰り返し、もってその都度、ロック状態とアンロック状態とが切り替えられるというものである。
なお、この第2実施形態のタイヤ試験機1におけるその他の動作状況及び作用効果などについては第1実施形態と略同様であるので、ここでの詳説は省略する。
第1実施形態のタイヤ試験機1に比べれば、この第2実施形態のタイヤ試験機1ではタイヤ回転中(試験中)において上スピンドル14の上部の質量はやや大型化しているが、それでもロック駆動部45などの負荷は縁切り状態にできるのは第1実施形態の場合と同じであり、結果、高精度の測定が可能であり、タイヤTを高速回転域(例えばタイヤ周速度に換算したときの実走速度120km/h相当)で回転させて試験を行い、正確な測定データを得ることも可能である。
【0053】
ところで、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るタイヤ試験機の第1実施形態を示した正面断面図である。
【図2】第1実施形態のタイヤ試験機の設置例を示した正面図である。
【図3】図1中の一部(フック機構)を抽出し拡大した図である。
【図4】図1中の一部(ロック機構)を抽出し拡大した図である。
【図5】ロック機構の一部を示す分解斜視図である。
【図6】図1からの動作状況(タイヤ試験時)を示した正面断面図である。
【図7】本発明に係るタイヤ試験機の第2実施形態を示した正面断面図である。
【図8】第2実施形態のタイヤ試験機の設置例を示した正面図である。
【図9】図8中の一部(ロック機構及びノック機構)を抽出し拡大した図である。
【図10】ロック機構及びノック機構の動作説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 タイヤ試験機
13 下スピンドル
14 上スピンドル
15 下リム
16 上リム
18 雄側嵌合部
19 雌側嵌合部
20 スピンドル昇降装置
21 昇降駆動部
22 フックフレーム
23 フック機構
25 ロック機構
28 出力変換機構
34 ロックシャフト
39 バネ
45 ロック駆動部
57 短ストローク駆動部
58 長ストローク駆動部
70 ノック機構
75 シャフト孔
71 下カム部材
72 上カム部材
73 カムピン
83 下カム部材の回動制限カム
84 高さ制限カム
92 外バネ
93 内バネ
95 上カム部材の回動制限カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(T)を挟持可能な上リム(16)及び下リム(15)と、これら上下のリム(16,15)を上下方向の軸心回りでそれぞれ回転自在に保持する上リム用上スピンドル(14)及び下リム用下スピンドル(13)と、これら上下スピンドル(14,13)の少なくとも一方を昇降させて上下リム(16,15)間でのタイヤ(T)の着脱を可能にさせるスピンドル昇降装置(20)と、上下リム(16,15)間でタイヤ(T)を挟持したときに上下スピンドル(14,13)の相互間で回転軸心に交差する凹凸係合を行わせて両者を上下動不能にロックするロック機構(25)とを有し、タイヤのユニフォミティを測定するタイヤ試験機において、
上記上スピンドル(14)の上方であって且つ上下スピンドル(14,13)の回転軸心と同軸となる位置に上記ロック機構(25)に対して上下スピンドル(14,13)間での凹凸係合動作を駆動伝達するロック駆動部(45)が設けられており、このロック駆動部(45)は、上下リム(16,15)間で挟持したタイヤ(T)の回転中にはロック機構(25)に対する駆動伝達部分を上方へ待避させて非回転状態に保持可能とされていることを特徴とするタイヤ試験機。
【請求項2】
前記スピンドル昇降装置(20)は、上スピンドル(14)の上方に設けられる昇降駆動部(21)と、
この昇降駆動部(21)によって上スピンドル(14)の上方域で昇降自在に設けられるフックフレーム(22)と、
このフックフレーム(22)と上スピンドル(14)との連結及び解放を切り替え可能にするフック機構(23)とを有しており、
上記昇降駆動部(21)は、上記フック機構(23)がフックフレーム(22)と上スピンドル(14)とを連結するフックレベルから解放後にフックフレーム(22)を少しだけ上昇させるアンフックレベルまでの上下間を昇降ストロークとする短ストローク駆動部(57)と、
フックフレーム(22)と上スピンドル(14)との連結レベルから上下リム(16,15)間でタイヤ(T)の着脱が可能となる上スピンドル(14)の上方待避レベルまでの上下間を昇降ストロークとする長ストローク駆動部(58)とを有していることを特徴とする請求項1記載のタイヤ試験機。
【請求項3】
前記上スピンドル(14)は上リム(16)の下方へ突出する雄側嵌合部(18)を有し、前記下スピンドル(13)は下リム(15)の下方へ向けて上記上スピンドル(14)の雄側嵌合部(18)を嵌め入れる雌側嵌合部(19)を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のタイヤ試験機。
【請求項4】
前記ロック機構(25)は、下スピンドル(13)内で上下動自在に保持されたロックシャフト(34)と、
このロックシャフト(34)を上方へ向けて付勢するバネ(92,93)と、ロックシャフト(34)が1回下降及び上方復帰動作をするたびに当該ロックシャフト(34)を上部停止位置と下部停止位置とに切り替えるノック機構(70)と、
ロックシャフト(34)が停止位置を上下に切り替えるのに伴って上下スピンドル(14,13)間での凹凸係合状態とこの係合状態の解除とを切り替える出力変換機構(28)とを有しており、
上記ロックシャフト(34)の上端部で前記ロック駆動部(45)からの押下駆動を受ける構造となっていることを特徴とする請求項2記載のタイヤ試験機。
【請求項5】
前記ノック機構(70)は、下スピンドル(13)内で上下動不動で且つ回転自在に保持され中心部にロックシャフト(34)を上下動自在に貫通させるシャフト孔(75)が設けられた下カム部材(71)と、
この下カム部材(71)より上位置でロックシャフト(34)に対して串刺し状に固定されて当該ロックシャフト(34)の上下動に伴って上記下カム部材(71)に近接離反する上カム部材(72)と、
ロックシャフト(34)の側面から突出して下カム部材(71)の下端に当接可能とされることでロックシャフト(34)の上昇位置を制限するカムピン(73)とを有し、
下カム部材(71)の上端面には片側傾斜面となった鋸歯状の回動制限カム(83)が周方向で連続して設けられ、上カム部材(72)の下端面には下カム部材(71)の回動制限カム(83)と同一ピッチ且つ同一傾斜向きで片側斜面となった鋸歯状の回動制限カム(95)が周方向で連続して設けられて、これら下カム部材(71)と上カム部材(72)とが互いの回動制限カム(83,95)を傾斜面同士で当接させつつ噛合するようになされ、
下カム部材(71)の下端面には当該下カム部材(71)の回動制限カム(83)と同一ピッチであるが傾斜向きが逆となる片側斜面となった鋸歯状の高さ制限カム(84)がこの回動制限カム(83)と周方向にズレを生じつつ周方向に連続して設けられ、この高さ制限カム(84)は周方向に隣接するもの同士間でカムピン(73)との係合位置を高位規制レベルと低位規制レベルを交互に繰り返す配置とされて設けられていることを特徴とする請求項4記載のタイヤ試験機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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