説明

タオル処理機

【課題】殺菌の工程とタオルの異物除去の工程と二つ折りの工程とをより有機的に組み合わせてより効果的な殺菌工程が可能となる簡素な構成のタオル処理機を提供する。
【解決手段】このタオル処理機1は、広げて載置されたタオルPを搬送する搬送コンベア2と、異物除去部3と、殺菌液付与部4と、二つ折り部5と、を備え、搬送コンベア2はタオルPを検知するタオル検知センサ22を有し、異物除去部3はタオルPに接触するとその動きに追従回動して異物を除去する異物捕捉ローラ31を有し、殺菌液付与部4はタオルPに接触するとその動きに追従し回動して殺菌液を付与する殺菌液付与ローラ42を有し、かつ、タオル検知センサ22がタオルPを検知すると殺菌液タンクから殺菌液が供給され、二つ折り部5はタオル検知センサ22がタオルPを検知してから所定の時間差で移動を開始し、タオルPの中央近傍を横断するように接触するタオル当接部材51を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店などで使用されるタオルを清潔な状態にして繰り返し使用可能にするタオル処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店などで来客に提供される布製のおしぼり用のタオルは、通常、使用後に回収し、洗浄などを含む工程を経た後、更に、残った毛髪等の異物を除去し、殺菌して丸く畳み、袋詰めにより包装し、再び清潔なタオルとして提供するようにして再利用されている。
【0003】
このようなタオルの再利用においては、洗浄などを含む工程を経た後の異物除去や殺菌は、タオルを丸く畳んで包装する直前に行われるのが望ましい。本願発明者は、特許文献1において、2個の外接する殺菌液付与ローラ(緩衝部材と塗布ローラ)を有する殺菌液付与部によって安定した付与量の殺菌液でタオルを殺菌するタオル処理機を提案している。また、特許文献2において、外周面に粘着層が形成された異物捕捉ローラを用いて異物を除去し、異物捕捉ローラの直径が変化したり粘着層の粘着力が変化したりしても、タオルが異物捕捉ローラに巻き込まれることがなく、適切にタオルの両面の異物を除去できるタオル処理機を提案している。この特許文献2には、異物除去したタオルを二つ折りする機構及び二つ折りしたタオルを殺菌液付与部まで運搬する機構も示しており、タオルの異物除去の工程と二つ折りの工程と殺菌の工程が包装前に連続して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−281024号公報
【特許文献2】特開2010−89902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1はタオルの殺菌の工程について、特許文献2はタオルの異物除去の工程及び二つ折りの工程について、それぞれ提案している。本願発明者は、殺菌の工程と異物除去の工程と二つ折りの工程とをより有機的に組み合わせれば、より良い、具体的には、より効果的な殺菌工程が可能となるタオル処理機が簡素な構成で実現できるのではないかと思考し、鋭意工夫し、本発明を案出した。
【0006】
本発明は係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、殺菌の工程とタオルの異物除去の工程と二つ折りの工程とをより有機的に組み合わせてより効果的な殺菌工程が可能となる簡素な構成のタオル処理機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のタオル処理機は、搬送ベルトを有しその上に広げて載置されたタオルを前方から後方に搬送する搬送コンベアと、搬送される前記タオルの異物を除去する異物除去部と、該異物除去部の後方側に配されて搬送される前記タオルに殺菌液を付与する殺菌液付与部と、前記搬送コンベアの後方端近傍に配され、殺菌液が付与されたタオルを二つ折りにする二つ折り部と、を備え、前記搬送コンベアは、搬送されている前記タオルを検知するタオル検知センサを有し、前記異物除去部は、搬送されている前記タオルに接触するとその動きに追従回動して、前記タオルの異物を除去する異物捕捉ローラを有し、前記殺菌液付与部は、搬送されている前記タオルに接触するとその動きに追従するよう回動し前記タオルに殺菌液を付与する殺菌液付与ローラを有し、前記二つ折り部は、前記タオル検知センサが前記タオルを検知してから所定の時間差で移動を開始し、前記タオルの中央近傍を横断するように接触して所定の場所まで移動するタオル当接部材を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のタオル処理機は、請求項1に記載のタオル処理機において、前記殺菌液付与部は、前記タオル検知センサが前記タオルを検知すると殺菌液タンクから殺菌液が供給されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のタオル処理機は、請求項1又は2に記載のタオル処理機において、前記異物除去部は、第1、第2及び第3の誘導ローラを含み、第1及び第2の誘導ローラが前記搬送ベルトの上方に互いに平行に配設され、第3の誘導ローラが第1及び第2の誘導ローラと離隔して上方に配設された誘導ローラ群と、誘導ローラ群の第1、第2及び第3の誘導ローラの外周面に輪状に閉じて張架される誘導ワイヤと、を更に有し、前記異物捕捉ローラは、前記誘導ワイヤの輪状の内側であって、第1及び第2の誘導ローラの中間に配設され、タオルの載置面の反対側の面の異物を除去することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のタオル処理機は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタオル処理機において、前記殺菌液付与部は、2個の外接する殺菌液付与ローラを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のタオル処理機によれば、異物除去部と殺菌液付与部と二つ折り部を搬送コンベアの搬送ベルトの上側等にこの順に一連に設け、タオルの異物除去の工程と殺菌の工程と二つ折りの工程とをより有機的に組み合わせることで、殺菌液を満遍なく行き渡らせることができて効果的な殺菌工程が可能となるものを、簡素な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るタオル処理機の概略平面図である。
【図2】同上のタオル処理機の概略断面側面図である。
【図3】同上のタオル処理機の異物捕捉ローラの粘着シートの剥離を説明する拡大模式図である。
【図4】同上のタオル処理機の異物除去部の動作を説明する概略断面側面図である。
【図5】同上のタオル処理機の殺菌液付与部の構成を示す模式図である。
【図6】同上のタオル処理機の2つ折り部の動作を説明する概略断面側面図である。
【図7】同上のタオル処理機の2つ折り部の他の動作を説明する概略断面側面図である。
【図8】同上のタオル処理機の2つ折り部の更に他の動作を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係るタオル処理機1は、洗浄が行われた後のおしぼり用のタオルPを処理するものである。タオル処理機1は、図1及び図2で示すように、搬送ベルト21を有しその上に広げて載置されたタオルPを前方から後方に搬送する搬送コンベア2と、搬送されるタオルPの毛髪等の異物を除去する異物除去部3と、この異物除去部3の後方側に配されて搬送されるタオルPに殺菌液を付与する殺菌液付与部4と、搬送コンベア2の後方端近傍に配され、搬送されてきたタオルPを二つ折りにする二つ折り部5と、を備えている。また、タオル処理機1は、殺菌液を殺菌液付与部4に供給する殺菌液制御部6を備えている。なお、タオル処理機1において作業者が位置する方を前方(図1においては下方、図2においては右方)、その反対側を後方(図1においては上方、図2においては左方)とする。また、図1においては、理解を容易にするために、破線でタオルPを示している。また、図2は、図1におけるX−Xの線で切断した左方から見た断面を示したものである。また、各図においては、本発明の要部ではない枠組などの一部の構造は省略している。
【0014】
搬送コンベア2には、搬送されているタオルPを検知するタオル検知センサ22を設置してある。本実施形態では、タオル検知センサ22は、搬送ベルト21の幅方向(タオルPの搬送方向に直交する方向)の中央であって搬送ベルト21の表面よりも少し下方に設置され(図1参照)、そのため、搬送ベルト21は幅方向に2個に分離してある。搬送ベルト21は、幅方向に2個に分離するものに限らず、3個以上に分離してあっても構わない。その場合、搬送ベルト21の個々の部分は、帯状に限らず紐状であっても構わない。また、場合によっては、タオル検知センサ22は、搬送ベルト21よりも少し上方に設けられ幅方向に伸びた部材に支持されて、その下側を通過するタオルPを検知するようにすることもできる。その場合、搬送ベルト21は幅方向に分離しなくてもよい。
【0015】
タオル検知センサ22は、光電素子や信号処理回路などから構成され、光電素子に入射される光量の変化により、搬送されているタオルPの一端(タオル処理機1においての後方側の端)を検知し、そして、その後、タオルPの他端(タオル処理機1においての前方側の端)を検知することができる。
【0016】
搬送コンベア2の搬送ベルト21は、詳細には、前方に位置する前方車輪23と後方に位置する後方車輪24の間に閉じて掛け渡されている。従って、搬送ベルト21は、前方車輪23又は後方車輪24の回動に追従して循環移動(移動して循環)する形式でもって駆動される。この場合、前方車輪23及び後方車輪24のどちらを駆動車輪及び従動車輪にしてもよい。駆動車輪の軸は、モータ(図示せず)に連結されている。なお、搬送コンベア2は、水平面に対し多少傾けてもよい。また、電源スイッチや停止ボタンなどを有する操作部25や、タオルPの検知に基づいて二つ折り部5及び殺菌液制御部6における後述の動作の制御等を行う制御部(図示せず)などが設けられている。
【0017】
異物除去部3は、タオルPの載置面の反対側である第1面(表面)に付着した毛髪等の異物を除去する第1面異物除去部分3Aと、タオルPの載置面である第2面(裏面)に付着した毛髪等の異物を除去する第2面異物除去部分3Bと、により構成される。
【0018】
第1面異物除去部分3Aには、異物捕捉ローラ31と誘導ローラ群3Gと誘導ワイヤ32とが設けられている。異物捕捉ローラ31は、タオルPに接触するとその動きに追従回動してタオルPの異物を捕捉するものである。誘導ローラ群3Gは、搬送ベルト21の上方に互いに平行に配設される第1及び第2の誘導ローラ33、34とそれらの上方にそれらと平行に配設される第3の誘導ローラ35を含む。誘導ワイヤ32は、誘導ローラ群3Gの第1、第2、及び第3の誘導ローラ33、34、35の外周面に輪状に閉じて掛け渡され(張架され)ている。
【0019】
詳細には、異物捕捉ローラ31は、誘導ワイヤ32に接するように輪状の内側にあって第1及び第2の誘導ローラ33、34の中間のいずれかの箇所に配設される。また、異物捕捉ローラ31は、自在に回動可能となるように、かつ、タオルPの状態に応じた上下移動が可能なように配設される。なお、異物捕捉ローラ31は、誘導ワイヤ32に向けて弱い力でバネ付勢してもよい。
【0020】
異物捕捉ローラ31の構造の典型的な例は、中心の軸体31a、その周囲の芯部31b、更にその周囲の粘着シート積層部31cが一体になったものである。粘着シート積層部31cは、片面に粘着層を有する粘着シートが何重にも積層して構成されている。作業者は、外周面表面の粘着層の粘着力が低下し異物捕捉の能力低下がみられると、図3の拡大模式図に示すように、粘着シート積層部31cの粘着シートを1枚剥離して表面に新しい粘着層を露出させて、異物捕捉の能力を回復させる。
【0021】
誘導ローラ群3Gの第1乃至第3の誘導ローラ33、34、35はそれぞれ、それらに掛け渡された誘導ワイヤ32の循環移動に追従して回動する構造になっている。第1の誘導ローラ33は、両端に設けられた支持部材26、26の間に固定された軸の周りを回動する。第2の誘導ローラ34は両端に設けられた支持部材27、27の間に固定された軸の周りを回動する。第3の誘導ローラ35は、両端に設けられコンベア枠体に固定された支持部材29、29の間に固定された軸の周りを回動する。また、その支持部材29、29の間の固定された軸が貫通する貫通孔が中央部に形成された支持部材28、28が設けられている。支持部材28の両端部に支持部材26と支持部材27が固定されている。それにより、第1又は第2の誘導ローラ33、34は第3の誘導ローラ35の中心軸を中心にして揺動可能となっており、下側を通過するタオルPによって押し上げられるときに、抵抗とならないようになる。また、誘導ローラ群3Gの構成する誘導ローラ33、34、35は、誘導ワイヤ32が接する部分のみが自在に回動するものであってもよい。なお、断面図においては、図2のみに、支持部材26〜29を示している。
【0022】
誘導ローラ群3Gは、掛け渡される誘導ワイヤ32が側面視において、三角形状になるように第1乃至第3の誘導ローラ33、34、35が配設されている。更に多くの誘導ローラを含むようにして、掛け渡される誘導ワイヤ32が側面視において更に多角形状になるようにすることも可能である。
【0023】
なお、第1乃至第3の誘導ローラ33、34、35には、図1及び図2などに示すように、外周面の複数個所に、多少の弾力性を有する、例えばシリコーン製のリング3Gaを嵌め込んでもよい。これらのリング3Gaは、第1又は第2の誘導ローラ33、34にタオルPが進入し始める際に抵抗が余り生じないようにし、また、誘導ワイヤ32のタオルPへの接触を少なくして誘導ワイヤ32の動きを妨害しないようにするものである。また、これらのリング3Gaは、誘導ワイヤ32がずれないような働きもしている。
【0024】
誘導ワイヤ32は、通常、2本以上必要である。それにより、誘導ワイヤ32の循環移動が安定し、そして、誘導ローラ群3Gに動力を安定して伝達する。また、誘導ワイヤ32は、多少の弾力性を有しており、例えば直径2ミリ程度のウレタン樹脂製或いはシリコーン樹脂製のものを用いることができる。
【0025】
このような異物捕捉ローラ31と誘導ローラ群3Gと誘導ワイヤ32は、以下のように動作する。すなわち、異物捕捉ローラ31は自重によって搬送ベルト21(タオルPが到達しているときはタオルP)に接触し、搬送ベルト21(又はタオルP)に追従して回動する。誘導ワイヤ32は、異物捕捉ローラ31の回動に追従して循環移動し、誘導ローラ群3Gに動力を伝達する。誘導ローラ群3Gは、誘導ワイヤ32によって動力が伝達され、誘導ローラ33、34、35はそれぞれ、誘導ワイヤ32の循環移動に追従して回動する。
【0026】
広げて載置されたタオルPが誘導ローラ群3Gの第1の誘導ローラ33に到達すると、第1の誘導ローラ33はタオルPにより少し押し上げられる。第1の誘導ローラ33は回動しているので、タオルPを異物捕捉ローラ31の方へ繰り入れる。そして、誘導ワイヤ32は、搬送ベルト21との間にタオルPを挟み込み、タオルPを誘導して異物捕捉ローラ31の方に搬送する。それから、異物捕捉ローラ31は、タオルPに接触し、自重によってタオルPに圧せられる。異物捕捉ローラ31はタオルPの第1面(表面)の異物を捕捉し、誘導ワイヤ32は、搬送ベルト21とともに、タオルPを誘導して第2の誘導ローラ34の方に搬送する。タオルPが第2の誘導ローラ34に到達すると、第2の誘導ローラ34は、タオルPを繰り出す。
【0027】
このように、第1面異物除去部分3Aは、搬送コンベア2の中間にあって、タオルPの第1面(表面)に付着した異物を自動的に除去する。次に説明する第2面異物除去部分3Bは、搬送コンベア2の前方端近傍にあって、ある程度の作業者の操作を必要としながら、タオルPの第2面(裏面)に付着した異物を除去するものである。
【0028】
第2面異物除去部分3Bには、搬送コンベア2の前方端近傍に第2の異物捕捉ローラ36が配されている。第2の異物捕捉ローラ36の構造は、異物捕捉ローラ31と同様である。また、使用者がタオルPを第2の異物捕捉ローラ36に広げて載置し易いように支持する支持用ローラ37が設けられている。第2の異物捕捉ローラ36及び支持用ローラ37は、搬送コンベア2の前方車輪23との間に掛け渡した輪状に閉じられたワイヤ38により動力が伝達されて回動する。使用者は、タオルPを広げてその端部を第2の異物捕捉ローラ36に載置する。第2の異物捕捉ローラ36は、タオルPの第2面(裏面)の異物を捕捉しながら、その回動方向にタオルPを移動させる。それから、使用者は、搬送ベルト21の近傍に移動してきたタオルPの端部を搬送ベルト21上に誘導して載置する(図4参照)。
【0029】
次に、殺菌液付与部4と殺菌液制御部6を図5を用いて説明する。
【0030】
殺菌液制御部6は、適度な濃度に希釈された殺菌液を貯留する殺菌液タンク61と、殺菌液タンク61から殺菌液を汲み出す送出ポンプ62と、送出ポンプ62から殺菌液付与部4までの流路を開閉する開閉弁63(電磁弁など)と、開閉弁63から殺菌液付与部4までの殺菌液の流路となる供給パイプ64と、を有して構成することができる。送出ポンプ62が稼働し開閉弁63が開いているときには、供給パイプ64の先端の滴下口64aから殺菌液が滴下して殺菌液付与部4に供給される。また、供給パイプ64は、殺菌液付与部4に供給される殺菌液の均一性をあげるように、複数に分岐して殺菌液の滴下口64aを増やしている。
【0031】
ここで、タオル検知センサ22がタオルPの一端を検知すると、開閉弁63が開き、殺菌液タンク61から殺菌液付与部4に殺菌液が供給される。タオル検知センサ22がタオルPを検知しないとき、或いは、検知しなくなって所定時間(例えば、数秒程度)経過すると、開閉弁63が閉じ、殺菌液は殺菌液付与部4に供給されなくなる。
【0032】
殺菌液付与部4は、2個の外接する殺菌液付与ローラ、すなわち第1の殺菌液付与ローラ41と第2の殺菌液付与ローラ42を有している。
【0033】
第1の殺菌液付与ローラ41は、殺菌液制御部6の供給パイプ64から滴下した殺菌液を拡散移動させ均一化させて蓄える。第1の殺菌液付与ローラ41は、後述の第2の殺菌液付与ローラ42と外接しているので、その回動に追従して回動する。第1の殺菌液付与ローラ41は、外周面に多孔質弾性層を有している。この多孔質弾性層は、比較的多量の液体を保持できる多孔質のもの、例えば、ゴムの発泡体やスポンジなどの材料が好適に用いられる。
【0034】
第2の殺菌液付与ローラ42は、上方において接している第1の殺菌液付与ローラ41が蓄えた殺菌液が表面に転移される。これにより、第2の殺菌液付与ローラ42は、搬送ベルト21で搬送されたタオルPが接触したときその動きに追従して回動しながら、タオルPに転移された殺菌液を付与する。第2の殺菌液付与ローラ42の外周面には、ある程度の硬さで弾性のある材料、例えば、ゴム製などが好適に用いられる。また、第2の殺菌液付与ローラ42の外周面の表面は、転移した殺菌液が垂れ落ちず安定に保持されるように、粗に又は多数の凹凸を有するようにしてもよい。
【0035】
なお、殺菌液付与部4に供給される殺菌液の量を適切に制御することにより、第2の殺菌液付与ローラ42を省略して、タオルPに第1の殺菌液付与ローラ41が直接に接触するようにすることも場合によっては可能である。この場合、第1の殺菌液付与ローラ41は、タオルPに接触したときその動きに追従し回動してタオルPに殺菌液を付与する。
【0036】
次に、二つ折り部5を説明する。二つ折り部5は、搬送コンベア2の後方端近傍に配されて、搬送ベルト21から垂れ下がり離れつつある搬送されてきたタオルPの中央近傍を横断するように接触して所定の場所まで移動する棒体形状のタオル当接部材51を有している。このタオル当接部材51は、複数有り、これらは当接部材回動体52に立設されている。また、二つ折り部5は、タオル受け台53と、袋詰装置に向かってタオルPを搬出する搬出コンベア54と、を有してなる。当接部材回動体52の軸と搬出コンベア54の駆動車輪の軸はそれぞれ、当接部材回動体52用と搬出コンベア54用のモータに連結されている。
【0037】
タオル当接部材51は、タオル検知センサ22がタオルPを検知してから所定の時間差で移動を開始する。タオル当接部材51のこの移動は、当接部材回動体52が所定角度だけ回動することによって起こる。タオルPを検知してからの所定の時間差は、タオルPの両端を検知し、それからタオルPの中央の位置を導き、そして、搬送ベルト21の移動速度から計算することで導くことができる。また、当接部材回動体52の回動の所定角度は、本実施形態では、3個のタオル当接部材51が当接部材回動体52に立設されているので、円周方向の間隔は120度である。
【0038】
より詳細には、タオル当接部材51の一つは、当接部材回動体52が回動したとき、上昇しながら搬送コンベア2の後方端に近接して通過し、図6に示すように、搬送コンベア2の後方端からタオル受け台53に向かって垂れ下がったタオルPの中央近傍に接触して吊り上げ、そして、図7に示すように、搬出コンベア54の搬送ベルト54a上に二つ折りの状態で載せ、搬送ベルト54aの縁部に近接して止まる。搬送ベルト54aは、当接部材回動体52の回動から遅延して動きを開始し、搬送コンベア2の搬送ベルト21と直交方向に動き、図8に示すようにして、タオルPをタオル当接部材51から抜き取る。
【0039】
タオル処理機1の使用方法及び全体動作を簡単に説明する。使用者は、タオルPを広げ、異物除去部3の第2面異物除去部分3Bにより第2面(裏面)の異物を除去し、搬送コンベア2の搬送ベルト21上に載置させる。タオルPは、搬送コンベア2の搬送ベルト21により搬送され、異物除去部3の第1面異物除去部分3Aにより第1面(表面)の異物が除去される。そして、殺菌液付与部4により殺菌液が付与される。タオルPは、搬送コンベア2の後方端近傍でタオル当接部材51がタオルPに接触して所定の場所まで移動することにより、二つ折りにされる。そして、二つ折りにされたタオルPは、袋詰装置に向かって搬出される。袋詰装置では、タオルPは、丸く畳まれて袋詰めにより包装される。
【0040】
以上のようにして、異物除去部3と殺菌液付与部4と二つ折り部5とが搬送コンベア2の搬送ベルト21の上側等にこの順に一連に設けられることにより、タオルPの異物除去の工程と殺菌の工程と二つ折りの工程とがより有機的に組み合わせられた簡素な構成となっている。タオルPは、広げられた状態(一重の状態)で殺菌液が付与されてから二つ折りにされるため、殺菌液は、付与された面から他面まで浸透して行き、濃度の変化が殆どなく、ほぼ満遍なく行き渡らせることができて効果的な殺菌工程が可能となる。これにより、殺菌液貯留タンクから供給されタオルPに付与される殺菌液は、比較的低濃度であってもよい。殺菌液が低濃度だと、繊維へのダメージも少なく、繰り返して再利用できる回数が多くなる。
【0041】
また、二つ折り部5のタオル当接部材51の移動の制御と殺菌液付与部4への殺菌液の供給の制御にタオル検知センサ22が共用されているので、装置構成が複雑にならない。タオルPを検知しないときには、殺菌液付与部4へ殺菌液は供給されないので、過度の殺菌液が殺菌液付与部4に供給されることが防止でき、従って、殺菌液付与部4から殺菌液が滴り落ちて搬送ベルト21を汚すようなこともなく、意図しない量の殺菌液が偏ってタオルPに付加されることが防止できる。
【0042】
また、異物除去部3の異物捕捉ローラ31と殺菌液付与部4の殺菌液付与ローラ41、42はそれぞれ、搬送ベルト21の動きに追従して異物除去、殺菌を行うので、それらが抵抗になったり挟んだりすることなく、所定のタイミングで二つ折りにされるように、タオルPが前部から後部にスムーズに搬送されて行くことができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態に係るタオル処理機について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、異物捕捉ローラ31や殺菌液付与ローラ41、42がタオルPの動きに追従するものならば、異物除去部3及び殺菌液付与部4の構成はさまざまなものが可能である。また、タオルP当接部材を有する二つ折り部5の構成もさまざまなものが可能である。
【0044】
また、タオル処理機1で処理されたおしぼり用のタオルPは、袋詰装置により1個ずつ袋詰めされるのが通常であるが、袋詰めせずに多数のタオルPをまとめて袋や箱などに包装することも可能である。また、タオル処理機1は、その他のタオルP、例えば、美容院などで使用されるタオルPにも用いることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 タオル処理機
2 搬送コンベア
21 搬送ベルト
22 タオル検知センサ
3 異物除去部
31 異物捕捉ローラ
32 誘導ワイヤ
3G 誘導ローラ群
33 第1の誘導ローラ
34 第2の誘導ローラ
35 第3の誘導ローラ
4 殺菌液付与部
41 第1の殺菌液付与ローラ
42 第2の殺菌液付与ローラ
5 二つ折り部
51 タオル当接部材
6 殺菌液制御部
61 殺菌液タンク
P タオルP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトを有しその上に広げて載置されたタオルを前方から後方に搬送する搬送コンベアと、
搬送される前記タオルの異物を除去する異物除去部と、
該異物除去部の後方側に配されて搬送される前記タオルに殺菌液を付与する殺菌液付与部と、
前記搬送コンベアの後方端近傍に配され、殺菌液が付与されたタオルを二つ折りにする二つ折り部と、を備え、
前記搬送コンベアは、搬送されている前記タオルを検知するタオル検知センサを有し、
前記異物除去部は、搬送されている前記タオルに接触するとその動きに追従回動して、前記タオルの異物を除去する異物捕捉ローラを有し、
前記殺菌液付与部は、搬送されている前記タオルに接触するとその動きに追従するよう回動し前記タオルに殺菌液を付与する殺菌液付与ローラを有し、
前記二つ折り部は、前記タオル検知センサが前記タオルを検知してから所定の時間差で移動を開始し、前記タオルの中央近傍を横断するように接触して所定の場所まで移動するタオル当接部材を有することを特徴とするタオル処理機。
【請求項2】
請求項1に記載のタオル処理機において、
前記殺菌液付与部は、前記タオル検知センサが前記タオルを検知すると殺菌液タンクから殺菌液が供給されることを特徴とするタオル処理機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタオル処理機において、
前記異物除去部は、
第1、第2及び第3の誘導ローラを含み、第1及び第2の誘導ローラが前記搬送ベルトの上方に互いに平行に配設され、第3の誘導ローラが第1及び第2の誘導ローラと離隔して上方に配設された誘導ローラ群と、
誘導ローラ群の第1、第2及び第3の誘導ローラの外周面に輪状に閉じて張架される誘導ワイヤと、を更に有し、
前記異物捕捉ローラは、前記誘導ワイヤの輪状の内側であって、第1及び第2の誘導ローラの中間に配設され、タオルの載置面の反対側の面の異物を除去することを特徴とするタオル処理機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタオル処理機において、
前記殺菌液付与部は、2個の外接する殺菌液付与ローラを有していることを特徴とするタオル処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−39936(P2013−39936A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177447(P2011−177447)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(505327697)有限会社ラブ・グリーン (4)
【Fターム(参考)】